2017年8月4日金曜日

8/4 勉強会:RSU、株価高騰でも損金額は決議時価額 他

1.償却資産税の見直し、当局内でも検討

■日税連、「平成30年度税制改正に関する建議書」のなかで、最重要建議・要望項目に「償却資産税の抜本的見直し」を新たに盛り込む
具体的には・・・
・償却資産の賦課期日を法人の決算日とすること
・申告期限を所得税および法人税の申告期限と一致させること
・税額確定方式を申告納税方式に変更すること



2.RSU、株価高騰でも損金額は決議時価額

■リストリクテッド・ストック
(1)事前交付型:事前に株式を交付し一定期間の譲渡制限を課す
⇒平成28年度税制改正により「事前確定届出給与」として損金算入可能となった。
(2)事後交付型:あらかじめ交付株式数を定めた上で一定の待機期間経過後に株式を交付
⇒平成29年度税制改正により「事前確定届出給与」として損金算入可能となった。

■事後交付型
・税法上:損金算入額はあくまで交付決議時の株価に基づき算定
・会計上:費用計上額は、交付時の株価に基づき算定
⇒交付決議時~交付時に株価の変動があれば、税法上の損金算入額と会計上の費用計上額に乖離が生じる。
例えば、交付時の株価が交付決議時の10倍となった場合であっても、交付決議時の株価までしか損金算入出来ない
・なお、IFRSでは、交付時の公正価値で費用計上する為、付与後の株価変動により乖離は生じない。
⇒日本の会計基準よりもIFRS(国際財務報告基準)の方が法人税法と整合的



3.遺産分割終了前に生活費の支払いが可能

民法等の改正に関する要綱案で、遺産分割に関する見直しとして仮払い制度を創設予定。

■背景
昨年の最高裁決定により、普通預金や預貯金等は相続開始と同時に遺産分割の対象となり、遺産分割が終了するまで預金が引き出しにくくなった。

■相続後に想定される諸費用
・被相続人の債務の弁済
・葬式費用の弁済
・相続人の生活費の支払い
⇒最高裁決定により、これらの諸費用を遺産分割終了前に相続財産から使用することが難しくなった

■仮払いを受けるには?
仮払いの必要があるか否かは家庭裁判所の判断による。
また他の共同相続人の利益を害しないことを条件とする。



4.仮想通貨、活発な市場があれば時価評価

■仮想通貨に係る会計上の取り扱い(案)
・取引が活発な仮想通貨については時価評価する
・取引の少ない通貨は取得原価基準に基づいて減損の要否を検討する

■活発な市場とは
・複数の仮想通貨交換業種が取扱っており、客観的に信頼性のある価額として時価が把握できる
・時価による売却、換金等の実現可能性がある

■時価の算定方法
・最も取引が活発な仮想通貨取引所や販売所における取引価額
⇒「活発な市場」の有無で取扱いを変えることは難しいという意見もあるが、9月頃に公開草案が発表される見込み



5.消費税 新設法人と工事進行基準

■Q
・資本金300万円(=初年度は免税)
・当期は2期目
・初年度上半期の売上1,000万円超(⇒当期は課税事業者)
・法人税では工事進行基準を採用

この場合の消費税の課税関係(工事進行基準の適用関係)は?

■A
初年度から工事進行基準を採用したものとして第2期の消費税を計算することができる

■解説
事業者が法人税において工事進行基準を採用している場合には工事進行基準により消費税を計算することができることとされている。ここでいう<事業者>には免税事業者も含まれることから、免税事業者期間である初年度においても工事進行基準を採用したものとして第2期の消費税を計算することができる。

<具体例>
・工事請負高 1,000
・1期目の進捗 50% 2期目の進捗100%(完成)
の場合、第2期の課税売上高は、
原則(完成基準)1,000
特例(工事進行基準)500⇒免税期間中に500、第2期に500完成したものとして計算できる



6.29年度改正通達で示された“功績倍率”の範囲とは?

法人税基本通達で功績倍率を、役員の職責に応じた倍率と定義
1.過去の判決で示されている同業類似法人の功績倍率
2.また例えば、自社で設定した功績倍率等も含まれる
⇒過大(不相当に高額)でなければ、原則損金算入

1.は把握は困難だが、過去国側が以下を参照し算定可能と主張したことがあるため、参考となる。
・財務省や国税庁が公表している「法人企業統計年報特集」や「民間給与実態統計調査」
・税務関係の雑誌(税務通信)の記事、書籍等の資料



7.消えるポイント引当金

・従来の日本の会計実務では「ポイント引当金」として引当計上
・7/20に公表された収益認識基準案により、今後は処理が大きく変わる
 ⇒引当計上は不可となる。
・付与ポイント分、収益は繰り延べて(負債計上)、ポイントが使用されたときに売上計上する
(例)5%のポイント付与、1,000円の商品を購入した場合
 従来基準:売上:1,000円 ポイント引当金:50円(全部行使されると想定)
  新基準:売上:950円 ポイント引当金:0円 将来ポイント利用時に売上:50



8.公共施設等運営事業の会計処理

(前提)
・道路、空港、水道、庁舎、教育文化施設等の公共施設等の運営を民間企業に委託するケースが増えている。

(会計処理)
・運営権者は、運営権の取得と同時に、支払う対価の総額を無形固定資産として計上。
※割引率を加味した現在価値で計上する。

・公共施設等運営権は、運営設定期間を耐用年数として定額法または定率法で償却する。

・更新投資についても無形固定資産に計上する。



9.反社チェック作業フロー例

1.資料入手・情報収集
・会社案内等
・決算書
・HP
・現地確認

2.外部調査機関への照会(帝国データバンク)

3.日経テレコンによる記事検索
・検索期間は全期間
・データベースは、地方紙や業界紙も範囲に含める
・調査対象会社名、代表者名をもとに、検索キーワードは暴力団、逮捕等を用いる
・必要に応じて、警察、検挙、釈放、書類送検、送検、捜査、家宅捜索、指名手配、摘発、臨検、過激派、金融犯罪、架空取引等を用いる
・検索漏れを防止するため、取引担当部署及び総務部でダブルチェックを行なう

4.インターネット検索(Yahoo、Google等)

5.関連法規への違反等がないか確認

6.「取引先調査票」の作成及び保存

1~6を定期的(年1回等)に実施






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