2018年9月21日金曜日

9/21 勉強会:新リース会計基準の概要 他

1.その他有価証券の月中平均価額は認めず

■その他有価証券の時価の取扱い
・日本基準=継続適用を条件に、月中平均価額を用いることができる
・IFRS=公正価値は測定日時点の価格と定義

⇒時価に関する会計基準&適用指針では、月中平均価額の使用を認めない方向
 (調査対象の上場企業3,603社のうち、月中平均価額を使用している企業は90社のみであり影響は限定的)





2.再編後の逆さ合併を適格とする案が浮上

■決定ではない
・2019年度税制改正議論の俎上に上がるかも。。という段階
・経産省が要望している段階

■ニーズ(SPC等を使った企業買収)
・SPC等が事業会社を株式交換等でスクイズアウト、完全子会社化
・その後、子会社を存続会社、SPC(親)を消滅会社とした合併を実施(逆さ合併)
→今の税法だと非適格になる。
・株式交換等のスクイズアウト手続きが税法上非適格
「株式交換後、完全支配関係が継続すること。ただし、適格合併する場合はその時点まで」
→この条文の後段「適格合併」は子会社を消滅会社とするケースしか認めていない。

■論拠
・子が存続、親が存続は、どちらのケースも実質的にグループの経済実態の変化はなし





3.離婚に伴う財産分与を無償譲渡と認めず

■事例
・夫は納税滞納者
・離婚協議で夫が300万円を受領する旨と離婚後はお互いに金銭要求を行わない旨の合意 
書を作成
・夫が元妻に預金債権と保険の解約返戻金を譲渡
⇒元妻に第二次納税義務※があるか否か
※滞納者が納税できない場合、その納税義務者と一定の関係がある者に納税義務を課す制度

■税務署の主張
・合意書には財産分与に関する記載がなく、離婚後に金銭要求を行わないことが合意されている
・財産分与について確認したことを証明する具体的な書類がない
⇒預金債権の譲渡は離婚に伴う財産分与ではなく無償譲渡であるため、元妻には第二次納税義務がある

■審判
・元妻への第二次納税義務はない
(理由)
・夫は共同財産のうち300万円を受け取りその他は放棄する旨の財産分与の協議が成立したと解釈するのが相当
・財産分与が不相当に過大である場合は無償譲渡に該当するが、今回のケースでは不相当に過大とは言えない





4.平成30年度における調査方針等

■特に留意すべき事項(特留事項)
・税理士法関係、移転価格調査関係、国際課税の事務運営について、が挙げられた。

■税理士法関係
・犯罪収益移転防止法の遵守状況チェック
⇒マネーロンダリングなどの犯罪行為、反社会勢力との取引を行っていないかどうか等
・国税庁退職者への注意喚起
⇒国税庁を退職し税理士登録希望者に対して税理士法遵守の注意喚起等の徹底

■移転価格調査関係
・BEPS事案(多国籍企業の国境を越えた過度な節税策に対しての対抗策)
⇒調査必要度の高い事案を重点的に、移転価格上の問題の有無を判断する為、準備調査の実施
調査着手後は対象法人との密接な意思疎通を図ることとされた。
・調査間隔延長の対象法人の増加
⇒納税者:対応の負担軽減、国税当局:調査事務量の軽減、双方にとってメリットがあるように。

■国際課税の事務運営(特に資産税関係とされている)
⇒海外資産関連事案調査に取り組む方針が示されている
 国外送金調書、国外財産調書等で事案の把握、仮装隠ぺい等の情報収集と証拠の保全
⇒消費税について
 仮想通貨取引、民泊などの新しい取引形態に利益を得ていながら適正に申告を行っていない個人
 及び法人に対して調査を実施していく





5.株主提案権の議案数は「10」に、複数の内容の議案の数え方は?

■株主提案権の制限
法制審議会会社法制部会の会社法の見直しでは、株主提案権の乱用的な行使を制限するため、株主が提案することができる提案数を「10」までとする方向となっている。

■議案の数え方について
議案の数え方が問題となるが、現状以下の方向性となっている。
・役員等の選任は、選任される役員等の数に関わらず1つの議案とする。
・複数の事項をその内容とする定款の変更に関する議案については、当該複数の事項が別個に可決又は否決されたとすれば提案の理由との整合性を欠くこととなる場合には、1つの議案とし、それ以外の場合には1つの事項につき1つの議案とする。
・例えば「監査等委員会の設置の提案」と「監査役及び監査役会の廃止の提案」の2つの議案については、監査等委員会が設置されれば、当然に監査役及び監査役会が廃止が必要なため、1つの議案とカウントする。




