2018年10月26日金曜日

10/26 勉強会:給与と外注費の区分 他

1.役員報酬や政策保有株式の開示、平成31年3月期から適用へ

内閣府令を改正し、役員報酬や政策保有株式の開示の充実を図る予定。
金融庁では平成31年3月期決算からの適用を目指しているとのこと。






2.当期純利益は業績連動指標として適切か

■次回の税制改正(平成31年度税制改正)
・業績連動給与の要件緩和が盛り込まれる予定
⇒ただ、いくら要件緩和されてもインセンティブ効果がなければ普及しない

■当期純利益
・過去の経営者の失敗も含まれる(例:減損損失等)
→前任者の意思決定の失敗により現役員の報酬額が下がる…インセンティブ効果は損なわれる。
・当期純利益を業績連動指標にする場合には営業利益もセットにしている企業が見受けられる。






3.再確認!施行日をまたぐ消費税の適用税率

■工事の請負等
・平成31年4月1日前に建築・工事等の請負契約を行っている場合は、10月1日以降の引き渡しでも8%
・4月1日以後に工事の額が増額された場合は増額された部分は10%

■資産の貸付け
・平成31年4月1日前に契約し、9月30日までに貸付けが行われている場合は8%
・4月1日以後に賃借料の額が変更された場合は新たな契約の締結とみなされ、全額が10%

■予約販売に係る書籍等(週刊誌、月刊誌、文学全集等)
・平成31年4月1日前に契約した不特定多数に定期的に発行される書籍は9月30日までに対価を領収していれば8%

■通信販売(カタログ、インターネット等)
・平成31年4月1日前に条件提示を行い、9月30日までに申し込みを受けて、10月1日以後に販売した場合は8%。
・4月1日以降に商品内容や価格等の条件が変更された場合は10%

■有料老人ホームの入居一時金
・平成31年4月1日前に契約し、9月30日までに入居している場合は10月1日以後も消費税は8%
・10月1日以後に入居した場合は10%

■旅客運賃等(運賃、映画、競馬場、遊園地等への入場料)
・平成31年10月1日前に購入されたものは、10月1日以後の使用でも8%

■水道光熱費、電気通信役務の提供
・平成31年10月1日前から契約しており、10月1日~11月30日までの間に料金が確定したものは8%

■特定新聞
・平成31年9月30日までに発売される特定新聞は10月1日以降に販売しても8%
※雑誌は対象外。普通の新聞は軽減税率の対象。

■家電リサイクル料金
・平成31年10月1日前までにリサイクル料金を領収し、10月1日以後に家電を引き渡す場合は8%






4.賃貸料収入の帰属先をめぐり納税者側が勝訴

賃貸料収入の帰属先が争われた裁決で、所得税更正処分等及び重加算税が取消

■概要
・納税者側:元妻名義の不動産収入の入金口座を管理しており、自身の所得税の確定申告において元妻名義の不動産収入を含めずに申告を行っていた。
・税務署側:上記の不動産収入は納税者の収入であるとして、所得税の更正処分&重加算税の賦課決定
⇒請求人はこの処分を不服として審査請求を行った。

■争点(税務署側の主張)
①納税者は物件の取得、管理にかかる手続きを自ら行っていた。
②賃貸料が入金されていた元妻名義の口座が納税者に帰属=その賃貸料は納税者に帰属する
⇒本件の不動産収入は誰に帰属するものか?

■裁決
納税者側の勝訴:所得税更正処分等及び重加算税が取消
①賃貸借契約の名義人は元妻であり、物件の取得資金は元妻の借入れた資金が元手となっている。
経済活動の経験が少ない元妻に代わって事実上の管理者になっていた可能性も否定できない。
②入金された賃貸料が銀行融資の返済資金に充てられており、納税者本人が自身の浪費の為に
引出した事実もない事から口座の帰属をもって納税者側に帰属するとは認められない。とした
尚、仮装隠ぺいした事実もない為、上記処分の取消に加え、重加算税の賦課処分を取り消した








5.日本企業がIFRS移行時に認識した会計基準の差異(認識・測定に関するもの)の分析①

以下は、IFRSへの移行時に作成される調整表において、会計基準差異として説明されている項目の調査結果である。調査対象は、IFRS任意適用会社163社(日本基準からの移行のみ)。

