2018年3月30日金曜日

3/30 勉強会:平成30年3月期の税務申告のチェックポイント 他

1.国外財産調書制度に係る加重措置の適用可否で初裁決

■国外財産調書制度とは
・12月末時点で5,000万円超の国外財産を有する居住者に対して
翌年3月15日までに国外財産の種類、数量、価額等を記載した
国外財産調書の提出を義務付けるもの
・期限内に調書の提出がない場合又は期限内に提出された調書に記載のない
 国外財産に係る所得税の申告漏れが生じたときは5%の加算税

■裁決事例
【前提】
(1)納税者は平成26年分の所得税について法定期限内に確定申告書を提出していた
(2)納税者は国外財産調書は提出していなかった
(3)納税者は平成27年8月31日に自主的に修正申告書を提出した
(4)納税者は平成27年9月14日に修正申告書の基因となった国外財産調書を期限後提出した

【争点】
・原処分庁は国外財産調書の提出がない場合の加重措置を適用し過少申告加算税の賦課決定処分を行った
・納税者は修正申告書に加重措置は適用されないと主張した

【裁決】
・加重措置を適用した過少申告加算税の賦課決定処分は適法
⇒国送法6条4項は国外財産調書が提出期限後に提出されたことを前提として、
 それ以後に修正申告の提出があった場合の取扱いを定めたもので、逆の場合は同項の適用はないと解釈
⇒つまり順番が大事!(4)国外財産調書の期限後提出、(3)自主的修正申告の順であれば加重措置回避できた




2.再編税制「その他所要の措置」の内容は

■「その他所要の措置」とは
・今回の税制大綱…組織再編関連での改正が並ぶ中、「その他所要の措置を講ずる」旨記載があったが、今回その内容が明らかになった。

■内容=全部取得条項付種類株式や株式併合:金銭交付でも適格株式交換に
・税法:適格株式交換等の対価要件の例外を複数列記
(従来の例)
・買い取り請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産
・一定数以上の株式を保有している親会社が株式交換する際、他の株主に交付される金銭その他の資産
など
⇒限定列挙されたもの以外の対価によるものは非適格とされる。

(改正)以下が追加
・全部取得条項付種類株式の取得、株式併合の場合で端株に対して交付された金銭




3.法人決算業務契約の途中終了で報酬額は

■事例
・法人との間に顧問契約あり
・H26年決算業務は途中で終了し決算書を作成していない。
・決算業務を途中で終了したのは法人からの連絡が途絶えたから
・税理士が決算業務報酬として58万円を請求(決算業務を遂行した割合に応じた相当額)

■判決
・税理士が勝訴
【理由】
(1)法人と税理士は決算業務報酬額に関する合意をしていた
(2)税理士はH26年決算業務の98%を遂行
(3)決算報酬はH17年~24年までは50~60万程度であり、法人も支払っていた
⇒従来の請求額と比較して不相当な額とはいえない
⇒決算業務の途中終了について税理士には責任はない※

※民法648号3項
委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる





4.新固定資産税の特例措置

税制改正により平成32年度までの3年間に限り投資した機械設備等の固定資産を1/2から最大0になる。
施行時期:国会の審議状況によるが「公布の日から3か月を超えない範囲内で」

■(旧)中小企業経営強化法 ⇒ (新)生産性向上特別措置法への変更
・平成31年までは両制度が併存する。
・旧制度は固定資産税の課税標準が1/2が限界だったが、新制度は1/2~最大0

■固定資産税の特例措置を受けるためには?
・設備導入促進計画を国に認めてもらう事
・市区町村の条例に定められていないと特例措置を受けられない
・また対象設備も市町村ごとに異なっている為注意が必要で条例の公布を待つ必要がある。
(⇒3月末頃を目途に全国の市町村が制定した条例を中小企業庁のHP上にUPする予定との事)

■設定のハードルは?
・先端設備導入計画の認定は経営力向上力計画は申請書2枚のみ
・法令の要件さえ整っていれば認定を受けることができる。

■新制度の施工日前に取得した設備の取扱いは?
・対象外なので注意。
・現行の制度では認定前に取得していても取得日から60日以内に経営力向上計画が受理されれば軽減措置を受けることができる。





5.検針日基準の代替的な取り扱いは容認せず

■電気事業及びガス事業における検針日基準に代替的な取り扱いを設けず
→新しい収益認識会計基準は、基本的に収益を見積り計上することが原則
→検針日基準を認めた場合には、他の業種から例外的な取扱いの追加の要望を受けることが懸念されるため。
→ASBJは、今後実務上見積が困難であれば再検討することも考慮するとしている。

■売上高又は使用料に基づくロイヤリティも代替的な取り扱いはなし。
→現行実務上、一定の場合には現金主義での収益認識が認められている。
→新しい収益認識会計基準では、現金主義での収益認識ができない。
→現金主義での収益認識を容認すれば、比較可能性を損なわせる可能性があるため。
→ASBJは、今後実務上見積が困難であれば再検討することも考慮するとしている。





