2015年2月14日土曜日

2/13 勉強会:役員の就任登記、住民票や運転免許証が必要に 他

1.私道の相続税評価額、ゼロ評価となる分岐点

■財産評価基本通達での私道の評価
 ・原則:通常の宅地として評価した金額の30%相当額
 ・例外:その私道が不特定多数の人に使用されている場合は評価しない

■私道の価額を評価しない具体例
 1、公道と私道に接続しているいわゆる通り抜け道路

 2、行き止まり道路ではあるが、その私道を通行しないと地域の施設、商店街等に出入りできない場合における、その私道

 3、私道の一部に公共バスの転回場や停留所が設けられていて、不特定多数の者が利用している場合における、その私道
 ⇒使用している人が特定されない、私有物としての利用が制限される、など。

私道を廃止して宅地となる可能性は極めて小さくなるため評価しない。
 ⇒「位置指定道路」(建築基準法が規定する道路の一つ)となっている私道、固定資産税評価額が0円である私道でも上記に該当しなければ30%相当額で私道を評価をすることになる


2.タックスプランニングはほぼ現行通りに

・タックスプランニングの実現可能性に関する判断指針の取扱いの概要が明らかとなった。
⇒基本的には監査委員会報告第66号をほぼ踏襲
⇒「分類3※」の企業については、一部取扱いが見直しされる方向

従来:将来の合理的な見積可能期間(おおむね5年)以内の一時差異加減算前課税所得の見積額に基づいて、当該期間の一時差異等のスケジューリングの結果、繰延税金資産を計上している場合には、当該繰延税金資産は回収可能性有り

見直し:課税所得が不安定である原因、中長期計画(おおむね3年~5年の計画)及び達成状況、過去(おおむね3年)及び当期の課税所得の推移等を勘案して5年を超える期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合であれば、当該繰延税金資産は回収可能性有り

※下記の2つを満たす企業が該当
 ①過去(おおむね3年)及び当期における課税所得が不安定である、
 ②過去(おおむね3年)及び当期のいずれの事業年度においても重要な税務上の欠損金が生じていない


3.償却資産の美術品に係る固定資産税は?

■概要
・法人税の基本通達の改正を受け、固定資産税でも同様に取扱いを変更する

■以下を満たせば償却資産となる
・美術品
・時の経過により価値が減少しないもの以外
・取得価格が1100万円未満

27年度の償却資産税の申告の影響
2711日現在で持っているものは申告対象
・申告後に償却対象資産があると判明した場合
27年度の修正申告か28年度で申告
⇒その場合延滞金は徴収されない


4.粉飾決算巡る監査法人の責任問題で判決

(事例)
 東証一部上場のニイウスコー社による粉飾決算が発覚
⇒株主が監査法人に対して2,600万円の損害賠償を請求
 (会計監査人としての監査義務を怠たり粉飾決算を看過した結果、損害を被ったと主張)

(判決)
 被告監査法人は金商法所定の損害賠償責任を負わないと結論

(判決理由)
 被告監査法人は監査基準が求める水準の監査を行っていたと言え、本件有報等に虚偽がないと証明した点に故意過失が認められないため

(要するに)
 被告監査法人は粉飾決算を看過したが、会計監査人としてやるべきことをやっていた(と、裁判所は判断)ので、損害賠償責任は負わずに済んだ。


5.9号買換え、同一市内でも繰延割合に差

9号買換えのおさらい
(1)10年超所有した土地や建物を譲渡
(2)新たに土地や建物、機械装置等を事業用として購入
(3)(1)の資産の譲渡につき譲渡益が発生した場合には、譲渡益の80%相当額が繰り延べられる (新たに取得した土地や建物を譲渡したときまで)

H27年税制改正により、
地方から「大都市等」への買換え ⇒ 75%相当額が繰り延べ
地方から「東京23区」への買換え ⇒ 70%相当額が繰り延べ
上記以外 ⇒ 現行通り80%相当額が繰り延べ

適用期限はH29331日まで

■大都市等の範囲
東京都は立川市、青梅市、昭島市、町田市も含まれる。
神奈川県は横浜市や川崎市等。
なお千葉県や中部圏、近畿圏については、同じ市であっても区域や住所によって、「大都市等」に該当するかしないか異なるため要注意

■結論
9号買換えを行う場合には、移転先がどの区域によるか見極めたうえで、課税繰延割合を判断する必要がある


6.使用人の不正行為で税理士に懲戒処分も

税理士法改正に伴い、税理士事務所又は税理士法人の従業員が不正行為を行った場合の懲戒処分が明確化。

下記、懲戒処分については、H2741日以後より適用される。

■懲戒処分となる例
(1)従業員の不正行為を社員税理士等が認識していた場合
  ⇒社員税理士等が不正行為を行ったものとして懲戒処分される

(2)(1)につき、社員税理士等が認識していない場合
  ⇒懲戒処分はされないが、内部管理体制に不備がある場合は、
   社員税理士等の過失により不正行為を行ったものとして懲戒処分される

