2014年2月22日土曜日

2/21 勉強会:日本版IFRS、四半期開示は受け入れ 他

1.給与課税の現物給付でも仕入税額控除可

企業が自社商品を従業員へ値引き販売するケース
①通常販売価額の70%以上で販売(他の要件も満たす場合)
 ⇒値引き額は、売上値引として処理
 ⇒自社商品に係る仕入れは『仕入税額控除』の対象

②通常販売価額の70%未満で販売
 ⇒値引き額は、給与として処理
 ⇒自社商品に係る仕入れは『仕入税額控除』の対象(①と同様)


2.税理士への訴訟トラブル、最近の税賠事例からみる注意点

■まとめ
 ・所得金額が増加する場合は納税者に同意を取る
 ・節税スキームについて、摘要要件などを細かく説明する
■事例1
 ・税理士Aが医師から所得税の申告を依頼される
 ・医師が提出した「窓口収入」の資料と診療報酬から計算される「窓口収入理論値」に差異
  窓口収入<窓口収入理論値
 ・税理士Aは医師に確認することなく、窓口収入理論値により申告書を作成
 ・裁判所の判断
  税務申告として不適切な方法ではないが、収入金額の差異について医師に確認、説明する義務が税理士Aにはあった。
  →医師の損害賠償請求を認めた

■事例2
 ・税理士Bがクライアントに節税スキームを提案
  →従業員を退職させて、その従業員に退職金を元手に新会社を設立させる
 ・クライアントは節税スキームを実施、その際、退職者の中に勤務実態のない従業員を混ぜた
 ・裁判所の判断
  税理士Bは、節税スキームを提案したが、クライアントが悪用した。
  悪用されることを前提に提案したわけではないので、税理士Bに瑕疵はない。
  また、税理士Bは退職金として認められる要件をクライアントに説明している。
  →クライアントの損害賠償請求を棄却


3.日本版IFRS、四半期開示は受け入れ

IFRSで必要な期中財務報告
①要約財政状態計算書
②要約純損益およびその他の包括利益計算書
③要約持分変動計算書
④要約キャッシュ・フロー計算書
→日本で上記を受け入れると事務負担が増大。
 四半期会計期間の損益計算書(包括利益計算書)、1Q及び3Qにおけるキャッシュ・フロー計算書、要約持分変動計算書の追加が必要なため。

しかし日本版IFRSにおいても、上記財務報告を受け入れる方向となっている。


4.業績不振の被合併会社に減価償却不足額や棚卸資産の過大計上額が存在する場合における、合併後の税務上の処理について

■テーマの前提
・被合併会社は業績不振であったため、減価償却を行っていなかったり、棚卸資産が過大計上されていたりする。
・会計上は取得として時価(適切な償却後の簿価や適切な評価額)で引き継がれている。

①減価償却不足額の取扱い
適格合併である場合、固定資産は簿価で引き継ぐ
→結果、合併事業年度以降で過年度償却超過額として、認容されていく

②過大計上されていた棚卸資産の取扱い
仮装経理に該当する場合は、被合併法人の過年度の決算の修正により、更正の請求を行う。


5.収用における買取等の申出のあった日

Q:公共事業者に資産を譲渡することとなり「収用交換等の場合の譲渡所得の特別控除」の適用を受ける場合、当該制度の要件にある「最初に買取等の申出があった日」の時期はどのように判断すべきか?

【制度概要】
・収用等により資産を譲渡した場合、その譲渡が公共事業者から「最初に買取等の申出のあった日」から6か月以内に譲渡を行うことでその資産の譲渡所得の金額から最大5,000万円の特別控除が受けられる

A:「最初に買取等の申出があった日」は法令上特段の基準は設けられていない
→実質的に判断
・個別交渉等の場面で公共事業者が買取資産を特定
・買取資産の対価を明示
→以上により買取の意思表示となり「最初に買取等の申出があった日」と判定される。


6.相続税:特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡している場合の課税関係

<用語>
相続時精算課税・・・贈与時には課税せずに、相続時に課税する制度(課税の繰延べ)
特定贈与者・・・相続時精算課税にかかる贈与者。下の図の甲
相続時精算課税適用者・・・特定贈与者から贈与を受けた者。下の図のA