調整表で基準間の差異として説明している企業が多かった項目は以下のとおりである。
■差異項目(上位5項目)
・有給休暇引当金の計上:125社
・のれんの非償却:121社
・為替換算差額のゼロリセット:117社
・退職給付債務における数理計算上の差異の処理方法:92社
・非上場株式の公正価値評価:75社
なお為替換算差額のゼロリセットとは、全ての在外活動体に係る累積換算差額を、IFRS移行日現在でゼロとみなす措置である。





6.高齢者グループホーム敷地で固定資産税の評価ミス

高齢者グループホームの敷地に対して「住宅用地の特例」の適用を怠ったとして、納税者が東京都に固定資産税等の過大納付額等の損害賠償を求めた裁判。
 高裁は東京都に対して過大納付額等の損害賠償として約352万円を命じた。
ただし、納税者に過失割合は3割として、7割相当額の賠償請求を命じている。

■概要
・納税者は平成17年6月に高齢者グループホームを新築。
・不動産登記簿には建物の種類は「養護所」、地目は「畑」から「宅地」に変更。
・都税事務所職員は、不動産登記簿の調査などを踏まえて、「住宅用地の特例」の適用はないと判断。
・平成18年度から平成27年度まで特例の適用がないことを前提として算定された固定資産税等を支払った。
・都税事務所職員は、平成28年1月に行った実地調査などにより特例の適用があることを把握。
・平成28年2月、平成23年度から平成27年度までの課題納付額約460万円を還付。
・平成18年度から平成22年度までの過納付額約460万円の還付は応じてない。
・納税者は国賠訴訟を提起したものの、東京地裁が全部棄却したことから、判決を不服として控訴した。

■判決
特例の適用を怠った都税事務所職員の行為は国賠法上の違法性が認められる。
⇒不動産登記簿から土地上に居住用の建物が建築された可能性があることを推認できた。
⇒建物の外観から移住用建物であることを推認することができた。
⇒都税事務所職員が建物が新築当時、適切な現地調査を実施していれば、土地に特例の適用があることは容易に認定することができた。








7.減損判定、月中平均価額の使用はOK

・時価会計基準等において、その他有価証券の貸借対照表価額については月中平均価額の使用を認めない方針。
・また、外貨建てその他有価証券の換算に用いる為替相場としての期末前1か月間の平均相場の使用も認めない。

⇒一方、その他有価証券の減損処理の「著しく下落した」の判定に関しては月中平均価額の使用を認める方向。
⇒ただし、これらを認めた場合であっても減損損失の算定に関しては期末日における新しい時価に関する会計基準に基づく時価による




8.給与と外注費の区分_1

■判断基準について
・契約の有無
請負契約であれば(一般的に)外注費、雇用契約であれば給与
⇒契約内容で判定のため請負契約であっても給与とされる可能性がある

・代替性の有無
代替性があれば外注費、なければ給与
⇒たとえば講師等が自らの判断により代行者に役務提供を行わせることができる場合は代替性ありとなる

・拘束性の有無
拘束性があれば給与、なければ外注費
⇒業務時間や業務場所の決定について裁量がなければ拘束性ありとなる

・指揮監督の有無
指揮監督があれば給与、なければ外注費
⇒直接的・間接的を問わず委託者の監督下に置かれていれば指揮監督ありとなる

・危険負担の有無
危険負担をしていれば外注費、していなければ給与
⇒時間数でなく内容の優劣、成果に応じて金員が支払われていれば危険負担ありとなる

・用具供与の有無
業務遂行に必要な用具を自前で用意していれば外注費、していなければ給与
⇒たとえばPCを委託者が用意していれば用具供与ありとなる







軽減税率対策補助金 来年12月16日が申請期限

2019年10月1日からの消費税率引き上げに伴い、
中小企業・小規模事業者向けに国の補助金制度(軽減税率対策補助金)が利用可能。

■補助金の内訳 ※補助金はすべて上限
(1)複数税率対応のレジを導入した場合
・レジ1台あたり20万円
・複数台購入した場合、1事業者あたり200万円

(2)電子受注発注システム(EOS)を改修・入替した場合
・小売業者の発注システム ⇒ 1,000万円
・卸売業者の受注システム ⇒  150万円
・双方の改修・入替を行う  ⇒ 1,000万円

