2013年5月26日日曜日

5/24 勉強会:グリーン投資減税の対象となるLED照明の要件 ほか


1.グリーン投資減税の対象となるLED照明の要件


■グリーン投資減税の概要
青色申告法人が減税対象資産を取得した場合、
 ①取得価額の7%の税額控除(中小法人のみ)
 ②取得価額の30%の特別償却を受けられる(①or②)

■対象に追加となった資産
・LED照明(単独設置)
※いままでは、高断熱窓等との同時設置の場合のみ認められていた

<条件>
・JIS規格のものであること
・建物の階層ごとに、照明の90%以上の台数を導入すること


消費税総額表示義務の特例

■企業の負担
今後短期の間に5%⇒8%⇒10%と消費税が増税されると、
値札の総額表示(税込価格で表示)を強制することは、企業の大きな負担になる。

■総額表示義務の特例
消費税の表示を、本体価格が税抜であることを明確にできればOKというもの
 Ex.店の中に張り紙で「店内の値札は全て税抜価格となっております」
      と周知する。

■使用可能開始時期
⇒明確には未定。今年の10月1日などが有力


3.有価証券報告書作成上の留意点(平成25年3月期提出用)

■会計方針の変更等(平成23年税制改正(減価償却))
(正当な理由による会計方針の変更)となるのは?
平成19年3月31日以前に取得した資産=旧定率法
平成19年4月1日以後取得した資産=250%定率法
平成24年4月1日以後に取得した資産=200%定率法

(自発的な会計方針の変更)となるのは?
[パターン1]
平成19年度税制改正時に、
平成19年3月31日以前取得の資産=250%定率法
平成19年4月1日以後取得した資産=250%定率法
平成24年4月1日以後に取得した資産=200%定率法

[パターン2]
平成23年度税制改正時に、すべての資産=200%定率法


4.特定口座内株式の譲渡と他の規定

■ポイント
 ①特定口座内にある株式については、
    概算取得費の規定を使用することはできない。
 ②譲渡した特定口座内にある株式が相続により
    取得したものであるときは
  確定申告をしないと相続税の取得費加算の規定を
    適用することはできない。

■事例
 ①特定口座内にA株式を保有(取得費2.5万円)
 ②相続によりA株式を取得、特定口座に保有(取得費5万円)
 ③時価が1,500万円となったので、
    うち800万円を譲渡したいが留意すべき事項はあるか

■留意事項
 ①特定口座内にあるときに譲渡をしたら、
     A株式の取得費は4万円となる。
 ②一般口座に移したあとに譲渡をしたら、
     A株式の取得費は4万円と40万円のいずれかを採用することができる。
 ③特定口座内にあるときに譲渡をしたら、
     相続税の取得費加算の規定の適用を受けるには確定申告が必要。

 ④譲渡をしたA株式は相続により取得したものから先に譲渡されたものとして
    取り扱われる。

 ※一般口座にある株式について、
   概算取得費と相続税の取得費加算の重複適用については可能と思われる。


5.【消費税】リース会計で認識される利息相当の消費税


■売買処理されるリース取引では、
支払われるリース料の一部を会計上利息として認識する。
 この利息の消費税上の取扱は下記の通り。
  ・契約時に契約書で利息部分が明示されているケース  
    ⇒利息は非課税仕入
  ・契約上は利息部分の区分がされていないケース
   ⇒利息とされる部分も含めた支払総額が課税仕入

 契約書の書き方は後者のケースが一般的。
 課税仕入となる会計上の支払利息が生じることになる。


6.裁決事例:不動産取得の際の固定資産税相当額について


■概要
法人Aは不動産取得の際に支払った固定資産税
(いわゆる未経過固定資産税)相当額
損金に算入したが、原処分庁は取得価額に算入すべきとして
更正処分を行った。

■主張

【原処分庁】
固定資産税の納付義務者はあくまで1月1日現在の所有者であり、
法人Aが「相当額」を負担しても
固定資産税そのものを負担したとは認められない。
未経過固定資産税は売主との間に生じる債権債務関係に基づいて
授受されるものであ「購入代価の一部」とみるのが相当である。