被相続人甲
  ||_____ A
  ||          ||
 Aの母乙     Aの妻B

■通常の流れ
甲死亡⇒相続時に相続時精算課税適用財産に対しAに課税

■甲より先にAが死亡している場合(設例のケース)
Aの相続人が法定相続分に応じて納付義務を承継する
Aの妻B 2/3
Aの母乙 1/3


7.法人税:建物の有姿除却

■固定資産の有姿除却はどのような場合に認められるか
⇒「実際に事業供用されていない」という事実に加え、その事業供用の可能性の客観的な有無が重要。

例)
店舗移転をした場合に、閉鎖した旧店舗について解体前に有姿除却が可能か?
⇒有姿除却は困難。
会社の経営判断という主観で使用を止めているのみで、例えば倉庫等として活用する可能性が残っている。
固定資産としての客観的な使用価値は残っている。

※製造機械と一体となっている建物について、その製造ラインが廃止されたようなケースではその建物の有姿除却が認められるものと考えられる。


8.東証 新規上場時の株主数基準引き下げへ

・「IPOの活性化等に向けた上場制度の見直しについて」を公表。
・新興市場への新規上場時の株主数基準を現行の300人から引き下げる。
 「200人以上となる見込み」があれば足りるものとする。
・上場廃止基準は現行どおり150人を維持。
H263月をメドに実施予定。
・「上場後3年間は内部統制報告書に係る監査義務を免除する」等の施策が検討中。


9.ソニーの営業利益に見る、日米会計基準の違い

2012年度営業利益 2,301億円(うち主な資産売却益 2,380億円)
2013年度営業利益(見込)800億円(同200億円)

ソニーは米国会計基準を採用している。
→日本の会計基準では「特別利益」として計上される一部の資産売却が「営業利益」に計上される

「固定資産の売却」、「減損処理」、「従業員のリストラなど構造改革費用」
→(日本)一過性のものとして「特別利益」「特別損失」に計上
→(米国)営業損益に計上 特別損益という考えがそもそもない。
米国企業ではリストラが常態化しているのも理由??

IFRSでも、特別損益はない。
(例えば地震等異常な事象から損失が発生したとしても事業を行う上では避けられない管理すべきリスク。
それを別表示することは極端に言えば経営責任を回避しているかのような誤解を与えるという考え方に基づく?)







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2014年2月14日金曜日

2/14 勉強会:保守サービス契約、施行日またぐ際の消費税率は? 他

1.保守サービス契約、施行日またぐ際の消費税率は?

『役務提供』に関する売上についての適用税率
⇒役務の全部を完了する日で判定
263月以前:5%  /  264月以降:8%

【例】1年契約の保守サービス
①原則
・保守契約終了時点で判定
②毎月、保守料金を請求する場合
・月ごとの締め日で判定
③年間の保守料金を前受し、毎月収益計上する場合
(契約上、月額○○円として保守料金の定めがある場合)
・月ごとに判定
④年間の保守料金を前受し、中途解約しても料金の返還が不要な場合
・継続して前受金を一括収益計上すれば、前受した時点の税率を適用


2.地方法人税は欠損金の繰戻し還付の対象

・平成26年度改正で創設される地方法人税が、欠損金の繰戻し還付の対象になること
X13月期 課税所得1,000,000円 (資本金3,000,000円)
 納付税額(100円未満切り捨て)
 ・法人税            1,000,000 × 15.0% = 150,000
 ・地方法人税          150,000 ×  4.4% =   6,600
 ・法人住民税法人税割   150,000 × 12.9% =  19,300

X23月期 欠損金額△500,000円 
 還付税額
 ・法人税         150,000 × 500,000 ÷ 1,000,000 = 75,000
 ・地方法人税       75,000 × 4.4% = 3,300
 ・法人住民税法人税割  なし


3.相続開始後に支給された役員賞与等

Q:被相続人死亡後に相続人が受け取った、賞与、給与は退職手当金等のみなし相続財産に該当するのか?