6.関信局長、相続税の無申告に問題意識

垣水新局長にインタビュー

■富裕層への対応
・関信局に設置された富裕層担当の専門官である国際税務専門官を中心に情報収集。
・国外財産調書などの調書制度や、共通報告基準(CRS)に基づく情報交換制度の活用
※国外財産調書:居住者(「非永住者」の方を除く)でその年の12月31日において、その価格の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、税務署へ提出。

■相続税の無申告について
・平成27年から相続税の基礎控除が引き下げられたことで課税対象が増加。
・一定の事務量を投下して対応。

■軽減税率制度への対応
・平成31年(2019)10月より消費税率の引き上げ及び、軽減税率制度の導入に関して、事業者の1割ほどしか税務署が開催する説明会に参加していない状況。
・今後は周知に努める。

■適格請求書等保存方式への対応(平成35年(2023年)10月から導入)
>メリット
・消費税率別に区分記載

>デメリット
・適格請求書発行事業者を登録した事業者しか発行されない。
⇒税務署へ登録する必要がある
・免税事業者は適格請求書を発行できないため、仕入税額控除の適用ができない。
⇒一部については仕入税額控除は認められる。






7.今週の専門用語

■スクイーズアウト
・日本語訳にあたるのは「締め出し」
・TOBにより対象会社株式の2/3以上を取得した後で、少数株主から強制的に株式を取得し、対象会社を
100%子会社化すること。
⇒この手法は事業継承に備えて株主数を減らしたい場合やM&Aで確実に株式を買い集める場合などで用いられる。





8.商品券発行時の益金算入

■通達改正
(改正前)
原則:商品券の発行時
例外:商品の引渡し時(税務署長の確認が必要)

(改正後)
原則:商品の引渡し時(税務署長の確認不要)
例外:商品券の発行時
なお、発行日から10年を経過して未引換の場合にはその事業年度
に一括して益金算入となる

■中小企業
中小企業は継続して発行時に収益計上することとしている場合には
益金算入が認められる。




インボイス制度 消費税額等に係る端数処理の動向

・インボイスに記載する「税率ごとに区分した消費税額等」の計算に係る1円未満の端数処理の方法
⇒切捨・四捨五入・切上は任意で選べる。
・端数処理の単位は「一の請求書につき税率区分ごとにそれぞれ1回」で行う
・システムによって端数処理が異なるため、システムの改修が必要となる。




10.新リース会計基準の概要

・IFRSによって財務諸表を作成する会社は、2019年1月1日以後開始事業年度から適用(2018年度から早期適用する会社が出始めている)。
・借り手の会計処理が大きく変更。
 ⇒ ファイナンス・リース取引、オペレーティング取引の区別がなくなり、ほとんどのリース資産・負債がオンバランスとなる。
 ⇒ ただし、短期リース(12ヶ月以内)、少額資産については引き続きオフバランスが可能。
 ⇒ 特に影響が大きい業種として考えられるのが、航空、小売、旅行、レジャー。
・貸し手の会計処理は大きな変更なし。
 ⇒ ファイナンス・リースとオペレーティング・リースで扱いが引き続き異なる。
 ⇒ 親子でリース取引を相殺消去する場合には注意する。




11.2017年4月~2018年3月期のポイント引当金の計上状況(J-GAAP適用企業)

・計235社、計上総額は3,500億円超
・業種ランキング
⇒1位:小売業101社(43.0%)
⇒2位:サービス業31社(13.2%)
⇒3位:銀行業25社(10.6%)
・有報上では、会計方針に関する注記事項で、ポイント引当金の計上基準を開示しているケースが多い。
・計上金額だけ見ると、クレディセゾンだけで1000億円超。






12同一労働同一賃金

同一企業・団体における正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と、
非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの
同じ労働に対して同じ賃金を支払うべきという考え方

会社としては、短時間労働者や有期契約労働者の労働条件を、正社員のものと異なる内容にする場合は、
その相違が「職務内容が正社員と違う」、または「職務内容・配置変更の範囲が正社員と違う」理由を説明できるか確認する必要あり

2019年4月以降に上場予定の会社にとっては、新たな論点として加わる可能性あり























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2018年9月14日金曜日

9/14 勉強会:消費税 課税売上がない課税期間の仕入税額控除 他

1.個人事業者の事業承継税制を検討へ

■個人事業者の建物や設備等についても、小規模宅地特例と同様の特例を設ける
「個人事業者の事業承継税制」が31年改正で本格検討されている。

※小規模宅地特例
被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たす場合には、
80%又は50%まで評価額を減額して相続税を計算する特例。






