2013年7月28日日曜日

7/26 勉強会:租税回避行為と各国の対応 ほか

教育資金管理契約終了時の課税関係示す

■贈与税の課税方法
(1)通常のケース
→暦年課税 or 相続時精算課税
 ※相続時精算課税を一度選択したら変更できない

(2)教育資金贈与の非課税措置のケース
(受贈者が30歳に達して、贈与関係が発生した場合)

①贈与者が生存している場合
→(1)通常のケースと同様

②贈与者が死亡している場合
→暦年課税

■相続開始前3年以内に贈与があった場合
(1)通常のケース
→生前贈与分を相続税計算上加算する

(2)教育資金贈与の非課税措置のケース
(受贈者が30歳に達して、贈与関係が発生したあと、
3年以内に贈与者が死亡した場合)
→(1)通常のケースと同様


2.無償譲渡で受けた利益と土地の時価の関係


■前提
①国税を滞納している父が、子供に土地を無償譲渡した。
②この場合、子供が、第二次納税義務者となる。
③第二次納税義務者には、
 滞納者から「受けた利益の額」を上限に納税義務が発生
④では、「受けた利益の額」はいくらなのか?
⑤通常は、公示価格で評価する。
⑥しかし、譲渡された土地は、公示価格がないので、
他の評価方法で評価しなければならない。
⇒相続税評価額で評価するのが妥当とされた。

■課税当局の主張
①通達で、相続税評価額=公示価格の80%程度となるように
 されているという前提がある。
②本来であれば、公示価格で評価すべきなのだから、
 相続税評価額÷0.8で計算した金額で評価すれば
 公示価格で評価したことと一緒の効果になる。

■審判所の判決
①倍率方式で計算した相続税評価額=時価を意味する。
②時価÷0.8とすることになんら根拠がない。
③相続税評価額÷0.8とする処分は不適正として、
 課税当局の主張を退けた。


税率の引上げと工事の請負等の経過措置1


■工事の請負等の経過措置
 ①5%から8%へ
 ・施行日 平成26年4月1日
 ・指定日 平成25年10月1日

 ②8%から10%へ
 ・施行日 平成27年10月1日
 ・指定日 平成27年4月1日

 ※施行日:新税率への切り替え日
  指定日:施行日以後に引き渡しをされる工事等の
       請負契約をした場合に新税率が適用される日
      …指定日前に契約をし、施行日後に引き渡される工事等の場合は
       旧税率が適用される

 例)平成25年11月1日契約、平成27年11月1日引渡し…8%

■月極の警備保障やビルのメンテナス契約の場合
 ・役務提供が一括で完了するわけではないので、
  経過措置の適用はなし

 ・例外
  平成26年3月1日に翌年2月末までのコピー機のメンテナンス契約を締結
  同日に1年分のメンテナンス料を受領した場合
  →原則的には、会計処理の収益計上の時期の消費税率を適用
   ※平成26年3月分のみ5%、残りの期間は8%
  →例外的に、
    ①1年分の対価を受領が慣行、
    ②継続的に対価を受領した日に全額を収益計上している場合
      受領日の消費税率を適用することが可能
   ※全額5%

■工事請負の範囲
 ・消費税の経過措置が受けられるのは工事、製造請負、
  及びこれらに類する契約
 ・これらに類する契約には次のすべての要件を満たしてないと
  経過措置の適用は不可
  ①指定日の前日までに締結した工事等の請負契約に基づき、
    施行日以後に目的物の引渡しを行う場合
  ②仕事の完成に長期間を要するものであること
  ③契約に基づく仕事の目的物の引渡しが一括して行われるものであること
  ④仕事の内容につき、相手方の注文が付されているものであること



4.【税務】勘定科目別 税務の着眼点

■未払金 未払費用
・決算賞与に紐づく未払社保は、損金不算入
・1年を経過した未払配当金の源泉徴収

■前受金
・発行した商品券の販売対価は、商品券の販売時の益金に算入する必要がある
 ※所轄税務署長の確認により、例外有り

■預かり金
・保険金の受領時に預かり金計上し、対応する支出の支払い時に
 預かり金を取り崩す処理をする場合があるが、
 保険金は受領した期の益金に算入する必要がある


5.【消費税率引上げに関するQ&A】

■施行日後に増額されたリース料
Q:H25.4.1に所有権移転外ファイナンスリース取引の契約を
締結した後、H26.4.1より月額リース料を増額した。税率はいくらか?

