2018年8月3日金曜日

8/3 勉強会:情報システムの開発・導入における留意事項 他

1.コーポレートガバナンス・コードの改訂と「投資家と企業の対話ガイドライン」の概要

■経営環境の変化に対応した経営判断
・事業ポートフォリオの見直しなどの経営判断とそれに基づく方針の明確化
・自社の資本コストの的確な把握
■投資戦略・財務管理の方針
・戦略的・計画的な設備投資・研究開発投資・人材投資等の実施
・手元資金の活用を含めた適切な財務管理の方針の策定・運用
■CEOの選解任
・客観性・適時性・透明性のあるCEOの選解任プロセスの確立
■取締役会の機能発揮
・取締役会がその役割を適切に果たすための十分な知識経験能力とジェンダー・国際性などの多様性の確保
■政策保有株式
・政策保有株式の保有目的や保有に伴う便益・リスクの検証と政策保有に関する方針の明確化
■アセットオーナー
・自社の企業年金の運用に関する資質を備えた人材を計画的に登用配置するなどの母体企業としての取り組み







2.路線価方式における標準地の面積と特別の事情の存否

■路線価方式による相続土地の評価
・取得時の時価により評価(特別の事情のあるものを除く)
・時価=一各地の宅地を評価単位とする(市街地にある宅地)
⇒宅地に面する路線に付された路線価を元とし、評価する
・「特別の事情」がある場合は路線価によらず、個別に評価しなければならない
⇒評価通達に沿って評価することが不合理であるという事情
Ex.500㎡以上の地積の土地は広大地補正が適用されるのに対し、300㎡程度の土地は何も適用がなく、相続税評
価を行うと500㎡の土地の方が相続税額が低くなってしまう、等。







3.執行役員にも「執行役」と同等の規律を

・執行役員のうち、執行役と同等程度の職責を果たす者について、執行役と同等の規律を課す案を提案(審議会での提案段階)

■執行役員(従業員)
・会社法上の定義はなく、重要な使用人という位置づけ
・取締役会のスリム化や業務執行に対する責任の明確化、モチベーションアップを期待された役職

■執行役(取締役)
・取締会決議により選任される
・取締役と同様、会社に対して善管注意義務および忠実義務を負い、株主代表訴訟の対象になる

■法人税法への影響
・執行役員が法人税法上の役員に該当し、役員給与規制の対象となる可能性が高い







4.国税庁が長年にわたり課税しなかった行政先例法は確立するか

■概要
・請求人:国民健康保険団体連合会 の主張
診療報酬等の審査、支払等の事業は収益事業に該当せず、国税当局等が各事業につき、長年にわたり課税してこなかった、事前確認を受けるべき旨の指導を行う事もなかった経緯からすれば、黙示的に了解していた、よって本件事業は収益事業に該当せず「行政先例法」が確立されていたと主張
・原処分庁の主張
本件事業は収益事業に該当するか否かは、法人税法施行令5条1-10により判断されるべきである。
法令で事前確認を受けるべき旨の指導をしなければならない等の法令は無いし、自ら申告すべきと主張

■裁決
請求人の主張は斥けられた
行政先例法(長年にわたり行政機関における取扱が慣習化して、広く認識され定着した実務先例)
租税法の分野においては租税法律主義(法が根拠となり課税される)の原則。仮に長期にわたり課税してこなかったとしても、その事を以て本件事業が収益事業に該当しない、行政先例法化した慣習が確立していたとはとまでいう事は出来ないとした







5.「収益認識に関する会計基準等への対応」として平成30年度に行われた税法・通達改正の検証(1)

22条2項の確認

■法人税22条2項は何を定めているのか。
法人税務上の収益の額を規定する条項であり、原則として以下を益金の額に算入すべきとしている。
・資産の販売に係る収益の額
・有償による資産の譲渡または役務の提供に係る収益の額
・無償による資産の譲渡または役務の提供に係る収益の額
・無償による資産の譲り受けに係る収益の額
・その他の取引で資本等取引以外のものに係る収益の額
→収益の額は「時価」、収益の認識範囲は「資本等取引以外」とされている。

