2014年7月20日日曜日

7/18 勉強会:検証・IBM事件 他

1.検証・IBM事件

■ヤフー・IDCF事件
・租税回避に該当(東京地裁2014318日判決)
・国側が全面勝訴
・法人税法132条の2の解釈に踏み込んだ判決
・証拠資料が十分にそろっている。税務調査が的確かつ効率的
・スキームの立案が国内において行われている。税務担当部署で作成

IBM事件
・租税回避に該当せず(東京地裁201459日)
・納税者側が全面勝訴
・事実認定に関する記述に終始
・証拠資料が少ない
・スキームの立案が国外?弁護士などが特別チームを編成して作成?
・国際的な租税回避についてを述べた条文がない
 →132条では対応しきれない面がある

■判決の分かれ目
・証拠資料の質、量の差
 →証拠資料が少ないことがIBM裁判では納税者側に有利に働いた
 →納税者側も少ない資料で事実関係の説明をしなければならない


2.連結納税における貸倒引当金の計算

■普通法人である連結子法人が貸倒引当金の繰り入れを行う際の留意点
・損金の額に算入するには下記の要件を満たす必要あり
①資本金の額が1億円以下であるもの
(大法人による完全支配関係がある普通法人等は除かれる)
②その連結子法人に係る連結親法人が①に該当する

・内国法人が、その内国法人との間に連結完全支配関係がある連結法人に対して有する金銭債権は含まれない


3.投資収益率算定は対象外設備も含め計算

生産性向上設備投資促進税制の適用要件
 ・設備投資計画上の投資収益率が15%以上(中小企業は5%以上)
 ・税理士等がチェックし経済産業局の確認が必須
 ⇒対象設備の50%の特別償却又は対象設備の取得価額の4%の税額控除

投資収益率とは
 (営業利益+減価償却費)の増加額÷設備投資額により算定
       
<結論>
特別償却又は税額控除 ⇒ Aの金額
適用要件の判定    ⇒ ABの金額
⇒上記、税制優遇措置を適用する場合には、留意する必要あり。


4.後年分の会計票筆圧調査から偽計を認定

【事例】
・税務調査にて、
 日々の会計票の束の裏面に残っていた筆圧痕金額(束の合計額)
  > 実際に集計した束の合計額を発見
・売上金額を家族名義の口座に入金していたにも関わらず、調査時にその家族口座は会社とは関係ないという態度をとっていた

【審判所】
・会計票の束から、売上にかかる会計票の一部が故意に抜かれた
・把握しづらい家族名義口座に売上金額を入金し、会社に帰属させないようにしていた
⇒売上の隠蔽を図る行為であり、「偽りその他不正の行為」に該当すると判断

※偽りその他不正の行為
⇒社会通念上不正と認められる一切の行為が該当
⇒懲役・罰金(刑事罰)の対象


5.IPO関連

- 新規IPO企業紹介 -
◆会社の概要
会社名:㈱イグニス
上場日:715
市場:マザーズ
事業内容:スマートフォン及びタブレット端末等向けのネイティブアプリサービスの提供
主幹事証券:野村證券
監査法人:あずさ

◆資本金100万円で上場
有価証券届出書によると、上場直前のイグニス社の資本金は設立時から変わらずの100万円。
マザーズの上場要件に資本金や純資産の項目が無いとは言え、設立時から一度も増資をせず(創業者保有株式の売却はあり)、上場を果たした非常にレアなケース。

直前々期は44百万円の債務超過であったが、直前期では147百万円の利益剰余金が計上されており、アプリの開発期(直前々期)は借入金(みずほ銀行などから90百万円程度)で運転資金・開発資金を賄い、サービスリリース後の現在は内部留保で賄う、理想的な形の資金繰り。

アプリの開発力もさることながら、創業3年の会社にメガバンクが1億円近い融資を行っているため、創業者社長にはそれなりの資力があったが、税務メリットや話題性の点などから、あえて増資を行わなかったことが考えられます。


