2017年4月29日土曜日

4/28 勉強会:収益認識会計基準、連単で同一の会計処理を適用へ 他

1.収益認識会計基準、連単で同一の会計処理を適用へ

ASBJ6月を目途に収益認識に関する包括的な会計基準の公開草案を公表予定
・個別財務諸表の取扱いが焦点だった
⇒連結財務諸表と同一の基準とする方針
 同一企業で連単の比較可能性、財務諸表間の比較可能性を避けられる
※包括利益の表示や退職給付に関する会計基準に関しては連単分離となる
・いずれにせよ今回の提案により、多くの取引で申告調整が必要になると想定される
 ASBJでは「重要性に関する事項」等を定める予定

IFRS関連の基準のため中小企業への影響はなし


2.業績が没収要件でも事前確定届出給与に

H29年度税制改正関連の話題

・利益等に応じて「段階的」に株式を没収するタイプの譲渡制限付株式報酬
⇒損金不算入に
・事前に定められた業績未達の場合、付与した株式を「全て」没収するタイプの譲渡制限付株式報酬
⇒これまでどおり、事前確定届出給与として損金算入可


3.税効果、単体での注記は一部省略

■税効果会計の開示事項
・連結財務諸表
(1)DTA及びDTLの発生原因別の主な内訳
(2)税率差異の注記
(3)税率変更によりDTADTLの金額が修正された時はその旨と修正額
(4)決算日後に税率変更があった時に、その内容と影響の注記事項
(5)評価性引当金の内訳
(6)税務上の繰越欠損金に関する事項

・単体財務諸表
(1)(5)連結と同様に開示する
(6)不要
⇒単体での開示で影響が生じるのは限定的であるため、連結でのみ開示


4.有価証券報告書作成上の留意点(平成293月期提出用)

■今回の有価証券報告書作成上、留意が必要な事項
・経営方針等の記載
・繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
・平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い
・リスク分担型企業年金
・平成293月に公表された会計基準等
(1)法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準
(2)連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い
(3)債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い

■繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
・実務指針等(主に、監査委員会報告第66)における取扱いを基本的に引き継ぎ ※一部見直しあり
・平成293月期より原則適用
・適用初年度における開示
(1)適用初年度の期首において、所定の定めを適用することにより、これまでの会計処理と異なる場合
→会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取扱う
(2)上記以外の場合
→本適用指針を適用している旨を追加情報として注記


5.所得15億円超でも中小交際費特例適用可

H29年度改正により、中小企業で直近3事業年度の課税所得金額の平均が15億円超であれば、中小企業向けの措置法の適用を受けられない。
H31.4.1以後開始事業年度より適用

■主な中小企業の特例(主に資本金1億円以下の法人等が適用される)
・試験研究費等の税額控除
・貸倒引当金の特例
・所得拡大促進税制の上乗せ
・法人税の軽減税率
・少額減価償却資産の取得価額の損金算入
・欠損金の繰越控除の制限なし
・欠損金の繰戻し還付
・留保金課税なし
・交際費は800万円まで損金算入

H31.4.1以後に適用されない措置(H29.4.28時点)
・法人税率の特例、少額減価償却資産の特例
⇒他の規定で適用期限があるため、
・欠損金の繰戻し還付、交際費の損金算入
⇒適用除外とする改正が行われないため。

なお設立後3年以内の中小法人は平均所得金額に関係なく、中小企業向けの措置法が適用可。
ただし適用制限逃れを防止するため、判定する法人が合併等により設立された場合等については、被合併法人の所得金額等を加算する措置が手当てされている。


6.認定経営革新等支援機関、制度の見直しの方向性

■認定経営革新等支援機関とは
・中小企業に経営革新等支援業務(事業計画の策定、指導等)を行う機関として、国に認定された個人、法人
・約26千件が認定を受けており、税理士、税理士法人が全体の77%を占める

■見直しの背景
・直近1年間に経営革新等支援業務を行っていない支援機関が約3割もあり、認定基準の能力を満たしているか疑問視されている

■見直し案
(1)認定水準の維持
35年の有効期間を設定し、更新制を導入する
・国が行う調査への回答を複数回行わず、改善もない場合には認定取り消し
(2)能力向上
・中小企業大学校での研修や異業種間の連携促進
(3)制度普及
・申請手続きの簡素化(提出書類の削減)の実施

