2012年9月28日金曜日

9/28 勉強会:消費税:株式の取得に係る用途区分について ほか



1.組織再編等の株主による差止請求

■ポイント
略式組織再編以外の組織再編について、株主に差止請求が認められるようになった。

■株主が差止請求をすることができるのは?
[現行]
・略式組織再編→①法令または定款に違反する場合、②対価が会社の財産の状況その
他の事情に照らして著しく不当である場合
・その他組織再編→名文規定なし

[見直し後]
・略式組織再編→①②
・その他の組織再編→①

※略式組織再編
略式組織再編とは、特別支配関係(他の会社の議決権の90%以上を保有する関係)に
ある会社間の組織再編について、
被支配会社の株主総会の承認を省略できる制度をいう。

2.社外取締役および社外監査役の要件が厳格化

■ポイント
①社外取締役の義務化は見送り
②社外取締役および社外監査役の要件は厳格化

■②で追加された要件
・親会社および兄弟会社の関係者でないものであること
・株式会社の関係者の配偶者または2親等以内の親族でないものであること

■影響
社外監査役の選任が簡単でなくなる

※関係者=取締役、執行役、重要な使用人、
 自然人である親会社
※重要な使用人の範囲=執行役員等で通常の使用人を除く

3.課税売り上げ割合に準ずる割合について


⇒個別対応方式による場合において、
課税売上割合に代えて課税売上割合に準ずる割合を適用できる制度。
Ex.事業部ごとに課税売上割合を出して、それぞれで仕入税額控除を計算する。

・利用時の注意点
①準ずる割合の使用申請をしたら、有利選択はできない
⇒本来の課税売上割合>課税売上割合に準ずる割合のときでも
準ずる割合を利用する。

②準ずる割合が95%以上の場合
⇒全額控除はできない。

③禁止事項具体例
⇒総務部で備品を売った。
⇒ほかに売上がなければ、総務部としての課税売上割合は100%
⇒事業部ごとの課税売上割合を適用できるか?(全額控除できるか?)
⇒不可

4.海外子会社への増資で受贈益課税

原則 : 有利発行(第三者に対して時価より低い価額で新株を発行)の場合、
    時価と発行価額の差額は、受贈益課税

注意 : 海外子会社への増資が『有利発行』であるとして受贈益課税を受ける事例が
発生: 海外子会社設立時に現地資本を入れるケースも受贈益課税のリスクあり

5.永年勤続表彰に係る給与課税

Q: ①~③の場合の永年勤続表彰制度で給与課税されることはあるか?

① 自由商品を選択できるカタログを支給
② 指定の店で購入させるスーツで、領収書と引き換えに支給する現金
③ 旅行券を支給

A: 原則、①~③は給与課税
  ※ ポイント :金銭を支給すると同様の効果をもたらすため

  例外、②③は給与課税なし
 ※ ポイント :換金性がない、選択性に乏しい、金額が多額でない

6.役員給与の期中減額、定期同額判定で重要解釈

■ポイント
役員給与の期中減額改定が認められるのは
その法人の業績悪化などに限られる

■事例
法人が事業年度の中途に行った役員給与の減額改定が
子会社の借入金返済のために行われたものであるから
給与改定事由に該当しないとされた事例

■審判所の判断
法令69条1項1号は
給与改定を行った法人の業績悪化等を理由とした給与改定について
損金不算入としない旨を規定しているので
その法人の子会社の借入金返済のための給与改定は
同号に規定する給与改定には当たらないというべきである

■平成23年1月25日裁決・公表裁決事例No.82との違い
審判所が法令69条1号1項の法令解釈として
年度途中の給与改定の場合に損金算入されるのは
給与改定したその法人の業績悪化改定事由によるものに
限定したこと

参考:法令69条1項1号
   法人税法基本通達9-2-13
   国税庁「役員給与に関するQ&A」Q1

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7.【消費税】株式の取得に係る用途区分について

■株式購入費用の用途区分

国内に所在する株式の購入に係る手数料の用途区分は取得の目的により判定する。

①「投資目的」で取得した場合・・・非課税対応仕入
⇒株式の売却収入は原則として非課税売上になるため、
 購入手数料は非課税対応仕入となる。

②「完全子会社化」のために取得した場合・・・共通対応仕入
⇒売却を目的としていないため「非課税対応」とはならない。
 また、そもそも課税売上が計上されることもない。
 よって共通対応仕入となる。

