2018年6月22日金曜日

6/22 勉強会:民泊で得た所得の課税関係等を公表 他

1.消費税受還付、無申告事案を多数告発

平成29年度査察の概要によると、消費税の輸出免税制度などを利用した消費税受還付事案や、
所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案の告発件数が過去5年間で最も多かったとのこと。

■消費税受還付事案
・化粧品会社が、国内業者から架空仕入(課税取引)、国外業者への架空輸出売上(免税取引)を計上し、
約3億円の消費税の不正還付を受けていた
・高級腕時計販売会社が、何度も国内と国外で循環させる方法により架空の国内仕入及び架空の輸出売上を計上し、約18億円の消費税の不正還付を受けていた

■無申告ほ脱事案
・太陽光発電関連事案で7件
・震災復興関連事案で2件
・スーパーコンピュータの開発で2件
・ネットカウンセリングセミナーで2件







2.取締役全体の報酬合計欄の追加も可能

■有報と事業報告の一体開示の一環
・報酬総額
⇒有報の記載を基礎
・社外取締役を除く取締役、社外監査役を除く監査役、社外役員の3つの区分に分けて記載
(社外役員は社外取締役と社外監査役に分けて記載することも可能)
・企業が任意で合計欄を追加することでよりわかりやすい記載ができる→合計欄の追加することもできるとの見解が明らかに








3.「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」の解釈(第4回)

居住用建物の仕入税額控除の区分判定は課のみか共通か?

■解釈と当てはめ
(解釈)
・最終的に課税資産の譲渡等のコストに入るような課税仕入れ等
(当てはめ)
・棚卸資産に該当すること

■今後の対応のあり方
・集団訴訟で税務当局と争う検討をしてほしい
⇒費用が少額で収まり、対外対応の負担も少なく、少額事案でも争えるためメリットは大きい








4.適格請求書等保存方式に関する取扱通達

■平成35年10月1日から改正されること
・複数税率に応じた消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書保存方式(インボイス制度)が導入
・消費税の課税事業者 = 適格請求書発行事業者
・適格請求書 = 適格請求書発行事業者が発行する請求書(正確な適用税率や消費税額を伝えるもの)
・仕入税額控除 ⇒ 適格請求書の保存が要件

■国税庁のQ&Aより
・問35より取引先コードの記載で要件を充足できるか?
「適格請求書=発行事業者の氏名または名称及び登録番号」の記載が必要であるが・・
A,容認
⇒登録番号と紐付けて管理されている取引先CDを相手先でも共有していて買い手においても取引先コードから登録番号が確認できる場合は取引先CDの表示により要件を満たすことになる。
但し、売手が発行事業者でなくなった場合は速やかに取引先CDの修正が必要








5.2期連続損失は納税猶予事実に当たらず

納税者が国税局に対して、納税猶予不許可処分の取り消しを求めた事件で納税者側が敗訴(東京地裁H30.2.28)

■納税猶予制度とは
・納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められる場合において、その納付困難な金額を限度として、納税者の申請に基づき、1年の範囲内で納税を猶予するもの。
→一定の要件を満たした場合にのみ、申請が認められる。
→猶予該当事実に該当する必要あり。

■猶予該当事実について
・「納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと」(通則法46②四)
→基本通達では、「事業につき著しい損失を受けた」とは、調査日以前1年間の損益計算において、基準期間の税引前当期純利益の額の2分の1を超えて税引前当期純損失が生じていると認められる場合(基準期間において税引前当期純損失が生じている場合には、調査期間の税引前当期純損失の額が基準期間の損失金額を超えているとき)としている。
・調査期間の純損失が、基準期間の純利益1/2超
・調査期間の純損失が、基準期間の純損失を超えている。

■今回の事例
・純損失は2期連続発生しているが、調査期間の純損失が基準期間の純損失を超えていないため基本通達で定められた事実に該当しない。
・純損失の2期連続発生は、「納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと」に該当すると納税者側は主張。
・裁判所は損失が連続して発生しているのみでは、著しい損失とは言えないと判断。
→損失の拡大が「著しい損失」とする基本達に一定の合理性がありとした。









6.骨太方針、総額表示推奨等の記述なし

■2019年10月に消費税率の引上げにより「駆け込み需要」と「反動減」への対策を検討、具体的な案が浮上も、具体的な記述は見送り。

■具体案として
(1)増税前の値引きセール自粛要請
政府:緩やかな価格上昇を期待
中小事業者:消費者から「便乗値上げ」とたたかれる可能性があり、実際に値上げが可能かどうかは別問題