【法人A】
当該固定資産税は納税義務者たる売主と公平に負担按分したものであるから、
納税義務者ではないという理由で損金に算入しないのは誤りである。
また、不動産取得税等の租税公課は損金算入となるから
取扱いを分けるべきではない。

【審判所の判断】
原処分庁の主張が認められた(取得価額算入)


7.サムスン電子の強さの秘密(経済合理性の罠)

・サムスンはなぜ強いか?巨額投資を続けている。
・サムスン2.5兆円(総資産の20%)、トヨタ1.5兆円(総資産の5%)
⇒巨額過ぎて経済合理的な常識では正当化できない

・大企業ではNPVやROIを駆使して投資の経済合理性を検討
・同じ手法で検討=どの会社も似通った投資になる
 =同じことをやっていても競争に勝てない
⇒競争戦略においては差別化が基本的な戦略。

サムスン電子はなぜ経済合理的には正当化されない多額の投資ができるか
⇒創業者一族が経営をしているから



8.定時株主総会の直前対策Q&A

①Q:決議事項のない、報告事項だけの定時株主総会はあるのか?
  A:原則、報告事項だけであっても定時株主総会は開催しなければならない
    (報告不要の旨、全株主の同意があれば省略可)
 
 ②Q:プロキシ―ファイトとは何か?
  A:提案株主と会社の双方が、
        自己が提案する議案に賛成票を集めるべく、委任状を勧誘すること


9.平成25年3月期 有価証券報告書作成の留意点

○役員の状況
・役員が社外取締役または社外監査役に該当⇒欄外に注記
「取締役(監査役)○○は社外取締役(監査役)である」
※社外役員の定義の条文(会施規2③五)を引用する事までは
   求められていない。


10.再建計画等の一環として行われる手法

(1)デット・エクイティ・スワップ
 ①デット(債務)をエクイティ(株式)にする取引
  債務者: 借入金/資本金
  債権者: 投資有価証券/貸付金
 ②メリット
  債務者:負債削減による債務超過解消等
      支払利息の減少
  債権者:債権放棄や倒産処理等に比べて、
      経営再建成功時に利益がでる可能性がある

(2)デット・デット・スワップ
 ①既存の債権を、別の条件の債権に転換する取引
 ②金融機関が今の返済順位より劣後した債権に変更する場合が多い


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2013年5月19日日曜日

5/17 勉強会:消費・印紙税改正前に領収書の再点検を ほか



1.物納底地の貸付料、鑑定評価巡り国側敗訴


■前提
建物が建てられている土地の価値
更地 = 借地権 + 底地
 
■事例
①相続税の納税者が、マンションの敷地を物納した
 ※敷地の価値は、底地としての価値とされた
②マンションを利用するため、国からその敷地を借りて、地代を支払った
→地代はいくらか

■国の主張
更地価格を基礎として地代を決めるべき

■納税者の主張(勝訴)
物納時の評価である、底地価格を基礎として地代を決めるべき


消費・印紙税改正前に領収書の再点検を

■まとめ
・領収証には、消費税額を区分して表示する
・消費税額が区分表示されていれば、税抜価格を基礎にして
 印紙を貼る必要があるかどうかを判定できる。

■平成25年度税制改正
・平成26年4月1日以降に作成された領収証について
 領収金額が5万円未満の領収証には印紙の貼り付けが不要に。
 (現在は3万円未満の領収証に印紙の貼り付けが不要)
 (平成26年4月1日は消費税の税率が5%から8%に)

