2011年6月29日水曜日

緊急時に向けた備えは出来ていますか? / BCP(事業継続計画)策定のすすめ

先の震災を受けて、導入の機運が高まっている、BCP(Business Contenuity Plan / 事業継続計画)。

本稿では、BCPについて、簡単にご説明したいと思います。

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① BCPとは

緊急事態に備え、『平常時に行うべき活動』や『緊急時における事業継続のための方法、手段』などを取り決めておく計画

② BCPの目的

 震災などの緊急事態発生時、中核となる事業を早期に復旧させ、事業継続(・発展)を目指す

③ BCPの特徴

(1) 優先すべき中核事業を定めておく
(2) 中核事業の目標復旧時間を定めておく
(3) 緊急時に提供できるサービスレベルを定めておく
(4) 事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
(5) 従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておく

④ 導入に向けた取り組み

運用方針策定、財務診断リスト、中核事業の評価など、
経営陣や現場マネージャーを巻き込んで議論し、策定していきます。

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中小企業では導入のノウハウがなく、策定には中々結びついていないようです。
実際の導入には、コンサルタントなど、社外の専門家の支援を受けるのが通常です。

2011年6月26日日曜日

6月24日(金)の勉強会

毎週、会計&税務の専門誌数紙から、気になるニュースをピックアップ。

文書内の重要部分を、太字・下線で強調しています

お急ぎの場合は、太字・下線部分だけ読んでも、ざっと概要がつかめます。

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【週刊 T&A master 】 407号 平成23年6月20日

■(金証法)金証法 改正の要点

・ライツ・イシュー →  一定の要件を満たせば、目論見書の交付不要に
・コミットメントライン契約 → 借手要件を緩和
・非上場株式の売りつけ → 無許可業者の売りつけは、原則無効に
・資産流動化法の手続き簡素化

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【週刊 経営財務】 No.3020 2011年6月20日

■(会計) 「東電決算から何を学ぶか」 → 既存の会計基準・監査の限界?

巨額かつ曖昧な未確定事項(損害補償)が実際に存在
→ 現在のルールでは注記すらなし
→ 開示される情報が有用か? / 監査に意味があるのか?

■(IFRS)HOYA → 取り組みはかなり以前から 少人数チームで

・動機は「各国の事業体を同じものさしで測ること」と「海外投資家の反応」
・兼任体制でPJ推進
・IFRS公表までの外部コスト 3~4億円/4年

■(海外)香港上場1号 SBIホールディングス

香港を選んだ理由 ⇒ 市場の成長性&中国のバックアップ

香港IPOのメリット・デメリット

メリット:資金調達の多様化、知名度、信用力、社内体制強化、従業員のモチベーション
デメリット:上場コスト、ルール遵守による経営の自由度低下、作業負担

日本基準で上場した。

■(上場)株価10円基準と株式併合

新ジャスダックでは4月より株価10円未満の状態が3ヶ月以上続いた場合に上場廃止

⇒株式併合で株価を引き上げる事例も
上場廃止を免れるためだけに株式併合を行うのは問題(市場関係者)

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【週刊 税務通信】 No.3168 2011年6月20日

■(税務)修正された平成23年度税制改正法が成立 → 抜本改革は、来年以降に先送り

先送りされた項目は、
個人所得税の控除見直し、法人税の税率引き下げと課税ベース拡大、相続税の見直しと贈与税緩和、環境税等

 《消費税》95%ルールの改正は、H24年4月1日以後開始課税期間から。
免税事業者要件の見直しは、平成25年1月1日以後開始事業年度から。

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【旬刊 経理情報】 No.1285 2011年6月30日

■(会計)非上場株式に超過収益力を加味したときの会計上の取扱い

(前提)

①取得時: 取得価額 > 純資産額 (超過収益力を考慮)

(例: 1株あたり純資産額100の会社を、150/株 で購入(その他有価証券))

②現在: 取得時純資産額×50% < 現在純資産額 < 取得価額×50%

(例: 1年後、投資先の1株あたり純資産が、70に低下)

この時、減損処理は必要か?


(結論)

金融商品会計に関するQ&Aによれば、「超過収益力が減少したために実質価額が大
幅に低下した場合、


たとえ発行会社の財政状態の悪化がないとしても、実質価額が取得価額の50%程度を下回っている限り、減損処理をしなければならない」としている。

したがって、この場合、減損処理が必要と考えられる。


■(M&A)海外M&Aにおいては特にPMI(統合プロセス)が重要 

・海外M&Aでは、コミュニケーションの取り方の違いや相互理解の不足や誤解による
問題が多く発生する


 etc.欧米企業の経営陣が日本企業の経営に魅力を感じず、クロージング後短い期間
で辞意を示すなど

2011年6月23日木曜日

金融庁が、「IFRS導入延期を検討」している理由

連日の報道でご存知の方も多いと思いますが、
IFRS導入の延期が検討されているようです。

(参考): “IFRS 適用に関する検討について” 2011年6月21日 金融担当大臣 自見庄三郎
http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20110621-1.html