【事例】
・A社の役員である甲が、H25320日に死亡
 死亡後に下記の給与、賞与を支払った。
320日締めの給与を325日に支払った。
・A社はH25525日の株主総会で役員賞与の支給を決議し、6月に甲の配偶者へ支払った。

【相続税法上】退職手当金等のみなし相続財産には該当せず、本来の相続財産に属する。
→よって退職手当金等の非課税の規程は適用されない。

(参考)
【所得税法上】相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるもの=所得税は課されない。


4.持分比率の調整、適格・非適格の分岐点は

○背景
複数企業間の経営資源の融合による競争力強化や、過当競争・過剰供給構造を解消するため、平成26年度税制改正で事業再編促進税制が導入される。

○制度の概要
A社及びB社がそれぞれの1事業部を統合した新会社を設立し、対価として新会社の株式を受け取った場合、株式の取得価額の70%に達するまで、最長10年間に渡り、特定事業再編投資損失準備金として損金算入できる(最終的には5年で益金算入)。
+増資や不動産登記に係る登録免許税の減免
適格要件の一つとして持株の継続保有

○事例(三菱重工と日立製作所の火力発電事業の統合)
①三菱重工の100%子会社に、三菱重工及び日立製作所が事業を分割承継
②対価として日立製作所が新会社株の取得
③計画上の持分(三菱65% 日立35%)にするため、不足分を日立が三菱重工から金銭にて取得。

③の行為は「持株の継続保有」に反しないか?
→反しない。三菱にとって譲渡した株は会社設立時に取得したものであり、今回の吸収分割により取得したものでないから。

逆に、設立時入手株式<譲渡株式 となるような場合は、非適格再編となるので注意。


5.中小企業投資促進税制で適用ミスが散見

■制度概要
特定の資産を取得した場合以下の対象法人が特別償却または税額控除を受けられる

特別償却:資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
税額控除:上記の中小企業者のうち資本金の額もしくは出資金の額が3,000万円以下の法人又は農業協同組合等

■課税当局が認識した適用誤り
①資本金3,000万円超えの会社が税額控除を適用した
 →適用対象外の会社
②医療機器を取得した会社が中小企業投資促進税制適用
 →医療機器は機械装置ではなく器具備品の為適用対象外
3.5トン未満の自動車を取得して中小企業投資促進税制を適用
 →適用対象は3.5トン以上の一定の貨物自動車に限定

■適用誤りを防ぐためには、
A 自社が中小企業投資促進税制の適用対象会社であるかを確認する
B 中小企業投資促進税制を適用する資産が適用対象資産であるか確認する

◎なお中小企業投資促進税制の適用対象期間は平成26331日までである


6.(相続税)医療法人版事業承継税制を創設

<現行>
医療法人の出資持分を有する者から相続を受ける場合、多額の相続税が課され、事業承継が困難となる。

■改正内容
・その医療法人が「認定医療法人」に該当し、
・相続開始後概ね3年以内に「持分の定めのない医療法人」に移行予定である場合
相続税の納税が猶予または免除されることになる

用語
「認定医療法人」
・良質な医療を提供するものとして厚生労働大臣の認定をうけた医療法人

「持分の定めのない医療法人」
・平成1941日以後設立の医療法人は出資金など資本持分を有することができなくなった(医療法人の株式会社化を是正するなどのため)

この改正案は従前の「出資持分のある医療法人」から現行の「持分の定めのない医療法人」へのスムーズな移行を促す目的で創設される。


7.(法人税)交際費 50%損金算入の対象を『接待飲食費』と規定

■新設される50%の損金算入の対象は、5000円基準の対象と同様。
5000円基準の適用がされなかった部分が対象。
■中小企業は800万円定額損金算入との選択適用だが、ほとんどのケースで定額損金算入が有利。
※帳簿要件の詳細は検討中。


8.東証 社外取締役を1名以上確保求める

上場規程を一部改正
「上場会社は、取締役である独立役員を少なくとも1名以上確保するよう努めなければならない」


9.為替デリバティブのノック・アウト条件

(一例)
 「1ドル=95円でドルを5年間購入し続けられる権利」を購入
 ⇒有利な権利、不確定要素の高い権利の購入は手数料が高い
 ⇒そのため条件をつけた
  「1ドル=120円」になると権利が消滅 (=ノックアウト条件)

(リスク)
・手数料を払って購入した「1ドル=95円」の権利が消滅
※交換レート(95)と、消滅条件(120)が離れているほどリスク大
※抵触しやすい消滅条件を設定して、リスク顕在化のダメージを小さくする方がいい


