2018年9月28日金曜日

9/28 勉強会:新収益基準に関する税務上の注意点 他

1.役員報酬額の決定めぐり取締役の注意義務が問題に

■株主訴訟
・代表取締役が被告
・2014/11期の決算:営業利益30億、最終利益▲4億
・この期に関する株主総会で役員報酬の上限を30億円、個別の配分を取締役会に一任する決議
・総会終了後行われた取締役会で報酬の毛帝は代表取締役に一任する旨の決議
→代表取締役の報酬は14.05億円(前年度より5.7億円の増額)
→この増額分5.7億円について、代表取締役の善管注意義務違反を主張、株主代表訴訟

■地裁判断
・報酬決定に至る判断過程等が明らかに不合理とはいえない。
<論拠>
・役員個々人の報酬決定=会社の業績に少なからず影響を与える経営判断
(1) 役会から一任された代表取締役…評価・決定に広い裁量を有するものと解される
(2) 取締役がその評価・決定に当たり適切に権限を行使したか否かは基本的に総会での役員選任・解任を通じて株主が決すべき
⇒これらを踏まえると報酬決定の判断過程・内容が明らかに不合理な点がある場合を除き、善管注意義務違反の責任を負うことはない
<明らかに不合理な点があるか>
・リスクや金額の妥当性は純分検討されていた
・報酬増額に見合うだけの貢献をしていなかったと認める根拠がない
⇒客観的合理的理由なく可能な限り多額の報酬額を決定したと認めることはできない

■参考(報酬額)
・事業年度/代表取締役の報酬総額/全取締役の報酬総額/取締役人数
・2011年11月期/1.36億円/2.01億円/10人
・2012年11月期/4.65億円/6.33億円/7人
・2013年11月期/8.34億円/9.92億円/8人
・2014年11月期/14.05億円/約16.25億円/8人






2.配偶者名義有価証券等を相続財産と判断

■事例
・父親(被相続人)の配偶者名義の口座で管理されていた有価証券等(1億5千万円相当)が相続財産に含まれるか

■争点
・長女(相続人)は、配偶者名義有価証券等のうち、45%相当額を相続財産として申告
・税務署は全額が相続財産に該当すると主張

■事実関係
・被相続人は税理士事務所を営んでおり、家族4人の各名義を使用して資産管理していた
⇒配偶者名義証券口座もその1つと認定
・有価証券等の購入原資として、被相続人名義の預金口座から資金の大半が流入している一方、長女の口座からは資金流入はなかった。
⇒購入原資はその全部が被相続人に帰属すると推認

■判決
・配偶者名義有価証券等の全額が相続財産に含まれると判断
⇒相続財産の法律上の帰属は、財産の名義だけではなく、財産の取得が誰の出損によるものかの事情を考慮して判断される






3.貸家・貸家建付地の「一時的空室」は財産評価にどう影響?

■概要
原告、控訴人:死亡により単独で相続し、平成22年9月に相続税の申告書を期限内に提出
相続した財産:8棟の家屋及び土地(部屋数は193室で73室が空室の状態)
更正の請求:平成23年8月に請求を行うも、更正すべき理由がないとして却下
⇒財産評価通達に於いて、貸家及び貸家建付地の評価にあたり、借地権割合を乗じた計算により減額
する理由がないとして、増額する更正決定を行った。

■争点
財産評価基本通達における「課税期間において賃貸されている」とは
・課税時期前に継続的に賃貸されてきたか? ・賃借人の退去後速やかに募集が行われたか?
・空室期間中に他の用途に転用されていないか? ・空室の期間が一時的な期間であったか?

■判決(一審及び控訴審)
一審:請求棄却、控訴審:控訴棄却
財産評価基本通達26はあくまでも例外的な取扱いであり、一時的空室であるといえるためには、賃貸借契約が課税期間前に終了したものの引続き賃貸される見込みがあり、客観的な事実や証跡が存在している事。
本件の場合、賃貸されていない期間が最短でも5か月であり、継続的に募集状況にあったにも関わらず、賃貸されていない事を考えると、課税期間の前後に賃貸されていたと同視する事は出来ないとされた





4.収益認識の代替的取扱い、再検討される項目とは?

