2015年7月24日金曜日

7/24 勉強会:平成27年度における所得税関係の改正について 他

1.平成27年度における所得税関係の改正について

■国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等の創設
⇒国外転出時点の含み益について課税する制度
(1)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例
(2)贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例
(3)上記にかかる納税猶予 など

■国外居住親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
⇒非居住者の親族に係る扶養控除等についての改正
下記に該当する場合は一定書類を添付する
(1)確定申告において国外居住親族に係る
  扶養控除、配偶者控除等を受ける場合
(2)給与等の源泉徴収において国外居住親族に係る
  扶養控除、配偶者控除等を受ける場合
(3)年末調整において国外居住親族に係る
  扶養控除、配偶者控除等を受ける場合
※一定書類…親族関係書類及び送金等関係書類

■貸倒引当金制度の改正
⇒簡便法による実質的に債権とみられない金額の計算に用いられる
 基準年が平成27年及び平成28年とされた
※平成27年分以後の所得税について適用
 平成26年分以前の所得税については従前どおり

■ジュニアNISA制度の創設
(1)配当所得の非課税
(2)譲渡所得の非課税

NISA制度の改正
(1)限度額の引上げ(120万円)

■住宅ローン控除適用期間の延長
⇒平成31630日まで延長


2.経営判断の原則とは

⇒取締役に善管注意義務違反があったかどうかの判断基準

経営判断の原則の下では、たとえ会社が損害を受けたとしても、「取締役の意思決定の過程と内容に著しく不合理な点」がない限り、取締役に善管注意義務違反に問われない。
⇒損害賠償責任を免れることができる


納税通知書の郵便事故めぐる判決相次ぐ

■納税通知書の郵便事故(不達や遅延)を理由に納税者が地方公共団体を訴えたが、敗訴となる事例が相次いでいる

 (1)納税通知書が到達しなかった
 (2)納税通知書が遅れ、期限内納付が出来なかった

⇒・不達や誤送が相当数発生していた等の事象が無い
 ・郵便事故が発生したとは伺えない

  等、どれも証拠が弱く納税者敗訴となっている


4.税効果開示、294月適用を目途に検討

■回収可能性の判定のみならず、開示項目や税効果に適用される税率(公布日基準)等の見直しも行っている。

■開示項目の見直し
 平成303月期からの適用を検討
∴場合によっては、海外子会社の所在地国における税制を把握するための調査やシステム対応等が必要
 ⇒一定の準備期間を要する

■税効果に適用される税率(公布日基準⇒実質的確定基準)
 平成283月期から適用を検討
∴平成263月期、平成273月期と問題が浮上したのを受け、早期の適用を検討


5.賃貸用建物の取得と借入金の計上、相続税の行為計算否認めぐり裁決

■事例
(1)X氏がA社よりA社所有の建物を3.7億円で購入する売買契約を締結。
(2)X氏が購入資金としてA社より3.7億円を借り入れる契約を締結。
(3)X氏の死亡により相続人Y氏は建物・借入金を相続し申告。
(4)税務当局は上記行為につき「行為計算否認」を適用し、Y氏へ更正処分等を行った。

()相続税における行為計算否認とは同族会社等が行った行為(契約等)につき、相続税等の負担を不当に減少させる結果となる場合には、税務署長が行為等に関わらず再計算して更正を行うことができる。

■争点のポイント
Y氏が納付した相続税につき、上記(1)(2)の行為が相続税を不当に減少させる結果になるか否か。
⇒一般的な面からみて経済的な合理性があるかないか争点

■審判所の判断
・抵当権は設定されているが権利金の授受がない。
・根抵当権の存在を考慮せず売買金額を算定。
・借入金の弁済期は20年後であるが、その支払いの担保がない。
・X氏が死亡した2ヶ月後にA社が買い戻しした。

上記に事実より
(1)の売買契約は一般的な取引と比較して不自然かつ不合理であることから、「行為計算否認」の適用を認める裁決を下した。
⇒売買契約はなかったものとして、税務当局主導による課税価格の再計算をすることとなる。


6.国境を越えた消費税、特定課税仕入れで通達改正

H27.10.1以後、国外事業者から受けた「事業者向け」電気通信利用役務の提供については、国内事業者が消費税等の申告・納税義務を負う(リバースチャージ方式)
・経理上の取扱いが、通達で示された
例)外国企業に、広告配信サービス(税込み10,800円)を依頼した。

⇒原則の仕訳例
 広告宣伝費 10,800 / 現預金 10,000
               / 預り金   800

⇒その他の仕訳例(個人事業者等)
 広告宣伝費 10,000 / 現預金  10,000
 仮払金等   800 / 仮受金等  800


7.受取配当益金不算入 前期末帳簿価額の計算について

■対象⇒関連法人株式等(1/3超・100%未満)
・控除負債利子の計算が必要
283月期においては原則法の計算が必要

※原則法
前期末及び当期末の関連法人株式等の帳簿価額を計算に使用

■設例
前期末 A株式 30%保有 帳簿価額30
      B株式 40%保有 帳簿価額40
当期末 A株式 40%保有 帳簿価額40(買増)
        B株式 40%保有 帳簿価額40
の場合、

前期末の関連法人株式帳簿価額 40
当期末の関連法人株式帳簿価額 80
で計算

※あくまで前期末において1/3超保有していたものだけが対象となる


8.相続税:自民党が『遺言控除』の検討に着手

■概要
・自民党内で『遺言控除』の創設が検討されている。
・相続税の基礎控除に上乗せする形で控除枠を設定する。
・控除額や遺言の形式要件等を検討中。
H29年度以降の税制改正要望となる見込み。

■目的
遺言の作成にインセンティブを与え、作成を促す。
・遺産分割をめぐる紛争の防止
・介護の貢献に見合った遺産相続を促す  等...