A:H20.4.1以後に契約したファイナンスリース取引は資産の引渡し時に
売買があったものとして取り扱われ、その後リース料が変更された場合も
同様に扱うため、H25.4.1時点の税率5%となる。

■残存リース料にかかる適用税率
Q:H25.4.1に締結した所有権移転外ファイナンスリースにつき、
延払基準の方法により収益を計上していたが、
契約が中途で解約となったため残存リース料を一括で収益計上した。
税率はいくらか?

A:残存リース料にかかる適用税率はリース資産の引渡し時点における
税率となるため、中途解約がH26.4.1以後であったとしても税率は5%となる。


6.ダブルアイリッシュwithダッチ・サンドイッチ

・バミューダ、アイルランド、オランダを用いた節税スキーム
・グーグルも活用。始めたのはアップル?
・ダブルアイリッシュ
  親会社:グーグル米国本社(米国法人)
  子会社:グーグルアイルランド子会社(第一法人)
  孫会社;グーグルアイルランド子会社(第二法人)

第一法人:検索エンジン等の開発費用負担
     第二法人からのロイヤリティ収入
第二法人:アメリカ以外への販売収入
     2,000人を雇用

・利益は第一法人に蓄積(第二法人は利益ちょっと。)
・第一法人の管理はバミューダで実施。そうすると、
 第一法人は、
  アイルランド会社法:アイルランドの会社
  アイルランド法人税:バミューダの会社(タックスヘイブン)
  ⇒となり、法人税激減。

・ダッチサンドイッチ
 第一法人と第二法人との間にオランダ法人を入れると、
 ロイヤリティ収入に対する源泉徴収を回避できる。



H25年6月第一四半期報告書作成上の留意点

①退職給付に関する会計基準を早期適用した場合(H24/5/17公表)
  ※H25/4/1以後開始事業年度の期首から早期適用可能

  ・経理の状況の冒頭記載にその旨記載が望ましい
  ・B/S記載
   退職給付に係る資産→投資その他の資産の範囲に記載
   退職給付に係る負債→固定負債に記載
   退職給付に係る調整累計額
    →純資産の部に「その他の包括利益累計額」として記載
  ・包括利益計算書記載
   退職給付に係る調整額 →その他の包括利益に記載
  ・P/L注記
   退職給付費用及び引当金繰入額→P/L注記に記載


8.【フリーレントと原状回復費用の会計処理】


■フリーレントの会計処理

①費用を認識しない方法
⇒その期間は仕訳なし

②費用を認識する方法
⇒実質月額賃料を未払費用として計上
※実質月額賃料=契約期間賃料総額/(契約期間月数-フリーレント月数)

■原状回復費用の会計処理

・原則
⇒原状回復費用を見積もり、資産除去債務を計上
※資産除去債務については、割引価値を算定
 決算時、利息費用を計上して資産除去債務が増加

・簡便(敷金が計上されている場合)
⇒原状回復費用を敷金から控除
※決算時、当期の負担に相当する金額を費用処理
EX.敷金600、原状回復費用500、平均入居期間5年
  敷金償却100/敷金100


看板の撤去請求について


(前提)
・テナント付きのビルを購入
・テナントがビル入口に「看板」を設置
・テナントとの契約には看板について明文なし
→ビルの景観を損ねるため撤去してほしい
→撤去を求められるのか?法的に問題あるか?

