2012年12月29日土曜日

12/28勉強会:【消費税】事業者免税点制度の改正のポイント ほか



1.一人会社の取締役に対して第二次納税義務の追求可能


■前提
・株式会社Xは、取締役Aによる一人会社。
・XはAへの報酬を支払っていたが、源泉税を滞納している。
・差押えるほどの財産はない。
→この場合、Aに源泉税の納付義務(第二次納税義務)はあるのか?

■審判所の判断
・役員報酬支払いについても、
納税ができない資産状態になった場合は無償譲渡等に該当するとした。
→少なくとも役員報酬に係る源泉所得税の滞納分については、
Aが支払うべきである。


非上場株価に複数の算定方法、最も低い価額を採用できるか?


■事例
親会社が非上場子会社株式を譲渡した場合の
譲渡対価(子会社株式評価額)についての裁判事例。
■争点
会社側は、最も低い価額となる非上場株式評価の特例
(類似業種比準価額と純資産価額併用方式)を採用したが、
課税当局は原則評価(純資産価額方式)しか認めなかった。
■判決
特例採用不可(課税当局勝訴)
■理由
①子会社が直後に合併した際、原則評価で合併比率を算定しており、
この価額が時価と認めるのが妥当。
②特例の規定上「課税上弊害がない限り」特例を採用できるとされているが、
子会社が直近に業種変更しており、
これが、類似業種比準価額を併用する上での課税上の弊害とされた。


3.PFI事業に係る融資手数料は共通仕入

■論点
 消費税の仕入税額控除について個別対応方式を採用した場合、
 大手銀行に支払った融資スキームの構築手数料は、課税売上対応か共通対応か

■結論
 調達した資金が、「施設の建築代金(課税資産の譲渡等)」及び「PFI事業活動全
体のために使用される資金」に使用される
 →融資スキームの構築手数料は事業活動全体のために要した費用と認定。

 融資返済の原資:公民館の譲渡等の対価と受取利息からなっている。
 
 ⇒共通対応に区分されるべき

■補足
 施設は官庁が長期にわたり借り上げて、その後、官庁に無償で譲渡される。
 借り上げ期間に渡り、官庁が支払うサービス料が
①施設の取得費と②支払利息相当
③その他必要経費からなっている。


4.特定期間中の課税売上高による納税義務の判定(その2)


■6か月判定に使う特定期間はいつですか?
 ①01年1月10日設立 当期02年1月1日から12月31日(第2期)
  →01年1月10日から6月30日までの期間

 ②01年1月10日設立 当期01年12月21日から02年12月20日(第2期)
  →01年1月10日から6月20日までの期間

 ③01年5月1日設立 当期01年12月21日から02年12月20日(第2期)
  (決算期を01年12月31日から変更した場合)
  →01年5月1日から10月31日までの期間

 ④01年4月25日設立 当期02年4月1日から03年3月31日(第3期)
  (前々期01年4月25日から02年1月20日、前期02年1月21日から02年3月31日)
  →01年4月25日から10月20日までの期間

5.注文建築工事未完成でも課税仕入れ可能なケース


⇒アパートの引渡しを受けたときに、
課税仕入れとして認識するのはどのタイミングか?

原則:アパートが完成して、引渡しを受けたとき
例外:使用収益することができることとなったとき

事例:アパートの手すりの補修工事が済んでいない状態で
アパートの建築代金を支払った。
⇒原則で言えば手すりの完成時がアパート完成時
⇒手すりが完成していなくても使用収益はできるという判決

結論:使用収益ができるようになったタイミングで課税仕入れを計上してもOK

6.簡易課税のみなし仕入率見直しへ


⇒過去1~2年の調査で簡易課税を選択している業種の
実際の仕入れ率がみなし仕入れ率と大きく乖離
Ex.金融保険業 みなし仕入れ率:60%、実際仕入れ率33.8%
 
結論:今後、一部業種でみなし仕入れ率の引き下げ公算が高い。

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【消費税】事業者免税点制度の改正のポイント


・H25年1月以降に開始する事業年度より、改正が適用される。
・前年上半期(12月決算法人の場合、H24年1月~6月)の課税売上高
又は給与等支払額【※】が1000万円を超える場合、課税事業者になる。