2.非上場株式の低額譲渡課税で納税者勝訴の逆転判決

■事例
・個人から法人への株式の譲渡
・株価:配当還元方式だと@75円だが、類似業種比準方式だと@2,505円
・納税者側は75円を主張、国側は2,505円を主張
・第一審では納税者敗訴だったが、高裁で納税者勝訴となった
・個人の持分22%→14%
・法人の持分0%→8%

■条文(相続税/財産評価基本通達)
・30%以上保有する株主グループがいない場合、自己が属するグループが15%未満なら配当還元使用OK

評価通達188(配当還元法が使えるケースを列挙した条文)
「同族株主のいない会社の株主の内、譲渡時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の15%未満である場合における【その株主の取得した株式】」…取得者を基準に判定

所得税基本通達59-6
「~株式を【譲渡又は贈与した個人の当該譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定】すること」…譲渡人を基準に判定

⇒基準(評価通達188)を文面通りに読むと、評価方法の選択は【株式を取得した側】を基準に決定すべき
⇒本件でいうと、法人の株式譲受後の議決権割合で判断すべき…8%<15%⇒配当還元使用可






3.富裕層の管理体制を全体として強化

・藤井国税庁長官へのインタビュー

■富裕層対応
・一部の税務署で、重点管理富裕層以外の富裕層も同様の観点で管理する体制を試行的に運用
⇒国外財産調書、財産債務調書、共通報告基準に基づく非居住者に係る金融口座情報の自動的情報交換を積極的に活用

■電子申告の環境整備
・提出情報のスリム化、データ形式の柔軟化、提出方法の拡充、認証手続きの簡便化等の環境整備を進める予定







4.平成31年度における各省庁の税制改正要望は

■未婚のひとり親にも寡婦(夫)控除
・寡婦の要件
夫と死別し、若しくは夫と離婚した後、婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、
扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人
⇒婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する税制上の支援措置、平成31年税制改正で検討する旨が盛り込まれた事を踏まえたもの

■住宅ローン減税の拡充&空き家対策
・住宅ローン減税の拡充
2019年10月の消費税率の引上げに際しての拡充措置(住まい給付金の制限の引上げと申請期限延長)

・空き家対策:相続税の特別控除(延長及び拡充の可能性)
⇒平成31年12月31日までの間に売却した場合、一定の要件のもと譲渡所得から3,000万円控除
空き家とは、居住その他の使用がされていないことが常態である建築物。
1年間を通して、人の出入りの有無、水道・電気・ガスの使用状況から判断され、「特定空き家」と認定されると固定資産税の優遇を受けることができない。







5.IFRS第16号「リース」:IFRS任意適用日本企業の事例

■IFRS16号の概要
・現行のIAS 17号が改訂され、IFRS 16号が公開
→2019年1月1日以降開始する事業年度から適用
・リースの借手及び貸手におけるリース契約の認識、測定、表示および開示の原則を定めた基準
・ファイナンスリースとオペレーティングリースを区分せず、単一の会計モデルを使用

■IFRS任意適用日本企業が行った開示
・LINE、本田技研工業、NTT、味の素等
→「未適用の公表済み基準書及び解釈指針」で開示した、IFRS第16号の適用による連結FSへの影響に関しては、各社概ね以下の内容が記載されている。
【記載内容】
・オペレーティングリースとしていた取引について、リースに係る使用権資産とリース負債が計上されるため、財政計算状態計算書の資産・負債残高が増加すること
・連結損益計算書に、リース費用に代わり、使用権資産の減価償却費とリースに関連する利息費用が計上されること





6.消費税不正還付、他局等と連携して対応

■藤代東京国税局長(7/27日付で就任)が免税制度を不正に利用し不正還付を受ける事案などの、不正還付事案が増加、多様化・複雑化している為、その対応について下記のとおり示した。

【平成30事務年度の対応】
・消費税担当の統括国税実査官を配置し、他の国税局等の課税総括課と連携
・消費税調査実の質的・量的な充実を図る
⇒消費税の視点から情報収集・分析や調査企画、ノウハウの開発共有が目的
・国際的な取引に関しては、租税条約等に基づく情報交換制度を活用し、各国の税務当局と連携しながら取引の実態解明に努める。
⇒今年から共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換が開始。
・富裕層への執行体制の強化。
・仮想通貨取引に関しては、有効な資料の収集、必要性が高ければ重点的に税務調査を実施。





