2018年10月19日金曜日

10/19勉強会:消費税 コンビニ等“飲食禁止”明示で実態伴えば軽減税率 他

1.新株予約権、算定方法は原則登記なしに

■新株予約権に関する登記を一部見直す方針
【現行の登記事項】
・新株予約権の数
・新株予約権の目的である株式数、行使期間等
・行使条件
・払込金額又はその算定方法

【見直し提案事項】
・募集新株予約権の払込金額を定めた場合には登記する
・募集新株予約権の払込金額が確定していない場合は算定方法を登記する







2.税制適格SO拡充、ベンチャーに限定せず

■2019年度税制改正(今度の税制改正)
(税制適格ストックオプションの要件緩和が検討される方向)
・付与対象者:兼業者や出向者を追加
・権利行使価額の上限額:現状の年間1200万円から大幅引き上げ(2400万円以上に引き上げる案も浮上?)
・権利行使期間:現状の付与決議後2年~10年よりも拡大

■ベンチャーに限定?
・経済産業省の要望:「ベンチャー企業支援措置」の一つとして明確に位置づけ
⇒取材により、上場企業を含む全企業を対象として検討されていることが確認された





3.馬券払戻金の所得、雑所得と認めず

■馬券の払戻金の課税関係
・営利を目的とする継続的行為※から生じたものは雑所得。外れ馬券は経費にできる
※年間通してほぼすべてのレースで馬券を購入しているような場合
※年間通しての収支で回収率が100%を超える場合
・一般の競馬愛好家の場合は一時所得。外れ馬券は経費にできない

■事案
・馬券を自動的に購入するソフトウェアを独自の条件設定を用いて利用
・インターネットを介して多数回かつ頻繁に馬券を購入していた
・各年で損益が大きく変動しており、損失の年度もある
・的中確率は低く、一口で高額の払戻しがある馬券が利益の一定割合を占めている
・購入履歴、払戻金のデータの一部が削除破損しており、馬券の種類、金額のすべてが明確でない
⇒一時所得と判決





4.貿易取引にかかる消費税、法人税の海外非違事例

■アンダーバリューを利用した消費税の二重控除
⇒アンダーバリューとは関税の支払いを安く抑えるために輸入通関時におけるインボイスの単価・金額等
を実際の取引金額よりも安く表示させ後日、実際の取引上の金額にて送金すること。脱税行為の一つ

①海外へ自動車を輸出販売している内国法人
輸出先国での関税を逃れる目的でアンダーバリューのインボイスを依頼される
②上記のインボイスを基に通関手続きを行い輸出
輸出許可通知書の金額はアンダーバリューの金額
③しかし輸出した企業が免税売上とした金額は、輸出許可通知書の金額ではなく
 輸出先国からの入金見込み金額を免税売上として計上し、輸出免税の適用を受けていた。
※免税売上高は輸出許可通知書の金額に基づくもの。

■法人税の海外非違事例
輸出:売上除外/売上計上漏れなど
輸入:未着品・乙仲経費の計上漏れ又は棚卸金額への不算入
税務当局の見解
⇒乙仲経費は商品取得のためのコストであり原価をなすもの。税込経理の場合は輸入消費税も棚卸金額へ









5.新株予約権、算定方法は原則登記なしに

会社法の見直しを検討している法制審議会会社法制では、新株予約権の登記を一部見直す方向にある。

■現行
①新株予約権の数
②新株予約権の内容のうち一定事項(行使期間等)
③払込金額またはその算定方法(発行価額)
→ブラックショールズモデルに関する詳細かつ抽象的な数式等の登記を要する等、全般的に煩雑であった。

■見直し案
募集新株予約権の払込金額を定めた場合には登記が必要。例外的に、払込金額の算定方法を定め、登記申請時までに募集新株予約権の払込金額が確定していない場合には、当該算定方法の登記を方向に緩和する予定




6.平成31年度税制改正に関する経団連の提言について

・9月に提言した公表内容

■税務分野におけるデジタル・ガバメントのさらなる推進
⇒社会全体のコスト削減、企業の事務負担軽減など環境整備を進める。

■法人税の率の引き下げ
⇒主要国平均・アジア近隣諸国並みの25%程度を目指す

■消費税率の引き上げ
⇒自動車関連諸税の負担軽減・簡素化
⇒住宅・土地・都市税制
・住宅ローン減税の拡充(控除期間の延長等)
・住宅取得資金等の贈与特例の拡充
・住宅取得支援税制に係る床面積要件の緩和

