2018年12月3日月曜日

11/30 勉強会:各会計基準における重要性判断の例 他


1.年末調整 見積額との差異が生じた場合

■問
年末調整後、従業員から「配偶者控除等申告書」に記載した配偶者の合計所得金額の
見積額に差異が生じたとの申し出があった。年末調整はやりなおせるか。

■答
翌年1月の「給与所得者の源泉徴収票」を交付するまでは再年末調整を行うことができる。

なお、「給与所得者の源泉徴収票」を交付済の場合は確定申告により精算する。
また、確定申告により精算することが確定している場合、会社は再年末調整を行わなくてもよい。



2.ふるさと納税の返礼品の取扱い

・ふるさと納税の返礼品は、経済的利益と認識される。
・一時に受け取る収入として一時所得に該当。
 ⇒50万円以下であれば確定申告不要
・返礼品の時価は、市場等で出回っている商品を参考として問題なし
・ふるさと納税した金額(寄付額)は支出した金額に含められない。



3.役員報酬に係る情報開示の拡充

・有報における役員報酬に係る情報開示、拡充の動き
(一連の騒動が起こるより前から)

・下記についてより開示すべき、との議論
 ⇒ 固定報酬と業績連動報酬の構成割合
 ⇒ 業績連動報酬の額の決定要因
 ⇒ 報酬内容と経営戦略との整合性




4.海外子会社を使った循環取引による架空取引

・親会社の管理上、子会社の不正をどう防ぐか。

■状況
・国内外に繊維関連、食品関連等卸売業の10数社の子会社を有する会社。
・S社(中国)、T社(国内)を中心に、共謀会社(香港3社:A社、B社、C社、国内3社:D社、E社、F社)を使った循環取引

■内容
・S社社長が売上を増やすため、A社社長に相談。
・S社がA社へ商品を販売。A社のS社に対する売掛金が滞留する。
・A社の売掛金を共謀会社B、C社に付け替え。
・T社が共謀会社D、E社から仕入。
・T社が共謀会社D、E社から仕入れた商品をS社へ販売。
・T社が、S社から受け取った販売代金で、共謀会社D、E社へ、仕入代金を支払い、その代金がA社に横流しされており、当初のA社の売掛金の回収に充てられた。
⇒この時点で、S社がT社に支払った販売代金が、A社への売掛金の回収代金として循環。

■発覚の経緯
・他事業部の本部長がS社を訪問した際、A社に対する多額の債権が未回収で、S社の資金繰りが逼迫している旨を現地社員から聴取し、S社社長を追及したところ、自白。

■不正をさせないための管理上のポイント
<会社側>
・営業部門と管理部門を分離。
・基幹会計システムを統一し、販売状況等の月次比較分析。
・複数の事業部による、相互牽制。

<監査人側>
・子会社のビジネスを理解し、重要な虚偽表示リスクを評価し、リスク対応手続を実施する。
・関係者へのヒアリング。
・倉庫等の視察。





5.「重要性の原則」と数値基準

・「会計上の重要性」は極めて重要な概念であるが企業会計原則には、重要性の基準値についてどこにも記載がない
⇒会計監査を受けている企業であれば、監査人と同じ基準値で判断することは合理的
⇒監査における重要性の基準値は複数あるが、最もオーソドックスな算定方法は下記
 明らかに僅少な額=税引前利益×5%×一定の割合 ※一定の割合=2~5%程度




6.各会計基準における重要性判断の例

(1)税効果
・重要性が乏しい一次差異等について、DTA/DTLを計上しないことができる
※(DTA/DTLや)法人税等調整額の金額で重要性判断をしないこと

(2)リース
・所有権移転外ファイナンスリースの借手において、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下なら、賃貸借処理可能(300万円基準)
⇒当基準内の独自の重要性基準