56月に見直し案の中間報告が取りまとめられる予定


7.所得拡大税制 29年度改正

■改正内容
前事業年度より2%以上賃上げした企業に税額控除を上乗せする

■控除額
(大企業)通常の10%に2%上乗せした(12%)
(中小企業)通常の10%に12%上乗せ(22%)

■留意点
大企業は前事業年度より2%賃上げしないと所得拡大税制そのものの適用がないこととされた(=適用がある場合は12%の税額控除となる)

中小企業は前事業年度より賃上げがあれば10%の税額控除が受けられ、2%以上の賃上げがあればプラス12%(計22%)の税額控除が受けられる。

※賃上げ⇒前年の平均給与と比較して判定


8.iDeCoと源泉徴収事務

iDeCo(個人型確定拠出年金)の対象
・平成2911日以降
20歳以上60歳未満の者
※ただし、会社員の場合は一定の要件が必要

■会社員の源泉事務について
・事業主振込又は個人振込のいずれかから選択
事業主振込⇒企業側は毎月の源泉徴収に係る事務を行う必要があり
個人振込⇒年末調整時が必要(毎月の源泉徴収に係る事務は不要)


9.意見不表明

・監査報告書において監査意見を表明しないこと
・意見を形成するに足る基礎を得られないときは意見を表明してはならない。
・意見不表明で監査報告書を提出するケースは意見表明が出来ないほど監査証拠が入手困難な場合や会計記録が不十分な場合に限定
・東芝の2016年度第3四半期の四半期連結財務諸表について、結論を表明しない旨の四半期レビュー報告書となった


10.平成291月以降の電気通信役務の提供に係る課税関係

1. 従来、リバースチャージされる取引
・役務提供する事業者が国外事業者
・役務提供者を受ける者が国内
・役務提供の内容が事業者向け
⇒課税対象(リバースチャージ方式)

2.H291月以降
・従来の課税関係に加えて、PEの所在地によっても課税関係が変わる
⇒従来は、役務提供を受ける者が国内にいれば課税対象となったが、国内にいても、国外のPEに帰属する部分は不課税
⇒同様に、役務の提供を受ける者が国外であっても、国内のPEに帰属部分は課税対象


11.M&AにおけるMAC条項の概要と使い方

■MAC条項
・「重大な悪影響」
・M&A契約締結後の事情によって、M&A取引を中止できるための条項

■契約書の条文にどのように含めるか
・表明保証に含めるケース
⇒クロージング後にMACが判明:売主側に対して保証を求める根拠
⇒クロージングまでにMACが判明:クロージングしない根拠
⇒一方で、売主側にとっては「重大な」と定義することによって微小な影響しか与えない項目を排除できる

・クロージング条件に含めるケース

■MACの例外
・契約書上、例外を設けるケースもあり。
・一定の重大な事情であってもMACではないとし、M&Aの中断や解除事由にならなくすることができる
例:
・市場における変動(金利の変動、為替の変動等)
・不可抗力(戦争、テロ、天災等)
・法律の修正等
・従業員関係(従業員数の減少、レイオフ等)
・通常の業務上の変更(取引先の減少、重要な取引先の倒産等)
・その他(収益目標未達、会計基準の変更等)


12.清算法人の株主における税務上の取扱い

■連結子法人株式の簿価修正
・連結子法人が解散による残余財産の分配をする場合、みなし配当が生じるため連結子法人株式の簿価修正を行う

■みなし配当と株式譲渡損益
・残余財産の分配額が資本金等の額を上回る場合、みなし配当が生じ、全額益金不算入となる
・株式譲渡損益については、資本金等の額から増減される

■欠損金の引継ぎ
・連結子法人の残余財産が確定する場合、欠損金は連結法人に引き継がれる

■残余財産の分配が現物分配である場合
・適格現物分配に該当する為、直前簿価が取得価額となる
・株式譲渡損益相当額は、直前簿価を残余財産の分配額として計算する
・みなし配当は益金に算入せず、連結個別利益積立金の増加として処理する
・源泉徴収は不要


13.連結納税を前提とした、連結子会社が清算する場合のみなし事業年度と申告方法

■ポイント
連結子会社の残余財産が確定した場合、その翌日に連結納税の承認が取り消されるため、連結事業年度開始日~残余財産の確定日までの期間について「みなし事業年度」の設定を行う

