2014年4月29日火曜日

4/25 勉強会:消費税:施行日をまたぐ取引の適用税率 他

1.外国法人へ支払った外注費

・販売用のソフトウェアを、海外の会社に制作依頼
⇒製作会社への制作料支払い時に、源泉徴収が必要なケースあり

【源泉徴収が必要なケース】
海外の製作会社に、
・プログラムの書き方に選択の余地あり
・個性を発揮する余地あり
Ex.要件定義以降の工程をすべて製作会社が行うケースなど)
⇒製作会社の著作権が発生
⇒制作料の支払いは、外国法人から著作権を譲受するための支払いと判断される
⇒源泉徴収義務が発生する


2.輸入サービスに関する消費税課税ルールの実務への影響

■課税方法
 ・BtoCの場合
  「課税事業者登録制度」
  国外事業者を日本の税務当局に登録させて、国内の個人にサービス提供した場合には日本の納税管理人を通じて納税を求めるしくみ

 ・BtoBの場合
  「リバースチャージ制度」
  国外事業者は国内事業者に「税抜価格」で販売、国内事業者は国外事業者に「税抜価格」を支払うとともに税務当局に「消費税」を納付するしくみ

 ・BtoCBtoBが混在する国外事業者の場合
  BtoCとみなす方向



3.消費税:施行日をまたぐ取引の適用税率

■施行日をまたぐ取引
 ・328日に仕入れた商品を42日に販売した場合、販売については8%の税率が適用される

 ・329日に予約したレストランで45日に食事をした場合、食事代金には8%の税率が適用される

 ・331日に31日から翌年2月末日までのメンテナンスサービス代金を
  受領した場合(そのサービスが一つの取引と認識されるケース)
  サービス代金には翌年2月末日の税率が適用される


4.小口株主への配当課税強化も

■政府が目指す法人実効税率25%への実現のため財源確保
【受取配当金の益金不算入見直し】
・法人
→持分比率25%未満の場合に見直しの可能性
→現状の益金不算入額
 『(受取配当額-配当を受ける株式に係る負債利子)×50%
⇒計算式に変更の可能性

・個人
→上場株式等の源泉徴収税率」20.315%⇒引き上げの可能性あり


5.ASBJ税効果専門委員会が始動

繰延税金資産の計上に際しては、将来の回収可能性の有無が問題となり、その回収可能性の見積に際しての指針となるのが、66号の「5つの会社分類」である。

・5つの会社区分おさらい
① 期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社等
→ 繰延税金資産の全額について、その回収可能性あり

② 業績は安定しているが、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社等
→スケジューリングの結果に基づき回収可能性を判断

③ 業績が不安定であり、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社等
→将来の合理的な見積可能期間(概ね5年)内の課税所得の見積額を限度として認識

④ 重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等
→原則:翌期に課税所得の発生が確実に見込まれる範囲内。
→ただし書き:将来の合理的な見積可能期間(概ね5年)内の課税所得の見積額を限度として認識

⑤ 過去連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社等
→回収可能性なし

ASBJ税効果専門委員会において、この会社区分に関する議論がなされている。

財務諸表作成会社…廃止すべき、もう少し柔軟に、基本的にこのまま等、幅広い意見。
財務諸表利用者…過去の業績だけではなく将来見通しも含めて柔軟に回収可能性を検討すべき。
監査人…現在のルールを踏襲。


6.法人税:運送業における売上計上基準

■原則(物の引き渡しを要しない請負契約)
⇒運送役務完了時=顧客へ荷物を届けた時に売上計上

■他の売上計上基準の検討
たとえば、事務手数が煩雑であるため、
顧客から荷物を預かった時点で売上を計上する方法は認められるか?
⇒認められる。

運送契約の性質・内容等に応じ、「合理的であると認められる」方法を継続適用すれば可。
運送業界では預かり時点での売上計上が慣行とされており「合理的であると認められる」ため適用できる。

■取引先別に異なる計上基準を適用できるか?
⇒適用できる。

取引先別に異なる売上計上基準を適用することが、「合理的であると認められる」場合には継続適用を要件としてこれが認められる。
(例)
取引先A⇒荷物を預けた時点での請求を要望
取引先B⇒荷物が到着した時点での請求を要望
など顧客の要望に応じて請求書を発行するような場合には取引先別に異なる売上計上基準を用いることができる。