(結論)撤去は難しい
※ポイントは「権利の濫用」にあたるかどうか
・看板があることによる具体的な問題が見当たらない
・看板がないとお客さんが入らなくなる可能性
・テナント建物と看板は社会通念上は一体
※契約書には記載がなくても、承諾を得た可能性はないか

10株式譲渡と事業譲渡のメリット・デメリット


①簿外債務や税務リスクの承継
⇒事業譲渡の場合はリスクが低い

②譲渡範囲の確定
⇒事業譲渡の場合は欲しいもの・売りたいもののみを選定できる
 一方で、譲渡範囲の画定に時間を要する可能性が高い

③会社組織の統合
⇒株式譲渡の場合は買手と対象法人で別の為、
 急に買主との完全な統合(人事等)をする必要がない

④契約当事者の変更
⇒事業譲渡の場合は、契約主体を売主から買主へ
 変更する必要があるため手間がかかる


11租税回避行為と各国の対応

・欧米企業は積極的(すぎ)⇒各国が対応を強化

・例えば…スタバは2010年-2012年英国で3年連続赤字で法人税ゼロ。
⇒ オランダ関連会社に売上の6%をロイヤリティで支払、
  スイスから時価の2割増しでコーヒー豆を購入?

・英国で、2013年6月からGAAR(一般的租税回避行為否認規定)がスタート
・「個別の法律を守っているか」、ではなく、
 「租税回避を意図した悪質なスキームを包括的に否認」
・適用な慎重な姿勢が望まれる。

(インドの事例)
・立証責任は課税当局側にある
・納税者は事前裁定を受けることが出来る
・審査委員に政府以外の独立した第三者を入れる

具体的にどのようなスキームが否認されるのか
…実例が出てくるのを待つしかない??


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2013年7月20日土曜日

7/19 勉強会:カタログギフトの税率は販売日で判定(消費税) ほか

事業承継税制・旧制度から新制度への切替えを巡るQ&A

■事業承継税制の適用
・申告期限後5年間は、適用要件を満たし続けなければならない
→1年毎に要件の判定あり

■要件緩和されたもの(27年1月1日以後に相続・贈与したものに適用)

雇用確保要件…「5年間8割以上」から「5年間平均で8割以上」
役員退任要件…「役員を退任」から「代表を退任」

■旧制度(改正前の制度)から新制度(改正後の制度)への切替

(1)申告期限後5年間の途中で、27年1月1日がくる場合、
旧制度から新制度への切替が可能 → 途中から要件を緩和できる

※届出が必要

(2)新制度への切替後は、27年1月1日以後の雇用条件のみで、
雇用確保条件を判定する

例)申告期限 24年10月31日 の場合

判定基準日① 25年10月31日 旧 → 単年で8割
判定基準日② 26年10月31日 旧 → 単年で8割
判定基準日③ 27年10月31日 新 → ※
判定基準日④ 28年10月31日 新 → ※
判定基準日⑤ 29年10月31日 新 → ※
※26年11月1日~29年10月31日の3年間平均で雇用割合8割の判定実施

(3)新制度へ切替えた場合、元代表(旧制度のもと役員から退任)を
役員へ復帰させることが可能 ※27年1月1日付でもOK


2.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算等


■損益通算
①旧住宅を売却して新住宅を購入した。
②旧住宅の売却時に譲渡損失が生じている。
⇒譲渡損失を給与所得などの他の所得から控除(損益通算)できる。
⇒控除しきれない場合は、損失を3年間繰り越せる。
  ※住宅ローン控除との併用適用が可能

■要件
①自分の住んでいるマイホームを売ること
②新住宅に取得した年の翌年12月31日までに住む。
③売買相手が夫婦や親子でないこと
 etc


カタログギフトの税率は販売日で判定(消費税)


■カタログギフトの販売日はいつか?
①贈呈者がカタログギフト業者に代金をしはらったとき
②被贈呈者がカタログの中から商品を選びカタログギフト業者に通知したとき
③カタログギフト業者が商品を被贈呈者に発送したとき
⇒①のときに販売があったことになる
⇒①の行為があった日の消費税率が適用される

■物品切手との比較
(1)カタログギフト…代金支払時と商品引渡し時に時差がある
 ①カタログギフトの代金を支払ったときに商品の引渡しを受ける権利が付与される
 ②その後、実際に商品が引き渡される

(2)物品切手(商品券)…お金が商品券に代わっただけ。
  どんな商品が購入されるか未確定
 ①物品切手の購入(購入されるものは未確定)
 ②物品切手を使用して商品を購入する(資産の譲渡があった)

「関連者支払利子等の額」の算定が見直し(法人税)