※同様の基準はIFRSリース基準にも(5,000ドル基準)
ただし、どの為替レートをもって測るのかは未規定

(3)退職給付
・小規模企業等(従業員300人未満)では、原則法ではなく間便法を適用可能(300人基準)
・割引率等の計算基礎に重要な変動がなければ(10%未満)、見直し不要
⇒当基準内の独自の重要性基準




7.連結会計における「重要性の原則」

■「重要性の原則」
連結決算は単体決算よりも実務負担が大きいことから、負担軽減策として「重要性の原則」がある。
以下のような連結手続全般に適用される。

・連結範囲の決定
量的側面と質的側面の両面から判断
→資産・売上・利益・利益剰余金への影響を考慮

・決算日が異なる場合の取扱
3ヶ月以内なら仮決算なく、決算を取り込める

・個別財務諸表の修正
子会社の財務諸表が誤っていても連結財務諸表への影響が乏しければ、そのまま取り込める

・債権債務の相殺
親会社の残高を正とした上で、債権債務の相殺可能

■企業会計で用いられる「重要性の原則」との違い
企業会計では簡便な処理を意味し、連結決算では重要な影響がなければ間違っていてもOK
→連結決算の実務負担が単体決算の実務負担よりも大きいことを会計基準が意識しているため。





8.子会社が所有していた親会社株式を売却する場合の会計処理

■親会社に売却する場合
(1)親会社の処理
  取得原価により自己株式を計上
(2)子会社の処理
  通常の有価証券の売却と同様に処理
(3)連結上の処理
  ①子会社において売却損益が計上されている場合
   ⇒内部損益を消去
  ②子会社において売却損益が計上されていない場合
   ⇒特段の処理は不要

■外部に売却する場合
(1)親会社の処理
  会計処理は不要
(2)子会社の処理
  通常の有価証券の売却と同様に処理
(3)連結上の処理
  ・連結子会社における親会社株式の売却損益の会計処理は、
           親会社における自己株式処分差額の会計処理と同様に行う。
  ・親会社株式の売却損益について、以下の処理を行う
   非支配株主持分相当額⇒非支配株主に帰属する当期純利益に加減
   親会社持分相当額  ⇒資本剰余金で処理(資本剰余金が負の値になる場合
   は利益剰余金)





製造業の上場審査

(1)製品の特徴等 
⇒製造業の収益力のポイントに関して、以下の観点を申請書類等で確認。
1.市場の成長性…マーケット規模および今後の拡大要因
2.業界動向…業界及び主要顧客を取り巻く環境ならびに需要動向等
3.競合状況…業界シェア及び同業他社との相違、製品の優位性、製品の効率性

(2)法的規制や業界慣行等
⇒業界に対する法的規制等が実施されている場合には、その内容が上場審査で確認。
⇒弁護士等に事前に相談するなどの検討が必要。

(3)ファブレス型企業
・製造は他社に任せて、企画・開発・販売だけを自社内で手がける企業。
⇒生産委託する理由や委託先における生産能力を上場審査で確認。

(4)内部管理
⇒以下を重点的に上場審査で確認。
1.在庫管理
2.原価計算制度
3.為替リスクの管理(海外に生産拠点をもつ企業が多いため)
























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2018年11月25日日曜日

11/22 勉強会:見積りの注記、IFRS通りに導入せず 他

1.個人事業主の後継者による消費税の免税制度利用を問題視

会計検査院が消費税の事業者免税点制度に問題があると言及している。

⇒開廃業手続きによる事業の引継ぎの場合、旧経営者が消費税の納税義務者であったとしても、
事業者免税点制度により、原則として消費税の納税義務が2年間免除される。
⇒大半の場合、新経営者による事業収入は旧経営者と同程度であり、業種は同一の業種を引き続き継続しているため、新経営者の納税義務を免除することは公平性に欠けると指摘。






2.見積りの注記、IFRS通りに導入せず

■開示要求(IASの規定をJGAAPへ)
・経営者が会計方針を適用する過程で行った判断
・見積りの不確実性の発生要因
⇒IASの開示要求通りの形で日本基準に導入することは適切でないとの結論(ディスクロージャー専門委員会)