(2)増税後の値引きセールの解禁
政府:急激な価格上昇を抑えたい。現在、消費税還元セールを禁止している。
中小事業者:小売り業者が値下げを行うと、サプライチェーン上流の中小企業にも値下げ圧力がかかり転嫁が不可能となるとの懸念がある。

(3)消費税も含めた総額での価格行事を推奨
政府:消費税も含めた総額での価格表示を推奨
中小事業者:消費者に対し「本体価格は上げていない。値上げは消費税分だけある」との説明ができない。







7.消費税:特定期間の課税売上高と給与等支払額

基準期間における課税売上高が1,000万以下であっても
特定期間における課税売上高or給与支払額が1,000万円を
超える場合には納税義務がある

■特定期間
法人の場合は,前事業年度開始の日以後6月の期間
個人事業者の場合は,その年の前年の1月1日から6月30日までの期間

■給与等の金額
給与支払明細書に記載すべき所得税の課税対象とされる給与や賞与等(=給与所得となるもの)の合計額を指す
また,従業員に対して供与した経済的利益(例えば無償又は低額の賃貸料で社宅を貸与する等)のうち,給与所得となるものもこれに含める

■留意点
あくまで特定期間中に「支払った」金額が対象とされているため,未払額は含めない
(例えば,特定期間が1月1日から6月30日までで,給与を月末締めの翌月10日払いとしている場合,6月分の給与は翌7月10日払いとなり,
対象とならない)









8.民泊で得た所得の課税関係等を公表

2018/6/15より住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されたことに伴う、
民泊の課税関係は以下の通り。

■民泊による収入
原則:雑所得に該当。
⇒不動産の貸付け以外の役務提供(水道光熱費や観光案内等)があり、
また宿泊日数(年間180日)の制限もあるため、「不動産所得」、「事業所得」に該当しない。
※ただし、民泊により生計を立てている場合等は「事業所得」に該当する。

■必要経費
民泊に伴って必要経費に算入できる費用の具体例は以下のとおり。
・住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料
・水道光熱費
・通信費
・宿泊者用の日用品等の購入費
・家屋の減価償却費等
あくまでも民泊に係る部分(業務用部分)のみ必要経費算入可。
費用の按分は、床面積等の割合を用いて合理的に算定すること。

■住宅ローン控除や居住用財産の譲渡に伴う3,000万円控除の適用
住宅ローンで新築した家屋を利用して民泊を行う場合、
住宅ローン控除の要件を満たしていれば適用可能(床面積の50%以上が生活部分など)

また譲渡した場合の3,000万円控除も適用可能。

■消費税
宿泊者から受領する宿泊料は、ホテルと同様に課税対象。
なおWeb掲載料の支払いで国外のサイトに支払う場合は、下記に注意すること。
・国内事業者への支払い ⇒課税仕入れ
・国外事業者への支払い ⇒課税対象外又は課税対象でリバースチャージの申告あり







Big4分割危機(英国)

・英米、特に英国ではBig4分割が頻繁に取り上げられている
・監査市場の寡占化により、監査業務の競争が大幅に制限されている
・大手建設会社(カリリオン社)の破綻とそれに関する監査、再生コンサルティング等々すべての業務にBig4が関わっていたが、いずれにも無視できない問題が露見した
・Big4分解の問題点
 ①監査の質
 ②経営に関連した利害関係
 ③競争が事実上制限されていること







10.上場準備中の事業承継(親⇒子)

上場後は一般的に株式の評価額が高くなる。
上場前のできるだけ初期段階で次世代の持分割合を増加させるような施策を取ることが望ましい。

・後継者(子)の持分割合増加のための諸施策
1.後継者への株式移動
直接的な持分移動により、後継者の持分割合が増加できるが、
譲渡の場合には譲渡益課税、贈与の場合には贈与税が発生し、資金流出がある。

2.後継者への新株予約権の割当
株価が高くない初期の段階で、新株予約権を割当て、上場が近づいたところで行使し、持分割合を確保。
1.の株式移動と比べ、後継者の資金負担が少ない。

3.相続時精算課税制度
贈与時に贈与財産から2,500万円を特別控除した金額に、
一律20%の税率を適用して計算した贈与税を支払い、その後、
相続発生時に贈与財産を含む相続財産に対して計算した相続税額から、
すでに支払った贈与税額を控除できる制度。

当該制度を活用すれば、将来、価格上昇が見込まれる株式価格を、
現時点の時価で固定して後継者へ承継することができ、相続税額の節税効果が期待できる。
































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