実務上見積りを行うことが困難であることや、税務への影響等を理由に、「収益認識に関する会計基準」において、今後代替的な取り扱いを設けるべきか否か検討する可能性が出てきた。

■電気事業およびガス事業における検針日基準
現状:検針日基準が容認されている。
収益認識基準:一定期間にわたり収益認識
⇒収益認識会計基準において、電気やガスの供給は「企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受すること」に該当し、代替的な会計処理は設けられていないため、一定期間にわたり収益を認識する必要がある。
⇒見積計上する必要があるが、需要特性等の変化により使用量が大きく変動することから精度の高い見積りが実務上困難であり、システム改修等により相当な時間とコストが要すると想定されている為、代替的な取り扱いが企業から求められている。

■売上高等に基づくロイヤリティ
現状:現金主義が容認されている。
収益認識基準:知的財産等に関連する顧客の売上高または使用量にも基づき、ロイヤリティを収益認識
⇒顧客の売上高または使用料にも基づくロイヤリティについては、実務的に収益額を算定する際の計算基礎の入手が困難であり、収益の見積りが困難であることや、現金についても取引先からいつ時点で支払われるかわからないことが多いため、法人税だけ先払いになってしまうケースが想定されることから、代替的な取り扱いが企業から求められている。








5.後継者計画、判断課程や根拠の文書化を

「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」の改定案
⇒後継者計画に着手することを検討すべき。

■後継者計画の策定・運用に取り組む
⇒判断課程や根拠を言語化・文書化し、客観性と透明性をためることが必要
Step1.後継者計画のロードマップの立案
Step2.「あるべき社長・CEO像」と評価基準の策定
Step3.後継者候補の選出
Step4.育成計画の策定・実施
Step5.後継者候補の評価、絞込み、入替え
Step6.最終候補者に対する評価と後継者の指名
Step7.指名後のサポート

■取締役会の監督機能の実効性を確保
⇒社外取締役などの非業務施行取締役が務めることの意義などを追加。






6.今週の専門用語

SDGs
「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)
「人間、地球及び繁栄」のための行動計画として国連が掲げる目標
⇒気候変動対策など17の目標と具体的な数値目標等を定めた169のターゲットで構成されている
⇒2016年から2030年までに達成を目指す
類似した概念にESGがある
⇒Environmental(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)
⇒新たな投資価値の評価項目として注目されている






7.損害賠償金と消費税

■Q
当社は社員旅行を計画し旅館を予約していたが都合により
キャンセルとなった。これに伴いキャンセル料を支払った。
キャンセル料の明細書に消費税相当額が含まれていたが
これは仕入税額控除の対象にできるか?

■A
キャンセル料は「損害賠償金」に相当するため対価性がなく、
仕入税額控除の対象とならない。
なお、キャンセル料に消費税相当額を含めるかどうかは当事者間の
了解事項によるものであり、税額控除の可否には影響しない。






8.未払残業代、名目問わず税務上は賞与等と認識

厚労省の公表によると、
労基署の指導によりH29年度中に「未払残業代」を支給した会社は約1,900社。
総額446億円で前年度127億円の約3.5倍増。
実際に「未払残業代」を支払った場合の取扱いは?

■法人税・所得税の原則的な取扱い
(1)一時金(精算金等)として支給する場合
法人税:損金算入可
所得税:当期の賞与として源泉徴収をする
(2)「過去分の給与」として支給する場合
法人税:損金算入可
所得税:年末調整のやり直し

弁護士事務所を介して支給される場合等で、「解決金」名目で支給される場合であっても、
名目に関係なく、賞与又は給与と認識され、源泉徴収することとなる

■資金繰りの都合等で「未払残業代」を月々分割で支給する場合
・分割する支給額や支給月が明確 ⇒ 「給与」で源泉徴収
・上記が不明確 ⇒ 「賞与」で源泉徴収

上記の場合の源泉徴収の方法は?
支給者が元従業員の場合、既に退職されているのでマル扶の効力が失われている。
したがって甲欄で源泉徴収は行えない
・「給与」で源泉徴収する場合 ⇒ 乙欄で源泉徴収
・「賞与」で源泉徴収する場合 ⇒ 乙欄で源泉徴収することになるが、「前月の給与等」が存在しないため、以下計算方法にて算定する。

・「前月の給与等」が存在しない場合の計算方法
(1) (賞与支給額△社保等)÷6ヶ月又は12ヶ月=A
(2) Aを月額表の乙欄に当てはめた税額=B
(3) B×6ヶ月又は12ヶ月=「前月の給与等」が存在しない場合の賞与の源泉徴収税額







セール・アンド・リースバック取引

・2015年、シャープがニトリに本社ビルを売却し、譲渡益を特別利益として計上。さらに賃貸借契約を締結して継続使用。
・このような取引をセール・アンド・リースバック取引といい、自社の不動産・機械設備等について利用するケースがある。
・売手及び借手(上記の例ではシャープ)が実質的な買戻権を有している場合では、買手及び貸手(ニトリ)は実質的に支配権を獲得していないとされ、売却要件を満たさず、金融取引とされる(⇒借入金、貸付金処理)。
・売却要件を満たした場合、
(1)オペレーティング・リースと判定された場合、売却損益を売却時に認識。
(2)ファイナンス・リースと判定された場合、売却損益を繰り延べ(リース資産の減価償却費の割合に応じて発生)。







