2016年4月23日土曜日

4/22 勉強会:消費税:軽減税率Q&A<飲食料品の譲渡の範囲> 他

1.第二次納税義務で非上場株式のDCF法による時価評価を容認
■第二次納税義務
 誰かの滞納している税金の納税義務を第三者に負わせる行為
 滞納者から受けた利益の額がある場合は義務が生じる

■今回の事例
・滞納法人Aから新設分割した100%子会社Bが第三者割当増資を実施
・個人Cが新株式を全部取得
・課税庁はCA社の第二次納税義務を負わせたがそれは適法か

B社の株式については、DCF法と時価純資産法の併用で評価
Cは財産評価基本通達に沿って評価すれば受けた利益の額は生じないと主張

・不服審判所の判断
 課税庁の処分は適法
 株式の評価については、DCF法や時価純資産法は実務で広く活用されていることから評価方法にこれらを用いることに不合理な点は認められない


2.消費税、軽減税率か否かのボーダーラインは?
■対象
平成2941日以降に行う以下の品目の譲渡が対象
1. 酒類・外食を除く飲食料品
2. 2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

1. 酒類・外食を除く飲食料品について
・飲食料品要件
 以下は軽減税率対象外
 ・ペットフード
 ・観賞用の果物の苗木
 ・保冷用の氷
(その他)
(1)酒税法に規定する酒類は対象外(みりん、料理酒も対象外となりうる)
 ⇒アルコール1度未満であれば軽減税率
(2)医薬品、医薬部外品、再生医療等製品は対象外
 ⇒医薬品等に該当しない栄養ドリンクや健康食品であれば軽減税率

・外食要件(飲食設備で飲食を提供)
 以下は軽減税率対象外
 ・コンビニのイートインスペースの飲食
 (ただし販売時点で持ち帰る予定であれば軽減税率対象)
 ・フードコート
 (ただし公園のベンチは飲食設備に該当しない)

2. 2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)
 以下は軽減税率対象外
 ・インターネット版
 ・コンビニや駅の売店で売っている新聞


3.無形資産の定義が明確化
28年度税制改正による移転価格税制に係る文書化制度でマスターファイル(事業概況書報告事項)に「無形固定資産その他の無形資産」の情報を書くことが求められる。
そのため税法上の「無形資産」の定義が見直される。
41日から無形資産の定義を見直す改正措置法通達が施行
 工業所有権その他の技術に関する権利、著作権などが無形資産に該当することが明確になった。


4.一体資産
食品と食品以外の資産が予め一の資産を形成し、一体資産としての価格のみが提示されているもの。(例:おまけつきのお菓子等)

■一体資産が軽減税率の対象となるための条件
(1)税抜価格が1万円以下
(2)一体資産のうち食品部分の価額の占める割合が2/3以上

(2)の算定方法の例
・食品の売価/一体資産の売価
・食品の原価/一体資産の原価 等


5.税制での定額法変更、正当な理由でOK
■平成28年度税制改正で、建物附属設備及び構築物の償却方法が定額法に一本化(対象は、平成2841日以後取得したもの)
⇒多くの企業で、会計上の償却方法を定率法から定額法へ変更することを検討

■当該変更は「正当な理由による会計方針の変更」として認められない可能性あり
⇒仮に、「正当な理由による会計方針の変更」として認められない場合、会計(定率法)と税務(定額法)で異なる固定資産管理システムを構築し、二重に管理する事態も想定される
⇒企業や監査人から企業会計基準委員会に対して問い合わせ
⇒企業会計基準委員会は、税制改正への対応方法を検討

■以下の場合、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う
・法人税法に規定する普通償却限度額を正規の減価償却費として処理
・従来より、建物附属設備及び構築物の減価償却方法について定率法を採用
・平成2841日以後取得する建物附属設備及び構築物の減価償却方法を定額法に変更
⇒ただし、緊急的な対応であるため、適用は平成2841日以後最初に終了する事業年度又は四半期会計期間のみに限定


6.譲渡費用は客観的な必要性が判断基準
■事例
・請求人(個人)が建物をA社へ譲渡。
・譲渡した建物は所有権が変わったのみ(取り壊して更地としていない)
・譲渡にあたり入居していたX(建物管理会社)に立退料を支払い。
・立退料を譲渡のための費用とし確定申告。
・原処分庁は「譲渡費用」にあたらないと更正処分をした

■譲渡費用とは(所得税法333)
土地や建物を売るために直接かかった費用のこと。
主に売るために支払った仲介手数料、明け渡しに支払う立退料などが該当

■請求人の主張
・建物売却を前提とした立退きである。
・売却先のA社が別の建物管理会社に委託したため、売却に際し立ち退く特段の事情がありと主張

■国税不服審判所の判断
譲渡するために立退料が必要であるかといった抽象的な判断ではなく、現実に行われた譲渡を前提とし、客観的に譲渡を実現するために必要であったか否かで判断すべき。
⇒つまり購入したA社が建物を取り壊して更地にしてしまったので、結果としてやむを得ない支払いであったなど。

以下理由により、請求人の主張を棄却した
X社との間での立退きに関する契約や支払の書類がない。
・売却後もX社は引き続き賃借することは可能であった。
・請求人が主張する立退きは、請求人の主観であり譲渡実現のために必要であった支払いとは認められない。
H18420日の最高裁判決を踏襲した。


7.連続10営業日売上特例は時期を問わず
・軽減税率導入時、原則は、個々の売上について 8% or 10% を把握
・「困難な事情があるとき」は、特例計算の適用可能