6.審査事例:歯科矯正治療費に係る事業所得の総収入金額計上時期

■質疑応答事例による回答
<いわゆる治療基本料金の取り扱い>
(1)矯正装置の装着など一定の役務提供を行った時に基本料等の全額について請求し
受領することとしている場合⇒その役務の提供を完了した日
(2)期間の経過または役務の提供の程度等に応じて所定の基本料金等を受領することとしている
場合⇒その期間が経過した日またはその役務の提供を了した日
(3)(1)(2)以外
イ.支払日が定められている場合⇒支払日
ロ.支払日が定められていない場合⇒支払を受けた日
ハ.支払日が矯正治療を完了した日後とされている場合⇒治療を完了した日

■事例
A歯科では治療を希望する者に対し、治療費の振込先・治療費総額が記載された
書面を交付している(請求書との認識はない)。この場合、収入の計上時期はいつか?

書面が「請求書」にあたる場合⇒一定の役務提供を完了した日に計上
書面が「請求書」にあたらない場合⇒支払を受けた都度計上




7.電子申告義務化 PDFデータ対応の範囲は現行どおり

H32年4月1日以後開始事業年度より、
資本金1億円超の大法人は法人税と消費税等の電子申告が義務化される
すべての申告書と添付書類が対象で、
原則電子データで提出し、一部の書類はCSV形式やPDFデータで提出することができる。

PDFデータで容量が大きくなる場合は、
光ディスクで提出可能となるように法改正も見込まれている。




8.仮想通貨/活発な市場

仮想通貨の処理は「活発な市場」の有無で処理を分けている
「活発な市場」がある場合
・市場価格をBS価額とし、差額は損益とする
「活発な市場」がない場合
・取得価額をBS価額とする
・期末時点の処分見込価額が取得原価を下回る場合処分見込価額をBS価額とし、差額は損失とする

「活発な市場」の判断基準
⇒継続的に価格情報が提供される程度に、十分な取引量、取引頻度があること
2018/4月以降開始の期から適用だが、早期適用可能なので2018年3月期からの早期適用がありえる。





9.平成30年3月期の税務申告のチェックポイント~役員報酬~

(1)支給総額が同額である、源泉税額等の控除後の手取り額が同額であるか
(2)やむを得ない事情を除き、期首~3ヶ月以内の改定
※申告延長の場合、当期首からその指定された月数に2を加えた月数を経過するまで
(3)期中に減額改定が行われている場合、税務上認められる業績悪化改定事由、臨時改定事由に該当するか
(4)増額改定が過去に遡及して一括で払われる場合、遡及増額分を全額否認しているか
(5)出向法人で役員の場合、出向元に対して支払う当該役員に対する給与負担金について、
出向先で総会等の決議があり、出向契約で予め期間、金額が定められているか。
また、支払われた負担金は、定期同額または事前確定届出の要件を満たしているか。
(6)事前確定届出給与に該当する場合、届出が期限までに提出済みか
(7)業績連動給与に該当する役員退職給与で、H29.10.1以降に決議があったものは(※)、
業績連動給与の損金算入要件を満たすものを除き損金不算入にしているか
※決議が無い場合は、H29.10.1以降に支給されたもの





10.支配獲得時の資本連結

■主な資本連結
・投資と資本の相殺消去
・のれんの計上
・非支配株主持分の計上
■みなし取得日・売却日の取り扱い
・支配獲得日が子会社の決算日以外の日である場合、当該日の前後いずれかの決算日に支配獲得(株式の売却等)が行われたとみなして処理できる
■決算日の異なる子会社を取得した場合の取り込む財務諸表の範囲に関する留意点
・子会社の決算日と連結決算日の差異が3ヶ月を超えない場合=子会社の正規の決算を基礎として連結決算可能
(のれんの償却開始時期)
・原則=支配獲得日・・・子会社のPL連結期間と一致
・例外(親3末、子12末決算で4月末に100%取得)
(1)みなし取得日4/1・・・2Qからのれん償却(1QではPL取り込まない)
(2)みなし取得日6/30・・・3Qからのれん償却(1Qおよび2QではPL取り込まない)





11.外国子会社から受けた配当の益金不算入についての留意点

■ポイント
 (1)配当等の額の95%を益金不算入としているか
 (2)配当に係る外国源泉税額を損金不算入としているか

■対象となる外国子会社
内国法人が25%以上※を配当基準日以前6ヶ月以上から継続して保有している外国法人
※株式数か議決権数かいずれか高い方の割合
※租税条約で緩和されている場合は、その割合(日豪間は10%)