■例示 消費税込51,450円の領収証の場合
 パターン1「領収金額51,450円」            
200円の印紙の貼り付けが必要

 パターン2「領収金額51,450円(うち消費税等2,450円) 
印紙の貼り付け不要

 パターン3「領収金額51,450円(税抜金額49,000円)   
印紙の貼り付け不要


3.債権承継通知後の差押処分は違法

■まとめ
・譲渡禁止特約が付いている債権でも、
 債務者が新しい債権者と取引を継続していれば
 特約付きの債権が譲渡されたものとして取り扱う。

■具体的事案
 ・A社…建物所有者。B社に物件を賃貸している。
      B社から預かっている敷金がある。
 ・B社…税金滞納中。A社の物件を賃貸中。会社分割を検討
 ・C社…B社から分割した新設会社。A社の物件をB社から承継

 ①B社はA社に建物賃貸借契約の譲渡を持ちかけたが、
  A社はそれを拒否。

 ②B社はC社を新設し、A社が保有する賃貸借契約に係る契約上の地位
 (賃借する権利、敷金の返還を受ける権利)をC社に承継。

 ③B社はC社に承継した旨をA社に通知

 ④A社はC社からの家賃収入を売上計上、賃料の改定交渉もC社と行う。

 ⑤税務署がB社の滞納税金回収のため、
  A社が預かっている敷金の返還を受ける権利を差押。
 
 ⑥審判所の判断
  ・A社はB社とC社が別法人と認識した上でC社と取引を継続
  ・上記より、賃借する権利、敷金の返還を受ける権利もC社に承継されたことを
   承諾したものと認定
  ・敷金を返還する権利はC社に承継されているので、B社の権利ない
  ・よって、税務署が行った敷金の返還を受ける権利の差押は違法な処分とした


4.「企業会計基準委員会が2件の新規テーマを決定」

■見直し決定事項
企業会計基準委員会は、
実務対応報告18号および連結納税と企業結合に関する税効果について
見直すことを決定
→詳細は今後検討予定


5.消費税経過措のQA


Q1:インターネット料金を月々定額で支払っている場合

電話料金等と同様に26年4月30日までに確定した支払額は
5%で計算してよいか?

A1:定額の場合経過措置の対象にはならず、支払が4月30日ならば8%で計算
※ただし、使った量に応じて金額が変化する多段階定額制の場合は、
経過措置の対象。

Q2:モデルルームの工事の受注をしたが、仕様は完全に決まっており、
デザインなど購入者の希望を一切反映しない場合、経過措置の対象となるか?

A2:工事契約の仕事の内容につき、購入者の具体的に指示を出している場合のみ
経過措置の対象となる。
Ex.ドアのデザインについて、購入者が指示を出す等

 

6.【所得税】住宅ローン控除の拡充は消費税率引上げが前提・経過措置の

適用関係に留


・消費増税に伴う住宅対策として、H26.4~H.29.12の居住期間にかかる
住宅ローン控除の枠が拡大される。(最大400万円へ)
・ただし、控除枠拡大は消費増税率が8or10%の場合に限られる。
⇒ex.
『H25.9施工契約、H26.5引渡&居住開始』のケースでは、
請負工事の経過措置により5%の消費増税率が適用される。
従って住宅ローン控除の枠拡大は適用されない。


7.【研究開発税制と中小企業】


■研究開発税制
試験研究費の額の一定割合を法人税額から控除できる制度。
「総額型」で8%~10%、中小企業は12%を控除できる。

・優遇されているが適用を受けている中小企業の割合は低い
⇒人件費の要件が「専門的知識をもって試験研究の業務に専ら従事する者」に
限定されていることが理由。
中小では試験研究以外の業務を兼務するケースが多いため
適用を受けにくい。

※「専ら従事」の要件⇒①~④をすべて満たすこと
①プロジェクトチームに参加し担当業務が行われる期間は専属的に従事
(全期間でなくてもOK)
②専門的知識が業務に不可欠
③従事期間がトータルでおおむね1月以上
④担当業務が明確に区分され、従事期間の人件費が適正に計算されている

