2013年3月31日日曜日

3/29 勉強会:株式評価実務への影響大 評価通達巡る重要判例確定(相続税) ほか


1.50%超か否かは重要議決権割合でも判定


■新規設立法人の消費税免税点制度(現行)
・資本金が1000万円未満であれば、
 1期目、2期目で免税事業者を選択可能

■平成26年4月1日以降設立法人の場合(改正)
・課税売上高が5億円を超える法人が、
 50%超を出資している新規設立法人は、
資本金が1000万円未満であっても、免税事業者を選択できない

※50%判定について
・重要議決権割合が50%超か否かでも判定
・「子会社」、「孫会社」、「ひ孫会社」の持株合計で判定

調査で発覚する不適切な会計処理の傾向

■経費や売上原価の繰上げ計上など不適切な会計処理が税務調査で発覚
(具体例)
・商品納品の事実がないにも関わらず、取引先に納品書の発行を依頼し、
 納品事実を仮装
・役務提供が未完了にも関わらず、取引先に完了証明書を依頼し、
 役務完了の事実を仮装
⇒「隠蔽」「仮装」に該当する
⇒重加算税の対象

■対応策
申告書の提出日までに、社内調査で発見、修正する

3.新消費税に係る経過措置を読み解く

■結婚式とお葬式も経過措置の対象に
⇒結婚式等が25年9月30日までに契約し、26年4月1日以後に行われる場合、5%の対象
になる。
※注意点
25年10月1日以後に対価の額が変更になったら、全額が8%の対象となる。

■書籍等の予約販売など、新たに経過措置の対象に
⇒25年9月30日までに、定期購読契約を結び、
代金を26年3月31日までに支払った場合、5%の対象になる。

■有料老人ホームの入居一時金について
①25年9月30日以前に有料老人ホームにかかる終身入居契約を締結
②入居期間中の費用の一部を一時金として前払い
③一時金に対応する部分の役務の提供については、
26年4月1日以後の提供でも5%の対象となる。

4.株式評価実務への影響大 評価通達巡る重要判例確定(相続税)


■非上場会社株価の相続財産評価額
 ①会社規模:大会社の場合…類似業種比準価額方式
 ②会社規模:大会社、かつ、総資産に占める株式保有割合が25%以上
  …純資産価額方式

■今回の裁判で確定したことなど
 ①東京地裁の判断
  会社規模:大会社、かつ、総資産に占める株式保有割合が25%以上の
        会社の株価を一律に純資産価額方式で評価することはできない
 
 ②判断の理由
  他の会社の株式保有割合の平均が16%程度なので、
  25%という数字が特段に高くないため
  (会社が株式を保有することが通常の企業活動の一部になってきているので、
  保有割合のみで評価方法を判断することは望ましくない)
  評価会社の規模や事業実態が上場会社に準じており、
  租税回避が危惧されるものでないため

■今後の流れ
 ①国側が上告を断念したため、25%ルール一律適用を否定した判決が確定
 ②国税庁が取扱いの見直しをする可能性は高い

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5.【相続税】非上場株の評価を巡る事案 通達の一律適用は不合理と判断(東京高裁)


非上場会社株式の相続税上の評価方法について争われた。

■納税者の主張
・会社規模を『大会社』区分し、株式を『類似会社比準方式』で評価するのが適当である。

■課税当局の主張
・評基通189(2)の25%基準※に基いて当該会社は『株式保有特定会社』に
該当し、『純資産方式』または『S1+S2方式』のいずれかで株価評価するべき。

※資産構成が株式に偏っている会社は類似会社比準方式で評価することが
なじまないため、別途上記の評価方法を定めている。

■東京高裁の判断(納税者の主張を支持)
・この通達が作られたH2年当時に比べて営利法人の株式保有割合が
 現在は一般的に増加しており、通達が現在の環境に対応していない。
・時代遅れの通達を一律に適用して納税者の申告を否認することは合理的でない。

所得税:公社債等の課税方式見直しについて


■特定公社債(国債・地方債・公募公社債など)

【利子】
・現行⇒源泉分離課税
・改正案⇒申告分離課税 

【譲渡】
・現行⇒非課税
・改正案⇒申告分離課税
◎譲渡損がある場合、利子所得と損益通算ができるようになる

■一般公社債等(私募公社債など)

