2017年3月31日金曜日

3/31 勉強会:スクイーズアウト関連税制の整備など 他

1.非公開会社の新株発行、総会の特別決議なく無効と判断

■被告会社(非公開会社)が行った新株発行は、
株主総会の特別決議を欠くことなどにより無効であると主張した裁判
・原告株主は少なくとも発行済株式総数の50%を保有
・原告株主に対して臨時総会の招集通知がされていなかった
⇒東京地裁は・・・
非公開会社において、特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合、その発行手続きには重大な法令違反があり、この瑕疵は当該新株発行の無効原因になると判決


2.確定申告期限、1ヶ月延長なら手続不要

・平成29年度改正で、確定申告期限の延長可能期間が拡大に
(従前)延長可能期間1ヶ月⇒事業年度終了後3ヶ月以内に提出必要
(改正後)延長可能期間4ヶ月⇒6ヶ月以内までに提出すればOK
※定款に「会計監査人監査の定め」があることが条件(=実質、中小企業は改正対象外)
※延長には、定款の「総会開催期間の定め」&税務署への届出が必要

・実務手続き:定款に「3ヶ月以内の総会開催」の定めがあり、税務署に1ヶ月延長申請を提出済みの会社
⇒今まで通り3ヶ月以内に提出する場合:手続き不要
⇒今後、4ヶ月以内の提出とする場合:定款を4ヶ月以内に変更することが必要


3.裁決事例から読む価格調整金等の取扱い

■価格調整金等とは
企業が既に行った国外関連取引に係る対価の額を、後々に移転価格上適正な価格である独立企業間価格に変更するため支払う金額

⇒当該支払が合理的と認められない場合は寄附金課税がされる

(裁決事例)
・寄附金課税されない
…原材料の価格高騰が原因で遡及して取引価格を改定
 ※他社も同様の改定が必須かつ事前の取り決め必須

・寄附金課税される
…国外関連者の財務支援目的や支払額の根拠がないケース


4.粉飾でも匿名組合契約に基づく利益分配

・所得税法210条等
匿名組合契約に基づく利益の分配に関しては、当該分配を行った者が源泉徴収義務を負う

・本件
匿名組合に運用益が生じたとして、組合員に分配金を支払っていたが、実際には利益が生じておらず、運用益が生じていたかのように仮装経理していただけ

・納税者の主張
出資の払戻しにすぎず、利益の分配に該当しない
→支払った者は源泉徴収義務を負わない

・判決
匿名組合・匿名組合員それぞれにおいて、利益の分配として金銭を交付・受領しているのであれば、その後、損益計算書等の誤り(ex.仮装経理)が確認されても、特段の事情※がなければ、利益の分配に該当する
→支払った者は源泉徴収義務を負う

※匿名組合契約の当事者間において利益の分配ではなく、出資の払戻しとして取り扱うべき旨の性質改定が行われ、それに沿った清算処理等が行われた等の事情


5.大規模法人における税務上の要注意項目

■売上関係
・売上の計上基準に照らし、当事業年度に計上しているか。
・計上基準を変更した場合の理由は、合理的かつ適切であるか。
■売上原価
・翌事業年度以降の売上に対応する原価を損金経理していないか
■役員給与
・株主総会等の決議に基づき、適切に支給されているか。超過していないか。
・役員の個人的な費用を負担し場合、役員給与としていないか。
■給与・賞与
・決算賞与等の臨時の賞与につき、損金経理のみならず、すべての従業員に通知する等の要件を満たしているか。
■減価償却費
・稼働を休止し事業の用に供していない資産に係る減価償却費を損金算入していないか。
■交際費
・福利厚生費等に役員や従業員の接待等の支出が含まれていないか。
■寄付金
・支払った事業年度に損金算入しているか。未払金計上していないか。
・寄付金の中に、役員が個人で負担すべきものが含まれていないか。
■使途秘匿金
・相手方を明らかにできない金銭の支出以外に資産の贈与等がないか。
■費用全般
・事業年度末までに債務が未確定な費用が損金経理されていないか。
■棚卸資産
・期末時点で、預け在庫や未着品を棚卸対象としているか。
・未使用の消耗品を取得事業年度の損金としていないか。
■繰延資産
・支出の効果が1年以上に及ぶ費用全額を損金としていないか。
■貸付金
・役員、従業員への金銭の貸付につき、低い利率で貸し付けしていないか。
■消費税関係
・取引により資産の所在地か又は役務提供地かといった判定場所の確認を行っているか。
・個人に対する支出につき、雇用契約か請負契約か確認しているか。
・出向者への給与負担金を課税仕入れとしていないか。
・贈答用の商品券、クレジット手数料、役務提供がない会費、キャンセル料など課税仕入れとしていないか。
・車両の買換の場合、課税売上と課税仕入れが同時に行われているか。