7.法人税:政府税調 減価償却は定額法に統一へ 等

政府税調では実効税率の引き下げを見据えて代替税源の確保のため、以下を検討。
•減価償却の定額法への一本化
•研究開発税制の縮小&恒久化
•中小の軽減税率の見直し
•特定の企業に利用が限られている優遇税制の見直し


8.自己株式の取得

(開示)
・株式の発行、自己株式の処分:1億円以上で開示が必要
・自己株式の取得の場合は金額の多寡に関わらず直ちに開示

(目的)
・自己株式の取得目的
・財政政策:自己株式取得でEPSBPSが向上
・組織再編:M&Aの対価として利用


9.経理財務部員の為の資格ガイド

BATIC(国際会計検定)
 ・試験日:7月、12
 ・1,000点満点。4つのレベルに応じた称号が付与
 ・試験内容:英文簿記、国際会計理論
 ・学習時間:半年かけて週に15時間ほど
 ・IFRS適用に向けて注目度高い

USCPA
 ・試験日:1,2,4,5,7,8,10,11月から自由に選択
 ・試験内容:4科目で各科目75
 ・IFRS適用に向けて注目度高い

③ビジネス会計検定試験
 ・試験日:9月、3
 ・試験内容:1級は財務諸表含む会社情報を総合的に分析
 ・会計知識全般を網羅して習得でき、すぐに実践的に生かせる資格

④ビジネス実務法務検定試験
 ・試験日:6月、12
 ・試験内容:民法、労働法、商法、会社法等
 ・学習時間:2級までは半年かけて週に12時間ほど。1級はもっと
 ・ビジネスパーソンには不可欠の法律知識を習得できる


10.海外子会社の決算早期化

①現地経営陣のコミットメント
⇒海外はトップマネジメントが主流のため、CEOCFOのコミットメントと彼らからの明確なメッセージが大事

②積極的かつ建設的に親会社からの協力を引き出す
⇒ツールや関連情報の提供を能動的に親会社に依頼する

③祝日などへの対応はコスト増が不可避
⇒各国の祝日や長期休暇と決算が重なることを事前にコストとして織り込んでおく

④経理能力のレベルアップ
⇒外部コンサルタントの利用も1つの手

⑤現地会計監査人との調整
⇒税金費用計算の計算に時間を要するため、決算月の前月に仮決算を行い、
最終月1ヶ月はロールフォワードで取り込むことも検討



11.生産性向上設備投資促進税制の適用に係る特別償却の対応

■上記の税制では固定資産の特別償却か税額控除が選択適用可能
 ⇒固定資産の特別償却(一時償却)を行う場合の会計処理

■具体例
 <前提条件>
 ・1,200円の機械を当期中に取得した
 ・税務上の特別償却限度額1,000(積立金方式)
 ・翌期以降200ずつ取崩し、当該取崩額を課税所得に加算
 ・法定実効税率40

 <決算仕訳>
 ・1年目
   法人税等調整額 400 / 繰延税金負債  400
   繰越利益剰余金 600  /  特別償却準備金 600

 ・2年目以降
   繰延税金負債  80  / 法人税等調整額  80
   特別償却準備金 120 / 繰越利益剰余金 120

■ポイント
 ・税務上は全額償却が認められても企業会計上は認められない
  ⇒積立金方式で税務上減算することで課税所得を圧縮する
 ・将来加算一時差異が発生するので繰延税金負債の計上が必要