6.判例:土地譲渡対価の益金算入時期

■概要
・不動産業者Aは東京都との間にH2011月に土地売買契約を締結
 ※代金の支払いは所有権移転登記後とする
 ※土地の上に建物があり、これを取り壊さないと土地は利用できない
H2012月に所有権移転登記
H216月に建物を取り壊した

この場合「引き渡しがあった日」がいつになるかを巡り争われた。

A社⇒実際に土地が利用できるようになったH216
課税庁⇒契約締結日であるH2011

■東京地裁
不動産の売買があった場合の収益計上時期は「引き渡しがあった日」となる。
この場合の「引き渡し」は現実に固定資産が使用収益できるようなることでなく、契約により支配権が移転することを言う。よって契約締結日であるH2011月に売上計上すべきである。


7.税務:租税公課等の損金算入時期

租税公課等はその租税債務が確定した事業年度に損金算入されるという考えのもと、具体的には以下の様に取り扱う。

□申告納税方式のもの(事業税、事業所税)
申告書を提出した日の属する事業年度の損金とする。

□賦課課税方式のもの(固定資産税、不動産取得税、自動車税)
賦課決定のあった日の属する事業年度の損金とする。

□特別徴収方式のもの(ゴルフ場利用税、経由取引税)
納入申告書を提出した日の属する事業年度の損金とする。

□利子税、延滞金
納付した日の属する事業年度の損金とする。


8.リサイクリング

・その他の包括利益(OCI)として計上した未実現利益を、実現時にPLを通して当期純利益に計上し直すこと
・その他有価証券評価差額金:売却時にPLで売却損益を計上
 
IFRSの場合、その他有価証券評価差額金のリサイクリングは認められていない
 =売却時にPLを経由せず利益剰余金に直接振り替えられる


9.経理・財務部門と他部門間の職務分担見直し

()経理・財務部門内の見直し
※「やりすぎ」の削減
 ①業務の廃止、簡略化
 ②業務の移管(SSC、アウトソーシング)

()他部門間との見直し
※「形だけの業務」の削除
 ①業務の移管(他部門へ)
 ②制度の再設計

()ポイント
※不要なものは思い切って「関わらない」
※効率化のために「減らす」だけでなく「増やす」という発想も必要
※「しかたない」と思考を停止させてはいけない


10.附帯税等の会計処理

・附帯税等の会計処理
P/L上、「法人税等」の次に、「法人税等の更生、決定等による納付税額又は還付額」等の科目で記載(外形除く)
※修正申告事項が過去の誤謬に起因するものでない場合
 ⇒金額の重要性が乏しい場合には、「法人税等」に含めて表示することが出来る

・利子税等の会計処理
 ⇒利子税は営業外費用の「その他」等で処理
 ⇒還付加算金は、営業外収益の「法人税等還付加算金等」で処理
 ⇒印紙税の過怠税は「租税公課」等で処理


11.M&Aファイナンスの特徴

投資ファンドが買手となる場合、全額自己資金ではなく、投資効率を高めるために借入を利用することが多い。

【例】100億投資して5年後に資産価値が50億増加する場合
   借入する場合は、80億を買入
5年後に一括弁済 年率5%固定=利息20億(4/年×5年)
(結果)
①借入なし⇒100の投資で50増加
②借入あり⇒20の投資で305020)増加
(結論)
②の方が増加資産は少ないが、投資効率は良い
※ただし、借入時にその他取引費用が出たり、自己資金を使わなければ預金利息を得られた可能性もあるため、実務的には内部収益率(IRR)を使って投資効率を図る。


12.接待飲食費の損金算入に関する判断ポイント

26年度改正で社外の人との接待飲食費は50%損金算入可能に

■ポイント① 5千円基準と併用できる
 ⇒1人当たり5千円以下の飲食費は交際費から除外できる(従来通り)
 ⇒接待飲食費の措置法と併用可能
 ⇒大企業の場合、5千円基準で交際費をはじいた残りの接待飲食費について、50%相当額が損金算入となる