■経営者が会計方針を適用する過程で行った判断(検討見送り)
・企業から有用な情報が提供されるとは限らない。

■見積もりの不確実性の発生要因(日本基準でも開示を充実させる方向/IAS通りではない)
・例えば、以下の情報を記載することが考えられる
(1) 見積りの概要
(2) 見積りにより財務諸表に計上された金額
(3-1) 見積りを行うにあたり企業が採用した主要な仮定等
(3-2) 異なる仮定等を採用した場合に財務諸表に及ぼす影響の説明




3.仕入時に賃借人ゼロなら全額仕入控除可

■居住用建物の消費税の仕入税額控除の区分判定
・「建物の仕入日において当該建物が住宅の貸付に供されていたこと」が共通対応の要件と判明
⇒仕入日時点で賃借人がいなければ課のみでOK
⇒仕入後に建物が賃貸されても最終的に売却なら課のみでOK

■ムゲンエステート社の裁判
・仕入税額控除が否認された根拠
1.建物の仕入日に住宅の貸付に供されていたこと
2.建物が賃借権負担付売買契約となっていたこと
3.賃借人としての権利義務を承継し、賃料を収受したこと







4.消費税10%税率適用後の資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置Q&A

■工事請負等の税率に関する経過措置の概要
①平成31年3月31日までに締結する以下の契約
・工事の請負契約 ・製造の請負契約 ・左記に類する一定の契約
②相手方へ通知
・経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡である事を書面で通知する。
⇒10月1日以降に課税資産の譲渡が行われても旧税率8%が適用可能

■Q&A
Q:契約書の作成は必要か?
A:書面で通知する事が要件であるので、契約書などの書類の作成は要件ではないが、契約締結時期や
  工事内容が経過措置の適用要件を満たす事を明らかにしておく必要がある。

Q:経過措置の適用を受けている事の通知はどのようにするのか?
A:(例)消費税法30条9項に規定する請求書に経過措置の適用を受けたものである事を表示

Q:工事や製造は10月1日の前日までに着手する必要があるか?
A:契約を締結していることが要件の一つだが、着手していることは要件ではないので必要がない。

Q:旧税率で請け負った工事を下請け業者へ委託した場合
A:適用されるかどうかは個々の取引により判断するため、締結時期・工事内容が要件を満たせば8%







5.「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)の改訂の解説

■CGSガイドラインの改訂について
経済産業省は、平成30年9月28日に、CGSガイドラインを改訂
改訂内容は多岐にわたるが、主に以下の3点が重要な改定となっている。
・社長、CEOの指名に関する事項
・社長、CEO後継者計画に関する事項
・取締役会議長、指名委員会、報酬委員会の構成に関する事項




6.消費税課税選択の説明不足で税理士敗訴

消費税課税制度の選択における善管注意義務違反として税理士に損害賠償命じる

■概要
・税理士は納税者に対し税務署へ消費税の届出を提出する際、「消費税の簡易課税と一般課税との比較仮計算書」と題する書面を送付。
・簡易課税制度選択届出書を納税者の押印をもらって提出。
・税理士は簡易課税制度と一般課税制度とはいかなる制度であるか、簡易課税制度を選択した場合には、2年間は変更できないことについての説明をしなかった。
・仮に一般課税を選択した場合とは約140万円の差額あった。

■裁判所の判決
消費税課税制度の選択について納税者に説明を尽くしたとは到底認められないとし、税理士に損害賠償を命じる判決を下した。






7.平成30年度改正

■消費税に関する改正内容の解説
・簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
Ex)食用の農林水産物を生産する農林水産業