■申請期限
(1)のケース
⇒2019年12月16日まで(事後申請)
(2)のケース
・指定業者に依頼した場合
⇒2019年12月16日まで(事後申請)
・自ら改修等を行った場合
⇒2019年9月30日までに改修等が完了することを前提に、
2019年6月28日までに交付申請を完了させる必要あり。
完了報告書は2019年12月16日までに提出する。

すでに10万件を超す申請があるため、飲食料品を扱う事業者は早めの対応が必要。







10.IFRS16号「リース」適用 不動産の借手のケース

・不動産賃貸借取引は、新基準適用でもっとも影響を受ける領域の一つ。
 ⇒ オンバランスとなる可能性が高い。

・リース期間はどのように考えるか
 ⇒ 「解約不能期間」+「合理的に確実に行使すると見込まれる延長オプション期間等」

・リース負債に含まれるリース料の範囲
 ⇒ 固定リース料、または物価指数に連動するリース料はリース負債を構成する。
 ⇒ 一方で、「売上高に連動する店舗の家賃」はリース負債には含まれず、発生時に費用処理する。

:割引率
 ⇒ 原則、「貸手によるリースの計算利子率」。入手困難な場合は「借手の追加借入利子率」。






11.会社計算規則が改正され、「収益認識に関する注記」を追加

・法務省が10月15日に「会社計算規則の一部を改正する省令」を公表。
⇒注記表の項目に「収益認識に関する注記」が追加

・連結注記表に当該項目の記載がある場合は、個別注記表は記載不要。

・財務諸表等規則にも同様の注記規定が新設。

・収益認識基準で返品調整引当金が認められなくなったことに伴い、会社計算規則から当該項目を削除。

・2022年3月期から適用開始。
⇒2019年3月期から早期適用も可。





12連結パッケージの作成講座Ⅰ・Ⅱ

■連結PKGをめぐる実務上の問題
・子会社の入力に関する問題
⇒一概に子会社側のレベルの問題とは言えない
 入力に関する説明不足、不必要な情報シートがある等入力対象の過多
・複雑化(属人化)している問題
⇒複雑な条件付書式や関数の使用、マクロの使用は厳禁
・会計基準改正等に合わせて更新されていない問題

■連結PKG作成方法
・構成を作成
⇒アウトプット(有報など)に必要な情報を得るための構成とする
⇒目次を定める
⇒分冊する(子会社用or持分会社用、四半期用or年度決算用 等)
 ※ただしできる限り少なくする
・共通フォーマットを作成(フォント、レイアウト、ヘッダー情報、シートコード等)
・連結PKGのシートを作成 ※下記は特に重要
⇒表紙(PKG名称、会計期間、報告通貨、入力担当者に関する情報、シート一覧)
⇒財務諸表シート(特記事項等を記載する欄を付けるとよい)
⇒内部取引用シート(科目別・取引先別のグループ内取引金額、科目別のグループ外取引金額)
⇒CF用シート(科目別当期増減額、科目別・取引先別のグループ内取引増減額、科目別グループ外取引増減額)
⇒注記用シート(各科目の明細情報、特定の取引の該当の有無)






13.連結パッケージの運用・管理のポイント

■事前~経理間の効率的なコミュニケーションルートを整えておく~
・最新の関係会社の入力担当者を把握しておく
⇒グループ会社であっても、親法人の経理は現地経理の体制を分かっていないことが多い
⇒現地経理の担当者が異動していた、ということもよくある

■PKG受領時~連結PKGのチェックの重点を意識~
・数値分析や定性分析に時間をかける
⇒形式的なチェックは自動化(システム化、入力フォーマットの関数化)

■決算後~フィードバック~
・次の決算で同じミスを防ぐように、現地経理を教育する
⇒連結決算の一過程にすぎないことから、小さな問題は看過されやすい
⇒「現地経理Aは締を守らないので進捗を注意する」「B現地経理の担当者はミスが多いので注意する」「この欄のミスは親会社経理で修正する」といった諸問題や例外を多く抱えることが、連結決算の業務に精通していると満足する社風はNG