10.棚卸資産を滞留させない為の施策

 ・棚卸資産の削減が進む業績評価基準に変更する
 ・市場動向の見直し頻度を高める
 ・商品の購入ロットの変更を交渉する


11.M&A用語

①取引保護条項
M&A取引が確実に実行されるようにすることを目的として規程される種々の契約条項

②ブレークアップ・フィー
売主が買主候補者との合意にも関わらず、第三者との間で先に同じ取引を成立させてしまった場合に、売主から買主に支払われる違約金

③リバース・ブレークアップ・フィー
買主が取引を実行できなかった場合に売主に払う違約金


12.メールと電話など他の手段との使い分け

●メールに頼りすぎない
 ・便利で手軽だからこそ、使用の判断は慎重に行う
 ・軽んじられている・誠意が伝わらないと思われる可能性がある

●メールではない方が良い例
 ・電話
  緊急の場合、相手の反応を確認しながら伝えたい場合
 ・対面
  誤解を招いたら取り返しがつかない場合、お詫びの場合

●メールで返事をしなければならない決まりはない
 ・先方からメールで連絡が来ても、場合によっては上記のような使い分けが必要


13.70歳まで働く シニア起業の勧め

【経験者のアドバイス】
・エグジットを決めることが大切「5年以内に株式公開する、売却する、いくらで…」など。
・一人で起業して上手く行った例はない。必ずチームで。
・事業計画をしっかり立てる人ほど成功率は高い。

【押さえておきたい支援制度】
・創業補助金(中小企業庁)
→限度額200万 上限助成率2/3 倍率は1.5
・地域中小企業応援ファンド(中小企業基盤整備機構)
→限度額800万 上限助成率1/2

※弁護士、弁理士などの専門家との顧問契約のための費用や広告費等、創業及び販路開拓に必要な経費を補助。

※採用基準:地域の雇用に貢献しているかなど







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2014年2月7日金曜日

2/7 勉強会:平成26年度法人税改正の概要 他

1.261月以降も短期譲渡の買換特例OK

【買換特例】前提:個人事業主
・事業用の資産(店舗・事務所、その敷地など)を譲渡
・譲渡益が発生
・買換え資産を取得
⇒最大で、譲渡益の80%につき、課税を繰り延べられる

【条件】
・譲渡資産、買換資産に制限あり
10種類の組み合わせ)
・譲渡資産が土地の場合、原則5年超所有していなくてはならない
2812月までは、一部の組み合わせについて、5年以下所有の土地でも適用可

※組み合わせ例
・誘致区域外の土地譲渡 ⇒ 誘致区域内の土地購入
・市街化区域内の農地譲渡 ⇒ 市街化区域外の土地購入


2.医療機関消費税&軽減税率、税率10%時対応の行方

■平成27101日より消費税率が10%へ
 ・平成26年度与党税制改正大綱では、軽減税率制度の検討が明記された
 ・軽減税率を適用するには、対象品目、納税事務など制度設計において早期の合意が必要となりそう
 ・8%への引上げ時の対応…診療報酬の上乗せ

■消費税率が上がった場合の問題点
 ・社会診療報酬(売上)が非課税取引、設備投資(仕入)が課税取引
  …控除対象外消費税等の問題が生じる(課税仕入が取りきれない)
  …その結果、納付税額が高額になる場合もある(キャッシュフローが悪化する)
 ・診療報酬の上乗せはより広範囲の医療機関に手当されるが財源に限りがある、設備投資が多い医療機関に十分な補てんができないなどの問題点がある
 ・税率が10%になった場合、社会診療報酬を課税化するなど抜本的な解決を行う必要があるが、利用者の理解が得られるか微妙な部分もある


3.相続税:初七日の法会における納骨費用の債務控除

■Q&A
Q:初七日の法会に際し納骨を行った場合に、その費用を葬式費用として相続税の課税対象から控除できるのか?
A:納骨費用と法会に要した費用が請求書等で明確に区分されている場合は、納骨に要した費用を債務控除できる。

■葬式費用の債務控除
被相続人の葬式費用は、負担した相続人の相続税の課税価格から控除できる。

■葬式費用の範囲は?
(債務控除の対象)
埋葬、火葬、納骨に要した費用等
(債務控除の対象外)
香典の返れい費用、墓碑及び墓地の買入れ費、初七日、四十九日、1周忌、3回忌などの法会の費用


4.リースによる先端設備等投資スキームの会計処理案が明らかに

○会計処理案検討の背景
経済産業省が先端設備の導入を推進するためのスキームを整備しているが、このスキームは主にリース会社に対して補償するないようとなっており、借手である事業会社への手当ができるよう、税制面や会計面の制度設計を要望。

○スキームの概要
先端設備(3Dプリンターや手術支援ロボット、介護ロボットなど)をリース会社が事業会社にリースし、リース期間終了後にリース会社が当該物件を売却した時に損失が出た場合、損失の半分を国が負担。
稼動に応じた変動リース料の制度も導入