10.売上の単位

■収益認識のための5つのステップ
(1)契約を特定する。
(2)義務を特定する。
(3)取引価格を計算する。
(4)取引価格を義務へ割り振る。
(5)義務を果たす。

■(2)の「義務を特定する」について
・複数の約束(≒取引)があった場合、把握すべきはそれぞれを「別個の約束」として認識できるかどうか。

<要件1>他の約束が果たされなくても、単独で約束の効果をビジネスに活かすことができるかどうか。
より具体的なポイントは
・約束を販売できるか?
⇒ex.使用・消費・廃棄よりも高値で販売できる。
・約束を使用・廃棄・販売以外の方法でビジネスに活かせるか?
⇒ex.使用・廃棄・販売以外の方法で投資の回収ができる。

<要件2>契約などで、1つ1つの約束の内容が明確に区別されているかどうか。
より具体的なポイントは
・ある約束と別の約束がインプットとアウトプットの関係か?
⇒ex.試作品の設計と製造があった場合、設計と製造がインプットとなって試作品の開発というアウトプットが発生する。
・一方の約束を修正した場合、他方を大きく修正するか?
⇒ex一方の約束を果たした場合、他方の約束も買主仕様に大きく変更しなければならない。.
・単独で約束を果たして価値があるか?
⇒ex.ビルの設計と建設。各々単独で果たしても価値なし。






11.第1章 新収益認識基準と法人税法・通達の改正概要

■収益認識の5ステップ
(1)顧客との契約を識別する
(2)契約における履行義務を識別する
(3)取引価格を算定する
(4)契約における履行義務に取引価格を配分する
(5)履行義務を充足したときまたは充足するにつれて収益を認識する

■収益の計上額に関する改正
(1)原則(時価による計上)
資産の引渡時の価格または提供した役務について通常得るべき対価の額に相当する金額
(2)例外(貸倒れ・買戻しを考慮しないこと)
資産の販売等につき、貸倒れまたは買戻しの可能性がある場合においても、当初の販売額の計上にあたっては、その可能性がないものとした場合の価額

■収益の益金算入時期に関する改正
(1)原則(引渡日・役務提供日基準)
(2)例外(契約効力発生日基準)
一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従い、目的物の引渡日または役務提供日に近接する日に収益を認識することも認められる
(3)例外(収益の額の変動に関する基準)






12新収益基準に関する税務上の注意点~ステップ1に関して~

■契約の識別
・税務上の規定はなく、新基準に則る。
・法的な強制力を伴えば、契約の形式に決まりはなく、口頭や慣行等によるものも契約。
⇒メールや電話による合意が慣習となっているような業種(広告業等)では、いつ、何に基づき権利義務が生じるのか、整理が必要

■契約の結合
・税務上、資産の販売等に係る収益計上は、原則として契約ごとに計上、例外として実質的な取引単位の履行義務ベースの収益計上を容認。
⇒複数フェーズがある建設工事契約、ソフトウェア開発計契約等では、会計上契約の結合が適用されると、税務と収益認識がずれる可能性がある。
従って、フェーズごとの契約とするか工程全体の契約とするか、自社の会計方針と合わせ、検討が必要。







13.想定される税務上の焦点と対応ポイント

●契約の変更
①契約変更を独立した契約として処理または②契約変更を独立した契約として処理しない2パターンあり
●税務上の取扱等
・税務上契約の変更の取扱は明確されていないため、基本的に会計に従う。
・①と②で収益認識の時期および金額が相違するため、当該箇所が焦点となる可能性が高い
・税務上の特別の規定はないが、採用処理方法により課税所得に違いが生じるので証憑準備が必要

●履行義務の識別
・法人税法上、原則個々の契約ごとに計上するのが原則であるが、1つの契約に複数の履行義務が含まれる場合はそれぞれを収益の単位とすることが可能
・個別の履行義務か一体の履行義務の見解が税務上の焦点となる可能性がある
※会社はサービスA,Bを別々の義務と判断し、別々に収益認識したが、税務調査がA,Bは一体の履行義務と判断され、同タイミングで収益認識が必要と指摘される






14.非上場株式の期末における時価評価

■基本的な期末評価
 ⇒時価を把握することが困難な株式として、期末BS価額は「取得原価」を採用

■非上場株式の減損について
・発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をし、
評価差額は当期の損失として処理するとされている。

・「実質価額が著しく低下したとき」の減損要否の判定
 (1)30%未満…減損処理不要
 (2)30%以上50%未満…「各社が設けた基準により」著しい下落と判定される場合、
「回収可能性」がなければ減損
 (3)50%以上…回収可能性がなければ減損
 ⇒「回収可能性が十分な証拠により裏付けられる」場合には、減損処理を行う必要はないため、回収可能性の判定が重要。