■同一事業年度内に解散および残余財産の確定が行われた場合
(1)期首~解散日~残余財産の確定日
⇒単体申告

■解散事業年度の翌事業年度に残余財産の確定が行われた場合
(1)期首~解散日~期末
⇒連結申告
(2)期末~残余財産の確定日
⇒単体申告


14.グループ会社間等で資金融通する際の貸金業者登録の要否

■前提:業として貸付を行う場合、原則登録必要

■本論:資金需要者保護・国民経済の観点から問題ない場合、登録不要
Grp内での資金効率アップ、金利負担の軽減措置等、経済活動に有用な場合
具体的には:
(1)企業Grp会社間での貸付け
(2)共同出資会社から合弁会社への貸付け
(3)企業グループ内の会社が、当該Grpに属さないことになった会社への貸付け
(4)合弁会社株主の100%子会社(金融子会社)から当該合弁会社への貸付け

■参考:その他登録不要の場合
(5)国・公共団体が主体となる貸付け(例:中小企業向けの貸付制度)
(6)銀行・質屋が主体となる貸付け
(7)卸売業者や運送、倉庫業者が主体となる貸付け
(8)事業者がその従業員に対して行う貸付け


15.退職給付信託の返還に伴う会計処理

■退職給付信託
退職給付信託は企業が保有する有価証券を退職給付にあてるために信託したもの
⇒年金資産用に自社の有価証券を信託会社に委託したもの

■退職給付信託の返還
・退職給付信託の返還をした場合、年金資産が減少。
⇒返還された有価証券を認識するとともに、退職給付引当金を増加させる。

・退職給付信託から生じていた未認識数理計算上の差異を即時認識。
⇒退職給付引当金の算定上、退職給付信託が除外されるため、
退職給付信託から生じた未認識数理差異を遅延認識する理由がなくなる。

■返還時の留意点
・退職給付債務に対して、年金資産が積立超過の状態であり、超過分が退職給付に使用される見込みがないことを合理的に予測できる。
⇒退職給付信託設定時に、信託財産が退職給付に充てることに限定したものであるといった要件があり、返還するには、信託財産が退職給付とは完全に切り離される必要がある。


16.世界の会計士事情

・カナダでは、会計士のうち会計事務所に勤務しているのは約20%。その他の大多数は企業、政府、NGOなどに勤務。
・間もなく多くの会計士が退職年齢に差し掛かり、人材の不足が懸念されている。
 会計士協会として、人材確保のため、先住民社会の教育水準向上を支援。


17.IPO実務検定試験

IPO準備の実務能力をまんべんなく、総合的に問う試験
・標準レベルと上級レベルがあり、合格するとそれぞれに対応する資格が付与
・合格率は60%程度
・合格すると会費は月1,500
・日本IPO実務検定協会(2007年設立)が主催

・上場準備を担える人材を育成することにより、ベンチャー企業の上場を促進することが目的









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2017年4月22日土曜日

4/21 勉強会:タワーマンションの固定資産税額の計算方法を省令で規定 他

1.水道分担金()の消費税用途区分で裁決

■新築の賃貸建物に係る水道分担金の仕入税額控除で個別対応方式を適用する際の用途区分について裁決
・原処分庁の主張
⇒個別対応方式を適用する際に共通対応分に区分され、建物の用途区分別の面積に基づいて課税売上対応分と非課税売上対応分に区分できる

・審判所判断(納税者有利な判定)
⇒テナントおよび倉庫に係る分担金=課税対応分
 居室に係る分担金=非課税対応分
 共用部分に係る分担金=共通対応分

※新築の建物の各居室などに水道を引く場合、
自治体(水道局)から「水道分担金」の支払いを求められることがある


2.業種制限地域における固定資産税の軽減特例の留意点

固定資産税特例の活用検討の流れ

1.種類の確認
(1)機械装置
⇒全国・全業種で特例可
(2)測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備
2
※価格等の要件も有
2.所在地の確認※1/1時点
(1)(2)」以外の場合
⇒全業種で特例可
(2)東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、京都府、大阪府に設置している場合
3
3.業種の確認
(1)中小企業庁のHP掲載の26業種(Ex.飲食店、宿泊業、娯楽業)
⇒特例可
(2)(1)」以外の場合
⇒特例不可


3.被支配外国法人の所得は100%合算

■平成29年度税制改正/CFC税制
・「実質支配基準」が追加された

■実質支配基準とは
・残余財産の処分の方針をおおむね決定できる
・その他取り決め
⇒実質支配基準があれば、被支配外国法人の所得は100%合算

■注意点
・外国法人に対し50%超の支配関係を有している他法人や居住者がいれば判定不要

(判定不要例)
 内国法人  ⇒  A社  ⇒  外国法人 等
     (80%保有)  (80%保有)