なお、国外に所在する有価証券の購入費用は「課税対応仕入」となる。

(参考)
企業再編を行う際に支払ったデューデリジェンス費用・・・共通対応仕入
⇒調査目的の支出であり、課税売上・非課税売上に直接対応しない。
 よって共通仕入となる。

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8.少数株主持分の取扱と当期純利益


(現行)
 親会社説
 2005年以前⇒負債と資本の中間に表示
 2005年以降⇒純資産の部に株主資本以外の項目として記載

(従来)
 当期純利益=親会社株主に係るもの
(今後の方向)
 当期純利益=少数株主に係るものも含める

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9.税務調査と税務当局の裁量権

【税務調査はいかなる法律に基づいて実施されてきたか。】


・今まで
→税務調査の法律問題について、具体的にこれを規定する条文はなかった。
 最高裁判例:社会通念上相当な程度にとどまるかぎり、
 権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている。

・これから
→税務調査における規定を明文化
(平成25年1月1日施行改正国税通則法)

10.加算税・延滞税


【修正申告を出したら必ず加算税は課されるのか。】

・結論:必ずしも加算税が課されるわけではない。

<原則>
①当初の申告が期限内申告で、
②調査によらない自主修正申告の場合
→加算税は課されない。

<ケース1>
調査の連絡を受けた段階で修正申告書を提出した場合には、
原則として加算税は課されない。
→事前通知があっただけでは加算税は課されない。
 (国税庁事務運営指針に明記されている)
→但し、納税者が自分の誤りがあることに課税庁が気づいている
 ことを何らかの理由でしっている(※1.更正を予知している)
 場合は、加算税は課される。

<ケース2>
調査が始まってから提出された修正申告書は、
加算税が課されるおそれがある。
→判例によって分かれている。
 (どこからが調査になるのか、調査のどの段階で
  更正の予知があったとみるか

11.ストック・オプションがある際の、
潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定

・まとめ

普通株式増加数の算定上、
「翌期以降に費用計上する公正な評価額」を
考慮するようになったので注意
(2011年4月1日以後開始事業年度から適用されている)

・潜在株式調整後1株当たり当期純利益の計算式
普通株式に係る当期純利益/普通株式の期中平均株式数+普通株式増加数※1

※1 普通株式増加数=SOが全て権利行使されたと仮定した場合に発行される
通株式数SOの権利行使により払込まれると仮定した入金額を用いて、
期中平均株価で普通株式を買い受けたと仮定した普通株式数※2
                   ↑
※2 改正前:行使時の払込金額/期中平均株価
   改正後:(行使時の払込金額
    +翌期以降に費用計上する公正な評価額)/期中平均株価

12.クラウドファンディングについて

(1)概要
  インターネットを利用して、不特定多数から広く資金を調達する方法
  ※共感を得られれば大衆から資金を回収できる

(2)種類
  ①寄付型 
    【調達側の税金】
     個人→個人 : 贈与税
     法人→個人 : 所得税(一時所得)
     個人→法人 : 法人税
     法人→法人 : 法人税
     (出資者側は寄付金と同じ取扱)

  ②購入型 (まずは資金を集め、商品ができたら提供)
    ・出資時は前受金として処理
    ・商品提供時に売上に振替処理
    ※売買取引のように扱う

    <リターンが出資金より著しく低い場合>
    →リターンと出資金の差額を寄付とみなされる可能性

    <プロジェクトが失敗した場合>
    →基本的には出資金を返金

  ③出資型(投資型・貸付型)



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2012年9月24日月曜日

9/21 勉強会:子育て期短時間勤務支援助成金 ほか



1.組織再編時のインサイダー規制が緩和

■組織再編を行う際のインサイダー取引規制の緩和
・以下についてインサイダー取引規制から除外
→事業譲渡による保有株式の承継のうち違反行為の可能性が低い場合
→合併等の対価として自己株式を交付する場合

