2015年4月5日日曜日

4/3 勉強会:事業所税:みなし共同事業 他

1.特許業務法人の社員は法人税法上の役員に該当

■まとめ
・特許業務法人の社員は法人税法上の役員に該当し、かつ使用人兼務役員と該当しない

・実質的に代表社員がすべての業務を執行する権限を持っており、他の社員が意見を挟む余地がないとしても、それは代表社員の意向を他の社員が承認、追認していることになり意見を述べないこと=法人の経営に従事していないことになるわけではない

・弁理士法において許業務法人の社員は、すべての業務を執行する権利と義務を有していることから社員各自が業務を執行する機関となる。
(使用人として雇用され労務を提供を行っているわけではない)
 そのため、使用人兼務役員に該当しない。


2.補助金等を受けた設備

・補助金等を受けた設備であっても、平成26年度税制改正で創設された生産性向上設備投資促進税制の適用を受けることが可能。
ただし補助金側で「税制との適用は不可」と明記されているものは上記の適用不可。
例:「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」


3.受取配当、負債利子控除の計算方法が変更

■受取配当等の益金不算入の計算に改定が入る見込み
 ⇒負債利子控除の計算方法が変更される

■変更されるものは「総資産按分法」の分母部分
・総資産の調整項目の中にある、
 「その他有価証券」に係る評価益等相当額を削除、加減算なし

・評価益>評価損の場合、益部分が総資産から控除されなくなる
 ⇒総資産が大きくなる
 ⇒控除対象となる負債利子額が減少する
 ⇒益金不算入額が増える

27年度改正との関係
・負債利子控除が求められるのは関連法人株式等(1/3超)のみ


4.内外判定

■消費税法の適用要件(いずれも満たすこと)
・事業者が事業として行うものであること
・対価を得て行うものであること
・資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること
・国内において行うものであること⇒「今回の論点」

■「国内において」行うものであることの判断基準
(1)資産の譲渡又は貸付
原則:譲渡又は貸付時の資産の所在場所

例外:国際間を往復する資産(船舶や航空機)や無形固定資産など
たとえば、
・特許権、商標権:登録機関の所在地
(二以上の国で登録している場合には譲渡者又は貸付者の所在地)
 ⇒日本で登録した特許権をアメリカ企業に譲渡又は貸付・・・国内取引
 ⇔アメリカで登録した特許権を国内企業に譲渡又は貸付・・・国外取引

(2)役務の提供
原則:役務の提供が行われた場所

例外:国際間に渡って行われる役務の提供や役務提供地が明らかでないもの
たとえば、
・国際運輸:出発地又は到着地
 ⇒飛行機で日本からアメリカ(アメリカから日本)へ・・・国内取引
 ⇔飛行機でアメリカからブラジルへ・・・国外取引


5.国税庁、当たり馬券の払戻金の所得区分で所基通改正案を公表

当たり馬券をめぐる最高裁判決を受けて、所得税法基本通達の一部が改正されることとなる。

■所得税法基本通達34条-1の改正案
(改正前)
競馬の馬券の払戻金等は一時所得に該当する。

(改正案)
競馬の馬券の払戻金等(営利目的とする継続的行為から生じたものを除く)は一時所得に該当する。
()長期間にわたり網羅的に購入した馬券の払戻金は雑所得に該当する。

∴注書きとして、
 特殊な馬券の購入による払戻金は「雑所得に該当する」旨を明記する案が検討されている


6.本社の地方移転で税制優遇、認定制度は今年夏頃スタート

『地方拠点強化税制』
・東京23区に本社のある法人が、本社機能を地方へ移転した場合にメリット

(メリット1) 移転先で取得した建物等につき、特別償却・税額控除
(メリット2) 移転先での新規雇用につき、税額控除

・移転先の都道府県知事の認定が必要(申請から2週間程度)
・認定制度のスタートは、今年の9月頃から


7.事業所税:みなし共同事業

■事業所税の課税要件
(1)資産割 ⇒事業所床面積合計が1,000㎡超 <1600円>
(2)従業者割⇒従業者合計数100人超 <給与総額×0.25%>

原則は単一の法人で判定するが、「みなし共同事業」に該当する場合は複数の法人の合算で納税義務を判定する。

※みなし共同事業⇒同一家屋内で50%超子会社が事業を行っている場合などが該当

∇設例(B社はA社の100%子会社とする)
A社 床面積 900㎡ 従業者90人 
B社 床面積 300㎡ 従業者30

A社の納税義務は、B社を含めて判定する
⇒床面積1,200㎡ 従業者120人となり、資産割・従業者割ともに納税義務あり

(留意点)
・課税標準は単体の床面積、従業者給与総額となる。
・子会社は納税義務なし


8.消費税:太陽光発電 連系工事費負担金等は消費税の課税取引に該当

■系統連系工事とは
 発電業者の太陽光発電設備を電力会社の電力網に接続するための工事のこと。
 工事費用は発電業者が負担し、その設備は電力会社に帰属する。
 通常は発電設備の取得のあとに系統連系工事を行うが、系統連系工事が完了して初めて発電設備は事業供用が可能となる。

■消費税上の取り扱い 
 ・太陽光発電設備の取得費用(法人税上は固定資産)
 ・系統連系工事費負担金(法人税上は繰延資産)
 いずれも課税取引に該当する。法人税上の償却期間に関係なく、課税仕入れを行った日の属する課税期間において仕入税額控除を行う。

■留意点
 ・仕入税額控除は課税資産を行った日の属する事業年度に行う。一方で減価償却の開始は事業供用年度から。
 ・発電設備取得から系統連系工事完了の間に決算期が到来する場合には、双方の課税仕入について仕入税額控除のタイミングが異なることになる。
 ・一方で、償却開始のタイミングは同じ期(翌期)となり一致する。


9.関連当事者注記

1.役員の範囲  創業者が役員を退任したケース
 ・役員を退任後も、役員と同等の影響力がないかを実質的に判断する

2.役員を退任した創業者への顧問料は開示対象外の役員報酬に該当するか?
 ⇒該当する。
  「役員に準ずる者」=関連当事者の範囲に含まれる
  かつ、顧問料は開示対象外の役員報酬に該当しない

3.SOの行使
 ・役員によるSOの行使があった。付与時は従業員だった。
 ⇒関連当事者に該当するか否かはSO行使時点の地位で判断する。

4.役員が代表者を兼務している会社との取引
 ・重要性で判断する
 ・関連当事者が法人グループか個人グループかで区分け
 ・法人グループ:売上高の10%超、総資産の1%超など
 ・個人グループ:売上高や営業外損益、特別損益などで1000万円超


10.グローバル節税 スターバックスの事例

スタバのグローバル節税の要が2つの子会社
(1)スイスにある「コーヒー豆を一手に扱う会社」
・全世界のスタバで流通するコーヒー豆の75%がこの会社を経由
・この会社で原料費に対して20%の利益を取っている
・スイスでの実効税率は12.5

(2)オランダにある「スタバの知的財産権、商標権を保有する会社」
・世界各国の子会社は、この会社にライセンス料6%を払う

・オランダでの実効税率は16








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


0 件のコメント:

コメントを投稿