  【※】給与等支払額の範囲
  ・正社員のみでなく、派遣やパート等の給与も含まれる。役員報酬も含まれる。
  ・発生額ではなく、支給額で判定する。
(ex.過年度の未払残業代を支給した場合は、その額も算入して判定する。)
  ・退職手当は算入せずに判定する。


【所得税:サービス付き高齢者向け住宅と医療費控除について】

■サービス付き高齢者向け集合住宅(サ付住宅)とは、
⇒高齢者向けに介護サービスなどを提供する賃貸住宅のこと

指定介護老人福祉施設などの居住費等は医療費控除の対象となるが、
サ付住宅の賃貸費用は医療費控除の対象とならない。
(あくまで住宅であり、介護施設ではないため。)

ただし、サ付住宅のサービスの一環で、介護サービスを受けた場合領収書をつけて
申告することで医療費控除の対象とすることができる。

なお、家賃・介護保険サービス等の費用を親族が負担している場合には、
その親族が医療費控除を受けることができる。


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9.実質リース

実質リース:法的形態がリースでなくても実質的にリースと判定される取引

2要件
①契約の履行が特定の資産の使用に依拠
②契約により、当該資産の使用権が移転する

(例)
 ・A社(購入者)がB社(ガス会社)とガス供給契約を締結
 ・B社がガス供給施設をA社敷地内に建設
 ⇒このガス供給施設がA社だけのための施設であれば2用件を満たす

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10.連結財務諸表作成にあたり子会社の範囲

連結の範囲から除外することができる小規模子会社の考え方について
 
・子会社の範囲
 意思決定機関を支配している会社
→議決権比率で判断

【原則】
・すべての子会社を連結の範囲に含める

【例外】
①子会社であっても連結の範囲に含めない場合
・支配が一時的
・連結することにより利害関係者の判断を誤らせる

②連結の範囲から除外することができる子会社
・重要性の乏しい子会社は連結の範囲に含めないことができる
→連結財務諸表に重要な影響を与えない会社


11.IFRS四半期報告書の開示規定のポイント

【作成される財務諸表及び表示が求められる期間】
・要約財政状態計算書
 →期間の末日と直近事業年度の末日
・純損益及びその他の包括利益を表示する要約計算書
 →期間と累計ならびに直近事業年度の期間
・要約持分変動計算書
 →累計と直近事業年度の累計
・要約キャッシュ・フロー計算書
 →累計と直近事業年度の累計
・精選された説明的注記
 →累計

※期間=該当報告期間
※累計=期首から該当報告期間の末日まで

【年度末との違い】
・5種類の構成は変わらない
・「要約」や「精選された」という意味で省略されている

【表示が求められる期間】
・要約財政状態計算書

■四半期注記について
四半期報告書における注記情報は「精選された注記」であり、
年度に比して開示が要求される項目は少ない。
大きく分けて以下の2つに分けられる
・「重要な事象及び取引」…年度末以降の財政状態の変動及び経営成績を理解
・「その他の開示」…中期に含めなければならない


12.企画業務の生産性向上

(1)企画業務⇒「会議」と「会議のための資料作成業務」

(2)企画業務の可視化を進める
  非定型・一過性のため可視化は難しいと考えがち
  ※「情報収集」「資料作成」「報告」は一緒

(3)施策例
 ①「情報収集」
 ・社内用語を統一(用語確認時間を削減)
 ②「資料作成」
 ・過去資料を活用
 ・レビュープロセスの見直し
 ・不要な資料作成を削除
 ③「報告」
 ・ペーパレス化
 ・Web会議、電話会議(移動時間の削減)
 ・長時間会議の廃止
 ・会議中に議事録作成
 ・資料の事前配布


13.輸出取引におけるポイント

1.物品販売の収益認識(いつ所有権が移転するか?)
  ◎船積時点
   →船荷証券発効日で認識。実務上最も多い
  △出荷時点
   →倉庫等からモノが出荷された時点で認識。輸出取引の場合は、
     納品までの期間が長い為限定的
  △通関時点
   →通関手続が完了した時点で認識。
     通関時点で所有権が移転する契約は稀であり、事例は少ない
  ×荷為替取組時点
   →船荷証券を銀行に持ち込み、
    荷為替手形を銀行で買取ってもらう時点で認識
    買取り時期に恣意性がある為、非現実的
  ・受渡時点
   →納品場所へモノが運び込まれた時点で認識。
    そのような契約であれば