■ポイント② 接待飲食費の範囲
 ⇒ゴルフや観劇等の催事に伴う飲食や、送迎費は接待飲食費の対象外
 ⇒だが、飲食を主とする目的であるならば、「カラオケ」「キャバクラ」「スナック」も接待飲食費の対象

■ポイント③ 社内交際費
 ⇒社内交際費は50%損金算入できる接待飲食費からは除外される
 ⇒ただ周辺科目を使えば100%損金算入できるため、慎重な判断が必要

 ※福利厚生費の要件
⇒慰安目的であること
⇒従業員に対して公平さが保たれること
⇒通常要する費用であること

 ※会議費の要件
⇒通常会議を行う場所で行われる会議に伴う費用であること
⇒通常供与される飲食物であること ※12杯程度のお酒はOK


13.ローランド TOB成立 TOB価格は安すぎる??

・現経営陣と、米系投資ファンドが手を組み、TOBを実施
(創業者は反対していた)
715日、TOB成立。83%を取得。
TOB価格は安すぎるため、今後、プロ投資家が残った株式を買い集め、高い価格で会社に買い取らせる動きも?
TOB価格の算定はアミダスパートナーズ。
DCF法で算定。


ローランドは連結で稼ぎ頭の子会社(ローランドDG)株式を手放し、連結から外す予定。






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2014年7月11日金曜日

7/11 勉強会:“重要事実”と無関係ならインサイダーにならず 他

1.先端設備リースの会計処理が決定

【リース活用による先端設備導入促進補償制度】
・手術支援ロボット、介護ロボット、3Dプリンターなどが対象
・リース期間終了によるリース物件の処分(売却)について、損失の1/2を国が補填してくれる
・補填額は、リース物品の購入価額の5%が上限
・リース会社は、国へ補償料を支払う
・リースの借手が倒産した場合、二次リースした場合は補填なし
(アセットリスクにのみの保証制度)

【リース物品の借手の会計処理】
・従来のリース取引と同様


2.新規上場時の財表は2事業年度分に短縮

・金融庁は新規上場時の有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数を2事業年度へ短縮
 ※従来は5事業年度だった
・非上場企業のIFRS適用会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げる連結財務諸表は最近連結会計年度分のみで可

→これらは8月下旬に公布・施行される予定


3.“重要事実”と無関係ならインサイダーにならず

■役員でもインサイダーにならないケースを明確化
下記のような「重要事実」を知ったことと取引が無関係であることが明らかであれば、インサイダー取引規制違反にはならない。

・「重要事実が、その公表により株価の上昇要因となることが一般的に明白なときに、当該株式の売付けを重要事実の公表前に行っている場合」

・「重要事実を知る前に、証券会社に対して当該株式の買付け注文した場合」


4.支出先のイニシャル記載でも使途秘匿金

■まとめ
・販促費の支出内容等が客観的に明らかになる資料には下記の記載をする必要がある
 ①日付
 ②相手の名前(イニシャルは不可)
 ③金額
 ④支出の内容

・相手の名前を伏せる場合の相当な理由としては下記のような場合が考えられる
 ①不特定多数の者との取引で相手方の氏名がわからないもの
 ②小口の金員の贈答のように相手方の氏名等を帳簿に記載しないことが一般的な支出
 ③災害等による帳簿の紛失

■事例
・法人が支出した販売促進費が使途秘匿金になるかどうかが争われたもの
・原処分庁からの資料要求に対して、日付、イニシャル、金額を記載したメモを提出
・イニシャル記載となった理由は、開示した場合、取引継続が難しくなると想定したため
・法人は、社内ならメモで具体的な相手方を理解でき、かつ、第三者から見ても特定の誰かを示していることが明らかと主張
・審判所は、使途秘匿金の課税制度の趣旨、社会通念に照らして判断すれば法人側の主張は通らない、また、イニシャル記載では、相手側の氏名を帳簿書類に記載したことにはならないとして使途秘匿金に該当すると判断した


