2012年12月24日月曜日

12/22 勉強会:所得税:復興特別所得税の源泉徴収について ほか



1.オプション取引の有効性判定で国敗訴


■法人税法上
原則:為替相場15%以上変動した場合→外貨建資産等は、期末日レート換算OK
→為替差損を損金参入OK
例外:デリバティブ取引で為替リスクをヘッジした場合
→損金参入不可
※1.例外の例外:当該リスクヘッジが「有効」でない場合
→損金参入OK

■ポイント
※1.における「有効」の判定方法が法人税法とヘッジ会計上で異なる。
→法人税法上=デリバティブ比較法にて判定する。
→ヘッジ会計上=デリバティブ比較法と基礎商品比較法が認められている。

■本件
・デリバティブ比較法=有効でない
・基礎商品比較法=有効
→納税者はデリバティブ比較法に基づき損金参入した。
→税務当局は、国税庁のHP公開の質疑応答事例により、
 基礎商品比較法により「有効」であれば法人税法上も有効とした。

■結果
・国側の敗訴(控訴検討中)

退職給付会計適用で税効果会計に混乱


■退職給付会計基準の改正
平成25年4月1日以後開始する事業年度の財務諸表より適用

■変更点
・連結:未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を
     負債or資産計上
・個別:変更なし(見積りに差異が発生してもオフバランス)

■問題点
・個別と連結で将来減算一時差異に相違が生じる可能性がある。
→繰延税金資産の回収可能性の判断時における会社分類が
 連結と個別で異なる可能性がある。

■結論
・連結においても個別における会社分類に合わせる。


3.タックスヘイブン対策税制提供除外要件を巡り納税者勝訴


<タックスヘイブンとは>
タックスヘイブン税制とは、法人税率が低い国に子会社を作り、
親会社の所得をその子会社へ寄せて
税額軽減をしようとすることを規制するもの

タックスヘイブン税制の適用を回避するために必要な要件
①実体基準(その子会社が海外で実体的な事業を行っている。)
②管理支配基準(その子会社が海外で事業の管理・支配を自ら行っている。)

<事例:シンガポール子会社A社>
国の主張
①シンガポールに事務所等の固定施設を所有してないため
実体基準を満たさないのではないか?
②株の99%を保有する者が日本法人であり、
意思決定は日本で行われたため管理支配基準を満たさないのではないか?

判決
①A社はレンタルスペースで机1台を借りており、事務所としては十分な広さである。
②株主総会はシンガポールで行われており、
現地の役員が株主総会に参加しているため、
意思決定はシンガポールで行われた。
よって、実体基準・管理支配基準ともに満たすと判定。


4.停止条件付贈与契約、固定資産税の精算etc


■措置法40条とは
 個人が土地建物等の財産を公益法人等に寄付(贈与)した場合、
 その寄付が教育または化学の振興など一定の要件を満たすものとして
 承認を受けたときは、所得税を非課税とする制度

 本来は、寄付をした時の時価で譲渡があったものとみなされて
 その時価が取得価額を上回っているときはその部分に譲渡所得が課せられる。
 しかし、教育や科学など日本の国力アップに役立てるための寄付については
 特例を作って譲渡益課税をしないこととした。

■留意点
 ①棚卸資産は適用対象資産ではない。
  例:商業画家が自己の作品を寄付した場合→適用なし
    その後、画家が死亡してその作品を相続した妻(専業主婦)が
    寄付をした場合→適用あり

 ②株式を寄付した場合は、その株式に係る配当金の全部が
   公益目的事業のために使われないと適用がない。

 ③資産とその資産に紐付きの債務を一緒に寄付した場合は適用がない。
  例:土地とその土地の取得したときの借入金を一緒に寄付した場合
  →適用なし

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【消費税】個別対応方式または一括比例配分方式と決定した理由(95%ルール適用対象外による)


95%ルールの摘要が受けられなくなった企業がそれぞれの方式を
選定した理由は下記の通り。
 ※税務通信取材による

■個別対応方式
・税額の比較で個別対応方式が有利
・今後想定される税率引き上げに伴い、より比較有利になる

■一括比例配分方式
・事務負担の軽減
・区分ミスに拠る否認リスクの回避


【所得税:復興特別所得税の源泉徴収について】

■国税庁公表 復興特別所得税Q&A(抜粋)

<復興特別所得税>
⇒平成25年1月1日~平成49年12月31日までの間に生ずる所得について
源泉所得税を徴収する際、併せて徴収される

Q:平成24年12月分の給与(毎月支払いは翌月と定めている)を
25年1月に支払う場合、復興特別所得税の徴収は必要か?

A:決議等により支給日が定められている給与は、
その支給日の属する年の収入となる。
→25年1月1日以後の給与所得となるため復興特別所得税の徴収が必要。

Q:平成24年12月に役務提供が完了した税理士報酬を翌年1月に支払う場合、
 復興特別所得税の徴収は必要か?

A:役務提供にかかる収入はその役務提供が完了した日の属する年の収入となる。
→24年12月31日以前の所得となるため復興特別所得税の徴収は不要。

<まとめ>

25年1月に支給される給与⇒復興特別所得税の徴収が必要
25年1月に支払う税理士報酬等⇒役務提供が1月に行われたものは
                     復興特別所得税の徴収が必要

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7.税効果Q&A改正案

退職給付会計基準の改正により未認識項目について
 連結:負債計上
 個別:簿外
となったことで、個別と連結とで会社分類がかわり、
回収可能性に相違が生じるのでは?
との疑問があった。

結論は連結における会社区分は個別における会社区分と変わらない
となった。


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