※国税庁HPより一部抜粋


6.株主総会の開催時期

会社法上、株主総会は「事業年度終了後の一定の時期に開催すること」とされている

■一定の時期とは
・基本的には、基準日から3か月以内(=議決権の行使期限)
3月決算法人で決算日を基準日としている企業が多いので、6月に集中
⇒定款を変更して基準日を4月末にすれば、7月開催も可能

■実務上の問題
・決算日と基準日の2回、株主を確定しなければならない
⇒決算日には、株主名簿を有価証券報告書などの「大株主の状況」に記載する必要があるため
⇒基準日には、議決権を行使できる株主を確定する必要があるため


7.税務動向 スクイーズアウト関連税制の整備など

■スクイーズアウトとは
少数株主から強制的に株式を取得して完全子会社化する行為のこと
組織再編税制の対象として、
(1)合併
(2)株式交換
税制の対象外として
(3)全部取得条項付種類株式
(4)株式併合
(5)株式売渡請求
の方法がある

■改正案
・対価要件の見直し
⇒合併、株式交換については、対象会社の発行済株式の2/3以上を有する場合、1/3未満の少数株主に金銭を交付しても「適格」とする
・組織再編税制の整備
⇒全部取得条項付種類株式等によるスクイーズアウトを組織再編税制に組み込み、「株式交換等」として整備する

また、「非適格」となった場合には資産の時価評価制度の対象となるが、従前の含み益1,000万未満の場合に加え、帳簿価額1,000万未満の場合も時価評価不要に改正される


8.<税務相談>法人税《過年度にソフトウエアの取得費を費用計上していた場合の処理》

■事案
・前期に費用処理したシステム開発費が、本来は固定資産に計上すべきことが当期に判明

■会計上の措置
・過年度誤謬基準を適用し、当期首にソフトウエア計上し、繰越利益剰余金を増やす。

■税務上の措置
・前期の所得が過少だったため修正申告が必要

■税務上の論点
・減価償却はとれるか?(基本通達751752に当てはめ)
⇒ソフトウエアの取得価額に算入すべき金額を研究開発費として損金経理をした場合は損金としてとれる。
⇒上記に該当しなくても、別表16を添付し申告調整により償却費は損金算入可能 (ソフトウェアを加算し、減価償却を減算と申告調整する)
※そもそも損金経理をしていない場合には、×


9.所在不明の株主について

・所在不明株主=株主名簿記載の住所に通知しても5年以上継続して到達せず、かつ、継続して5年以上配当を受領していない株主
⇒会社は所在不明株主の株式を競売し、売却代金を所在不明株主に交付することができる
「売却代金は当社が10年間預かり株主様からのご請求に基づきお支払い」という開示事例あり。10年は民法の時効期限。

・発行会社は市場等において該当株式を売却できる
・自己株式として買い取ることもできる
 ⇒買い取る株式の数と金額を取締役会で決議する


10.今3月期決算の実務ポイント 平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更

・平成2841日以後に取得した建物付属設備、構築物の法人税法上の減価償却方法が定率法から定額法へ
・上記に伴って会計上の減価償却方法を変更するのは、「正当な理由」と認められた。
・なお、適用初年度では、定額法に変更した旨、及び変更による決算への影響額を注記が必要。


11.規程の種類

4つに大別
・基本規程
⇒定款、取締役会規程など
・組織規程
⇒業務分掌規程、稟議規程など
・人事労務規程
⇒就業規程、給与規程など
・総務庶務規程
⇒印章管理規程など
・業務規程
⇒経理規程、与信管理規程など

規程類の改廃は取締役会の決議事項
事務手続きの変動制が高いものはマニュアル等で規定しておくべき
・勘定科目細則
・決算処理マニュアル
・棚卸実施要領
・営業マニュアル
・営業所業務マニュアルなど


SOXとの関係では、財務報告に係る全社的な内部統制において、慣行や規程の遵守状況等を踏まえ、整備・運用状況を評価する。









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2017年3月26日日曜日

3/24 勉強会:災害損失の繰戻還付 経過措置 他

1.マイナス金利の実務対応報告が決定へ

ASBJ、マイナス金利に関する実務対応報告を3月中にも正式決定
・退職給付債務計算の割引率
⇒「ゼロ」または「マイナスの利回り」のいずれの方法も可能
⇒適用は平成29331日に終了する事業年度~平成30330日に終了する事業年度まで
 その後は金利動向等を踏まえて、恒久的な取り扱いを検討


2.相続人との間で明確な合意なし、相続税申告業務に係る相当な報酬は幾らか

■前提
1.相続人ら(被告)は税理士(原告)に、「相続時精算課税制度」について相談
2.この際、税理士に5万円を支払った
3.税理士は、税務代行権限証書による授権を得て、相続税の申告書を税務署に提出
4.申告業務に係る報酬200万円(税抜)を請求したが、相続人らはこれを拒否