 8.インドの監査制度の特徴と進出の留意点


・インフレ10%、昇給20%、貸出金利12%、預金金利7%
・すべての法人、支店、駐在員事務所に勅許会計士による会計監査が
 義務つけられている
・税務は3月末決算
・売上高が1000ルピー(1,800万円程度)を超える場合は
 別途勅許会計士による税務監査も義務付けられている
・会計と税務とでは主に固定資産の減価償却に違いがある
・移転価格証明制度
 関連当事者間取引が約18Mを超えると移転価格の妥当性の証明文書が必要
 2013年3月期から20%超の同一の株主を有する会社間の国内取引に対象に
・文書化義務違反のペナルティは取引額の4%
・2012年にはようやく移転価格の事前確認制度が導入された

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2013年5月12日日曜日

5/10 勉強会: 更生の請求期間の延長と当初申告要件廃止による影響 ほか



1.【相続・贈与】教育資金贈与の非課税特例と贈与者の死亡(相続税の加算)


■相続税の加算
相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合には、
贈与を受けた財産の価額を相続税の課税価格に加算される。

①相続開始前3年以内に教育資金贈与の特例で贈与を受けていた場合

特例を受けて贈与された財産は、相続税の加算の対象にならない。

②特例適用を受けていた受贈者が相続開始前3年以内に30歳になり、
贈与税を課された場合

贈与税が課された残額相当は、相続税の加算の対象になる。

企業再生税制 評価損益計上除外資産の範囲改正について


25年度改正により、私的整理等があった場合に評価損益計上の
対象外となる資産の範囲が改正された。

<評価損益対象外となる資産の範囲>
改正前⇒時価と簿価との差額が1,000万円と資本金等の額の1/2の
いずれか少ない額以下となる資産

改正後⇒原則として取得価額が20万円未満の減価償却資産


■適用時期
25年4月1日以後に一定の私的整理等があった場合に適用される。

※私的整理等
 ・・・中小企業再生支援協議会の支援による再生計画などが該当

3.なぜウォークマンはiPodに敗れたか

・ネットワークで音楽を配信する仕組みと
 それを再生するプレーヤーを最初に作ったのはソニー
・ソニーにはウォークマンでの実績、VAIOというPC、
 ソニー・ミュージックというレーベルと、すべて揃っているのに、
 最初に作ったのにうまくいかなかった
・独立採算制⇒部門間のコンフリクト
・アップルの場合、社内で協力しない部門は首が飛ぶ。
 でもソニーは社内で部門同士が争う。
・アップルはPLは1つ。
 ジョブズがすべての部門をコントロールしているため、
 普通の会社で言う部門別損益管理という考え方はない

4.生産等設備投資促進税制の活用ポイント



・主な内容
①取得価額の30%の特別償却又は取得価額の3%の税額控除

②適用期間
⇒平成25年4月1日~平成27年3月31日(2年間)

③対象となる生産等設備
⇒機械及び装置(事務用器具備品、乗用自動車などは該当しない)
※今後、通達に規定されていくことが想定

④適用要件(青色申告法人)
⇒減価償却費を超える投資
 前事業年度の投資額の110%を超える投資
EX.2年間の投資額:260
 ケース1:1年目150、2年目110(約27%減少)→2年目適用なし
 ケース2:1年目120、2年目140(約17%増加)→2年目適用あり

・まとめ
⇒2年間の投資計画で前年度の110%を超える投資が必要となるので
 投資計画に調整ができる場合はこの税制を見据えた検討をする。

5.更生の請求期間の延長と当初申告要件廃止による影響

 ①メリット: 致命傷になりかねなかったミスが救済される
   ⇒更生の請求期間が原則1年から5年に延長
   ⇒当初申告要件※の廃止により、
    後で誤りに気付いても更生の請求が出来るようになった制度がある
    (ex.受配益金不算入、所得税額控除、外国税額控除等)
  
    ※ 当初申告要件=当初の申告の際に、
                適用する金額を記載した場合に限り
                更生の請求を認めるもの

 ②デメリット: 微妙な課税処理をした案件は5年間安心できない
   ⇒税務署長が増額更正をすることができる期間が、
     改正前は3年のものについて5年に延長された

