2012年12月29日土曜日

12/28勉強会:【消費税】事業者免税点制度の改正のポイント ほか



1.一人会社の取締役に対して第二次納税義務の追求可能


■前提
・株式会社Xは、取締役Aによる一人会社。
・XはAへの報酬を支払っていたが、源泉税を滞納している。
・差押えるほどの財産はない。
→この場合、Aに源泉税の納付義務(第二次納税義務)はあるのか?

■審判所の判断
・役員報酬支払いについても、
納税ができない資産状態になった場合は無償譲渡等に該当するとした。
→少なくとも役員報酬に係る源泉所得税の滞納分については、
Aが支払うべきである。


非上場株価に複数の算定方法、最も低い価額を採用できるか?


■事例
親会社が非上場子会社株式を譲渡した場合の
譲渡対価(子会社株式評価額)についての裁判事例。
■争点
会社側は、最も低い価額となる非上場株式評価の特例
(類似業種比準価額と純資産価額併用方式)を採用したが、
課税当局は原則評価(純資産価額方式)しか認めなかった。
■判決
特例採用不可(課税当局勝訴)
■理由
①子会社が直後に合併した際、原則評価で合併比率を算定しており、
この価額が時価と認めるのが妥当。
②特例の規定上「課税上弊害がない限り」特例を採用できるとされているが、
子会社が直近に業種変更しており、
これが、類似業種比準価額を併用する上での課税上の弊害とされた。


3.PFI事業に係る融資手数料は共通仕入

■論点
 消費税の仕入税額控除について個別対応方式を採用した場合、
 大手銀行に支払った融資スキームの構築手数料は、課税売上対応か共通対応か

■結論
 調達した資金が、「施設の建築代金(課税資産の譲渡等)」及び「PFI事業活動全
体のために使用される資金」に使用される
 →融資スキームの構築手数料は事業活動全体のために要した費用と認定。

 融資返済の原資:公民館の譲渡等の対価と受取利息からなっている。
 
 ⇒共通対応に区分されるべき

■補足
 施設は官庁が長期にわたり借り上げて、その後、官庁に無償で譲渡される。
 借り上げ期間に渡り、官庁が支払うサービス料が
①施設の取得費と②支払利息相当
③その他必要経費からなっている。


4.特定期間中の課税売上高による納税義務の判定(その2)


■6か月判定に使う特定期間はいつですか?
 ①01年1月10日設立 当期02年1月1日から12月31日(第2期)
  →01年1月10日から6月30日までの期間

 ②01年1月10日設立 当期01年12月21日から02年12月20日(第2期)
  →01年1月10日から6月20日までの期間

 ③01年5月1日設立 当期01年12月21日から02年12月20日(第2期)
  (決算期を01年12月31日から変更した場合)
  →01年5月1日から10月31日までの期間

 ④01年4月25日設立 当期02年4月1日から03年3月31日(第3期)
  (前々期01年4月25日から02年1月20日、前期02年1月21日から02年3月31日)
  →01年4月25日から10月20日までの期間

5.注文建築工事未完成でも課税仕入れ可能なケース


⇒アパートの引渡しを受けたときに、
課税仕入れとして認識するのはどのタイミングか?

原則:アパートが完成して、引渡しを受けたとき
例外:使用収益することができることとなったとき

事例:アパートの手すりの補修工事が済んでいない状態で
アパートの建築代金を支払った。
⇒原則で言えば手すりの完成時がアパート完成時
⇒手すりが完成していなくても使用収益はできるという判決

結論:使用収益ができるようになったタイミングで課税仕入れを計上してもOK

6.簡易課税のみなし仕入率見直しへ


⇒過去1~2年の調査で簡易課税を選択している業種の
実際の仕入れ率がみなし仕入れ率と大きく乖離
Ex.金融保険業 みなし仕入れ率:60%、実際仕入れ率33.8%
 
結論:今後、一部業種でみなし仕入れ率の引き下げ公算が高い。

-------------------------------------------------------------------


【消費税】事業者免税点制度の改正のポイント


・H25年1月以降に開始する事業年度より、改正が適用される。
・前年上半期(12月決算法人の場合、H24年1月~6月)の課税売上高
又は給与等支払額【※】が1000万円を超える場合、課税事業者になる。

  【※】給与等支払額の範囲
  ・正社員のみでなく、派遣やパート等の給与も含まれる。役員報酬も含まれる。
  ・発生額ではなく、支給額で判定する。
(ex.過年度の未払残業代を支給した場合は、その額も算入して判定する。)
  ・退職手当は算入せずに判定する。


【所得税:サービス付き高齢者向け住宅と医療費控除について】

■サービス付き高齢者向け集合住宅(サ付住宅)とは、
⇒高齢者向けに介護サービスなどを提供する賃貸住宅のこと

指定介護老人福祉施設などの居住費等は医療費控除の対象となるが、
サ付住宅の賃貸費用は医療費控除の対象とならない。
(あくまで住宅であり、介護施設ではないため。)

ただし、サ付住宅のサービスの一環で、介護サービスを受けた場合領収書をつけて
申告することで医療費控除の対象とすることができる。

なお、家賃・介護保険サービス等の費用を親族が負担している場合には、
その親族が医療費控除を受けることができる。


-------------------------------------------------------------------

9.実質リース

実質リース:法的形態がリースでなくても実質的にリースと判定される取引

2要件
①契約の履行が特定の資産の使用に依拠
②契約により、当該資産の使用権が移転する

(例)
 ・A社(購入者)がB社(ガス会社)とガス供給契約を締結
 ・B社がガス供給施設をA社敷地内に建設
 ⇒このガス供給施設がA社だけのための施設であれば2用件を満たす

-------------------------------------------------------------------


10.連結財務諸表作成にあたり子会社の範囲

連結の範囲から除外することができる小規模子会社の考え方について
 
・子会社の範囲
 意思決定機関を支配している会社
→議決権比率で判断

【原則】
・すべての子会社を連結の範囲に含める

【例外】
①子会社であっても連結の範囲に含めない場合
・支配が一時的
・連結することにより利害関係者の判断を誤らせる

②連結の範囲から除外することができる子会社
・重要性の乏しい子会社は連結の範囲に含めないことができる
→連結財務諸表に重要な影響を与えない会社


11.IFRS四半期報告書の開示規定のポイント

【作成される財務諸表及び表示が求められる期間】
・要約財政状態計算書
 →期間の末日と直近事業年度の末日
・純損益及びその他の包括利益を表示する要約計算書
 →期間と累計ならびに直近事業年度の期間
・要約持分変動計算書
 →累計と直近事業年度の累計
・要約キャッシュ・フロー計算書
 →累計と直近事業年度の累計
・精選された説明的注記
 →累計

※期間=該当報告期間
※累計=期首から該当報告期間の末日まで

【年度末との違い】
・5種類の構成は変わらない
・「要約」や「精選された」という意味で省略されている

【表示が求められる期間】
・要約財政状態計算書

■四半期注記について
四半期報告書における注記情報は「精選された注記」であり、
年度に比して開示が要求される項目は少ない。
大きく分けて以下の2つに分けられる
・「重要な事象及び取引」…年度末以降の財政状態の変動及び経営成績を理解
・「その他の開示」…中期に含めなければならない


12.企画業務の生産性向上

(1)企画業務⇒「会議」と「会議のための資料作成業務」

(2)企画業務の可視化を進める
  非定型・一過性のため可視化は難しいと考えがち
  ※「情報収集」「資料作成」「報告」は一緒

(3)施策例
 ①「情報収集」
 ・社内用語を統一(用語確認時間を削減)
 ②「資料作成」
 ・過去資料を活用
 ・レビュープロセスの見直し
 ・不要な資料作成を削除
 ③「報告」
 ・ペーパレス化
 ・Web会議、電話会議(移動時間の削減)
 ・長時間会議の廃止
 ・会議中に議事録作成
 ・資料の事前配布


13.輸出取引におけるポイント

1.物品販売の収益認識(いつ所有権が移転するか?)
  ◎船積時点
   →船荷証券発効日で認識。実務上最も多い
  △出荷時点
   →倉庫等からモノが出荷された時点で認識。輸出取引の場合は、
     納品までの期間が長い為限定的
  △通関時点
   →通関手続が完了した時点で認識。
     通関時点で所有権が移転する契約は稀であり、事例は少ない
  ×荷為替取組時点
   →船荷証券を銀行に持ち込み、
    荷為替手形を銀行で買取ってもらう時点で認識
    買取り時期に恣意性がある為、非現実的
  ・受渡時点
   →納品場所へモノが運び込まれた時点で認識。
    そのような契約であれば

 2.役務提供の収益認識(国内取引と同様)
  ・役務提供完了時点で認識
  ・時の経過に応じて認識



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年12月24日月曜日

12/22 勉強会:所得税:復興特別所得税の源泉徴収について ほか



1.オプション取引の有効性判定で国敗訴


■法人税法上
原則:為替相場15%以上変動した場合→外貨建資産等は、期末日レート換算OK
→為替差損を損金参入OK
例外:デリバティブ取引で為替リスクをヘッジした場合
→損金参入不可
※1.例外の例外:当該リスクヘッジが「有効」でない場合
→損金参入OK

■ポイント
※1.における「有効」の判定方法が法人税法とヘッジ会計上で異なる。
→法人税法上=デリバティブ比較法にて判定する。
→ヘッジ会計上=デリバティブ比較法と基礎商品比較法が認められている。

■本件
・デリバティブ比較法=有効でない
・基礎商品比較法=有効
→納税者はデリバティブ比較法に基づき損金参入した。
→税務当局は、国税庁のHP公開の質疑応答事例により、
 基礎商品比較法により「有効」であれば法人税法上も有効とした。

■結果
・国側の敗訴(控訴検討中)

退職給付会計適用で税効果会計に混乱


■退職給付会計基準の改正
平成25年4月1日以後開始する事業年度の財務諸表より適用

■変更点
・連結:未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を
     負債or資産計上
・個別:変更なし(見積りに差異が発生してもオフバランス)

■問題点
・個別と連結で将来減算一時差異に相違が生じる可能性がある。
→繰延税金資産の回収可能性の判断時における会社分類が
 連結と個別で異なる可能性がある。

■結論
・連結においても個別における会社分類に合わせる。


3.タックスヘイブン対策税制提供除外要件を巡り納税者勝訴


<タックスヘイブンとは>
タックスヘイブン税制とは、法人税率が低い国に子会社を作り、
親会社の所得をその子会社へ寄せて
税額軽減をしようとすることを規制するもの

タックスヘイブン税制の適用を回避するために必要な要件
①実体基準(その子会社が海外で実体的な事業を行っている。)
②管理支配基準(その子会社が海外で事業の管理・支配を自ら行っている。)

<事例:シンガポール子会社A社>
国の主張
①シンガポールに事務所等の固定施設を所有してないため
実体基準を満たさないのではないか?
②株の99%を保有する者が日本法人であり、
意思決定は日本で行われたため管理支配基準を満たさないのではないか?