軽減税率制度の実施により、食用の農林水産物を生産する農林水産業
→売上に軽減税率適用
種子や農薬、農耕工具など
→仕入れのほとんど標準税率適用

簡易課税制度においては、食用の農林水産物を生産する農林水産業のみなし仕入率を現行の70%(第3種事業)⇒80%(第2種事業)に引き上げることとした。






8.法人税等の申告書に係る電子申告義務化

2020年4月1日以降、大企業が行う申告書の提出方法が、
電磁的方式により提出することが原則となる。

■対象税目
・法人税及び地方法人税
・消費税及び地方消費税
・法人住民税及び法人事業税
■対象法人
・内国法人のうち資本金の額等が1億円を超える法人
・相互会社、投資法人及び特定目的会社など
■対象となる申告書
・確定申告書
・中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書
・修正申告書、還付申告書
※添付すべき書類のすべてをe-taxにて提出
■適用日
2020年4月1日以後に開始する事業年度から適用。
※消費税の中間納付につき毎月納付が適用されている会社は、
2020年4月30日申告・納付期限分より電子申告が必須。
■その他
・電子署名の簡素化
・勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化
・CSV形式による提出






収益認識基準に対応した法人税法基本通達のポイント

・基本的には、
収益認識基準で計算した会計上の売上=法人税法上の収益となる。

・値引き、値増し、割戻等により変動する可能性がある部分の金額の扱い(⇒見積に応じて売上額から増減)
 契約上定められているキャッシュバック(⇒売上から減額)
 
・キャッシュバックについては経過措置あり(支払った事業年度の損金としている場合は当面の間これを認める)。







10.継続企業の前提と改訂監査基準

■今年7月公表の改訂監査基準の主な改訂
(1)KAM(監査上の主要な検討事項)の導入
(2)監査報告書の記載内容の明瞭化や充実
(3)国際的な整合性を図る改訂
(4)継続企業の前提に関する事項
⇒監査報告書の「経営者及び監査役等の責任」という区分で、経営者自身が継続企業の前提に関する評価を行い、開示を行う責任がある旨の記載が求められることとなる。







11.IPO後に株主数を急増させた企業

・クロスフォー(7810)
・上場は2017年7月
・山梨県に本社のある宝飾品メーカー
・IPO後1年余りで株主数は4000名から16,000名に増加
・株価の下落が続く中で、株主優待制度に組み込んだ結果である
・株主優待としては、自社製品の4,500円相当のアクセサリーがもらえる

現在のIPO市場はキャピタルゲインを主体にした目先の利益優先の
短期投資家が潤う機会を与える場になっている感がある中で、
これだけ株主(投資家)との接点ができたことは意義のあることだと考えられる。




















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2018年11月20日火曜日

11/16 勉強会:消費税軽減税率~飲食できない設備なら意思確認無しで8%~ 他

1.海外金融口座情報の自動的交換が始動

■海外金融口座の自動的情報交換制度とは
外国の金融機関の口座を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、
OECDが策定した「共通報告基準」に従い、金融機関が非居住者に係る金融口座情報を税務当局に報告し、
これを各国の税務当局間で互いに提供し合う仕組み。

⇒国税庁は、受領した金融口座情報を国外送金等調書・国外財産調書・財産債務調書や、
独自に収集した情報と併せて分析したうえで、課税・徴収分野で活用する方針。





2.時価評価課税や欠損金の持込制限緩和へ

■連結納税見直しの方向(まだ議論すらされていない)
(現在)連結グループ全体で連結所得、連結税額を計算するという仕組み
(今後)より個別の子会社ごとの計算を尊重+申告、納税も各連結法人が行うことが予想

■組織再編税制との整合性もテーマ
(時価評価)
・組織再編税制:適格要件を満たせば課税繰り延べ
・連結納税:税務簿価1000万円に満たない資産等を除き、原則として連結納税加入時に時価評価
(欠損金引継ぎ要件も両者で異なる)
⇒時価評価も欠損金の引継ぎ要件も緩和の方向で議論される予定(租税回避への対応も同時に検討)