12.オリンパス 今も背負う巨額賠償

・信託銀行6行が、この4月新たにオリンパスを提訴
→損害賠償請求279億円

・金商法では、有報の虚偽記載による損害賠償請求の時効は2年。
この4月がタイムリミット
(時効停止の期間(半年)を含めて、ウッドフォード解任から2年半)のため。

・金額が明らかになり次第、オリンパスの2014年計画に上記損失引当がされる見込。

・オリンパスはこれまでに累計577億円の賠償請求がされており、
そのほとんどが和解に向かっていたところ、今回の追加請求があり。

・金商法の時効は過ぎたが、
「民法上の不法行為」に対する時効は「行為を知ってから3年」

まだ追加訴訟の可能性はあり。





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2014年4月20日日曜日

4/18 勉強会:ネット役務提供の国外事業者に対する消費税 他

1.検証 ヤフー・IDCF事件

(共同事業要件とみなし共同事業要件)
【共同事業要件】
・(50%以下の出資関係時)合併の適格、非適格を判断するための要件
⇒①~⑤を満たすかどうか

①事業関連性要件
②事業規模類似要件
③従業員引継要件
④経営参画要件
⑤取得株式継続保有要件

【みなし共同事業要件】
・(50%超の出資関係時)適格合併があったときに、
繰越欠損金の引継ぎ可否を判断するための要件
⇒①'~④' or ①'、⑤' を満たすかどうか

'事業関連性要件
'事業規模類似要件
'被合併事業の規模継続要件(50%超出資関係の前後で規模を同じに)
'合併事業の規模継続要件(50%超出資関係の前後の規模を同じに)
'経営参画要件

【論点】
・『共同』は、合併直前の資産等を引き継ぐかどうかを判断
・『みなし』は、50%超出資関係発生直前の欠損金を引き継ぐかどうかを判断
 ※50%超出資関係後に発生した欠損金は原則引き継げる

・『みなし』は、50%超出資関係前後で、合併事業の規模が2倍超変動があると、欠損金の引き継ぎができなくなる
⇒現実と税の考え方との違いに注意


2.Q&Aで読み解く単体開示の簡素化

1 対象となる企業はどのような企業でしょうか。
→連結財務諸表を作成する会社のうち、会社法211号に規定する会計監査人設置会社が対象になります。
 また、連結財務諸表がIFRSや米国会計基準によって作成されている場合も対象になります。

2 連結財務諸表を作成しない企業については、開示軽減がなされていますか。
→連結財務諸表の作成がない企業についての見直しは行われていません。

3 単体開示の簡素化とは具体的にはどのような見直しでしょうか。
→①連結財務諸表において十分な情報開示がされている項目について、財務諸表における開示を免除する
 ②会社法の計算書類と開示水準が大きく異ならない項目について、会社法の開示水準に合わせる 等

4 税効果会計に関する注記の免除はありますか。
→税効果会計に関する注記は免除されていません。

5 その他免除されない主な項目はなんでしょうか。
→「重要な後発事象の注記」「継続企業の前提の注記」「追加情報の注記」 「有価証券の注記」 等

6 区分掲記等に関する資産の重要性基準はどのような改正が行われていますか。
→連結財務諸表に合わせて、資産の総額の「100分の1」から「100分の5」に緩和されています。


3.裁判事例:株式差押え後の新株発行に処分禁止効は及ばず

(第二次納税義務の話)
■争点
納付通知書を発した時点の株式の価額はいくらか?
増資は差押処分による処分禁止効にあたるのか?
※なぜ価額が争点となるのか?
徴収法35条によると、第二次納税義務における限度額は、滞納者が所有する株式の価額と規定。
株式の価額は、納税通知書を発する時における同族会社の「資産-負債」÷株式数で計算

■原処分庁の主張
新株発行は、株式の価値を減少させる行為。
よって増資の効果は認められず、増資前の株数とすべきである。

■審判所の判断
株式の価額が減少したのは、増資の結果、発行済株式総数と資産の額に変動が生じた結果にすぎず、株式の処分とはいえない。


4.事業税が「損金不算入」になる可能性

■法人実効税率引き下げの財源として事業税が損金不算入の可能性
【事業税が損金不算入の影響】
・法定実効税率が上昇
→外形標準課税の強化が行われれば影響なし

●現行
法人税率×(1+住民税率)+事業税率/(1+事業税率)

◎事業税の損金不算入が実現した場合
法人税率×(1+住民税率)+事業税率

※外形標準の強化(所得割及び資本割・付加価値割の見直し)が実施されれば法定実効税率に影響なし


5.二重課税裁判、納税者敗訴相次ぐ

■相続した土地の値上がり益の所得課税は二重課税か
○①取得価額100 ②相続時の時価150 ③譲渡時の時価200

A【相続時】
相続時の時価(150)に対して相続税が課税

B【譲渡時】
価値増加(例 200-100100)に対して譲渡所得が課税

①取得価格から②相続時の時価へは相続税が課せられているため所得税は二重課税ではないか(200-150)