■課徴金制度の見直し

①有価証券報告書の虚偽記載に加担した外部協力者も課徴金の対象
・課徴金の額
虚偽書類作成等により得た報酬額
②知人や顧客の口座を利用して行う不正取引も課徴金の対象

→上記については、公布の日(9/12)より1年以内に施行予定

2.マイナンバー法

マイナンバー法は内容を修正のうえ、次期国会で成立する見込み。

主な修正点:個人番号の利用拡大

⇒税、社会保障以外にも民間事業者への利用拡大を検討
 (税分野での利用範囲拡大ということではない)

3.定借仲介手数料、支出時の損金にならず

【東京地裁判決】
〈争点〉
定期借地権の設定契約に係る仲介手数料は、
・ 支出時の損金になるか?
・ 借地権の取得価額に算入するか?

〈判決〉

借地権の取得価額に算入
※ 借地契約に当たり支出した手数料その他の費用の額は、借地権の取得価額に算入

4.平成25年度における各省庁の要望は?

■経済産業省
①法人税
・研究開発税制
   …総額型の控除限度額を法人税額の20%から30%に再引上げ
・グリーン投資減税
  …対象設備に「コージェネレーション※1」の追加
   対象企業を中小企業のみからすべての企業に拡大すべき
・中小企業の軽減税率
     …11%に引き下げ
・特別償却・特別控除
    …中小企業が一定額以上の建附または器具備品を取得した場合
  →取得価額の30%相当の特別償却または7%の税額控除の
   選択適用を認める制度の創設
 
・ベンチャー企業
   …従業員数を増加させた場合、一定額の税額控除
      (上限を超過した場合は4年間の繰越可能)
 →要件あり

 ※1熱電併給型のエネルギーシステム

   排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出し、総合エネルギー効率
   を高める、新しいエネルギー供給システムのひとつ

②相続税

・事業承継税
    …要件が厳しいため適用がすすんでいない。
   適用要件の見直し
   事業用土地の評価減80%相当額を課税価格から減額する
   特例の創設

③消費税
・増税に伴う価格転嫁対策
    …窓口設置、監視・検査体制の強化、税制措置、など

■金融庁
①所得税
・債権・公社債権の課税方法の変更
   …源泉分離課税から申告分離課税へ変更
 →損益通算を可能へ
 
・日本版ISA※2
   …平成26年1月から導入予定
 →上場株等の軽減税率の適用が終了した場合
・国外財産調書制度
  …一部財産を国外財産の範囲からの除外

②その他

・中小企業金融円滑化法の終了
  …平成25年3月末
 →企業再生税制による再生の円滑化を図るための措置

※2日本版ISA

  少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置

■国土交通省

①所得税
・住宅ローン減税…控除限度額の引き上げ

■文科省

①所得税
 
・寄付金控除
  …年末調整対象化
  国立大学法人への税額控除の導入、
  学校法人の税額控除の要件見直し

■農水省

①相続税
・農地等の納税猶予等における営農困難時貸付の
 要件緩和や継続要件の明確化
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5.【消費税】特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

・H26.4.1以後に設立される法人で、
 大規模事業者等(新設法人の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円超)
 に設立された法人に適用される。

⇒規制対象に該当した場合、
   資本金が1,000万円未満であっても免税事業者になることはできない。

・当該制度での規制が適用されるか否かは、
 新設法人の各事業年度開始日時点の資本関係を基に判定する。
⇒設立1期目に規制対象になった場合においても、
   1期目中に資本関係に異動があったことにより、
   2期目においては規制対象外になることもある。
 
※判定日前に出資法人を解散させることによる規制逃れについては、
     防止規定がある。

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6.「少数株主損益調整前当期純利益」が「当期純利益」に(検討中)




(改正前)少数株主損益調整前当期純利益
(改正後)当期純利益

(改正前)当期純利益
(改正後)親会社株主に係る当期純利益

(改正前)少数株主損益調整前当期純利益
=(改正後)当期純利益
=(IFRS)profit
=(米国基準)net income

7.生産性の罠


自分のやり方は効率的であるとし、自分流を押し通すのだが、
実はそのやり方は生産性が良くないかも知れない。
①検索しすぎる
②ソフトウェアで対応しようとする
③インターネットのブラックホールに吸い込まれる
④実行すべきものを同時に行う