■外国子会社の配当が損金算入されている場合、受けた方も益金不算入の対象外となる



12.外国税額控除

外国税額控除のチェックポイント

①外国税額につき税額控除または損金算入のいずれを選択するか確認したか
⇒外国税額につき、損金算入を選択した場合、外国税額の繰越控除余裕額または繰越控除限度超過額はすべて打ち切られることに留意。

②外国税額控除を選択する場合、控除対象外国法人税はすべて加算(社外流出)調整が必要

③外国子会社配当の益金不算入規定が適用される配当金に係る外国源泉税は外国税額控除の対象とならない

④外国子会社配当の益金不算入制度が適用される配当がある場合、
配当等の5%相当額を国外所得金額に算入し、残額を国外所得金額から控除する

⑤過年度からの控除限度超過額ないし控除余裕額を当期に充当する場合、
古いものから先に充当し、同じ年に発生したものは国税⇒道府県民税⇒市民税の順に充当する




13.交際費の税務申告時チェックポイント

(1)税務上の交際費に該当するが、交際費以外の勘定科目で処理されているものの有無の確認
 「有」の場合、損金不算入額の計算対象に含めているか
(2)一人当たり5千円以下の少額飲食費(社内飲食費は除く)
 全額が税務上の交際費から除外されているか
(3)一人当たり5千円以上の飲食費(社内飲食費は除く)
 50%相当額が損金算入されているか
 ※中小法人(大法人の完全支配関係があるものを除く)が、
  年額800万円の定額控除限度額に係る規定を適用する場合は、いずれか有利な方を選択適用可能。
(4)上記(2)、(3)を適用する場合、一定書類の保存がされているか
 飲食等のあった年月日、参加人数等の一定の事項を記載した書類の保存が必要
(5)税抜経理方式を採用している場合
 交際費に係る控除対象外消費税額が発生した時に、交際費等の支出額に含めているか
(6)その他
・5千円以下か否かの判定時の金額
 税込経理方式は税込金額で、税抜経理方式は税抜金額で判定
・接待時の移動に要する交通費等
 する側  ⇒税務上の交際費に含める(接待等がなければ支出されなかった費用も含むため)
 受ける側 ⇒税務上の交際費に含めない





14.今3月期決算の実務ポイント 税務

・研究開発税制
 ⇒ 増加型を廃止、総額型に
 ⇒ 2年間の時限装置で控除率の上乗せあり
 ⇒ 「新サービス研究」を対象に追記

・所得拡大促進税制
 ⇒ 中小企業者以外の要件が厳格化(前事業年度の平均給与等総額を超えていること⇒前事業年度比2%以上増加)
 ⇒ 税額控除率は10%から22%に

・営業権の償却
 ⇒ 月割計算に変更



14.公開申請に伴い発生する費用

(1)証券取引所
1.上場審査料
東京証券取引所200万円、その他100万円

2.上場手数料
取引所/定額/変動
東京/1部1,500万円、2部1,200万円/株式数×価格×(公募:万分の9、売出:万分の1)
マザ/100万円/株式数×価格×(公募:万分の9、売出:万分の1)
ヘラクレス/400万円/上場時の時価総額により25万円~1,300万円
大阪/500万円/1単位(※)につき30円(上限1,500万円)
名古屋/300万円/1単位(※)につき26円(上限1,700万円)
JASDAQ/600万円/上場株式数により72万円~132万円

(※)投資単位が50万円とみなして次の計算により算出した調整後の上場株式数
投資単位調整後上場株式数=上場株式数×(実際の投資単位÷50万円)










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2018年3月23日金曜日

3/23 勉強会:資本政策のスケジューリング 他

1.IFRSを適用して新規上場した企業の減損テスト

減損テストの回収可能価額をどのように算定しているか?
■すかいらーく
・のれんのみ
・回収可能価額は使用価値にて算定
・使用価値=原則5年の事業計画の割引後CF

■コメダホールディングス
・のれんのみ
・回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値にて算定
・公正価値=3年以内の事業計画の割引後CFに事業の継続価値を加味

■スシローホールディングス
・のれんと、耐用年数を確定できない無形資産(企業結合により認識されたブランド)
・回収可能価額は使用価値にて算定
・使用価値=翌連結会計年度の事業計画を基礎+割引後将来CF

■プレミアグループ
・のれんと、耐用年数を確定できない無形資産(事業運営ノウハウ等の顧客関連資産)
・回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値にて算定
・公正価値=マルチプル法で算定




2.役員退職給与適正額の算定に平均功績支給倍率1.5倍を適用

■争点(死亡退職慰労金の支給額…4.2億円は妥当)
・会社側:内規に基づく算定額4.2億円を支給(功績倍率6.50)
・国税側:類似法人の平均功績倍率による2.1億円が妥当(功績倍率:3.26)

■判決(東京地裁)
・平均功績倍率からのかい離を考慮して、平均倍率の1.5倍までを退職給与の相当額とする

■「1.5倍」の根拠
・従来もっとも多く支持されてきた平均功績倍率法を機械的に適用することへの疑問
・裁判所の肌感覚にすぎない(理論的根拠なし)