判決
①A社はレンタルスペースで机1台を借りており、事務所としては十分な広さである。
②株主総会はシンガポールで行われており、
現地の役員が株主総会に参加しているため、
意思決定はシンガポールで行われた。
よって、実体基準・管理支配基準ともに満たすと判定。


4.停止条件付贈与契約、固定資産税の精算etc


■措置法40条とは
 個人が土地建物等の財産を公益法人等に寄付(贈与)した場合、
 その寄付が教育または化学の振興など一定の要件を満たすものとして
 承認を受けたときは、所得税を非課税とする制度

 本来は、寄付をした時の時価で譲渡があったものとみなされて
 その時価が取得価額を上回っているときはその部分に譲渡所得が課せられる。
 しかし、教育や科学など日本の国力アップに役立てるための寄付については
 特例を作って譲渡益課税をしないこととした。

■留意点
 ①棚卸資産は適用対象資産ではない。
  例:商業画家が自己の作品を寄付した場合→適用なし
    その後、画家が死亡してその作品を相続した妻(専業主婦)が
    寄付をした場合→適用あり

 ②株式を寄付した場合は、その株式に係る配当金の全部が
   公益目的事業のために使われないと適用がない。

 ③資産とその資産に紐付きの債務を一緒に寄付した場合は適用がない。
  例:土地とその土地の取得したときの借入金を一緒に寄付した場合
  →適用なし

-------------------------------------------------------------------


【消費税】個別対応方式または一括比例配分方式と決定した理由(95%ルール適用対象外による)


95%ルールの摘要が受けられなくなった企業がそれぞれの方式を
選定した理由は下記の通り。
 ※税務通信取材による

■個別対応方式
・税額の比較で個別対応方式が有利
・今後想定される税率引き上げに伴い、より比較有利になる

■一括比例配分方式
・事務負担の軽減
・区分ミスに拠る否認リスクの回避


【所得税:復興特別所得税の源泉徴収について】

■国税庁公表 復興特別所得税Q&A(抜粋)

<復興特別所得税>
⇒平成25年1月1日~平成49年12月31日までの間に生ずる所得について
源泉所得税を徴収する際、併せて徴収される

Q:平成24年12月分の給与(毎月支払いは翌月と定めている)を
25年1月に支払う場合、復興特別所得税の徴収は必要か?

A:決議等により支給日が定められている給与は、
その支給日の属する年の収入となる。
→25年1月1日以後の給与所得となるため復興特別所得税の徴収が必要。

Q:平成24年12月に役務提供が完了した税理士報酬を翌年1月に支払う場合、
 復興特別所得税の徴収は必要か?

A:役務提供にかかる収入はその役務提供が完了した日の属する年の収入となる。
→24年12月31日以前の所得となるため復興特別所得税の徴収は不要。

<まとめ>

25年1月に支給される給与⇒復興特別所得税の徴収が必要
25年1月に支払う税理士報酬等⇒役務提供が1月に行われたものは
                     復興特別所得税の徴収が必要

-------------------------------------------------------------------

7.税効果Q&A改正案

退職給付会計基準の改正により未認識項目について
 連結:負債計上
 個別:簿外
となったことで、個別と連結とで会社分類がかわり、
回収可能性に相違が生じるのでは?
との疑問があった。

結論は連結における会社区分は個別における会社区分と変わらない
となった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年12月16日日曜日

12/14 勉強会:評価通達における広大地と貸家建付地の評価方法の是非 ほか



1.評価通達における広大地と貸家建付地の評価方法の是非


■広大地とは
 その地域の標準的な宅地の面積と比較して著しく面積が広い宅地で、
 一定の開発行為をするときに公共的な施設用地の負担が必要となるもの
 ただし、大規模な工場用地やマンション用地は該当しない

■問題点
 ①広大地は法律上の規定ではなく、評価通達に定められている
  →根拠があやふやなため、広大地に該当するかしないかの見解が分かれやすい

 ②広大地に該当した場合としなかった場合の評価額に差がある
  →広大地に該当した場合、最大65%の評価減を受けることができるが
    実際の時価と比べるとかなり安くなる

 ③マンション用地は広大地に該当しない
  →マンション用地でも、
       公共的な施設用地のような施設負担が必要となる場合もある

   →課税の公平性が保たれていないのではないか。

旧商法の払戻限度額超部分も寄付金に


■事例
・親会社Aは、連結子会社の株式消却による減資により、金銭の払い戻しを受けた。
→払戻額が「時価純資産額」よりも低い金額であった。

■税務当局の判断
・「時価純資産額」と「実際の払戻し額」の差額660億円を寄付金と認定

■納税者の主張
・旧商法上の減資払戻規制に基づき実際に払い戻された金額が
適正な譲渡対価の額である。
※旧商法における規制とは?
・減資を行う際、資本の減少額から資本の欠損補填額を控除した
金額を超えて株主に払い戻しを行うことを禁止

■まとめ
・商法における払戻金額に合理性があること≠法人税における適正価額
・消却株式の適正な譲渡対価の額は、時価純資産額を基礎に算定すべき。
・差額は寄附金に該当する。

3.(グループ会社の)広告宣伝費の一部負担は寄付金と判断


■事例
・A社は同一グループに属するB社の広告宣伝費を一部負担した。
→広告宣伝費と主張したが、
「グループ会社の広告宣伝費の一部負担は利益調整」
であり寄付金と高裁判決が出た。

■判断理由について
・チラシにA社の名称、所在地、電話番号等の記載が一切ない。
→B社の提供する商品やサービス等の優越性等を訴える宣伝を意図していると判断。


4.過去から学ぶ消費税UPに伴う経過措置のポイント


①平成26年3月31日以前に取引した商品を返品した・返品を受けた場合
⇒5%で仕入返還や売上返還を計算する。

②平成26年3月31日以前に取引した売掛金が貸倒になった場合
⇒5%で貸倒に係る税額控除を計算する。

③経過措置を適用した場合の通知
⇒まだ正式に交付されていないが、
資産の貸付についてなど経過措置を適用した場合は、
売り手が8%で消費税を計算して、
買い手が5%で消費税を計算するといったことがないよう
書面により通知することが必要となる。

-------------------------------------------------------------------


5.【税務】青色・白色申告者を問わず更正等の理由付記が拡大

■従来は下記について理由付記がされていた
 ・所得税及び法人税の青色申告者に対する、更正処分など一定の処分。

■平成25年1月1日以降
 ・白色申告者についても、過怠税の賦課決定についても、
 理由付記の対象となる。
 ※白色申告者については、記帳の程度により段階的に施行される。

.【年末調整】保険料控除額の記載ミスについて

■生命保険料控除証明書の漏れで過大源泉徴収が生じた場合

給与所得者が確定申告において過大分の還付を受けることは原則できない
⇒この場合、経理担当者が再年末調整を行い、過大分を給与所得者に支払う

なお、過大納付がある場合、源泉徴収義務者は納付した日から5年間、還付請求
をすることができる。

-------------------------------------------------------------------


7.ESOP(信託を利用した従業員への株式付与スキーム)

従業員持ち株会型の会計処理
実務では連結対象としている。

論点:自己株式処分のタイミング
「信託から従業員持株会への処分が行われた時点」
「企業から信託への処分が行われた時点」
との2つの案が示されている。


-------------------------------------------------------------------


8.非上場株式の評価損の計上

■所有する非上場株式について発行法人の経営不振が続き、
 改善する気配がない場合の評価損の計上

・原則:取得価額
→評価損の計上は認めらない

・例外:期末価額
→時価まで引き下げることができる

①法的措置を受けた場合
→破産手続開始の決定、再生手続開始の決定など

②1株当たりの取得時の純資産価額と期末の純資産価額比べて
→期末の純資産価額が50%以上を下回る

かつ、近い将来その価額の回収が見込まれない
(個々の事情を総合的に勘案して判断)

9.子会社株式の減損処理に伴う、連結上のれんの処理

【結論】当初の親会社持分を下回った部分を、のれん残高から控除
    ⇒株式取得時に見込んだ超過収益力の減少を反映する為

(参考)原文のまま
 ・減損処理後の子会社株式の簿価が、連結上の子会社の資本の親会社持分額
  とのれん未償却残高との合計額を下回った場合には
 ・子会社株式の減損処理後の簿価と、連結上の子会社の資本の親会社持分と
  のれん未償却残高との合計額との差額のうち
 ・のれん未償却残高に達するまでの金額について、のれん純借方残高から控除


10.不服申立てと訴訟の違い

(1)匿名性の有無
  →訴訟した場合は匿名性がない
(2)費用負担の有無
  →訴訟して敗訴した場合は費用負担の必要あり
(3)通達の拘束性
  →不服申立ての方が通達が重んじられる

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年12月9日日曜日

12/7 勉強会:住宅ローンの借換えと年末調整 ほか



公開買付け実務の弊害を緩和


【現行法①】
・公開買付け等事実の情報受領者が、
  その公表前に被買付企業の株券等を買い付ける行為
→インサイダー取引規制が適用

【現行法による弊害】
・上場会社の買収の実施を決定した者よりその旨を聞いた者
→インサイダー取引規制が適用
→上記を利用して敢えて情報を伝えることがある

・ 公開買付けの実施を決定した者が
 他の者に共同公開買付けを提案したものの
 協議不調となった場合
→当該被提案者はインサイダー取引規制が適用
→上記によって、競争関係にある提案者が
    公開買付け実施の公表を行うまで、
    被買付企業の株券が買えない

【検討案】
・上記のような場合において情報受領者が
  自ら公開買付けを行なう場合
→インサイダー取引に該当しない

【現行法②】
・会社関係者と第一次情報受領者との間での取引
→インサイダー取引に該当しない
・第一次情報受領者と第二次情報受領者の間での取引
→インサイダー取引規制が適用

【現行法による弊害】
(例)上場会社の大株主が持株比率を下げる等のために、
       保有株を大口で売却する場合
→価格変動リスクを避ける観点から、
   市場外で取引をを行うことがある。
→その際、買手に未公表の重要事実を伝えた上で
    取引を行うことがある。
→現行の実務では、当該大株主からの依頼により、
   上場会社が、買主に重要事実を伝達することで、
   第一次情報受領者間の取引とするようなことがある

【検討案】
・第一次情報受領者と第二次情報受領者の間での取引
→インサイダー取引に該当しない


2. 負の利益積立金を超える期限切れ欠損金について


①法人が解散した場合には
  繰り越し期間を超える欠損金(期限切れ欠損金)
  の損金参入ができる。
②通常、期限切れ欠損金=利益積立金のマイナスの金額
③グループ法人税制など導入した場合、
   期限切れ欠損金>利益積立金のマイナスの金額
   となるケースがある。
④期限切れ欠損金≠利益積立金のマイナスの金額の場合には、
  利益積立金のマイナス金額をもって欠損金の額を判断した場合
  税務調査で指摘されるケースがある。

麻酔医の所得区分、裁判所の着眼点は?