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【助成金について】 


8.子育て期短時間勤務支援助成金

⇒子供を養育するために短時間勤務の制度を設け、
 利用者が出た場合に助成金を貰える制度

・要件

就業規則に短時間勤務制度を規程する
短時間とは、1日7時間労働の場合、労働時間を1時間以上短縮する等
対象の労働者が6ヶ月以上短時間勤務制度を利用する
申請日において対象労働者を引き続き雇用している 等々

・受給できる額

労働者数100人以下の規模の場合
1人目:40万円
2~5人目:15万円ずつ
労働者数101人以上の規模の場合
1人目30万円
2~10人目:10万円ずつ


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2012年9月17日月曜日

9/14 勉強会:大規模法人が設立した新設法人は免税点制度の適用対象外 ほか



1.日本のランドオペレーターが
海外旅行会社にパック旅行を販売した場合の消費税の輸出免税

■前提
海外の旅行会社に、
A社が企画する外国人の「日本観光旅行(パック旅行)」を企画し、
日本国内旅行部分のみを包括的に受注して販売する、
いわゆるランドオペレーター(以下、インバウンド業者)の事案

■争点
消費税の輸出免税に該当するか

■課税庁の見解
・インバウンド業者が、海外の旅行会社にパック旅行を販売した場合
→日本国内の宿泊、飲食、交通費の手配料に関しては課税仕入
→非居住者が日本国内で便益を受けた宿泊、飲食、
  交通費に関しては課税売上

■筆者の考え
・旅行者はインバウンド業者の直接の取引相手ではない。
・インバウンド業者の顧客は、海外の旅行会社である。
・インバウンド業者が販売しているのは、
 「包括型企画旅行」そのものであり、個別の宿泊、飲食、交通等でない。
→輸出免税に該当する。

2.【所得税】みなし譲渡所得課税

①個人が財産を法人に寄附
  →値上がり益に所得税課税
ただし、公益法人等へ「一定の要件」を満たす財産を寄付した場合は
非課税
※一定の要件
 ・教育又は科学の振興等に著しく寄与する

②贈与された法人が寄附財産を譲渡
  →非課税承認取消
   
ただし、「一定の要件」を満たせば継続
※一定の要件(すべて満たすことが必要)
  ・寄附財産を1年以内に使用した
  ・寄附財産が2年以上使用された
  ・譲渡収入の全額で買換資産を取得した
  ・その買換資産が同種の資産である
  ・譲渡日前日までに買換資産の届出書を提出

3.消費税UPに伴う経過措置のポイント

・旅客運賃等
→平成26年3月末までの購入は5%
・電気料金
→平成26年4月30日までの支払は5%

4.特定役員退職手当等Q&A

〈退職所得の計算〉
【改正前】
(収入金額-退職所得控除)×1/2
【改正後】
収入金額-退職所得控除

※ 適用時期 : 平成25年分以後の所得税について適用

Q:平成24年12月31日に退職した役員で、
平成25年1月1日以後に退職手当が支払われる場合
改正後の規定を適用?

A:原則、退職日で判断。支給額が定められていない場合、金額が定められた日。

5.裁決事例:使用人未払賞与の損金算入に事実の仮装なし

①争点
 未払賞与の損金算入要件である通知日に仮装があったかどうか。

②審判所の判断
 ・損金算入の時期
 →実際の通知日(支給日)が属する事業年度

 ・通知に関する事実の仮装について
 →賞与支給明細に事業年度中の日付が記載されていた事実はないため
  通知日を仮装した事実がないことが明らか

 よって、事実の仮装はないため重加算税の賦課処分のうち
 過少申告加算税を超える部分を取り消した

■関係法令
 ・未払賞与の損金算入の要件
 ①各人別かつ同時期に支給をうけるすべての使用人に対し
   支給額を通知していること
 ②損金経理をしていること
 ③事業年度終了日の翌日から1か月以内に支給していること

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6.【消費税】大規模法人が設立した新設法人は免税点制度の適用対象外