■地方税
・連結納税を適用しない点、現行制度が維持される見通し

■対象子会社
・100%子会社のみを範囲とする点、現行制度が維持される見通し



3.H31.10/1以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A

【第1回】基本編

Q:H31.9/30までに購入した在庫品を10/1以後に販売した場合の消費税率は?
A:仕入は8%、売上は10%で計算

Q:仕入先B社は出荷基準で売上を、当社A社は検収基準で仕入を計上している場合、9/30に出荷されて10/1に検収した商品の消費税率は?
A:8%で計算。仕入先発行の請求書の税率でOK

Q:9月に販売した商品が10月に返品された場合の消費税率は?
A:8%で計算

Q:H31.9/1に向こう1年間の役務提供を行う契約を締結し、対価を前受けした場合の消費税率は?
A:役務の全部を完了する日の税率を適用するので10%。中途解約不能の場合は8%で計算
※役務提供の内容が月ごとに完了し、中途解約可能である場合の取扱いは、次号のQ&Aを参照






4.消費税軽減税率~飲食できない設備なら意思確認無しで8%~

■軽減税率の対象となるものと対象外のもの
・「飲食料品の譲渡」⇒食品表示法に規定する食品(酒類を除く)、人の飲用又は食用に提供されるもの
・「食事の提供」⇒飲食に用いられる設備のある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供

■消費税、軽減税率Q&A
・問41コンビニエンスストアでのイートインスペースでの飲食
⇒店内飲食であれば10%、持ち帰りであれば8%
ホットスナックのように持ち帰りでも店内飲食でも可能な商品は販売時に顧客に対して意思確認を行うなどの方法で軽減税率の対象か否かを判定する事となる。

■現実的に不可能な場合の対応策
・意思確認と掲示
⇒店内飲食可能な店舗において販売時に、「こちらでお召し上がりですか?」等の意思確認。
⇒例えば、「イートインコーナーを利用される場合は申し付け下さい」などの掲示、「飲食はお控えください」等の掲示を行い、実態として飲食させないスペースを明らかにすることがポイント。






5.条件付取得対価返還、会計処理を修正へ

■企業結合に関する会計基準
・条件付取得対価が返還される場合の会計処理を公開草案から修正
→返還対価を取得原価から減額するとともに、のれんを減額又は負ののれんを追加認識
→追加的に認識する又は減額するのれん又は負ののれんは、企業結合日時点で認識又は減額されたものと仮定して計算し、追加認識又は減額する事業年度以前に対応する償却額及び減損損失額は損益として処理する。



6.相続税・財産評価の審理事例をチェック(1)

■小規模宅地等の特例の適用における一棟の建物の範囲(区分所有建物でない場合・区分所有建物である場合)

【小規模宅地等の特例とは】
相続される遺産である宅地の相続税評価を大幅に下げてもらえる。

■概要
・被相続人は配偶者と生計を別にする長男と二世帯住宅に住んでいた。
・被相続人が所有していた宅地については、配偶者と長男がそれぞれ2分の1を取得。
・当該建物に係る被相続人および長男の所有形態、下記の事例によって特定居住用宅地等に該当する部分はどうなるか。
・被相続人所有宅地200㎡
・被相続人及び配偶者の居住用1F(80㎡)、長男の居住用2F(80㎡)

(事例1)建物が区分所有建物でない場合。
被相続人および長男はそれぞれ建物の持ち分2分の1を所有。
⇒配偶者と長男の取得した宅地の全てが特定居住用宅地等に該当する。
建物が、被相続人の親族(生計を一にしているか否かは問わない)が居住用に供していた部分。

(事例2)建物が区分所有建物である場合
被相続人及び長男はそれぞれの専有部分(1階及び2階)の所有権を所有。
⇒配偶者が取得した100㎡のうち、配偶者が取得した持ち分2分の1部分の50㎡が特定居住用宅地等に該当する。
被相続人の居住用に供されていた部分に限られる。






