2014年2月3日月曜日

1/24 勉強会:平成25年分所得税確定申告のチェックポイント 他

1.ベンチャー投資促進税制の適用要件のすべて

【制度概要】
・認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業へ投資
⇒投資額の80%を「損失準備金」として積立てできる
⇒積立事業年度に損金
⇒翌事業年度に全額益金

【ベンチャー企業の要件】
①以下は対象外
・大規模法人から50%超の出資を受けている法人
・複数の大規模法人から2/3以上の出資を受けている法人
※大規模法人… 資本金1億円超 等

②以下のいずれかに該当
・特定中小企業(製造業:資本金3億円以下、サービス業:資本金5千万円以下等)
・特定中堅企業(資本金5億円未満)

【ベンチャーファンドの要件】
・特定中小企業への投資額が、全体の60%以上
・「成長途上にある」ベンチャー企業への投資が、全体の50%以上
・認定を受ける前に投資をしていない
・受ける投資の総額が20億円以上


2.平成25年分所得税確定申告のチェックポイント

■平成25年改正分
 ①譲渡所得関係
  債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例
  オーナー会社の社長など、会社の債務の保証人になっている個人が保有する資産ですでにその会社に利用されているものを債務処理計画に基づいてその会社に贈与した場合
  下記の要件を満たして一定の手続を行えばみなし譲渡は適用しないことになった
  1、その個人が債務処理計画に基づき、その会社の保証債務の一部を履行していること
  2、贈与後も引き続き債務の保証人になることが債務処理計画において見込まれていること
  3、贈与を受けた資産をその会社が引き続き利用し続けることが債務処理計画において定められていること

 ②その他
  電子証明書等特別控除の廃止

■平成24年改正分で平成25年から適用になるもの
 ①給与所得控除の見直し
  給与収入が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限が設けられた

 ②給与所得者の特定支出の控除の特例
  特定支出の合計が一定額を超える場合は、給与所得控除にその超える部分の金額を加算することとされた
  一定額…給与収入が1,500万円以下の場合→給与所得控除額の2分の1に相当する金額
     …給与収入が1,500万円を超える場合→125万円

 ③特定役員退職手当等に係る退職所得の金額
  一定の役員で勤続5年以下の者が退職手当の支払いを受ける場合、退職所得の計算は下記の通りとされた
  退職金の額-退職所得控除額
今まで(退職金の額-退職所得控除額)×12

 ④国外財産調書の提出制度
  1231日において国外財産の合計が5,000万円を超える場合は、国外財産の種類、金額などをを記載した調書を提出しなければならないこととされた


3.自宅兼事務所の家賃、必要経費と認めず

■個人事業主が事務所を兼ねた自宅の家賃を事業所得の必要経費として主張した。
→裁判所は必要経費として該当しないと判断

・自宅の家賃を必要経費に算入する要件
主たる部分が事業の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分が明確に区分できること

・今回の事例では、2階建ての住宅の1階部分を事務所、2階部分を住宅としていたが、1階部分はリビング、ダイニングキッチンであり1階部分を業務専用として利用していたとは考えられないと指摘を受け必要経費として該当しないと判断された。


4.施行日前に支払を受けた前受金

■平成2571日から平成26630日までの期間、物の引き渡しのない役務の提供を行った場合の消費税の取扱(5%8%)
・役務の提供時期は、役務の提供を全部完了した日
→前受金に対しても役務の提供を行った時期
→役務提供の未経過部分は返金される契約
→日々の役務の提供は完了していると考えられる

⇒平成2571から平成26331
消費税率は5%にて計算

⇒平成2641日から平成26630
消費税率は8%にて計算

※税込で前受金を受領している場合、消費税の追加を請求しなければ売上計上額が減額となることに注意


5.近年の組織再編税制の分かり難さの原因となっている改正項目

平成13年に創設された組織再編税制であるが、平成18年及び平成22年度の税制改正から、その内容が分かり難くなったとの声が上がっている。

■平成18年改正項目
①増資の場合の資本金等の額の増加額に関する改正
会社法の考え方に足並みをそろえる改正。

金銭による出資⇒出資額を資本金等の増加額
現物出資⇒出資資産の時価が資本金等の増加額
結果として、払込み額が株式の時価に比して高いor低いかは問題とならなくなった。

②資産調整勘定の創設
非適格合併等により合併法人等が交付した対価の額が、移転を受けた資産・負債の時価純資産価額を超える場合のその差額を資産調整勘定とし、5年間の月割りで損金算入するという規定が創設された。
会計上の「のれん」に近いが、とは以下の点で異なる。

・寄附金
資産調整勘定の金額からは支出寄付金の額を除くため、事業をその価値よりも高額で買い取ってきた場合の差額部分は寄附金として扱われ、寄附金の損金不算入の適用を受ける。

・対価が株式の場合
合併の約定時から交付時までに2倍超値上がりした場合には、その値上がり部分相当額(を資産調整勘定から除く

・被合併法人の欠損金の取扱い
欠損金の一部が資産調整勘定としは認められない可能性がある。


・償却期間等
のれん⇒20年以内
資産調整勘定⇒5年償却のみ(強制償却)

■平成22年改正項目
①みなし配当事由による株式譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額の益金又は損益不算入
完全支配関係法人間でみなし配当事由によって生じる株式の譲渡利益・損失は永久に益金・損金不算入となる。