9.非流動性ディスカウント

・非流動性ディスカウントは、その投資にどれほどの流動性を要求するかという投資家側の主観的事情や保有形態によって左右される

カネボウの地裁決定(H20.3.14
・定数株主は譲渡を余儀なくされたのであるから、
 株主が進んで株式を売却することを前提とした非流動性ディスカウントを考慮すべきでない


10.平成283月期第一四半期の四半期報告書作成の留意点

1. 企業結合会計基準等の改正に関する留意点
(1) 主要な経営指標等の推移
・『四半期(当期)純利益 ⇒ 親会社株主に帰属する四半期(当期)純利益』へと変更
・当該基準を過年度に遡及して適用している場合 ⇒ その旨を注記

(2) 本表(BSPLSS
・表示の変更
  ※『少数株主持分 ⇒ 非支配株主持分』 へ変更など

(3) 会計方針の変更に関する注記
 a) 遡及して適用
 ・表示を変更した旨を注記
 ・期首残高が、当該会計方針を遡及適用することにより変動した金額を注記
 b) 当期首から将来に渡って適用
 ・表示を変更した旨を注記
 ・当第一四半期において、会計方針を変更したことによる影響額を注記

(4) 追加情報
 ・当該基準を早期適用した場合には、その旨を追加情報に注記
   ※当該会計基準の適用年度 :平成27年度41日以降開始する事業年度

(5) 一株当たり情報
 ・表示の変更

(6) 四半期連結CS
 ・連結範囲が変わらない場合の、子会社株式の取得、売却の表示区分の変更
  『投資CF ⇒ 財務CF
 ・比較情報(前年同期のCS)の科目の組換は不要(『-』表記)

2. 非財務情報に関する留意点
 ・役員の男女別人数と女性比率を記載


11.国境を越えた役務の提供に係る消費税課税の見直しの概要

■概要
(1) 適用対象・適用時期
  適用対象:電気通信利用役務
  適用時期:2015101日以後

(2) 内外判定基準の見直し
  現状:役務の提供を行う者の所在地
     ⇒役務の提供を受ける者の住所等

(3) 課税方式の見直し
  事業者向けの役務提供⇒申告義務を役務提供を受ける国内事業者に転換

■趣旨
 同一の取引について、国内事業者による提供は消費税が課税されるのに国外事業者による提供は消費税が課税されない
 ⇒課税の不公平


12.平成27年度税制改正における法人税関係の改正について

・法人税率の引き下げ(平成2741日以後開始事業年度より)
 25.5%→23.9%に引き下げ

・欠損金の繰越控除(中小法人以外)
 -平成2741日~平成29331日までの間に開始する事業年度
 所得の65

 -平成2941日以後開始事業年度
 所得の50

・受配の益金不算入の対象となる配当額を4つに区分
(平成2741日以後開始事業年度より)
① 完全子法人株式等(保有割合100    →不算入割合100
② 関連法人株式等(保有割合1/3超)    →不算入割合100%△負債利子
③ その他株式等                        →不算入割合50
④ 非支配目的株式等(保有割合5%以下) →不算入割合20


13.キャッシュ・アウト

(1) キャッシュ・アウトとは
 ・株主の個別の同意なく株式を取得すること
  →例)上場企業のMBOにおいて、全ての株式を取得するためにTOB1段階目)を実施し、残りの少数株主をキャッシュ・アウト(2段階目)するのが一般的

(2) キャッシュ・アウトと似た制度:特別支配株主による株式等売渡請求制度
 ・総株主の議決権の10分の9以上を有する株主は、他の株主全員に対して全株の売渡を請求できる
 ・異なるポイント
  →株式等売渡請求制度は株主総会を開催しないでキャッシュ・アウト出来る点
  →株式等売渡請求制度は株式だけではなく、新株予約権も対象と出来る
  →株式等売渡請求制度は対象会社の承認が必要(取締役会)、仮に十分な検討が無ければ、取締役の善管注意義務違反の可能性あり


14.中国人 マンションも爆買い ホテル利用目的で

・東京湾岸エリアでは1割強、新宿・六本木などでは2割の部屋を外国人が購入。
・「投資用ホテル」としての購入目的が増えている
・新築マンションを普通に貸しに出せば、利回りは4% 対してホテル利用だと15%
・世界的に利用されているホテルマッチングサイト「Airbnb」を活用
・住民にとっては不特定多数の人間がマンションに出入りし、騒音や犯罪の温床にも
・法律的にはマンションのホテル利用は黒に近いグレー(旅館業は地方自治体への許可申請が必要)
・ただし規制改革で「イベント開催時など、宿泊施設の不足が見込まれる場合は許される」方向に(2016年中に最終結論)

・ホテル管理組合の総会特別決議で禁止にすることもできるが、4分の3以上の賛成が必要










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