7.法人の無償譲受けに伴う出資増加益に贈与課税

■出資する同族会社が不動産を無償で譲り受けた増加益が贈与税の課税財産に該当するか否かが争われた事案

・請求人は、本件の増加益は不動産を無償で取得したことによる結果としてもたらされたにすぎない等主張し贈与税の課税財産にならないとした

⇒結果として審判所は、無償譲渡によって同族会社に対する出資価額が実際に増加し、対価を支払わないで経済的利益を得たのだから相続税法により増加益は課税財産になるとした



8.消費税改正点 ※参考

1 資本金等の額が1億円を超える大法人等に係る確定申告書等の提出につき,その提出の電子化が義務化
【平成32年4月1日以後に開始する課税期間から適用】

2 収益認識基準に係る国際会計基準の導入に伴い,長期割賦販売等に係る特例(リース譲渡に係る特例を除く)が廃止
【平成30年4月1日から適用】

3 券面のない有価証券の譲渡に係る内外判定基準について,原則として,当該有価証券を取り扱う振替機関等の所在地で判定することとされた
【平成30年4月1日から適用】

4 今般の金の密輸に対応するため,輸入に係る消費税ほ脱に対する罰則を強化することとされた
【平成30年4月10日から適用】

5 農林水産業について,そのみなし仕入率を引き上げることとされた
改正前 70%
改正後 飲食用の売上については80%
【平成31年10月1日の属する課税期間から適用】





輸出代行を利用した輸出免税

Azazonが日本の中小企業の商品輸出支援を行うと発表。

■委託者が輸出免税の適用を受ける場合は
(1)委託者が直接輸出する場合
「輸出許可通知書」等の証明書類を一定期間保存することで受けられる。

(2)委託者が輸出代行業者を通じて輸出する場合
「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」を代行業者に交付することで受けられる。
⇒代行業者が最終の輸出申告者となるため、委託者が代行業者名義の「通知書」をもっていても効力がない。
⇒「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」の交付を受けることで、
委託者は代行業者が輸出者でないことを示す必要あり。
なお代行業者は「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」を確定申告に添付する必要あり。





10.金融庁 企業内容等開示府令の改正案

・有価証券報告書等の記載事項を整理・拡充。
・2020年3月期から適用(一部、2019年3月期から)
・主な改正内容は下記の通り。
・会計上の見積に用いた仮定、不確実性の内容等、経営者の認識を記載する。
・政策保有株式の保有の合理性を開示、また個別開示の対象となる保有銘柄数を30⇒60に拡大。
・監査法人の継続監査機関を開示



11.IFRS16号「リース」の個別論点(少額資産リースと短期リース等)

■少額資産リース
・条件
(1)借手は、資産を単独、または容易に利用できる他の資源と組み合わせて使用することで便益が得られる。
(2)原資産は他の試算への依存性や相互関連性が高くない。
⇒これらを満たした上で、新品の価値が$5,000米ドル以下。

・会計処理
⇒使用権資産とリース負債を認識せず、リースに関する費用をリース期間に渡って定額法等により認識。

■短期リース
・条件
⇒リース期間が12か月以内(購入オプション、延長オプションは除く)。

・会計処理
⇒上記と同様。

■サブリース
・内容
⇒借手と貸手の間にリース(ヘッドリース)が存在している状況で、原資産が当初の借手から第三者にさらにリース(サブリース)される取引

・会計処理
(1)ヘッドリースが短期リースに該当する場合
⇒同様に、賃貸借処理。
(2)(1)以外
⇒元々のヘッドリースの使用権資産を元に処理。



12消費税の仕入税額控除をめぐる実務論点

■マンション販売事業者の件(筆者見解)
・課税仕入れを行った時点における当該事業者の判断が重要視される
・問題となっているいずれのケースでも課税仕入れの時点ですでに住宅としての貸付けが行われており、当該建物から非課税売上げが生じる認識は当然あったはず
⇒以上から、納税者が勝訴するのは難しい