→「少なくとも、2015年3月期からの強制適用は考えていない」との明言がされています。

今回の導入延期の背景には、

① 以前より慎重論が多かった、国内企業が、3月11日の震災を受けて、「まずは復興が優先」という声を強くしたこと

※ 新日鐵、トヨタ自動車、パナソニック、日立、東芝、三菱電機といった製造業を中心とする大企業が、IFRS導入延期と米国会計基準の使用期限撤廃を訴える「要望書」を提出

② アメリカをはじめとする諸外国でも、IFRS導入延期の色彩が強まっていること

※ 米国SECは、今年2月、「2014年から」としていたIFRS適用を、「2015年以降とする」旨を発表
※ IASB(国際会計基準審議会)と、FASB(米国財務会計基準審議会)が、今年6月末までに終わらせる予定だったコンバージェス作業に遅れが発生。(「収益認識」「リース」「金融商品」等)

といった事情があるようです。

2011年6月19日日曜日

6月17日(金)の勉強会

毎週、会計&税務の専門誌数紙から、気になるニュースをピックアップ。

文書内の重要部分を、太字・下線で強調しています
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【週刊 T&A master 】 406号 平成23年6月13日

■(税務)平成23年度税制改正 大幅な改訂は見送りの方向 

法人税率引き上げ、課税ベースの拡大、中小軽減税率低減(18→15%など)

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【週刊 経営財務】 No.3019 2011年6月13日

■(監査)東京電力に無限定適正意見

・「賠償額は未確定」のため、注記なし。意見不表明という選択肢もあったかも?

■(会計) 経常損益の重要度は低い?

日本証券アナリスト協会が実施したアンケートでは、
経常損益の重要度は、売上高や営業利益、当期純利益よりも低い結果となった

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【週刊 税務通信】 No.3167 2011年6月13日

■ (税務)法人が、合同会社の職務執行社員の場合

・法人でも、合同会社の職務執行社員(役員に相当)になれる。
・法人役員に対する役員給与については、通常の役員給与と同様に取り扱われる。(定期同額・事前確定等)
・法人役員に対する役員給与について、源泉徴収は不要である。

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【旬刊 経理情報】 No.1284 2011年6月20日

■ (開示)第1四半期決算の直前対策

簡素化

 →四半期会計期間(3ヶ月)の損益計算書・包括利益計算書の開示省略可
 →第1、第3四半期のC/Fの開示省略可
 →注記事項の簡素化
 →非財務情報項目の簡素化(削除又は他の記載項目への集約)

過年度遡及会計基準等

 (1) 会計上の取り扱い
  ・会計方針の変更・・・遡及処理
  ・表示方法の変更・・・遡及処理
  ・会計上の見積りの変更・・・遡及処理しない
  ・過去の誤謬の訂正・・・遡及処理

 (2)見積りの変更
  従来は、前期損益修正損益として特別損益で処理。
  今後は、その内容によって、基本的に、営業損益又は営業外損益に計上。

包括利益計算書 

 平成23年4月1日以降開始の事業年度から、の「四半期連結包括利益計算書」作成が必要
 → その際、前期の「四半期連結包括利益計算書」も開示する。

災害に係る会計処理
・損失額については、ある程度の概算も合理的な見積もりの範囲内とする。
見積もりと実際の差額は、その変更をした期、または確定した期営業損益または営業外損益として認識する。

2011年6月17日金曜日

国税庁 平成22年度 査察の概要を公表

国税庁が、平成22年度査察の概要を公表しました。

■ 査察処理件数: 216件(うち、検察庁への告発 156件)

■ 脱税額: 213億円(告発分)

■ 告発の多かった業種・取引
 
 昨年度に引き続き、
都市部における地価高騰の影響を受けた「不動産業」のほか、「建設業」、「運送業」が多かったようです。

■ 脱税の主な手口

・架空の経費計上
・消費税の申告において、課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目仮装
・タックスヘイブンに関係法人を設立し、架空の外注費を計上
・海外で受領した仲介手数料収入を申告から除外するとともに、当該収入を国内に持ち込むことなく、海外に開設した預金で留保
・被相続人が所有していた海外の預金やコンドミニアムを、相続税の申告から除外

■ 不正資金の隠し場所

・地中に埋める
・「茶箱」と書かれたダンボール
など

(参考URL)
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sasatsu/index.htm

2011年6月12日日曜日

6月10日(金)の勉強会

※ 今回から、文書内の重要部分を、太字・下線で強調しました
  お急ぎの場合は、太字・下線部分だけ!
  気になったところ、細かく知りたい時は、その他の部分も!