7.消費税:課税売上がない課税期間の仕入税額控除

■設立初年度で課税仕入れはあるが課税売上がない場合

ケース1:個別対応方式を採用している場合
個別対応方式の場合「課税売上にのみ要する課税仕入れ」に該当
するものは全額控除が可能、「共通して要する課税仕入れ」については税額控除できない(課税売上割合ゼロのため)

ケース2:一括比例配分方式を採用している場合
税額控除できない(課税売上割合ゼロのため)

⇒設立初年度で動きがない場合でも、課税売上割合ゼロを避けるために
何らかの課税売上が生じる取引をしておくのが無難







8.H30年分から仮想通貨の所得税申告を簡便化

昨年分の申告にて仮想通貨の所得計算が困難という声があがったため、
確定申告からの所得計算を簡易にできるよう申告環境を整える模様。

■提供情報の統一化
仮想通貨交換業者ごとに利用者(納税者)への取引情報が異なっていたため、
利用者が申告するにあたり煩雑になっていた。
⇒国税庁主導で申告環境の整備の一環として、
仮想通貨交換業者に対し、利用者に対する取引情報の統一化を検討中。
※あわせて仮想通貨を相続した場合の手続きも統一化される予定。

参考:仮想通貨取引にかかる所得計算方法(BTCを前提)
(1)仮想通貨の売却
所得金額=売却価額△1BTCあたりの取得価額×支払BTCの数
(2)仮想通貨での商品の購入
所得金額=商品価額△1BTCあたりの取得価額×支払BTCの数
(3)仮想通貨と仮想通貨の交換
所得金額=他の仮想通貨の時価(購入価額)△1BTCあたりの取得価額×支払BTCの数






評価性引当額の注記

・評価性引当額(DTAから控除された額)に重要な変動が生じている場合
 ⇒当該変動の主な内容を記載することとされている
・評価性引当額の合計額に重要な変動が生じている場合
 ⇒税負担率について重要な影響が生じていることが多い
 ⇒財務諸表利用者からは原因分析できない
 ⇒税負担率の実績と予測が大きく乖離することがあった
 ⇒当該変動の主な内容を注記事項として定めることとなった

税負担率と法定実効税率との間に重要な差異がなく、税率差異の注記省略している場合
⇒当該“変動の主な内容の注記は不要”との取扱が示されている
 (例)差異が法定実効税率の100分の5以下である場合






10.スクイーズ・アウトの改正ポイント

■会社法上の取り扱い
議決権保有要件:90%以上
議決権保有要件の算定方法:株式等売渡請求を行う者+その完全子会社の議決権の合計
株式等売却請求の対象外とできる者:株式等売渡請求を行う者の完全子会社、

※事業再編計画または特別事業再編計画の認定を受けることで下記のように緩和される

■改正産強法上の特例
議決権保有要件:三分の二以上
議決権保有要件の算定方法:支配株主たる認定事業者およびその他の共同認定事業者+それぞれの完全子会社の議決権の合計
株式等売却請求の対象外とできる者:株式等売渡請求を行う者の完全子会社、共同認定事業者およびその完全子会社





11.改正自社株対価M&Aの活用ポイント

■産業競争力強化法等の一部を改正する法律案が5月に成立、7/9施行
(会社法)
改正によって自社株対価M&Aに適用される会社法上の有利発行規制や現物出資規制は、大幅に緩和
・旧産業競争力強化法(以下、旧産強法)=TOBによって他の会社を「関係事業者」とする場合には、会社法の有利発行規制および現物出資規制が適用されない特例があった
・改正産業競争力強化法(以下、改正産強法)ではTOBOという要件が「譲渡」による取得で足りるように緩和
 また、既存の関係事業者たる対象会社の株式等を追加取得する場合でも要件を満たすこととなった
(税務上)
自社株対価M&Aが、実務的な観点からも十分利用できる選択肢へ
・改正産強法の下でH33年3/31までに行う自社株対価M&Aにについて、対象会社株主の株式譲渡損益の課税を繰り延べる規定が租税特別措置法に創設





12平成30年3月期有報分析による開示に関する論点

■改正税効果基準(の早期適用)に伴う開示への影響
(1)表示方法の見直し
従来:DTAとDTLは流固分類
改正:DTAは投資その他、DTLは固定負債

(2)注記事項の追加
・評価性引当額の内訳に関する数値情報
・評価性引当額の内訳に関する定性情報
・税務上の繰欠に関する数値情報
・税務上の繰欠に関する定性情報

■その他新基準等(の早期適用)に伴う開示への影響
(1)権利確定条件付き有償SO⇒当該SOの概要等を注記
(2)仮想通貨基準の適用⇒仮想通貨ごとの保有数量と簿価を注記

