2019年4月17日水曜日

4/12 勉強会:KAM導入にあたって7つの懸念 他

1.報酬委員会における決定等手続(法人税関係)

報酬員会における決定等の手続について、要件が除外又は追加された。

・業務執行役員が報酬委員会又は報酬諮問委員会の委員でないことの要件を除外
・報酬委員会又は報酬諮問委員会の委員の過半数が独立社外取締役等であること及び
 委員である独立社外取締役等の全員が業績連動給与の決定等に係る決議に賛成していることの要件を追加
・報酬諮問委員会に対する諮問等を経た取締役会の決議による決定に係る給与の支給を受ける業務執行役員が
 その決定等に係る決議に参加していないことの要件を追加

■支払通知書等の確定申告書添付を不要に(所得税措置法関係)
下記の支払通知書等については、確定申告書に添付することを要しないこととされた。

・オープン型証券投資信託の収益分配の支払通知書
・配当等とみなす金額に関する支払通知書
・上場株式配当等の支払通知書
・特定口座年間取引報告書
・未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書
・特定割引債の償還金の支払通知書






2.四半期レビュー報告書記載内容を改訂へ

■四半期レビュー報告書の記載内容を見直し
・監査報告書の記載区分が見直しになったことに伴う見直し
・監査人の結論は冒頭に記載されることとなる

■順序
(現状)
・経営者の責任
・監査人の責任
・監査人の結論
・強調事項(GC、追記情報)
・利害関係

(改定後/矢印は現状からの記載位置の変更を示す)
・監査人の結論【↑】
・結論の根拠【新】
・強調事項(GC、追記情報)【↑】
・経営者及び監査役等の責任【↓※監査役追加】
・監査人の責任【↓】
・利害関係【→】



3.税込対価"放置"なら買い叩きに該当も

■転嫁対策ガイドライン
・取引先からの対価引上げの要請や価格交渉の申出がないことを理由として、消費税率引上げ後も消費税率引上げ前に定めた対価を据え置く場合
⇒買い叩きに該当すると記載
⇒税率引上げ前の対価を放置すれば買い叩きになり得るという見解

・企業は、取引先が対価引上げを拒んだ場合は買い叩きとならない「合理的な理由」に該当する旨をガイドラインに追記するよう要請
⇒公取は見送り
⇒仕入先の要望で価格を据え置く場合、仕入先から言質を取っておく必要がある





4.空き家特例、老人ホーム入所中要件示す

■空き家の譲渡所得の特別控除(3,000万円)の要件
H31年度税制改正の新適用対象要件のひとつの「被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続開始直前まで、その家屋について被相続人による一定の使用がなされ~」の一定の使用について

■一定の使用とは
被相続人が家財道具等の保管場所として使用していた場合や老人ホームに入所している被相続人が居住用家屋に一時的に滞在した場合など


■特例適用要件
市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」を確定申告に添付





5.居住用財産の譲渡特例、適用範囲をめぐり一部取消裁決

■概要
・納税者は所有している1つの土地に日常生活を営んでる家屋、賃貸目的で共同住宅が2棟あり、それらを取り壊して更地として譲渡した際に、土地の敷地全体に居住用財産の譲渡特例を適用した所得税等の確定申告書を提出した。これに対し課税当局は、納税者の居住用に供されていない敷地部分は特例を適用できないとする更正処分を行った。また、納税者は特例の対象を認識していたのに関わらず、本件全ての土地が自己の居住用家屋である旨を記載して提出したことなどから重加算税賦課決定処分を行った。

■争点
・土地の特例の適用範囲がすべてか一部か。
・重加算税の可否

■裁決
・審判所は、特例対象になる家屋の判定は2以上の家屋がそれぞれ独立の家屋として機能を有する場合、その者が主として居住用に供していると認められる家屋に限り適用対象になるべきであるとした。土地の範囲については、地図上の区分線の位置に各家屋を区分するような柵などが存在したと認められないとして、適用される土地の面積の算定は全体の建築面積の合計に占める日常生活を営んでいた家屋の建築面積の割合により算定するのが相当であるとした。
・重加算税については、各建物の各居宅を物置として利用していたと認められることなどから、そのような利用実態より本件土地のすべてに適用できると誤解し、確定申告した可能性があるとして、重加算税を取り消した。