14.収益認識「時期」の判断ポイント

収益認識は5つのステップを踏む。
最終ステップとして履行義務を充足したタイミングで収益認識する。
履行義務には①一定の期間にわたり充足されるものと②一時点で充足されるものの2つがある。

①一定の期間にわたり充足される履行義務
・義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受するもの
⇒清掃サービスのような日常的または反復的なサービス
⇒サービス提供を受けたタイミングで収益認識をする
・履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積できることが収益認識の条件


②一時点で充足される履行義務
・資産に対する支配を顧客に移転した時点で収益認識
⇒顧客が資産を検収したこと、法的/物理的に所有権を有する等を考慮する







15.完全子会社を清算した場合の子会社の繰越欠損金の取扱い

 完全子会社を清算し残余財産が確定した場合、繰越欠損金の引き継ぎが可能。
 ただし、支配関係が一定期間継続していない場合は、引き継げる額に制限措置がある。

(1)引き継げる欠損金
 残余財産確定の日の翌日前10年以内(※)に開始した各事業年度において生じた欠損金額は原則親会社に引き継がれる。
※平成30年4月1日以前に開始した事業年度において生じた欠損金については9年

(2)引継制限がされる場合
 次の①~③のうち最も遅い日から残余財産確定の日まで継続して支配関係がない場合制限あり
 ①残余財産確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日
 ②完全親会社の設立の日
 ③完全子会社の設立の日
 ※引継制限判定の場合の支配関係は、50%超の支配関係があることで足りる。

(3)引継ぎが制限される欠損金
 ①支配関係が生じた日の属する事業年度前に生じた欠損金の額
 ②支配関係事業年度以降の欠損金額のうち、特定資産譲渡等損失に相当する金額
 ※支配関係事業年度=完全子会社の最後に支配関係があることとなった日の属する事業年度

(3)引継制限の内容
 支配関係事業年度の前事業年度終了時における時価純資産額と簿価純資産額の金額により判定
 ①(時価純資産額-簿価純資産額)≧支配関係前未処理欠損金額
  ⇒引き継ぎ制限なし
 ②(時価純資産額-簿価純資産額)<支配関係前未処理欠損金額
  ⇒含み益相当額分までは引き継ぎが可能
 ③(簿価純資産額-時価純資産額)<支配関係事業年度以後の特定資産譲渡等損失額
  ⇒支配関係前未処理欠損金の全額が引継ぎ制限の対象。
   しかし、支配関係以後の未処理欠損金額のうち、特定資産譲渡等損失相当額からなる部分については含み損相当額分を超える金額について引き継ぎ可能




15.ショートレビュー

監査法人が、株式公開を目指す企業と監査契約を締結する前に行う、経営や財務に関する短期間の調査
株式公開に向けた問題点やその解決の方向性などを明らかにするもの

■調査内容
1.過年度の損益状況と今後の利益計画
2.経営管理体制の整備状況
・組織的経営を可能とする管理体制の確立の状況
・内部監査制度の確立と運用状況
・規程の整備状況
3.予算管理・中期事業計画
・投資家に信頼性のある業績見通しを公表できる体制にあるか
・経営管理目的のための月次決算
・部門別予算実績差異分析
4.内部管理状況
・販売、購買、在庫管理などの基幹業務の流れと管理状況
・資金管理、固定資産管理などの状況
5.会計制度の整備状況
・会計方針、決算内容の検討
・原価計算システム
・タイムリーディスクロージャー要請への対応
6.資本政策
・株式公開までの資本政策の留意点
7.関係会社や特別利害関係者の状況
・関係会社等の存続の合理性
・会社と関係会社、役員等との取引の状況
8.株式公開までの準備作業のスケジュール

















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決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

2018年10月19日金曜日

10/19勉強会:消費税 コンビニ等“飲食禁止”明示で実態伴えば軽減税率 他

1.新株予約権、算定方法は原則登記なしに

■新株予約権に関する登記を一部見直す方針
【現行の登記事項】
・新株予約権の数
・新株予約権の目的である株式数、行使期間等
・行使条件
・払込金額又はその算定方法

