2013年4月7日日曜日

4/5 勉強会:消費税:資産の貸付けに関する経過措置と「対価の変更に関する定め」について ほか


1.【判決研究】税務調査中に修正申告書を提出した場合における

更正の予知 


■事例
税務調査開始後に特別償却を適用する為の届出書の提出漏れに気づいた
→修正申告書を提出
Q.過少申告加算税が課税されるかどうか

通常:課税される
特例:更正されることを予知したものでなければ、課税されない

■会社側主張
調査用に資料を準備していた時に届出漏れに気がついた
→更正されることを予知したものでない
→過少申告加算税は課されない

■税務当局側主張
税務調査を開始しており、届出有無について調べられることがわかるはず
→更正されることを予知していたはず
→過少申告加算税を課する

■地裁判決
会社側の主張を認容
←税務調査開始だけで、更正さることを予知したとは言えない
※客観的に相当程度の確実性をもっているかが判断基準

組織再編における連帯納付責任

■原則
組織再編を行った場合、国税及び地方税についての納税義務は、移転しない。

一部例外あり
■分割型分割
分割承継法人は分割法人の国税、地方税等の租税債務について、
連帯納付責任が課される
※承継した財産の価格が限度

■事業譲渡
①グループ内法人などの特殊関係者に対して事業譲渡を行い、
その譲受法人が同一とみられる場所において
同一又は類似の事業を営んでいるとき
②無償又は著しく低い額の対価により財産の譲渡、
債務の免除その他第三者に利益を与える処分を行ったことが、
移転法人の租税の滞納の原因であると認められるとき
■分社型分割
グループ内法人に対して事業を移転する場合

3.過大支払利子の損金算入制限

関連者への純支払利子等の額が調整所得金額の50%を超える場合には、
その超える部分の金額は損金不算入となる制度。

①調整所得金額
⇒調整所得金額=所得金額+純支払利子+減価償却費
 +受取配当金益金不算入額±特別の損益

②対象となる支払利子等の範囲(例)
・関連者の負債利子
・手形の割引料
・割引社債の発行差損
・債務の保証料
etc

③関連者(例)
・持分割合が50%以上の親子会社
・役員等が兼務されている関係会社
・実質的に支配関係にある関係会社
etc

4.抵当権設定費用は全額を取得費等に算入(固定資産)

■まとめ
 所得税法基本通達38-8による取扱い
 固定資産取得のための借入金にかかる抵当権設定費用は
 その全額を固定資産の取得価額に算入すること

■借入金利息との比較
 ①抵当権設定費用…全額を取得費に算入
 ②借入金利息
  …借入の日から固定資産の事業供用日までに対応する期間の金額を
    取得費に算入
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5.【相続税】債務控除と連帯保証および連帯債務


■連帯保証制度
・総務省が公表した民法改正中間試案にて制度改正が検討されており、
注目されている。
・連帯保証は一般に相続の対象とされる。
(余談:相続放棄しなければ知らないうちに相続するリスクがある)
・連帯保証は主たる債務者と同等の返済義務が保証人に課される。
(債権者は主債務者への返済請求を行わなくても、保証人に請求できる)

■相続税上の取扱い
・連帯保証による保証債務は、相続税上の債務控除の対象とはならない。
 ※連帯債務であれば控除可能。


消費税:資産の貸付けに関する経過措置と「対価の変更に関する定め」について


■資産の貸付けに関する経過措置
平成25年10月1日前に締結した契約に基づき、
26年4月1日前から同日以後引続き資産の貸付を行う場合に
旧税率を適用する措置

<注>
①契約に「対価の額の変更を求めることができる」旨が定められている場合
②継続的に旧税率を適用しなかった場合

には経過措置の対象外となる。

■QA
Q:「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」と定めた場合は
どうなるか?

A:「対価の額の変更を求めることができる」契約とは取り扱わない。

<理由>
「対価の額の変更」とは「本体価額の変更」を指し、
税部分のみをうたっている場合には対象外となるため。

※ただし、当該契約に基づき実際に新税率に変更した場合は
<注>②に該当するため経過措置の適用はされない。
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7.繰延税金資産の回収可能性



■回収可能性の検討事項について

①将来減算一時差異の解消スケジューリング

・解消スケジューリングの見通しが行いやすい一時差異
 ⇒賞与引当金、未払事業税(通常翌期において解消されるため)。
  減損処理を行った資産の売却予定がある。
・注意が必要なもの
 ⇒役員退職慰労引当金(解消時期が役員の退任時期に依存するため)。

②一時差異の解消額に見合った課税所得の発生

・収益力に基づく課税所得を使用する。
 ⇒税引前利益に交際費等の永久差異項目の調整を加味したもの。
・計画的に課税所得を発生させることが可能な場合
 ⇒含み益を有する固定資産などの売却によって課税所得を発生させる。
 ※本業で赤字の場合でも課税所得を発生させることが可能。

8.株主総会に向けての想定問答集

Q:IFRS対応に変化はあるか?
A:当社としては、強制適用に備え、IFRSと日本基準の差異の把握などの準備を
進めていくことに変わりはなく、
 引き続きIFRS強制適用の判断についての動向を注視していきます。

Q:為替相場の変動が事業計画に与える影響は?
A: 当社では、今年に入ってからの円安傾向を反映し、
1ドル=○円を想定して事業計画を策定しています。
想定よりも円高になれば業績に与える影響は避けられませんが、
慎重に注視し、為替予約取引等によって
業績に与える影響を出来る限り回避することに努めます。

Q:売買単位を100株に移行するのはなぜ?
A:全国証券取引所は、上場会社に対し、H26年4月1日を期限として
売買単位を100株または1,000株に移行することを求めており、
当社もこれに従って今回売買単位を100株とさせていただくものであります。

9.連結子会社株式の「追加取得」「一部売却」時の処理が改正に

※損益取引→資本取引(IFRSのコンバージェンスの一環)

(1)改正前
  連結財務諸表→親会社の株主のため
        →非支配株主を外部の株主と考える
        →外部との取引=損益取引

(2)改正後
  連結財務諸表→企業集団を構成する全ての株主ため
        →非支配株主は連結内部の株主と考える
        →内部との取引=資本取引

(3)具体例:追加取得した場合
 ①[前提:連結開始仕訳]…連結内の相殺消去
   子会社の純資産 XXX 子会社株式XXX
   評価差額    XXX 少数株主持分XXX
   のれん     XXX

 ②[改正前] 損益取引
   (借)少数株主持分 XXX (貸)子会社株式 XXX
   (借)のれん or (貸)負ののれん発生益

 ③[改正後]
   (借)少数株主持分 XXX (貸)子会社株式 XXX
   (借)or(貸)資本剰余金


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