 2.役務提供の収益認識(国内取引と同様)
  ・役務提供完了時点で認識
  ・時の経過に応じて認識



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2012年12月24日月曜日

12/22 勉強会:所得税:復興特別所得税の源泉徴収について ほか



1.オプション取引の有効性判定で国敗訴


■法人税法上
原則:為替相場15%以上変動した場合→外貨建資産等は、期末日レート換算OK
→為替差損を損金参入OK
例外:デリバティブ取引で為替リスクをヘッジした場合
→損金参入不可
※1.例外の例外:当該リスクヘッジが「有効」でない場合
→損金参入OK

■ポイント
※1.における「有効」の判定方法が法人税法とヘッジ会計上で異なる。
→法人税法上=デリバティブ比較法にて判定する。
→ヘッジ会計上=デリバティブ比較法と基礎商品比較法が認められている。

■本件
・デリバティブ比較法=有効でない
・基礎商品比較法=有効
→納税者はデリバティブ比較法に基づき損金参入した。
→税務当局は、国税庁のHP公開の質疑応答事例により、
 基礎商品比較法により「有効」であれば法人税法上も有効とした。

■結果
・国側の敗訴(控訴検討中)

退職給付会計適用で税効果会計に混乱


■退職給付会計基準の改正
平成25年4月1日以後開始する事業年度の財務諸表より適用

■変更点
・連結:未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を
     負債or資産計上
・個別:変更なし(見積りに差異が発生してもオフバランス)

■問題点
・個別と連結で将来減算一時差異に相違が生じる可能性がある。
→繰延税金資産の回収可能性の判断時における会社分類が
 連結と個別で異なる可能性がある。

■結論
・連結においても個別における会社分類に合わせる。


3.タックスヘイブン対策税制提供除外要件を巡り納税者勝訴


<タックスヘイブンとは>
タックスヘイブン税制とは、法人税率が低い国に子会社を作り、
親会社の所得をその子会社へ寄せて
税額軽減をしようとすることを規制するもの

タックスヘイブン税制の適用を回避するために必要な要件
①実体基準(その子会社が海外で実体的な事業を行っている。)
②管理支配基準(その子会社が海外で事業の管理・支配を自ら行っている。)

<事例:シンガポール子会社A社>
国の主張
①シンガポールに事務所等の固定施設を所有してないため
実体基準を満たさないのではないか?
②株の99%を保有する者が日本法人であり、
意思決定は日本で行われたため管理支配基準を満たさないのではないか?

判決
①A社はレンタルスペースで机1台を借りており、事務所としては十分な広さである。
②株主総会はシンガポールで行われており、
現地の役員が株主総会に参加しているため、
意思決定はシンガポールで行われた。
よって、実体基準・管理支配基準ともに満たすと判定。


4.停止条件付贈与契約、固定資産税の精算etc


■措置法40条とは
 個人が土地建物等の財産を公益法人等に寄付(贈与)した場合、
 その寄付が教育または化学の振興など一定の要件を満たすものとして
 承認を受けたときは、所得税を非課税とする制度

 本来は、寄付をした時の時価で譲渡があったものとみなされて
 その時価が取得価額を上回っているときはその部分に譲渡所得が課せられる。
 しかし、教育や科学など日本の国力アップに役立てるための寄付については
 特例を作って譲渡益課税をしないこととした。

■留意点
 ①棚卸資産は適用対象資産ではない。
  例:商業画家が自己の作品を寄付した場合→適用なし
    その後、画家が死亡してその作品を相続した妻(専業主婦)が
    寄付をした場合→適用あり

 ②株式を寄付した場合は、その株式に係る配当金の全部が
   公益目的事業のために使われないと適用がない。

 ③資産とその資産に紐付きの債務を一緒に寄付した場合は適用がない。
  例:土地とその土地の取得したときの借入金を一緒に寄付した場合
  →適用なし

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【消費税】個別対応方式または一括比例配分方式と決定した理由(95%ルール適用対象外による)