6.本社部門で『カイゼン活動』効果がでにくい理由

(主な理由)
①複数部門をまたがる課題が多い
 (他部門との遣り取りが上手くいかない)
②「やめる」という発想が乏しい
③コスト意識の欠如
 ・給与に見合う成果
④可視化、目標設定、効果測定の不徹底
 ・「できてるつもり」「計画したつもり」etc

(今後)
①責任と権限を明確化
②コミットメント力
③トップダウンでの権力行使


7.金融商品の時価等に関する注記事項

原則:BSの科目ごとに帳簿価額、時価、差額、算定方法

例外:時価を把握することが極めて困難なものは
   金融商品の概要、帳簿価額及び時価を注記していない理由

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【助成金について】


1.労働移動支援助成金(再就職支援給付金)



経営不振により、離職を余儀なくされる労働者に対して
民間の職業紹介事業者に再就職支援を委託し、
再就職を実現させた場合に助成金をもらえる制度。

■もらえる金額
委託費用の1/2(55歳以上の労働者の場合は2/3)
 ※1人当たり40万円まで、300人まで

■要件
①再就職援助計画を作成
②公共職業安定所長の認定を受ける
③民間の職業紹介事業者に委託する
④離職の日から2ヶ月以内に再就職する。

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2013年5月8日水曜日

5/2 勉強会:新設の投資減税は全業種が適用対象 ほか


1.派遣乗務員に係る支払家賃は源泉対象


【前提となる規程】
・外国法人から「人的役務の提供」を受けた場合、その対価は所得税の源泉対象
(20%)
・外国からの派遣社員の国内滞在費等を負担した場合、「人的役務の提供」の対価を
支払ったものとされ、上記の源泉対象となる
・(※1)但し、費用を直接、ホテル等に支払った場合には、源泉不要となる

【事例】
・日本の会社(A社)が、海外の会社(B社)から派遣社員を雇った
・派遣社員の日本でのホテル代を、A社がB社経由で支払うという契約だった
・しかし、実際にはA社が直接ホテルへ支払いをした
→ホテル代は源泉対象となるか?

【結論】
・ホテル代はB社経由で支払うことが契約で定められているので、
A社が直接ホテルへ支払っても、立替払いしているに過ぎない
→但し書き(※1)の規程は適用できず、源泉対象となる


新設の投資減税は全業種が適用対象

①生産等設備投資促進税制は、生産等設備に一定額以上投資(※)して、
 「機械装置」を取得した場合に
 30%の特別償却or3%の税額控除が認められる制度
②対象業種は、製造業に限らない。
③サービス業や小売業も対象になるが、サービス業などの場合、
 生産等設備はなにが該当するのか?
④事業を営むために必要な店舗そのものを生産等設備に該当する。

(※)具体的要件
①生産等設備への年間総投資額>その年の減価償却費
②適生産等設備への年間総投資額が前事業年度とよりも10%超増加


3.27年末までに発行の私募債は特定公社債に

Q
①27年12月31日までに発行された公社債は特定公社債に該当する。
②特定公社債の28年1月1日以後に支払いを受ける利子の課税は
 源泉分離課税(15%)なのか?

A
①源泉分離課税の対象ではなく、申告分離課税(15%)の対象。
②総合課税の対象ではないので注意が必要

4.過大支払利子の損金算入制限(法人税)

■過大支払利子税制とは
 関連者に支払利子を多く支払うことで所得を少なくし、
 結果として納税額が少なくなる方法を防止するために創設

■他の制度との関係
①過小資本税制との関係
 過大支払利子税制を適用した場合と過小資本税制を適用した場合を比較して
 損金不算入となる金額が大きい方の制度のみを適用する。