【その他】
■研究開発税制の延長・拡張
■国際課税
■外国子会社合算税制⇒外国子会社を利用した租税回避を防止
■利子控除制限
■所得相応性基準
■電子経済
■償却資産に係る固定資産税の抜本的な見直し
■印紙税の廃止・負担軽減
■火災保険等に関する異常危険準備金制度の延長・拡充
■減耗控除制度の延長・拡充
■外航船舶に係る特別償却制度の延長等
■地球温暖化対策税の抜本的な見直し
■原料用途免税の本則非課税化
■NISAの投資可能期間及び非課税保有期間の恒久化
■上場株式等の相続税評価額の見直し
■教育資金及び結婚子育て資金に係る贈与税の特例の延長
■生命保険料控除制度の拡充
■役員給与税の見直し







7.調査・審理の充実で適正な裁決を目指す

■藤谷俊之東京国税不服審判所長へのインタビュー
・審判所の使命「適正かつ迅速な事件処理」
・具体的な取り組みとして、争点の確認表を作成
⇒当事者双方が共通して認識する必要があるため





8.消費税:コンビニ等“飲食禁止”明示で実態伴えば軽減税率

■消費税軽減税率
来年10月以降に軽減税率(8%)が適用されるのは,食品表示法上の食品(飲食料品)のみ。
飲食店業等を営む者がテーブルやイス等を用いる食事の提供,いわゆる外食には標準税率(10%)
が課される。

■コンビニのイートイン
ケース1:椅子、テーブルはあるが食事禁止としている場合
⇒食料品の購入として軽減税率(8%)

ケース2:通常のイートインコーナーで食事可能
⇒店員が都度、「店内ですか?お持ち帰りですか?」と確認し、
店内飲食であれば<外食>で10%、持ち帰りなら<食料品購入>で8%
となる。

⇒コンビニの店員は負荷が増えることになる









海外不動産の購入、賃貸、売却に関する所得税

海外で不動産を購入し、賃貸・売却をした場合にかかる所得税は以下のとおり
※当該国の税金は割愛。

■賃貸した場合
・海外財産に関する国外財産調書の提出
年末時点の価額の合計額が5,000万円を超える場合、「国外財産調書」を提出する必要あり
賃貸の収入・支出のために口座を開設した場合、口座も上記金額に含めて判定すること
提出期限は翌年3/15まで

・海外不動産を賃貸している場合、日本で不動産所得の申告が必要か
居住者であれば申告が必須。日本にも不動産収入があれば合算して課税される
収入及び経費の為替換算は原則として収入すべき日及び支出すべき日のTTMとなる。
⇒継続適用を条件とし収入をTTB、経費をTTSとすることも可

・減価償却費の計算
海外の取得価額は購入価額(外貨)を取得時点のTTMで換算した円価額
海外不動産であっても日本の耐用年数省令に基づき計算

・外国税額控除
当該国へ支払った所得税等を日本の確定申告にて外国税額控除にて控除可能。
また納税額を限度として外国税額の控除を翌年に繰り越すことも可能。(納税額<外国税額の場合)
※支払った海外の税金を必要経費とする取扱いもあり

■譲渡した場合
・日本で譲渡所得の申告が必要か
賃貸と同じく申告は必須。
⇒海外物件を譲渡して譲渡益が発生した場合、日本でも譲渡に伴う所得税が発生。※国内譲渡と同じ取扱い

・譲渡対価や譲渡費用、取得費の為替換算は
譲渡日や支払日のTTMで円換算。
なお為替の影響により円安になった場合、譲渡益へのインパクトあり

・外国税額控除
賃貸同様に適用可。






10.本社移転に係る会計処理上の留意点

・フリーレント期間の会計処理は?
 ⇒ フリーレント期間を含めた解約不能期間全体の総支払賃料を期間按分
 ⇒ フリーレント期間においても賃料を計上する

・本社移転を決定した時点で、予想される費用のうちどこまでを本社移転損失引当金計上するか?
 ⇒ 移転費用は引当金計上しない。実際に移転が行われた期間の費用。
 ⇒ 旧オフィスの空家賃(※)は引当金計上する。
  ※新オフィス移転後も一定期間にわたって旧オフィスの賃貸借契約を継続する場合にかかる家賃。
   オフィスとしての合理的な利用目的がないもの。