■回収可能性の判定
・将来の事業計画等を入手し判断する場合には、以下の判断が重要となる。
 (1)事業計画等が実行可能で合理的なものであること
 (2)概ね5年以内に回復することが見込まれること
 (3)回収可能性は毎期見直すことが必要であること

■その他
上場企業の場合には、事前に以下を会計監査人と確認の上、同意しておくことが望ましい。
 ・どのような仮定を用いて期末の評価を行うのか
 ・それに使用する資料(監査資料)はどのようなものが必要なのか
また、重要な勘定科目に係る業務プロセスのため、J-SOXにおける評価対象とするか否か、会計監査人と並行して議論することが重要。






15.9月前半のIPO市場

・6日から13 日にかけてIPOした 4 銘柄はいずれも初値から値を下げている
・再上場の子供服専門会社のナルミヤ・インターナショナル(9275)や不動産関連の香陵住販(3495)に至っては公開価格すら下回っており、不人気ぶりと需給の悪さを示している
・市場の人気は業績の伸びが期待されるIT系、サービス系をはじめとした業種に偏りがあり、
一般的なビジネス、ビジネスモデルに独自性のない企業の株価は不人気な状況が見られるとのこと
・IPO銘柄なら何でも良いという訳ではなく、投資家の選択眼がシビアになっているということが言え、
それがIPO後の株価下落を表しているとのこと
























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2018年9月21日金曜日

9/21 勉強会:新リース会計基準の概要 他

1.その他有価証券の月中平均価額は認めず

■その他有価証券の時価の取扱い
・日本基準=継続適用を条件に、月中平均価額を用いることができる
・IFRS=公正価値は測定日時点の価格と定義

⇒時価に関する会計基準&適用指針では、月中平均価額の使用を認めない方向
 (調査対象の上場企業3,603社のうち、月中平均価額を使用している企業は90社のみであり影響は限定的)





2.再編後の逆さ合併を適格とする案が浮上

■決定ではない
・2019年度税制改正議論の俎上に上がるかも。。という段階
・経産省が要望している段階

■ニーズ(SPC等を使った企業買収)
・SPC等が事業会社を株式交換等でスクイズアウト、完全子会社化
・その後、子会社を存続会社、SPC(親)を消滅会社とした合併を実施(逆さ合併)
→今の税法だと非適格になる。
・株式交換等のスクイズアウト手続きが税法上非適格
「株式交換後、完全支配関係が継続すること。ただし、適格合併する場合はその時点まで」
→この条文の後段「適格合併」は子会社を消滅会社とするケースしか認めていない。

■論拠
・子が存続、親が存続は、どちらのケースも実質的にグループの経済実態の変化はなし





3.離婚に伴う財産分与を無償譲渡と認めず

■事例
・夫は納税滞納者
・離婚協議で夫が300万円を受領する旨と離婚後はお互いに金銭要求を行わない旨の合意 
書を作成
・夫が元妻に預金債権と保険の解約返戻金を譲渡
⇒元妻に第二次納税義務※があるか否か
※滞納者が納税できない場合、その納税義務者と一定の関係がある者に納税義務を課す制度

■税務署の主張
・合意書には財産分与に関する記載がなく、離婚後に金銭要求を行わないことが合意されている
・財産分与について確認したことを証明する具体的な書類がない
⇒預金債権の譲渡は離婚に伴う財産分与ではなく無償譲渡であるため、元妻には第二次納税義務がある

■審判
・元妻への第二次納税義務はない
(理由)
・夫は共同財産のうち300万円を受け取りその他は放棄する旨の財産分与の協議が成立したと解釈するのが相当
・財産分与が不相当に過大である場合は無償譲渡に該当するが、今回のケースでは不相当に過大とは言えない





4.平成30年度における調査方針等

■特に留意すべき事項(特留事項)
・税理士法関係、移転価格調査関係、国際課税の事務運営について、が挙げられた。

■税理士法関係
・犯罪収益移転防止法の遵守状況チェック
⇒マネーロンダリングなどの犯罪行為、反社会勢力との取引を行っていないかどうか等
・国税庁退職者への注意喚起
⇒国税庁を退職し税理士登録希望者に対して税理士法遵守の注意喚起等の徹底

■移転価格調査関係
・BEPS事案(多国籍企業の国境を越えた過度な節税策に対しての対抗策)
⇒調査必要度の高い事案を重点的に、移転価格上の問題の有無を判断する為、準備調査の実施
調査着手後は対象法人との密接な意思疎通を図ることとされた。
・調査間隔延長の対象法人の増加
⇒納税者:対応の負担軽減、国税当局:調査事務量の軽減、双方にとってメリットがあるように。

■国際課税の事務運営(特に資産税関係とされている)
⇒海外資産関連事案調査に取り組む方針が示されている
 国外送金調書、国外財産調書等で事案の把握、仮装隠ぺい等の情報収集と証拠の保全
⇒消費税について
 仮想通貨取引、民泊などの新しい取引形態に利益を得ていながら適正に申告を行っていない個人
 及び法人に対して調査を実施していく





5.株主提案権の議案数は「10」に、複数の内容の議案の数え方は?