■平成25年度税制改正
・「移転価格事務運営要領」の一部改正を公表(国税庁)
・移転価格税制と過大支払利子税制を適用する場合の留意事項
 「関連者支払利子等の額」の算定において独立企業間価格を超える部分の
 「関連者支払利子等の額」を含めないこと等が明記


5.【所得税】職務発明の帰属と所得区分

■現状
・従業員が職務上行った発明に係る報奨金等の所得分については、
 現状は【譲渡所得または雑所得】とされている。
・これは職務発明による特許を原始的にうける権利は会社ではなく
 発明者にあると解されていて、
 その権利の譲渡に対する対価と見られるからである。

■閣議決定による「日本再興戦略」では。。。
・職務発明による特許を原始的に会社に帰属させる案が浮上している。
・これにより譲渡対価としての性質は失われ、
 給与所得として扱われるようになる可能性がある。


6.【消費税基本通達の改正について】

■特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

【規定の内容】
平成26年4月1日以後に設立される法人で
課税売上高が5億円超の法人に
50%超保有される新設法人は基準期間がない事業年度について
納税義務の免除を受けることができない.

【改正通達】
事業年度開始の日の現況により判定するが、
設立1期目のみならず設立2期目も判定する必要がある点が
留意事項として示された。

■任意の中間申告制度

【規定の内容】
平成26年4月1日以後開始事業年度から直前の
課税期間の確定消費税額が48万円以下であっても
事業者の任意により年1回の中間申告をすることができる

【改正通達】
直前の課税期間の確定消費税額がない(税額ゼロ)場合にも
適用されることが示された。


7.J-IFRS

・IFRSを一部削除もしくは修正して採択する「エンドースメントされたIFRS」
 の導入が提起された


レポート業務の効率化推進3ステップ

①効率化の阻害要因の洗い出し
⇒・現場からデータを入手できていない
 ・データが間違っている
 ・データが複数ある

②効率化の検討
⇒・そもそも必要ないもの
 ・すぐに自動化できるもの
 ・データ提供部門の協力により自動化できるもの

③効率的なレポート作成の仕組み構築
⇒データ集計、分析などのプロセスを自動化する
※使用する指標について統一する
※指標が変更した場合、容易に変更できる仕組みを構築する


9.非上場会社の株式の減損処理について


・減損処理が必要な場合とは?
  →実質価額が取得価額の50%以上低下している場合
  →ただし、事業計画等で今後5年以内での回復可能性が裏付けられる場合は
   減損処理しないことも認められる
   (毎期見直し必要)

 ・実質価額の算定方法は?
  →実務上は、時価純資産方式が一般的(1株あたり時価純資産×株式数)

 ・時価純資産の算定方法は?
  →実務上は、①金融商品や不動産等の容易に合理的な時価が算定できるものや
   ②簿価と時価の乖離が重要な資産負債を時価修正する(すべては無理)

10粉飾手法の例


・クロス取引/バーター取引
自社の製品・サービスを実際の市場価格水準より高く相手方に売却し、
相手方から別の製品・サービスを購入する取引。

・Uターン取引
最終的に最初の販売元に戻る取引。

11海外M&Aにおけるデット・プッシュ・ダウン


※海外の企業が実効税率の高い国の企業を買収する際に用いる
 M&Aのスキーム

(例:海外企業が日本企業を買収:連結納税)
①海外企業(買収企業)が日本国内にSPC設立、出資
②海外企業がSPCに資金貸付
③SPCは借入資金で日本企業を買収
④SPCと日本企業(被買収企業)で「連結納税制度を利用」
⇒SPCで発生する支払利息と
 被買収企業の所得を連結納税で相殺

※合併を使ったスキームも掲載
※各国の支払利息の損金算入制限を要注意


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2013年7月15日月曜日

7/12 勉強会:役員退職給与の適正額に最高功績倍率を採用できるか? ほか

ネット販売の多くが経過措置の対象外も

【消費税改正】通信販売も経過措置の対象となる
※新聞、テレビ、チラシ、カタログ、インターネット媒体など

【要件】
①H25年9月30日までに販売価格等の条件を提示し、
 又は提示する準備を完了すること
②H26年3月31日までに申込みを受けること
③①の条件通りで販売を行うこと