6.Q&Aで読み解く個人版事業承継税制

・個人版事業承継税制の適用を受けるためには個人事業承継計画の提出が必要だが、提出した場合は必ず事業承継をしなければならないか
⇒必ずしも事業承継をしなければならないわけではない。
 少しでも適用の可能性がある場合、2024年3月31日までに個人事業承継計画を提出しておくべき

・個人事業承継計画の変更は提出期限後でも可能か
⇒期限内に個人事業承継計画を提出していれば、提出期限後である2024年4月1日以降に変更届出を提出することが可能

・対象外となる事業はあるか
⇒不動産貸付業、駐車場業が個人版事業承継税制の対象外

・法人版事業承継税制同様に、個人版事業承継税制も複数の後継者に特定事業用資産を譲渡可能か
⇒原則として先代の事業者1人から後継者1人に譲渡することとされているが、事業ごとであれば複数の後継者に譲渡可能

・先代の事業者の配偶者が事業に供している不動産を所有している場合、その不動産は納税猶予の対象になるか
⇒先代の事業者と生計を一にする親族等が所有し、かつ先代事業者の事業の用に供していれば納税猶予の対象

・自宅兼事務所の場合、事務所部分は納税猶予の対象か
⇒事業の用に供されている部分のみが納税猶予の対象

・対象となる特定事業用資産は
⇒事業の用に供していた宅地、建物、減価償却資産が対象。預貯金、売掛金、棚卸資産、不動産貸付用の宅地建物は対象外

・個人事業承継計画には具体的に何を記載すればよいか
⇒後継者候補の氏名や事業承継の予定時期、承継時までの経営見通しや承継の事業計画を記載し、その内容について、税理士などの認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受ける必要がる




7.賃上げ税制:資格取得費用と教育訓練費

■概要
賃上げ・投資促進税制は一定の要件を満たしたうえで、教育訓練費の支出があれば
控除額が上乗せされる。

■教育訓練費の定義
法人がその国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ,又は向上させるために支出する費用のうち一定のものをいう

■ケーススタディ
従業員が資格を取得した際に法人が支出した受験料等の取扱いはどうなるか?

<対象となるもの>
・業務遂行に必要な資格取得にかかるもの(例:証券会社における「証券外交員」資格)
・資格取得後の法定更新講習会の参加費(更新料は除く)

<対象とならないもの>
・従業員が自己研鑽の目的で資格を取得した場合の受験料等(例:一般会社員のふぐ調理師資格)
・福利厚生の一環としての報奨金
・資格取得のために企業側が用意した教材費

→教育訓練の一環として資格を取得したか
→企業側が教育訓練を行ったか
等で判断する




8.法人税:欠損金の繰戻し還付 地方法人税の還付請求の失念に注意

■欠損金の繰戻し還付とは
青色申告法人が該当する事業年度に欠損金が発生した場合、
欠損金を前事業年度に繰戻しをして前年に支払済の法人税額の還付を請求できる・

■繰戻しの還付の計算方法
法人税(A):前期の法人税額×当期の欠損金額÷前期の所得金額
地方法人税:(A)×4.4%

■地方法人税の還付額の記載箇所
別表一(1)の27番の外書き欄に記載する
⇒会計ソフトでは自動で反映されず、手入力で入力するため失念が多い




KAM導入にあたって7つの懸念

・KAMが2020年3月期から早期適用開始
・監査報告書による株主等に対する情報提供を充実させる

懸念1 未公表情報の扱い
・監査人がKAMとして載せたい情報が未公表情報である場合、企業側の抵抗が大きいと思われる

懸念2 日本の会計基準
・試行結果によれば、IFRSを導入している会社では、KAMとして載せたい情報がほぼ公表されていたが、日本基準では未公表のケースが多かった。

懸念3 紋切り型
・紋切り型の監査報告書に慣れている日本の監査法人が、KAM導入後も同様の対応をしないか。

懸念4 保守的対応
・KAMに書いた事項でその後に不正が明らかになった、KAMに書かなかった範囲で問題が起きた時に監査人がどのような責任に問われるのか、
監査人が過度に気にして保守的な対応をとる恐れあり