5.出向者に係る特定役員退職手当等

■事例
・親会社の従業員が子会社の役員として出向
・親会社を退職することになったので、同時に子会社の役員も退任
・出向期間中の退職金は子会社から本人に直接支給する予定

■退職所得に係る注意事項
・出向期間が5年以下の場合
 →子会社から受ける退職金は特定役員退職手当等に該当する
 →平成25年分以降に適用
・特定役員退職手当等に係る計算
 特定役員退職手当等の収入金額-退職所得控除額=退職所得の金額
 
 ※参考:通常の退職金に係る計算
 (退職金の収入金額-退職所得控除額)×2分の1=退職所得の金額


6.法人税改革案からみる課税ベース拡大の行方

政府の税制調査会において、平成27年度税制改正のベースとなり得る法人税改革案が取りまとめられた。

① 中小法人課税(中小企業のみ)
・「中小企業」の基準である1億円基準の見直し
 ⇒基準の引下げが検討。
・法人税率の見直し(所得800万円以下)
 ⇒現行の15%から19%へ
 ※1億円超の大企業は25.5%から変更なし

② 地方法人課税
 ⇒中小企業の外形標準課税の適用拡大

③ 欠損金の繰越控除制度
 ⇒現行9年から延長

④ 減価償却制度
 ⇒200%定率法を廃止し、定額法に一本化

⑤ 受取配当金の益金不算入
・株の保有が支配関係を目的⇒配当による収益を課税対象外とする。
・資産運用を目的⇒配当による収益の課税対象の範囲や益金不算入の割合を見直す。

⑥ 公益法人課税
 ⇒社会福祉法人の法人税非課税措置の見直し

中小企業に対する課税強化については反対意見や反発は避けられない。
最終的には平成27年度税制改正のプロセスの中で決定される。


7.アジア上場について

・主な市場
香港 シンガポール 台湾 韓国 上海

・上場の形式
プライマリーorセカンダリ

プライマリー上場・・・日本で上場していない会社が海外で初めて上場すること。
201286日に㈱ダイナムジャパンホールディングス(パチンコ業)が香港市場に上場(現時点で唯一の事例)。

セカンダリ上場・・・日本の上場企業が海外でも上場すること
2011414日には、SBIホールディングス㈱が香港市場に上場。

直接or預託証券方式
直接上場・・・通常の上場

預託証券方式・・・預託証券とは、既に発行している株式を預け入れた信託銀行等が発行する代替証券のことを言う。
発行済み株式を裏づけとした預託証券の発行により、通常の株式と同様に売買できる。
ファーストリテイリング(香港)、 エルピーダメモリ(台湾)


8.消費税:国境を越えた役務提供の消費税課税制度 政府税調案

課税の範囲
①役務提供の国内判定基準を変更する
(現行)
役務提供者の所在地で判定
(改正案)
役務を受ける者の所在地で判定

②電子書籍や音楽配信は資産の譲渡や貸付ではなく、役務の提供と整理する。

→①②により、Kindleの配信は国内取引として消費税の対象となる。

■︎課税の方式
B to B取引 :リバースチャージ方式
  役務提供を受ける者が料金支払時に消費税相当を天引し、国に納付する。
役務を受ける事業者のうち課税売上割合が高いものについては、リバースチャージ方式による納税額と仕入税額控除を同額とみなし、申告不要とする。

B to C :国外事業者申告方式
事業者向け取引であることが明らかでないものについては、国外事業者に日本への申告納税義務を負わせる。
対象となる国外事業者は、課税対象取引が1000万円超のものに限る。


9.生産性向上設備投資促進税制QA

■概要
・対象法人・・・ 青色申告法人 ※資本金規模問わず
・特別償却額・・・取得価額-普通償却限度額(=即時償却)
・税額控除・・・5%(建物等は3%)法人税額の20%限度
・生産性を向上する対象資産を取得した場合に適用

