2019年7月23日火曜日

7/12 勉強会:リース契約にかかる改正消費税法上の取扱い 他

1.株譲渡損益の計上時期、前提条件に注意

・法人税法上、有価証券の譲渡損益の計上時期は原則として「譲渡に係る契約の成立した日」である。
・M&Aに係る表明保証違反により「前提条件」を満たせず株式譲渡が実行されなけらば、
 譲渡損益の計上時期は「契約成立日」でなく「実行時点」になるため株式譲渡に係る「前提条件」に注意が必要である。
・外国法人株式を譲渡する場合、現地の譲渡手続きを完了しない限り譲渡の効力が生じないケースもある。



2.収益認識注記、重要性乏しければ省略可

■フェイズ
・検討段階
・収益認識基準本体:2022/3期決算※より強制適用
※3月決算の会社の場合(基準文言:2021/4以後開始する事業年度から)
・今年の9月末をめどに公開草案を公表する意向(ASBJ)

■開示目的を斟酌
・開示目的に照らして重要性を検討:乏しいものは省略可能
・有用性を欠かないために、注記は集約or分解することも必要になりそう

■参考:開示目的を達成するための要素
(1) 収益の分解
(2) 収益を理解するための基礎となる情報
⇒契約及び履行義務、取引価格の算定方法、履行義務への配分額の算定方法、履行義務の充足時点に関する情報、等
(3) 当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報



3.売上金額を調整で隠ぺい仮装行為と認定

■平成21年~平成27年年分の各取引先に対する売上金額を集計した表を調整し、消費税の課税事業者にならないよう事業所得の売上金額を1,000万円以下に減額したことが隠ぺい又は仮装に当たるかについて争われた裁判。

■判決
売上金額を集計した表を調整した行為は、事実の隠ぺい又は仮装に当たると判断。
⇒各売上の年次集計表において、申告する売上金額に○印や下線を付すなどして、売上金額を調整したものと認定。





4.令和元年分の平均路線価、4年連続上昇

・前年比+1.3%で4年連続上昇(前年上昇率:+0.7%)
⇒交通利便性や住環境の優れた地域を中心に上昇。外国人観光客の増加も店舗・ホテル需要の高まりやインフラ整備の進展も影響した。

・上昇率1位沖縄県(8.3%)、2位東京都(4.9%)であった。
⇒沖縄県は国内外からの観光客の増加や県内の景気好調が影響。

・全国で路線価が最も高いのは34年連続東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りであった。
1㎡当たりの路線価は4,560万円。




5.カード利用のポイント交換は「資産の譲渡等」に該当

■概要
①後払方式のカードを利用して会員が加盟各社で商品購入等をする都度、利用金額に応じたポイントを付与
②毎月の利用額(後払決済額)を会員に請求する際に、貯まったポイントに応じた金額を後払決済額から割引く
③会員に対し、提携法人のポイントと引換えにカード発行元のポイントの付与を受けることができるサービス(ポイント交換)を行う

⇒この場合、③のポイント交換は「資産の譲渡等」に該当するのか

■資産の譲渡等の判断
・ポイント付与に基づく後払決済額からの割引は「役務の提供」に該当
・ポイント交換が行われた場合に、各提携法人がカード発行元に対し精算金として支払う金員は、役務提供による後払決済額からの割引額に対応した経済的利益に該当
・役務提供があることを条件として金員が収受される関係のため、この精算金は「対価」に該当

⇒ポイント交換は、「対価」を得て行われる「役務の提供」であるため、「資産の譲渡等」に該当



6.会計方針の開示基準、2021年3月期から

■概要
関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則等が、
重要な会計方針含まれる。
⇒注記が必要

■適用時期
2021年3月31日以後終了する事業年度の年度末から適用
(早期適用可)




7.改正:解約返戻金のない短期払の定期保険等の損金算入

■概要
令和1年10日18日以後契約分より下記のとおり改正
改正前:支払額の多寡にかかわらず支出日の属する事業年度に損金算入
改正後:年間保険料30万円を超えるものについては保険期間の経過に応じて損金算入

■具体例(終身の第3分野保険)
・年間保険料25万円(支払期間3年、総額75万円)
⇒毎期25万円ずつ損金算入

・年間保険料100万円(支払期間3年、総額300万円)
⇒保険期間※に応じて損金算入
※116歳-加入時年齢

例えば加入時年齢56歳であれば総額を60年間(毎期5万円)に
渡って損金算入することになる





8.消費税:建設仮勘定の課税仕入れ

■建設仮勘定
工事代金の前払いや部分的な引渡しを受けた工事代金や諸経費など、
完成前の固定資産への支出を仮に計上しておくための勘定科目。
目的物の全部が引渡しされた際に固定資産として振替る。

