2012年10月5日金曜日

10/5勉強会:所得税:特定支出控除の質疑応答について ほか



1.現金を対価とする少数株主の排除(キャッシュアウト)の手法

■現状、一般的なスキーム
全部取得条項付種類株式を活用
※全部取得条項付種類株式=当該種類の株式について、
会社が株主総会の決議によってその全部を取得することができる株式

(デメリット)
・株主総会特別決議を要する。
→時間的、手続き的コストが大きい。

■会社法制の見直しに関する要綱で、盛り込まれたスキーム
特別支配株主(総株主の議決権の90%以上保有)の株式等売渡請求。
※株式等売渡請求=株主は株主全員に対し、
所有する株式の全部を特別支配株主に売り渡しを請求できる制度

(メリット)
・特別決議を要しない。
→時間的、手続き的コストの問題クリア。

(税務上の取扱い)
・あくまで株主間取引であるため、株主への課税のみで課税関係終了。
⇒手続き、課税の両方に優位性のあるスキーム


2.相続の際の債務等超過分の控除

・相続人の中に債務等超過分の控除可能者が複数いる場合、
控除するにはそれら全員の合意が必要。

※債務等超過分とは?
各相続人の負担が確定していない債務等のうち、
各相続人の取得した財産を超える部分


3.弁護士会役員の交際費の費用計上について

⇒個人事務所をやっている弁護士が、
地域の弁護士会の役員として会合等に参加した場合に
経費として認められるか?

⇒弁護士会等の活動は弁護士としての業務に密接に関係があるため、
必要経費として認められる。

■具体例
①懇親会会費等は費用として認められる。
②懇親会の2次会会費は費用としては認められない。
③一泊の打ち上げ旅行を行い参加費は、費用として認められない。
⇒私的な側面が強いものは経費として認められない。

4.Q&Aで読み解く二世帯住宅の敷地に係る小規模宅地等の特例

■ポイント
二世帯住宅の場合、建物内部で自由に行き来ができる構造だと
一軒屋に同居していると認められて
小規模宅地等の特例の適用が受けられる。

■事例
前提:父親が所有する敷地の上に、二階建の二世帯住宅を建築し
1階に父親と母親、2階に息子とその家族が住んでいる。
父親が死亡し、母親と息子が敷地と二世帯住宅を相続した場合

①二世帯住宅の内部で行き来が自由にできる構造の場合
→母親と息子が相続により取得した宅地は、特定居住用宅地等として
 小規模宅地等の特例の適用がある。

②外付けの階段を利用しないと二世帯住宅の行き来ができない場合
→母親が相続により取得した宅地には、小規模宅地等の特例の適用があるが
 息子が取得した宅地には、小規模宅地等の特例の適用がない。

⇒内部で自由に行き来ができるということは、二世帯住宅といえども
 一軒の家に同居しているのと同じという判断である。
 内部での行き来ができない構造だと、
 それぞれの世帯が居住している空間がわかれているため
 一軒の家に同居しているとは認められない。

-------------------------------------------------------------------


5.【統計】国税庁 平成23年分の民間給与実態統計調査を公表


・非正規雇用込みの平均給与は409万円。前年比3万円減。

・給与所得者数はH20年に次いで過去2番目に多かった。

・給与総額は前年比0.4%減。

・源泉徴収税の総額は前年比4.2%増。

所得税:特定支出控除の質疑応答について


■特定支出控除とは
⇒その年の特定支出
(資格取得費用・書籍購入費用・衣服購入費用などで一定のもの)が
給与所得控除額の1/2を超える場合にその超える金額を給与所得控除額に
加算できる制度。
H25年分以後の所得税について適用。

■質疑応答(抜粋)
①専門学校の授業料(2年コース)を前払いした場合、
全額が支出年の特定支出となるか
⇒全額はNG。授業料を按分して計算する。

②法科大学院に通うための費用は特定支出となるか
⇒司法試験の受験資格を得る為に必要であり、
資格取得のための費用と認められるため特定支出となる。
なお、会計大学院の費用は受験資格を得る為のものでないためNG。

③スポーツ新聞の購読料は特定支出になるか
⇒業務の遂行上必要であり、給与の支払者(会社)により
必要であることを証明されたものについては特定支出となる。

④背広を購入するための支出は特定支出になるか
⇒背広着用の社内規定がある、
 または着用の慣行がある場合には特定支出となる。

⑤自己負担した交際費は特定支出となるか
⇒職務の遂行上直接必要であり、
給与の支払者(会社)により証明がされたものは特定支出となる。

-------------------------------------------------------------------

7.グループ内での資産譲渡と組織再編の課税問題を検討する


■グループ内で資産を譲渡した後の適格組織再編が
 どのように繰延譲渡損益に影響するか。

【結論】:資産を譲渡した後に適格組織再編があった場合には、
     繰延譲渡損益は実現はしない。

【留意すべきケース】
<ケース1>
・譲渡損益調整資産がグループ内の法人の株式の場合
 →発行法人が適格合併により消滅すると繰延譲渡損益は実現する。

<ケース2>
・譲受法人が解散した場合
 →適格合併とは異なり、繰延譲渡損益は実現し益金算入される。


8.シェアードサービス(SSC)の現状と改善


(1)シェアードサービスを導入している企業が増加
  →効果が上がらない企業も増加

(2)ポイント
  ①当初の目的が達成できているかを節目に確認
    (3年、5年、10年等)
    ※導入自体が目的ではない
  ②業務の標準化、可視化
    ※形だけのSSCにならないように
  ③SSC配属社員のモチベーション維持
    ※将来のキャリアパスを描く
  ④可能な範囲でのシステムの共通化
    ※業務集約効果が向上


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


株式会社ストリーム http://strm.co.jp/ (ご相談無料)


0 件のコメント:

コメントを投稿