→H26年4月1日以後の販売であっても、5%を適用

【例】
①H25年9月20日にインターネットサイトで商品を掲載
②H26年3月20日に申込みがあった
③H26年4月10日に販売

→5%

【実務】
インターネット販売の多くは経過措置の対象外となりそう
※H25年9月30日までに提示した条件が数カ月間も維持されることが稀


2.非支配株主からの子会社株式追加取得は時価に


現行:非支配株主から追加取得する子会社株式の取得原価
→追加取得時における当該株式の時価orその対価となる財の時価のうち、
 より高い信頼性をもって測定可能な時価

公開草案:非支配株主から自社の株式のみを対価として
追加取得する子会社株式の取得原価
→当該子会社の適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて算定する
現行の通り、時価で検討中

「合併での上場株承継は20%未満で対象外」
・合併等による上場株券の承継について、
 承継資産に占める割合が低ければインサイダー取引規制の対象外
→その割合は「20%未満」と定められている


誤解が多い施行日前後の取引にかかる消費税率


①契約日で判断してしまう
⇒H26年3月31日までに契約して、
 H26.4.1以後に商品を受け取る場合
⇒消費税5%で計算してしまうとNG
 ※経過措置の対象となる場合を除く

②仕入先が価格を据置いた為、
 5%のまま仕入れ税額控除を計算してしまう。
⇒価格を据置いた場合でも税率は8%で計算する。
⇒据置価格は、8%消費税の税込価格と判断する。

③経過措置は任意適用だと思ってしまう。
⇒経過措置の要件を満たした場合は、旧税率で計算しなくてはならない。


役員退職給与の適正額に最高功績倍率を採用できるか?


■役員退職給与の適正額の算定方法
 ①平均功績倍率法
  …最終月額報酬×勤続年数×※平均功績倍率
 ②1年あたり平均額法
  …類似法人の役員退職給与÷勤続年数×当該役員の勤続年数

 ③最高功績倍率法
  …最終月額報酬×勤続年数×※最高功績倍率

 ※同業類似法人の役員退職給与の支給事例をもとに算定

■東京地裁の判断
 ①平均功績倍率法が法令(法法34②、法令70①二)の趣旨に
 最も合致する合理的な評価方法
 ②最高功績倍率法について採用できる場合は、
 同業類似法人と当該法人が極めて類似しているとき又は
 同業類似法人の抽出が十分でないとき


5.雇用促進税制:前期末雇用者がゼロの場合の計算方法

<雇用促進税制の適用要件>
①前期末に比べて従業員が2人以上増加
②基準雇用者割合10%以上(前期末と比較して10%以上人員が増加)
③給与等支給額が比較給与等支給額以上

前期末において従事者が役員やその親族のみであった法人が、当期に
新規採用を行った場合、上記②、③の計算ができない※がどうするか?
※②は分母がゼロとなり計算不能、
  ③は②の割合を加味して計算するため計算不能

上記の場合には基準雇用者割合の影響を除いて判定する
⇒結果①のみで判定する

6.【法人税】同族会社の役員退職給与の支払い
(社長が会長に退く様なケース)

■役員の分掌変更により退職金の損金算入が認められるケースの例
(法基通9-2-32)
  ・常勤から非常勤になる
  ・取締役から監査役になる
  ・分掌変更後の役員給与が変更前に比して50%以上減少する
  ⇒
  《注意点》
  ・分掌変更後も代表権を有するケース、
  実質的に経営上の重要な地位を占めているケースでは認められない。
  ・分掌変更後もオーナー株主であり続けるケースでは、
   実権が損なわれていないものとの認定を受けやすい。

■損金算入が認められる役員退職給与の金額 (一般的に妥当とされる金額)
  妥当な役員退職金=
(退職時の役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率)+功労加算
    
  ※ 功労加算金:退職慰労金の30%を超えない範囲といわれている
  ※※ 役位別功績倍率の例としては、
会長・社長 :3.0
   専務 :2.5
   常務 :2.3
  取締役 :2.0
  監査役 :1.5
  ⇒
  《注意点》
  ・社長の退職にあたって『功績倍率3倍』で計算した役員退職給与について、
   同規模の類似企業に比して高額であることを根拠に否認されたケースがある
(昭和49年1月31日東京高裁判決)。
   功績倍率の例はあくまで目安と考えるべき。