○東京高裁⇒二重課税ではない
【判断理由】
  相続税の課するべき価値の移転と所得税の課する価値の増加分との性質が異なる
⇒現時点で最高裁へ結論は委ねられる。


6.IPO関連:新規上場会社分析

サイバーダイン㈱ (326日)
市場:マザーズ
事業内容:
医療・介護福祉・生活支援分野等で活用される
ロボットスーツの研究開発・製造・販売及び製品を利用したサービスの提供。
備考:筑波大学発のロボット開発ベンチャーで、代表者は筑波大学の現役教授。

今回の上場で特徴的なのは、持株比率と議決権比率である。
同社は普通株とB種株の2種類を発行しており、普通株が100株1単元なのに対し、B種株は10株で1単元。すなわち、B種株は10倍の議決権を持っている。
そのB種株のほとんどを代表の山海氏が保有しているため、保有割合が持株ベースで49%なのに対し、議決権ベースでは9割近い水準となる。
このような手法はグーグルやフェイスブックでも用いられているが、今後、日本でも増える可能性があります。


7.決算着眼点 広告宣伝費編

①損金算入時期に広告掲載(雑誌・テレビ・インターネット)
⇒広告掲載日に費用計上(掲載日前に支払っている場合は前払い処理)

②資産計上か
<ホームページ制作費用>
⇒一般的には当期の費用となるが、プログラムが組み込まれている場合はソフトウエアとして資産計上。

CM用フィルム>
⇒資産計上し原則2年で償却。
ただし特定の商品をPRするものである場合は取得時に損金とできる。

③広告宣伝用資産を贈与した場合
贈与側⇒繰延資産として資産計上
受贈側⇒経済的利益が30万円超の場合は受贈益として収益計上


8.消費税:ネット役務提供の国外事業者に対する消費税

現在消費税が課税されていないインターネットを通じて国内に役務を提供する国外事業者に対して、消費税を課すことを検討している。

■趣旨
•国外事業者によるネット役務提供は、国内で消費されているものであっても税関を通らないため輸入消費税を課すことができない。
•競合するビジネスを行う国内事業者が、競争上不当に不利な現状を是正する必要がある。

■課税の方法(政府税調による検討)
①国内の利用者がフィーを支払う際に消費税相当を差し引いて支払い、国外事業者に代わって納税する。
[リバース チャージ方式]

②日本にネット役務提供を行う海外事業者に、日本の消費税の確定申告を義務づける。
[国外事業者申告納税方式]

①はB to B 向き。②はB to C 向き。と、ビジネスの性質に応じて使い分ける案が検討されている


9.重要な後発事象

・決算日後に発生する、決算に重要な影響を及ぼす事象
・火災等による損害、増減資、多額の社債発行、合併、事業譲渡、係争事件、取引先の倒産、株式併合・株式分割等
・重要な後発事象の注記と継続企業の前提に関する注記については、単体開示簡素化の対象外とされた
 ※極めて重要な情報なので連結と同じ内容でも免除しない


10.経理・財務業務に役立つビッグデータ

(1)ビッグデータ
= 収集・記憶・管理・分析が困難なサイズのデータ

(2)ビッグデータ活用が脚光を浴び始めている
・情報のデジタル化により分析容易性が向上
・分析技法の一般化、簡易化
・経営者の意識変化

(3)主な活用先
・予算の作成
・業務見通し作成


11.会社法改正

・今年の通常国会期間中(2014/6/22まで)に成立見込み
・主な改正項目
 ①監査等委員会設置会社制度の創設
  ⇒監査役は置かない
  ⇒代わりに監査等委員会(3人以上の取締役、過半数社外)を設置

 ②社外役員の社外要件の見直し
  ⇒親会社等の一定の関係者、子会社等の一定の関係者、取締役等の一定の親族は社外役員とは認めない
  ⇒その会社・子会社の役員退任後10年経過すれば社外としてOK
(現行は過去になったことがある場合ダメ)