■米国税制改革法案に伴う開示への影響
(1)法案概要と影響
連邦法人税率の引下げ⇒米国に子会社・関連会社を保有する会社の税効果注記に影響

(2)影響する税効果注記
・法人税等の税率の変更によりDTAorDTLが修正された場合はその旨及び修正額
・要件を満たす公開企業は、SEC規則に基づく任意の注記あり






13.未適用の会計基準等の注記等

■未適用の会計基準等の注記
平成30年3月期の会社(232社)を対象に調査したところ、203社が収益認識会計基準等を未適用の会計基準等に注記
⇒会計基準への影響が大きいことが想定されるため、注記した会社が多い。

■非財務情報
「資本の財源及び資金の流動性に係る情報」の開示会社は平成29年3月期:57社
⇒平成30年3月期:189社と増加
⇒パブリックコメントで開示内容を充実させる旨の記載がされたため。

■その他の主な項目
定率法から定額法に変更している会社は増加傾向にある。
⇒大型設備の新規導入、構造改革等のタイミングで変更を実施している。
⇒当該タイミングを逃すと減価償却方法変更の適時性が確保できないため、会計方針の変更ができない可能性が高い。

■会社法開示との比較
会社計算規則に個別に明記されていない注記事項でも、必要な場合には開示することができる。
⇒企業結合、減損、土地再評価に関する注記は計算書類でも開示する会社が多い。
⇒一方で資産除去債務、退職給付、税効果を開示する会社は少ない







14.正社員と有期労働者との間の労働条件の差別

■正社員と有期労働者の労働条件に相違がある場合の、実務対応

・前提
 それぞれの賃金の種類ごとに趣旨・性質、各労働者の職務内容の違いを整理し、相違が不合理といえるか否かを検討

・職務内容(業務内容、業務に伴う責任の程度)の違い
 皆勤手当や通勤手当等の手当に差異を設けることは不合理であると判断される可能性が高い。

・労働条件の差異が不合理と思われる場合
 職務内容の違い、職務内容・配置の変更範囲の違いを明確に整理し、労働条件の相違が不合理と言えない環境を整備する必要がある。

・現在の職務内容や配置範囲等を変更しようとする場合
 労働条件の不利益変更として無効とされる可能性があるため、労働者に対し、変更の理由や必要性等をしっかりと説明し、明確な合意を得ておく必要がある。







15.スピンオフの活用のポイント

■スピンオフの手続
・特定の事業部門を切り離す場合(分割型分割)
・子会社を切り離す場合(子会社株式の現物配当)
→いずれにしても子会社株式の現物配当が行われるが、会社法の規制を受ける。
→産強法の改正により、事業再編計画または特別事業再編計画の認定を受けた事業者については、子会社株式の現物配当を会社法上の金銭配当と同一の手続で行うことが可能となった。

■スピンオフ税制(平成29年度税制改正)
<支配株主が存在しない場合>
・支配株主が存在しない会社が行うスピンオフの適格組織再編要件が法人税法に創設。

<支配株主が存在する場合>
・支配株主が存在する場合(個人の場合を含む)の分割型分割の適格要件について、支配株主と分割法人との完全支配関係または支配関係の継続見込みを不要とする旨の改正がなされた。


15.【2019年税制改正】各府省庁からの要望が出そろう

法人税関連では、以下のような要望が出ている。

・試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の延長及び拡充(拡充、延長)
・事業用固定資産の減損損失に係る損金算入措置の創設(新設)
・個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入割合の引上げ(拡充)
・事業再編を円滑化するための組織再編税制における適格要件の見直し(新設)



15.労務管理

1.従業員の定着率
定着率が低い場合には、以下の対応が必要となる
・退職者の傾向について分析(退職者の所属する部署、職位、退職事由など)
・人事労務制度の見直しや労使関係の構築など、改善に向けた対策

2.人事労務関係書類
・就業規則作成、所轄の労働基準監督署に届け出
(変更があった際には、変更届を提出)
・労働者名簿、賃金台帳、雇入通知書などの労基法によって作成・保管する必要があるものは、
記載事項を網羅して作成・保管

3.労働保険及び社会保険
・一定の要件を満たす従業員は、労働保険及び社会保険に加入する必要あり
・パートタイマーなどの未加入には留意
・未払いや不払いに留意

4.時間外勤務手当
・時間外勤務手当の支給規程が明らかでない場合、支給規程を明確にする
・支給規程はあるが、支払がされていない場合には、過去から遡って精算する必要あり





