懸念5 利用者の能力
・苦労してKAMを記載したとして、株主は理解できるのか

懸念6 監査役等の対応
・監査役はKAMの記載を減らさせることに注力するのではなく、KAMであがった課題に自らの権限と職務の範囲で対応できるか

懸念7 マスコミの対応
・KAMの内容を表層的に取り上げ、企業や監査人を萎縮させることにならないか
 KAMを基に「危ない企業」として喧伝するなど




10.大量保有報告書制度に関するQ&A(全編)

Q.大量保有報告書とは?
A.上場会社の株券等(自己株式は含めず、潜在株式は含める)の保有者で、保有割合が5%超となった日から5営業日以内に財務局に提出しなければならない書類。当書類提出後、1%以上変動した場合には変更報告書を提出。

Q.株券等保有割合が1%以上変動した場合の基準となる株券等保有割合は、いつ時点のものか?
A.直前に提出された大量保有報告書や変更報告書に記載された株券等保有割合。

Q.変更報告書の提出が求められる「記載すべき重要な事項の変更」とは?
A.保有者等の商号・氏名・住所・保有割合の増減・担保契約等重要な契約の締結や変更等。

Q.担保契約等重要な契約とは?
A.保有株権に関する貸借契約、担保契約、売戻し契約等、株券等の移動に係る契約や取り決めが該当。

Q.短期大量譲渡とは?
A.短期大量譲渡とは、変更報告書の報告義務発生時点で株券等保有割合が過去一定期間の最高保有割合の1/2未満となり、かつ最高保有割合から5%を超えて減少すること。





11.公開申請に伴い発生する費用

1.上場審査料
東京証券取引所200万円、その他100万円

2.上場手数料
取引所/定額/変動
東京/一部1,500万円、2部1,200万円/株式数×価格×(公募:万分の9、売出:万分の1)
マザ/100万円/株式数×価格×(公募:万分の9、売出:万分の1)
ヘラクレス/400万円/上場時の時価総額により25万円~1,300万円
大阪/500万円/1単位につき30円(上限1,500万円)
名古屋/300万円/1単位につき26円(上限1,700万円)
JASDAQ/600万円/上場株式数により72万円~132万円

 



12.IFRS16号適用にあたっての減損会計

IFRS16号を適用した場合、ほとんどのリースについて使用権資産とリース負債を認識
→使用権資産には減損会計が適用される

・減損テストのタイミング
他の資産と同様、減損の兆候が存在する場合にのみ減損テストを実施。
→使用権資産のグルーピングが必要となる
→一般的に使用権資産はCGU単位(関連する資金生成単位)での減損の検討が行われる
→使用権資産を認識することでCGU単位での帳簿価額が増加する
→のれんの減損テストにも影響を及ぼす(回収可能価額と比較する簿価が増加)

・CGUの具体例
小売店を展開する会社
①建物Aの1階を店舗として使用
②建物Bの2階を別会社に転貸
③建物Cの2フロアを人事・マーケティング部が使用

①=建物Aは店舗として利用されることではじめてキャッシュを獲得
→店舗のCGU単位で減損検討
②=サブリースにより、使用権資産が独立してキャッシュを獲得
→使用権資産単独で減損検討
③=人事・マーケティングは全社機能であるため、使用権資産は全社資産に該当
→関係するCGUに配分






13.軽減税率制度~その2~

■軽減税率の対象となる飲食料品の範囲
・食品表示法に規定する食品と食品添加物が対象、酒類、 医薬品、医薬部外品は対象外
(食品添加物:甘味料、着色料、凝固剤などの食品を製造、加工に必要なもの)

■軽減税率が適用されない外食やケータリングとは
・外食
⇒飲食店営業など、食事の提供を行う事業者が椅子、テーブル、カウンターなどの飲食に用いられる設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供となるもの。
・ケータリングや出張料理
⇒発注者が指定した場所において行う加熱や調理又は給仕等の役務の提供を伴う飲食料品の譲渡
※飲食を提供される場所、飲食料品の飲食させる役務の提供の2要件

Q.屋台での飲食料品の販売は?
A.椅子、テーブルなどの設備があり、その場所で飲食させる場合は10%
  設備がない場合は、飲食料品の譲渡となるので8%
















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

0 件のコメント:

コメントを投稿