・H26.4.1以後、大規模法人により設立(50%超出資)された
新設法人には、事業者免税点の適用はない。

・ここでの『大規模法人』とは、新設法人の基準期間に相当する
期間における課税売上高が、5億円超の法人。

 《出資法人》         《新設法人》
①【5億円超】  (100%)⇒    課税

②【5億円超】  (60%)⇒    課税
  【5億円以下】 (40%)⇒ 

③【5億円超】  (40%)⇒    免税
  【5億円以下】 (60%)⇒ 

④【5億円超】  (40%)⇒    免税
  【5億円超】   (40%)⇒ 
  【5億円超】   (20%)⇒ 

※【5億円超】、【5億円以下】 は、
新設法人の基準期間に相当する期間における課税売上高

情報提供料と交際費について


■紹介を「業」としない者に対する紹介手数料の支払い
⇒原則として交際費になる

但し、下記の3要件を満たす場合には「正等な取引の対価」となり、
手数料として損金算入される。

①あらかじめ締結された契約に基づくものであること
②内容が契約により明らかであり、
 これに基づき役務の提供がされていること
③金額が役務提供の内容に照らして相当であること

■「契約」について
⇒必ずしも事前に契約書を交わす必要はなく、HP等に
「紹介があった場合には金品の提供をする」旨が謳われていればOK

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8.定額法への変更


・有形固定資産の減価償却方法を定率法から定額法に変更する
上場会社が増えている。

・H22.3期~H24.3期に定額法に変更した会社は44社
 ⇒IFRS適用に備えた変更もある
 ⇒IFRSでも定率法の採用は可能(HOYAは一部に定率法を採用)


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9.関係会社間における土地・設備等固定資産取引の留意事項


・会計上の留意事項

譲渡会社及び譲受会社の株主・債権者の利益確保
→関係会社間取引について、譲渡価額に客観的な妥当性が必要
 (専門家による売買価額の決定、恣意性の排除)。

・税務上の留意事項

①100%資本関係あり(完全支配関係あり)
グループ法人税制の適用→譲渡損益を繰り延べる

②100%資本関係なし(完全支配関係なし)
グループ法人税制の不適用→

→低廉譲渡→譲渡会社:寄附金
     →譲受会社:受贈益

→高額譲渡→譲渡会社:受贈益
     →譲受会社:寄附金

10.グローバル管理会計の3つのポイント

1.経営目的に沿った管理指標の決定
→どのような判断材料を提供すればマネジメントが適切に判断できるか
=この材料が管理指標

2.インフラの構築
→判断材料を提供する仕組み 必ずしもインフラ=ITシステムではない

網羅すべき6要素
①戦略・方針②業務プロセス③人・組織
④レポート⑤方法論⑥システム・データ

3.人的アプローチ
→判断材料の作成と伝達を通じてマネジメントの行動に
心理的影響を与えるためのコミュニケーション
→利害調整をするためのリーダーシップ

11.海外出張費の損金算入について

1週間海外へ出張へいき、途中の2日間を観光に使った場合、
支出額全額を損金算入可能か?

①2日間が土日の場合
⇒全額旅費交通費としてOK

②2日間が平日の場合
⇒支出額の5/7は旅費交通費
⇒従業員の場合は2/7は臨時給与として損金
⇒役員の場合は2/7は損金不算入


12.工事進行基準のポイント 

(1)工事進行基準の適用
  ・税務上→10億円以上の案件(10億円未満は工事完成基準)
  ・会計上→原則全ての案件

(2)適用の範囲
  ・「工事契約」+「ソフトウェア」

(3)工事進行基準のポイント
  ・工事進捗部分について、成果が確実な部分を収益計上
  ※いかにして"信頼性のある見積り"ができるかがポイント
  ※信頼性のある見積りが出来ない場合は工事完成基準