 ③特別支配株主(※1)の株式等売渡請求制度の創設
  ※1総株主の議決権の90%以上を有する株主
  ⇒特別支配株主は、その他の全株主に対し、全部の株式を売り渡すことを請求できる。会社の承認必要


12.当期税金(法人税等)の会計処理

原則:法人税等→法人税、住民税及び事業税でPLの税引前当期純利益の次に記載

例外:連結財務諸表上、法人税等に表示されないものがある

①連結子会社が有する親会社株式の売却損益に係る当期税金
連結子会社が有する親会社株式→自己株式
連結子会社が有する親会社株式の売却損益→自己株式処分差益(ただし法人税等を控除した後の金額)

②子会社株式の一部売却(支配継続)の際の売却損益に係る当期税金
減少する持分と売却価額との差額→資本剰余金として処理(ただし法人税等を控除した後の金額)
※平成2741日以後開始する連結会計年度の期首から原則適用


13.役員給与の税務

■定期同額給与
⇒規則的に同額を報酬として支給する場合に損金算入可
 途中で金額や期間の変更を行えない

⇒役員報酬の金額を変える場合
 ・通常改定…期首から3ヶ月を経過するまでに改定
 ・臨時改定…やむをえない場合に改定  ※業績悪化、役員の不祥事等

⇒従業員給与のような日割り計算は行わない

■事前確定届出給与
⇒事前に届け出ることで臨時の報酬でも損金算入可
⇒届け出た内容から少しでも違う支給をしたら算入出来ない
 ※届け出た金額よりも少ない役員報酬でも全額不算入


14.本業消失 そのとき富士フィルムは

利益の7割を稼ぎだしていた「写真フィルム」事業が、
2000年をピークに急激に市場縮小
2004年から構造改革を断行、2007年には創業以来過去最高の売上・利益

ポイント
①担当部長が、将来予測データを正確に作り、経営陣に訴え続けた
②特約店から営業権を買い取り、人員圧縮などの構造改革を断行
③社長自ら、新規事業のタネを掘り起こし(液晶フィルム、化粧品、サプリメント)
→既存の技術をヨコ展開

※古森社長
「過去に、ビデオテープの市場縮小を経験していたことが役立った」







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2014年4月17日木曜日

4/11 勉強会:連結納税適用企業の法定実行税率に注意 他

1.税理士業の事業承継めぐり取消裁決

【事例】
・税理士Aが死亡(税理士Bが相続)
Aの事務所内でBが事務所を営んでいた
Aの死亡により、BAの事業を承継
(63)により、Aの準確定申告で事業税を必要経費に計上した
Aは事業を廃止したといえるか?
※当局は、Bが事業承継しているので、Aは事業を廃止していないと主張

(63)事業を廃止した後に納税義務が確定する事業税等について、事業廃止年分の必要経費として計上できる

【審判所】
Aの死亡により、Aと取引先との間の契約は終了
 (Bが新たに取引先と契約を締結している)
Bの住所表記から「Aの税理士事務所内」がなくなった
Aは事業を廃止している
Aの準確定申告で、事業税を必要経費計上可能


2.26年度税制改正の政令が公布

■主だった改正点
・所得税
 →ゴルフ会員権の譲渡損を他の所得と損益通算できなくなった
  平成2641日以降の売買に適用

・相続税
 →相続税が課されない公益事業を行う者の範囲が拡大
  家庭的保育事業、小規模保育事業若しくは事業所的保育事業
  または認定こども園を設置、運営する者
  子ども・子育て支援法の施行日以後について適用

・消費税
 →簡易課税においてみなし仕入率の見直し
  金融業・保険業(60%→50%)
  不動産業(50%→40%)
  平成2741日以後開始事業年度について適用
  条件付で適用開始時期の特例あり

 →課税売上割合の計算の見直し
  金融債権の譲渡についても譲渡対価の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に加算
  平成2641日以降の譲渡について適用


3.連結納税適用企業の法定実行税率に注意

H263月決算法人は税効果で、改正後の税率を適用する。
・新たに創設される「地方法人税」の改正はH26101日から施行。
 3月末時点では未公布。
H263月決算法人はH26101日以後開始する事業年度以降に解消すると見込まれる。