【特例計算】
・売上に占める下記概算割合分を8%売上(残りは10%売上)として計算可能
 -特例(1) 全課税仕入に占める8%仕入の割合
 -特例(2) 「通常事業を行う連続10営業日」の全売上実績に占める8%売上の割合
 -特例(3) 50%
※中小企業者(簡易課税の5000万円判定と同様)が対象
※制度導入から4年間限定の特例
※当初1年間は、中小企業者でなくても適用可能

【留意事項】
・「困難な事情があるとき」
 ⇒異なる税率毎に区分管理できないなどで、困難な度合いは問わない
・「通常事業を行う連続10営業日」
 ⇒適用対象期間内ならいつでもOK
 ⇒ただし、飲食&飲食外を営む事業者が、期間限定で飲食のみ販売しているなど、特殊な営業日は除く


8.消費税:軽減税率Q&A<飲食料品の譲渡の範囲>
■食品について
「食品」とは人の飲用または食用に供されるものをいう

(適用可否Q&A)○・・・対象 ×…対象外
・生きている牛(Q2)…販売時点で食用でないため×
・生きている魚(Q3)…食用は○、観賞用は×
・ペットフード(Q4)…人の食用でないため×
・水道水(Q7)…原則×、ペットボトルに入れて食用として販売なら○
・氷(Q8)…かき氷○、ドライアイスは×
・賞味期限切れ食品の譲渡(Q9)…人の食用でないため×
・お酒(Q10)…「飲食料品」から除かれるため×
・「食品」の原料となるワイン、みりん(Q11Q12)…酒税法に規定する酒類は理由を問わず×
・ノンアルコールビール、甘酒(Q13)…酒税法に規定する酒類でないため○
・日本酒を製造するための米(Q15)…用途は問わないため○
・栄養ドリンク(Q19)…医薬品に該当する場合は×、医薬部外品(リポDなど)は○
・飲食料品の送料(Q28)…原則×、送料込みの商品であれば○


9.消費税:クーポン券等と消費税
クーポン券等による値引があった場合の販売店における消費税の取扱いは以下のとおり。
※元値10,800円、値引1,000円 とする

(1)無料発行された小売店発行のクーポン券
→値引分は小売店負担。
値引後の金額を税込課税売上高とする。
  Cash 9,800 / 税込売上 9,800

(2)メーカー無料で発行したキャッシュバッククーポン券
→値引分はメーカー負担。
消費者がメーカーにキャッシュバックを請求する。
小売店の消費税には影響なし。
  Cash 10,800 / 税込売上 10,800

(3)小売店が販売した商品券
→代金の一部を事前に受領していると考える。
  Cash 9,800 / 税込売上 10,800
  預り金 1,000 /


10.パナマ文書
・内部文書が法律事務所から漏出し、租税回避を行ってきた世界の富裕層、政治家や経営者たちを震撼させている
・文書は1,150万件 ハッキングされたとのこと
・世界200カ国 214,488組織の情報が含まれている
・租税回避には公認会計士、弁護士や金融機関等が関与
・監査人としての独立性を逸脱し、カネのために租税回避業務に精を出している会計事務所の実態が暴露されている


11.「会計監査の在り方に関する懇談会」提言
・大手4監査法人が、上場時価総額ベースで9割以上の上場企業の監査を担う、監査の寡占化。
・大手であればあるほど、経営陣のマネジメントが行き届きづらい
・大手以外の監査法人でも大企業の監査を担えるようにすることで、監査法人の選択の幅を広げるべき。
・そのために、監査人が「どのような監査をしているか」見える化を進める。

・取り組み例
(有報の開示内容充実)
 ⇒監査役会が監査人をどのように評価しているか
 ⇒監査人が企業の監査に従事してきた期間
(監査報告書の内容充実)
 ⇒適正性の表明だけでなく、監査人が着目した虚偽表示リスクなどを記載


12.財産保全会社
⇒オーナーが直接、公開予定会社の株式を保有するのではなく、オーナーが保有する別の会社を介して、公開予定会社株式を保有する場合の当該別会社

・財規上の親会社等となるか?
⇒財産保全会社が、実体のない会社で実質的にオーナーの個人的な持株会社であるような場合には、上場審査上も開示上も親会社等とみなされない。
⇒ただし、事業会社としての意味合いが強くなると、親会社の実体を有するものとして判定され、申請会社は子会社上場として審査対応がなされる。
⇒また、株式上場後に事業会社としての実体が出てくるような場合には、親会社情報の継続開示が求められる。


13.今週の新規上場会社
上場・公開日/社名/銘柄コード/市場/公募価格(円)
419日 グローバルウェイ/3936/マザ/2,960
421日 ジャパンミート/3539/2/1,010

(グローバルウェイ)
業種:情報・通信業
事業内容:ソーシャル・ウェブメディア事業(働く人のための情報プラットフォーム「キャリコネ」の運営および有料職業紹介サービスの提供)ビジネス・ウェブアプリケーション事業(クラウド型業務用ソフトウェアのカスタマイズ開発、導入支援および自社開発したソフトウェアのライセンス販売)
主幹事:大和証券
監査法人:新日本

(ジャパンミート)
業種:小売業
事業内容:食品スーパーマーケット ジャパンミート「生鮮館」、ジャパンミート「卸売市場」、「肉のハナマサ」及び「パワーマート」の経営、焼肉レストランの経営
主幹事:みずほ証券

監査法人:トーマツ









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