【利子】
・現行⇒源泉分離課税
・改正案⇒源泉分離課税(変更なし)

ただし、「少人数私募債」で同族会社の役員が受けるものについては
総合課税となる
(H28年以後)
⇒源泉分離課税(20%)と超過累進税率との差額を利用した節税に歯止めがかかる。

【譲渡】
・現行⇒非課税
・改正案⇒申告分離課税
◎譲渡損がある場合、利子所得と損益通算ができるようになる

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7.社外取締役 独立役員 との差異

・独立役員の方が独立性要件が厳しい
・「重要な取引先の関係者」は独立役員はNG、社外取締役としてはOK
・取引所は上場会社に対し、「取締役である独立役員」の確保を努力義務をして
 課す
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8.企業評価システムの評価


■企業評価システムの検討課題について

・企業評価システム
⇒財務比率による分析で企業を評価する。
EX.収益性を評価する場合
  総資本経常利益率、自己資本利益率などの評価指標を採用して評価する。

①評価目的を明確にする。
⇒どのような条件を満たすかにより評価目的も異なってくるため。
EX.優良企業について評価する場合
  利潤獲得、従業員の働きやすさ、社会貢献など

②評価指標の統合を検討する。
⇒企業評価システムには採用している評価指標が重複していることが多くある。
EX.効率性の評価指標には、1人当たり売上高、営業利益があるが
  生産性といった評価目的にまとめるなど。

9.新規事業の設立・開業に関する会計処理

新規事業の開始までに要した費用
◆原則:支出時に費用処理
◆例外:繰延資産の要件を満たせば下記の通り
①会社設立のための費用
→創立費:会社の成立の時から5年以内の効果が及ぶ期間、定額法
②設立後から事業の開始、開業までの費用
→開業費:開業の時から5年以内の効果が及ぶ期間、定額法

※いずれも設立のため、あるいは開業のために直接要した費用のみが対象

(参考)太陽光発電事業の場合
一定規模以上の太陽光発電事業における固定価格買取期間は20年
=効果の及ぶ期間は20年とも考えられる
ただし、会計上は繰延資産の償却は上限5年のため、5年以内で償却
 
10.平成25年3月期税務申告チェックポイント

【法人税】
①復興特別法人税
 ・基準法人税額×10%-外国税額控除額-復興特別所得税控除額

②グループ法人税制
 ・譲渡損益調整資産の譲渡をした場合の譲渡損益の繰延
 ・完全子法人株式等に係る配当等の額の益金不算入 ・グループ法人間での寄付金
の損金不算入益金不算入

③大法人(資本金5億円以上)の100%子法人に対する中小企業向け特別措置の不適用
 ・所得800万円までの税率軽減
 ・貸倒引当金の法定繰入率使用
 ・交際費損金不算入制度の、600万円までの定額控除制度等

④貸倒引当金
 ・中小法人等以外の法人は繰入限度額は前期までの繰入限度額×3/4

【消費税】
課税売上高5億円超の場合、課税売上割合95%以上でも仕入税額は全額控除出来ない

11.過年度遡及に関するH24.3期のポイント

・貸倒引当金
取崩額>繰入額
  ⇒原則:営業費用または営業外費用から控除または営業外収益として計上
・役員退職慰労引当金
  役退を設定する場合、適用初年度の期首に計上すべき過年度相当額を
  特別損失に計上できる規定が削除
・ソフトウェア
  販売開始後の見込販売数量等の見直しの結果変更した場合は、
  変更後の数量に基づき当年度および
  将来の期間の損益で認識する
・税効果会計
  遡及適用により、過年度における会社分類が異なっても、
  過年度のDTAの回収可能性には影響させず、
  会計方針の変更を行った年度の損益に反映させる

12.M&A/相対方式と入札方式

①相対方式
 (メリット)
 ・プロセスがシンプルで売却までのスピードが速い
 (デメリット)
 ・競争相手がいないため交渉力が弱まることあり
 ・外部に適正な価格であると説明しにくい

②入札方式:複数の買い手候補と同時に交渉
 (メリット)
 ・有利な売却条件を引き出せる可能性が高い
 ・外部に適正な価格であると説明しやすい
 (デメリット)
 ・売却までに時間がかかることが多い
 ※不動産や再生型M&A案件で採用されることが多い

③最近の動向
 ・国や地方の公共団体の所有資産については、
  入札方式の採用が主流。

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