4.税効果指針、平成313月期から適用へ

■前提
企業会計基準委員会が日本公認会計士協会の税効果会計に関する実務指針の移管作業を行っている。
⇒税効果に関する適用指針()を策定中

■税効果に関する適用指針()の内容
・基本的に上記実務指針の内容を踏襲
・一方、実質的に内容を変更している部分もあり

ex.
(1)個別F/Sにおける、子会社株式及び関連会社株式に係る将来加算一時差異の取扱い

実務指針:一律DTLを計上
適用指針():親会社がその投資の売却を親会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間にその売却を行う意思がない場合には、DTLを計上しない。※連結F/Sとの整合性を図る為

(2)表示
実務指針:DTA及びDTLは基本的に流動固定分類して表示
適用指針()DTA及びDTLはすべて非流動区分に表示

(3)注記
「評価性引当額の内訳」、「税務上の繰欠に関する事項」を追加

ただし、上記見直しに伴い、
・システム変更や内部統制プロセスの変更は要しない
・連結F/Sに金額的影響は生じない
と想定される為、経営管理における対応は比較的容易であり、準備にそれほど多くの時間を要しないはず

■適用時期
平成313月期から適用する方向で調整(早期適用は認めない方向)
※平成2912月末までに適用指針が確定することが条件


5.国際課税めぐる税倍事件で判決

■事例
・顧問先の日本法人がA国法人の株式をA国の他企業へ譲渡
・A国で支払った税金につき外国税額控除を適用
・A国課税当局よりA国の国内源泉に該当するとし、追徴課税として15億円超の支払い
・調査助言義務を怠ったとし、税理士法人に対し、追徴課税分等の損害賠償をおこした

■裁判所判断
・A国の課税対象となったとしても、日本当局が国外源泉所得に該当しないと判断している。
⇒税理士法人が行った申告は間違っていないため、損害賠償は不当であると判断。
・税務顧問契約では専ら日本の税法に関する税務相談であるため、A国で課税対象となった件で調査助言を怠ったとは判断できない。

∴税理士法人の勝訴判決が下された。


6.同族会社の業績連動給与

■業績連動給与に関するH29年度税制改正の内容
・持株会社の100%子会社が対象に追加
⇒従来は、同族会社は適用対象外

・株価や売上高に関する指標を追加
⇒従来は、利益の状況を示す指標に限られていた

・「業績連動給与」に名称変更
⇒従来は「利益連動給与」

■適用時期
平成2941日以後に支給・交付決議をする給与について適用


7.最高裁 定期預金も遺産分割の対象

■普通預金の取り扱いと同様の判断
平成281219日の最高裁判決で普通預金が遺産分割の対象とされた。今回、定期預金についても同様の判断となった(平成2946日)

■解説
定期預金は法定相続分に応じて当然に各相続人に分割承継されるものとされ、相続開始をもって金融機関に対する払戻し請求権が認められていた(大阪高裁)
最高裁はこの判決を破棄し、遺産分割などで各相続人が受け取る割合が決まるまでは定期預金等の払い戻しを認めないことを示した。

■金融機関の対応
従前より、法律上の取り扱いと異なり、遺産分割確定前は払戻しに応じていなかったため実務上の影響はない。


8.タワーマンションの固定資産税額の計算方法を省令で規定

■タワーマンションの定義
・建築基準法上の「超高層建築物」である高さ60メートル超の建築物
・複数の階に住戸が所在しているもの

■各住戸の固定資産税額の算出方法について

一棟の固定資産税額×各住居の専有床面積×階層別専有床面積補正率/専有床面積(補正後)の合計
階層別専有床面積補正率=100(10/39)×(-1)

※ただし、全員が協議して定めた補正方法を用いることも可
 (補正を行わないこととすることも含まれる)

■適用時期
・原則3041日から適用される。
2941日前に売買契約締結の住戸を含むものについては除外


9.4兆円の無形資産

・ソフトバンクが計上する4兆円の無形資産
FCCライセンス
 =米国の連邦通信委員会が発行するライセンス
 =FCCが付与する特定の周波数を利用するためのライセンス」
FCCライセンスについては、「耐用年数を確定できない」との理由で償却していない
・「更新・延長を最低限のコストで行うことができる=耐用年数を確定できない」