②適格現物分配の創設
平成22101日以降で100%支配関係のある内国法人間で行われる現物分配を適格現物分配として取扱い、他の適格組織再編と同じように、譲渡損益が繰延べられる。

③分割型分割におけるみなし事業年度の廃止
事業年度の途中で分割型分割が行われた場合、分割法人において期首から分割の効力発生日の前日までの期間及び分割の効力発生日から期末までの期間をみなし事業年度として申告する必要があった。
しかし、連結納税適用法人がグループ内で分割型分割を行った場合にみなし事業年度については連結納税が適用されず、納税者にとって不利となっていたため、改正された。

④無対価分割の適格判定の取扱い
無対価分割とは、会社分割の対価として交付されるべき株式ないし金銭等が交付されずに行なわれる分割のこと。
平成22年度税制改正前まで法人税法上明確な規定が存在しなかったため、適格組織再編の要件を満たすのか議論があったが、今回の改正で分割型分割に該当する場合と、分社型分割に該当する場合にそれぞれ区分されて新たに定義され、また、原則として資本関係の変わらないものは適格再編成、資本関係の変更を伴うものは非適格再編成と整理さた。
加えて、無対価分割の適格性を判定するにあたっての持株要件も明確になった(100%親子関係等)


6.地方法人税(仮称)の創設

平成26101日以後開始事業年度より適用
<改正前税率>     <改正後>
道府県民税 5%     道府県民税 3.2%
市民税  12.3%     市民税     9.7%
            地方法人税  4.4%⇒国税として納付
課税標準はいずれも法人税額※

■連結納税との関係
グループ内に赤字法人がある場合は税負担額が減少する。
子会社X社の所得 △1000
改正前⇒地方税には連結納税の適用がないため税額の減少なし
改正後⇒4.4%部分が国税となるため1,000×法人税率×4.4%分税額が減少


7.【法人税】所有権移転外ファイナンスリースの事業供用日

所有権移転外ファイナンスリースで資産を取得したケースで会計上簡便的にPL処理される場合にも、税務上は支払リース料を減価償却費とみなした上でリース資産の取得として取り扱われる。

通常各月のリース料はそのまま損金算入できるが、下記のケースでは債務確定したリース料の損金算入が認められない。
・リース資産の引渡し後(リース料の発生開始後)に対象資産のカスタムが必要なことが判明し、事業供用てまきないまま決算期を越えてしまった場合。
・リース料は減価償却費として損金算入されるため、通常の費用に適用される債務確定基準は適用されず、事業供用年からの減価償却により損金算入されるため。(リース期間定額法)


8.機能通貨

・企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨
・所在する国の通貨ではなく、販売価格や原価に影響が強い通貨を優先する
IFRSでは機能通貨で決算書作成。日本基準では会社計算規則57条を根拠に円で表示。

■日本版IFRS のれん非償却を修正する案も
IFRS:のれん非償却&減損
 日本基準:のれんは20年以内償却&減損
・国内では非償却は適切ではないという意見多い

以下の2案で検討中
案1:のれんを償却するよう「削除又は修正」する
案2:IFRSをそのまま受け入れる(IASBが修正を検討中だから)


9.損害賠償請求訴訟の対応

 〈訴訟を提起された場合の会計処理〉
  敗訴・和解の可能性が、、、
  ①低い⇒会計上の処理不要
  ②ある程度見込まれる⇒偶発債務の注記
  ③高い&金額の見積もりができない⇒偶発債務の注記
  ④高い&金額の見積もりができる⇒引当金
  ⑤確定⇒未払金

 〈訴訟を提起した場合の会計処理〉
  損害を受けた場合⇒発生時に損失計上
  損害賠償金額が確定した場合⇒確定時点で収益計上


10復興特別法人税廃止後の法人実効税率(平成26年税制改正)

  現行38.01%⇒廃止後35.64
 ※資本金1億円以下の中小法人(外形標準課税適用なし)
  現行39.43%⇒廃止後37.11


11.会社法改正法案

①支配株主の異動を伴う募集株式の発行
現行法:有利発行でない限り、取締役会決議
改正法:引受人の議決権が、発行後の総議決権の2分の1超の場合は、
    (ⅰ)株主への通知または告知義務
    (ⅱ)議決権の10分の1以上有する株主が反対→株主総会決議

②詐害的な会社分割
現行法:固有の救済規程なし(民法上の詐害行為取消はあり)
改正法:残存債権者は、承継会社に対して承継額を限度に債務の履行請求が出来る


12.棚卸資産に関する会計~評価損を計上しないために~

■棚卸資産会計基準
 →期末における正味売却価格が取得原価より下落している場合、
  正味売却価格をもってB/S価格とし、差額は当期の費用になる

■取得原価>正味売却価格となるケース 
()お菓子の製造・販売をしている企業
 ①正味売却価格の下落
  ・市況により価格の競争が激しい商品
  ・季節性のもので、シーズンが過ぎると売れない
  ・(輸出している場合)為替
 ②取得原価の上昇
  ・市況により仕入値の上昇
  ・(輸入している場合)為替
  ・仕入値が上昇が販売価格は据え置き
 ⇒なるべく評価損を計上しないためには、変動要因として考えられる
  売却価格(販売)と購買市場(仕入)の両方からのアプローチが必要






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