QAより(ポイント)
 ・新品の資産に限る
 ・建物も対象となる(ただし、本店、寄宿舎など生産に関連しないものを除く)
 ・補助金をもらって購入した場合には補助金を除いた額が対象
☆・A機械⇒特別償却、B機械⇒税額控除、というのも可
 ・繰越控除はない。
☆・中小企業者については、中小機械等の特別控除と選択適用
 (資本金3000万以下⇒10%の税額控除・3000万超1億円以下7%の税額控除)


10.財務専門家に求められるスキル

1.コミュニケーション能力
 コミュニケーション
 専門分野(財務)
 信頼関係
2.業務推進
 ビジネスを知ること
 業務推進の要を特定すること
 改善のための機会を調べること


11.エンドースメントされたIFRS(日本版IFRS)に対峙する問題点

・ピュアIFRSと日本版IFRSの差異は
 「リサイクリングと当期純利益の論点」
 「のれんの非償却の論点」
 に限定されそう。

・日本版IFRSIFRSではない、IFRSの名前を使えないといったリスク
 ⇒結局利用者はいないのでは?


12.棚卸資産の評価

■モデルケース
消費税増税前に大量に在庫を仕入れ、一時的に在庫を多く抱えている

■在庫水準が高いことによるリスク
①資金繰りの悪化
②在庫として保有している間の陳腐化・品質低下・価格変動
 ⇒収益性の低下

■リスク②の収益性の低下による簿価切下を行う場合
・基本的に簿価切下額は売上原価により処理
・下記の場合は特別損失により処理
 ①重要な事業部門の廃止
 ②災害損失の発生


13.子会社が親会社から自社株を取得する場合の規制について

【事例】
日本IBMS社)がその完全親会社であるIBMエーピー・ホールディングス(P社)から自己株式(S社)を購入し(※1)、その直後に両社が連結納税制度を利用することで所得を圧縮した件について、H22.5に当局が租税回避行為だとして約1,200万の追徴をする更正処分を行ったが、P社が原告となり当該処分を不服として争われた件について、H26.5に当局の行った更正処分が取り消された。

(※1)税務上の仕訳
株式譲渡部分
(現金)     300億 (日本IBM株) 4,300
(譲渡損) 4,000  

みなし配当部分(譲渡対価-@資本金等の額×取得株式数)
(現金)   4,000  (受取配当金) 4,000億 

【現在(H22年度税制改正~)】
H22.10以降においては、同様の処理を行っても節税効果は生じない。
⇒「100%グループ内の法人間取引について課税を生じさせない」

今後は上記事例に当てはめると
100%グループ内の法人からの受取配当等の益金不算入制度の見直し
⇒益金不算入
100%グループ内の発行法人への株式譲渡に係る損益取引の見直し
⇒計上されない。資本金等の額に加減算


14.M&AのしくみとDD

1.M&Aのしくみ
 事業会社にふさわしいM&Aのしくみは、シナジー効果の実現を目標に、それを目指した軸のぶれないしくみを開発すること。
M&A戦略
② プレDD
③ 本番DD
M&A成立
⑤ 新しい事業計画
⑥ シナジー効果実現

2.DD
 ・目的              :問題点・検討点をチェックすること、データ収集
 ・DD3段階  :プレDD、本番DD、クロージングDD
 ・種類              :ビジネスDD、法務DD、財務DD