○メリット
中古品の売却を前提としたスキームであるため、オペレーティングリースによる導入を前提としていると思われる。

リース会社;リスクの軽減
事業会社側:オペリによるオフバランス化、有利なリース料(リース会社の残価設定による)、早期の費用化。

○検討されている会計処理
・ファイナンスリースの判定については、既存のものと同じ
・再リース期間のリース期間を解約不能リース期間又はリース総額にに含めるかの判断も既存通り
・本スキームにおけるリース料で合理的なもののみ、リース料総額の判定に含める


5.適用要件が厳しくなるLED照明設備の投資減税

平成26年度税制改正にて、グリーン投資減税制度からLED照明設備など12設備が除外
■グリーン投資減税制度
取得価格の30%特別償却
7%の税額控除(中小企業者等)

◎生産性向上設備等促進税制の適用対象でもあるため優遇処置が全廃されるわけではない

■生産性向上設備投資促進税制
・制度内容
即時償却あるいは5%の税額控除

・適用要件
A先端設備
B生産ラインやオペレーションの改善に資する設備

要件A:先端設備
   最新モデル
   生産性向上
   最低取得価格以上

要件B:生産ラインやオペレーションの改善に資する設備
   投資計画における投資利益率が年平均15%以上
   最低取得価格以上

生産性向上設備投資促進税制では、グリーン投資減税制度に比べて①要件が厳しくなる②中小企業者等への税額控除の割合が低下する

以上より優遇処置の幅が狭くなる
→グリーン投資減税制度除外対設備を購入予定であり、かつ優遇を受けるには平成26331日までに投資を行う必要がある。


6.相続税:25年度改正(租税特別措置法)

■改正要旨
区分登記されていない2世帯住宅については、たとえそれぞれが独立して生活していても被相続人が建物全体を居住の用に供していたものとみなすこととなった。
<例>1Fに子A(別生計)、2Fに父(被相続人)が居住のケースで子Aがその敷地及び建物を相続した場合の小規模宅地の減額特例について

※小規模宅地の減額
(適用要件 抜粋)
被相続人又は同一生計親族が居住の用に供していた建物の敷地について適用がある。

敷地のうち父居住対応部分・・・○(被相続人の居住用)
敷地のうち子A居住対応部分
(改正前)別生計である子Aの居住部分×(別生計のため適用なし)
(改正後)別生計である子Aの居住部分○(被相続人の居住用とみなして適用あり)
→改正により二世帯住宅について実態判定はしないこととなった。
※区分登記してある場合は改正前と同じく実態判定となる(子Aの居住部分には適用なし)


7.印紙税:金銭又は有価証券の受取書』に係る免税点の引き上げ

H26.4.1以降、領収書に係る印紙税の免税点が引き上げられる。
  
現行   :3万円未満は免税
  
改正後:5万円未満は免税
・契約日等ではなく、領収書の作成日で判定。
4/1を跨ぐ再発行の場合は、再発行日で判定。
 
※ただし、再発行日を明記する


8.H26.3期決算 会計&税務ポイント

■退職給付会計
・未認識項目の即時認識の改正は連結財務諸表のみ。単体は従来通り。
 =連結のみ負債として扱う

■復興特別法人税の廃止による税効果への影響
・税制改正法案がH26.3.31までに公布された場合
 ⇒来期の実効税率変更(38.01%から35.64%へ)
DTADTLは金額変わる⇒差額は法人税等調整額へ
・注記必要(修正額を注記)


9.(製薬業界)CFの改善を狙ったサプライチェーン改革

・フリーキャッシュフロー
 = 税引後営業利益 + 減価償却費 - 設備投資 - 運転資本増減
 ※フリーキャッシュフローの改善には「運転資本の削減」が重要

(製薬業界)開発への投資が大きいため運転資本改善は重視されなかった
 ①適正を超えた高いサービスレベル(需要があれば必ず納入/命にかかわる)
 ②過剰在庫に対する意識の低さ(製品ライフサイクルが長い)
 →施策:適正なサービスレベルの見直し(在庫量)
 →施策:計画システム導入によるガバナンス強化


10.平成26年度法人税改正の概要(主なもの)

■平成26年度法人税改正の概要(主なもの)