■判決
1.相続税の申告業務の契約は成立していた
(理由)上記前提の「1」「3
2.報酬200万円の合意があったとは認められない
(理由)当事者間で金額について明確に定めた形跡がないため
⇒裁判所は、当事者間での報酬に関する合意内容は「合理的に考えられる相当額」を支払うものであったと解釈
⇒報酬は約156万円(税抜)※が妥当とされた
※税理士報酬基準(既に廃止)により出された金額で、他の会計事務所と比較しても高額とは言えない金額


3.神鋼商事敗訴で有利発行課税再活発化も

株式の有利発行に伴う受贈益課税を巡る裁判において会社側が敗訴。
当該判決を受け、有利発行を行った会社への課税処分が活発化する可能性もある。

■事例
・海外子会社の資金需要のため、内国法人の親会社が増資をした場合、子会社と100%の資本関係がない場合は、有利発行による受贈益課税リスクあり

・当該企業は外資規制により現地株主が保有していた株式に関しては「買取価格=取得価格」となるよう現地株主と契約締結していた

⇒実質的に現地株主が保有している株式は種類株式に該当し、国内法人である親会社に、時価よりも低額で株式発行されたとしても、100%子会社の増資と同様に考え有利発行にならないと主張

■ポイント
・今回の判例では、「種類株式」を発行する手続きが取られていなかったという法形式に基づき、種類株式に該当しないと判定をされた

・法人税通達上は種類が異なるかどうかを「実質」で判断すると規定されている。
 だが、今回の最高裁判決により、法人税法の「実質基準」で有利発行判定をしていた企業が、本件同様に実質基準以外で課税処分リスクが出てくることになった


4.IFRS適用の国内子会社も連結手続可

■実務対応報告第18号※が公開草案通り、3月中に正式決定する予定
※「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」

■改正内容
「親会社:日本基準+国内子会社等:IFRS等」に準拠して、「連結F/Sを作成+金商法に基づく有報により開示」している場合にも適用可
※改正前は、「親会社:日本基準+在外子会社:IFRS等」のみ対象

■適用時期 ※3月決算法人の場合
・平成303月期から適用
・平成293月期から早期適用可

■適用初年度の取り扱い
適用初年度の前より、「親会社:日本基準+国内子会社等:IFRS等」に準拠して、「連結F/Sを作成+金商法に基づく有報により開示」している場合、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当 ※経過措置はない
⇒過去の全ての期間に遡及適用
※遡及適用による累積的影響額は、表示する最も古い期間(通常、前期)の期首の資産、負債及び純資産の額に反映


5.マイナンバーのない法定調書、経過等の記録はどこまで必要

■マイナンバーについて
法令上:マイナンバーを記載して提出する必要あり。
罰則:現時点でなし。
⇒マイナンバーを記載せず提出した場合、罰則は受けないが法令上の義務違反に該当する。

なおコンプライアンスが重要視されている企業は、提供を求めた経過等を記録保存して、義務違反でないことを明確にした方が望ましい。

■経過等の記録はどこまで必要?
国税庁のよると、
・形式や依頼の回数など決まっていない。
・どこまで記録しておくべきというのもない。
⇒トラブルを避けるため、
提供を受けたか否か、拒否されたかなどメモ書き程度の記載でOK

■税務署の対応は?
・未記載であっても税務署は提出を受け付けている。
・税務書類にマイナンバーの記載がないことをもって、税務調査を行うことはないと見解を示している。


6.法人税等会計基準、追徴税額は損益計上

■法人税等会計基準案が正式決定
・法人税、住民税及び事業税に関する「会計処理」と「開示」を定めるもの
⇒表現の見直しや考え方を整理したもので、実質的な内容の変更はないため、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しない
⇒平成293月期決算会社から適用

■主な内容
【会計処理】
・各事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等は、損益に計上する
・更正による追徴税額(延滞税等を含む)、還付税額が高確率で見込まれる場合も損益に計上する
⇒「損益に計上する」という会計処理方法は、これまで規定されていなかった

【開示(表示)】
・法人税、住民税及び事業税等はP/Lの税引前当期純損益の次に表示
・更生による追徴及び還付税額は法人税、住民税及び事業税等の次に表示
・事業税(追徴、還付税額を含む)はP/Lの販管費として表示
⇒表示方法は従来より示されていたが、内容に一部追加あり


7.災害損失の繰戻還付 経過措置

■災害損失の繰戻還付
災害によって欠損金が生じた場合に、過去事業年度に納付した法人税の一部還付を受けることができる制度

■対象期間
(原則)
災害発生日から1年経過日までに終了する事業年度
(経過措置)
2841日~29331日までに終了した事業年度については、29430日までに還付請求すれば申告書提出済であっても還付請求が認められる。