■事案
 麻酔医が、各医療法人から得た報酬が事業所得か給与所得のどちらに該当するか

■判断の基準
 ①収益費用の帰属や業務の赤字リスクを負担する。
 ②仕事が誰かの指示に従って行われていない。
 ③仕事の場所や作業時間に決まりがない。

 上記のすべてを満たす場合にのみ事業所得となる

■結論
 麻酔医が医療法人から受ける報酬は給与所得
 …事例数にかかわらず最低報酬があり、
     高額な医療器具は医療法人が購入している。
  
麻酔業務は病院の手術室で行われ、
手術時間も病院が決定している。


デリバティブ取引未決済の負債は株式評価で計上せず


■内容
 非上場会社の株価評価において、純資産価額方式を使う場合、
 未決済デリバティブ取引に係る資産、負債を計算要素に入れるか入れないか

■結論
 相続税の財産評価において、予測値は使用しない。
 よって、未決算デリバティブ取引に係る資産、負債は計算要素に入れない。



-------------------------------------------------------------------


5.【所得税】 住宅ローンの借換えと年末調整

■住宅ローンの借替えを行ったときは、
  以下の条件を満たせば借替え後のローンにも住宅ローン減税が適用される。

・新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のための
 ものであることが明らかであること。
・新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど
 住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。

※注意点
・借替え後のローンの償還期間が10年未満のときは、
 控除が適用されない。(当初ローンとの通算で10年以上であっても不可)
・当初ローンが適用外のものであっても、
 借替え後のローンが上記要件を満たせば、適用可。
・借替えによりローン残高が増えた場合は、按分により適用対象部分を算定する。

【所得税】店頭FX取引にかかる所得の取扱いについて

平成23年6月改正によりFXの店頭取引にかかる所得が従来の総合課税から
申告分離課税に変更された。

(参考)
「取引所取引」とは、投資家の注文を、
金融機関が外国為替証拠金取引(FX)の公設の取引所に取り次ぐものをいう
「店頭取引」とは、取引所を介さず、
利用者(投資家)と金融機関の相対によって取り引きを行うものをいう

■店頭FX取引にかかる所得の区分
<改正前>
雑所得として総合課税
⇒損失の繰越不可・他の先物取引所得との損益通算不可

<改正後>
先物取引に係る雑所得等の金額として申告分離課税
⇒損失の繰越可(3年)、他の先物取引所得との損益通算可

なお、損失の繰越をするためには申告が要件となるため、
赤字の場合でも確定申告が必要となる。
-------------------------------------------------------------------


7.連結子会社同士の合併と持分変動差額

連結子会社同士の合併

(個別財務諸表)
 ・共通支配下の取引として簿価承継

(連結財務諸表)
 ・親会社持分が増加 ⇒ のれん認識
 ・親会社持分が減少 ⇒ 持分変動差額(特別損益)

-------------------------------------------------------------------


8.『比較情報』作成上の実務ポイント

(1)前事業年度には存在した事象
  →当事業年度にはなくなった場合
  ※投資家の理解ために必要であれば、
    前事業年度の事象についても注記

(2)比較情報には性質上なじまないもの
  ・「継続企業の前提に関する注記」
  ・前事業年度に「後発事象の注記」
  →基本的に比較情報は不要


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年12月2日日曜日

11/30 勉強会:事業所得の必要経費、「直接」の関係は ほか 



一般口座の株式消滅損、事業・雑所得で必要経費と判断


(前提)
譲渡所得の計算→株式の発行会社の破産等により
個人が所有する株式の価値が失われたとしても、
それによる損失は原則として他の株式等の譲渡益や
給与所得など他の所得の金額から控除することはできない。
ただし事業所得もしくは雑所得に該当すれば必要経費に算入できる。

(譲渡所得と事業所得の区別)
営利性・反復継続性なし → 譲渡所得
営利性・反復継続性あり → 事業所得

(争点)
営利性の有無

(原処分庁の主張)
前提の通り、取得費に算入できない。
(審判所の判断)
今回のケースにおいて、上場株式等の譲渡による所得金額の計算上、
必要経費に算入できる。

(理由)
株式等の譲渡による所得が、事業所得もしくは
雑所得に該当するかの判断方法については、
当該譲渡が営利目的として継続的に行われているかどうかによって判定。
請求人は、証券会社3社において、
多額の取引を行って(売却回数約2800回、売却銘柄60銘柄以上)おり、
保有期間も6ヶ月未満であった。
→明らかに営利目的で株式譲渡を継続的に行っていると認められる。
→株式譲渡による所得は、譲渡所得には当たらず、
  事業所得or雑所得が相当
→損失を事業所得or雑所得の金額の計算上、必要経費に参入できる。

外国籍を利用した贈与税回避スキームを封じ込め


⇒日本国籍がない相続人が相続した国外財産も課税対象にする。

(具体例)
・登場人物
父(日本国籍あり)
子(日本国籍あり・5年以内に国内に住所あり)
孫(外国籍・日本国籍なし。国外に居住)

・相続・贈与財産
国外財産

①従来
父⇒子:課税
父⇒孫:非課税
②改正案
父⇒子:課税
父⇒孫:課税

特定期間中の課税売上高による納税義務の判定


⇒特定期間において次の①、②の金額が共に1,000万円を
 超える場合は、基準期間における課税売上高が1,000万円未満でも
 消費税課税事業者となる。

①課税売上高
②給与等の支払額合計
※特定期間とは
   個人事業者の場合:前年1月1日~6月30日
   法人の場合:直前期の上半期

適用時期は、H25年1月1日以後に開始する事業年度より

事業所得の必要経費、「直接」の関係は必要か


■ケース1
 公認会計士が、賃借している事務所の一部を100%出資している法人と
  社労士に無償で使用させ
 事務所経費の全部を事業所得の必要経費に算入していたケース

①請求人主張
 事業収入と直接的な関係をを要求されているのは売上原価で、
  必要経費(販管費)にはその要件は不要である

②審判所の指摘
 支出が事業所得の必要経費として控除されるためには、
  支出と事業からの収入が直接関係していて
 さらにその業務を行うために必要な費用でなければならない
 →業務に必要かどうかの判断は社会常識などに従って
   客観的に行われるべきである
 →また貸し部分の家賃は借りている人が負担するべき
 →一部の賃借料を必要経費に算入することはできない

■ケース2
 弁護士が支出した懇親会費等を、
 事業所得の必要経費に算入していたケース

①東京地裁の判示
 懇親会費が必要経費として控除されるためには、
  その支出が弁護士業務と直接関係し、
 かつ、業務を行うために必要である
 →業務に必要かどうかの判断は社会常識などに従って
   客観的に行われるべきである
 →懇親会に参加しなくても業務に支障はない
 →懇親会費は必要経費に算入できない

②東京高裁の判示
 懇親会費が弁護士業務を行うために必要なら、
 その業務と関連する支出となる
 →懇親会に参加して他の弁護士と親睦を深めることは、
   弁護士業務の一部である
 →懇親会費は必要経費に算入できる

※国側が最高裁に上告受理申し立て中

-------------------------------------------------------------------


5.【消費税/印紙】インターネット取引と 仕入税額控除 / 印紙税

■仕入税額控除
・インターネット取引による課税仕入について
  電子データ以外の証憑の保存が出来ないときは、
 帳簿にその旨と相手方の住所を記載することにより、仕入税額控除が認められる。

■印紙税
・FAXや電子メールにより領収書を発行した場合には、印紙税は課されない。
 (課税文書は存在しない)
・ただしのちに正本を紙で交付するような場合には、正本は課税文書に該当する。

太陽光発電の屋根貸し賃料について

太陽光発電設備を設置するために「屋根」を貸した場合の
税務上の取扱いは次の通り。

■消費税
⇒課税売上(居住の用に供するための貸付でないため非課税とならない)
※居住用マンションの屋根(屋上)であっても課税売上となる。

■所得税
⇒不動産所得として収益計上

■法人税
⇒収益計上

税務調査の事前通知と税務代理権限証書について

国税通則法の改正により税務調査を行う場合の事前通知が明確化された。

■通知対象者
①納税義務者
②税務代理人⇒「税務代理権限証書」を提出した税理士等のこと

法定化により、原則として「税務代理権限証書」を提出した税理士等でなければ
事前通知されないこととなる。
※但し、申告書に署名があれば運用上は事前通知される。

⇒弾力的に取り扱われるが、「税務代理権限証書」を提出しておくのがベター。

-------------------------------------------------------------------


8.借手のリース処理、不動産か否かで使い分け(新リース基準案)

・使用権モデル
・使用権資産とリース債務を計上する

①I&Aアプローチ(前倒しの費用計上)
 ⇒不動産以外のリース
  使用権資産:規則的な方法で償却
  リース債務:実効金利法による償却原価で測定

②SLEアプローチ(定額のリース費用)
 ⇒不動産のリース
  ・リース債務:実効金利法による償却原価で測定  
  ・毎期定額のリース費用を認識する

-------------------------------------------------------------------


9.スクイーズアウト手法の税務ポイント

【スクイーズアウトとは】
 現金を対価に少数株主を排除し、完全子会社化を達成する取引

【結論】
 株式等売渡請求が最も有力な選択肢

【取引手法】
 ①現金合併
  →対象会社が時価評価課税を受ける
 ②現金株式交換
  →対象会社が時価評価課税を受ける
 ③全部取得条項付種類株式を用いた手法
  →端数処理の際、買収会社が譲渡益課税を受ける
 ④株式等売渡請求(利用可能予定)
  →問題は生じない
 ⑤株式併合(利用可能予定)
  →端数処理の際、買収会社が譲渡益課税を受ける