 ・少額減価償却資産の損金算入の特例
   ⇒平成28331日までに取得したものまでに延長

 ・所得拡大促進税制
  ※平成24年度の給与を基準に、給与支給額が所定割合増加している場合は増加額の10%を税額控除
   ⇒平成2641日以後終了事業年度より適用
   ⇒増加要件2%~5%に(当初5%)
   ⇒退職者、再雇用者、新卒者除いて増加要件判定

 ・復興特別法人税が1年前倒しで廃止
   ⇒20143月末までに公布予定(税効果注意)

 ・生産性向上設備投資促進税制の創設
  ※一定の設備投資をした場合、即時償却又は5%の税額控除(建物と構築物は3%)
   ⇒平成2641日以後終了事業年度より適用
   ⇒先端設備、生産ライン等の刷新・改善に資する設備


11.大規模組織変更が予定される場合の内部統制評価の見直しについて

評価範囲は、経営者が計画段階で予定している子会社等の売却についても、一定程度考慮して決定する。
(例)期末日時点には売却済み予定の重要な事業拠点について、評価対象外に出来るか?
→期末のPLにどれだけ金額が計上されるか
→当該計上額がPLに与える影響が質的・量的に重要性があるか

(例)期末日時点には売却済み予定の重要な事業拠点のPLに与える影響が小さい
→当該事業拠点が単独セグメントを形成する場合は質的に重要と判断


12.誤解を抱かせやすいメールとは

●誤解を招いている可能性のあるケース
 ・メールを送った後に質問が多い
 ・返事をなかなかもらえない
 ・メールで相手を怒らせてしまったことがある

●原因…曖昧・抽象的な文章
 ()・朝一で電話をします
   ・至急作業をお願いします

●読み手によって解釈が異なることが前提


13.強い農業 世界で勝つためのヒント

 ■農業は成長産業
・世界の食市場: 2009 340兆円 → 2020 680兆円
※人口増だけでなく、中間層増加によって市場拡大
・「好きな外国料理」トップは日本食(21.1%) (イタリア 12.8 タイ10.5 中華9.3 フランス6.3

■日本農業の現状
・就農者平均年齢66.2

最近の大きな動きは、
①大規模化
→ 耕作放棄地が広がり、若手農家に集約の動きが少しずつ出てきた
IT化、技術開発
→稲穂1本あたりの米粒が2倍の「多収米」:吉野家の牛丼で採用

・しかし技術的にはまだ未成熟 
→たとえばトマト オランダでは同面積あたり8倍の収穫量

■オマケ
・農協のコメ集荷率は43.9% 農協離れが進んでいる

・一方、農協の預貯金は88兆円。「地元の金融機関」としての存在感は大きい。







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2014年2月3日月曜日

1/24 勉強会:平成25年分所得税確定申告のチェックポイント 他

1.ベンチャー投資促進税制の適用要件のすべて

【制度概要】
・認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業へ投資
⇒投資額の80%を「損失準備金」として積立てできる
⇒積立事業年度に損金
⇒翌事業年度に全額益金

【ベンチャー企業の要件】
①以下は対象外
・大規模法人から50%超の出資を受けている法人
・複数の大規模法人から2/3以上の出資を受けている法人
※大規模法人… 資本金1億円超 等

②以下のいずれかに該当
・特定中小企業(製造業:資本金3億円以下、サービス業:資本金5千万円以下等)
・特定中堅企業(資本金5億円未満)

【ベンチャーファンドの要件】
・特定中小企業への投資額が、全体の60%以上
・「成長途上にある」ベンチャー企業への投資が、全体の50%以上
・認定を受ける前に投資をしていない
・受ける投資の総額が20億円以上


2.平成25年分所得税確定申告のチェックポイント

■平成25年改正分
 ①譲渡所得関係
  債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例
  オーナー会社の社長など、会社の債務の保証人になっている個人が保有する資産ですでにその会社に利用されているものを債務処理計画に基づいてその会社に贈与した場合
  下記の要件を満たして一定の手続を行えばみなし譲渡は適用しないことになった
  1、その個人が債務処理計画に基づき、その会社の保証債務の一部を履行していること
  2、贈与後も引き続き債務の保証人になることが債務処理計画において見込まれていること
  3、贈与を受けた資産をその会社が引き続き利用し続けることが債務処理計画において定められていること

 ②その他
  電子証明書等特別控除の廃止

■平成24年改正分で平成25年から適用になるもの
 ①給与所得控除の見直し
  給与収入が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限が設けられた