【見直し提案事項】
・募集新株予約権の払込金額を定めた場合には登記する
・募集新株予約権の払込金額が確定していない場合は算定方法を登記する







2.税制適格SO拡充、ベンチャーに限定せず

■2019年度税制改正(今度の税制改正)
(税制適格ストックオプションの要件緩和が検討される方向)
・付与対象者:兼業者や出向者を追加
・権利行使価額の上限額:現状の年間1200万円から大幅引き上げ(2400万円以上に引き上げる案も浮上?)
・権利行使期間:現状の付与決議後2年~10年よりも拡大

■ベンチャーに限定?
・経済産業省の要望:「ベンチャー企業支援措置」の一つとして明確に位置づけ
⇒取材により、上場企業を含む全企業を対象として検討されていることが確認された





3.馬券払戻金の所得、雑所得と認めず

■馬券の払戻金の課税関係
・営利を目的とする継続的行為※から生じたものは雑所得。外れ馬券は経費にできる
※年間通してほぼすべてのレースで馬券を購入しているような場合
※年間通しての収支で回収率が100%を超える場合
・一般の競馬愛好家の場合は一時所得。外れ馬券は経費にできない

■事案
・馬券を自動的に購入するソフトウェアを独自の条件設定を用いて利用
・インターネットを介して多数回かつ頻繁に馬券を購入していた
・各年で損益が大きく変動しており、損失の年度もある
・的中確率は低く、一口で高額の払戻しがある馬券が利益の一定割合を占めている
・購入履歴、払戻金のデータの一部が削除破損しており、馬券の種類、金額のすべてが明確でない
⇒一時所得と判決





4.貿易取引にかかる消費税、法人税の海外非違事例

■アンダーバリューを利用した消費税の二重控除
⇒アンダーバリューとは関税の支払いを安く抑えるために輸入通関時におけるインボイスの単価・金額等
を実際の取引金額よりも安く表示させ後日、実際の取引上の金額にて送金すること。脱税行為の一つ

①海外へ自動車を輸出販売している内国法人
輸出先国での関税を逃れる目的でアンダーバリューのインボイスを依頼される
②上記のインボイスを基に通関手続きを行い輸出
輸出許可通知書の金額はアンダーバリューの金額
③しかし輸出した企業が免税売上とした金額は、輸出許可通知書の金額ではなく
 輸出先国からの入金見込み金額を免税売上として計上し、輸出免税の適用を受けていた。
※免税売上高は輸出許可通知書の金額に基づくもの。

■法人税の海外非違事例
輸出:売上除外/売上計上漏れなど
輸入:未着品・乙仲経費の計上漏れ又は棚卸金額への不算入
税務当局の見解
⇒乙仲経費は商品取得のためのコストであり原価をなすもの。税込経理の場合は輸入消費税も棚卸金額へ









5.新株予約権、算定方法は原則登記なしに

会社法の見直しを検討している法制審議会会社法制では、新株予約権の登記を一部見直す方向にある。

■現行
①新株予約権の数
②新株予約権の内容のうち一定事項(行使期間等)
③払込金額またはその算定方法(発行価額)
→ブラックショールズモデルに関する詳細かつ抽象的な数式等の登記を要する等、全般的に煩雑であった。

■見直し案
募集新株予約権の払込金額を定めた場合には登記が必要。例外的に、払込金額の算定方法を定め、登記申請時までに募集新株予約権の払込金額が確定していない場合には、当該算定方法の登記を方向に緩和する予定




6.平成31年度税制改正に関する経団連の提言について

・9月に提言した公表内容

■税務分野におけるデジタル・ガバメントのさらなる推進
⇒社会全体のコスト削減、企業の事務負担軽減など環境整備を進める。

■法人税の率の引き下げ
⇒主要国平均・アジア近隣諸国並みの25%程度を目指す

■消費税率の引き上げ
⇒自動車関連諸税の負担軽減・簡素化
⇒住宅・土地・都市税制
・住宅ローン減税の拡充(控除期間の延長等)
・住宅取得資金等の贈与特例の拡充
・住宅取得支援税制に係る床面積要件の緩和