■株主提案権の制限
法制審議会会社法制部会の会社法の見直しでは、株主提案権の乱用的な行使を制限するため、株主が提案することができる提案数を「10」までとする方向となっている。

■議案の数え方について
議案の数え方が問題となるが、現状以下の方向性となっている。
・役員等の選任は、選任される役員等の数に関わらず1つの議案とする。
・複数の事項をその内容とする定款の変更に関する議案については、当該複数の事項が別個に可決又は否決されたとすれば提案の理由との整合性を欠くこととなる場合には、1つの議案とし、それ以外の場合には1つの事項につき1つの議案とする。
・例えば「監査等委員会の設置の提案」と「監査役及び監査役会の廃止の提案」の2つの議案については、監査等委員会が設置されれば、当然に監査役及び監査役会が廃止が必要なため、1つの議案とカウントする。




6.関信局長、相続税の無申告に問題意識

垣水新局長にインタビュー

■富裕層への対応
・関信局に設置された富裕層担当の専門官である国際税務専門官を中心に情報収集。
・国外財産調書などの調書制度や、共通報告基準(CRS)に基づく情報交換制度の活用
※国外財産調書:居住者(「非永住者」の方を除く)でその年の12月31日において、その価格の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、税務署へ提出。

■相続税の無申告について
・平成27年から相続税の基礎控除が引き下げられたことで課税対象が増加。
・一定の事務量を投下して対応。

■軽減税率制度への対応
・平成31年(2019)10月より消費税率の引き上げ及び、軽減税率制度の導入に関して、事業者の1割ほどしか税務署が開催する説明会に参加していない状況。
・今後は周知に努める。

■適格請求書等保存方式への対応(平成35年(2023年)10月から導入)
>メリット
・消費税率別に区分記載

>デメリット
・適格請求書発行事業者を登録した事業者しか発行されない。
⇒税務署へ登録する必要がある
・免税事業者は適格請求書を発行できないため、仕入税額控除の適用ができない。
⇒一部については仕入税額控除は認められる。






7.今週の専門用語

■スクイーズアウト
・日本語訳にあたるのは「締め出し」
・TOBにより対象会社株式の2/3以上を取得した後で、少数株主から強制的に株式を取得し、対象会社を
100%子会社化すること。
⇒この手法は事業継承に備えて株主数を減らしたい場合やM&Aで確実に株式を買い集める場合などで用いられる。





8.商品券発行時の益金算入

■通達改正
(改正前)
原則:商品券の発行時
例外:商品の引渡し時(税務署長の確認が必要)

(改正後)
原則:商品の引渡し時(税務署長の確認不要)
例外:商品券の発行時
なお、発行日から10年を経過して未引換の場合にはその事業年度
に一括して益金算入となる

■中小企業
中小企業は継続して発行時に収益計上することとしている場合には
益金算入が認められる。




インボイス制度 消費税額等に係る端数処理の動向

・インボイスに記載する「税率ごとに区分した消費税額等」の計算に係る1円未満の端数処理の方法
⇒切捨・四捨五入・切上は任意で選べる。
・端数処理の単位は「一の請求書につき税率区分ごとにそれぞれ1回」で行う
・システムによって端数処理が異なるため、システムの改修が必要となる。




10.新リース会計基準の概要

・IFRSによって財務諸表を作成する会社は、2019年1月1日以後開始事業年度から適用(2018年度から早期適用する会社が出始めている)。
・借り手の会計処理が大きく変更。
 ⇒ ファイナンス・リース取引、オペレーティング取引の区別がなくなり、ほとんどのリース資産・負債がオンバランスとなる。
 ⇒ ただし、短期リース(12ヶ月以内)、少額資産については引き続きオフバランスが可能。
 ⇒ 特に影響が大きい業種として考えられるのが、航空、小売、旅行、レジャー。
・貸し手の会計処理は大きな変更なし。
 ⇒ ファイナンス・リースとオペレーティング・リースで扱いが引き続き異なる。
 ⇒ 親子でリース取引を相殺消去する場合には注意する。




11.2017年4月~2018年3月期のポイント引当金の計上状況(J-GAAP適用企業)

・計235社、計上総額は3,500億円超
・業種ランキング
⇒1位:小売業101社(43.0%)
⇒2位:サービス業31社(13.2%)
⇒3位:銀行業25社(10.6%)
・有報上では、会計方針に関する注記事項で、ポイント引当金の計上基準を開示しているケースが多い。
・計上金額だけ見ると、クレディセゾンだけで1000億円超。






12同一労働同一賃金

同一企業・団体における正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と、
非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの
同じ労働に対して同じ賃金を支払うべきという考え方