(4)工事損失引当金
  ・「赤字案件」と判明したときに計上

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2012年9月9日日曜日

9/7 勉強会:改正消費税について ほか



1.企業結合 「支配の喪失時の処理」見直し

子会社ではなくなったが、まだ株式を保有している際の処理について、
見直しが検討されている。
  
    案① 時価評価→簿価との差額を損益に
  案② 時価評価→簿価との差額をその他の包括利益に

2.ゴルフ会員権の税務上の取り扱い、変更のポイント

〈預託金制のゴルフ会員権 (預託金債権+プレー権)〉
預託金債権が100%カットされた場合の譲渡所得について
従来 : 譲渡所得=収入金額-プレー権(時価)
今後 : 譲渡所得=収入金額-プレー権(取得価額)


3.行為計算否認と最近の法人税税務事例

・組織再編成税制を巡って、
「租税回避行為」として否認されるケースがある

・具体的にどのようなケースか?
例えば、A社が資本関係のないB社と吸収合併をする。
特定役員引継要件を満たせば、適格合併に該当。
→B社の繰越欠損金を原則として引き継げる。
→税金が減る

この特定役員引継要件を満たすためだけに、
B社の社長を合併会社の副社長に就任させ、実際は名義があるだけのとき。

形式的には適格合併に該当していても、
その制度の目的からみて適当ではないと判断されることがある。

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4.【消費税】課税売上割合に準ずる割合(専用床面積による割合) 


例:建物の清掃費に係る消費税額10,000を面積割合で按分する場合


・課税売上に係る業務で使用する床面積  : 7,000㎡
・非課税売上に係る業務で使用する床面積:   100㎡
・双方の売上に係る業務で使用する床面積: 2,000㎡

(面積計:9,100㎡)

《仕入税額控除》
 10,000×7,000㎡/(7,000㎡+100㎡)=9,859

※双方の売上に共通して使用する部分の床面積は、分母にも分子にも含めない。


【消費税:国外取引にかかる仕入税額控除について】


■国外取引に要する国内の課税仕入れ
(例)国外の土地を譲渡するために、国内の不動産屋に支払った手数料など
⇒すべて課税売上対応となる

課税資産の譲渡等・・・資産の譲渡等のうち非課税となるもの以外のもの
非課税資産の譲渡等・・・国内において行われる資産の譲渡等のうち、
                別表に掲げるもの

⇒国外取引については非課税となるものはないため、
  すべて課税資産の譲渡等になる。


■税額控除(この取引以外の取引がない場合)

①個別対応方式の場合
⇒全額控除(還付)

②一括比例配分方式の場合
⇒控除なし
※国外売上は課税売上割合の計算上考慮されないため、
   課税売上割合ゼロとなり、税額控除もゼロとなる。

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6.組織再編等の差止請求

反対株主→買取請求権

反対であるが、株主として残りたい→組織再編無効の訴え(事後)

事前の救済手段として、以下に該当する場合で株主が
不利益を被る場合は当該行為をやめることを請求可能

 ・全部取得条項付種類株式の取得
 ・株式併合
 ・略式組織再編以外の組織再編が法令・定款違反の場合

※事業譲渡については、取締役の違法行為差止請求権で対応可能なため対象外

7.加算税・延滞税

(1)延滞税
  ・納期限の翌日から2ヶ月以内 年4.3%
  ・納期限の翌日から2ヶ月超   年14.6%

(2)加算税
  ①期限内に申告したが税額が少なかった
   ・過少申告加算税 10%(※)
   ・重加算税      35%
   ※期限内申告税額又は50万円の多い方を超える部分は15%

  ②期限内に申告がない
   ・無申告加算税  15%(※)
   ・重加算税     40%
   ※50万円を超える部分は20%

  ③源泉所得税の場合
   ・不納付加算税  10%
   ・重加算税     35%

8.改正消費税について

①消費税引き上げについて
 ⇒平成26年4月1日より:国税6.3% 地方税1.7% 計8%
 ⇒平成27年10月1日より:国税7.8% 地方税2.2% 計10%

②特定新設法人の免税不適用
 ⇒新設法人の株の50%超を持つ法人・個人事業者の基準期間における
   課税売上が5億円を超える場合は、
   資本金が1,000万円未満でも課税事業者となる。