95%ルールの摘要が受けられなくなった企業がそれぞれの方式を
選定した理由は下記の通り。
 ※税務通信取材による

■個別対応方式
・税額の比較で個別対応方式が有利
・今後想定される税率引き上げに伴い、より比較有利になる

■一括比例配分方式
・事務負担の軽減
・区分ミスに拠る否認リスクの回避


【所得税:復興特別所得税の源泉徴収について】

■国税庁公表 復興特別所得税Q&A(抜粋)

<復興特別所得税>
⇒平成25年1月1日~平成49年12月31日までの間に生ずる所得について
源泉所得税を徴収する際、併せて徴収される

Q:平成24年12月分の給与(毎月支払いは翌月と定めている)を
25年1月に支払う場合、復興特別所得税の徴収は必要か?

A:決議等により支給日が定められている給与は、
その支給日の属する年の収入となる。
→25年1月1日以後の給与所得となるため復興特別所得税の徴収が必要。

Q:平成24年12月に役務提供が完了した税理士報酬を翌年1月に支払う場合、
 復興特別所得税の徴収は必要か?

A:役務提供にかかる収入はその役務提供が完了した日の属する年の収入となる。
→24年12月31日以前の所得となるため復興特別所得税の徴収は不要。

<まとめ>

25年1月に支給される給与⇒復興特別所得税の徴収が必要
25年1月に支払う税理士報酬等⇒役務提供が1月に行われたものは
                     復興特別所得税の徴収が必要

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7.税効果Q&A改正案

退職給付会計基準の改正により未認識項目について
 連結:負債計上
 個別:簿外
となったことで、個別と連結とで会社分類がかわり、
回収可能性に相違が生じるのでは?
との疑問があった。

結論は連結における会社区分は個別における会社区分と変わらない
となった。


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2012年12月16日日曜日

12/14 勉強会:評価通達における広大地と貸家建付地の評価方法の是非 ほか



1.評価通達における広大地と貸家建付地の評価方法の是非


■広大地とは
 その地域の標準的な宅地の面積と比較して著しく面積が広い宅地で、
 一定の開発行為をするときに公共的な施設用地の負担が必要となるもの
 ただし、大規模な工場用地やマンション用地は該当しない

■問題点
 ①広大地は法律上の規定ではなく、評価通達に定められている
  →根拠があやふやなため、広大地に該当するかしないかの見解が分かれやすい

 ②広大地に該当した場合としなかった場合の評価額に差がある
  →広大地に該当した場合、最大65%の評価減を受けることができるが
    実際の時価と比べるとかなり安くなる

 ③マンション用地は広大地に該当しない
  →マンション用地でも、
       公共的な施設用地のような施設負担が必要となる場合もある

   →課税の公平性が保たれていないのではないか。

旧商法の払戻限度額超部分も寄付金に


■事例
・親会社Aは、連結子会社の株式消却による減資により、金銭の払い戻しを受けた。
→払戻額が「時価純資産額」よりも低い金額であった。

■税務当局の判断
・「時価純資産額」と「実際の払戻し額」の差額660億円を寄付金と認定

■納税者の主張
・旧商法上の減資払戻規制に基づき実際に払い戻された金額が
適正な譲渡対価の額である。
※旧商法における規制とは?
・減資を行う際、資本の減少額から資本の欠損補填額を控除した
金額を超えて株主に払い戻しを行うことを禁止

■まとめ
・商法における払戻金額に合理性があること≠法人税における適正価額
・消却株式の適正な譲渡対価の額は、時価純資産額を基礎に算定すべき。
・差額は寄附金に該当する。

3.(グループ会社の)広告宣伝費の一部負担は寄付金と判断


■事例
・A社は同一グループに属するB社の広告宣伝費を一部負担した。
→広告宣伝費と主張したが、
「グループ会社の広告宣伝費の一部負担は利益調整」
であり寄付金と高裁判決が出た。