■問題点
・限度額のバーを平均倍率の1.5倍としたことに明確な根拠なし
・類似法人の選定が売上金額の倍半基準で国が選定した5件の類似法人をそのまま認めている




3.仕入税額控除で地裁が裁決と異なる解釈

■消費税の課税仕入れの区分
(事例)
・販売用の目的で建物を取得
・取得時点では住宅の貸付け等の用に供している

■裁決(H24.1/19 大阪国税不服審判所)
・課税仕入れ等を行った日の状況で判定
・課税仕入れの目的、課税仕入れ等に対応する資産の譲渡等の内容を勘案
⇒取得時点で賃貸の用に供しているから共通仕入と判定

■判決(H25.6/26 さいたま地裁)
・課税仕入れ等を行った日の状況で判定
・最終的に課税資産の譲渡等のコストになるものは課のみ仕入
⇒本件は、取得時点で賃貸契約を結んでいたため共通仕入と判定
⇒最終的に販売するのであれば課のみ仕入と判定される可能性も…

■業界の動向
積水ハウス:27年1月期から29年1月期までの3事業年度分を修正申告
ムゲンエステート:不服申し立てを行う予定





4.疑似ストックオプションを巡る税賠訴訟で税理士側が敗訴

■疑似ストックオプションとは?
本来のストックオプション:自社の株式を予め決めた値段で購入できる権利
疑似ストックオプション:ワラント(新株引受権付社債)を発行しワラント部分をストックオプションとして付与

■本件の概要
1、A社がB社に対して分離型新株引受権付きの社債を発行
2、A社がB社から新株引受権の部分だけを買い戻す
3、2の新株引受権をA社の代表取締役である納税者へ付与、平成15、16年にその権利を行使
4、納税者は税理士に行使した年分の確定申告を依頼、給与所得として申告書を提出
5-1納税者は平成26年に破産し手続き開始
5-2破産管財人(本件の原告)は平成15、16年に行った確定申告は課税関係が発生しないにもかかわらず給与所得として申告したことは善管注意義務違反であるとして訴訟提起

■権利行使時に課税関係が発生するか否か?
所得税法施行令84条第4項にある「有利な発行価格により新株を取得する権利」が疑似ストックオプションの課税関係を生じるのかどうか?(同法施行令84条は平成18年に改正)
⇒ストックオプションは譲渡性がない=付与時に経済的利益を観念する事が困難である為、行使時にしている。⇒一方、本件は第三者から買い戻したものを付与している=譲渡性があり市場価値があった。
⇒所得税法施行令84条の適用を認める合理性がないと判断された。

■税理士の善管注意義務違反があったかどうか?
1、16年分の確定申告資料に「新株引受権付社債」と記載された調書を添付している
2、所得の内訳に「ワラント行使」「新株引受権等行使」と記載していた
3、疑似ストックオプションという言葉は知らずとも本件の概要はわかっていた、文献もあったと述べていた
⇒適正な申告を行うべき義務に違反した・・と判断された。

■結果
原告側の主張を認め、3600万円の損害賠償を命じる判決を下した。現在、被告は控訴中





5.収益認識注記は重要な会計方針に含めず

■収益認識会計基準の適用時期
→2018年1月1日以後に開始する事業年度から早期適用が認められている。
→2021年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用。

■早期適用段階では、注記事項は必要最低限とし、強制適用時まで注記事項は定めない。
→具体的には、「顧客との契約から生じる収益については、企業の主要な事業における主な履行義務の内容及び企業が当該履行義務を充足する通常の時点」を注記。
→有用性とコストの評価を十分に行うことができないため、早期適用段階では重要な会計方針の注記には含めず、個別の注記として開示することとした。


【収益認識の代替的な取扱い、金額に関係なく適用可】
■収益認識会計基準では、期間がごく短い工事契約及び受注製作のソフトウェア、出荷基準などの取扱いなどで代替的な取り扱いが認められている。
→代替的な取扱いを適用する際には、個々の項目の要件に照らして適用の可否を判定する必要であるが、金額的な影響を集計して重要性の有無を判定する要件は設けないこととした。





6.法人税:業績連動給与_中途退任者等の取り扱い

■業績連動給与の主な損金算入要件
・「利益の状況を示す指標」等を基礎に算定されていること
・有価証券報告書等で「客観的な算定方法の内容」等が開示されていること
・指標の数値が確定してから金銭や株式を一定の時期までに交付等していること

■「中長期」の指標を基礎に算定する場合に中途の退任や死亡退任があった場合
⇒有価証券報告書等において開示等しておけばよい

(記載例)
評価期間中において役員が退任した場合
⇒○年○月期の業績確定を待って、通常の算定方法に基づき算定した個別支給株式数及び
個別支給金額を評価期間中の在任月数を48で除した数を乗じて調整のうえ、○年○月に
支給します。