7.四半期の税金費用

「重要性が乏しい連結会社」
・重要な企業結合や事業分離など経営環境に著しい変化が
 発生していない
・四半期財務諸表上の一時差異当の発生状況について
 前年度末から大幅な変動がない
⇒前年度の税効果適用後の法人税等の負担率を利用できる。
⇒繰延税金資産や繰延税金負債は同額を計上する

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2013年7月8日月曜日

7/5 勉強会:【消費税】DESは非課税取引 消費税上の取扱いを国税庁に確認 ほか

元利均等償還社債、利息額に非課税なし

【長崎年金事件】
相続により年金受給権を取得、10年に渡り年金を取得
→相続時に相続税、年金受け取り時に所得税が課税
→最高裁によって二重課税と判決
→年金を元本部分と利息部分に分けて、
 元本部分※については所得税を課税しない
 ※将来の受け取り金額を割引現在価値で評価した金額

【本件】
(争点)
元利均等償還社債(元本部分と利息部分が分かれている商品)
の利息部分について、年金受給権と同様の取扱が認められるか
→割引現在価値で評価して、
 利息の一部を元本とすることができるか

(審判所判断)
年金受給権と同様の取扱は認められず、
すべての利息部分について所得税が課税される
←理由
①長崎年金事件の対象は「定期金に関する権利」だが、
 今回は「社債」
②年金受給権は元本部分と利息部分が区分されて
いないが、今回は元本と利息が明確に分かれている


2.二世帯住宅の小規模宅地特例適用の有無は登記がポイント

■区分所有権とは?
建物の独立した各部分のことを「専有部分」といい
この専有部分を所有する権利のことを「区分所有権」という。

■区分所有権の登記
構造上、区分所有できる建物の場合、
それぞれの専有部分について所有権を登記できる。
Ex.2階建ての二世帯住宅で1階と2階が完全に独立した建物 等

■論点
改正論点を読むと、「区分所有権を登記できる」建物とその敷地を
相続した場合に、相続人の専有部分に対応する土地については、
小規模宅地の特例対象外になると解釈できる。

⇒相続人の居住部分について区分所有権の登記をしているか
どうかは関係なく、「登記できる」という条件だけで小規模宅地の
特例の対象外になるのか?

■結論
⇒「区分所有権を登記できる」建物でも、登記していなければ
  対象外とはならない。

修正申告・更正又は決定の場合の事業税等


■原則
・申告納税方式の税金の損金算入時期は、
その申告書が提出された日の属する事業年度

・更正又は決定に係る税額は、更正又は決定があった日の属する事業年度

■例外
・2期以上の修正申告を行う場合
 直前の事業年度分の事業税等については、
 事業年度終了の日までに申告書の提出、
 更正又は決定がされていなくてもその事業年度の損金とできる

■その他
 ・直前年度分の事業税等の損金算入だけを内容とする
  減額更正は、課税当局の簡便性を考慮して原則行わない
  とされている

日本版JOBS法構想で2014年にも法改正


・新規上場時の負担軽減等を盛り込んだ「規制改革実施計画」
 および「日本再興戦略」を閣議決定

■主な改正検討内容
現行:新規上場時に提出すべき有価証券報告書=直近5年分
検討中:年数の短縮

その他検討中
→内部統制監査報告書の提出義務の一定期間の免除

 →新興市場の株主数基準の引下げ


5.税理士の顧問契約に係る消費税経過措置の適用関係

■税理士の顧問契約
主に「相談業務」と「申告書作成業務」に分類される。

【相談業務⇒委任契約】
「目的物の引渡し」が無いため、いわゆる経過措置の適用はない。
よってH26年4月1日以後の報酬から税率8%となる。

【申告書作成業務⇒請負業務】
申告書作成の注文→長期間の業務→完成引渡しとなるため、
いわゆる経過措置の適用がある。指定日前に契約を締結していれば
H26年4月1日以後に申告書の引渡しをしても税率5%となる。