(3)(1)(2)に該当しない場合
  ⇒懲戒処分はされないが、社員税理士等が従業員に対する監督義務違反とされ懲戒処分される

(4)社員税理士が不正行為を行った場合
  ⇒他の社員税理士が不正行為を認識していた、また管理体制の不備等により過失があると認められる場合は、他の社員税理士も懲戒処分される

■そのほか明確化される税理士法の改正点
・懲戒処分による業務停止期間は上限2年に引き上げ
・税理士会の会費滞納者は「戒告」
・停止処分中は税理士業務を禁止
・税理士法人の解散届出をしなかった場合は「戒告」


7.役員の就任登記、住民票や運転免許証が必要に

H27.2.27から一部登記手続きが変更に。
(1)役員就任時の必要書類
(変更前) 登記申請書、就任承諾書
(変更後) 上記に加え、就任役員の住民票コピー or 運転免許証写し等

(2)代表取締役辞任時の必要書類
(変更前) 登記申請書、辞任届
(変更後) 上記に加え、辞任者個人の印鑑証明書等

(3)役員欄への婚姻前の苗字併記について
(改正前) 登記簿には、現在の姓しか記載されず。
(改正後) 役員等就任時に申請すれば、婚姻前の旧姓も登記簿に載せられる。
 ⇒経過措置:H27.8.28迄なら、登記申請のタイミングでなくても、旧姓の記載を申請できる。


8.海外転勤と住民税

■住民税の課税対象者
その年11日において国内に住所を有している者

■海外転勤した場合
(例)平成2741日~平成30331日まで海外転勤した場合

26年度所得に係る住民税⇒2711日時点で住所を有するため納税義務あり
2711日~331日所得にかかる住民税⇒2811日時点で住所がないため納税義務なし
3041日~1231日所得にかかる住民税⇒3111日時点で住所があるため納税義務あり

(まとめ)
①住民税は前年の所得に対して課税される
②(翌年)11日時点で住所を有すると課税される
その年1231日に出国するとその年の住民税を支払わずに済む


9.所得税:多くの外国人駐在員は国外転出課税の対象外に

■国外転出課税の対象
 有価証券等を1億円以上有し、かつ、「国外転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間(国内居住期間)の合計が5年超である者」とされている。
 
 日本企業の外国人取締役等が本国に帰国する際に、該当するのか気にする向きがある。

■就労ビザによる滞在は『国内居住期間』から除外される
 『国内居住期間』の5年長の判定上、就労ビザによる滞在は除外される。
従って、多くのケースでは国外転出課税の対象外になるものと思われる。
 
 一方、日本人の配偶者等であることに基づく定住者としての在留資格に係る滞在期間は『国内居住期間』に含まれるため、注意が必要。


10.関連会社配当と税効果

H27税制改正で受取配当の益金不算入制度が見直し

負債利子控除を除いた全額が益金不算入:25%以上⇒1/3超へ

25%超~1/3以下の保有割合の場合、注意。
⇒益金不算入の割合が100%から50%
⇒申告実務だけではなく税効果にも影響あり

会計上、関連会社の留保利益のうち、
将来の受取配当により追加の納税が出る部分を繰延税金負債として認識する。
※関連会社の稼いだ利益のうち、親会社持分割合は毎期持分法により、関連会社株式に加算するが、将来の配当により納税が生じる分は繰延税金負債を計上する
⇒この繰延税金負債の金額が変動することとなる。


11.事業承継税制の主な改正点

■改正時期
 平成2711

■主な改正内容
 適用対象者(後継者):
  ・親族以外を対象とすることも可能に
 先代役員の位置づけ:
  ・代表権のない役員として残留が可能に
  ・給与受給も可能に
 雇用の確保要件:
  ・5年毎年雇用の8割以上を維持→5年平均して8割維持すればOKに。


12.事務運営指針(調査手続きの実施に当っての基本的な考え方等について)

税務調査についての事務運営指針ですが、前回ご紹介した「調査か、行政指導かの明示」以外は、常識的な話が書いてあるだけでしたので、あとは主なものを箇条書きにします。

【全般事項】
・(第1章)調査は、社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行う

【事前通知】
・(第22(2)) 納税義務者が調査開始日時の変更を申し出た場合、その理由と行政目的を比較して判断を行う(税務代理人の事情によるものであっても同様)
・(第22(3))事前通知なしで調査を開始する場合、臨場後速やかに「調査目的」「対象税目」「対象期間」等を通知する

【調査中の手続き】
・(第23(2))非違が疑われた場合には、通知した項目以外の項目を質問検査する(できる)
・(第23(5))帳簿書類の留置は、迅速な調査のために合理的と認められる場合のみ。
返還を求められた場合は、すみやかに返還する。返還できない場合は理由を説明し、不服申立てが出来る旨を伝える。
・(第23(6))反面調査の実施にあたっては、その必要性、事前連絡すべきかどうかを十分検討する

【調査終了】
・(第24(5)) 納税義務者の同意を得れば、調査結果は納税義務者に代わって税務代理人に伝えることができる








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