(イメージ)
・過年度は経常的にプラス決算
・災害発生期以後はすべて赤字
・原則的な対象期間で繰戻還付をしなかった、場合に経過措置で繰戻還付を受けることができる


8.税理士損害賠償事故例と予防対策ケース・スタディ《保証債務の履行による譲渡申告失念ケース》

■事案
・依頼者より不動産譲渡の相談受ける
⇒「隣地所有者より買取りの申出があったため売却を検討している」とのこと
・依頼主の申告書を一般長期譲渡として作成
・依頼者の配偶者が事業資金として銀行借入をしていることは承知していた

■問題点
・当該譲渡が配偶者の借入の保証債務履行であった場合には、要件を充たせば、保証債務の履行による譲渡申告の特例が使えた。
⇒特例が使えたのに使わなかったのは税理士のミス、と提訴
※特例を使えば所得が発生しない

■結論
・不動産譲渡の理由・経緯、依頼者が配偶者の銀行借入金を返済するに至った経緯から特例は使えなかったので、依頼主の主張は認められなかった。

■予防策
・登記簿謄本,契約書等による確認
⇒不動産譲渡所得は特例が多い
・譲渡目的の聞き取り
⇒きっかけや目的によっては適用する特例が異なる場合がある
・納得して選択できる十分な説明


9.修正後発事象

・決算期後に発生した財政状態、経営成績に影響を及ぼす事象

修正後発事象:発生の原因が決算日以前⇒決算修正
開示後発事象:発生の原因が決算日後⇒注記

⇒修正後発事象が会社法の監査報告書日から金商法の監査報告書日までに生じた場合は財務諸表を修正せず注記とする。
⇒当該、“修正されない”修正後発事象が、日本固有の問題として指摘されている。


10.平成27年度税制改正のチェックポイント

1.タックスヘイブン税制の見直し
・タックスヘイブン税制が適用される特定外国子会社等の判定の際の税率が変更
⇒適用される国の実効税率が20%以下から、20%未満へ
・タックスヘイブン税制適用除外の特例がある統括会社についての改正
⇒日本企業が買収した外国企業グループで、特定外国子会社等に保有される内国法人にも適用除外の特例が受けられるように改正

2.外国子会社配当益金不算入制度
⇒支払側の国で損金算入される場合には、益金不算入制度は適用されない。

3.所得拡大促進税制
⇒雇用者給与等支給増加額の基準雇用支給額に対する割合が変更
(1)H28.4.1H29.3.31までに開始
4%(中小企業は3%
(2)H29.4.1H30.3.31までに開始
5%(中小企業は3%

※改正前は、いずれも5%
※雇用者給与等支給額 = 国内雇用者に対して支給する給与
※基準雇用支給 = H25.4.1以後に開始する各事業年度のうち
最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与(通常は平成24年度)


11.ネット広告収入の会計処理ポイント

■会計処理
・期間按分or回数等指標に応じて売上計上

■ネット広告の課金形態と売上計上のタイミング
(1) 期間保証型
・広告掲載期間に応じて料金が決まる形態
⇒広告掲載期間にわたって売上計上。
⇒掲載期間が非常に短期であれば、掲載初日に計上することもあり。

(2) インプレッション課金型
・広告の表示回数に応じて課金する形態
⇒広告の効果測定レポートに基づいて売上計上

(3) クリック課金型
・クリックされた数に応じて料金が決まる形態
⇒広告の効果測定レポートに基づいて売上計上

(4) 再生課金型
・動画広告の再生回数に応じて料金が決まる形態
⇒再生回数に基づいて売上を計上することが多い
⇒契約形態によって様々(100%視聴しないと回数にカウントされない、25%でカウントする、など)

(5) 配信課金型
・メール広告
⇒メール1通当たりの単価を設定、配信した数に応じて料金が決まる

(6) 成果報酬型
・アフィリエイト広告のほとんど。あらかじめ設定した成果に応じて料金が決まる形態。
⇒会員登録や商品購入など、成果の種類は多岐にわたる


12.加算税制度の見直し

平成28年度税制改正により「税務調査の事前通知後~更正等又は告知の予知前」の加算税が強化された。
・趣旨:税務調査の事前通知を行った直後に修正申告又は期限後申告を行い、加算税の賦課の回避や軽減を図ろうとする行為を防止する
・適用時期:平成2911日以後に法定申告期限が到来する国税・地方税