10.子会社不正リスク管理の重要性と対応ポイント

■4つのポイントについて

①不正が起こりやすい背景を理解する
→不正が起こっていそうな箇所の目星をつける
・小口現金の抜取、在庫・備品の流用、偽造請求書を用いた支払い

②不正が隠蔽されやすい背景を理解する
→どのような隠蔽工作が行われるか把握する
・現金出納帳の改ざん、在庫帳の改ざん、偽造請求書の作成

③不正の兆候を見逃さないために
→不正は内部統制上の欠陥を探し当てたうえで実行される。
・内部統制上の欠陥、不正を実行した痕跡について検討する

④不正の早期発見・早期対応のために
→不正の内容と手口に関する仮設を構築する
・社内、社外の関係者との共謀・書類の偽造について検討する


11.移転価格による修正か寄付金による修正か

国外関連者との取引の修正に関して、移転価格税制の適用か寄付金にされるか

<区分の判断>…現実的には明確ではない
・独立企業間取引とは異なる金額でも対価の支払いが
ある⇒移転価格税制
ない(無償の資金提供・債務免除)⇒寄付金

※ただし、対価の支払があっても無償の供与や贈与と解釈できる場合は
国外関連者への寄付金として取り扱われることもある。

<対策>
・統一した移転価格ポリシーに基づく文書化
・課税当局への事前・事後相談


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年11月23日金曜日

11/22 勉強会:【法人税】貸倒損失に係る質疑応答事例(国税庁HP) ほか



贈与税の実地調査が急増!


平成22年度から贈与税の積極的調査が始まった。
→結果、平成23年度の実地調査件数は前年から16.2%増の5,671件。

■平成23年度の贈与税調査実績
非違割合(申告漏れ等の非違件数/実地調査件数)=(5,331/5,671)=94.0%
→うち無申告分が、82.3%
→申告漏れの財産は、「現金・預貯金」が、63.3%で最も多い。

※参考(平成23年度の相続税調査実績)
非違割合(申告漏れ等の非違件数/実地調査件数)=(11,159/13,787)=80.9%
→申告漏れの財産は、「現金・預貯金」が、36.2%、「金地金など」が、29.9%

移転価格税制の申告漏れ件数が過去最高


・移転価格の申告漏れ件数が、取りまとめ開始(平成17年度)から
 最高の182件(前年比124.7%)
・また近年、国税庁の方針により海外取引調査が強化されている。
→結果、調査件数は15,247件(前年比110.5%)、非違件数は、3,666件(102.5%)

■移転価格税制とは?
「海外関連者」への不当な低額販売、
及び「海外関連者」からの不当な高価買入れがあった場合、
その取引が通常の価格(第三者間価格)で行われた場合と比べて
少なくなってしまった利益を「認定利益」として、追徴課税しましょう、という制度。
例えば親子会社との取引の場合、その取引の価格を自由に決めることが可能。
これを利用して、通常の取引では考えられないような販売価格などを設定することで
所得の調整を行うこと。

外国船舶内での物品販売、輸出免税等の対象とならず


■概要
⇒日本国内の港に停泊中の外国船舶内でその乗組員に対して行った土産品販売
 (国内で仕入れた)は輸出免税等の対象とならないのか?

■結論
⇒輸出免税等に該当しない。

■理由
①輸出免税等の対象とするためには、税関長に輸出許可証を発行してもらい、
 保存することが必要だが輸出証明書を発行していなかった。
②そもそも日本の港湾内は国内という判断。

外国籍の相続人取得の国外財産が焦点に


平成25年度改正で見直しが検討されているもの

■相続税
 外国籍しか持たない相続人の子が取得した国外財産についての課税

■延滞税(利子税、還付加算金)に係る利率
 法定期限の翌月から2か月間以内の税率
 現状7.3%の特例部分=公定歩合+4%
 →3.1%へ引き下げ

■法人税
 期限切れ欠損金の損金算入制限

税務調査と修正申告、加算税は違法と判示


■争点
 税務調査着手後に納税者が提出した修正申告書は
  更正を予知してされたものかどうか

■国側の主張
 事務運営指針を踏まえ、具体的調査が行われた後に提出された修正申告書は
 原則として、調査により更正を予知して提出されたものとして取り扱われる

■裁判長の指摘
 調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れが発覚し更正に至るということが
 客観的確実時期に達する前に自発的に修正申告書を提出したと認められるため
 修正申告は「更正があることを予知してされたものでない」と指摘


-------------------------------------------------------------------


6.【法人税】貸倒損失に係る質疑応答事例(国税庁HP)

■債務免除による貸倒れ(法基通9-6-1(4))
 ・債務者の債務超過の状態が継続し、弁済を受けられ無い場合で、
    書面による債務免除が行われることが要件。
 ⇒
 ・その時点で業績が悪いことだけではなく、
    将来的にも回復しないかどうかの検討が必要。
 ・書面による債務免除は公正証書等ではなく、内容証明郵便でOK。

■担保物がある場合の貸し倒れ(法基通9-6-2)
 ・担保処分後でなければ貸倒損失が認められない。
 ⇒
 ・抵当権順位が低いことにより、回収できないことが明らかであれば
    担保処分前でも貸倒損失が認められる。

■保証人がいる場合の貸倒れ(法基通9-6-2)
 ・保証人がいる場合、保証人からも回収できないときにしか
    貸倒損失が認められない。
 ⇒
 ・保証人にせ生活保護水準の収入しか無く、
    生活に必要な資産しか持ってない場合には、
    回収できないものとして貸倒損失が認められる。

■債務者と取引停止後1年以上経過した場合の貸倒れ(法基通9-6-3(1))
 ・継続的な取引を行なっていた債務者に対して適用が認められるもので、
   不動産取引のようにたまたま取引を行った相手には適用されない。
 ⇒
 ・通信販売の客等で結果として1回限りの取引となった場合でも、
    継続反復して販売することを期待して顧客管理をしているようなケースでは、
    継続的な取引を行なっていた債務者として適用される。

判例:個人支配の法人にかかるタックスヘイブン
税制適用除外要件について

■事案概要

個人A(日本在住)は個人出資でシンガポールに法人B
(特定外国子会社等に該当)を設立。
「実体基準」及び「管理支配基準」を満たすため、
タックスヘイブン税制の適用はないものと判断していた。
しかし、税務当局はいずれの基準も満たさないものとして課税した。

「実体基準」・・・当該国で必要な事務所等を有しているかをみる基準
「管理支配基準」・・・当該国で事業の管理を自ら行っているかをみる基準

■税務当局の主張
①法人Bは当該国で事務所等の賃貸借契約を有していないことから
 「実体基準」を満たしていない。
②法人Bは実質個人Aが日本で管理しているものであるから
「管理支配基準」を満たしていない。
⇒適用除外規定を満たさない。

■個人Aの主張
①当該国に事務所はないが、レンタルスペースを使用し
 業務委託料を支払っているから「実体基準」を満たす。
②当該国で株主総会を行っており、従業員も雇っていることから
 管理は現地で行っているものと認められる。
 よって「管理支配基準」を満たす。
⇒適用除外規定を満たす。

■東京地裁
個人Aの主張を認め課税を取り消した。※現在高裁に係属中

<まとめ>
「実体基準」の判定における事務所等はその業務を行うに足るものであればよく、
規模は問わない。
「管理支配基準」では従業員の有無・株主総会開催の有無が判定要素となる。

-------------------------------------------------------------------


8.重要事象等


「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況
(重要事象等)」が存在している場合、
その旨及び内容を有報の「事業のリスク」欄で開示する。
(例)
・継続的な営業損失の発生
・売上高の著しい減少

シャープ
・重要事象等を開示
・ただし、「継続企業の前提に係る注記(GC注記)」は行なっていない
⇒GC注記は「解消のための対応策を行なっても、
なお継続企業の前提に重要な不確実性がある」場合


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年11月18日日曜日

11/16 勉強会:所得税:海外出向から帰国した者の年末調整等について ほか




無償取得した親会社株式の収入時期は入庫日と判断


(争点)
アメリカにある親会社より株式を無償取得した場合の収入判定時期は?
A:株式を受給する権利が発生した日
B:証券口座への入庫日

(審判所の判断)
証券口座への入庫日

(結論の背景)
今回のケースでは、受給される株式数について、
権利確定日後に会社が独自に採用した
株価及び為替レート等を考慮して決定していた。
つまり権利確定日においては、収入を算定できない。

よって、入庫日により判定するとなった。

非支配株主との取引は資本取引に


■企業結合会計基準等の公開草案を公表予定。適用時期は検討中

■支配が継続している場合の子会社に対する親会社の持分変動について
 ★子会社株式を追加した場合、一部売却した場合、
      子会社の時価発行増資等の場合
  現行→損益取引
  公開草案→資本取引
  
     よって親会社の持分変動による差額は資本剰余金

 ★純資産の部の表示
  現行→少数株主損益調整前当期純利益
  公開草案→当期純利益

■企業結合における取得費関連費用について
  現行→取得原価に含める
  公開草案→すべて発生時の事業年度の費用として処理

■暫定的な会計処理の確定または見直しが
   企業結合年度の翌年度に行われた場合
     現行→翌年度において特別損益に計上
  公開草案→企業結合年度の財務諸表において
                       暫定的な会計処理の確定または見直しの影響を反映させる

■連結株主資本等変動計算書の表示
  現行→少数株主持分
  公開草案→被支配株主持分

  現行→利益剰余金の変動事由における当期純利益
  公開草案→親会社株主に帰属する当期純利益

     なお、のれんに関しては連結・単体ともに当面は現行の償却処理を維持する

-------------------------------------------------------------------


3.【地裁 裁判例】 税務調査中の修正申告は
「更正予知」したものではないと判断

《過少申告加算税》
・当初申告が過少であり、後に修正申告した場合には過少申告加算税が課される。
・ただし、当該修正申告が税務調査があったことにより
  更正されることを予知して行われたものでないときは、
 過少申告加算税は課されない。