【その他】
■研究開発税制の延長・拡張
■国際課税
■外国子会社合算税制⇒外国子会社を利用した租税回避を防止
■利子控除制限
■所得相応性基準
■電子経済
■償却資産に係る固定資産税の抜本的な見直し
■印紙税の廃止・負担軽減
■火災保険等に関する異常危険準備金制度の延長・拡充
■減耗控除制度の延長・拡充
■外航船舶に係る特別償却制度の延長等
■地球温暖化対策税の抜本的な見直し
■原料用途免税の本則非課税化
■NISAの投資可能期間及び非課税保有期間の恒久化
■上場株式等の相続税評価額の見直し
■教育資金及び結婚子育て資金に係る贈与税の特例の延長
■生命保険料控除制度の拡充
■役員給与税の見直し







7.調査・審理の充実で適正な裁決を目指す

■藤谷俊之東京国税不服審判所長へのインタビュー
・審判所の使命「適正かつ迅速な事件処理」
・具体的な取り組みとして、争点の確認表を作成
⇒当事者双方が共通して認識する必要があるため





8.消費税:コンビニ等“飲食禁止”明示で実態伴えば軽減税率

■消費税軽減税率
来年10月以降に軽減税率(8%)が適用されるのは,食品表示法上の食品(飲食料品)のみ。
飲食店業等を営む者がテーブルやイス等を用いる食事の提供,いわゆる外食には標準税率(10%)
が課される。

■コンビニのイートイン
ケース1:椅子、テーブルはあるが食事禁止としている場合
⇒食料品の購入として軽減税率(8%)

ケース2:通常のイートインコーナーで食事可能
⇒店員が都度、「店内ですか?お持ち帰りですか?」と確認し、
店内飲食であれば<外食>で10%、持ち帰りなら<食料品購入>で8%
となる。

⇒コンビニの店員は負荷が増えることになる









海外不動産の購入、賃貸、売却に関する所得税

海外で不動産を購入し、賃貸・売却をした場合にかかる所得税は以下のとおり
※当該国の税金は割愛。

■賃貸した場合
・海外財産に関する国外財産調書の提出
年末時点の価額の合計額が5,000万円を超える場合、「国外財産調書」を提出する必要あり
賃貸の収入・支出のために口座を開設した場合、口座も上記金額に含めて判定すること
提出期限は翌年3/15まで

・海外不動産を賃貸している場合、日本で不動産所得の申告が必要か
居住者であれば申告が必須。日本にも不動産収入があれば合算して課税される
収入及び経費の為替換算は原則として収入すべき日及び支出すべき日のTTMとなる。
⇒継続適用を条件とし収入をTTB、経費をTTSとすることも可

・減価償却費の計算
海外の取得価額は購入価額(外貨)を取得時点のTTMで換算した円価額
海外不動産であっても日本の耐用年数省令に基づき計算

・外国税額控除
当該国へ支払った所得税等を日本の確定申告にて外国税額控除にて控除可能。
また納税額を限度として外国税額の控除を翌年に繰り越すことも可能。(納税額<外国税額の場合)
※支払った海外の税金を必要経費とする取扱いもあり

■譲渡した場合
・日本で譲渡所得の申告が必要か
賃貸と同じく申告は必須。
⇒海外物件を譲渡して譲渡益が発生した場合、日本でも譲渡に伴う所得税が発生。※国内譲渡と同じ取扱い

・譲渡対価や譲渡費用、取得費の為替換算は
譲渡日や支払日のTTMで円換算。
なお為替の影響により円安になった場合、譲渡益へのインパクトあり

・外国税額控除
賃貸同様に適用可。






10.本社移転に係る会計処理上の留意点

・フリーレント期間の会計処理は?
 ⇒ フリーレント期間を含めた解約不能期間全体の総支払賃料を期間按分
 ⇒ フリーレント期間においても賃料を計上する

・本社移転を決定した時点で、予想される費用のうちどこまでを本社移転損失引当金計上するか?
 ⇒ 移転費用は引当金計上しない。実際に移転が行われた期間の費用。
 ⇒ 旧オフィスの空家賃(※)は引当金計上する。
  ※新オフィス移転後も一定期間にわたって旧オフィスの賃貸借契約を継続する場合にかかる家賃。
   オフィスとしての合理的な利用目的がないもの。