■収益の認識時期について
・資産の販売等については、「引渡基準」
・役務の提供については、「完了基準」
→実現主義、権利確定主義は採用していない。

参考:法人税法22条2項
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるも
のを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引
で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。







6.債務超過も債権の相続税ゼロ評価を否定

■事例
・納税者の父が代表取締役を務めていたA社に対して貸付債権、約5,700万円があった。
・貸付債権に対し評価通達205により回収見込みがないとのとして納付税額を0円で申告。
⇒税務署は貸付債権を相続財産とする課税処分をした

■判決
・貸付債権は「その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」に該当しない。
【理由】
・債権の回収可能性は財務内容だけで決定されるものではないため、A社は毎期債務超過の状態が続いていたも
のの、相続開始時に営業を継続したうえ、債権者への返済が遅延等していた事実が認められない。





7.事業者向け電気通信利用役務の提供に係る消費税(おさらい)

<日本法人が海外サイトへネット広告を掲載した場合>
■内外判定
国内取引に該当
⇒役務の提供を受ける者の住所地で判定

■事業者向け電気通信利用役務の提供にあたるか
ネット広告は事業者向け電気通信利用役務の提供に該当する

■取扱い
(原則)
役務の提供を受けた者がその対価を「特定課税仕入れ」としてリバースチャージ方式
により申告納税を行う
(特例)
課税売上割合が95%以上の場合は消費税の計算に含めなくてよい(=不課税取引として処理)

■誤り例
ネット掲載料について通常の課税仕入れとして税額控除を行う






8.民泊と輸出免税・非課税

■非居住者に対する役務提供
原則⇒輸出免税となる。
ただし、訪日観光客が国内のホテル等で宿泊するケースは、
役務提供を受ける者が非居住者であっても課税取引となる。

■非居住者に対する住宅の貸付け
原則 ⇒ 非課税となる。
ただし貸付期間が1月未満である場合等は課税取引となる。

■民泊のケースは?
住宅宿泊事業法の改正により、
民泊は旅館業法に規定する「旅館業」に該当することとなった。
⇒旅館業は住宅の貸付けに該当しないため課税取引となる。




会計方針の変更と税効果の会社分類

・会計方針の変更⇒過年度遡及適用する場合
 ⇒遡及適用で一時差異が生じる場合、DTA、DTLを認識する
 ⇒新たな会計方針を適用した結果、過年度において会社の分類が変更される可能性がある
 ⇒その場合においても、「過去に最善の見積りを行った場合」には分類の変更は行わない。





10.社外役員への日当支払いは役員給与となるか?

・出勤するための旅費などで合理的なものは 所得税の課税対象にならない、
 (所得税基本通達9-5(非常勤役員等の出勤のための費用))

・非常勤役員が取締役会に出席するごとに、日当6,000円を支給していたケース
 (月1回であれば6,000円、2回であれば12,000円)
 ⇒取締役会に出席した場合、自宅からの距離に応じ、1キロメートル当たり17円
のガソリン代も別途支給。

・国税不服審判所は、交通費以外に支給された日当は、出勤のために直接必要な費用
とは認められない、と判断。
 ⇒ 日当は取締役会への出席という労務に対する報酬なので、給与。






11.情報システムの開発・導入における留意事項

1.全体的な開発計画
・上場を契機として、企業の業務領域、業務量が増大する可能性あり
・上場後の経営計画を十分に考慮して全体的な開発計画を検討することが必要

2.開発期間
・上場後の企業規模に見合うように、全ての情報システムを上場前に開発しようとすると無理が生じ、非効率が
生じる可能性あり
・上場後も情報システムの改善を続けていくような計画とするほうが良いと考えられる

3.柔軟な対応
・システム要件そのものが流動的となるため、ユーザー部門で柔軟に対応できるように配慮しておくことが重要

4.全体の最適化
・複数のシステムを別々に開発する場合、例えば二重にマスターが存在する、異常時にシステム間の整合がとれ
ないなど、
情報システム全体として見たときに非効率な事例あり
・計画段階から全体的な効率性を意識した要件の検討が最適化の上で重要


















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