 ②給与所得者の特定支出の控除の特例
  特定支出の合計が一定額を超える場合は、給与所得控除にその超える部分の金額を加算することとされた
  一定額…給与収入が1,500万円以下の場合→給与所得控除額の2分の1に相当する金額
     …給与収入が1,500万円を超える場合→125万円

 ③特定役員退職手当等に係る退職所得の金額
  一定の役員で勤続5年以下の者が退職手当の支払いを受ける場合、退職所得の計算は下記の通りとされた
  退職金の額-退職所得控除額
今まで(退職金の額-退職所得控除額)×12

 ④国外財産調書の提出制度
  1231日において国外財産の合計が5,000万円を超える場合は、国外財産の種類、金額などをを記載した調書を提出しなければならないこととされた


3.自宅兼事務所の家賃、必要経費と認めず

■個人事業主が事務所を兼ねた自宅の家賃を事業所得の必要経費として主張した。
→裁判所は必要経費として該当しないと判断

・自宅の家賃を必要経費に算入する要件
主たる部分が事業の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分が明確に区分できること

・今回の事例では、2階建ての住宅の1階部分を事務所、2階部分を住宅としていたが、1階部分はリビング、ダイニングキッチンであり1階部分を業務専用として利用していたとは考えられないと指摘を受け必要経費として該当しないと判断された。


4.施行日前に支払を受けた前受金

■平成2571日から平成26630日までの期間、物の引き渡しのない役務の提供を行った場合の消費税の取扱(5%8%)
・役務の提供時期は、役務の提供を全部完了した日
→前受金に対しても役務の提供を行った時期
→役務提供の未経過部分は返金される契約
→日々の役務の提供は完了していると考えられる

⇒平成2571から平成26331
消費税率は5%にて計算

⇒平成2641日から平成26630
消費税率は8%にて計算

※税込で前受金を受領している場合、消費税の追加を請求しなければ売上計上額が減額となることに注意


5.近年の組織再編税制の分かり難さの原因となっている改正項目

平成13年に創設された組織再編税制であるが、平成18年及び平成22年度の税制改正から、その内容が分かり難くなったとの声が上がっている。

■平成18年改正項目
①増資の場合の資本金等の額の増加額に関する改正
会社法の考え方に足並みをそろえる改正。

金銭による出資⇒出資額を資本金等の増加額
現物出資⇒出資資産の時価が資本金等の増加額
結果として、払込み額が株式の時価に比して高いor低いかは問題とならなくなった。

②資産調整勘定の創設
非適格合併等により合併法人等が交付した対価の額が、移転を受けた資産・負債の時価純資産価額を超える場合のその差額を資産調整勘定とし、5年間の月割りで損金算入するという規定が創設された。
会計上の「のれん」に近いが、とは以下の点で異なる。

・寄附金
資産調整勘定の金額からは支出寄付金の額を除くため、事業をその価値よりも高額で買い取ってきた場合の差額部分は寄附金として扱われ、寄附金の損金不算入の適用を受ける。

・対価が株式の場合
合併の約定時から交付時までに2倍超値上がりした場合には、その値上がり部分相当額(を資産調整勘定から除く

・被合併法人の欠損金の取扱い
欠損金の一部が資産調整勘定としは認められない可能性がある。


・償却期間等
のれん⇒20年以内
資産調整勘定⇒5年償却のみ(強制償却)

■平成22年改正項目
①みなし配当事由による株式譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額の益金又は損益不算入
完全支配関係法人間でみなし配当事由によって生じる株式の譲渡利益・損失は永久に益金・損金不算入となる。

②適格現物分配の創設
平成22101日以降で100%支配関係のある内国法人間で行われる現物分配を適格現物分配として取扱い、他の適格組織再編と同じように、譲渡損益が繰延べられる。

③分割型分割におけるみなし事業年度の廃止
事業年度の途中で分割型分割が行われた場合、分割法人において期首から分割の効力発生日の前日までの期間及び分割の効力発生日から期末までの期間をみなし事業年度として申告する必要があった。
しかし、連結納税適用法人がグループ内で分割型分割を行った場合にみなし事業年度については連結納税が適用されず、納税者にとって不利となっていたため、改正された。