■改正後の加算税の税率
・過少申告加算税:事前通知前0%、事前通知後更正等又は告知の予知前5%、更正等又は告知の予知後10
⇒改正前は事前通知後更正等又は告知の予知前が0%だった
・無申告加算税:事前通知前5%、事前通知後更正等又は告知の予知前10%、更正等又は告知の予知後15
⇒改正前は事前通知後更正等又は告知の予知前が5%だった
・不納付加算税:事前通知前5%、事前通知後更正等又は告知の予知前5%、更正等又は告知の予知後10
⇒変更なし


13.決算短信等の開示の自由度向上

(1)「サマリー情報」の様式の使用強制取りやめ
→今後は参考様式に
(2)速報性に着目した記載事項の整理
→要請する事項を可能な限り減らし、会社の状況に応じた開示を可能とする=原則;速報性が求められる事項に限定
・決算短信;①サマリー情報、②経営成績等の概況、③連結FSおよび主な注記 に限定
・四半期決算短信;④サマリー情報、⑤四半期連結FSおよび主な注記 に限定
※③(⑤)の開示時期は①(④)と同時期を要請するが、①④を早期開示も出来る
→「経営方針」の記載の取りやめ
→「投資判断に有用な情報の追加」の要請の取りやめ


14.H29.3期税務申告の要点

■法人実効税率の引下げ
H29.3期の法人税率23.4(実効税率29.97)に引下げ
H32.3期の法人税率23.2(実効税率29.74)に引下げ予定のためDTA/DTL注意

■法人事業税の外形標準課税の拡大
・法人事業税(所得割)の引下げ
・付加価値割1.2%、資本割0.5%に引上げ、中堅企業の負担軽減策も見直し有

■欠損金の繰越控除限度額の引下げ
・欠損金控除前所得金額の60%に引下げ

■減価償却方法の見尾し
H28.4.1以降取得の建附、構築物、鉱業用建物について定率法廃止

■企業版ふるさと納税
・特定の事業に寄付した場合、その額の30%を税額控除可
H28.4.20以後終了事業年度から

■役員給与損金不算入の見直し
・リストリクテッドストック制度導入
⇒譲渡制限解除時に損金算入OK
⇒一定のRS付与による給与について事前届出不要
・利益連動給与の指標が明確化

■雇用促進税制の改正
・増加雇用者数は無期かつフルタイムの新規雇用者に限定
・所得拡大促進税制との併用可能に


15.借入実行前に金利スワップ契約を締結し、借入実行が早まった場合の有効性評価

当社は、将来実行される可能性が高い変動利付借入金(予定取引)に対して
あらかじめ金利スワップ取引(固定支払・変動受取)をヘッジ手段として締結しています。
このとき、借入実行が当初想定よりも早まった場合に望ましいと考えられるヘッジ会計の有効性評価の方法について教えてください。

結論:未経過の期間も含めてヘッジ期間全体の変動額の累計を比較する方法でヘッジ会計の有効性評価を行う。

変動金利固定化のヘッジ有効性評価の判定方法は、ヘッジ対象とヘッジ手段についてそれぞれのキャッシュ・フローの総額の変動額を比較することになる。

比較方法として
①すでに経過した期間の変動額の累計を比較する方法
(ヘッジ取引開始時から有効性判定時点までの変動額を比較)
②未経過の期間も含めてヘッジ期間全体の変動額の累計を比較する方法
(ヘッジ期間全体の変動額を比較)

①の方法の場合、ヘッジ対象とヘッジ手段の期間が不一致であるため、比較方法として適切ではない。
②の方法の場合、ヘッジの実態に合わせて方法と考えられる。

②の方法で有効性が認められる場合には、ヘッジ会計を適用することができると考えられる。


16.今3月期決算の実務ポイント 有価証券報告書の開示内容に係る見直し

・金融庁の諮問機関が、企業の情報開示のあり方について検討・審議。
・主な提案内容は下記の通り。
⇒短信を簡略化する(経営方針は速報性が求められないので有報に移す、会社法の開示書類と一部共通の記載にする)
⇒有報を一部充実させる(「業績等の概要」「生産、受注及び販売の状況」等について、雛形的な文章ではなく、経営実態が分かる文章にする)

・上記を受けて東証は下記のコメントを発表。
⇒東証の定める様式の使用義務を撤廃。


17.オーバーアロットメント

募集または売出しにおいて、需要動向を踏まえた販売、およびその後の流通市場における需給の悪化を防止することを目的として導入された制度

⇒当初の募集・売出予定株数を超える需要があった場合、主幹事証券会社が発行会社の大株主等から一時的に株式を借り、当初の売出予定株数を超過して、募集・売出しと同じ条件で追加的に投資家に販売すること。

■グリーンシューオプション
上記の追加的な販売株数(募集・売出し株数の15%を上限)を調達するべく、借りた株式を返還するために、主幹事証券会社は、発行会社または株式を借りた大株主等から、引受価額と同一の条件で追加的に株式を取得する権利が付与される