③自主的中間申告納付
 ⇒前課税期間の確定消費税が60万円未満でも
   申請すれば中間納付可能

■経過措置について
①請負工事の場合
 ・目的物の引渡しが平成26年4月1日以後
 ・契約日が平成25年9月30日まで
 ⇒税率は5%で計算

②水道光熱費等の場合
 ・平成26年4月30日までに支払金額が決定したもの
 ⇒税率は5%で計算

③事務所等の貸付の場合
 ・貸付期間と貸付金額が
     平成8年10月1日~平成25年9月30日までに契約で決定
 ・平成26年4月1日以前からずっと貸している
 ⇒当初決定した契約期間中は5%で計算



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2012年9月2日日曜日

8/31 勉強会:正社員化推進奨励金について ほか



1.共通用課税仕入の分解、課税売上割合に準ずる割合の関係

①課税売上対応分と非課税売上対応分に区分する合理的な基準があれば
分解して計算できる
  
 Ex.課税製品と非課税製品の包装紙代 
   →使用した枚数で区分する

②「①」に合理的な基準がない場合で、
課税売上割合よりも準ずる割合の方が合理的ならば、
申請により準ずる割合を適用できる
  
  注:課税期間中に提出必要(申告期限ではない)


2.税実務QA(贈与税 : 住宅取得等資金の贈与)

Q : Aさんが父から金銭の贈与を受け、土地を購入。その後、自宅を建築予定。
       (※ 自宅完成後はAさんが居住する。)
       父からの金銭の贈与について、贈与税の非課税の特例の適用が受けれるか。

A : 500万~1500万円について、贈与税が非課税となる。 
 ※贈与年度により異なる。

 ※ 適用対象期間 : 平成24年1月1日~平成26年12月31日の贈与
 ※ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅家屋を建築し、
   自分が住むことが要件


3.消費増税法成立


・8月10日の参議院本会議で消費税率10%への引上げを定めた法案が可決・成立
・2014年4月に8%、2015年10月に10%に引上げ
→初めて具体的な時期が明記された



(参考)我が国の税収の推移出所:財務省ホームページより


・ここ10年くらいで見ると、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少していますが、
消費税は毎年10兆円程度の税収が続いており、
税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えます。

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4.【消費税】課税売上割合に準ずる割合Q&A ~従業員割合~


従業員割合を『準ずる割合』として使用する場合の留意点

・期末時点の従業員数(非常勤以外の役員、アルバイトを含む)のうち、
課税売上事業と非課税売上割合事業に従事する従業員の割合を使用する。

・海外勤務者、休職中の者は除いて『準ずる割合』を算出する。
・課税売上事業と非課税売上割合事業の双方に従事する者は、
『準ずる割合』の計算から除外する。
・非課税売上事業に従事する者がいないことをもって、全額控除は出来ない。
(『準ずる割合』が事業実態を反映していることが必要)


【法人税】リースに係る金銭債権の貸倒引当金設定対象額について


■貸倒引当金制度の対象
①中小法人等
②銀行・保険会社等
③リース取引に係る金銭債権等

⇒③については法人の規模・業種等を問わない
※基本的にはリース会社が対象となる

■税務上設定対象となる債権額
⇒事業年度終了の時において支払期日の到来していないリース料の額
 (元本+利息)
  
■リース会計基準における資産計上額
リース債権(所有権移転)またはリース投資資産(所有権移転外)として計上されるが、
原価相当額しか計上されない。
⇒未経過リース料について注記が求めれるが省略可

<まとめ>
税務上、設定対象は未経過リース料相当額(元本+利息)であるが、
会計上は元本部分しかB/S計上されない。
よって適用の際は注記に関する内容も申告書に添付するのがベター。

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6.土地再評価差額金とその他の包括利益


法人税率変更⇒評価差額の税効果変更⇒土地再評価差額金の金額変更
⇒この純資産変動は「その他包括利益(OCI)」に計上。
⇒PLを通さない

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【助成金について】 

7.正社員化推進奨励金について

⇒パートタイム労働者を正社員に転換させた場合に最大220万円貰える制度

【要件】
①就業規則でパート→正社員の転換制度を規程する。
②制度導入後2年以内に1名以上が正社員に転換する。
③転換する社員は転換前に6ヶ月以上パートタイム労働者として雇用 等々

【支給額】
①最初の1人→40万円
②2人目から10人目→20万円


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