②タックスヘイブン税制との関係
 過小資本税制を適用して損金不算入となる金額を調整して
 両方の制度が適用される。

③連結納税制度での調整
 連結グループ全体の所得金額、
 支払利息の額を使用して損金不算入額を算出する


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2013年5月2日木曜日

4/26 勉強会:【相続 贈与】教育資金贈与の非課税特例 文科省Q&A ほか


1.年の中途において推定相続人となった場合


(事例)
①1月に祖父から現金の贈与を受けた
②3月に父が死亡し、祖父から父の死亡保険金の贈与を受けた

(相続時精算課税の適用可否)
①祖父の推定相続人でない→適用不可(暦年課税)
②祖父の推定相続人である→適用可能

課税リスクの説明不足で税理士側に損害賠償命令

(事例)
・医療法人から「特定医療法人」の承認を受けるための
アドバイスを求められた
→理事長宛の貸付金を営業権に振替える処理を提案
→貸付金の消滅が理事長宛の賞与として認定、源泉徴収義務が発生
→医療法人から損害賠償を求められた

(裁判所判断)
・税理士法人に損害賠償責任あり
・税理士が一定の会計処理をアドバイスする場合は、
会計処理から生じる課税リスクの説明義務を負う
・説明を怠った場合、税理士が債務不履行(説明義務違反)責任を負う

3.株主保有特定会社該当基準を巡る東京地裁・高裁判決

■前提・問題点
①ある個人がX社とY社の株式を相続した。
②X社とY社はお互いに株を持ち合っている。
③X社・Y社共に上場などはしていない。
④X社・Y社はどのように評価すべきか?

■株式保有特定会社にかかる評価方式
⇒会社資産のうち、一定割合以上で他社株式がある場合、
 株式保有特定会社とする。
 ※その他にも要件有り
⇒特定保有株式会社の場合、評価会社(この場合X社、Y社)の評価額に、
  保有株式の評価額を反映させる。
⇒X社・Y社共に株式保有特定会社に該当する。

■問題点
⇒X社株の評価にY社株を反映させて、価値が上がった場合
⇒今度は、X社株が値上がりした分、Y社株の価値をあげることとなる
⇒そうすると、またX社株はY社株の値上がりを受けて価値が上がる
⇒延々と循環的に評価額が高まってしまう。

■裁判所の判断
①Y社株式の評価のときは、
 X株式は類似業種比準方式で計算した金額を用いる。
②①にてY社株式を評価した上で、X株式の評価額を算出する。
③①、②のプロセスで計算した金額を用いて相続税の確定申告を行ってOK

4.会計と税法のズレ、売却か否かで判決

■前提・問題点
①Z社がSPCを作って、不動産を譲渡した。
②①の取引は、金融取引になるのか?売買取引になるのか?

■企業会計上の解釈
Z社が、不動産の買い戻し条項などをつけて譲渡している等の
リスクを負っているので
不動産を担保にして資金調達したに過ぎない。
⇒金融取引に該当する。

■裁判所の判断
①契約に基づいて、権利が譲渡されている。
②契約に定められた対価を現に収受している。
⇒売買取引に該当し、益金に算入すべき

※現在、係争中

5.贈与無効の判決と後発的事由該当性

■後発的事由と認められるケース
 A、当事者間に権利関係の争いがある
 B、判決等により申告があったときの権利関係と異なった事実関係が生じた

■ケース1
 ①祖母→孫への贈与があった
 ②贈与契約の時に想定していたものより重い納税義務が生じることがわかった
 ③孫が贈与の無効確認訴訟を起こして、請求の認諾を得た

 この場合、孫、祖母の間で贈与がなかったものとすることが
 もともと決まっていた。
 →もっぱら租税回避する目的があったので、後発的事由と認められなかった。
 ⇒更正の請求は認められず

■ケース2
 ①祖父→孫へ不動産の贈与があった
 ②孫は贈与があったこと自体を知らなかった
 ③贈与があったことにより、孫は贈与税等の納税義務を負うことになった
 ④孫が贈与の無効確認訴訟を起こして、相続人(祖父の子供)と和解をした

 この場合、孫と相続人の主張が異なっていたため、
 裁判所が和解を勧め交渉を重ねた結果、
 起訴から2年たって和解の成立となった。
 →課税庁側は租税回避目的と主張していたが、
   審判所により後発的事由と認められた。
 ⇒更正の請求が認められた
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6.【相続 贈与】教育資金贈与の非課税特例 文科省Q&A


