2014年6月23日月曜日

6/20 勉強会:法人税:接待飲食費にかかる控除対象外消費税 他

1.定率法廃止と欠損金の損金算入縮小濃厚

6/5 税制調査会「法人税改革に当たっての基本認識と論点」の内容
・外形標準課税の課税拡大(資本金1億円以下は対象外)
・繰越欠損金の損金算入割合縮小 & 繰越期間延長(資本金1億円以下は対象外)
 ※損金算入割合×繰越期間によるトータル控除額は維持
・定率法廃止(定額法へ統一)

27年度税制改正で取り上げられる可能性のあるもの
・事業税の損金算入廃止
・個人の受取配当の課税強化
・法人間の支払利子の損金算入制限
・福利厚生費の課税強化


2.社宅に付随する経済的利益

①社宅に付随する駐車場の貸与
 →駐車場の賃料は給与課税される

②社宅備え付けの家具の貸与
 →家具相当額が給与課税される
  ※家具相当額とはリース料や減価償却費の金額となる。

③社宅や社員寮に係る水道光熱費
 →給与課税される。
  ただし社員寮の光熱費については、個々に金額を把握することができないため、給与課税しなくてよい。


3.平成26年度における消費税・間接諸税関係の改正について

■消費税
 ①簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
 (平成2741日以降開始事業年度より)
  ・金融業及び保険業:第4種事業→第5種事業
  ・不動産業:第5種事業→第6種事業
  ※経過措置あり

 ②輸出物品販売場制度の見直し
 (平成26101日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用)
  ・消耗品(食料品、飲料品など)が免税販売の対象物品に
   →1日あたりの販売金額に上限、特殊包装をするなどの対応が必要

 ③課税売上割合の計算方法の見直し
 (平成2641日以後に行われる金銭債権の譲渡について適用)
  ・金銭債権の譲渡について、譲渡対価の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入することとされた

■自動車重量税
 ①自動車重量税の税率の改正
 (平成2641日以後に自動車検査証の交付等を受ける該当車両について適用)
  ・新車新規登録から13年を経過した自動車の自動車重量税の税率を見直し→経年車は現在販売されている車と比較するとCO2排気量などの環境負荷が大きいため

 ②自動車重量税の免税等の特例措置の改正
 (平成28331日まで)
  ・平成2641日以後に初めて自動車検査証の交付を受けた免税対象車について、2回目の車検時に係る自動車重量税を免除する


4.相続対策による生前贈与の事実認めず

(裁判事例)
被相続人が預入をしていた「相続人名義の預貯金」について、生前贈与と認められなかった。
→相続財産となる。

(理由)
・預金証書は被相続人が保管していた。
・住所変更などの手続きは被相続人が行っていた。
・生前に被相続人は複数ある相続人名義の預貯金の一部を解約し、自己の普通預金口座に入金したうえで使用していた。
・贈与する旨の書面が未作成。


5.公認会計士協会が平成27年度税制改正の要望書を提出

重要要望
項目として5項目が列挙されているが特に、
・賞与引当金及び退職給付引当金の損金算入を税務上も認めること
・受取配当金を全額益金不算入とすることが盛り込まれている。
かつて賞与引当金・退職給付引当金は損金算入が、また受取配当金も全額益金不算入が認められており、従来の処理に戻す要望がなされている。

それ以外の項目として、
・特定同族会社の留保金課税の全廃
・事業税の発生時損金算入
・慶弔費用は交際費の対象から外す
・工事損失引当金の損金算入
等が盛り込まれている。


6.消費税:DES5%部分のみ非課税売上高に算入

H26.4~のDESにおいては、金銭債権の譲渡対価として非課税売上高に算入する金額は5%相当のみでOKとなる。

金銭債権の譲渡全般について以前は100%が非課税売上高とされていたが、株式の譲渡に合わせる形で5%の算入とする改正があった。
これにより、DESにおける取り扱いも変わった。

