2013年5月2日木曜日

4/26 勉強会:【相続 贈与】教育資金贈与の非課税特例 文科省Q&A ほか


1.年の中途において推定相続人となった場合


(事例)
①1月に祖父から現金の贈与を受けた
②3月に父が死亡し、祖父から父の死亡保険金の贈与を受けた

(相続時精算課税の適用可否)
①祖父の推定相続人でない→適用不可(暦年課税)
②祖父の推定相続人である→適用可能

課税リスクの説明不足で税理士側に損害賠償命令

(事例)
・医療法人から「特定医療法人」の承認を受けるための
アドバイスを求められた
→理事長宛の貸付金を営業権に振替える処理を提案
→貸付金の消滅が理事長宛の賞与として認定、源泉徴収義務が発生
→医療法人から損害賠償を求められた

(裁判所判断)
・税理士法人に損害賠償責任あり
・税理士が一定の会計処理をアドバイスする場合は、
会計処理から生じる課税リスクの説明義務を負う
・説明を怠った場合、税理士が債務不履行(説明義務違反)責任を負う

3.株主保有特定会社該当基準を巡る東京地裁・高裁判決

■前提・問題点
①ある個人がX社とY社の株式を相続した。
②X社とY社はお互いに株を持ち合っている。
③X社・Y社共に上場などはしていない。
④X社・Y社はどのように評価すべきか?

■株式保有特定会社にかかる評価方式
⇒会社資産のうち、一定割合以上で他社株式がある場合、
 株式保有特定会社とする。
 ※その他にも要件有り
⇒特定保有株式会社の場合、評価会社(この場合X社、Y社)の評価額に、
  保有株式の評価額を反映させる。
⇒X社・Y社共に株式保有特定会社に該当する。

■問題点
⇒X社株の評価にY社株を反映させて、価値が上がった場合
⇒今度は、X社株が値上がりした分、Y社株の価値をあげることとなる
⇒そうすると、またX社株はY社株の値上がりを受けて価値が上がる
⇒延々と循環的に評価額が高まってしまう。

■裁判所の判断
①Y社株式の評価のときは、
 X株式は類似業種比準方式で計算した金額を用いる。
②①にてY社株式を評価した上で、X株式の評価額を算出する。
③①、②のプロセスで計算した金額を用いて相続税の確定申告を行ってOK

4.会計と税法のズレ、売却か否かで判決

■前提・問題点
①Z社がSPCを作って、不動産を譲渡した。
②①の取引は、金融取引になるのか?売買取引になるのか?

■企業会計上の解釈
Z社が、不動産の買い戻し条項などをつけて譲渡している等の
リスクを負っているので
不動産を担保にして資金調達したに過ぎない。
⇒金融取引に該当する。

■裁判所の判断
①契約に基づいて、権利が譲渡されている。
②契約に定められた対価を現に収受している。
⇒売買取引に該当し、益金に算入すべき

※現在、係争中

5.贈与無効の判決と後発的事由該当性

■後発的事由と認められるケース
 A、当事者間に権利関係の争いがある
 B、判決等により申告があったときの権利関係と異なった事実関係が生じた

■ケース1
 ①祖母→孫への贈与があった
 ②贈与契約の時に想定していたものより重い納税義務が生じることがわかった
 ③孫が贈与の無効確認訴訟を起こして、請求の認諾を得た

 この場合、孫、祖母の間で贈与がなかったものとすることが
 もともと決まっていた。
 →もっぱら租税回避する目的があったので、後発的事由と認められなかった。
 ⇒更正の請求は認められず

■ケース2
 ①祖父→孫へ不動産の贈与があった
 ②孫は贈与があったこと自体を知らなかった
 ③贈与があったことにより、孫は贈与税等の納税義務を負うことになった
 ④孫が贈与の無効確認訴訟を起こして、相続人(祖父の子供)と和解をした

 この場合、孫と相続人の主張が異なっていたため、
 裁判所が和解を勧め交渉を重ねた結果、
 起訴から2年たって和解の成立となった。
 →課税庁側は租税回避目的と主張していたが、
   審判所により後発的事由と認められた。
 ⇒更正の請求が認められた
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6.【相続 贈与】教育資金贈与の非課税特例 文科省Q&A