(例)
A株主が115万株売出しを希望
この場合、100万株を買取引受による売出し+15万株についてオーバーアロットメントによる追加売出しとする。
15万株については、引受証券会社が、A株主より株式を取得できる権利(グリーンシューオプション)の付与を受ける。

・売出し(株主⇒引受証券会社)
引受証券会社は、オーバーアロットメントによる追加売出し分15万株については、他の株主(B株主)から一旦借入れ、買取引受による売出し分と同じ日程、価格で売出しを行う。

・追加分の調達(引受証券会社⇒株主)
引受証券会社は、追加売出し分について、B株主より借入れを行っているため、返還する必要があり、グリーンシューオプションを行使する。

A株主より売出価格で株式取得し、B株主に返還する。









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2017年3月17日金曜日

3/17 勉強会:短信・有報の記載内容見直しのポイント 他

1.類似業種比準方式、会社規模要件で大幅見直し

■国税庁は「財産評価基本通達」の一部改正(案)に対する意見公募手続きを開始 (3/30まで募集)
・取引相場のない株式の評価(類似業種比準方式)の見直し
⇒平均で約1割程度、中小企業の株式の評価が下がる見込み
⇒平成2911日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用

■主な改正内容
・類似業種の株価について「課税時期以前2年間平均」が追加
⇒従来は「課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの」または「類似業種の前年平均株価」だった。
・比準要素(B:配当、C:利益、D:簿価純資産)について、単体数値から連結数値へ見直し
・比準要素のウェイトを「1:3:1」から「1:1:1」に見直し
・規模区分の金額等の基準を見直し、大会社及び中会社の適用範囲拡大
⇒従業員数70人以上=大会社へ、大会社の卸売業の年間取引額を「30億円以上」に引き下げ
⇒中会社の区分も総資産価額や年間の取引価額を軒並み引き下げ


2.有償新株予約権の会計処理()案が判明

※従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い (実務対応報告)

■有償新株予約権(有償SO
・上場企業だけでも約300社が導入

■実務対応報告の適用日
・公表日以降(経過措置あり)

■経過装置
公表日より前に有償SOを付与した取引については、(1)(2)を注記することにより、従来の会計処理継続可
(1)権利確定条件付き有償SOの概要
・各会計期間において存在した権利確定条件付き有償SOの内容
・規模(付与数等)
・変動状況(行使数や失効数等)
(2)採用している会計処理の概要


3.認定医療法人の贈与税非課税、新たな認定制度は10月に施行

■医療法人(おさらい)
・「持分あり医療法人」は18年改正により新設することができなくなった
・「持分あり医療法人」から「出資持分のない医療法人」へ移行を促すため、移行期間中に持分を法規すれば相続税・贈与税が免除される施策が取られている

※医療法人は株式会社のように利益の分配(≒配当)が出来ないため、純資産が膨れ上がってしまう傾向があり、持分があると過大な相続税・贈与税がかかるなどの問題点がある

■平成29年度改正
・相続税・贈与税が免除されるためには一定の要件を満たす必要があるが、その要件が29年度改正で更に緩和されることとなる

(緩和内容)
・役員の親族が役員総数の1/3以下
・法人関係者に利益提供をしない 等


4.フェア・ディスクロージャー・ルール、上場企業が悩む重要な情報の対象とは?

■今月(173)上旬に金融商品取引法の一部を改正する法案が閣議決定
⇒フェア・ディスクロージャー・ルールの導入へ

■フェア・ディスクロージャー・ルール
⇒上場会社等が未公表の重要な情報をその業務に関して(例えば、IR活動において)意図的に証券会社・投資家等に伝達する場合は同時に行い、意図することなく、証券会社・投資家等に伝達してしまった場合は、その後、速やかに当該情報をホームページ等で公表するよう、求めるルール

■重要な情報の範囲
・現行のインサイダー取引規制の対象となっている情報の他、
・現行の規制対象となっていないが、公表前の確定的な決算数値であり、かつ、株価に重要な影響を及ぼすものも含む


5.取得費加算特例で廃止通達の適用可

■取得費加算特例とは(譲渡所得)
相続により取得した土地や建物等を一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を取得費に加算することができる特例

H26年度税制
2以上の譲渡(短期譲渡及び長期譲渡)があった場合、税率が高い短期譲渡所得から取得費の加算を認める規定が廃止になった。
この通達はH2711日以後に開始した相続等に係る資産の譲渡につき適用。

■ではH261231以前に相続があった資産の譲渡については?
通達では廃止されているものの適用可能。


6.処分理由不提示でも地方税法に違反せず

■事案
・東京都が納税者に対し、第二次納税義務の納付通知処分を実施
・第二次納税義務が発生したのは、地方税法第11条の8が適用されるため
・通知書には、義務を負うことになった具体的な事実関係となる課税理由の明記なし
⇒行政手続法141項に違反するか否かをめぐって裁判