会社としては、短時間労働者や有期契約労働者の労働条件を、正社員のものと異なる内容にする場合は、
その相違が「職務内容が正社員と違う」、または「職務内容・配置変更の範囲が正社員と違う」理由を説明できるか確認する必要あり

2019年4月以降に上場予定の会社にとっては、新たな論点として加わる可能性あり























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2018年9月14日金曜日

9/14 勉強会:消費税 課税売上がない課税期間の仕入税額控除 他

1.個人事業者の事業承継税制を検討へ

■個人事業者の建物や設備等についても、小規模宅地特例と同様の特例を設ける
「個人事業者の事業承継税制」が31年改正で本格検討されている。

※小規模宅地特例
被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たす場合には、
80%又は50%まで評価額を減額して相続税を計算する特例。






2.非上場株式の低額譲渡課税で納税者勝訴の逆転判決

■事例
・個人から法人への株式の譲渡
・株価:配当還元方式だと@75円だが、類似業種比準方式だと@2,505円
・納税者側は75円を主張、国側は2,505円を主張
・第一審では納税者敗訴だったが、高裁で納税者勝訴となった
・個人の持分22%→14%
・法人の持分0%→8%

■条文(相続税/財産評価基本通達)
・30%以上保有する株主グループがいない場合、自己が属するグループが15%未満なら配当還元使用OK

評価通達188(配当還元法が使えるケースを列挙した条文)
「同族株主のいない会社の株主の内、譲渡時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の15%未満である場合における【その株主の取得した株式】」…取得者を基準に判定

所得税基本通達59-6
「~株式を【譲渡又は贈与した個人の当該譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定】すること」…譲渡人を基準に判定

⇒基準(評価通達188)を文面通りに読むと、評価方法の選択は【株式を取得した側】を基準に決定すべき
⇒本件でいうと、法人の株式譲受後の議決権割合で判断すべき…8%<15%⇒配当還元使用可






3.富裕層の管理体制を全体として強化

・藤井国税庁長官へのインタビュー

■富裕層対応
・一部の税務署で、重点管理富裕層以外の富裕層も同様の観点で管理する体制を試行的に運用
⇒国外財産調書、財産債務調書、共通報告基準に基づく非居住者に係る金融口座情報の自動的情報交換を積極的に活用

■電子申告の環境整備
・提出情報のスリム化、データ形式の柔軟化、提出方法の拡充、認証手続きの簡便化等の環境整備を進める予定







4.平成31年度における各省庁の税制改正要望は

■未婚のひとり親にも寡婦(夫)控除
・寡婦の要件
夫と死別し、若しくは夫と離婚した後、婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、
扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人
⇒婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する税制上の支援措置、平成31年税制改正で検討する旨が盛り込まれた事を踏まえたもの

■住宅ローン減税の拡充&空き家対策
・住宅ローン減税の拡充
2019年10月の消費税率の引上げに際しての拡充措置(住まい給付金の制限の引上げと申請期限延長)

・空き家対策:相続税の特別控除(延長及び拡充の可能性)
⇒平成31年12月31日までの間に売却した場合、一定の要件のもと譲渡所得から3,000万円控除
空き家とは、居住その他の使用がされていないことが常態である建築物。
1年間を通して、人の出入りの有無、水道・電気・ガスの使用状況から判断され、「特定空き家」と認定されると固定資産税の優遇を受けることができない。







5.IFRS第16号「リース」:IFRS任意適用日本企業の事例

■IFRS16号の概要
・現行のIAS 17号が改訂され、IFRS 16号が公開
→2019年1月1日以降開始する事業年度から適用
・リースの借手及び貸手におけるリース契約の認識、測定、表示および開示の原則を定めた基準
・ファイナンスリースとオペレーティングリースを区分せず、単一の会計モデルを使用

■IFRS任意適用日本企業が行った開示
・LINE、本田技研工業、NTT、味の素等
→「未適用の公表済み基準書及び解釈指針」で開示した、IFRS第16号の適用による連結FSへの影響に関しては、各社概ね以下の内容が記載されている。
【記載内容】
・オペレーティングリースとしていた取引について、リースに係る使用権資産とリース負債が計上されるため、財政計算状態計算書の資産・負債残高が増加すること
・連結損益計算書に、リース費用に代わり、使用権資産の減価償却費とリースに関連する利息費用が計上されること





6.消費税不正還付、他局等と連携して対応

■藤代東京国税局長(7/27日付で就任)が免税制度を不正に利用し不正還付を受ける事案などの、不正還付事案が増加、多様化・複雑化している為、その対応について下記のとおり示した。