《東京地裁の判断》
・納税者が『更正予知』する時点を、
 『(税務調査において当初申告の)不適正部分を発見する端緒となる資料を
   発見等したことにより、
 その後の調査で更正に至るであろうということが
  客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階』とした。
・税務調査が入った後に修正申告をしたことをもって、
  『更正予知』して修正申告をしたものとは言えず、
 過少申告加算税は賦課決定処分を取り消した。

【所得税】海外出向から帰国した者の年末調整等について

■前提 数年前に海外出向していたAさんが本年8/10に帰国した場合
※Aさんは8/11から居住者となる。1/1~8/10は非居住者

①年末調整の対象となる給与⇒8/11以降に支給された給与
②配偶者控除、扶養控除の適用⇒ある(12/31の現況により判定)
③出向中に支払っていた息子の国民年金⇒社会保険料控除は受けられない
※居住者である期間中に支払ったもののみ控除対象となる
④出向中に負担した医療費⇒医療費控除は受けられない
※居住者であることが要件のため、非居住者については適用なし
⑤海外で締結した生命保険料⇒生命保険料控除は受けられない
※海外締結の生命保険料は控除対象から除かれる
⑥住宅借入金控除⇒適用可
※出向の翌年以後再び居住の用に供した場合は残年数間控除が受けられる

-------------------------------------------------------------------


5.日本取引所グループ 発足

・東証と大証が合併
・2013年1月に発足「日本取引所グループ」
・新興市場はそのまま
・本即市場の上場基準は東証制度へ統合

-------------------------------------------------------------------


6.業績不振な100%子会社の株式の評価

・原則:取得原価により評価

 取得原価の50%≧実質価値の場合
→実質価値で評価を行う。

①子会社株式の実質価値の把握
 実質価値=子会社の純資産
 但し、子会社の資産等に時価評価に基づく評価差額があれば加味する。

②子会社の事業計画の実現可能性の検討
 客観的な資料等によるものかどうかが重要(借入金支払利息の削減等)。
※売上高について毎期10%増加するという仮定では弱い。

③子会社株式の評価の実施
 事業計画により3年~5年以内に取得原価以上まで実質価値の回復が
→明らか→取得原価で評価を行う。
→困難→実質価値で評価を行う。

7.残余財産等の税務上の取扱い

・解散会社の課税
   →損益課税(H22年9月30日以前解散)
   →財産課税(H22年10月1日以後解散)

 ・債務超過会社を精算する場合に債務免除益課税を回避する方法
   →青色欠損金、期限切れ欠損金を損金算入することで課税を回避

 ・残余財産がないと見込まれる場合とは、いつの時点でどのように判定するのか
   →精算中の各事業年度の終了時において、債務超過の状況か否かで判定

 ・残余財産がないと見込まれることの説明方法
   →実態貸借対照表を作成することで説明

 ・残余財産の確定日とはいつか
   →すべての財産の換価が終了した日等

 ・子会社解散とグループ法人税制の関係
   →親会社では子会社株式消滅損の損金算入はできない
   →子会社の青色欠損金を承継できる

8.税務調査手続きの改正

(1)税務職員の「質問検査権」の整備
 ・今まで法人税法、所得税法、消費税法等にそれぞれ規定
  →従来の規定は削除
  →国税通則法に改めて規定

(2)事前通知→法律に明文化

(3)調査終了時に下記を書面で通知
 ・更正決定等をするべき事項の有無
 ・更正決定等の理由、金額

(4)平成25年1月の税務調査からスタート
  (平成24年10月から先行取組み)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年11月11日日曜日

11/9 勉強会:高齢者労働移動受入企業助成金について ほか



1.【法人税】 販売店従業員への報奨金と交際費

■自社製品の販売店に販促の目的で支払う
 販売奨励金(売上割戻し)の取扱い。
・販売店(会社)への支払い         ⇒ 販促費として損金算入
・営業マン(従業員)への直接支払  ⇒  交際費として加算/流出

■営業マンに渡したい場合の対策
・営業マンへ支払って貰うことをお願いした上で、販売店に対して支払う。
(営業マンへの支給時に販売店では給与として源泉徴収が必要。)

※営業マンへ直接支払う場合にも損金算入を認める特例
 (措通61の4(1)-14) があるが、適用場面は限定的。

【消費税】DPC対象病院から分配される診療報酬について

■DPC制度とは
特定の病院に導入された新しい診療報酬制度

<イメージ>
従前の診療報酬⇒「出来高報酬」
DPCによる診療報酬⇒「定額報酬」

■特徴
A病院に入院中であってもB病院で治療を受けることができる。
精算はすべてA病院を通じて行う。A病院は社会保険団体から
報酬を受け取り、B病院はA病院から報酬を受け取る。

B病院が受け取る報酬は非課税(社会保険診療扱い)となる。

-------------------------------------------------------------------


3.ケイマン諸島

・ケイマン諸島でのBig4の密度が米国のそれと比較して100倍ほど

・タックスヘイブンが野放しにされえいるのは、
  銀行やBig4がロビー活動を行い多額の金を政治家につぎ込み、
  法律や規則の不透明化を行なっているため。
-------------------------------------------------------------------


4.不服申立て・訴訟

・調査結果に不服がある場合について
 ①先ず国税不服審判所へ不服申立てをする
  (国税通則法第115条第1項)。
 ②その後裁判所へ訴訟の提起をする。

■留意点
・修正申告を提出した後の場合
→修正申告をした内容については不服申立ては出来ないが、
 修正申告に伴う加算税については不服申立てが出来る
 (修正申告とは別個の賦課決定処分のため)。

5.再生可能エネルギー固定価格買取制度の減免申請における留意点

・減免措置を受けられる会社
 ①電力多消費の事業所で国の要件に該当する会社
 ②東日本大震災で被災した会社

■留意点
 申請書類の中に公認会計士または税理士による確認書類があるが
 申請書類の一部(売上高等の確からしさ)の証明にとどまるもの
 で申請を保証するものではない。

6.債権差押命令申立てにおける預金債権の特定

・預金債権を差し押さえる場合
 以下の債権を特定できる事項を明らかにする必要がある。
 ①金融機関及びその支店の特定
 ②先行する差押え等の有無
 ③預貯金の種類
 ④口座番号の順序による順位づけ

→複数の店舗に預金債権があるときは
 その取扱店舗を限定することなく支店番号の若い順序に
 よる順位づけをすることができる(全店一括順位付け方式)。

7.税務調査手続等の改正について(平成25年1月1日以後から)

①概要
  ①原則として事前通知を行うこととされた
   ※法令上では反面調査は対象外だが、
    運用上は原則事前通知を行うとしている
  
  ②質問検査権に関する規定が整備された
   Ex.帳簿書類等の提示提出を要求する権限や、
     提出物件の留置き規定が新設
     →強制的権限が与えられたわけではない為、
     社会通念上相当な限度を超えると
     考えられる場合はその旨を主張し説明を求めるべき

   Ex.手続通達で以下のように明記された。
     「調査は~社会通念上相当と認められる範囲内で、
     納税者の理解と協力を得て行うもの」
    →税務職員の強引な立入り、
      プライバシーを侵害するような調査行為は
      違法と評価される可能性が高い
 
  ③調査終了時の手続が定められた
   Ex.更生決定をすべきと認められない場合は、
     非違がない旨の書面を通知するものとされた
  
   Ex.更生決定をすべきと認められる場合は、
     調査結果の内容(金額、理由)を説明するものとされた
    (運用上は口頭で)

8.組織再編におけるDESの活用方法

ケース:債務超過(超過分に有利子負債)にある会社の買収
    (現在の株主が貸付を行っている場合)

過剰な有利子負債を承継せずに買収する方法
→貸付金をDESにより株式に振替た上で株式を無償売却

例)債務超過△40の場合

(債務者側)
〇DES実行時    有利子負債 40 / 債務消滅益 40

(債権者側)
〇DESによる取得  株式       0 / 債権    40
                  債権消滅損  40

〇株式の無償譲渡  株式売却損  0 / 株式         40

9.やってはいけないM&A

(1)目的が曖昧なまま進む
 ・初期段階での「M&Aの目的」「戦略的適合性」の議論不足
 →実務的な話が始まると「適合するかどうか」の議論に戻りにくい
 →費やした時間、費用がもったいなくなる
 →他部署の案件だと口出しできない
 →やり遂げることが目的になってしまう

(2)M&A後の体制を想定できない
 ・昔 :「DD=対象会社のアラ探し」
 ・最近:「M&A後の施策、体制をDD期間に検証」
 →どうしたらシナジー効果を早急に実現できるか

(3)シナジー効果創出を相手頼みにする 
 ・「誰の努力、協力が必要なのか?」
 ・「シナジー効果は誰のPLに影響するのか?」
 →対象会社任せではシナジー効果は期待できない

------------------------------------------------------------

【助成金について】


10.高齢者労働移動受入企業助成金

定年を控えた高齢者を、失業期間なしで雇い入れたときにもらえる助成金

要件:
①ハローワーク経由で雇い入れ
②該当労働者の賃金台帳等の整備
③雇い入れから6ヶ月~1年の間に申請(この間に継続雇用していること。)

もらえる金額
①短期労働者の場合:40万円
②短期労働者以外の場合:70万円


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年11月3日土曜日

11/2 勉強会:法人税:管理組合のカーシェアリングにかかる収益事業判定について ほか



1.病院等の消費税転嫁問題で新たな解決策

・現状の問題点
①病院の診療報酬は主に非課税売上であるため、
   仕入税額控除が取れないことが多い。
②診療報酬額は国で決められているため
   消費税を勝手に価格に転嫁することはできない。

・以下の解決策を検討中
①一律に診療報酬額を上げる
②一定の基準を設けて基準に係る診療について、報酬額を上乗せする。

2.日本の港湾内に停泊中の外国船内は国内か?

⇒日本の港湾内に停泊中の外国船内で日本で仕入れた商品を売った場合
  輸出免税に該当するのか?