■判決
・納税者側の敗訴
⇒行政手続法33項により違法ではない

■根拠法令
行政手続法141項:行政庁が行う不利益処分には理由の提示が必要
国税通則法141項:国税に関する不利益処分には理由の提示が必要
行政手続法33項 :地方公共団体がする処分は同法141項を適用しない旨を規定


7.欠損金の繰越控除と新設法人

■新設法人の特例
設立の日から7年を経過する日までの期間内に属する事業年度は欠損金の全額が控除可能

ただし、
・資本金5億円以上の大法人の100%子会社
7年以内に上場した場合の上場以後
については所得金額の50%~65%の控除制限あり

この規定は資本金基準がないため、たとえば資本金10億円で設立された場合であっても資本金5億円以上の大法人の100%子会社でなければ適用可能となる


8.債務免除益の源泉義務巡る差戻し審で判決

■事案
組合⇒理事長へ48億貸付⇒貸付を免除

■争点
1.本件債務免除益が給与等に該当するか
2.給与等に該当する場合、収入金額に算入すべきか
⇒債務者が資力喪失し債務弁済が著しく困難、債務免除益を収入金額等に算入しない通達を適用すべきか

■結論
理事長の資産額(17)から本件債務以外の債務の額(52-48=4)を控除した額=13億は、債務免除益として経済的利益に該当し、給与等の金額に算入
⇒源泉税(4.8) +不納付加算税(4.8千万)

■裁判所の判断内容
本件債務免除益は雇用契約に類する原因に基づき提供した役務対価、功労への報償等の観点も考慮した給付とみるのが相当。
⇒本件債務免除益は給与等に該当する。

なお、2.の 資力喪失については最高裁で判断しておらず、審理のため高裁に差戻している。


9.スクィーズアウト

・少数株主から強制的に株式を取得し、完全子会社化すること
・手法として、株式交換、全部株式取得条項付種類株式、株式併合、株式等売渡請求などを用いたものがある。
・平成29年度税制改正法案では、これらの手法について、一律に適格要件が設けられ制度間の不均衡を調整することが盛り込まれている。
 ※株式交換では時価評価課税が行われることがネックであったが、改正後は適格要件を満たせば課税繰り延べとなる。
・一番メリットがあると言われている手法
90%以上保有:株式等売渡請求
 株主総会の特別決議が不要。時間的・手続的コストが小さく、端株の端数処理も不要
90%未満保有:株式併合
 株主総会の特別決議は必要だが、他の方法に比べて手続面でのメリットあり


10.減価償却方法の変更に係る実務上のポイント

1.税法の改正
H28.4.1以降取得の建物附属設備、構築物に関しては定額法のみに変更

2.会計方針の変更
・従来より税法基準+附属設備等の償却方法を定率法から定額法へ変更
⇒会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当
・上記以外
⇒正当な理由に基づき、自発的に行う会計方針の変更に該当

3.開示
・会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当
⇒会計基準等の改正を理由に変更した旨を注記
・正当な理由に基づき、自発的に行う会計方針の変更に該当
⇒会計上の見積の変更と区別することが困難な場合として、変更内容、理由、影響額等を注記


11.翌期に合併等が行われる場合の会計処理のポイント

■繰延税金資産の回収可能性
・消滅会社の繰越欠損金に係る税効果に留意

■固定資産の減損
・消滅会社:合併等が行われない前提で減損判定を行う

■退職給付
・取得の場合
⇒被取得企業の未認識項目は取得企業に引き継がれない
・共通支配下の取引
⇒未認識項目も引き継がれる


12.短信・有報の記載内容見直しのポイント

ディスクロージャーワーキング・グループ報告における提言を受け、有報及び短信の記載内容が見直された。

■短信
適用時期:平成29331日以後に終了する事業年度もしくは四半期累計期間
・短信のサマリー情報について、上場会社に課している使用義務を撤廃
・短信のサマリー情報及び経営成績等の概況の先行開示が認められた
・短信の添付資料の記載事項から「経営方針」が削除(有報へ移動)
・短信の添付資料の「経営成績・財政状態に関する分析」が、「当期の経営成績・財政状態の概況」に簡素化

■有報
適用時期:平成29331日以後に終了する事業年度に係る有報から
・有報の記載内容に「経営方針」が追加


13.リストリクテッド・ストック

■概要
・役員等に勤務条件や業績条件の成就により譲渡制限が解除される譲渡制限株を付与
・条件未達の場合は会社が無償取得
→リテンション効果(引き留め)、中長期の株価向上に対するインセンティブの付与
■会計処理
(1)報酬債権付与および発行時
→報酬債権を付与し、これを現物出資で受け入れ、前払費用として計上
Dr 前払費用 / Cr 資本金・準備金