などと記載する

■交付期日要件
金銭については指標の確定日(=退任日)の翌日から1か月以内、株式であれば退任日の
翌日から2か月以内に交付等しなければ損金算入が認められないことに注意




7.固定資産税特例 認定支援機関による計画の事前確認を義務化

H30年度改正で創設される、
中小事業者等が取得した機械装置等の固定資産税を、
3年間、最大ゼロまで軽減できる固定資産税の特例

年率3%以上の労働生産性の向上が見込まれるかが論点になるが、
その事前確認として、「認定経営革新等支援機関」である税理士等に事前確認が義務付けられる。
⇒本当に向上が見込まれるか、外部機関の確認が必要であるため。




8.会社補償とD&O保険

・2月に公表された会社法制の中間試案に、「会社補償」と「D&O保険」の整備が記載されている
 ⇒会社がD&O保険に加入するための手続などが明記された
・会社補償:役員が職務執行のために過失なく損害を受けたときは、会社に対して賠償請求できる
・D&O保険:賠償額の填補を目的とした保険
・現行ではいずれも利益相反取引に該当し、会社による厳格な規制が適用される
 ⇒会社法で適切な規程を設けて運用する必要ありとされた
・D&O保険は免責事由や免責金額による制約があるので、外国から役員を招く会社等、
 D&O保険と会社補償の両方の制度を用意している会社もある




9.税効果会計及びマイナス金利の実務ポイント

・税効果会計基準一部改正案(現在、案を公表し、パブリックコメントを募集中)
 ⇒ 国際会計基準表示区分をすべて非流動区分に表示(繰延税金資産は投資その他の資産、繰延税金負債は固定負債)
  ⇒ 評価性引当額を、「税務上の繰越欠損金に係るもの」「その他」に区分しで注記する
 ⇒ 繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を回収可能と判断した理由を注記する

・マイナス金利の扱いについて、当面の取り扱いとして「マイナスをそのまま利用」「ゼロを利用」いずれも選べる、を延長。





10.資本政策のスケジューリング

大きく以下の4つの時期に分けて考えることができる。
(1)オーナー一族の持株調整期
⇒資本政策の開始時点で、もっとも安価に増資あるいは株式を移動できる期間
⇒主目的は、オーナー一族の持株を増加させることであり、
 以降のステップで外部株主が参入してくるのに備えることである。

(2)役員・従業員の持株調整期
⇒ある程度上場の目処がついてきた段階
⇒株式保有の方法として、従業員持株会やストック・オプションなどの インセンティブ・プランを導入

(3)安定株主の持株調整期
⇒金融機関・取引先等の外部株主を参入させ、上場後の安定株主作りを行う期間
⇒割当先および株数は、将来を見据えて、取引関係、営業上の支援等を考慮して決定

(4)発行済株式数の調整期
⇒株式上場が近づいてきた時点で最終的に申請時の発行済株式数を調整するための期間
⇒株式分割などにより発行済株式数を調整













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2018年3月19日月曜日

3/16 勉強会:資本及び利益剰余金の双方が配当原資、税務上の取扱いは 他

1.資本及び利益剰余金の双方が配当原資、税務上の取扱いは

・原告法人が完全支配外国子会社から資本剰余金と利益剰余金をそれぞれ原資とする
 剰余金の配当を受けた
・原告法人は利益配当を益金不算入、資本配当を損金(関係会社株式評価損)に算入した
・国側は資本配当と利益配当は効力発生日が同日であることから全額が資本の払戻しに該当するとした

⇒裁判所は、資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当は資本の払戻しとした国側の主張を認めた
⇒一方、資本積立金がマイナスで配当をした本件において法令(資本部分の払戻しに係る株式に対応する部分の金額の
計算方法の規定)は無効とし国側が全面敗訴した



2.企業結合で識別されたのれん以外の無形資産

■企業結合
×「多額ののれんが発生する」=時価評価BSと取得対価との差額がのれん
○「識別可能な資産負債・のれん以外の無形資産へ配分したあとの残りがのれん」
⇒国際的には後者が主流、日本ではまだのれんにスポットライトが当たる状況

■事例研究
(1) IFRS任意適用会社に多い「のれん以外の無形資産」
・顧客関連(カスタマー・リレーションシップ、顧客基盤等を含む)
・商標権(販売権、ブランドを含む)
・技術関連資産(テクノロジーを含む)
・仕掛研究開発
・その他(契約関連資産、ライセンス、フランチャイズ権等)

(2) 償却年数(ソフトバンクの事例)
・無線設備にかかるソフトウェア:5~10年
・その他のソフトウェア:3~5年
・テクノロジー:8~20年
・顧客基盤:4~24年
・有利なリース契約:7~23年
・商標権(耐用年数を確定できるもの):8~34年
・周波数移行費用:18年
※その他、耐用年数を確定できない無形資産も多数計上