※契約当初に報酬額が決定しておらず、
指定日以後に決まった場合は適用されない。

なお、会計士による監査契約についても同様の経過措置がある。

6.【消費税】DESは非課税取引 消費税上の取扱いを国税庁に確認

金銭債権の現物出資であるDESについて、
債権者側の消費税上の取扱いとして下記の2つの見解が存在した。
 ・債権の移転としての性質に着目し、『非課税売上』とする見解
 ・擬似DESが不課税取引であることとの整合性等に着目し、
  『不課税取引』とする見解

今回国税庁への取材により、『非課税売上』とする見解が改めて示された。

(参考:過去記事)
■不課税取引との見解 2012/6/22
http://studymeeting.blogspot.jp/2012/06/622.html

■非課税売上との見解 2011/9/22
http://studymeeting.blogspot.jp/2011/09/922-q.html


7.虚偽記載による上場廃止基準

これまで
・虚偽記載を行った
・監査報告書が不適正意見か意見不表明
・その影響が重大か否かを東証が判断⇒上場廃止か否かを決定

これから
・直ちに上場廃止としなければ市場の秩序を維持することが
 困難であることが明らかなとき


8.M&A法務入門

・オリジネーション
⇒取引の相手方候補者を探し出し、M&A案件を発掘すること。
※投資銀行等のファイナンシャル・アドバイザー(FA)に仲介役を担ってもらう。

・投資銀行
⇒資金調達の支援業務
 M&A案件に対する助言業務

・弁護士の関与と選任
⇒契約締結段階になってから選任される場合が多い。
※顧問弁護士ではなく、M&Aを専門とする弁護士に依頼するのが一般的。


9.満期保有目的の債権への分類について

・満期保有目的の債権=満期まで所有する意図をもって保有する社債
 その他の債権
・分類するための要件
 ①あらかじめ償還日が定められている
 ⇒満期の定めのない永久債は×
 ②額面金額による償還
 ⇒元本リスク(為替・信用リスク)は条件を否定しない
 ③満期まで所有する意図をもって保有する
 ⇒積極的な意思と能力
 ⇒転換社債型新株予約権付社債は株価>行使価格なら転換が
  予想されるので×
  株価が行使価格を大幅に下回れば○もあり
・満期まで所有する意図は取得時のみの判定、
 後から満期保有目的の債権への変更は×
・満期保有目的の債権の一部を期限前に売却した場合
⇒原則:他のすべての満期保有目的の債権も
     その他の保有区分に振替なければならない
⇒例外:発行体の経営状況の悪化による不利益回避の場合は
     その他の保有区分に振替る必要なし

10.コストダウン活動の問題点

(1)主な問題点
・コストダウンに関する全体的な旗振り役が社内にいない
・コスト評価会議が形骸化
 ⇒目標未達でも特に影響なし
・情報の整備及び更新が不十分
 ⇒現場のコストダウン活動に生かせない
 ⇒新製品開発に生かせない
・コストダウンの成果がわからない
・部門別コストダウン目標のみにフォーカス
 ⇒製品別コストダウンに展開できない

(2)改善点
・コストダウンの活動と評価を連動
 ⇒コストダウン結果を評価
 ⇒評価を更なるコストダウンに生かす


11.タックスヘイブン対策税制について

【概要】
  軽課税国や地域を利用した租税回避行為の防止

 【課税対象】
  タックスヘイブンに本店等を有する外国関係会社(特定外国会社という)
  の所得(一定の調整あり)のうち、出資比率等に応じた金額
 
 【納税義務者】
  ①特定外国子会社等の発行済株式等の10%以上を保有する内国法人
  ②特定外国子会社等の発行済株式等の10%以上を保有する
   同族株主グループに属する内国法人

 【適用除外基準】
  ①事業基準:主な事業が一定の事業(ex.株式や債券の保有)に該当しない
  ②実体基準:本店所在地国に事務所、店舗、工場を有している
  ③管理支配基準:本店所在地国で自ら事業の管理、支配を行っている
  ④非関連者基準又は所在地国基準:一定の事業(ex.卸売業、銀行業)
   を主たる事業とする場合、非関連者との取引金額が50%超。
   それ以外の事業の場合、主に本店所在地国で事業を行っている



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