文科省がQ&Aにより可非判定の具体例を公表した。

①1500万円迄の非課税の対象
・留学先の学校に支払う学費、
  入学金(日本の小中学校、高校、大学に相当するもの)

・留学先の学校に支払う寮費
・国内のインターナショナルスクールの学費
・国内の専門学校の学費
・保育所、認定子ども園の費用
・航空大学校の費用

②500万円の非課税限度の対象
・留学先の語学学校の費用
・国内の自動車教習所の費用

③対象外
・留学先のホームステイ費用
・留学の渡航費用


非課税枠の合計は①+②の合計で2,000万円ということではなく、
あくまで合計で1,500万円である。
②に該当する支出については、
1500万円のうち500万円迄しか非課税特例の適用を受けられない。


25年3月決算:減価償却費計上のポイント


■税務上、評価損(帳簿価額-時価)の計上が認められる場合
①災害による著しい損傷②1年以上にわたる遊休状態
③所在場所の状況の著しい変化④その他①~③に準ずる特別の事実

※時価について
・原則⇒「使用収益されるものとしてその時において
            譲渡される場合に通常付される価額」

算定困難な場合
・未償却残高を時価とすることも認められている(基通9-1-19)
⇒譲渡時の時価について準用するのもあり(と思われる)

■稼働休止資産について
・維持補修が行われておりいつでも稼働できる⇒減価償却可
・売却予定で事業供用していない⇒減価償却不可。
ただし会計上減損損失の計上を求められる場合あり(損金算入は不可)

■廃棄・除却
廃棄の事実とその日付を確認できる書類を整えておくことが重要
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8.CPAインサイダー事件

・米国でBig4の元パートナーがインサイダー取引にかかわったと報道
・報酬を受け取る場面を写真入りでニューヨーク・タイムズが報じた
・報酬 約100万円、コンサートチケット、オメガの時計
・50歳 大学を出て29年間会計事務所勤務
・関与先情報をゴルフ仲間の52才宝石商に提供
・宝石商は1億円ほどの不正利益を得ていた
・元パートナーの見返りは1000万円ほど
・FBIが2年ほど盗聴などを含む内偵捜査で逮捕

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9.DDレポートの第三者開示の留意点



■DDレポートが第三者に開示される場合に備えての対策

①DDレポートへの免責文言の記載
・調査期間
・調査範囲
⇒実務上、口頭での対話を通じて決める場合も多い。
 合意内容をできるだけ具体的に記載する。

②第三者との間の合意書・誓約書
・開示の前提条件として、合意書・誓約書を締結すること。
⇒DDレポートに同趣旨の記載があったとしても
 第三者との関係でも当然に効力を有するかは明らかでないため。

10.企業再生税制の拡充について

中小企業の事業再生・経営改善の実効性を高めるための制度の導入

・1,000万円未満(有利子負債10億未満の企業は100万円未満)の少額資産
 ⇒評価損の損金算入OK

・企業再生税制の適用を受けることが出来る私的整理要件に、
2以上の金融機関が有する債権が債務処理に関する計画によって
再生ファンドに取得されたうえで債権放棄が行われる場合が追加

・取締役等でその法人の保証人である個人が合理的な再生計画基づき、
一定の要件を満たす私財提供を行った場合に
みなし譲渡益課税を適用しない。

11.出向・転籍時の退職給付制度の留意点

①出向
  ⇒支払義務がどちらにあるかがポイント
  ・退職給付債務、退職給付費用の負担
   →出向期間中の退職給付増加額の支払義務を有する企業で認識
 ②転籍
  ・転籍時点で退職給付が支払われる場合
   →退職給付所得控除額が少なくなる可能性がある為
     従業員に十分な説明が必要
  ・転籍時点で退職給付が支払われない場合
   →転籍時点までの勤続期間に係る退職金を転籍先企業が支払う場合、
    転籍元企業負担相当額の資産・負債の移転の検討が必要

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