11.収益認識基準に対応した法人税基本通達のポイント

■法人税基本通達
第2章第1節「第1款資産の販売等に係る収益計上に関する通則」の構造について

・2-1-1:通則(収益の計上の単位)
⇒原則、契約単位で収益計上
例外、履行義務単位で収益計上

・2-1-1の2~9:具体的な取引ごとの取り扱い
(1)対象取引が収益認識基準に限定されているかどうか
(2)2-1-1の通則に優先されるかどうか
(3)任意適用か強制適用か






12第3章 国外関連者に対する寄附金課税の現状と対応策

■国外関連者に対する寄附金課税が疑われる例
・子会社への商品等の価格設定が日本の親会社において粗利ベースまたは営業利益ベースで赤字となる水準
・期中や期をまたいで設定価格を変更している

■対応策
・価格設定・変更について客観的な分析資料(理由・取り決め内容・算定方法及び計算根拠等)を準備しておく
 つまり移転価格分析レポートに記載されるような内容を指す






13.移転価格調査をめぐるわが国税務当局の動向

・近年、一般法人税調査の資料依頼時にローカルファイルが含まれることが増えている。
⇒当局が誤解しないように資料を作成し、説明をすることで移転価格調査への移行リスクを減らす必要がある。

・国税当局幹部は移転価格文書化の制度化により、調査期間を短縮できるのではないかと考えている。
⇒調査機関の短縮により、調査対象が広がる可能性がある

・移転価格調査は専担当者のいる東京・大阪等の都市部を中心に実施されていたが、東京国税局をセンター局として、他局への移転価格調査支援を実施している。
⇒札幌や仙台等の所管法人でも移転価格課税リスクをケアする必要がある

・従来、移転価格調査の資料は「遅滞なく」提出する必要があり、提出しない場合に推定課税等がなされるしくみとなっていが、「遅滞なく」は明文化されていなかった。
⇒BEPS関連の税制改正でローカルファイルについて、具体的な提出期限(45日、60日)が定められたため、推定課税等の発動が容易になっているため、事前準備が必要である。

・訴訟時に納税者自ら作成したもの(ローカルファイル)が課税庁から証拠として提出される
⇒他の資料との整合性等、ローカルファイル内容について慎重な対応が求められる





14.収益認識基準等の有償支給取引への影響

■有償支給取引に関する現行の実務
・支給元…買い戻しを予定している限り、支給時に収益を認識しない処理が一般的。
・支給先…加工代相当額のみを純額で収益として表示、又は支給元からの仕入高と支給先への売上高をそれぞれ総額で表示。

■収益認識基準等適用後の会計処理
 取引内容によって、支給元(売手)側が資産を買い戻す義務又は権利がある取引について検討が必要と想定されている。

買い戻し義務を負っていないと判断される場合
 ⇒支給品の消滅は認識するが、当該支給品の譲渡に係る収益は認識しないことが適切とされている。
 ※支給品の譲渡に係る収益と最終製品の販売に係る収益が二重計上されることを避けるため。
②買戻し義務を負っていると判断される場合
 ⇒当該支給品の譲渡に係る収益を認識せず、当該支給品の消滅も認識しない。
 ※支給先においては在庫管理が行われている点を踏まえ、個別財務諸表上においては支給品の譲渡時に当該支給品の消滅を認識できることとされた(支給品の譲渡に係る収益は認識できない)。






15.ベンチャーキャピタルの投資プロセス

(1)調査分析
市場動向・業界情報等を調査し、事業計画の実現可能性を含め事業の将来性を検討。
また、公認会計士による財務調査が行われる場合もあり。

(2)投資条件決定
会社とベンチャーキャピタルとの間で各種の投資条件を交渉して取り決める。
株価決定やシェア率(資本政策)の詳細を決定。

(3)投資実行
ベンチャーキャピタル内の投資委員会の審査(1~2ヶ月程度)を通り、承認されれば投資が実行。

(4)投資先支援
取引先・提携先紹介や経営陣・管理部門の人材紹介などが行われる場合あり。

(5)投資回収
対象会社が上場した場合、経営者が買い取るか、一部は売却するか市場に影響を与えない形で少しずつ売却するかの方法で、ベンチャーキャピタルはキャピタルゲインを獲得。
(資本政策で、上場時に流動化する株主比率の把握と対策が経営者に求められる)
























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