■判断理由について
・チラシにA社の名称、所在地、電話番号等の記載が一切ない。
→B社の提供する商品やサービス等の優越性等を訴える宣伝を意図していると判断。


4.過去から学ぶ消費税UPに伴う経過措置のポイント


①平成26年3月31日以前に取引した商品を返品した・返品を受けた場合
⇒5%で仕入返還や売上返還を計算する。

②平成26年3月31日以前に取引した売掛金が貸倒になった場合
⇒5%で貸倒に係る税額控除を計算する。

③経過措置を適用した場合の通知
⇒まだ正式に交付されていないが、
資産の貸付についてなど経過措置を適用した場合は、
売り手が8%で消費税を計算して、
買い手が5%で消費税を計算するといったことがないよう
書面により通知することが必要となる。

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5.【税務】青色・白色申告者を問わず更正等の理由付記が拡大

■従来は下記について理由付記がされていた
 ・所得税及び法人税の青色申告者に対する、更正処分など一定の処分。

■平成25年1月1日以降
 ・白色申告者についても、過怠税の賦課決定についても、
 理由付記の対象となる。
 ※白色申告者については、記帳の程度により段階的に施行される。

.【年末調整】保険料控除額の記載ミスについて

■生命保険料控除証明書の漏れで過大源泉徴収が生じた場合

給与所得者が確定申告において過大分の還付を受けることは原則できない
⇒この場合、経理担当者が再年末調整を行い、過大分を給与所得者に支払う

なお、過大納付がある場合、源泉徴収義務者は納付した日から5年間、還付請求
をすることができる。

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7.ESOP(信託を利用した従業員への株式付与スキーム)

従業員持ち株会型の会計処理
実務では連結対象としている。

論点:自己株式処分のタイミング
「信託から従業員持株会への処分が行われた時点」
「企業から信託への処分が行われた時点」
との2つの案が示されている。


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8.非上場株式の評価損の計上

■所有する非上場株式について発行法人の経営不振が続き、
 改善する気配がない場合の評価損の計上

・原則:取得価額
→評価損の計上は認めらない

・例外:期末価額
→時価まで引き下げることができる

①法的措置を受けた場合
→破産手続開始の決定、再生手続開始の決定など

②1株当たりの取得時の純資産価額と期末の純資産価額比べて
→期末の純資産価額が50%以上を下回る

かつ、近い将来その価額の回収が見込まれない
(個々の事情を総合的に勘案して判断)

9.子会社株式の減損処理に伴う、連結上のれんの処理

【結論】当初の親会社持分を下回った部分を、のれん残高から控除
    ⇒株式取得時に見込んだ超過収益力の減少を反映する為

(参考)原文のまま
 ・減損処理後の子会社株式の簿価が、連結上の子会社の資本の親会社持分額
  とのれん未償却残高との合計額を下回った場合には
 ・子会社株式の減損処理後の簿価と、連結上の子会社の資本の親会社持分と
  のれん未償却残高との合計額との差額のうち
 ・のれん未償却残高に達するまでの金額について、のれん純借方残高から控除


10.不服申立てと訴訟の違い

(1)匿名性の有無
  →訴訟した場合は匿名性がない
(2)費用負担の有無
  →訴訟して敗訴した場合は費用負担の必要あり
(3)通達の拘束性
  →不服申立ての方が通達が重んじられる

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2012年12月9日日曜日

12/7 勉強会:住宅ローンの借換えと年末調整 ほか



公開買付け実務の弊害を緩和


【現行法①】
・公開買付け等事実の情報受領者が、
  その公表前に被買付企業の株券等を買い付ける行為
→インサイダー取引規制が適用

【現行法による弊害】
・上場会社の買収の実施を決定した者よりその旨を聞いた者
→インサイダー取引規制が適用
→上記を利用して敢えて情報を伝えることがある

・ 公開買付けの実施を決定した者が
 他の者に共同公開買付けを提案したものの
 協議不調となった場合
→当該被提案者はインサイダー取引規制が適用
→上記によって、競争関係にある提案者が
    公開買付け実施の公表を行うまで、
    被買付企業の株券が買えない