11.収益認識基準に対応した法人税基本通達のポイント

■法人税基本通達
第2章第1節「第1款資産の販売等に係る収益計上に関する通則」の構造について

・2-1-1:通則(収益の計上の単位)
⇒原則、契約単位で収益計上
例外、履行義務単位で収益計上

・2-1-1の2~9:具体的な取引ごとの取り扱い
(1)対象取引が収益認識基準に限定されているかどうか
(2)2-1-1の通則に優先されるかどうか
(3)任意適用か強制適用か






12第3章 国外関連者に対する寄附金課税の現状と対応策

■国外関連者に対する寄附金課税が疑われる例
・子会社への商品等の価格設定が日本の親会社において粗利ベースまたは営業利益ベースで赤字となる水準
・期中や期をまたいで設定価格を変更している

■対応策
・価格設定・変更について客観的な分析資料(理由・取り決め内容・算定方法及び計算根拠等)を準備しておく
 つまり移転価格分析レポートに記載されるような内容を指す






13.移転価格調査をめぐるわが国税務当局の動向

・近年、一般法人税調査の資料依頼時にローカルファイルが含まれることが増えている。
⇒当局が誤解しないように資料を作成し、説明をすることで移転価格調査への移行リスクを減らす必要がある。

・国税当局幹部は移転価格文書化の制度化により、調査期間を短縮できるのではないかと考えている。
⇒調査機関の短縮により、調査対象が広がる可能性がある

・移転価格調査は専担当者のいる東京・大阪等の都市部を中心に実施されていたが、東京国税局をセンター局として、他局への移転価格調査支援を実施している。
⇒札幌や仙台等の所管法人でも移転価格課税リスクをケアする必要がある

・従来、移転価格調査の資料は「遅滞なく」提出する必要があり、提出しない場合に推定課税等がなされるしくみとなっていが、「遅滞なく」は明文化されていなかった。
⇒BEPS関連の税制改正でローカルファイルについて、具体的な提出期限(45日、60日)が定められたため、推定課税等の発動が容易になっているため、事前準備が必要である。

・訴訟時に納税者自ら作成したもの(ローカルファイル)が課税庁から証拠として提出される
⇒他の資料との整合性等、ローカルファイル内容について慎重な対応が求められる





14.収益認識基準等の有償支給取引への影響

■有償支給取引に関する現行の実務
・支給元…買い戻しを予定している限り、支給時に収益を認識しない処理が一般的。
・支給先…加工代相当額のみを純額で収益として表示、又は支給元からの仕入高と支給先への売上高をそれぞれ総額で表示。

■収益認識基準等適用後の会計処理
 取引内容によって、支給元(売手)側が資産を買い戻す義務又は権利がある取引について検討が必要と想定されている。

買い戻し義務を負っていないと判断される場合
 ⇒支給品の消滅は認識するが、当該支給品の譲渡に係る収益は認識しないことが適切とされている。
 ※支給品の譲渡に係る収益と最終製品の販売に係る収益が二重計上されることを避けるため。
②買戻し義務を負っていると判断される場合
 ⇒当該支給品の譲渡に係る収益を認識せず、当該支給品の消滅も認識しない。
 ※支給先においては在庫管理が行われている点を踏まえ、個別財務諸表上においては支給品の譲渡時に当該支給品の消滅を認識できることとされた(支給品の譲渡に係る収益は認識できない)。






15.ベンチャーキャピタルの投資プロセス

(1)調査分析
市場動向・業界情報等を調査し、事業計画の実現可能性を含め事業の将来性を検討。
また、公認会計士による財務調査が行われる場合もあり。

(2)投資条件決定
会社とベンチャーキャピタルとの間で各種の投資条件を交渉して取り決める。
株価決定やシェア率(資本政策)の詳細を決定。

(3)投資実行
ベンチャーキャピタル内の投資委員会の審査(1~2ヶ月程度)を通り、承認されれば投資が実行。

(4)投資先支援
取引先・提携先紹介や経営陣・管理部門の人材紹介などが行われる場合あり。

(5)投資回収
対象会社が上場した場合、経営者が買い取るか、一部は売却するか市場に影響を与えない形で少しずつ売却するかの方法で、ベンチャーキャピタルはキャピタルゲインを獲得。
(資本政策で、上場時に流動化する株主比率の把握と対策が経営者に求められる)
























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