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2018年9月7日金曜日

9/7 勉強会:31年度改正でSO税制の拡充がテーマに 他

1.31年度改正でSO税制の拡充がテーマに

対象はベンチャー企業のみ
・税制適格SO(※)の付与対象者を兼業者等にまで広げる案
※権利行使時に課税せず、株式譲渡時まで課税を繰り延べるSO
⇒現行の税制適格SOの付与対象者は自社の取締役、執行役、使用人等に限られているが、
 対象者に外部専門家等を加える案が浮上している。

・権利行使価額の上限を2倍以上の金額に引き上げる案
⇒現行の税制適格SOの権利行使価額は「年間1,200万円を超えない」ことが求められるが、
 これを2倍以上の金額に引き上げることを目指す動きがある。

・権利行使期間を見直す案
⇒現行の税制適格SOの権利行使期間は「付与決議後2年~10年」とされているが、見直しの可能性がある。






2.31年改正における組織再編税制、役員給与税制の見直し

■組織再編税制(三角合併)
(現行制度)
・対価:完全親法人株式のみ
・例
A→(100)→B→(100)→Cというようなグループ(カッコは持株比率)
Aは上場会社、B・Cは非上場会社
Cを存続会社、連結外Dを存続会社として適格合併を行うケース
⇒Dの旧株主はCの親会社Bの株式しか対価としてもらえない。
⇒流動性がなく、旧D株主の納得を得られない可能性が高い
(改正案)
・間接親会社Aの株式を対価としても適格と認める

■役員給与税制の見直し(業績連動給与)
(現行制度)
・適正手続要件:
⇒委員会設置会社:業務執行役員が構成員となっていない報酬委員会での決定が必要
※監査役会設置会社でも、任意に報酬委員会設置する場合があり、その場合は上記に該当
⇒見直す可能性

■ストックオプションの税制適格要件の見直し
(現行制度)
・権利行使価額:年間1200万円を限度
⇒2倍以上に拡大することを目指す
※このほか、権利行使期間(現行付与決議後2年~10年)も見直しされる可能性あり





3.住宅取得費用に係る消費税は特定取得かの判断に影響せず

■事案
・個人間の売買契約による既存住宅の取得が特定取得に該当するか否か

■特定取得とは
・住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、8%又は10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいう
・増税後の税率で購入した建物については、住宅ローン控除に係る借入限度額が増額されるため、最大控除額も増額となり、税負担は軽減される

■主張
請求人:既存住宅の取得に伴い支払った不動産仲介手数料の費用に消費税額が含まれているため、特定取得に該当する
税務署:今回の既存住宅の取得は個人間の売買であるため、消費税額の負担がないことから特定取得には該当しない

■判決
・特定取得の条件
(1)居住用家屋の新築若しくは既存住宅の取得に係る対価の額
(2)増改築等に係る費用の額に含まれる消費税相当額
⇒既存住宅の取得にかかる費用の額のみに新税率の消費税額が含まれていても、特定取得には該当しない






4.トレーディング目的で保有する棚卸資産の時価開示

■ASBJが適用指針を検討中
公正価値測定に関するガイダンス及び開示に関して、日本基準と国際会計基準との整合性を図っている。
・公正価値とは、測定日時点で秩序ある市場において資産を売却するために受け取るであろう価格又は負債を移転する為に支払うであろう価格をいう
・IFARS第13号:金融商品とそれ以外を区別することなく、単一の公正価値を定義
⇒ASBJでは金融商品以外については国際的な会計基準との整合性を図る取り組みはしないとしていた。

■トレーディング目的で保有する棚卸資産
会計処理は金融商品会計基準における売買目的有価証券と同様の取扱いになる方向、開示に関しては範囲外とする方向で検討が進んでいたが、含めない理由が不十分として開示の範囲に含める方向に転換。
但し、重要性が低い、乏しいものは注記を省略できるとしている。






5.社外取締役、「相当でない理由」の説明義務の対象は37社

■社外取締役の設置について
・東証に上場している97.7%の企業が社外取締役を1名以上選任
→社外取締役を年度末美時点で置いていない上場企業等は、事業報告に「社外取締役を置くことが相当ではない理由」を記載する必要がある。
→対象企業は37社、内27社は「選任に向けて検討を行っていく」旨の説明を記載。
→その他は、「適任者が不在」、「適任者以外が就任すると経営が阻害される」、「現状の体制でガバナンス体制が十分」の3つの類型に分類される。




6.土地の相続税評価で鑑定評価額を認めず

■事例
土地の相続評価額をめぐる裁判。
・不動産鑑定士は取引事例比較法で査定。
⇒取引事例を参照し、土地の種類別(宅地、雑種地)に土地の評価額を算出。
・それに対し課税当局は評価通達による評価額が相当と反論。
⇒路線価方式、または倍率方式での算出