・審判所の結論
日本の統治権が及ぶ領海内は国内と判断するのが妥当。
よって、国内売上として消費税を課する。


3.年末調整は国民年金の後納保険料に注意

■10月から12月までに支払った過去10年分の後納保険料がある場合
→年末調整は、後納保険料の領収書の提出により行う。
※後納保険料:過去10年分の未納国民年金保険料
※本年分は、「社会保険(国民年金保険料)控除証明書」の提出が必要

■所得金額から差し引くことができなかった社会保険料控除額がある場合
→翌年以降に繰り越すことはできない(切り捨て)。
→後納保険料は平成24年10月1日から平成27年9月30日までの分割納付が可能
→後納保険料による所得税額控除を活用するためには、
   分割納付も考えてみることが必要

4.タックスヘイブン対策税制

■軽課税国にある現地子会社の資産性所得については、
 持分に応じた部分が合算課税の対象となる
 特定外国子会社等に該当する場合
 ①実態がともなう事業展開である場合には
   適用除外基準を満たし合算課税の対象とならない
 ②一定の資産性所得については持分に応じて合算課税の対象となる

■資産性所得とは
 剰余金の配当や債権の償還差益など、資産の保有を原因とする所得
 限定列挙されている

-------------------------------------------------------------------

5.【消費税】消費税の還付申告と明細書の添付義務

以前は《任意》だった『還付明細書』の添付が、H24.4.1以降に提出する還付申告書
では《義務》になった。

【消費税】簡易課税制度による益税

・会計検査院が簡易課税による益税の実態検査を行った。

第1種~第5種のいずれの業種でも、
簡易課税制度適用者の『みなし仕入率』は実際の『課税仕入率』を下回っていた。

(私見)
不利な会社は簡易課税を適用しないから当り前の結果。
これをもってみなし仕入率の改定根拠にしようとしているのなら、変だと思う。

.【法人税】管理組合のカーシェアリングにかかる収益事業判定について

■マンション駐車場貸付の処理モデル(3区分・国税庁公表)
①募集は広く行い、使用許可は内部外部問わず申し込み順とする
⇒全部収益事業

②内部の使用希望がない場合に限り、外部の使用を許可する。
 また、内部に希望者があらわれたときは外部使用者は早期に明け渡す
⇒一部収益事業

③内部に使用希望がなくても外部の使用を許可しない。
 但し、短期的な場合に限り外部の使用を許可する。
⇒全部非収益事業(一時的なものであり事業とは言えない)

■カーシェアリング
管理組合⇒リース会社に駐車場を貸す
区分所有者⇒リース会社に車の利用料を支払う

この場合、リース会社から受け取る駐車場代は収益事業・非収益事業の
どちらになるか?

■結論
車を利用できる者が区分所有者に限定されている場合は、
「区分所有者に対する共済的事業」の
意味合いが強いため、非収益事業となる。
(駐車場の貸付は共済事業のための付随行為とみる)
-------------------------------------------------------------------


8.ライツ・オファリングについて

◆ライツ・オファリングとは
  既存株主に新株予約権を割り当てる増資方法

 ◆種類
  ①ノン・コミットメント型
   割り当てられた新予が行使期間内に行使されなかった場合、消滅する方法

  ②コミットメント型
   行使されなかった新予を証券会社等が全て引受けることを
       発行会社に約束する方法
  
 ◆現状
  コミットメント型は、資金調達が確実だが
    引受証券会社を探すことが困難な為事例なし
  →金融庁が公開買付規制等を改正し制度整備を進めたところ

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年10月28日日曜日

10/26 勉強会:【消費税】弁護士費用着手金の課税仕入時期について ほか



1.生前贈与の把握が調査事務の重点課題に

■資産運用が多様化・国際化する富裕層への取り組みが重大課題になっている
 ①多様化…個人財産だけでなく、関連法人も含めた資産の把握に努める
     →調査を連携するなど組織的に対応を図る

 ②国際化…海外財産の保有状況を把握するための資料収集やシステムの開発
     →情報収集・管理・活用が課題

2.最高裁、詐害的な会社分割を認めず


■最高裁の初めての判断
 ・Good出し、Bad清算を濫用したケースが多い
 ・詐害的会社分割によって債務が保護されない債権者については
  その保護を図る必要がある

■会社法の見直し要綱にも詐害的会社分割における債権者の保護を規定
 ・将来的には会社法でも濫用的な会社分割は認められなくなる


3.課税売上割合に準ずる割合の活用方法

・たまたま土地を売却したら、課税売上割合が著しく下がった
⇒共通対応課税仕入れについて、準ずる割合を適用できる。

・要件
⇒土地売却が単発、過去3年の課税売上割合の変動が5%以内等々

・使える割合⇒①と②のいずれか低いほう
①過去3年間の通算課税売上割合
②前期の課税売上割合

・注意点
⇒土地の売却が2年以上連続で続いたら、単発でなくなるので使えない。


-------------------------------------------------------------------


4.【消費税】たまたま土地を譲渡した場合の準ずる割合の適用

たまたま土地を売却したことにより課税売上割合が下がった場合に、
準ずる割合として認められている一定の割合がある。
(国税庁 質疑応答事例)
ただしここで言う【たまたま】はかなり限定的で、
偶発的・単発的である必要がある。

・事業スリム化のために、
  計画に基づいてその事業年度だけ土地の売却が生じた。 
⇒ ×

・土地の収用や立ち退きにより、土地を売却した。               
⇒ ○

【消費税】弁護士費用着手金の課税仕入時期について

■課税仕入れを行った日はいつになるか?

 ⇒課税仕入れを行った日は、個別の取扱いがない限り、
  所得税・法人税における資産の取得時期・収入費用の計上時期と同一となる。

 ⇒所得税法上、弁護士の着手金は
  委任契約が成立した際に収入に計上するとされている。

 ⇒したがって、消費税法上も委任契約が成立した日の属する
  課税期間に課税仕入れとなる。

-------------------------------------------------------------------


6.職業的懐疑心の強化と未就職問題

懐疑心を発揮するためには
「ビジネス感覚や常識が必要」
「職業的懐疑心は経験値からしか生まれない」

⇒会計監査全体の職業的懐疑心が向上するよう、
 いろんな経験値を持った人が監査法人に入ってくる仕組みが必要

-------------------------------------------------------------------

7.進捗会議から変えるプロジェクトマネジメント

プロジェクトの進捗会議において
プロジェクトマネージャーと各チームリーダーとの
間に信頼関係を構築することが必要である。
そのうえで以下が重要となる。

・参加者の目的意識を高めること。
・悪いことを言い出しやすい雰囲気を作ること。

■まとめ
進捗会議でのコミュニケーションをよくし
プロジェクトの状況について率直な意見交換が
できる環境作りが重要となる。

8.会社法制の見直しに関する要綱(平成24年9月)による実務への影響
  ~登記編~

○責任限定契約の範囲を社外取締役、監査役、会計参与、会計監査人に加え
・取締役(業務執行役員は除く)
・監査役

(実務)
責任限定契約の定款規定がある場合の社外役員の登記が不要になる

○公開会社でない小会社は、
監査役の監査範囲を会計監査に限定する定款の定めがあるものとみなされる

(実務)
監査役の監査範囲を会計監査+業務監査とする場合は、
定款変更のための登記が必要となる


9.クレジットリンク債の会計処理

【クレジットリンク債とは】
発行体と、発行体とは違う主体の信用リスクを組み込んだ債券。
両方の信用リスクを取ることで高い利率になる。

【会計処理】
区分処理すべき3つの要件をすべて満たしたときは区分処理、
そうでない時は一体処理。
時価評価差額は損益計上。

10.今年の通常国会(1~9月)に成立した主な法律

(1)著作権法の改正:違法ダウンロードの刑事罰化
  ※改正前→「違法」ではあったが、刑事罰はなかった
  ※改正後→2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、又は両方

(2)金融商品取引法の改正:インサイダー取引規制の見直し
  ※企業の組織再編に係る次の行為が除外された
    ・事業譲渡による保有株式の承継
    ・組織再編の対価としての自己株式の交付

(3)労働契約法の改正
  ※有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合
    →労働者の申し出により、無期労働契約に転換される


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年10月21日日曜日

10/19 勉強会:【所得税】生命保険契約の権利を退職金とした場合の一時所得の計算について ほか



1.租税回避に特命調査チームで対応

⇒国際的な租税回避を防止するため、日本とアメリカで、
   特別調査の協力体制を作っていく取り決めを締結した。

日本とアメリカでそれぞれ租税回避などの疑いがある場合に、
両国が平行して査察調査を行うときなどは、
協議しながら調査を進めることができるようになった。


2.三角株式交換

完全親会社となる会社が、
そのさらに親会社の株式を,完全子会社となる会社の株主に交付するという株式交換

Ex シティグループジャパン(日本法人)の子会社となる
日興コーディアルの株主にシティグループ(米)の株式を交付した。

三角合併との違いは、三角合併の場合子会社が消滅するのに対して
三角株式交換は子会社が存続する点にある。

3.三角合併の利用が進まない原因は

■利用が進まない原因
 ①合併親法人から合併法人に対する資産の移転があったものとして
  課税関係が発生するリスクがある。
  …合併親法人に対して割り当てられた自己株式の割り当てをしなかった場合など

 ②三角株式交換を利用して100%子会社化したほうが、
  許認可の取直しや登記の名義変更などが不要となり手軽

4.税務否認と取締役の責任

■ポイント
 コーポレートガバナンスの重要性を国税庁が推進しているので
 取締役による税務リスク管理がコーポレートガバナンスの
 トレンドになっていく可能性がある

■税務否認を受けた場合における取締役の責任
 →会社法上の善管注意義務違反等が発生するかどうか

 ・現状では、裁判等で取締役の責任が認められた例はあまりない
 ・役員の責任が認められた事案…自動車メーカー「無限」の脱税事件
 
 ・役員の責任が認められた事案の多くが、悪質な脱税案件に限定されている
 ・組織再編税制に係る否認事案
  →租税回避行為として追徴課税を受けた場合でも
   取締役の責任を問われた事案はこれまで出てきていない

-------------------------------------------------------------------


5.所得税:生命保険契約の権利を退職金とした場合の

一時所得の計算について


■解約返戻金を受け取った場合の一時所得の計算

-算式-
(解約一時金-支出した金額-50万)×1/2

法人契約の生命保険金の権利を退職金として受け取り、その後解約一時金を
受け取った場合、「支出した金額」はどう計算するか
(掛金は法人が負担したものであり、本人は掛金を負担していないのではないか?)