DES時の消費税上のデメリットが軽減されることになる


7.法人税:接待飲食費にかかる控除対象外消費税

法人税法の改正により「接待飲食費」となる交際費は50%が損金算入できることとなったが、この取り扱いは「控除対象外消費税」についても適用される。

∇交際費にかかる控除対象外消費税(例)
接待飲食費 本体10,000 消費税800 
その他交際費 本体10,000 消費税800
課税売上割合 80%

<損金不算入額の計算>
①本体部分20,00010,000×50=15,000
②控除対象外消費税部分 32080240
 (1)1,600×(1-80%)=320
 (2)800×(1-80%)×50%=80
③①+②=15,240


8.東京都 税効果の税率に変更なし

・1億円超で35.64% 変更なし

■期首利益剰余金の変動と分配可能額への影響
・退職給付債務の計算方法等の改正が平成2641日以降開始事業年度の期首から原則適用
・これにより前期末と当期首の退職給付債務の額に差がでる
・この影響額は3月決算の会社であれば、H27.3期の期末配当から分配可能額の計算に反映


9.新会計基準適用に伴うキャッシュ・フロー計算書上の取扱いポイント

・改正退職給付会計基準
 ①仕訳例1
  退職給付に係る調整額/退職給付に係る負債
   ⇒営業活動に係る資産負債の増減にあたらない為調整不要
 ②仕訳例2
  退職給付費用/退職給付に係る調整額
  ⇒非資金損益項目にあたるためプラス調整

・企業結合会計基準
 ①子会社株式の追加取得・一部売却
  親会社持分の変動額と追加投資額(または売却価額)との差額が資本剰余金となった
 (原則:H2741日以後開始事業年度の期首から。早期適用:H2641日以後開始事業年度の期首から)
   ⇒投資活動によるCFから財務活動によるCFの区分に変更
 ②取得関連費用
  発生した事業年度の費用として処理されることになったことにより、営業活動によるCFに含む


10.特別目的会社(SPC)を活用した不動産流動化の留意点

()
「売買取引として処理するか、金融取引として処理するか」
・不動産のリスクが譲受人に全て移転している⇒売買取引
・不動産のリスクが譲受人に全て移転していない⇒金融取引

()
「SPCが子会社に該当するか」
・SPCが、適正な価格で資産を譲り受け、その資産から生じた収益をSPC所有者に分配する目的で設立された
 ⇒子会社に該当しない(独立している)


11.ヤフー・IDCF事件判決の概要

■不当性要件の解釈
 (学説)
  法人の「行為又は計算」が「経済的取引として不合理・不自然」である場合に成立
  ⇒具体的には租税回避行為以外の目的や理由が存在しない場合
 (判決)
  上記に加えて、「法人税の負担を不当に減少させる」場合に含む
  ⇒学説よりも広い解釈を採用された
  ⇒「租税回避行為以外の目的や理由がない」だけを判断の基準にしてはいけない


12.新企業結合会計基準等のポイント

(1)適用時期
原則適用:平成2741日以後開始する事業年度期首から
早期適用:平成2641日以後開始する事業年度期首から
※早期適用の場合でも、平成2641日より前に実施された暫定的な会計処理が平成2641日以後開始する事業年度において確定した時の損益影響額は、従前の取り扱いにより特別損益にする。

(2)支配が継続している場合の子会社に対する親会社の持分変動による差額の会計処理
①子会社株式の追加取得
 ⇒追加取得以降のれん(負ののれん)は発生しない

②子会社株式の一部売却
 ⇒売却後も子会社の場合は、個別PLでは売却損益が計上、連結PLでは損益未発生
 ⇒一部売却に対応するのれんの未償却額は減額しない

③子会社の時価発行増資
 ⇒親の払込額と親の持分増加額の差額は、資本剰余金として処理
  ※差額を損益とするものの、利害関係者の判断を著しく誤らせる恐れがある時は利益剰余金に直接加減することが出来る定めは削除された