3.有償支給取引、買い戻し義務の有無で判断

■収益認識会計基準案
・有償支給取引に関する取扱いを草案から変更
⇒買い戻し義務の有無により、支給品の消滅の認識に違いあり
⇒買い戻し義務の有無に関わらず、支給品の譲渡に係る収益は認識しない

■買い戻し義務あり(加工された製品の全量を買い戻すことを支給時に約束している場合等)
・支給品の消滅を認識しない
・支給品の譲渡に係る収益を認識しない
⇒支給先は支給品の支配を獲得していない
⇒ただし、支給元での在庫管理は実務上困難なので、個別財務諸表で消滅の認識をすることを認める

■買い戻し義務なし(実態判断)
・支給品の消滅を認識
・支給品の譲渡に係る収益を認識しない
⇒譲渡収益と最終製品販売による収益の2重計上を回避するため

■仕訳例(買い戻し義務ありの場合)
・支給品(簿価800円)を1000円で有償支給し、1200円で買い戻す場合
<支給時>
(未収入金)1000 (有償支給取引に係る負債)1000
<買戻時>
(有償支給取引に係る負債)1000 (買掛金)1200
(棚卸資産)200




4.所得税・消費税の審理事例Q&A

■生保会社の誤りにより増加した税負担等を補填する為に生保年金受給者に支払われる補てん金の課税関係
⇒不法行為等の突発的な事故により受けた損害賠償は非課税
■司法修習生に対する経済的支援は何所得?
⇒雑所得、支払者である最高裁と司法修習生には雇用関係等はない。また、どの所得にも当てはまらないため

■産後ケアセンターへの入所費用は医療費控除の対象となるか?
⇒対象にならない。医師や助産医の診療、分娩介助を受けるための施設ではないため。

■市区町村長が交付した「障碍者控除対象認定書」に遡及して認定を受けた場合
⇒更正の請求期限は5年の為注意。5年以上前に遡って請求する事は出来ない

■非居住者になる者の確定申告期限
⇒国内に住所を有しなくなった後に、納税管理人を通じて「納税管理人の届出書」を税務署へ提出。
この場合の納税期限は、「国内に住所を有しなくなった」=「出国」の時までに納税しなければならない

■土地および建物を一括譲渡した場合の対価の額の区分
・土地建物の内訳が明らかになっていない場合の取扱い(合理的な区分と認められるかどうか)
⇒相続税評価額又は固定資産税評価額にて区分
⇒通常の取引価格、取得価格の比により区分する方法
⇒不動産鑑定業者の鑑定評価額(鑑定評価額が合理的であると認められた場合のみ)




5.所得税・消費税の審理事例Q&A

<所得税法>
出国する場合の準確定申告と納税管理人の届出
Q:確定申告義務を有する居住者が、国内に住所及び居住有しなくなった後に、納税管理人を通じて税務署長に「納税管理人の届出書」を提出した。この場合、当該居住者の確定申告書の提出期限はいつとなるか。

A:「出国」の時までに確定申告書を提出しなければならない。 
 →所得税法上の「出国」とは、納税管理人の届出をせずに、国内に住所及び居住を有しないこととなることをいう。
 →Qでは、居住者が国内に住所及び居住有しなくなった後に「納税管理人の届出書」を提出しているため、「出国」                               
  後に納税管理人の届出を行っていることとなる。
 →「出国」の時までに確定申告をしないといけないため、期限後申告として取り扱われ、無申告加算税が賦課されることとなる。
 →なお「出国」前に納税管理人の届出を行っていた場合には、申告及び納付ともその年の翌年の2月16日~3月15日の間にすればよいとされている。

<消費税法>
土地および建物を一括譲渡した場合の対価の額の区分
Q:土地建物を一括で譲渡し、売買契約書には、譲渡の対価の総額のみが記載され、内訳は
明らかにされていない。
確定申告にあたり、土地の固定資産評価額を本件土地に係る譲渡の対価の額とし、譲渡対価との差額を建物に係る譲渡対価の額とした場合、当該譲渡対価の額の区分の方法は、合理的なものとして認められるか。
なお建物の対価の額は、固定資産評価額に比して著しく低額となった。

A:合理的とは、認められない。
→課税資産と非課税資産の譲渡対価が合理的に区分されていない場合、資産の譲渡時における課税資産の価額と非課税資産の価額の比により区分することとされている。(消令45③)
 例えば以下の方法により区分されている場合には、合理的に区分されているといえる。
・相続税評価額または固定資産評価額の比により区分
・通常の取引価額または取得価額の比により区分
・不動産鑑定業者の鑑定評価額の比により区分




6.法人税:返品調整引当金経過措置

■平成30年度改正
収益認識会計基準の導入に伴い、返品調整引当金制度が廃止となる

⇒出版業、医薬品関連業界に大きな影響が出る

■経過措置
(1)平成33年3月31日までに開始する各事業年度
⇒現行どおりの損金算入限度額まで適用可
(2)平成33年4月1日から42年3月31日までに開始する各事業年度
⇒現行法による損金算入限度額に対して1年ごとに1/10ずつ縮小した額で適用可