【検討案】
・上記のような場合において情報受領者が
  自ら公開買付けを行なう場合
→インサイダー取引に該当しない

【現行法②】
・会社関係者と第一次情報受領者との間での取引
→インサイダー取引に該当しない
・第一次情報受領者と第二次情報受領者の間での取引
→インサイダー取引規制が適用

【現行法による弊害】
(例)上場会社の大株主が持株比率を下げる等のために、
       保有株を大口で売却する場合
→価格変動リスクを避ける観点から、
   市場外で取引をを行うことがある。
→その際、買手に未公表の重要事実を伝えた上で
    取引を行うことがある。
→現行の実務では、当該大株主からの依頼により、
   上場会社が、買主に重要事実を伝達することで、
   第一次情報受領者間の取引とするようなことがある

【検討案】
・第一次情報受領者と第二次情報受領者の間での取引
→インサイダー取引に該当しない


2. 負の利益積立金を超える期限切れ欠損金について


①法人が解散した場合には
  繰り越し期間を超える欠損金(期限切れ欠損金)
  の損金参入ができる。
②通常、期限切れ欠損金=利益積立金のマイナスの金額
③グループ法人税制など導入した場合、
   期限切れ欠損金>利益積立金のマイナスの金額
   となるケースがある。
④期限切れ欠損金≠利益積立金のマイナスの金額の場合には、
  利益積立金のマイナス金額をもって欠損金の額を判断した場合
  税務調査で指摘されるケースがある。

麻酔医の所得区分、裁判所の着眼点は?


■事案
 麻酔医が、各医療法人から得た報酬が事業所得か給与所得のどちらに該当するか

■判断の基準
 ①収益費用の帰属や業務の赤字リスクを負担する。
 ②仕事が誰かの指示に従って行われていない。
 ③仕事の場所や作業時間に決まりがない。

 上記のすべてを満たす場合にのみ事業所得となる

■結論
 麻酔医が医療法人から受ける報酬は給与所得
 …事例数にかかわらず最低報酬があり、
     高額な医療器具は医療法人が購入している。
  
麻酔業務は病院の手術室で行われ、
手術時間も病院が決定している。


デリバティブ取引未決済の負債は株式評価で計上せず


■内容
 非上場会社の株価評価において、純資産価額方式を使う場合、
 未決済デリバティブ取引に係る資産、負債を計算要素に入れるか入れないか

■結論
 相続税の財産評価において、予測値は使用しない。
 よって、未決算デリバティブ取引に係る資産、負債は計算要素に入れない。



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5.【所得税】 住宅ローンの借換えと年末調整

■住宅ローンの借替えを行ったときは、
  以下の条件を満たせば借替え後のローンにも住宅ローン減税が適用される。

・新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のための
 ものであることが明らかであること。
・新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど
 住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。

※注意点
・借替え後のローンの償還期間が10年未満のときは、
 控除が適用されない。(当初ローンとの通算で10年以上であっても不可)
・当初ローンが適用外のものであっても、
 借替え後のローンが上記要件を満たせば、適用可。
・借替えによりローン残高が増えた場合は、按分により適用対象部分を算定する。

【所得税】店頭FX取引にかかる所得の取扱いについて

平成23年6月改正によりFXの店頭取引にかかる所得が従来の総合課税から
申告分離課税に変更された。

(参考)
「取引所取引」とは、投資家の注文を、
金融機関が外国為替証拠金取引(FX)の公設の取引所に取り次ぐものをいう
「店頭取引」とは、取引所を介さず、
利用者(投資家)と金融機関の相対によって取り引きを行うものをいう

■店頭FX取引にかかる所得の区分
<改正前>
雑所得として総合課税
⇒損失の繰越不可・他の先物取引所得との損益通算不可

<改正後>
先物取引に係る雑所得等の金額として申告分離課税
⇒損失の繰越可(3年)、他の先物取引所得との損益通算可

なお、損失の繰越をするためには申告が要件となるため、
赤字の場合でも確定申告が必要となる。
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7.連結子会社同士の合併と持分変動差額

連結子会社同士の合併

(個別財務諸表)
 ・共通支配下の取引として簿価承継

(連結財務諸表)
 ・親会社持分が増加 ⇒ のれん認識
 ・親会社持分が減少 ⇒ 持分変動差額(特別損益)