⇒解約返戻金のうち、
退職所得の収入金額とされた部分は本人が負担した金額として控除できる。

<具体例>解約返戻金として課税された金額を1,000万とする。

①解約一時金 1,000
②支出した金額 1,000←退職所得の収入金額とされた額
③50
④(①-②-50)×1/2=0

【消費税】改正消費税法の経過措置-対価の額の変更と経過措置

・請負契約等に関する経過措置では指定日(H25.10.1)前までに
契約をを締結した場合でも、
その後対価の額に変更が生じたときは、一部に新税率が適用される。
  (一部に経過措置が適用されない。)

ex.)
   《契約》  指定日   《金額変更》
 [対価未定]   l  ⇒ 金額確定           ・・・全額新税率
  [100万円]    l   ⇒  110万円 ⇒ 95万円    ・・・95万円旧税率
  [100万円]    l   ⇒  110万円 ⇒ 105万円    ・・・100万円旧税率、
                                    5万円新税率

-------------------------------------------------------------------

7.工事進行基準-進捗度の見積方法

「成果の確実性」が認められる工事⇒工事進行基準適用

成果の確実性あり=工事進捗度を信頼性をもって見積もることができる
⇒代表的な見積もり方法は「原価比例法」

8.会社法見直し M&A実務に与える影響

①子会社株式売却
(現行)
・重要子会社の売却:株主総会不要
・事業譲渡:総資産の20%超の場合は総会特別決議
(見直し)
・子会社の売却に株主総会決議必要
⇒ただし、総資産の20%以下、もしくは譲渡後も50%超保有なら不要

②キャッシュアウト制度
90%以上株主なら少数株主に売り渡しを請求できる

③詐害的会社分割
Good出し、Bad清算が横行
⇒分割会社の債権者保護が手当されていない

⇒見直しで、分割会社に残存する債権者が承継会社に対して
 承継した財産の価額を限度に債務の履行を求めることができるようになった


-------------------------------------------------------------------

9.過大支払利子税制について

【まとめ】

 ・2013年4月1日以降開始事業年度から適用
 ・関連者等への過大な支払利子は損金不算入
   ※関連者等→50%以上の株式を保有されている(又はしている)関係にある
          個人と法人

【計算式概要】
 損金不算入額=①△②

 ①関連者純支払利子等の額
 ②損金算入限度額=調整所得金額(所得に減価償却費等を加減算)×50%

10.加算税・延滞税

・重加算税が課されるケース

<ケース1>
経営者や使用人が自らの私欲のために重加算税の対象となる行為をする場合

<ケース2>
会社の事業を進めていくうえでの必要悪として重加算税の対象となる
行為をする場合

※国税通則法の改正により課税庁の処分には理由を記載することに
 なっているので、重加算税の課税根拠がわからない際には、
 その根拠を確認することが重要となる。


11.資本的支出に係る減価償却方法の改正

平成24年4月1日以後に取得した減価償却資産について
定率法の償却率が定額法の償却率の250%から200%と改正された。

・定率法を採用している減価償却資産について資本的支出があった場合
→資本的支出の対象資産取得日が平成24年3月31日以前であれば
 償却率が異なるので、別の減価償却資産として減価償却を計算する。

※平成24年4月1日をまたぐ事業年度に取得した場合
<前提>
平成24年6月決算で5月に取得
 減価償却資産を平成24年3月31日以前に取得したとみなして
 250%定率法により計算することができる。

12.TOBにおける株式等売渡請求制度

上場会社がTOBを実施し、その結果

・90%以上の応募を集めた場合
 →「特別支配株主」となり、
 少数株主に現金を対価として強制的に売り渡すよう請求できる
 (株式等売渡請求制度)
 
 株主総会を開かずに少数株主を締め出す(キャッシュ・アウト)ことができる

・90%以上の応募を集められかったが、追加で集めて90%を超える場合
 →株式等売渡請求制度が使えるかどうか?
(参考)
 アメリカでは、TOBで90%集められなくても、株主総会を省略できるように
持株比率を90%まで増やせるようにSOを付与する実務が定着


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)

2012年10月12日金曜日

10/12 勉強会:遺留分減殺請求訴訟係争中の葬式費用は指定相続分で負担 ほか



1.税務紛争で存在価値を増す電子メール

■ポイント
 電子メールも証拠文書になりえるので、
 税務に関する意思決定に係るメールを作成する際は
 言い回しに細心の注意を払う必要がある。


2.遺留分減殺請求訴訟係争中の葬式費用は指定相続分で負担

■ポイント
 相続税申告時点で遺留分減殺請求訴訟中の葬式費用は
 課税価格の計算上、控除できない。

■事例
 被相続人が子にすべての財産を相続させる旨の遺言をし、
 葬式費用を支払った配偶者が遺留分減殺請求した

■判断
 ①遺留分減殺請求訴訟中の葬式費用はなかったものとして計算するのが相当
 ②ただし、この事例においては、
 遺産の全部を特定の相続人に相続させるという遺言を残しており、
 これは、遺産分割方法の指定と同時に相続分を指定してものであるから
 その指定された相続分に応じて葬式費用を負担するのが相当


3.消費税率UPに伴う経過措置のポイント


⇒指定日以後に工事の請負金額の増減額については、
当初の契約金額との差額により5%か8%のいずれかが適用される。

・具体例
①当初契約金額200万円⇒指定日後に210万円へ増加⇒差額10万円は8%適用
②当初契約金額200万円⇒指定日後に150万円へ減少⇒その後180万円へ増加⇒全額5%


-------------------------------------------------------------------


4.【裁決事例】役員退職慰労金の分割支給について


■概要法人Aは役員Bの退職に基づき、退職年度に7,500万円(退職金1)、
 翌事業年度に12,500万円(退職金2)を支給し、
 それぞれ退職給与として損金経理して申告したところ、
 退職金2については否認された。


■主張法人A・・・資金繰りの理由による退職金の分割支給は
           通達で認められており、支給の都度損金とできる。 
 当局・・・法人Aが分割支給とした理由は単に資金繰りの理由によるものでなく
      赤字決算を銀行に提出できないとの理由によるものであり、     
      利益調整目的であるから認められない。


■審判所の判断法人Aは分割支給に関する議事録を作成しておらず、
 また、金融機関に欠損の申告書を提出したくないとの思惑が認められることから、
 分割支給に合理性は認められない。よって退職金2は損金不算入となる。


(まとめ)資金繰りの都合により退職金を分割支給し、支給の都度損金とした場合、
・分割支給に合理性あり⇒損金算入
・分割支給に合理性なし⇒2回目以降は損金不算入の可能性あり


【法人税】役員の中途退任で一部を支給しなかった事前確定届出給与

・事前確定届出給与の届出をした給与のうち該当役員が任期中に退任したことによ り支給されなかった金額があったとしても、
 臨時改定事由には該当せず変更の届出を剃る必要はない。
 (既に支給した給与の損金算入は認められる。)

※事前確定届出給与
役員に対して定期同額給与以外の給与(賞与のイメージ)を支給する場合は
原則的には損金不算入になるが、
支給額・支給時期を記載し他届出書を提出し、
届出通りに支給された場合は、損金算入が認められる。

※臨時改定事由
役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更等のやむを得ない事情
(かなり限定的)により支給額を変更する場合は、
変更の届出をすれば損金算入が認められる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)



2012年10月5日金曜日

10/5勉強会:所得税:特定支出控除の質疑応答について ほか



1.現金を対価とする少数株主の排除(キャッシュアウト)の手法

■現状、一般的なスキーム
全部取得条項付種類株式を活用
※全部取得条項付種類株式=当該種類の株式について、
会社が株主総会の決議によってその全部を取得することができる株式

(デメリット)
・株主総会特別決議を要する。
→時間的、手続き的コストが大きい。

■会社法制の見直しに関する要綱で、盛り込まれたスキーム
特別支配株主(総株主の議決権の90%以上保有)の株式等売渡請求。
※株式等売渡請求=株主は株主全員に対し、
所有する株式の全部を特別支配株主に売り渡しを請求できる制度

(メリット)
・特別決議を要しない。
→時間的、手続き的コストの問題クリア。

(税務上の取扱い)
・あくまで株主間取引であるため、株主への課税のみで課税関係終了。
⇒手続き、課税の両方に優位性のあるスキーム


2.相続の際の債務等超過分の控除

・相続人の中に債務等超過分の控除可能者が複数いる場合、
控除するにはそれら全員の合意が必要。

※債務等超過分とは?
各相続人の負担が確定していない債務等のうち、
各相続人の取得した財産を超える部分


3.弁護士会役員の交際費の費用計上について

⇒個人事務所をやっている弁護士が、
地域の弁護士会の役員として会合等に参加した場合に
経費として認められるか?

⇒弁護士会等の活動は弁護士としての業務に密接に関係があるため、
必要経費として認められる。

■具体例
①懇親会会費等は費用として認められる。
②懇親会の2次会会費は費用としては認められない。
③一泊の打ち上げ旅行を行い参加費は、費用として認められない。
⇒私的な側面が強いものは経費として認められない。

4.Q&Aで読み解く二世帯住宅の敷地に係る小規模宅地等の特例

■ポイント
二世帯住宅の場合、建物内部で自由に行き来ができる構造だと
一軒屋に同居していると認められて
小規模宅地等の特例の適用が受けられる。

■事例
前提:父親が所有する敷地の上に、二階建の二世帯住宅を建築し
1階に父親と母親、2階に息子とその家族が住んでいる。
父親が死亡し、母親と息子が敷地と二世帯住宅を相続した場合

①二世帯住宅の内部で行き来が自由にできる構造の場合
→母親と息子が相続により取得した宅地は、特定居住用宅地等として
 小規模宅地等の特例の適用がある。

②外付けの階段を利用しないと二世帯住宅の行き来ができない場合
→母親が相続により取得した宅地には、小規模宅地等の特例の適用があるが
 息子が取得した宅地には、小規模宅地等の特例の適用がない。

⇒内部で自由に行き来ができるということは、二世帯住宅といえども
 一軒の家に同居しているのと同じという判断である。
 内部での行き来ができない構造だと、
 それぞれの世帯が居住している空間がわかれているため
 一軒の家に同居しているとは認められない。