【平成30事務年度の対応】
・消費税担当の統括国税実査官を配置し、他の国税局等の課税総括課と連携
・消費税調査実の質的・量的な充実を図る
⇒消費税の視点から情報収集・分析や調査企画、ノウハウの開発共有が目的
・国際的な取引に関しては、租税条約等に基づく情報交換制度を活用し、各国の税務当局と連携しながら取引の実態解明に努める。
⇒今年から共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換が開始。
・富裕層への執行体制の強化。
・仮想通貨取引に関しては、有効な資料の収集、必要性が高ければ重点的に税務調査を実施。





7.消費税:課税売上がない課税期間の仕入税額控除

■設立初年度で課税仕入れはあるが課税売上がない場合

ケース1:個別対応方式を採用している場合
個別対応方式の場合「課税売上にのみ要する課税仕入れ」に該当
するものは全額控除が可能、「共通して要する課税仕入れ」については税額控除できない(課税売上割合ゼロのため)

ケース2:一括比例配分方式を採用している場合
税額控除できない(課税売上割合ゼロのため)

⇒設立初年度で動きがない場合でも、課税売上割合ゼロを避けるために
何らかの課税売上が生じる取引をしておくのが無難







8.H30年分から仮想通貨の所得税申告を簡便化

昨年分の申告にて仮想通貨の所得計算が困難という声があがったため、
確定申告からの所得計算を簡易にできるよう申告環境を整える模様。

■提供情報の統一化
仮想通貨交換業者ごとに利用者(納税者)への取引情報が異なっていたため、
利用者が申告するにあたり煩雑になっていた。
⇒国税庁主導で申告環境の整備の一環として、
仮想通貨交換業者に対し、利用者に対する取引情報の統一化を検討中。
※あわせて仮想通貨を相続した場合の手続きも統一化される予定。

参考:仮想通貨取引にかかる所得計算方法(BTCを前提)
(1)仮想通貨の売却
所得金額=売却価額△1BTCあたりの取得価額×支払BTCの数
(2)仮想通貨での商品の購入
所得金額=商品価額△1BTCあたりの取得価額×支払BTCの数
(3)仮想通貨と仮想通貨の交換
所得金額=他の仮想通貨の時価(購入価額)△1BTCあたりの取得価額×支払BTCの数






評価性引当額の注記

・評価性引当額(DTAから控除された額)に重要な変動が生じている場合
 ⇒当該変動の主な内容を記載することとされている
・評価性引当額の合計額に重要な変動が生じている場合
 ⇒税負担率について重要な影響が生じていることが多い
 ⇒財務諸表利用者からは原因分析できない
 ⇒税負担率の実績と予測が大きく乖離することがあった
 ⇒当該変動の主な内容を注記事項として定めることとなった

税負担率と法定実効税率との間に重要な差異がなく、税率差異の注記省略している場合
⇒当該“変動の主な内容の注記は不要”との取扱が示されている
 (例)差異が法定実効税率の100分の5以下である場合






10.スクイーズ・アウトの改正ポイント

■会社法上の取り扱い
議決権保有要件:90%以上
議決権保有要件の算定方法:株式等売渡請求を行う者+その完全子会社の議決権の合計
株式等売却請求の対象外とできる者:株式等売渡請求を行う者の完全子会社、

※事業再編計画または特別事業再編計画の認定を受けることで下記のように緩和される

■改正産強法上の特例
議決権保有要件:三分の二以上
議決権保有要件の算定方法:支配株主たる認定事業者およびその他の共同認定事業者+それぞれの完全子会社の議決権の合計
株式等売却請求の対象外とできる者:株式等売渡請求を行う者の完全子会社、共同認定事業者およびその完全子会社





11.改正自社株対価M&Aの活用ポイント

■産業競争力強化法等の一部を改正する法律案が5月に成立、7/9施行
(会社法)
改正によって自社株対価M&Aに適用される会社法上の有利発行規制や現物出資規制は、大幅に緩和
・旧産業競争力強化法(以下、旧産強法)=TOBによって他の会社を「関係事業者」とする場合には、会社法の有利発行規制および現物出資規制が適用されない特例があった
・改正産業競争力強化法(以下、改正産強法)ではTOBOという要件が「譲渡」による取得で足りるように緩和
 また、既存の関係事業者たる対象会社の株式等を追加取得する場合でも要件を満たすこととなった
(税務上)
自社株対価M&Aが、実務的な観点からも十分利用できる選択肢へ
・改正産強法の下でH33年3/31までに行う自社株対価M&Aにについて、対象会社株主の株式譲渡損益の課税を繰り延べる規定が租税特別措置法に創設





12平成30年3月期有報分析による開示に関する論点

■改正税効果基準(の早期適用)に伴う開示への影響
(1)表示方法の見直し
従来:DTAとDTLは流固分類
改正:DTAは投資その他、DTLは固定負債

(2)注記事項の追加
・評価性引当額の内訳に関する数値情報
・評価性引当額の内訳に関する定性情報
・税務上の繰欠に関する数値情報
・税務上の繰欠に関する定性情報

■その他新基準等(の早期適用)に伴う開示への影響
(1)権利確定条件付き有償SO⇒当該SOの概要等を注記
(2)仮想通貨基準の適用⇒仮想通貨ごとの保有数量と簿価を注記