15.楽天・エアアジア連合 仁義なき乗員奪取作戦

・新生エアアジアジャパンの設立が、71日に発表された。
出資はエアアジア49% 米系投資ファンド19% 楽天18%

・旧エアアジアジャパンは、ANAとエアアジアが対立し、提携解消

・新生エアアジア・ジャパンの描く成功への青写真

①パイロットを他社から高額引き抜き
ANAと同水準の給与 経営破綻後報酬が下がったJALのパイロットには魅力的?
→他のLCCは機長不足で欠航が多い

②羽田空港発着枠を狙う
→東京五輪を控えて、近く発着枠が増える見込み
→政財界に顔のきく楽天の三木谷さんを使う




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2014年7月4日金曜日

7/4 勉強会:ふるさと納税と一時所得 他

1.「改正会社法で創設された新キャッシュ・アウト(現金を対価とする少数株主の締出し)とは?」

■新たなキャッシュ・アウト手法として「特別支配株主の株式売渡請求」ができた
総株主の10分の9以上を有する株主(特定支配株主)が、株主全員に対して所有する株式の全部を特別支配株主に売り渡すことを請求できる制度。
→特別支配株主の意向により、その他の株主の意向に関係なく、全株式を取得できる

■従来の手法
・金銭を対価とする組織再編(株式交換等)
・全部取得条項付種類株式を用いた手法
→それぞれ実務ではデメリットがあった

■「特別支配株主の株式売渡請求」のメリット
・株主総会の特別決議が不要で、時間的・手続的コストが小さい
・税務上、株主間の課税のみで終了する
→企業にとって使い勝手の良い手法である


2.内外判定基準変更で国外取引を明確化へ

・国境を越えた役務提供に対する消費税について

現 状:役務提供地で判定
変更案:役務提供を受ける者の住所地や事務所所在地で判定(仕向地主義)
()KindleKoBoでのネット配信サービス
 ⇒サービス配信する供給地で課税されるため消費税は課税されないが、今後は課税される

ただし国内外にわたる役務提供について、以下は国外取引となるように法令で明確化する。

①国外で当該国に関する情報収集など役務提供
②国外で国外資産の譲渡等に伴う役務提供

上記以外は変更後の内外判定基準で判定することになる。
GoogleAmazonAppStoreAWSは要注意


3.マンション等の収益事業をめぐる課税問題で初の裁決事例

■まとめ
・マンションの管理組合は人格のない社団等に該当する
・管理組合が得ているアンテナ基地局の設置による収入は、収益事業に該当するので法人税の課税対象となる

■事例
・マンションの屋上(共用部分)にアンテナ基地局を設置して、賃料収入を得ていた管理組合に対して、その賃料収入について法人税が課税された事例

■争点と審判所の判断
①管理組合は人格のない社団等に該当するかどうか
→人格のない社団等に該当する(最高裁S391015日第一小法廷判決)

②共用部分を使用した賃料収入は、管理組合に帰属するか、各区分所有者に帰属するか
→共用部分の管理は管理組合が行っており、また、管理組合が当事者として 賃貸借契約を締結しているため、賃料収入は管理組合に帰属する

③アンテナ基地局設置による賃料収入は、管理組合の収益事業に該当するかどうか
→共用部分を使用したアンテナ基地局の設置は、不動産貸付業に該当するため法人税法でいうところの収益事業に該当する

■人格のない社団等の判断基準
①総会を組織し理事長等の役員を置くなど団体としての組織を備えていること
②総会は多数決の原則が行われていること
③構成員の変更にかかわらず、団体そのものが存続すること
④その組織において、代表の方法、総会運営、財産管理など団体の主要な点が確定していること


4.電子記録債権の受取書に係る印紙税

①売上代金を電子記録債権で受領した場合の受取書
・第17号文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)には該当せず
 ※受取書に印紙添付不要
・受取書に、「上記金額を電子記録債権で受領しました。」などの記載必要

②印紙税の改正点(H26.4.1以後作成の受取書に適用)
・第17号文書について、5万円未満は印紙税不要に
 ※従前は、3万円未満が印紙税不要であった


5.社外役員等に関するガイドラインが公表

2014630日、「社外役員等に関するガイドラインが公表」され、要旨は以下の通りである。

◆ガイドラインの趣旨
我が国の上場会社が国内外から信頼を受ける良質なコーポレート・ガバナンスを確保するために求められる事項等を示したもの

◆社外役員を含む非業務執行役員の役割
・社外取締役は社内外での知見・経験を生かし、企業価値の持続的な向上のため外部の視点から忌憚のない意見を述べることが望ましい。