(2)役務提供期間
→役務提供期間で費用計上
Dr 株式報酬費用 / Cr 前払費用
Dr DTA       / Cr 法調

(3)無償取得
→条件未達
Dr 損失 / Cr 前払費用


14.子会社株式の認識・賞与減額QA

■期末を跨ぐ子会社株式の売買時の発生・消滅の認識時点
①子会社株式でない上場株式:(原則)約定日、(例外)修正受渡日
②子会社株式でない非上場株式、事業投資の子会社株式:受渡日

・約定日基準の前提:約定~受渡が、市場の規則・慣行に従った期間
⇒非上場株式には、規則・慣行なし
⇒事業投資:自益権・共益権がいつ生じるか⇒株式の受渡日がいつか

■賞与を一方的に減額できるか
①具体的な規定がない場合
(原則)可能⇒労働者が請求権を得るには使用者の決定or労使合意が必要
(例外)長年に渡って一定額を支給することが常態化⇒労働者に請求権有の可能性大

②就業規則に具体的な規定がある場合
※就業規則:使用者が作成する規則
if「基本給の1ヶ月分を支給する」⇒減額NG
論点1:個々の労働者との交渉すれば?⇒減額NG(就業規則に達しない部分は無効)
論点2:就業規則を変更すれば?⇒減額OKただし周知+変更の合理性必要(著しい業績悪化等はOK)

③労働協約に具体的な規定がある場合
※労働協約:労使間で決定する協定
⇒②と同様の取扱い


15.回収可能性適用指針が本適用に<税効果会計・法人税等会計基準案のポイント>

平成2841日以後開始する事業年度に影響を与える税金関連の指針等として、以下の3つが公表等されている。

■回収可能性適用指針
■消費税増税延期に伴う税制上の措置(地方法人課税に係る措置)
■法人税等会計基準案

■回収可能性適用指針
・繰延税金資産の回収可能性に関する実務指針を基本的に引き継いでいる
・留意すべき変更点は「企業の分類に応じた繰延税金資産の回収可能性に関する取り扱い」
・分類1 
⇒ 実務指針を踏襲している。
・分類2 
⇒ ・一定の要件を満たしたスケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産に回収可能性があるものとされた
  ・会計上の利益から課税所得に基づく要件に変更されている(分類3と共通)
  ・課税所得から臨時的な要因を除く(分類3と共通)
  ・過去3年及び当期のいずれの事業年度に重要な税務上の欠損金が生じていないことが追加 (分類3と共通)
・分類3 
⇒ ・一定の要件を満たした5年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に回収可能性があるものとされた。
・分類4
⇒・期末に重要な税務上の繰越欠損金が存在するかではなく、過去3年または当期に存在していた否かどうかに焦点を当てる
・分類5
⇒ 実務指針を踏襲している。
・適用時期は平成2841日以後開始年度の期首から適用する

■消費税増税延期に伴う税制上の措置(地方法人課税に係る措置)
 ・法人住民法人税割の税率引き下げ、地方法人税の税率引き上げ、地方法人特別税の廃止および法人事業税の復元の実施時期が平成2941日から平成31101日に延長されている。
 ・単体納税制度を採用している場合、税効果への影響なし
 ・連結納税制度を採用しており、税金の種類ごとに回収可能性の判断が異なる場合、税国税効果会計に影響を与える

■法人税等会計基準案
 ・これまでの実務指から実質的な内容の変更は意図されていない。
 ・適用時期は公表日以後(平成28119)適用される。


16.今3月期決算の実務ポイント 税効果会計に適用する税率に関する適用指針

・公布日基準から成立日基準へ
⇒ 国会で法律の改正案が成立次第、新税率を適用

・各地方公共団体の条例改正を待たず、国会で改正地方税法等が成立した段階で、過去の実績等を基礎として税率を見積もる。


17.卸売業の上場審査

総資産に占める債権や在庫の比重が高い
⇒債権管理、在庫管理が重要なポイント

1)債権管理
与信管理方法や債権管理方法の内部管理体制の運用状況、滞留債権の評価基準について問われる。

・与信管理
新規先の信用調査はどのように行っているか
与信額がどのように設定されているか
取引条件などの承認方法が適切に行われているか

・債権管理
債権分類はどのように行われているか
滞留債権をどのように把握しているか
回収促進策の実施状況
過去の貸倒実績、残高確認の実施状況

2)在庫管理
適正在庫水準の考え方、品目別在庫月数、長期滞留品の評価基準などについて問われる。
実施棚卸方法、棚卸差異の発生状況などによる内部管理体制の運用状況が確認される。

3)その他
売上の総額表示か純額表示かも、同業他社の動向次第では問われる。









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