-------------------------------------------------------------------


5.【統計】国税庁 平成23年分の民間給与実態統計調査を公表


・非正規雇用込みの平均給与は409万円。前年比3万円減。

・給与所得者数はH20年に次いで過去2番目に多かった。

・給与総額は前年比0.4%減。

・源泉徴収税の総額は前年比4.2%増。

所得税:特定支出控除の質疑応答について


■特定支出控除とは
⇒その年の特定支出
(資格取得費用・書籍購入費用・衣服購入費用などで一定のもの)が
給与所得控除額の1/2を超える場合にその超える金額を給与所得控除額に
加算できる制度。
H25年分以後の所得税について適用。

■質疑応答(抜粋)
①専門学校の授業料(2年コース)を前払いした場合、
全額が支出年の特定支出となるか
⇒全額はNG。授業料を按分して計算する。

②法科大学院に通うための費用は特定支出となるか
⇒司法試験の受験資格を得る為に必要であり、
資格取得のための費用と認められるため特定支出となる。
なお、会計大学院の費用は受験資格を得る為のものでないためNG。

③スポーツ新聞の購読料は特定支出になるか
⇒業務の遂行上必要であり、給与の支払者(会社)により
必要であることを証明されたものについては特定支出となる。

④背広を購入するための支出は特定支出になるか
⇒背広着用の社内規定がある、
 または着用の慣行がある場合には特定支出となる。

⑤自己負担した交際費は特定支出となるか
⇒職務の遂行上直接必要であり、
給与の支払者(会社)により証明がされたものは特定支出となる。

-------------------------------------------------------------------

7.グループ内での資産譲渡と組織再編の課税問題を検討する


■グループ内で資産を譲渡した後の適格組織再編が
 どのように繰延譲渡損益に影響するか。

【結論】:資産を譲渡した後に適格組織再編があった場合には、
     繰延譲渡損益は実現はしない。

【留意すべきケース】
<ケース1>
・譲渡損益調整資産がグループ内の法人の株式の場合
 →発行法人が適格合併により消滅すると繰延譲渡損益は実現する。

<ケース2>
・譲受法人が解散した場合
 →適格合併とは異なり、繰延譲渡損益は実現し益金算入される。


8.シェアードサービス(SSC)の現状と改善


(1)シェアードサービスを導入している企業が増加
  →効果が上がらない企業も増加

(2)ポイント
  ①当初の目的が達成できているかを節目に確認
    (3年、5年、10年等)
    ※導入自体が目的ではない
  ②業務の標準化、可視化
    ※形だけのSSCにならないように
  ③SSC配属社員のモチベーション維持
    ※将来のキャリアパスを描く
  ④可能な範囲でのシステムの共通化
    ※業務集約効果が向上


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)


2012年9月28日金曜日

9/28 勉強会:消費税:株式の取得に係る用途区分について ほか



1.組織再編等の株主による差止請求

■ポイント
略式組織再編以外の組織再編について、株主に差止請求が認められるようになった。

■株主が差止請求をすることができるのは?
[現行]
・略式組織再編→①法令または定款に違反する場合、②対価が会社の財産の状況その
他の事情に照らして著しく不当である場合
・その他組織再編→名文規定なし

[見直し後]
・略式組織再編→①②
・その他の組織再編→①

※略式組織再編
略式組織再編とは、特別支配関係(他の会社の議決権の90%以上を保有する関係)に
ある会社間の組織再編について、
被支配会社の株主総会の承認を省略できる制度をいう。

2.社外取締役および社外監査役の要件が厳格化

■ポイント
①社外取締役の義務化は見送り
②社外取締役および社外監査役の要件は厳格化

■②で追加された要件
・親会社および兄弟会社の関係者でないものであること
・株式会社の関係者の配偶者または2親等以内の親族でないものであること

■影響
社外監査役の選任が簡単でなくなる

※関係者=取締役、執行役、重要な使用人、
 自然人である親会社
※重要な使用人の範囲=執行役員等で通常の使用人を除く

3.課税売り上げ割合に準ずる割合について


⇒個別対応方式による場合において、
課税売上割合に代えて課税売上割合に準ずる割合を適用できる制度。
Ex.事業部ごとに課税売上割合を出して、それぞれで仕入税額控除を計算する。

・利用時の注意点
①準ずる割合の使用申請をしたら、有利選択はできない
⇒本来の課税売上割合>課税売上割合に準ずる割合のときでも
準ずる割合を利用する。

②準ずる割合が95%以上の場合
⇒全額控除はできない。

③禁止事項具体例
⇒総務部で備品を売った。
⇒ほかに売上がなければ、総務部としての課税売上割合は100%
⇒事業部ごとの課税売上割合を適用できるか?(全額控除できるか?)
⇒不可

4.海外子会社への増資で受贈益課税

原則 : 有利発行(第三者に対して時価より低い価額で新株を発行)の場合、
    時価と発行価額の差額は、受贈益課税

注意 : 海外子会社への増資が『有利発行』であるとして受贈益課税を受ける事例が
発生: 海外子会社設立時に現地資本を入れるケースも受贈益課税のリスクあり

5.永年勤続表彰に係る給与課税

Q: ①~③の場合の永年勤続表彰制度で給与課税されることはあるか?

① 自由商品を選択できるカタログを支給
② 指定の店で購入させるスーツで、領収書と引き換えに支給する現金
③ 旅行券を支給

A: 原則、①~③は給与課税
  ※ ポイント :金銭を支給すると同様の効果をもたらすため

  例外、②③は給与課税なし
 ※ ポイント :換金性がない、選択性に乏しい、金額が多額でない

6.役員給与の期中減額、定期同額判定で重要解釈

■ポイント
役員給与の期中減額改定が認められるのは
その法人の業績悪化などに限られる

■事例
法人が事業年度の中途に行った役員給与の減額改定が
子会社の借入金返済のために行われたものであるから
給与改定事由に該当しないとされた事例

■審判所の判断
法令69条1項1号は
給与改定を行った法人の業績悪化等を理由とした給与改定について
損金不算入としない旨を規定しているので
その法人の子会社の借入金返済のための給与改定は
同号に規定する給与改定には当たらないというべきである

■平成23年1月25日裁決・公表裁決事例No.82との違い
審判所が法令69条1号1項の法令解釈として
年度途中の給与改定の場合に損金算入されるのは
給与改定したその法人の業績悪化改定事由によるものに
限定したこと

参考:法令69条1項1号
   法人税法基本通達9-2-13
   国税庁「役員給与に関するQ&A」Q1

-------------------------------------------------------------------


7.【消費税】株式の取得に係る用途区分について

■株式購入費用の用途区分

国内に所在する株式の購入に係る手数料の用途区分は取得の目的により判定する。

①「投資目的」で取得した場合・・・非課税対応仕入
⇒株式の売却収入は原則として非課税売上になるため、
 購入手数料は非課税対応仕入となる。

②「完全子会社化」のために取得した場合・・・共通対応仕入
⇒売却を目的としていないため「非課税対応」とはならない。
 また、そもそも課税売上が計上されることもない。
 よって共通対応仕入となる。

なお、国外に所在する有価証券の購入費用は「課税対応仕入」となる。

(参考)
企業再編を行う際に支払ったデューデリジェンス費用・・・共通対応仕入
⇒調査目的の支出であり、課税売上・非課税売上に直接対応しない。
 よって共通仕入となる。

-------------------------------------------------------------------
8.少数株主持分の取扱と当期純利益


(現行)
 親会社説
 2005年以前⇒負債と資本の中間に表示
 2005年以降⇒純資産の部に株主資本以外の項目として記載

(従来)
 当期純利益=親会社株主に係るもの
(今後の方向)
 当期純利益=少数株主に係るものも含める

-------------------------------------------------------------------


9.税務調査と税務当局の裁量権

【税務調査はいかなる法律に基づいて実施されてきたか。】


・今まで
→税務調査の法律問題について、具体的にこれを規定する条文はなかった。
 最高裁判例:社会通念上相当な程度にとどまるかぎり、
 権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている。

・これから
→税務調査における規定を明文化
(平成25年1月1日施行改正国税通則法)

10.加算税・延滞税


【修正申告を出したら必ず加算税は課されるのか。】

・結論:必ずしも加算税が課されるわけではない。

<原則>
①当初の申告が期限内申告で、
②調査によらない自主修正申告の場合
→加算税は課されない。

<ケース1>
調査の連絡を受けた段階で修正申告書を提出した場合には、
原則として加算税は課されない。
→事前通知があっただけでは加算税は課されない。
 (国税庁事務運営指針に明記されている)
→但し、納税者が自分の誤りがあることに課税庁が気づいている
 ことを何らかの理由でしっている(※1.更正を予知している)
 場合は、加算税は課される。

<ケース2>
調査が始まってから提出された修正申告書は、
加算税が課されるおそれがある。
→判例によって分かれている。
 (どこからが調査になるのか、調査のどの段階で
  更正の予知があったとみるか

11.ストック・オプションがある際の、
潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定

・まとめ

普通株式増加数の算定上、
「翌期以降に費用計上する公正な評価額」を
考慮するようになったので注意
(2011年4月1日以後開始事業年度から適用されている)

・潜在株式調整後1株当たり当期純利益の計算式
普通株式に係る当期純利益/普通株式の期中平均株式数+普通株式増加数※1

※1 普通株式増加数=SOが全て権利行使されたと仮定した場合に発行される
通株式数SOの権利行使により払込まれると仮定した入金額を用いて、
期中平均株価で普通株式を買い受けたと仮定した普通株式数※2
                   ↑
※2 改正前:行使時の払込金額/期中平均株価
   改正後:(行使時の払込金額
    +翌期以降に費用計上する公正な評価額)/期中平均株価

12.クラウドファンディングについて

(1)概要
  インターネットを利用して、不特定多数から広く資金を調達する方法
  ※共感を得られれば大衆から資金を回収できる

(2)種類
  ①寄付型 
    【調達側の税金】
     個人→個人 : 贈与税
     法人→個人 : 所得税(一時所得)
     個人→法人 : 法人税
     法人→法人 : 法人税
     (出資者側は寄付金と同じ取扱)

  ②購入型 (まずは資金を集め、商品ができたら提供)
    ・出資時は前受金として処理
    ・商品提供時に売上に振替処理
    ※売買取引のように扱う

    <リターンが出資金より著しく低い場合>
    →リターンと出資金の差額を寄付とみなされる可能性

    <プロジェクトが失敗した場合>
    →基本的には出資金を返金

  ③出資型(投資型・貸付型)



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

 株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)