2018年12月3日月曜日

11/30 勉強会:各会計基準における重要性判断の例 他


1.年末調整 見積額との差異が生じた場合

■問
年末調整後、従業員から「配偶者控除等申告書」に記載した配偶者の合計所得金額の
見積額に差異が生じたとの申し出があった。年末調整はやりなおせるか。

■答
翌年1月の「給与所得者の源泉徴収票」を交付するまでは再年末調整を行うことができる。

なお、「給与所得者の源泉徴収票」を交付済の場合は確定申告により精算する。
また、確定申告により精算することが確定している場合、会社は再年末調整を行わなくてもよい。



2.ふるさと納税の返礼品の取扱い

・ふるさと納税の返礼品は、経済的利益と認識される。
・一時に受け取る収入として一時所得に該当。
 ⇒50万円以下であれば確定申告不要
・返礼品の時価は、市場等で出回っている商品を参考として問題なし
・ふるさと納税した金額(寄付額)は支出した金額に含められない。



3.役員報酬に係る情報開示の拡充

・有報における役員報酬に係る情報開示、拡充の動き
(一連の騒動が起こるより前から)

・下記についてより開示すべき、との議論
 ⇒ 固定報酬と業績連動報酬の構成割合
 ⇒ 業績連動報酬の額の決定要因
 ⇒ 報酬内容と経営戦略との整合性




4.海外子会社を使った循環取引による架空取引

・親会社の管理上、子会社の不正をどう防ぐか。

■状況
・国内外に繊維関連、食品関連等卸売業の10数社の子会社を有する会社。
・S社(中国)、T社(国内)を中心に、共謀会社(香港3社:A社、B社、C社、国内3社:D社、E社、F社)を使った循環取引

■内容
・S社社長が売上を増やすため、A社社長に相談。
・S社がA社へ商品を販売。A社のS社に対する売掛金が滞留する。
・A社の売掛金を共謀会社B、C社に付け替え。
・T社が共謀会社D、E社から仕入。
・T社が共謀会社D、E社から仕入れた商品をS社へ販売。
・T社が、S社から受け取った販売代金で、共謀会社D、E社へ、仕入代金を支払い、その代金がA社に横流しされており、当初のA社の売掛金の回収に充てられた。
⇒この時点で、S社がT社に支払った販売代金が、A社への売掛金の回収代金として循環。

■発覚の経緯
・他事業部の本部長がS社を訪問した際、A社に対する多額の債権が未回収で、S社の資金繰りが逼迫している旨を現地社員から聴取し、S社社長を追及したところ、自白。

■不正をさせないための管理上のポイント
<会社側>
・営業部門と管理部門を分離。
・基幹会計システムを統一し、販売状況等の月次比較分析。
・複数の事業部による、相互牽制。

<監査人側>
・子会社のビジネスを理解し、重要な虚偽表示リスクを評価し、リスク対応手続を実施する。
・関係者へのヒアリング。
・倉庫等の視察。





5.「重要性の原則」と数値基準

・「会計上の重要性」は極めて重要な概念であるが企業会計原則には、重要性の基準値についてどこにも記載がない
⇒会計監査を受けている企業であれば、監査人と同じ基準値で判断することは合理的
⇒監査における重要性の基準値は複数あるが、最もオーソドックスな算定方法は下記
 明らかに僅少な額=税引前利益×5%×一定の割合 ※一定の割合=2~5%程度




6.各会計基準における重要性判断の例

(1)税効果
・重要性が乏しい一次差異等について、DTA/DTLを計上しないことができる
※(DTA/DTLや)法人税等調整額の金額で重要性判断をしないこと

(2)リース
・所有権移転外ファイナンスリースの借手において、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下なら、賃貸借処理可能(300万円基準)
⇒当基準内の独自の重要性基準

※同様の基準はIFRSリース基準にも(5,000ドル基準)
ただし、どの為替レートをもって測るのかは未規定

(3)退職給付
・小規模企業等(従業員300人未満)では、原則法ではなく間便法を適用可能(300人基準)
・割引率等の計算基礎に重要な変動がなければ(10%未満)、見直し不要
⇒当基準内の独自の重要性基準




7.連結会計における「重要性の原則」

■「重要性の原則」
連結決算は単体決算よりも実務負担が大きいことから、負担軽減策として「重要性の原則」がある。
以下のような連結手続全般に適用される。

・連結範囲の決定
量的側面と質的側面の両面から判断
→資産・売上・利益・利益剰余金への影響を考慮

・決算日が異なる場合の取扱
3ヶ月以内なら仮決算なく、決算を取り込める

・個別財務諸表の修正
子会社の財務諸表が誤っていても連結財務諸表への影響が乏しければ、そのまま取り込める

・債権債務の相殺
親会社の残高を正とした上で、債権債務の相殺可能

■企業会計で用いられる「重要性の原則」との違い
企業会計では簡便な処理を意味し、連結決算では重要な影響がなければ間違っていてもOK
→連結決算の実務負担が単体決算の実務負担よりも大きいことを会計基準が意識しているため。





8.子会社が所有していた親会社株式を売却する場合の会計処理

■親会社に売却する場合
(1)親会社の処理
  取得原価により自己株式を計上
(2)子会社の処理
  通常の有価証券の売却と同様に処理
(3)連結上の処理
  ①子会社において売却損益が計上されている場合
   ⇒内部損益を消去
  ②子会社において売却損益が計上されていない場合
   ⇒特段の処理は不要

■外部に売却する場合
(1)親会社の処理
  会計処理は不要
(2)子会社の処理
  通常の有価証券の売却と同様に処理
(3)連結上の処理
  ・連結子会社における親会社株式の売却損益の会計処理は、
           親会社における自己株式処分差額の会計処理と同様に行う。
  ・親会社株式の売却損益について、以下の処理を行う
   非支配株主持分相当額⇒非支配株主に帰属する当期純利益に加減
   親会社持分相当額  ⇒資本剰余金で処理(資本剰余金が負の値になる場合
   は利益剰余金)





製造業の上場審査

(1)製品の特徴等 
⇒製造業の収益力のポイントに関して、以下の観点を申請書類等で確認。
1.市場の成長性…マーケット規模および今後の拡大要因
2.業界動向…業界及び主要顧客を取り巻く環境ならびに需要動向等
3.競合状況…業界シェア及び同業他社との相違、製品の優位性、製品の効率性

(2)法的規制や業界慣行等
⇒業界に対する法的規制等が実施されている場合には、その内容が上場審査で確認。
⇒弁護士等に事前に相談するなどの検討が必要。

(3)ファブレス型企業
・製造は他社に任せて、企画・開発・販売だけを自社内で手がける企業。
⇒生産委託する理由や委託先における生産能力を上場審査で確認。

(4)内部管理
⇒以下を重点的に上場審査で確認。
1.在庫管理
2.原価計算制度
3.為替リスクの管理(海外に生産拠点をもつ企業が多いため)
























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