■米国税制改革法案に伴う開示への影響
(1)法案概要と影響
連邦法人税率の引下げ⇒米国に子会社・関連会社を保有する会社の税効果注記に影響

(2)影響する税効果注記
・法人税等の税率の変更によりDTAorDTLが修正された場合はその旨及び修正額
・要件を満たす公開企業は、SEC規則に基づく任意の注記あり






13.未適用の会計基準等の注記等

■未適用の会計基準等の注記
平成30年3月期の会社(232社)を対象に調査したところ、203社が収益認識会計基準等を未適用の会計基準等に注記
⇒会計基準への影響が大きいことが想定されるため、注記した会社が多い。

■非財務情報
「資本の財源及び資金の流動性に係る情報」の開示会社は平成29年3月期:57社
⇒平成30年3月期:189社と増加
⇒パブリックコメントで開示内容を充実させる旨の記載がされたため。

■その他の主な項目
定率法から定額法に変更している会社は増加傾向にある。
⇒大型設備の新規導入、構造改革等のタイミングで変更を実施している。
⇒当該タイミングを逃すと減価償却方法変更の適時性が確保できないため、会計方針の変更ができない可能性が高い。

■会社法開示との比較
会社計算規則に個別に明記されていない注記事項でも、必要な場合には開示することができる。
⇒企業結合、減損、土地再評価に関する注記は計算書類でも開示する会社が多い。
⇒一方で資産除去債務、退職給付、税効果を開示する会社は少ない







14.正社員と有期労働者との間の労働条件の差別

■正社員と有期労働者の労働条件に相違がある場合の、実務対応

・前提
 それぞれの賃金の種類ごとに趣旨・性質、各労働者の職務内容の違いを整理し、相違が不合理といえるか否かを検討

・職務内容(業務内容、業務に伴う責任の程度)の違い
 皆勤手当や通勤手当等の手当に差異を設けることは不合理であると判断される可能性が高い。

・労働条件の差異が不合理と思われる場合
 職務内容の違い、職務内容・配置の変更範囲の違いを明確に整理し、労働条件の相違が不合理と言えない環境を整備する必要がある。

・現在の職務内容や配置範囲等を変更しようとする場合
 労働条件の不利益変更として無効とされる可能性があるため、労働者に対し、変更の理由や必要性等をしっかりと説明し、明確な合意を得ておく必要がある。







15.スピンオフの活用のポイント

■スピンオフの手続
・特定の事業部門を切り離す場合(分割型分割)
・子会社を切り離す場合(子会社株式の現物配当)
→いずれにしても子会社株式の現物配当が行われるが、会社法の規制を受ける。
→産強法の改正により、事業再編計画または特別事業再編計画の認定を受けた事業者については、子会社株式の現物配当を会社法上の金銭配当と同一の手続で行うことが可能となった。

■スピンオフ税制(平成29年度税制改正)
<支配株主が存在しない場合>
・支配株主が存在しない会社が行うスピンオフの適格組織再編要件が法人税法に創設。

<支配株主が存在する場合>
・支配株主が存在する場合(個人の場合を含む)の分割型分割の適格要件について、支配株主と分割法人との完全支配関係または支配関係の継続見込みを不要とする旨の改正がなされた。


15.【2019年税制改正】各府省庁からの要望が出そろう

法人税関連では、以下のような要望が出ている。

・試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の延長及び拡充(拡充、延長)
・事業用固定資産の減損損失に係る損金算入措置の創設(新設)
・個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入割合の引上げ(拡充)
・事業再編を円滑化するための組織再編税制における適格要件の見直し(新設)



15.労務管理

1.従業員の定着率
定着率が低い場合には、以下の対応が必要となる
・退職者の傾向について分析(退職者の所属する部署、職位、退職事由など)
・人事労務制度の見直しや労使関係の構築など、改善に向けた対策

2.人事労務関係書類
・就業規則作成、所轄の労働基準監督署に届け出
(変更があった際には、変更届を提出)
・労働者名簿、賃金台帳、雇入通知書などの労基法によって作成・保管する必要があるものは、
記載事項を網羅して作成・保管

3.労働保険及び社会保険
・一定の要件を満たす従業員は、労働保険及び社会保険に加入する必要あり
・パートタイマーなどの未加入には留意
・未払いや不払いに留意

4.時間外勤務手当
・時間外勤務手当の支給規程が明らかでない場合、支給規程を明確にする
・支給規程はあるが、支払がされていない場合には、過去から遡って精算する必要あり





















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