④資本剰余金が負の値となる場合の取り扱い
 ⇒連結会計年度末において、資本剰余金をゼロ、残りのマイナスは利益剰余金から減額
 ※四半期においても、同様の処理をするため、年度末において洗替処理することに留意

⑤連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得・売却に関するCF
 ⇒該当するCFを非支配株主との取引として「財務活動によるCF」の区分にする

⑥非支配株主との取引に係る個別財務諸表上の取り扱い
 ⇒自社の株式のみを対価として子会社株式を追加取得した場合における個別FSでの取得原価は、株式の時価と対価となる財の時価のうち、より高い信頼性で測定可能な時価

⑦注記
 連結FS上、非支配株主との取引に係る親会社の持分変動について、増加(減少)した資本剰余金の主な変動要因と金額を注記


13.国産海底資源バブルの内幕

・日本近海に眠るメタンハイドレート(天然ガス)は、金額にして120兆円相当。
資源量:物理的に存在する量
埋蔵量:実際にビジネスとして成り立つ回収量

・メタンハイドレートは現時点では技術的、経済的に回収困難

・それでも、国では年間100億円超の予算が割り当てられ、回収に向けた研究開発が進められている
→(建前)「他国に影響されない、安定的な資源確保のため、成功すれば雇用拡大にもなる」
→(本音)「官僚の天下り先確保」

カナダの海洋資源会社社長のコメント
「民間が自分のカネでやった場合、失敗から学び、それが蓄積となる
だが同じ事業を国のカネでやると、責任が曖昧になる」

・メタンハイドレートの回収はできるか?

2001年には、『2016年まで』と言っていたが、現在は『2027年まで』)





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2014年6月18日水曜日

6/13 勉強会:メール削除は仮装・隠ぺい、重課対象に 他

1.中小企業が消費税免税店になるための手続きは?

・平成26年度税制改正により、免税対象の拡大を検討中
(検討対象物品:現在は免税でない)
 -食品類
 -飲料類
 -薬品類
 -化粧品類その他の消耗品

・免税店の許可要件(改正予定なし)
①非居住者の利用頻度が高いと認められる場所にある
②非居住者に対する販売に必要な人員が配置されている
③過去3年以内に国税の滞納等がない
④資力、信用力が十分
⑤許可に不適当な事情がない


2.特定支出控除適用者が約1,600人に急増

●所得税の確定申告において、特定支出控除を適用した給与所得者が増加した。
 (前年は6)
H24年改正により特定支出の範囲が拡大。
 仕事に必要な資格取得費用や書籍購入費などの合計額が、給与所得控除額の50%超の場合、超える部分の金額を給与収入から控除できる。
 ただし給与支払者の証明書が必須となる。領収書は不可。

<贈与税の申告書提出者は前年比12.6%増加>
●贈与税の申告についても、申告書提出者、納税者、納税額ともに前年より増加した。

H271月から適用される相続税の改正に伴い、早い時期より資産を移転させることで、納税者が税負担を少しでも抑えたいと思惑があったため。


3.メール削除は仮装・隠ぺい、重課対象に

■近年、重課算税が課された項目にメールの削除のランクインが続いている
・メールの内容から租税回避行為の意図が見受けられることが多くある
⇒税務調査前にメールの削除をする動機が生まれる
⇒メールを削除したとしても復元が可能
 ・メール復元ソフトでの復元
 ・CCBCC等によって拡散したメールの検索
 ・メールサーバーからの復元 等々

■削除されたメールから租税回避の認定がなされた場合
⇒メールの内容以上に『削除した』事実が問題
⇒『削除』は仮装・隠ぺいと確執に判定され重課算税の対象となる


4.ストックオプション契約の内容の変更

■Q
税制非適格SO契約を権利行使前に、税制適格SO契約へ変更した場合、新株予約権の行使時に非課税とできるのか?