・社外取締役は、役員の選任・選定過程、報酬の決定過程において、忌憚のない意見を述べることが望ましい。

◆社外役員を含む非業務執行役員の人選
・企業は、非業務執行役員の人選に当たって、非業務執行役員に期待する役割を、非業務執行役員及び株主に対して明らかにすべきである。

・執行役員に業務執行役員からの独立性を強く求める場合、非業務執行役員の人選過程において、業務執行役員からの推薦とするのではなく、非業務執行役員に候補者の選定を依頼することが考えられる。

・企業は、監督の実効性と独立性のバランスを考慮して、非業務執行役員の最長在任期間を検討することが望ましい。


6.ふるさと納税と一時所得

■ふるさと納税について
【概要】
・地方公共団体に対する任意の寄付
・所得税で寄付金控除を、住民税で税額控除を受けることにより住民税の納税地を実質的に住所地→出身地に変えることができる。
・寄付のお礼として特産品(3,000円程度)がもらえる。
・複数の地方公共団体に寄付可

(具体的仕組み)所得税率10%とする
①地方公共団体3か所に10,000円ずつ寄付(計30,000円)
②所得税の減額  (30,0002,000)×10%=△2,800
③地方税の減額 ア(30,0002,000)×10%=△2,800
            イ(30,0002,000)×(90%10%)=△22,400円(※)
          ※住民税所得割額の10%が限度
④合計控除額 △28,000
⇒実質2,000円で特産品9,000円(@3,000×3)をゲット
           
■もらった特産品の取り扱い
・一時所得として所得税が課税される。
⇒通常は特別控除50万があるため申告不要。
  ただし、他の一時所得がある場合には加算して申告が必要。


7.会社法改正法案可決

・監査等委員会設置会社制度の創設
・社外取締役を置くことが相当でない理由の開示義務付け
・社外取締役等の要件等の厳格化
・会計監査人の選解任等に関する議案内容決定権の監査役への付与
・多重代表訴訟制度の創設
・株主による組織再編等の差止請求制度の拡充
H27年春ごろに施行される見通し
⇒3月決算であれば来年6月の総会から

■社外取締役の要件
※改正会社法が6月20日に成立
①親会社の取締役等でないこと
②取締役等の近親者でないことなど

社外取締役を設置しない場合には、「置くことが相当でない理由」を説明する必要あり

会社法2条15項
「現在及び過去一度も当該会社またはその子会社の代表取締役・業務執行取締役・執行役・従業員等となったことがないこと」
⇒①と②が加わり、過去一度も、が就任の前10年間、に変更になった

3月決算であればH26年6月の株主総会で社外取締役を選任しなければ来年の株主総会で説明必要

■倫理
Big4であるKPMGの現役パートナーがインサイダー取引に関与し14ヶ月の実刑判決を受けた
7月18日が収監日 現在51歳


8.特集 得する年金

(未納付・未加入期間について)
2015年の9月まで 未納保険料は過去10年さかのぼって納付可能
・国民年金の加入期間は60歳までだが、6065歳で任意加入して、過去の未加入期間をカバーできる

(年金受取り開始時期)
・年金を受ける時期は60歳まで早められる 
(その場合、早めた月数×0.5%減額 → 65歳支給開始の人が60歳まで早めると本来の70%)
・逆に70歳開始に遅くすることも可能
(遅くした月数×0.7%増額 → 65歳支給開始の人が70歳まで遅くすると本来の142%)

(主婦の年金)
・専業主婦(≒第3号被保険者)は、自分では保険料を収めず、将来基礎年金6.5万円を受け取れる

・案①パートも厚生年金を適用
・案②第3号を廃止、第1号に加入してもらう(基礎年金を受け取りたければ月1.5万円の保険料を払う)





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