2012年5月9日水曜日

【会計】「年金積立不足、14年3月期から負債に計上」のニュースについて



日経新聞、5月9日朝刊に、
「年金積立不足、14年3月期から負債に計上」というニュースが報じられました。

これについて、会計の視点から内容を整理してみたいと思います。

会計基準がどう変わるのか?

【前提】
企業の貸借対照表には、企業が負担する予定の債務(退職給付債務)と、そのために積み立てている資産(年金資産)がそのまま載っているのではなく、
両社の差額である「退職給付引当金」が負債として計上されています。

※ つまり、総額ではなく、相殺後の純額が載っているイメージです

退職給付債務は金利や給与水準等によって、年金資産は運用益によって、年々増加していくのが通常であり、
上記、「退職給付引当金」を計算する際には、一定の増加率を加味して、現在引き当てるべき金額を計算しています。

ただし、予め計算した「一定の増加率」どおり金利や運用益が動くとは限らず、
当初想定していた引当金に過不足(数理計算上の差異)が生じることがあります。

【会計基準の変更】

これまで
・上記の過不足が生じた場合、数期間に分けて財務諸表に反映していく

今後
・上記の過不足を、分かった時点で即座に財務諸表に反映する

※ 「いずれ」計上していたものを、「今すぐ」計上するだけ、とも言えます。
※ なお、改正に伴って「退職給付引当金」は「退職給付に係わる負債」に名称が変更される予定です。

なぜ変わるのか?

IFRSでは、②の処理を原則としているため

BSへの影響は?

年金積立が不足している多くの企業で、負債( 退職給付に係わる負債 )が一気に増加する
⇒ 自己資本比率低下

PL(当期純利益)への影響は?

なし

引当金の相手勘定は、その他包括利益として処理。
当期純利益への影響は、今まで通り数期間に分けて反映されていく。

いつから変わる?

2011年4月1日以後開始される事業年度の期末から
⇒ つまり、2012年3月期決算から変更になります

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