2017年4月22日土曜日

4/21 勉強会:タワーマンションの固定資産税額の計算方法を省令で規定 他

1.水道分担金()の消費税用途区分で裁決

■新築の賃貸建物に係る水道分担金の仕入税額控除で個別対応方式を適用する際の用途区分について裁決
・原処分庁の主張
⇒個別対応方式を適用する際に共通対応分に区分され、建物の用途区分別の面積に基づいて課税売上対応分と非課税売上対応分に区分できる

・審判所判断(納税者有利な判定)
⇒テナントおよび倉庫に係る分担金=課税対応分
 居室に係る分担金=非課税対応分
 共用部分に係る分担金=共通対応分

※新築の建物の各居室などに水道を引く場合、
自治体(水道局)から「水道分担金」の支払いを求められることがある


2.業種制限地域における固定資産税の軽減特例の留意点

固定資産税特例の活用検討の流れ

1.種類の確認
(1)機械装置
⇒全国・全業種で特例可
(2)測定工具及び検査工具、器具備品、建物附属設備
2
※価格等の要件も有
2.所在地の確認※1/1時点
(1)(2)」以外の場合
⇒全業種で特例可
(2)東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、京都府、大阪府に設置している場合
3
3.業種の確認
(1)中小企業庁のHP掲載の26業種(Ex.飲食店、宿泊業、娯楽業)
⇒特例可
(2)(1)」以外の場合
⇒特例不可


3.被支配外国法人の所得は100%合算

■平成29年度税制改正/CFC税制
・「実質支配基準」が追加された

■実質支配基準とは
・残余財産の処分の方針をおおむね決定できる
・その他取り決め
⇒実質支配基準があれば、被支配外国法人の所得は100%合算

■注意点
・外国法人に対し50%超の支配関係を有している他法人や居住者がいれば判定不要

(判定不要例)
 内国法人  ⇒  A社  ⇒  外国法人 等
     (80%保有)  (80%保有)


4.税効果指針、平成313月期から適用へ

■前提
企業会計基準委員会が日本公認会計士協会の税効果会計に関する実務指針の移管作業を行っている。
⇒税効果に関する適用指針()を策定中

■税効果に関する適用指針()の内容
・基本的に上記実務指針の内容を踏襲
・一方、実質的に内容を変更している部分もあり

ex.
(1)個別F/Sにおける、子会社株式及び関連会社株式に係る将来加算一時差異の取扱い

実務指針:一律DTLを計上
適用指針():親会社がその投資の売却を親会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間にその売却を行う意思がない場合には、DTLを計上しない。※連結F/Sとの整合性を図る為

(2)表示
実務指針:DTA及びDTLは基本的に流動固定分類して表示
適用指針()DTA及びDTLはすべて非流動区分に表示

(3)注記
「評価性引当額の内訳」、「税務上の繰欠に関する事項」を追加

ただし、上記見直しに伴い、
・システム変更や内部統制プロセスの変更は要しない
・連結F/Sに金額的影響は生じない
と想定される為、経営管理における対応は比較的容易であり、準備にそれほど多くの時間を要しないはず

■適用時期
平成313月期から適用する方向で調整(早期適用は認めない方向)
※平成2912月末までに適用指針が確定することが条件


5.国際課税めぐる税倍事件で判決

■事例
・顧問先の日本法人がA国法人の株式をA国の他企業へ譲渡
・A国で支払った税金につき外国税額控除を適用
・A国課税当局よりA国の国内源泉に該当するとし、追徴課税として15億円超の支払い
・調査助言義務を怠ったとし、税理士法人に対し、追徴課税分等の損害賠償をおこした

■裁判所判断
・A国の課税対象となったとしても、日本当局が国外源泉所得に該当しないと判断している。
⇒税理士法人が行った申告は間違っていないため、損害賠償は不当であると判断。
・税務顧問契約では専ら日本の税法に関する税務相談であるため、A国で課税対象となった件で調査助言を怠ったとは判断できない。

∴税理士法人の勝訴判決が下された。


6.同族会社の業績連動給与

■業績連動給与に関するH29年度税制改正の内容
・持株会社の100%子会社が対象に追加
⇒従来は、同族会社は適用対象外

・株価や売上高に関する指標を追加
⇒従来は、利益の状況を示す指標に限られていた

・「業績連動給与」に名称変更
⇒従来は「利益連動給与」

■適用時期
平成2941日以後に支給・交付決議をする給与について適用


7.最高裁 定期預金も遺産分割の対象

■普通預金の取り扱いと同様の判断
平成281219日の最高裁判決で普通預金が遺産分割の対象とされた。今回、定期預金についても同様の判断となった(平成2946日)

■解説
定期預金は法定相続分に応じて当然に各相続人に分割承継されるものとされ、相続開始をもって金融機関に対する払戻し請求権が認められていた(大阪高裁)
最高裁はこの判決を破棄し、遺産分割などで各相続人が受け取る割合が決まるまでは定期預金等の払い戻しを認めないことを示した。

■金融機関の対応
従前より、法律上の取り扱いと異なり、遺産分割確定前は払戻しに応じていなかったため実務上の影響はない。


8.タワーマンションの固定資産税額の計算方法を省令で規定

■タワーマンションの定義
・建築基準法上の「超高層建築物」である高さ60メートル超の建築物
・複数の階に住戸が所在しているもの

■各住戸の固定資産税額の算出方法について

一棟の固定資産税額×各住居の専有床面積×階層別専有床面積補正率/専有床面積(補正後)の合計
階層別専有床面積補正率=100(10/39)×(-1)

※ただし、全員が協議して定めた補正方法を用いることも可
 (補正を行わないこととすることも含まれる)

■適用時期
・原則3041日から適用される。
2941日前に売買契約締結の住戸を含むものについては除外


9.4兆円の無形資産

・ソフトバンクが計上する4兆円の無形資産
FCCライセンス
 =米国の連邦通信委員会が発行するライセンス
 =FCCが付与する特定の周波数を利用するためのライセンス」
FCCライセンスについては、「耐用年数を確定できない」との理由で償却していない
・「更新・延長を最低限のコストで行うことができる=耐用年数を確定できない」

・日本基準では、無形資産には耐用年数が割り当てられ、規則的に償却が行われる。
・日本基準では「耐用年数を確定できない無形資産」という考え方は現在ない


10.小規模宅地の特例 応用

・小規模宅地の特例を受ける相続人Aから、他の相続人Bに代償財産を渡す場合、Bの相続税はAと同様に軽減されるか?
⇒されない。

例)
波平さんがなくなった時、同居していたサザエさん(A)が波平さんの自宅を相続。
小規模宅地の特例を受け、相続税が8割減額された。
既に自立していたカツオくん(B)は、自宅を相続できない分、自宅の約半額にあたる現金(代償財産)をもらった。
サザエさんが相続税8割減額されているのと同様に、カツオくんの相続税も8割減額されるのか。
⇒されない。小規模宅地の特例は要件を満たす本人しか適用されない。


11.上場承認から上場までのスケジュール

・上場承認:証券取引所が上場を認め、上場することを公表
↓約2週間
・仮条件決定:ブックビルディングを行うための株の売り出し価格を決定(例:1,000円~1,200円)
・ブックビルディング:投資家に仮条件を提示し、投資家が「いくらでどれくらい買いたいか」を調査
↓約1週間
・公開価格の決定:ブックビルディングへの申し込みを集計し、実際に株を売り出す際の公開価格を決定
・購入申し込み受付:多数の場合は抽選
↓約3
・抽選
↓約5

・上場









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