 一時差異等に係る繰延税金資産および繰延税金負債の計算では、改正前or改正後の税率どちらでもよい。
 ※ただし連結納税制度適用法人は、新税率を使用する


4.資本金1億円超の法人の外形標準強化も

■6月に打ち出される『成長戦略』に『外形標準強化』が盛り込まれる予定
【外形標準強化内容】
・資本金1億円超の法人に対する所得割と資本割・付加価値割のバランスの見直し
→大法人の税負担抑制
→法定実効税率の引下がる
◎『強化』≠『増税』


5.連結財務諸表作成会社の単体簡素化を図る改正財規等が施行

金融庁は326日、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」を公布・施行した。
今回の改正は、連結財務諸表作成会社が有価証券報告書に記載する単体財務諸表について、簡素化を図るというもの。
平成26331日以後に終了する事業年度等に関する財務諸表等について適用される。

適用対象
・連結財務諸表作成会社かつ会計監査人設置会社の単体財務諸表

簡素化の主な内容
①貸借対照表
別掲基準:100分の1100分の5

②損益計算書
別掲基準:100分の5100分の10

③製造原価明細書
連結財務諸表においてセグメント情報を注記していれば不要

④注記事項
(損益計算書関係)
・販売費の科目若しくは一般管理費の科目又は販売費及び一般管理費の科目に一括して掲記し、その主要な費目及びその金額を注記する場合の主要な費目:100分の5100分の10
・研究開発費の注記→不要
・減損損失に関する注記→不要

(株主資本等変動計算書関係)
・ 自己株式に関する注記→不要

(リース取引関係)
記載不要

(資産除去債務関係)
記載不要

(1株当たり情報)
・一株当たり当期純損益に関する注記→不要
 (ただし主要な経営指標等の推移における記載は必要)
・潜在株式調整後一株当たり当期純利益に関する注記→不要
・一株当たり純資産額の注記→不要



6.医療法人の社員と同族判定

■出資持分ありの医療法人
⇒払い戻し請求があると医業継続が困難となる。
平成19年より「持分の定めのない医療法人」しか設立できなくなった。

■既存の「出資持あり医療法人」が「出資持分なし医療法人」に移行する場合
→出資者が出資持分を放棄する(医療法人に対して持分を贈与する)

【留意点】
その医療法人の役員の1/3超が親族で占められている場合、医療法人が贈与を受けたものして贈与税が課税される。
(相続税の負担が不当に減少する結果となる場合に課税対象となる)

※贈与税は個人が対象であるが、
上記の場合、医療法人を「個人とみなして」課税されるので注意が必要。

なお、判定の要素は「役員」の割合であり、親族の社員(株主)割合が1/3超であっても課税はされない。



7.印紙税:消費増税に伴う変更契約書にかかる印紙税

消費税の増税に伴って、原契約で定められた契約金額のうち消費税部分のみを増額変更する契約書を作成した場合には、一定の要件に該当するものについて、200円の印紙税が課される。



8.企業結合会計基準対応で財規等改正

・少数株主との取引⇒資本剰余金に計上
・少数株主持分⇒非支配株主持分
・少数株主損益⇒非支配株主に帰属する当期純利益
・当期純利益は少数株主損益を含める。
・改正前の当期純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」に変更
・企業結合における取得関連費用:取得原価から発生時費用計上へ
 ⇒主要な取得関連費用は注記へ



9.京王ズの乱は不発 問題多い高希薄化増資

【京王ズのケース】
・京王ズが、筆頭株主光通信ともめたことをきっかけに、ノジマに第三者割当増資を計画
・割当株式が、発行済株式総数を超え、希薄化率は111%
・光通信が差し止めを申し立て
→「資金使途の妥当性がない」と主張したが、棄却される
・京王ズ「売上高の過半を占める光通信と関係悪化で、資金繰りが将来悪化」と主張

【東証企業行動規範】
300%超の希薄化→上場廃止。
25%超の希薄化→株主総会での「意思確認」もしくは「第三者からの意見入手」

実際は、「第三者からの意見入手」で済ませるケースがほとんど。

ただし現在、会社法改正で「支配株主が変わる第三者割当増資で、1割以上保有の株主が反対すれば、普通決議が必要に」







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2014年4月10日木曜日

4/4 勉強会:従業員等の海外慰安旅行の費用負担と経済的利益の供与(給与) 他

1.従業員等の海外慰安旅行の費用負担と経済的利益の供与(給与)

【事例】
・マカオへ、23日の慰安旅行を実施
・従業員12人中10人が参加
・参加者1人当たりの費用:約24万円(会社が全額負担)
・社長企画であり、参加がほぼ強制されていた
⇒会社負担の旅行費用が、従業員に対する給与として課税されるかどうか?