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8.『比較情報』作成上の実務ポイント

(1)前事業年度には存在した事象
  →当事業年度にはなくなった場合
  ※投資家の理解ために必要であれば、
    前事業年度の事象についても注記

(2)比較情報には性質上なじまないもの
  ・「継続企業の前提に関する注記」
  ・前事業年度に「後発事象の注記」
  →基本的に比較情報は不要


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2012年12月2日日曜日

11/30 勉強会:事業所得の必要経費、「直接」の関係は ほか 



一般口座の株式消滅損、事業・雑所得で必要経費と判断


(前提)
譲渡所得の計算→株式の発行会社の破産等により
個人が所有する株式の価値が失われたとしても、
それによる損失は原則として他の株式等の譲渡益や
給与所得など他の所得の金額から控除することはできない。
ただし事業所得もしくは雑所得に該当すれば必要経費に算入できる。

(譲渡所得と事業所得の区別)
営利性・反復継続性なし → 譲渡所得
営利性・反復継続性あり → 事業所得

(争点)
営利性の有無

(原処分庁の主張)
前提の通り、取得費に算入できない。
(審判所の判断)
今回のケースにおいて、上場株式等の譲渡による所得金額の計算上、
必要経費に算入できる。

(理由)
株式等の譲渡による所得が、事業所得もしくは
雑所得に該当するかの判断方法については、
当該譲渡が営利目的として継続的に行われているかどうかによって判定。
請求人は、証券会社3社において、
多額の取引を行って(売却回数約2800回、売却銘柄60銘柄以上)おり、
保有期間も6ヶ月未満であった。
→明らかに営利目的で株式譲渡を継続的に行っていると認められる。
→株式譲渡による所得は、譲渡所得には当たらず、
  事業所得or雑所得が相当
→損失を事業所得or雑所得の金額の計算上、必要経費に参入できる。

外国籍を利用した贈与税回避スキームを封じ込め


⇒日本国籍がない相続人が相続した国外財産も課税対象にする。

(具体例)
・登場人物
父(日本国籍あり)
子(日本国籍あり・5年以内に国内に住所あり)
孫(外国籍・日本国籍なし。国外に居住)

・相続・贈与財産
国外財産

①従来
父⇒子:課税
父⇒孫:非課税
②改正案
父⇒子:課税
父⇒孫:課税

特定期間中の課税売上高による納税義務の判定


⇒特定期間において次の①、②の金額が共に1,000万円を
 超える場合は、基準期間における課税売上高が1,000万円未満でも
 消費税課税事業者となる。

①課税売上高
②給与等の支払額合計
※特定期間とは
   個人事業者の場合:前年1月1日~6月30日
   法人の場合:直前期の上半期

適用時期は、H25年1月1日以後に開始する事業年度より

事業所得の必要経費、「直接」の関係は必要か


■ケース1
 公認会計士が、賃借している事務所の一部を100%出資している法人と
  社労士に無償で使用させ
 事務所経費の全部を事業所得の必要経費に算入していたケース

①請求人主張
 事業収入と直接的な関係をを要求されているのは売上原価で、
  必要経費(販管費)にはその要件は不要である

②審判所の指摘
 支出が事業所得の必要経費として控除されるためには、
  支出と事業からの収入が直接関係していて
 さらにその業務を行うために必要な費用でなければならない
 →業務に必要かどうかの判断は社会常識などに従って
   客観的に行われるべきである
 →また貸し部分の家賃は借りている人が負担するべき
 →一部の賃借料を必要経費に算入することはできない

■ケース2
 弁護士が支出した懇親会費等を、
 事業所得の必要経費に算入していたケース

①東京地裁の判示
 懇親会費が必要経費として控除されるためには、
  その支出が弁護士業務と直接関係し、
 かつ、業務を行うために必要である
 →業務に必要かどうかの判断は社会常識などに従って
   客観的に行われるべきである
 →懇親会に参加しなくても業務に支障はない
 →懇親会費は必要経費に算入できない