④無対価分割の適格判定の取扱い
無対価分割とは、会社分割の対価として交付されるべき株式ないし金銭等が交付されずに行なわれる分割のこと。
平成22年度税制改正前まで法人税法上明確な規定が存在しなかったため、適格組織再編の要件を満たすのか議論があったが、今回の改正で分割型分割に該当する場合と、分社型分割に該当する場合にそれぞれ区分されて新たに定義され、また、原則として資本関係の変わらないものは適格再編成、資本関係の変更を伴うものは非適格再編成と整理さた。
加えて、無対価分割の適格性を判定するにあたっての持株要件も明確になった(100%親子関係等)


6.地方法人税(仮称)の創設

平成26101日以後開始事業年度より適用
<改正前税率>     <改正後>
道府県民税 5%     道府県民税 3.2%
市民税  12.3%     市民税     9.7%
            地方法人税  4.4%⇒国税として納付
課税標準はいずれも法人税額※

■連結納税との関係
グループ内に赤字法人がある場合は税負担額が減少する。
子会社X社の所得 △1000
改正前⇒地方税には連結納税の適用がないため税額の減少なし
改正後⇒4.4%部分が国税となるため1,000×法人税率×4.4%分税額が減少


7.【法人税】所有権移転外ファイナンスリースの事業供用日

所有権移転外ファイナンスリースで資産を取得したケースで会計上簡便的にPL処理される場合にも、税務上は支払リース料を減価償却費とみなした上でリース資産の取得として取り扱われる。

通常各月のリース料はそのまま損金算入できるが、下記のケースでは債務確定したリース料の損金算入が認められない。
・リース資産の引渡し後(リース料の発生開始後)に対象資産のカスタムが必要なことが判明し、事業供用てまきないまま決算期を越えてしまった場合。
・リース料は減価償却費として損金算入されるため、通常の費用に適用される債務確定基準は適用されず、事業供用年からの減価償却により損金算入されるため。(リース期間定額法)


8.機能通貨

・企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨
・所在する国の通貨ではなく、販売価格や原価に影響が強い通貨を優先する
IFRSでは機能通貨で決算書作成。日本基準では会社計算規則57条を根拠に円で表示。

■日本版IFRS のれん非償却を修正する案も
IFRS:のれん非償却&減損
 日本基準:のれんは20年以内償却&減損
・国内では非償却は適切ではないという意見多い

以下の2案で検討中
案1:のれんを償却するよう「削除又は修正」する
案2:IFRSをそのまま受け入れる(IASBが修正を検討中だから)


9.損害賠償請求訴訟の対応

 〈訴訟を提起された場合の会計処理〉
  敗訴・和解の可能性が、、、
  ①低い⇒会計上の処理不要
  ②ある程度見込まれる⇒偶発債務の注記
  ③高い&金額の見積もりができない⇒偶発債務の注記
  ④高い&金額の見積もりができる⇒引当金
  ⑤確定⇒未払金

 〈訴訟を提起した場合の会計処理〉
  損害を受けた場合⇒発生時に損失計上
  損害賠償金額が確定した場合⇒確定時点で収益計上


10復興特別法人税廃止後の法人実効税率(平成26年税制改正)

  現行38.01%⇒廃止後35.64
 ※資本金1億円以下の中小法人(外形標準課税適用なし)
  現行39.43%⇒廃止後37.11


11.会社法改正法案

①支配株主の異動を伴う募集株式の発行
現行法:有利発行でない限り、取締役会決議
改正法:引受人の議決権が、発行後の総議決権の2分の1超の場合は、
    (ⅰ)株主への通知または告知義務
    (ⅱ)議決権の10分の1以上有する株主が反対→株主総会決議

②詐害的な会社分割
現行法:固有の救済規程なし(民法上の詐害行為取消はあり)
改正法:残存債権者は、承継会社に対して承継額を限度に債務の履行請求が出来る


12.棚卸資産に関する会計~評価損を計上しないために~

■棚卸資産会計基準
 →期末における正味売却価格が取得原価より下落している場合、
  正味売却価格をもってB/S価格とし、差額は当期の費用になる

■取得原価>正味売却価格となるケース 
()お菓子の製造・販売をしている企業
 ①正味売却価格の下落
  ・市況により価格の競争が激しい商品
  ・季節性のもので、シーズンが過ぎると売れない
  ・(輸出している場合)為替
 ②取得原価の上昇
  ・市況により仕入値の上昇
  ・(輸入している場合)為替
  ・仕入値が上昇が販売価格は据え置き
 ⇒なるべく評価損を計上しないためには、変動要因として考えられる
  売却価格(販売)と購買市場(仕入)の両方からのアプローチが必要






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