■対応策(筆者見解)
・所轄税務署長の承認を受け、「課税売上割合に準ずる割合」を適用する
・マンション販売事業者においては、
⇒販売用マンションの売却売上に対する(売却までに発生する)居住用建物の賃貸売上は少額であることが多い
 この取引に対して会社全体の課税売上割合適用は実態に則していない
 よって「課税売上割合に準ずる割合」を申請することで解決できる可能性がある





13.IFRS下の四半期会計処理と表示

■四半期会計処理
⇒原則は年次財務諸表と同じ方法
(1)棚卸資産の評価減や減損損失⇒1Qで認識した場合、例えば3Qで見積りが変われば追加計上や戻入可能
(2)税金費用⇒事業年度全体についての予想加重平均税率に基づき認識
(3)季節的な損益⇒見越計上や繰延計上は不可(全額を当該四半期で認識)

■四半期表示
⇒日本基準よりも要求される表示は多い
・株主資本等変動計算書は必要(日本基準では不要)
・連結包括PLは累計&四半期分が必要(日本基準では累計のみ強制) 
・CF計算書は要約CF計算書が必要(JPは関連する注記のみ)




14.IFRS任意適用企業の四半期開示分析Ⅰ・Ⅱ

■新規IFRS任意適用状況
2018年3月期までのIFRS任意適用企業は157社
IFRS任意適用は年度末、第1、2、3四半期のいずれからでも適用できる
⇒年度末および第1四半期以外で任意適用した会社は少数

■IAS34号「期中財務報告」の概要
IAS34号「期中財務報告」では1事業年度よりも短い財務報告期間で財務諸表を開示する場合に適用される
⇒IFRSを任意適用している会社はISA34号を適用して四半期報告書を作成する必要がある。

以下の情報を含んでいなければならない。
①要約財政状態計算書
②純損益及びその他の包括利益を表示する要約計算書
③要約持分変動計算書
④要約キャッシュ・フロー計算書
⑤精選された説明的注記
⇒注記内容は事業年度のものと比べて省略される





15.残業手当を含む年俸額の合意とその有効性

■前提
・高額な年俸を支払っており、労使間で「年俸には残業手当を含む」といことで合意済み
・労使間で36協定を締結済み(時間外労働が月60時間を超える部分については割増賃金の支払いあり)。
⇒上記の条件で社員から時間外割増賃金の請求を受けた場合、支払いをどのように検討するか

■時間外割増賃金の支払いの検討
年俸額のうち、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外割増賃金に当たる部分とを判別できるか否かにより検討
(1)判別できない場合
 時間外割増賃金は一切支払われていないことになる
⇒時間外割増賃金を支払う必要あり(労働基準法37条等の規定に基づき算出)

(2)判別できる場合
 ①「割増賃金に当たる部分の金額>労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額」の場合
 ⇒差額を支払う必要あり
 ②「割増賃金に当たる部分の金額<労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額」の場合
 ⇒別途割増賃金を支払う必要なし



15.契約締結

契約は契約当事者の自由な意思によって成立
口約束で条件を取り決めることも法律上問題ないが、会計処理の証拠書類として位置付けられるほか、
下記のような効果が期待できるため、取引基本契約書を締結することが望ましい。

1.契約成立の有無を明確にする
2.契約の内容、特に権利・義務を明確にする※
3.トラブル発生時に契約内容・条件を立証する

※自社契約書のひな型通りに契約締結出来ない(取引相手が優位な立場にあり、先方の雛型に合わせざるを得ない)ケースでは、
契約内容については顧問弁護士と相談しながら対応することが必要。

取引基本契約書を作成するときは、双方で合意した事項を簡潔明瞭に条文化し、抽象的な表現は極力避けることが重要。
契約書に盛り込む主な事項としては、主に下記がある。

1.取引の対象
2.債権回収条件
3.契約期間
4.契約解除または違約の場合の条件
5.暴力団排除条項


















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