■損金経理要件について
現行法ではいわゆる「損金経理要件」が付されているが、収益認識会計基準では
「返品調整引当金繰入」という仕訳がされないため損金経理要件を満たさないこと
となる。これについては「返金負債の計上」等の処理を「損金経理」をみなして
返品調整引当金の損金算入が認められる予定



7.外国法人に支払うクルーズツアー客のあっせん手数料に係る消費税の内外判定

■事例
・国内旅行業務を行う旅行業者が、訪日客の国内旅行の引受を行っている。
・外国のあっせん業者と契約。
・あっせん業者から訪日客の国内旅行参加者が送られていくる。
・あっせん業者に支払う金額は、「仕入れ税額控除」の対象となるか

■判定
あっせんされて行われる旅行は日本国内での旅行であるが、
あっせんに係る役務提供地は明らかでない。
⇒役務提供地が明らかでない場合、あっせん業者の事務所等の所在地で判断する。
従って、国外取引に該当し仕入税額控除の対象とはならない



8.権利確定付き有償SOの処理

・従来はストックオプション基準の適用範囲か、複合金融商品適用指針の適用範囲か明確では無かった
⇒報酬としての性格を併せ持つのでストックオプション基準の適用範囲とする

権利確定日以前の会計処理
・有償SO付与に伴う従業員等からの払込金額を純資産の部に新株予約権として計上する
・有償SOの「公正な評価額」から払込金額を差し引いた金額を対象勤務期間等に按分して費用計上する
・「公正な評価単価」は付与日で算定し、条件変更の場合を除き見直さない
※権利不確定による失効の見積数を控除して算定する
 失効の見積数が変動すると損益発生
 ⇒新株予約権として計上した払込金額は権利不確定による失効に対応する部分を利益計上する




9.権利確定条件付き有償新株予約権の処理

■前提
・1名あたり20千個で10名に付与=200千個
・付与を決議した日の株価@700円
・権利確定日:4年3月期
・行使期間:4年3月期~6年3月期
・付与日の公正な評価単価は100/個
・払込金額は1,000,000(=100/個×(200千個―190千個))
※この時点では190千個が失効と見積もり

■付与日(1年11月1日)
現預金 1,000,000/新株予約権 1,000,000

■2年3月期、3年3月期
仕訳なし

・株式報酬費用=0=(公正な評価単価100/個×10千個-本新株予約権の払込金額1,000,000)×(5ヶ月÷29か月)
・株式報酬費用=0=(公正な評価単価100/個×10千個-本新株予約権の払込金額1,000,000)×(17ヶ月÷29か月)-2年3月期までの費用計上額0
※執行の見積もりに変化が無ければ変動なし

■4年3月期
株式報酬費用 19,000,000/新株予約権 19,000,000

・業績条件が高くなり、執行の見積を見直し。これに伴い権利確定条件付き有償SOを見直す。
・株式報酬費用=19,000,000=[(公正な評価単価100/個×権利確定すると見込まれる数量200千個)-本新株予約権の払込金額1,000,000)]-3年3月期までの費用計上額0

■5年3月期
仕訳なし(行使無し)

■6年3月期(権利行使)
現預金 140,000,000/資本金 160,000,000
新株予約権 20,000,000




10.決算時に留意すべき評価の実務ポイント

■固定資産に係る減損の兆候に係る留意点
・減損会計基準では、減損の兆候が例示されているが、それだけに限られるわけではない
・画一的に数値化できるものではなく、状況に応じ個々の企業において資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る可能性を示す事象の有無を検討する

■営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合における留意点
(営業活動から生ずる損益)
・当該資産または資産グループの減価償却費や本社費等の間接的に生ずる費用を含める
・営業損益ではないが営業上の取引に関連して生じた損益(例:たな卸資産の評価損)を含める
・大規模な経営改善計画等により生じた一時的な損益は含まれない

(「継続してマイナス」および「継続してマイナスとなる見込み」)
・一定の判断基準はあるものの画一的に数値化できるものではないため、状況に応じ個々の企業において判断が必要
・例えば前期=プラス、当期以降=明らかにマイナスの場合に減損の兆候があると判断すべきこともある

(損益またはキャッシュ・フロー)
・通常、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」ではなく、「営業活動から生ずる損益」が適切であるとされている
・「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」を減損の兆候の判断に採用することは限定的と考えられる

(事業の立上げ時等)
・合理的な事業計画があり、当該計画にて当初より継続してマイナスが予定されている場合、予定していたマイナス額より著しく下方に乖離していないときは、減損の兆候には該当しない
・実務上は投資額が回収不能となる可能性を勘案して判定する必要あり