文科省がQ&Aにより可非判定の具体例を公表した。

①1500万円迄の非課税の対象
・留学先の学校に支払う学費、
  入学金(日本の小中学校、高校、大学に相当するもの)

・留学先の学校に支払う寮費
・国内のインターナショナルスクールの学費
・国内の専門学校の学費
・保育所、認定子ども園の費用
・航空大学校の費用

②500万円の非課税限度の対象
・留学先の語学学校の費用
・国内の自動車教習所の費用

③対象外
・留学先のホームステイ費用
・留学の渡航費用


非課税枠の合計は①+②の合計で2,000万円ということではなく、
あくまで合計で1,500万円である。
②に該当する支出については、
1500万円のうち500万円迄しか非課税特例の適用を受けられない。


25年3月決算:減価償却費計上のポイント


■税務上、評価損(帳簿価額-時価)の計上が認められる場合
①災害による著しい損傷②1年以上にわたる遊休状態
③所在場所の状況の著しい変化④その他①~③に準ずる特別の事実

※時価について
・原則⇒「使用収益されるものとしてその時において
            譲渡される場合に通常付される価額」

算定困難な場合
・未償却残高を時価とすることも認められている(基通9-1-19)
⇒譲渡時の時価について準用するのもあり(と思われる)

■稼働休止資産について
・維持補修が行われておりいつでも稼働できる⇒減価償却可
・売却予定で事業供用していない⇒減価償却不可。
ただし会計上減損損失の計上を求められる場合あり(損金算入は不可)

■廃棄・除却
廃棄の事実とその日付を確認できる書類を整えておくことが重要
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8.CPAインサイダー事件

・米国でBig4の元パートナーがインサイダー取引にかかわったと報道
・報酬を受け取る場面を写真入りでニューヨーク・タイムズが報じた
・報酬 約100万円、コンサートチケット、オメガの時計
・50歳 大学を出て29年間会計事務所勤務
・関与先情報をゴルフ仲間の52才宝石商に提供
・宝石商は1億円ほどの不正利益を得ていた
・元パートナーの見返りは1000万円ほど
・FBIが2年ほど盗聴などを含む内偵捜査で逮捕

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9.DDレポートの第三者開示の留意点



■DDレポートが第三者に開示される場合に備えての対策

①DDレポートへの免責文言の記載
・調査期間
・調査範囲
⇒実務上、口頭での対話を通じて決める場合も多い。
 合意内容をできるだけ具体的に記載する。

②第三者との間の合意書・誓約書
・開示の前提条件として、合意書・誓約書を締結すること。
⇒DDレポートに同趣旨の記載があったとしても
 第三者との関係でも当然に効力を有するかは明らかでないため。

10.企業再生税制の拡充について

中小企業の事業再生・経営改善の実効性を高めるための制度の導入

・1,000万円未満(有利子負債10億未満の企業は100万円未満)の少額資産
 ⇒評価損の損金算入OK

・企業再生税制の適用を受けることが出来る私的整理要件に、
2以上の金融機関が有する債権が債務処理に関する計画によって
再生ファンドに取得されたうえで債権放棄が行われる場合が追加

・取締役等でその法人の保証人である個人が合理的な再生計画基づき、
一定の要件を満たす私財提供を行った場合に
みなし譲渡益課税を適用しない。

11.出向・転籍時の退職給付制度の留意点

①出向
  ⇒支払義務がどちらにあるかがポイント
  ・退職給付債務、退職給付費用の負担
   →出向期間中の退職給付増加額の支払義務を有する企業で認識
 ②転籍
  ・転籍時点で退職給付が支払われる場合
   →退職給付所得控除額が少なくなる可能性がある為
     従業員に十分な説明が必要
  ・転籍時点で退職給付が支払われない場合
   →転籍時点までの勤続期間に係る退職金を転籍先企業が支払う場合、
    転籍元企業負担相当額の資産・負債の移転の検討が必要

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