・日本基準では、無形資産には耐用年数が割り当てられ、規則的に償却が行われる。
・日本基準では「耐用年数を確定できない無形資産」という考え方は現在ない


10.小規模宅地の特例 応用

・小規模宅地の特例を受ける相続人Aから、他の相続人Bに代償財産を渡す場合、Bの相続税はAと同様に軽減されるか?
⇒されない。

例)
波平さんがなくなった時、同居していたサザエさん(A)が波平さんの自宅を相続。
小規模宅地の特例を受け、相続税が8割減額された。
既に自立していたカツオくん(B)は、自宅を相続できない分、自宅の約半額にあたる現金(代償財産)をもらった。
サザエさんが相続税8割減額されているのと同様に、カツオくんの相続税も8割減額されるのか。
⇒されない。小規模宅地の特例は要件を満たす本人しか適用されない。


11.上場承認から上場までのスケジュール

・上場承認:証券取引所が上場を認め、上場することを公表
↓約2週間
・仮条件決定:ブックビルディングを行うための株の売り出し価格を決定(例:1,000円~1,200円)
・ブックビルディング:投資家に仮条件を提示し、投資家が「いくらでどれくらい買いたいか」を調査
↓約1週間
・公開価格の決定:ブックビルディングへの申し込みを集計し、実際に株を売り出す際の公開価格を決定
・購入申し込み受付:多数の場合は抽選
↓約3
・抽選
↓約5

・上場









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2017年4月15日土曜日

4/14 勉強会:平成29.3計算書類注記に関する留意事項 他

1.役員給与の損金不算入等、平成29年度改正の政令公布

■見直された点
(給与関連)
・定期同額給与の範囲に、定期給与の各支給時期における支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であるものを含める
・事前確定届出給与の届出が不要となる特定新株予約権による給与等の範囲を定める
・業績連動給与について、支給額の算定の基礎となる株式の市場価格の状況を示す指標および売上高の状況を示す指標の細目を定める

(連結納税)
・連結納税への加入に伴う資産の時価評価制度について、簿価1,000万円未満の資産が除外

(仮想通貨)
・仮想通貨の譲渡について、消費税を非課税とする
・課税売上割合の計算上、資産の譲渡等に含まないものとする

※いずれも平成2941日から施行


2.TAXプランニングの義務的開示の行方

・財務省はH28年末に諸外国の制度等の調査の入札を行うなど意欲的
⇒落札結果:不調(応札者がいないため落札者が決まらない)
・税務当局の動きを踏まえると、義務開示は暫く導入されないとの楽観論は禁物


3.小規模宅地特例の同居要件に例外なし

■小規模宅地の特例
被相続人からの相続等で住宅用・事業用宅地につき、一定の要件を満たした場合その宅地の評価額が5080%減額される制度

■特例を受けるための要件()
(1)生計が同一の親族であり、相続するものが事業用や居住用の宅地であること
(2)面積上限以内であること(事業用宅地…400㎡、居住用宅地…330)

■ケース事例
・生計を一にしていたABが両方とも要介護認定を受け、老人ホームへ入居
Aが亡くなり、Bへの相続が発生した
・老人ホーム入居前に居住していた宅地について、特例が使用できるか?

⇒同居要件に関して、被相続人に関しては例外規定は設けられているが、相続人の例外規定は設けられていないため、同一生計親族(同居要件)とならない


4.「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ」報告を踏まえた決算短信等の開示の自由度の向上について

■決算短信等の様式及び記載事項の見直し

(目的)
・決算短信等の開示の自由度を高める
・速報としての役割に特化する

(概要)
(1)監査・四半期レビューが不要であることの明確化
⇒監査・四半期レビューの終了を待たずに、「決算の内容が定まった」と判断した時点での早期開示を改めて要請

(2)速報性に着目した記載内容の削減による合理化
・記載要請事項は、原則として速報性が求められる情報のみ
⇒サマリー情報、経営成績等の概況(四半期は不要)、連結財務諸表及び主な注記

(3)要請事項の限定等による自由度の向上
・「サマリー情報」の様式の使用強制とりやめ
⇒あくまで参考様式として、その使用を要請するにとどめた

(実施時期)
今回の見直しを反映した「有価証券上場規程の改正規則」、「決算短信の作成要領」等は、173月末日以後に終了する連結会計年度の決算に係る決算短信から適用(四半期も同様)