■争点
不動産鑑定士による鑑定評価額が相続税法22条の時価として認められるか否か。

■判決
鑑定評価書に問題点があり、鑑定評価額が時価であるとは認められないと判断。
⇒評価通達よる評価方法は合理性があり、本件ついても評価通達では評価できない特別の事情があるとは認められない。




7.審査事例 実際の取得費が判明したため概算取得費の適用を認めなかった事例

■概要
・譲渡人Aは被相続人Bより相続した土地を譲渡した
・取得価額が不明であったため概算取得費特例(売却額の5%)を取得費として申告した
・その後、当時の実勢価格を調査したところ2,000万円程度と推計されるとして更正の請求を行った
・原処分庁はこれを認めなかった

■審判所の判断
・取得価額が不明な場合は概算取得費により計算する
・本件は調査したところ被相続人に土地を譲渡したC社に資料が残っておりその金額を
 使うのが妥当である
・譲渡人Aが請求した2,000万円には根拠資料がないため認められない

⇒結果、審判所が調べて判明したC社資料に記載の金額が取得費とされた






8.のれんの償却と減損

・のれんの償却と減損について、日本基準、IFRS、米国基準とで相違点あり
日本基準:定期償却(20年以内)/減損テスト(兆候ある場合のみ)
IFRS&米国基準:定期償却なし/少なくとも年に1回は減損テストが必要

米国基準:2017年より減損テストが簡素化された
IFRS:減損テストの簡素化、のれん償却再導入等が検討されている。






収益認識基準の早期適用の開示は?注記情報の開示状況

■注記情報・・・IFRS>日本基準が一般的
■IFRSにおいて特徴的であると考えられる注記
・顧客との契約から生じる収益に係る開示(※)
・金融商品から生じるリスクの内容および程度
・ヘッジ会計に係る開示
・IFRS13号「公正価値測定」に基づく開示
・FVTOCI(ではその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品)についての注記
・退職給付に係る開示
・のれんの減損テストに係る開示
・IFRS12号「他の企業への関与の開示」に係る注記
・IFRS3号「企業結合」に係る注記
・IFRS2号「株式に基づく報酬」に係る注記

※顧客との契約から生じる収益に係る開示
・現行の日本基準では要求されていない
・IFRSでは、顧客との契約から生じる収益およびCFの性質、金額、時期および不確実性を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を開示することが求められる
・下記、(a)~(c)に関する定量的情報および定性的情報を開示しなければならない
 (a)顧客との契約、(b)当該契約にIFRS15号を適用する際に行った重要な判断および当該判断の変更、(c)顧客との契約の獲得または履行のためのコストから認識した資産
・開示例
オリンパス18年3月期「28 売上高」、JVCケンウッド18年3月期「28 顧客との契約から生じる収益」、沢井製薬18年3月期「5 売上収益」、キリン17年12月期「23 売上収益」注記





10.IFRS初度適用時の免除規定

■本保存形式の制度概要
IFRS初度適用時には、作業負担の軽減を理由として、各種免除規定が設けられている。

■免除規定各論
(1)企業結合
IFRS移行日前に生じた企業結合について、IFRS3号を遡及適用しなくともOK
※特に、IFRS開始BSにおけるのれんは、従前の会計基準に従う

(2)為替換算調整勘定
在外拠点から生じる為調は、在外拠点の設立or取得時に遡及して再計算せず、IFRS移行日において0とみなし、全額を利益剰余金に振替えてもOK

(3)みなし原価
一定の投資不動産と一部の無形資産は、時価評価せず、IFRS移行日現在の公正価値を、その日の簿価とみなすことOK

(4)リース
契約にリースが含まれているかは、リース開始日に遡及せず、IFRS移行日時点で存在する事実から判断してOK

(5)借入コスト
開始日に遡及して、借入のもとになる資産の取得原価の一部として資産化せず、IFRS移行日等から資産化すればOK

(6)資産除去債務
IFRS適用前に発生した分は、関係する資産について遡及して算出することなく、IFRS移行日時点の負債を認識すればOK




11.新規任意適用企業の一覧と初年度適用時の開示パターン

■IFRS適用状況
2018年6月時点でIFRS適用済、適用決定会社、適用予定の会社で204社
⇒2017年3月期から2018年3月期の1年間で新たに40社適用

■業種別適用状況
サービス業、電気機器、医薬品割合が高い
・業種別の適用企業割合
⇒サービス業:5%、電気機器:7%、医薬品:25%
⇒医薬品企業は研究開発費の資産計上やのれんの非償却等で利益が増加していた。