  ケースに応じて、是非当ブログをご活用ください。

    by ストリーム スタッフ・E 

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【週刊 T&A master 】 405号 平成23年6月6日

■(税務)配当時の剰余金取崩にはルールあり

利益剰余金資本剰余金 両方を取り崩して、配当を行う場合、
 どちらをどれだけ取り崩すかは、会社が自由には決められない。

原資がいずれかによって、受け取り側の課税が異なるため。

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【週刊 経営財務】 No.3018 2011年6月6日

■(開示)ハイライト情報と包括利益

・H23.3期の有報から包括利益開示。
・連結財務諸表の注記では前期末(H22.3期)の記載が必要
 ハイライト情報(5期分)ではH23.3期のみの記載でOK
・包括利益がマイナスであっても「包括利益」。「包括損失」とはならない。

■(内部統制) JICPA 内部統制監査実務指針改正

「各監査人の定めている監査の手続や手法と異なることをもって、経営者に対し、画一的にその手法等を強制することのないよう留意する」との文言新設

■(東証) 震災対応で上場規程の一部を改正

債務超過の基準緩和

・上場審査において、10億円未満の特別損失は除外して審査
・直前期の監査意見のみ、「限定付き適正意見」でOK。
・施行はH23.6.1から。H23.3.11以降に終了する事業年度から適用

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【旬刊 経理情報】 No.1283 2011年6月10日

■(税務)[震災対応の税務]震災特例法、通達等を完全フォロー

①被災した固定資産  
(1)災害により著しく損傷した固定資産
   →評価損の損金算入が可能

(2)災害の場合の資本的支出と修繕費の区分特例
   →被災資産について、原状回復費等、修繕費に認められる 
   ※被災資産に代えて新規に取得等は、資産の取得

②震災損失の繰戻還付
  ・過去2年間に遡って還付
  ・青色欠損金の繰戻還付制度との併用が可能
  ・対象が中小法人に限定されていない

③被災した取引先支援
  ・売掛債権等の免除は、寄付金や交際費等に該当せず、損金算入

■(資本戦略)有償ストックオプション発行上のメリット・デメリット
  

(メリット)↔無償SOと比較して

① 費用計上がない
② 取締役会決議のみで発行が可能
③ 税制適格要件の制約を受けずに発行が可能
④ 行使条件を価値評価に反映できインセンティブ効果が期待

(デメリット)
① 取得者に資金負担がある
② 株主から発行差止請求を受けるリスクがある
③ 公正価値より低い価額で発行した場合、従業員に課税される税務リスクがある

■(開示)東日本大震災の四半期報告書分析

 東日本大震災発生日(2011年3月11日)~5月14日までに四半期報告書を提出した企業
 → 465社
 → うち約4分の1である120社が東日本大震災に関して何らかの記載あり


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2011年6月3日金曜日

6月3日(金)の勉強会

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【週刊 T&A master 】 404号 平成23年5月30日

■(IFRS)新リース会計の使用権モデルに懸念の声

不動産取引については、使用権モデルを使用すると、
リース料支払債務を超える賃料が、利息として認識される。

取引の実態を適切に反映しないのでは? 

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【週刊 税務通信】 No.3165 平成23年5月30日


■(税務) 名古屋地裁 解約不能の外国信託を巡る贈与税決定処分を取り消す⇒当局は控訴(P.5)

【事実関係】
・     祖父、父、孫が関係し、祖父から孫への贈与の有無について争われた。
・     祖父の資産(4億円)を米国の信託銀行に信託した。(委託者:祖父、受託者:信託銀行、受益者:孫、受益者の変更は可能)
・     信託銀行が当該資産を保険に投資(被保険者:父 / 父の死亡保険金は受益者に分配される)

【争点・結論】
・     祖父が信託した時点で、孫への贈与があるか?
⇒贈与なし。信託設定時において孫が受け取ることができる経済的利益はないため。また、父の死亡時には孫が受益者でない可能性もある。

■(税務)通勤手当と消費税(P.61)

10万円/月を超えたため、給与課税される部分の通勤交通費の消費税上の取り扱い。
⇒仕入税額控除可能。所得税上給与として取り扱われているものの、会社としては課税仕入れであるため。

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【週刊 経営財務】 No.3017 2011年5月30日

■(IFRS)開発費の資産計上

連結先行とした場合の連結財務諸表非作成会社の取扱いが論点
以下のいずれも
 1.仮に試算計上した場合の金額情報を注記する
 2.特段の注記を要しない
 3.連結財務諸表と同様の会計処理とする

■(開示)業績予想開示せず 2割

■(税務)国税庁調査 国内4社に3社は欠損法人

■(IFRS))災害損失の区分

 日本基準 : 特別損失
 IFRS   :  営業費用
 ※IFRSでは異常項目計上を認めない
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