11.税効果開示に関する改正基準の早期適用にあたってのポイント

■税効果改正基準の適用時期
・開示については、H30年3月期決算から早期適用可
※会計処理に関する基準はH30年4月以降開始会計年度から適用

■表示に関する改正
・(従来)DTA&DTLは流固分類⇒(改正後)DTAは投資その他資産、DTLは固定負債

■注記に関する改正(注記事項の追加)
(1)評価性引当額の内訳に関する数値情報
⇒税務上の繰越欠損金(以下、繰欠)に係る評価性引当額・その他の評価性引当額を区別して記載
(2)評価性引当額の内訳に関する訂正情報
⇒評価性引当額の合計に重要な変動が生じている場合、その主な原因
(3)税務上の繰欠に関する数値情報
⇒繰欠全額を基礎に算出したDTA・評価性引当額・実際に算出した繰欠DTAを記載
(4)税務上の繰欠に関する訂正情報
⇒繰欠DTAに関して、回収可能と判断した理由

■適用初年度の注意
・表示方法の変更として取扱う⇒比較情報について要組替え表示
・表示(または注記)だけ早期適用、はNG

■会計処理に関する改正基準
・未適用の会計処理に関する適用指針等は、「未適用の会計基準」として、適用による影響を注記

■会社法上の扱い
・表示区分の見直のみ改正案あり⇒連結(単体)BSの表示には影響あるが、連結(個別)注記表にはなし



12.組織再編後の最初の決算に際してのポイント

■連結子会社の個別財務諸表
・会計基準の摘要の網羅性
 ⇒小規模で会計監査人非設置の会社の場合、特に留意が必要。
・会計方針の統一
 ⇒棚卸資産の評価方法、固定資産の減価償却の方法等は必ずしも統一を必要としない。
 ⇒連結範囲に含めた時点で会計処理を統一するのが原則であるため、年度末に会計方針を変更する場合は合理的な理由が必要。

■連結財務諸表における会計処理
・のれんの減損
 ⇒取得した年度末で減損処理が必要になる場合、取得時の会計処理を再検討しなければならない可能性がある。

■連結財務諸表上での開示
・企業結合の注記
・連結キャッシュ・フロー計算書注記
 ⇒組織再編の概要及び受入資産及び負債の開示が必要となる。

■内部統制報告
・評価範囲の検討
 ⇒連結売上高等も増加するため、重要な事業拠点の評価範囲の十分性を検討する必要がある。
・評価範囲の制約
 ⇒評価作業が完了しないことに合理性が認められる場合は、評価省略可。



13.株式報酬型ストック・オプションの開示

■会社法決算
①事業報告
・会社役員の報酬額として金額を開示
・報酬の額や算定方法の決定方針を開示
 ※指名委員会等設置会社以外は省略可
②計算書類
・重要な後発事象として開示すべき事項がないかを検討
⇒重要な場合、その他の注記にて開示することも考えられる

■金商法決算
①提出会社の状況
・「ストックオプション制度の内容」にて制度概要を記載
・「コーポレート・ガバナンスの状況等」にて役員の報酬等として開示
②ストック・オプション注記
・財規、連結財規に従い注記を行う
③重要な後発事象注記
・重要な後発事象として開示すべき事象がないかを検討
④1株当たり情報
・潜在株式調整後1株当たり当期純利益の計算において、当該影響を加味する




14.在外子会社等の会計処理に関する当面の取り扱い

・親子会社の採用する会計方針は原則統一するものとされているが、在外子会社がIFRSまたはUSGAAPで財務所要を作成している場合、それを連結決算手続き上、利用することが出来た。
・平成29年3月の改正で、取り扱いの対象が国「内」子会社にも広がった。
 ⇒ 親会社が日本基準、子会社がIFRSを採用するケースに対応するため。
・ただし一部の項目については、子会社の会計処理を修正することが求められる。
 ⇒ のれんの償却、退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理、研究開発費の支出時費用処理、投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価




14.IPOディスカウント

投資家が申請会社株式を購入する際、新規公開時特有の開示情報不足を担保し、
申込から上場までの市況変動リスクを吸収するため、
申請会社株式の想定市場価格に対するディスカウントのこと。

(1)IPOディスカウントを拡大させる要因
・上場直後の既存株式の売却行動など、需給が読みにくい場合
・エクイティ・ストーリー(※)に十分な納得が得られていない場合
・直接比較可能な上場会社が少ない場合
・株式市況の不調が十分にバリュエーションに
 織り込まれていないと懸念される場合など

(2)IPOディスカウントを縮小させる要因
・知名度が高く、ブランドイメージが良好である場合
・エクイティ・ストーリーが十分に浸透している場合
・直接比較可能な上場会社が多数存在する場合
・株式市況が好調に推移しており、バリュエーションに疑問が少ない場合
・収益性、成長性において、他社より競争優位にあることが明確な場合など









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