■課税仕入れのタイミング
原則:設計料等の役務提供を受けた日、資材を譲り受けた日
例外:目的物を完成した日

■ミスが多い点
・建設仮勘定として処理=課税仕入れとして処理する
・完成に向けた着手金や中間金を課税仕入れとする
⇒勘定科目のみで判断しているケースが多い

■間違えないためのポイント
取引の中身を確認すること
・着手金や中間金⇒支払い時に課税仕入れとはならない
・設計料や材料費等⇒支払い時に課税仕入れ
・目的物の一部の引渡し分⇒支払い時に課税仕入れ※
※目的物の完成引渡し時に課税仕入れとすることも可能。

■適用税率
2019年10月の消費税率改正の際は注意が必要





会計方針の変更

・2018.4期~2019.2期の有価証券報告書で、31社・33件の会計方針の変更注記あり。
・最多は有形固定資産の減価償却の方法の変更(9件)。
・「収益及び費用の計上基準の変更」は5件。

例1)(オロ 東1、情報・通信業)(総額表示⇒純額表示へ)
「ネット広告売上の一部において売上原価に計上していたアドネットワーク運営会社に支払う費用及びリスティング費用等を、売上高から控除する方法に変更」

例2)(日本工業 東1、サービス業)(工事完成基準⇒工事進行基準)
「コンサルタント事業、電力エンジニアリング業務の業務契約に係る売上高の計上を完成基準から進行基準に変更」




10.時価会計基準を公表

・企業会計基準委員会(ASBJ)は7/4に「時価の算定に関する会計基準」を公表。
・従来、日本基準で「時価」は、金融商品会計基準の第6項に記載されているのみだった。
⇒今回の時価会計基準の第5項に新たに定義され、「時価」の概念も上書きされることとなる。
・時価が出口価格(資産の売却によって受け取る価格、又は負債の移転のために支払う価格)であることが明確化。
・時価はレベル1~3に分けられ、開示が求められる。
・2021年4/1以降開始する事業年度の期首から適用。
⇒2020年3月31日以降終了する事業年度に係る財務諸表から、早期適用も可。





11.宇宙旅行で世界初の上場企業

・社名へ-ヴァージン・ギャラクティック
・ニューヨークで株式を上場する投資会社と合併し、有人宇宙飛行を手掛ける会社で初の上場企業となる。
・ギャラクティックと合併するソーシャル・ キャピタル・ヘドソフィアは新会社の株式49%を保有する。
・ギャラクティックは約8億ドル(約870億円)を調達できるとのこと。
・ソーシャル・キャピタルが既に上場企業であることから、ギャラクティックはIPOのプロセスを省略できる。



12.日本基準とIFRSの相違点

■固定資産
・借入費用の資産計上
日本基準│自家建設の場合で、建設に要する借入資本の稼働前にかかる利子は取得価額に算入することが出来る
IFRS│建設または製造に直接帰属する借入費用は資産化しなければならない。該当しない借入費用は発生時に費用処理
→日本基準はできる規程、IFRSはしなければならない規程

・資産除去債務の敷金による調整
日本基準│簡便的に敷金の回収が見込めないと認められる金額を合理的に見積り、資産除去債務を計上せずに敷金を取り崩すことが可能
IFRS│敷金による例外処理は認められていない。
→IFRSは簡便的な処理が採用できない

・資産に関する補助金
日本基準│圧縮記帳が可能
IFRS│繰延収益または帳簿価額から控除して表示
→繰延する場合、日本基準は純資産、IFRSは財政状態計算書(BS)で繰延される

・減価償却基礎情報(残存価額、耐用年数、償却方法)
日本基準│多くの企業が税法の規程に従っている。合理的な方法で計画的・規則的に実施
IFRS│毎期事業年度末に再検討する必要がある
→IFRSでは毎期見直し、検討が必要となるため、実務上の手間を要する





13.消費税 経過措置~その3~

■リース契約にかかる改正消費税法上の取扱い
・2008年4月1日以降に行われたファイナンスリース取引⇒リース開始日時点での税率を適用する
⇒リース開始日が2019年9月30日以前の場合は旧税率8%又は5%が適用
⇒リース開始日が2019年10月1日以後の場合は新税率10%が適用

・再リース契約
⇒基本的には施行日以後に開始する再リース契約は新税率10%が適用
⇒2019年9月30日より前に契約し開始された再リース契約については旧税率8%が適用されるが
 毎月払いの再リース契約は対象外となるため注意が必要

・オペレーティングリース
⇒①2019年3月31日以前に契約締結 ②9月30日までにリース開始をした場合
 下記の要件を満たす事で旧税率の8%が適用される。
 必須:貸付期間と貸付期間中の金額が定められていることに加え下記の①か②の要件に該当する契約
  ①:理由があって金額を変更できるという決まりがない事。
  ②:中途解約不可、フルペイアウトの要件に該当している事。
























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