■A
非課税とはならない。

■理由
租税特別措置法第29条の21項によると、新株予約権等を付与された当初の契約において、税制適格要件を満たす必要があると解されるため。


5.先端設備リース、問題あれば追加対応も

■先端設備リース・スキーム
 ・国が法人に基金を設置
 ・リース会社は基金設置法人と先端設備導入支援契約を締結
  →リース物件が見積残存価額に満たない金額で売却されたときに、その満たない金額の一部を基金が補てん
 ・リース会社は借り手側企業とリース契約を締結
  →①リース料固定型、②リース料変動型、③ハイブリット型(①+②)

■借り手の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)
 ・借り手側の会計処理の草案
 ・変動リース料に関する想定稼働料の見積もりについて
  当初見積もりに誤りがあってもリース取引の再判定は不要など


6.適格機関投資家等特例業務の見直しについて

【背景】
 金融商品取引法上、ファンドの販売等を行う業者は、当局への登録が必要であるが、プロ向けファンドの販売等(適格機関投資家等特例業務)を行う場合には、当局への届出のみで可能となっている。
 また、49名以下であれば一般投資家にも販売が可能となっている。
 一方で、プロ向けファンドの販売等を行う業者の中には、49名以下であれば一般投資家に対しても販売が可能なことに着眼し、不適切な勧誘を行うものがあり、知識・経験が乏しく一定の投資判断能力を有すると見込まれない一般投資家が被害を被る事例が発生している。

【改正の概要】
適格機関投資家等特例業務においてプロ投資家以外で投資できる投資家を

・上場企業
・資本金5000万円超の株式会社
・資産3億円以上の法人
・投資性金融資産を1億円以上保有かつ証券口座開設後1年経過した個人などの「一定の投資判断能力を有すると見込まれる者」に限定する。

【懸念】
新たに参入しようとする独立系ベンチャーキャピタリストへの影響出た結果、盛り上げってきているIPO市場に水を差す結果も


7.法人税:当期の損金経理額に含む償却超過額

過年度から繰り越されている償却超過額がある状態で当期に償却不足額が生じている場合に認容減算する償却超過額の金額は、任意に決めることはできない。

例:
X1年:償却超過額が100生じた
X2年:償却不足額が80生じた
  というケースでは、
  認容減算する金額は『80』であり、利益調整等を目的に『50だけ認容する』ということは出来ない。

減価償却を停止することによる利益調整は税務上認められるが、これが出来るのは損金経理による意思表示をしていないことがポイントになる。
その一方で、上の例ではX1年の決算において『100』の損金経理をする意思表示を既にしてしまっているため、その部分についての損金算入額を後出しで減らす事は出来ない。


8.勘定科目別税務の着眼点

■修繕費
・損金算入時期・・・修繕の完了日
・資本的支出か修繕費か
20万円未満→修繕費
60万円未満または前期末取得価額の10%以下→修繕費

■減価償却費
IFRSの導入により「会計」と「税務」で償却方法が異なるケースあり。

例:建物附属設備
(会計)定額法10年(0.100)
(税務)定率法15年(0.133
※税務上「償却不足」が生ずるケースがある(調整不要)

■貸倒損失
・法律上の貸倒れ・・・損金経理要件なし。その事業年度に強制的に損金算入。
・事実上の貸倒れ・・・<全額回収不能+担保なし>で計上可
・形式上の貸倒れ・・・売掛債権のみ・備忘価額1円以上・継続的に取引があった場合のみ


9.経営財務 公布日基準の見直し

・現在:公布日基準
 税効果会計に適用される税率は、「期末日現在で公布されている税率」を採用
・企業会計基準委員会(ASBJ)から見直し案が出ている
 決算日間際まで確定せず、対応が後手に回るため
・修正案:実質的に税法改正が有効になったと判断される時点
 IFRSにも整合
・問題点:「実質的に有効」とはどの時点を指すか、解釈がわかれる

