2017年6月23日金曜日

6/23 勉強会:税務の動向 民泊新法が可決・成立 他

1.個別への収益認識会計適用で経過措置

ASBJ7月に「収益認識に関する会計基準(案)」を公表予定
・個別財務諸表でも適用のため事務負担大
⇒経過措置を設ける方針
また適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を、適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することができることも認める
⇒つまり遡及適用しない方法も容認
※平成3341日以後開始する事業年度から強制適用の方向


2.会社法改正で株主総会資料の電子提供制度が導入へ

※検討段階
・上場企業など一定の株式会社に対し、株主総会資料の電子提供を義務づけ
・株主総会の招集通知に記載している事項全てWEB掲載
・掲載期間は、招集通知発送時から総会終了後3カ月
・アドレスは、招集通知で通知
・株主はWEB掲載事項の全てを記載した書面の交付請求が可能


3.国税庁、太陽光発電関連事案で多数告発

国税庁が平成28年の査察事績の告発件数を公表。
査察事件は年間100件で、全てに有罪判決が下されている。

■国税庁が、近年力を入れている査察事項
(1)消費税事案
(2)国際事案
(3)社会的影響力の大きい事案

■摘発事例
・国外に設立した会社に対して架空の支払手数料を計上していた会社
⇒法人税4,400万円の脱税を摘発
・太陽光発電設営・販売会社が架空の業務委託費を計上していた会社
⇒法人税12000万円の脱税を摘発

4.行為計算否認、ヤフー及びIBM判決の影響鮮明

・最高裁でIBM事件及びヤフー・IDCF事件の判決が確定し、1年余りが経過
⇒両判決で示された行為否認規定※の適用ロジックが既に実務に浸透し始めている。
※法人税法132条、132条の2
 IBM判決では、法人税132条適用の判断基準は、経済的合理性のみという解釈を明示
⇒納税者にとって非常に厳しい判断基準と言えるが、課税当局は上記判断基準に則り、従来であれば、寄付金課税の対象となっていたと考えられる事例に対して、法人税132条を適用
 ・法人税法132条は、かつては伝家の宝刀と言われるほど適用件数が少なかったが、今後はその適用件数が増える見込み


5.文書回答手続の見直しで照会者の範囲も拡大

H29.7月受付分より、国税庁の「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等」の見直しが実施される。
 事前照会に対する文書回答とは、納税者がある取引等につき、税務上の取扱いについて税務署に問合せ(事前照会)をした場合、一定の要件を満たす文書回答の求めが必要となった場合に、納税者に対し文書で回答を行うとともに、国税庁のHP上で公表すること。

■見直し点
・照会対象のうち、「将来行う予定の取引等」について取引の範囲をわかりやすくすることが検討
・取引を行う当事者以外でも照会できるよう照会者の範囲を広げる

6.RSが業績連動給与に該当しない根拠は

RSとは…特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)

業績連動給与の定義規定には「特定譲渡制限付株式」の文言があるが、損金算入要件を規定する条文には「特定譲渡制限付株式」という文言が出てこない
∴譲渡制限付株式報酬は業績連動給与として損金算入することはできない


7.税務の動向 民泊新法が可決・成立

「住宅宿泊事業法」が2969日に成立し、民泊に係るルールが整備された。

■所得税
宿泊料が所得税の対象となることが明確化された

■固定資産税
固定資産税の減額特例の対象から外れることになる見込み
⇒たとえばバリアフリー改修を行った場合には一定の減額制度があるが、民泊に供する場合「居住の用に供するもの」でなくなるため適用対象外となることが予想される。

■参考
・住宅宿泊事業※を営もうとする場合:都道府県知事に届出が必要となる
※住宅に人を180日を超えない範囲で宿泊させる事業


8.日本法人が信託銀行に支払うマスターリース料は源泉徴収必要-東京局受益者等課税信託の源泉徴収義務について文書回答

■事案
外国法人Bが不動産信託の信託受益権を購入
信託受託社(信託銀行C)A社がマスターリース契約、A社は第三社とサブリース契約を締結
お金の流れ⇒賃料は受益者である外国法人B

■照会内容
A社はC信託銀行にマスターリース料を支払うが、外国法人Bに対する国内にある不動産の貸付けによる対価として源泉徴収義務を負うか?

■結論
源泉徴収義務を負う
マスターリース契約が信託銀行との間であってもマスターリース料の支払いはA社から外国法人Bへの支払いと取り扱われる。
受益者等課税信託に係る規定は、
⇒信託財産の法律上の帰属者である受託者への課税を排し、信託財産の経済上の帰属者に対し課税するもの


9.PPAにおける無形資産の認識

・無形資産として何を認識すべきか?
 具体的な無形資産の例示

①マーケティング関連の無形資産
・商標・商号・ブランド

②顧客関連の無形資産
・顧客リスト
・受注残
・顧客との契約・関連する顧客との関係
・契約外の顧客関係(将来の発注見込み)

③契約関連の無形資産
・他社より有利な条件での契約等
・営業許可、フランチャイズ契約、放映権、利用権など

④技術関連の無形資産
・特許権を取得した技術
・特許申請中・未申請の技術
・企業秘密(秘密の製法・工程等)
・ソフトウェア、データベース
・仕掛中の研究開発(製薬会社等)


10.ハイライト情報、過年度遡及会計基準におけるハイライト情報の取扱い

■ハイライト情報
Ⅰの部の第一部(有価証券届出書の第二部)の冒頭に、連結及び提出会社について「主要な経営指標等の推移」を記載する項目

■過年度遡及会計基準におけるハイライト情報の取扱い
最近連結会計年度(最近事業年度)に会計方針の変更、表示方法の変更、過去の誤謬の訂正を行った場合は、その1期前(5期並んでいるうちの4期目)の経営指標等について遡及修正を行わなければならない。
なお、それ以前の期についても注記を付した上で遡及修正後の数値を記載することができる。

(参考)
・記載項目
1)売上高
2)経常利益金額又は経常損失金額
3)当期純利益金額又は当期純損失金額
4)持分法を適用した場合の投資利益又は投資損失の金額(連結財務諸表を作成している場合を除く)
5)資本金
6)発行済株式数
7)純資産額
8)総資産額
91株当たり純資産額
101株当たり配当額(中間配当を含む)
111株当たり当期純利益金額又は当期純損失金額
12)潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額
13)自己資本比率
14)自己資本利益率
15)株価収益率
16)配当性向
17)営業活動によるキャッシュ・フロー(連結財務諸表を作成している場合を除く)(注5
18)投資活動によるキャッシュ・フロー(連結財務諸表を作成している場合を除く)(注5
19)財務活動によるキャッシュ・フロー(連結財務諸表を作成している場合を除く)(注5
20)現金及び現金同等物の期末残高(連結財務諸表を作成している場合を除く)(注5
21)従業員数





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