②東京高裁の判示
 懇親会費が弁護士業務を行うために必要なら、
 その業務と関連する支出となる
 →懇親会に参加して他の弁護士と親睦を深めることは、
   弁護士業務の一部である
 →懇親会費は必要経費に算入できる

※国側が最高裁に上告受理申し立て中

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5.【消費税/印紙】インターネット取引と 仕入税額控除 / 印紙税

■仕入税額控除
・インターネット取引による課税仕入について
  電子データ以外の証憑の保存が出来ないときは、
 帳簿にその旨と相手方の住所を記載することにより、仕入税額控除が認められる。

■印紙税
・FAXや電子メールにより領収書を発行した場合には、印紙税は課されない。
 (課税文書は存在しない)
・ただしのちに正本を紙で交付するような場合には、正本は課税文書に該当する。

太陽光発電の屋根貸し賃料について

太陽光発電設備を設置するために「屋根」を貸した場合の
税務上の取扱いは次の通り。

■消費税
⇒課税売上(居住の用に供するための貸付でないため非課税とならない)
※居住用マンションの屋根(屋上)であっても課税売上となる。

■所得税
⇒不動産所得として収益計上

■法人税
⇒収益計上

税務調査の事前通知と税務代理権限証書について

国税通則法の改正により税務調査を行う場合の事前通知が明確化された。

■通知対象者
①納税義務者
②税務代理人⇒「税務代理権限証書」を提出した税理士等のこと

法定化により、原則として「税務代理権限証書」を提出した税理士等でなければ
事前通知されないこととなる。
※但し、申告書に署名があれば運用上は事前通知される。

⇒弾力的に取り扱われるが、「税務代理権限証書」を提出しておくのがベター。

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8.借手のリース処理、不動産か否かで使い分け(新リース基準案)

・使用権モデル
・使用権資産とリース債務を計上する

①I&Aアプローチ(前倒しの費用計上)
 ⇒不動産以外のリース
  使用権資産:規則的な方法で償却
  リース債務:実効金利法による償却原価で測定

②SLEアプローチ(定額のリース費用)
 ⇒不動産のリース
  ・リース債務:実効金利法による償却原価で測定  
  ・毎期定額のリース費用を認識する

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9.スクイーズアウト手法の税務ポイント

【スクイーズアウトとは】
 現金を対価に少数株主を排除し、完全子会社化を達成する取引

【結論】
 株式等売渡請求が最も有力な選択肢

【取引手法】
 ①現金合併
  →対象会社が時価評価課税を受ける
 ②現金株式交換
  →対象会社が時価評価課税を受ける
 ③全部取得条項付種類株式を用いた手法
  →端数処理の際、買収会社が譲渡益課税を受ける
 ④株式等売渡請求(利用可能予定)
  →問題は生じない
 ⑤株式併合(利用可能予定)
  →端数処理の際、買収会社が譲渡益課税を受ける

10.子会社不正リスク管理の重要性と対応ポイント

■4つのポイントについて

①不正が起こりやすい背景を理解する
→不正が起こっていそうな箇所の目星をつける
・小口現金の抜取、在庫・備品の流用、偽造請求書を用いた支払い

②不正が隠蔽されやすい背景を理解する
→どのような隠蔽工作が行われるか把握する
・現金出納帳の改ざん、在庫帳の改ざん、偽造請求書の作成

③不正の兆候を見逃さないために
→不正は内部統制上の欠陥を探し当てたうえで実行される。
・内部統制上の欠陥、不正を実行した痕跡について検討する

④不正の早期発見・早期対応のために
→不正の内容と手口に関する仮設を構築する
・社内、社外の関係者との共謀・書類の偽造について検討する


11.移転価格による修正か寄付金による修正か

国外関連者との取引の修正に関して、移転価格税制の適用か寄付金にされるか

<区分の判断>…現実的には明確ではない
・独立企業間取引とは異なる金額でも対価の支払いが
ある⇒移転価格税制
ない(無償の資金提供・債務免除)⇒寄付金

※ただし、対価の支払があっても無償の供与や贈与と解釈できる場合は
国外関連者への寄付金として取り扱われることもある。

<対策>
・統一した移転価格ポリシーに基づく文書化
・課税当局への事前・事後相談


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