日本の立法プロセス
①法案の議会提出⇒②法律成立⇒③奏上⇒④公布⇒⑤施行
日本の現行基準では④、IFRSでは②。


10.東京プロマーケットの蹉跌

・市場で売買できるのはプロのみ、審査なしで上場可能、といった謳い文句で20129月に開設された「Tokyo AIM市場」

・ロンドンのAIM市場では上場数は1,000社、米国の類似市場では10,000社が上場している。

・対して日本ではこの2年の上場数は7社だけ。うち1社はすでに上場廃止

・マザーズ昇格の会社などが現れればもっと注目が集まるのだが…今のところ有望な会社はない

20144月の売買高は、100万円にも満たない




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2014年6月6日金曜日

6/6 勉強会:金商法改正 新規上場後3年は内部統制監査免除 他

1.軽減税率の品目提示も線引き・財源手当てに難題

・与党税制協議会
 …消費税軽減税率の検討課題となる対象品目、区分経理について選択肢を複数提示

・対象品目は「すべての飲食料品」から「精米のみ」までの8パターン

・「外食」の定義、「菓子類」にドライフルーツが入るかどうかなど線引きが疑問

・軽減税率を導入した場合の減収に伴う財源手当を考慮する必要がある


2.日本版IFRSの開発の経緯とその意義を探る

■日本版IFRSの主な検討事項
⇒のれんの償却について
⇒開発費の資産計上について
⇒当期純利益に関する項目について など

■日本版IFRSによる税務への影響は?
基本的に税務への影響はない。
IFRS適用は連結財務諸表に限ってであるため。


3.法改正前の節税、是否認の分岐点とは

IBM裁判で、行為計算否認規定による否認の困難さが浮き彫りに)
【事例】
IBMが子会社株式を子会社へ売却(譲渡損失発生)
②税制改正により、上記節税スキームが禁止に
③税務当局が、①の行為に対して、行為計算否認規定を使って否認した
⇒税制改正前の節税策について、行為計算否認規定を適用できるか?

【裁判所判断】
・行為計算否認の規定は適用できない(IBM勝訴)
・税制改正前において、IBMの行った行為を禁止する規定は存在しない
・当該節税スキームは、立法にて制限すべきもの

※ポイントは、『税制改正時に想定されていた事象に対しては立法で対応すべき』という考えがあること


4.金商法単体開示簡素化の現状

■制度概要
平成26年3月末決算から有価証券報告書の単体財務諸表が簡素化され、多数の開示項目が削減されるとともに、残された開示項目の多くも会社法開示と同様の様式で可となった。

具体的に注記においては、
「有価証券に関する注記」
「税効果会計に関する注記」
「重要な後発事象の注記」
「継続企業の前提に関する注記」
を単体の財務諸表の開示において記載すればよい。

■企業側の評価
開示のコストが低減したと言う声が多い一方で、「有価証券に関する注記」及び「税効果会計に関する注記」は連結において詳細な記載がなされているため、不要では?といった声も上がっており、もはや金商法の単体開示など要らないということではないか?」との声も上がっている。

金融庁は「どれだけ簡素化しても単体開示の廃止だけは避けたい」と考えており、今後のさらなる単体開示の簡素化に関しては、綱引きが続きそうとのこと。


5.消費税:消費税 適用税率を誤りやすいケース

①値増金を収受する場合
(法人税)
建設工事の請負に係る値増金等で契約で定められていないものは、相手方との協議により金額が確定した時点で収益計上する。
⇒適用税率は資産の引き渡しがあった時の税率となる。

②見積額と確定額に差がある場合
(法人税)
期末時点の現況により見積り計上した金額と翌期に確定した金額に差がある場合、差額分は翌期の収益として計上する。
⇒値増金と同様に資産の引き渡しがあった時の税率を適用する。