■開示パターン
第一四半期から開示するパターンと年度末から開示するパターンの企業割合が8-9割を占め、
割合は半々程度である






12出資者と出資先ファンド(組合形式)の決算日が相違する場合の、組合の決算取込時の対応

■出資者が組合の持分を取り込む会計処理の方法

BS:組合の財産の持分相当額を出資金(若しくはその他有価証券)として計上
PL:組合の営業により獲得した純損益の持分相当額を当期の純損益として計上

⇒出資者が組合の持分を取り込む会計処理は、組合の決算が基礎となる。

■法人税基本通達で定められている、出資者における組合の損益帰属期間
 税務の場合、組合自体には課税は行われず、出資者に対し課税がなされるため、以下の定めがある。

(1)出資者の各事業年度の期間に対応する組合の損益を計算する方法
(2)①組合の損益が年1回以上一定の時期において計算される場合
  ②出資者への損益の帰属が当該損益発生後1年以内である場合
 ⇒上記①②を満たす場合には、当該組合の計算期間を基に、当該計算期間の終了日の属する出資者の事業年度に損益計上する方法(ただし書き)





13.調整表に関する開示状況

■概要
IFRSの初年度適用企業は、従前の会計基準に従って作成された財務諸表と、IFRSに従って作成された財務諸表との重要な調整について、利用者が理解できるように調整表を作成しなければならない。今回IFRS適用企業のうち、37社を対象に、どれくらいの割合の企業が、どのような調整に関する開示を行っているか、調査した。

■調整に関する注記(多数の企業が注記している項目のみ抜粋)
(1)のれんの非償却(37社中31社:84%)
日本基準:20年以内の均等償却⇒IFRS:毎期減損テスト

(2)未消化の有給休暇債務(37社中28社:76%)
日本基準:明確な基準なし⇒IFRS:未消化の有給休暇を負債認識

(3)在外営業活動体に係る換算差額累計額(37社中28社:76%)
日本基準:為替換算調整勘定⇒IFRS:初年度でいったん「0」とできる(利益剰余金に振替)。

■IFRSを適用することによる、BS、PL上の主な指標の変化
(1)収益
 減少企業:25社>増加企業:7社(影響なし:5社)
(2)当期純利益
 増加企業:31社>減少企業:6社
(3)資本
 減少企業:26社>増加企業:11社
(4)総資産
 増加企業:19社>減少企業:18社






14.個人保証の二重取り、4割弱。

・中小企業が事業を承継する際、銀行が融資のために旧経営者から取得していた個人保証を解除せず、新経営者からも二重に保証を取るケースが4割弱に上っていることが27日までに、金融庁の調査で分かった。

・経営者の高齢化が進み、後継者不足に悩む中小企業は多い。銀行は融資先の倒産に備える慣行として個人保証を求めてきたが、負担が大きいことから承継ではなく廃業を選ぶ企業もある。

・金融庁が大手銀行や地方銀行など全国548の金融機関を対象に実施した調査によると、2017年10月~18年3月に事業承継があった取引先2万5732件のうち、二重の保証取得は36.3%の9349件だった。旧経営者の保証を解除し、新経営者からも取らなかったのは9.5%の2438件にとどまった。

・全国銀行協会などは2014年、保証解除の指針となる自主的なルール「経営者保証に関するガイドライン」を導入。金融庁は過度に担保や保証に依存しない融資を銀行に促しており、地銀12行を抽出した実態調査にも乗り出した。

・個人保証は「経営の規律付け」と「保全」が目的だが、実質的には保証の履行による債権回収は難しいという。金融庁は「新規事業の推進や事業承継の阻害要因となっている可能性を考慮しなければならない」とし、銀行に対応を求めている。






15.野村證券の中間審査DDM

引受審査担当者が会社へ訪問し、通常2日間にわたって回答書に関するヒアリング、
事業所等の現場実査、社長面談、監査役面談、監査法人面談等が行われる

(留意事項)
1.事前準備
・審査質問事項、回答書(添付資料含む)の読み合わせ
・質疑応答ではだれがどのパートを回答するか、事前に役割分担を決定

2.ヒアリング進行要領
・引受審査担当者によって議事が進行
・審査担当者質問⇒会社回答の流れ

3.質疑応答に関して
・即答できない場合、調べた後に回答すること
・回答全体に不整合が生じないように
・中間審査資料のうち、特に規程類、Ⅰの部、各種説明資料(マザ)、年度決算、中期経営計画等が手元にあると質疑応答がスムーズに進行することが多い
















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