2014年1月20日月曜日

1/17 勉強会:平成26年度税制改正解説 他

1.消費税額の計算方法(端数処理の特例)について

【改正内容】
・端数処理の特例が、H19.3末に廃止されていた
(総額表示義務となったため)
H26.4.1以降からは、特例が復活
(税抜表示も認められるようになったため)

【消費税の計算】
例)税込み100円(本体93円 消費税7円)の商品100個を販売
・原則
100円×100個 = 10,000
10,000円×100/108 9,259円 ⇒ 9,000
9,000円 × 8% 720
・端数処理の特例
7円×100個 = 700


2.平成26年度税制改正解説

■法人税関係
 ①復興特別法人税の廃止
  平成2641日以後開始事業年度から
 ②地方法人税(仮)の創設
  法人住民税の法人税割の税率を17.3%→12.9%へ
  引き下げ分を地方法人税として国が徴収
 ③交際費
  飲食のために支出する費用に限りその額の50%の損金算入を認める
  中小法人に係る損金算入の特例は、現行の800万円までの全額損金算入制度との選択適用となる

■所得税関係
 ①給与所得控除の見直し
  平成28年分より給与収入1,200万円、給与所得控除額230万円を上限とする
  平成29年分以後給与収入1,000万円、給与所得控除額220万円を上限とする
 ②NISA
  NISAに係る口座を1年毎に変更できる制度とする
 ③ゴルフ会員権
  譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない
  生活に通常必要でない資産の範囲に加える
  平成2641日以後に行う資産の譲渡等について適用される


3.株式交換でも寄附株式の非課税を明確化

■個人が公益法人等に対して財産を寄付
→一定の要件を満たせば、みなし譲渡所得課税()が非課税となる
※資産を無償で譲渡した場合等に、譲渡時の時価により譲渡があったものとみなして課税するこという

■上記、非課税適用も以下のケースについて課税リスクを懸念する声
A社とB社において、寄附株式の発行法人Aを完全子法人とする株式交換が実施され、対価としてB(親会社)株式が割り当てられた
結果、公益法人等はB株式を保有することになった

■平成26年度税制改正(平成2641日以後に行われる株式交換に適用)
”適格”株式交換に限り、非課税が引続き適用されることが法令上明確化される



4.当局が想定する調査手続不適切事例

■課税当局が認識している税務調査手続の不適切事例
・事前通知
・物件留め置き
・更生等非該当通知
・調査結果の内容の説明等

■事前通知に係る事例①
・税務調査の手続において納税義務者に連絡を取ることが困難なため担当税理士に納税義務者への事前通知を任せた。
⇒税務調査を行う際の事前通知は当局から納税義務者に行う。
 連絡が困難な場合は、無予告調査を視野に入れることになる

■事前通知に係る事例②
・納税義務者への税務調査の連絡を行った直後、担当税理士から当該税理士に連絡がないと苦情が入り課税当局が税務調査を取りやめた。
⇒事前通知の順番は法定化されておらず、当該税理士からの苦情は非合理的な調査の中止となる。


5.【相続税】平成25年度改正

■被相続人が老人ホームに入所した場合の「特定居住用宅地等」
⇒適用要件が明確化された。

<適用できる場合>
・被相続人が要介護認定等をうけていること
・入所後、家屋を貸付の用に供してしない場合で、
入所直前まで同居していた相続人等につき適用がある。
※入所後あらたに移り住んだ相続人等には適用なし

■二世帯住宅(区分登記なし)に係る改正
⇒要件が緩和された。
<改正前>
家屋内で互いに行き来できない構造である場合⇒適用なし
例:1Fに父、2Fに子がそれぞれ独立して生活している場合など⇒別居扱い

<改正後>
被相続人の居住の用に供されていた部分は親族の居住の用に供されていた部分に含まれるものとみなすこととした。
居住実態の明確な把握は困難であるため、区分登記していない二世帯住宅については原則として小規模宅地特例が受けられることとなった。


6.【法人税】資本的支出の20万円基準は費用の総額で判定

・固定資産の修理改良に要した費用が20万円未満であれば、資本的支出に相当するものが含まれていても、全額を修繕費として損金算入できる。(法基通7-8-3)

20万円の基準は、資本的支出相当部分の金額で判定するのではなく、全体で判定する。

■例①
•固定資産の改良に18万円支出した。全額が、資本的支出に相当する。
18万円を一時の損金にできる。

■例②
•固定資産の部品を高品質のものに交換し、23万円支出した。
•従来品質の部品への交換コストは8万円であり、資本的支出部分の金額は15万円である。
8万円は修繕費として一時の損金にできるが、15万円は資本的支出として資産計上が必要


7.会社法改正案の概要

(1)コーポレート・ガバナンスの強化
監査役設置会社、委員会設置会社に加え、監査等委員会設置会社の設置

監査等委員会設置会社とは監査役、指名委員会及び報酬委員会を置かず、社外取締役を中心とする監査等委員会が監査や監督機能を担う

(2)親子会社に関する規律の整備
 親会社株主の保護の観点から「多重代表訴訟制度」が創設
 ・訴訟提起権者:議決権の100分の1以上を有する株主に限定
 ・訴訟の対象:株式の帳簿価額が総資産額の5分の1を超える完全子会社に限定 ※海外子会社は含まない

(3)その他
株主保護の観点から「組織再編等の差止請求を行うことが出来る制度」
 債権者保護の観点から「詐害的な会社分割により害される債権者が一定の場合に承継会社等に履行を請求できる制度」


8.平成26年度税制改正大綱のポイント

■復興特別法人税の1年前倒し廃止
 ⇒復興特別法人税の課税期間終了後において、利子や配当に課される復興所得税の額は、所得税の額と合算して各事業年度の法人税の額から控除が出来る。

■交際費課税の緩和
 ⇒大法人については平成2641日から開始する事業年度について、交際費のうち飲食のために支出する費用の額の50%を損金算入可能
※社内接待費は含まない

■簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
 ⇒金融・保険が60%から50%に、不動産が50%から40%に引き下げ

■消費税の課税売上割合計算の見直し
 ⇒金銭債権の譲渡については全額を対価の額に算入していたが、平成2641日以降は対価の額の5%相当を対価に算入する

■地方法人税(国税・仮称)
 ⇒基準法人税額(課税標準)に4.4%乗じた額を地方法人税として申告・納付を行う制度が、平成26101日以降開始事業年度より開始される






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