【判決】
・給与課税される
・旅行内容は観光に終始していた(研修的要素なし)
 ⇒従業員に対する経済的利益の供与あり
・一流ホテルに泊まるなどしており、少額不追求(※)の適用はできない
・(審判所裁決)約57千円が妥当な会社負担額

(※)社員旅行費用の少額不追求
・下記を満たす場合、給与課税しなくても良い
 ①期間が45日以内
 ②参加人数が全体の50%以上
 ③金額が少額であること


2.不動産賃借料の適用税率と消基通の貸付時期の違い

■消費税法基本通達
 ・賃貸借契約に基づく使用料等を対価とする資産の譲渡等の時期9-1-20
 →資産の賃貸借契約に係る使用料を対価とする資産の譲渡等の時期は、契約又は慣習に基づいてその使用料を受けるべき日とする(ただし前受金を除く)
 →納税義務の成立は、使用料を受け取った日

■適用税率
 ・国税庁が公表した「適用税率Q&A」問6
 →3月分の賃借料を4月末に受領する契約の場合、4月末に受け取る賃借料は3月分
 →3月分の資産の貸付の対価なので適用税率は5

■まとめ
 賃貸借契約に基づく使用料を対価とする資産の譲渡等については
 納税義務の成立時期と適用税率の判定に係る資産の貸付時期とを区分して捉える


3.東京地裁、132条の2の適用認める

・法人税法132条の2を巡る初の司法判断で、ヤフー側が敗訴
(事例)
ヤフーが欠損金を抱えていたソフトバンクの子会社Aを完全子会社化
→その後、当該子会社を税制適格で吸収合併し、欠損金を引き継いだ
  欠損金引き継ぎの要件(みなし共同事業要件)を満たしていた。

(国税当局)
繰越欠損金を引き継ぐための「租税回避」であるとし、132条の2を適用した上で否認

(判決)
東京地裁は「租税回避目的」だったと判断


会計・IPOトピックス

①新規上場企業の内部統制監査を免除へ
金融商品取引法等の一部を改正する法律案が国会に提出 「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」が3月14日に閣議決定され、国会に提出された。
新規上場の促進のため、新規上場後一定期間に限り、内部統制報告書に対する公認会計士監査を免除するなどの見直しを行う予定。

見直しの概要は以下の通り
・新規上場後「3年間」、内部統制監査を免除。
・あくまで「監査」の免除であり、内部統制報告書の提出は求められる。
・資本金100億円以上又は負債総額1,000億円以上の企業は免除なし

②大量保有報告の対象から自己株式を除外

(現状のルール)
・株券等の保有割合が5%超となった場合に、その日から5営業日以内に「大量保有報告書」を提出。
・その後の保有割合が1%以上増減するなど重要な変更があった場合には、変更があった日から5営業日以内に「変更報告書」を提出する。

(変更後ルール)
・上記の対象から自己株式を除外

変更の理由
(1)自己株式は議決権を有しないため、経営に対する影響力は通常の株式に比べて限定的
(2)市場における需給環境に影響を与えるような自己株式の取得や処分が行われる場合には、自己株券買付状況報告書や有価証券報告書等により別途情報が開示されている


5.工場での食事の提供

○従業員に食事を提供する場合の課税の有無
■食事の評価
①購入する場合
評価額:購入価格

②自己で調理する場合
評価額:調理に要した材料費、光熱費、人件費
    ※材料費のみでも可

③外部委託する場合
評価額:A、会社は給食業者に毎月委託料を支払う
      B、会社は一食当たりの単価を給食業者に支払う
     →ABの合計額
     ※契約内容によってはBのみ

■食事の支給による経済的利益(課税の有無)
①従業員が食事の評価額の半分以上を負担していること
②一か月の会社負担が3,500(税抜)円以下であること
→①②を満たすと課税無し