5.事業承継税制の改正で経過措置を手当て

H29年度税制改正で事業承継税制の改正があり

・納税猶予の取消し事由に係る雇用確保要件
⇒相続又は贈与時の常時使用従業者数×80=××人(切捨)
改正前は切上

・災害等で被害を受けた会社について
雇用確保要件等を緩和又は免除するセーフティネット規定が措置。

・贈与税の納税猶予を受ける受贈株式について
相続時精算課税制度との併用が可能。
H29.1.1以後の贈与より適用可


6.監査法人のガバナンス・コードが確定

東芝の不正会計問題等がきっかけとなり、大手監査法人の組織的な運営の強化を目的に策定

■内容(概要のみ)
5原則と22の指針で構成
(1)果たすべき役割:社員が能力を発揮できるようトップが動機づけを行うこと
(2)組織体制:組織的な運営のために経営陣の役割を明確化すること
(3)組織体制:組織運営について、外部の第三者に監督・評価させること
(4)業務運営:人材育成、評価報酬に係る方針を策定、運用すること
(5)透明性の確保:原則の適用状況などを文書で開示すること

■適用方法
・法令ではないので、規制・検査・処分の基準とはならない
・コンプライ・オア・エクスプレインの手法を取る
(原則を実施するか、実施しない場合はその理由を説明する)


7.消費税税務相談 通勤手当と仕入税額控除

■消費税法上
従業員等に支給する通勤手当のうち、通勤に通常必要であると認められる部分の金額は仕入税額控除の対象となる。

■所得税法上
通勤手当のうち、非課税限度額を超える部分の金額は給与として課税となる。

QA
Q:所得税法上、給与課税される部分について仕入税額控除できるか?
A:仕入税額控除できる

(解説)
消費税法上、「通勤に通常必要であると認められる部分の金額」は仕入税額控除の対象となる。所得税の非課税限度額を超える部分であっても「通勤に通常必要である金額」であるならば仕入税額控除の対象となる。
⇒所得税法では「通勤に必要だが給与課税される」部分があることになる


8.最近の事業承継スキーム報道を読み解く②総則6項による否認事案(その1:トステム事案)

■事例
・被相続人(会長)が旧住生活グループ株を資産管理会社に時価で売却。売却収入で金融商品を購入し、資産管理会社へ現物出資。

■効果
・金融商品(投資信託と推定)で、資産管理会社の株式の保有割合を50%以下にコントロールし、株特外しを実施。
 S1S2方式の評価を回避し、大会社として類似業種比準価額にて資産管理会社を評価
 ⇒配当と利益を低くすることにより株価の圧縮が可
 ※株式型投資信託は、株特の判定上、株式として扱われない

■課税庁の否認のロジック
・現物出資など一連の行為は税負担軽減を目的とし、経済的に不合理と判断
 ただし、更正処分の事由は総則6項、相続税法22条の時価による否認=行為ではない
※財産評価基本通達 6(この通達の定めにより難い場合の評価)
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
 ⇒税務上、本ケースの会社を適切に評価する方法が準備されていなかった

■その他
・本件は巷にあふれた手法だが、あまりにも短期間であからさまだったので目についた可能性がある
・財団法人絡みの利益供与問題の調査も同時にされていて、その兼ね合いで本件では争わなかった様子
・過去には、AB社方式という手法で株価を下げ生前贈与をし、行為計算否認による否認をされている。


9.若手会計士が大手事務所から大脱出@オーストラリア

・オーストラリアの会計士事情
・平均的には40代半ばに大手事務所を退職していたが、2017年では30代初めか半ばころに変化
・大手会計事務所は監査業務に集中しているが、会計学専攻の大学院生は監査に魅力を感じていない
・かつて会計は「基準に準拠する業務」であったが、現在は「ビジネスに対する助言を行うこと」に向かっている


10.重加算税と再発防止策

1.重加算税が課されるケース
⇒「事実」の一部、又は全部に仮装・隠ぺい行為を行った場合

2.再発防止策
・経営者が、仮装等を行わない、行わせない姿勢を取ること。
・税務コンプライアンスに関する方針を発信する
・適切な社内監査の実施
・交際費等のルールの明確化
・稟議、決裁フローの明確化
・不正行為に対し、適切に処罰を行う