■注意点
上記①、②の場合2641日以後に金額が確定した場合であっても5%の税率を適用するケースがあるので注意が必要。


6.法人税改革をめぐる政府•与党の論点

●法人税実効税率を現在の35%強から20%台へ引き下げる方向
●財源
•特別控除等の租税特別措置の見直し
•繰越欠損金の年数の変更
•減価償却の定額法への統一
•資産運用目的の受取配当について、益金算入
•中小企業の基準見直し
•外形標準課税の範囲拡大、事業税の損金不算入化


7.金商法改正 新規上場後3年は内部統制監査免除

(導入理由)
 ・上場時に取引所から内部管理体制も含めた厳格な上場審査を受けている
 ・新規上場企業は財務負担能力が低い場合が多い
 ・米国でも、上場促進のため、新興成長企業を対象に内部統制監査を5年間免除している

(免除対象外)
 ・対象外となる企業の具体的な数値基準は、関連政令、府令で定められる予定
 ※現状案では資本金100億円以上又は負債総額1000億円以上を想定


8.定時株主総会の運営、議事録・終了後の実務ポイント

①運営のポイント(一部)
 ・株主の質問に対する規制として「1人の株主につき1回しか質問させない」という取扱いは行き過ぎた制限であり避けるべき。
 ・説明義務がない質問について回答を拒否する場合、回答しない理由も述べることが望ましい。

②議事録・終了後の事務(一部)
 ・株主総会議事録は10年間本店に、5年間支店に備えおく
 ・決議事項によっては登記が必要な場合もあるから注意
  (一部の定款変更、代取の変更、取締役の改選、監査役の改選等)


9.「経理・財務」の職務分担の見直し

(1)職務分担が機能していないケース
 ①必要な作業にも関わらず誰もやっていない
 ②複数部門・部署での作業の重複
 ③適任者ではない部門、担当が実施
 ④誰のためにもなっていない

(2)改善例1
・経理部の伝票承認フローが4段階で時間がかかっていた
→伝票の種類に応じてチェック担当者を割当
  (全員で手分けしてチェックする方法に変更)
→重点管理する伝票を定義
  この伝票だけは上席が再チェック
→増減分析による異常値チェックを導入
※全部の伝票が重要なわけではない

(3)改善例2
・小口現金の管理が膨大
→小口現金を廃止
→コーポレートカード、社員立替等の導入等


10.システム変更時のJ-SOX上の対応

→期中に勘定系システムを変更した際の、J-SOX上の対応・留意点

■経営者評価
 ・期末日に存在する内部統制の有効性の評価のみで良い
  →システム変更後の内部統制についてのみ評価
  →運用状況を評価するための期間をきちんと確保する

■監査人評価
 ・経営者評価と同様にシステム変更後の内部統制のみ評価で良い
  →ただ、内部統制監査とは別に財務諸表監査がある
  →財務諸表監査は期首から期末までの確認が必要
  →システム変更前、変更後両方の評価が必要
→翌期に勘定系システムを変更する場合

■内部統制報告書
 ・付記事項に後発事象として記載を検討する必要がある


11.危ない企業買収

・なぜM&Aは失敗するのか?
①「時間を買うため」「われわれにない事業や能力を手に入れるため」といった買い手側の都合しか考えず買っている
→「なぜ売りに出ているのか」といった売り手側の都合・思惑を考えていない

例)ロート製薬は米国メンソレータム社を買収
 メンソレータム社は同族経営で後継者がいない、というはっきりした売却理由ありその後、自社の販売ルートにメンソレータムの製品を乗せ、シナジー効果を発揮

②「国内事業が厳しいので海外に出るかしかない」という「追い込まれてから起死回生を狙う」

例)NTTドコモ
→ 米国AT&Tワイヤレスに1兆円出資 ITバブル崩壊で2004年撤退
→ インド タタ・テレサービシズに2700億円出資 2014年撤退

M&Aの経験が単純に少ない
→うまい会社は専任の役員をおき、小さな会社を日頃から買っている。


例)JTは、1兆円で米国RJRIを買収する7年前、英国のタバコ会社を1億円で買収





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