6.消費税のチェックポイント 土地建物編

■土地と建物を一括譲渡した場合の課税
⇒土地部分は非課税売上、建物部分は課税売上となるため次の方法により対価を按分する。
①土地と建物の時価の比率で按分する方法
②相続税評価額や固定資産税評価額をもとにして計算する方法
③土地と建物の原価の比率で按分する方法

■事業用に建物(付随する土地使用を含む)を貸した場合
土地使用分と建物使用分を明確に分けている場合であってもすべて課税売上で計上する、
⇒土地の利用はあくまで建物の貸付に付随するものであるため、すべて建物賃貸料として扱う。

■土地取引の仲介手数料
「あっせん」の対価であるため課税仕入となる。
(一括比例配分方式による場合、仕入税額控除の対象となる)


7.税効果ルールの見直し 66号の会社5分類撤廃案も

①監査委員会報告66号における会社の5分類
見直しに積極的な発言
・将来見積もりに対する会計実務の成熟&定着
IFRSとの整合性

見直しに慎重な発言
5分類は実務に定着、見直すと実務に混乱

②情報開示
・繰延税金資産の増減等の情報を開示すべき

③その他有価証券評価差額金
・株式等の処分の時期を合理的に見積もることは実務上困難な場合もある


8.BPOの成功ポイント

(BPO=ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
()BPOを導入して成功している会社=約20

()成功の主な要因
①事業部門や地域横断での業務の標準化
 (BPO事業者に委託しなかった業務も含めて)
②コスト削減以上の効果を重視
③ビジネスに直接的に貢献する指標を設定
④事業環境の変化に応じて、業務内容や目標を適宜変更

()BPO事業者の評価
①継続的な業務改善、スコープ拡大
②コスト削減に留まらない、ビジネスにも貢献する提案
③「思い」の共有


9.株主総会想定問答(新しい論点のみ抜粋)

・不正リスク対応基準
 ⇒20143月期の会計監査から適用になる
 ⇒不正リスク対応基準に関して質問された場合の回答例
   「不正リスクを発生させないようコンプライアンス体制の構築に努めます」

・社外取締役
 ⇒会社法改正法案では、社外取締役を選任しない場合は理由を説明する必要がある
 ⇒現行会社法では、親会社取締役でも社外要件を充たす
 ⇒社外取締役を選任しない場合なぜかを質問された場合の回答例
  「当社の業務執行に従事し、当社の業務に精通している者が経営にあたるべきと考えているためです」


10.平成26年度 株主総会の実務対応ポイント

(1)会社法改正の影響
①社外取締役の選任検討
成立しても平成274月から施行→本年度は直接的な影響なし
ただし以下の懸念があり、社外取締役の選任する動きは引き続きみられる。

(改正法案)
・事業年度の末日において公開大会社かつ有価証券報告書を提出している監査役会設置会社で社外取締役選任していない場合
→社外取締役選任を置くことが相当でない理由(※)の説明義務

(※)相当でない理由
・個々の事業年度における事情に応じて記載する必要あり
・社外監査役が2名以上あることのみをもって相当でない理由とは出来ない

②社外取締役の要件見直し
 ・現在選任している社外役員が親会社等の業務執行者である場合、会社法改正後は社外役員とは認められない
 ・社外役員の経歴面は緩和が予定

  現行法:過去に一度でも経営者の指揮命令系統に属したことがある者は、社外取締役等の各要件を満たさない。
改正後:就任前10年間における株式会社等との関係に限定される。


11.企業結合における取得企業の決定

・連結会計基準に従って判断
■他の企業を支配することが明確な場合
⇒当該企業が取得企業

■他の企業を支配することが明確でない場合
⇒次の①~④の要素を考慮して取得企業を決定

 ①資産を渡すor負債を引き受ける企業
 ②株式を交付する企業が取得企業
 ※下記の要素も加えて考える
  ・議決権比率を多く占める企業
  ・最も大きな議決権比率を持つ株主がいる企業
  ・取締役等を解任できる株主がいる企業
  ・株式の時価を超えたプレミアム分を支払う企業
 
 ③相対的規模が著しく大きい企業(売上、総資産)

 ④最初に企業結合を提案した企業







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