11.有価証券報告書における経営方針等の記載の追加等に係る開示府令等の改正

■有価証券報告書等への経営方針等の記載の追加(第2 事業の状況)
・名称変更:(現状)対処すべき課題 ⇒(改正)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
・例示:経営理念、ビジネスモデル、経営計画等を記載
・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等があればその内容も記載

■海外募集時の臨時報告書の提出見直し
・発行価額1億円以上かつ本邦以外の地域で開始された株式等の募集
(原状)
・臨時報告書を遅滞なく提出=国内で届出書+海外で臨時報告書の二重手続が必要
・さらに届出書には海外での募集に関する概要を記載する必要あり
(改正)
・臨時報告書に記載すべき事項が、同時期に開示される届出書で記載されていれば、OK


12.粉飾決算防止のための監査役の法的責任と対応策

■監査役の法的責任
・相当な注意を用いたにも関わらず知ることができなかったことを主張・立証しない限り責任を免れない。

■対応策
・会計監査
⇒会計監査人の監査を前提としてその監査の方法と結果の相当性を担うべき責務があるか否かと重点的に監査する。

・業務監査
⇒役割分担に基づき、他の監査役が適正に監査を行うことを信頼して、自らの担当する役割に比重を置いて監査する。
⇒監査による知識・情報を共有して相互に検証する。


13.グループ監査の展開

■国内子会社との連携
(1)重要子会社:常勤監査役を設置し、本社の監査役が四半期毎にヒアリング+毎年代取と意見交換
(2)その他子会社:本社の管理部門所属の者を非常勤監査役として派遣し、監査役連絡会で共有を図る

■海外子会社との連携
原則、2年毎にすべての子会社往査を実施。
内部監査結果や監査報告書を事前チェックしている。
社外監査役も年1回同行

■内部監査部門との連携
4回ヒアリングを実施。内部監査室長の監査役会への陪席も検討。

■会計監査人との連携
十分に連携しつつ、その独立性を確保。問題が生じた際には直ぐに情報交換。


14.平成29.3計算書類注記に関する留意事項

H28税制改正による減価償却方法の変更
⇒法令等の改正に伴う会計方針の変更注記
(1)重要な会計方針に係る注記:H28.4以降取得の有形固定資産には定額法適用の旨
(2)会計方針の変更注記:償却方法を変更した旨および当期への影響額
※取得の有無にかかわらず、(2)は必要

■回収可能性基準の適用
(1)これまでの会計処理と異なることとなる場合(当初判定より上位分類で取り扱う場合)
⇒会計基準等の改正に伴う会計方針の変更注記:
適用初年度期首のDTA、利益剰余金(+その他の包括利益or評価換算差額)に対する影響額

(2)これまでの会計処理と異ならない場合
⇒その他の注記:同指針を適用している旨

■法人税等基準の適用
⇒注記不要(実質的な内容の変更ではなく、会計基準等の改正に該当せず)


15.個人データの漏えい等対応に関する告示の要点解説

2017530日に改正個人情報保護法が全面施行される。
・当該施行に合わせて「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応についても同時に適用される。
⇒対象は「個人データ」
・「事業者における特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応について」は引き続き適用。
⇒対象は「特定個人情報」

・「個人データ」=データベース化した個人情報(整理していないものは該当しない)
・「特定個人情報」=マイナンバーを含む個人情報
⇒改正により、漏えい等の対象が広がった。

・両対応についても漏えい等が発覚した場合に講ずべき措置に大きな違いなし。
⇒「拡大防止」「原因究明」「再発防止策」「個人情報保護委員会等への報告」等


16.今3月期決算の実務ポイント 租税特別措置法関連

・中小企業者等で、取得価額30万円未満の減価償却資産を全額損金算入できる制度
 ⇒ 中小企業者のうち「従業員数1,000人以下」に限定。

・生産性向上設備等の特別償却または特別控除
 ⇒ 平成29331日で廃止

・(相続税)非上場株式評価方法を見直し
 ⇒ 上場会社の株価に、直近2年間平均を採用できるように
 ⇒ 連結決算を反映
 ⇒ 配当:利益:簿価純資産=1:1:1に


17.常勤監査役

・株式上場にあたって、常勤監査役1名を含む2名以上の監査役の選任が必要
・少なくとも直前期の1年間の監査役(会)の監査実績が審査の対象
⇒監査計画の策定、監査の実施や取締役会への参加、監査調書の作成など、監査役監査の体制の整備・運用

・直前期の期首までには常勤監査役の選任を終えることが望ましい。









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