2013年7月28日日曜日

7/26 勉強会:租税回避行為と各国の対応 ほか

教育資金管理契約終了時の課税関係示す

■贈与税の課税方法
(1)通常のケース
→暦年課税 or 相続時精算課税
 ※相続時精算課税を一度選択したら変更できない

(2)教育資金贈与の非課税措置のケース
(受贈者が30歳に達して、贈与関係が発生した場合)

①贈与者が生存している場合
→(1)通常のケースと同様

②贈与者が死亡している場合
→暦年課税

■相続開始前3年以内に贈与があった場合
(1)通常のケース
→生前贈与分を相続税計算上加算する

(2)教育資金贈与の非課税措置のケース
(受贈者が30歳に達して、贈与関係が発生したあと、
3年以内に贈与者が死亡した場合)
→(1)通常のケースと同様


2.無償譲渡で受けた利益と土地の時価の関係


■前提
①国税を滞納している父が、子供に土地を無償譲渡した。
②この場合、子供が、第二次納税義務者となる。
③第二次納税義務者には、
 滞納者から「受けた利益の額」を上限に納税義務が発生
④では、「受けた利益の額」はいくらなのか?
⑤通常は、公示価格で評価する。
⑥しかし、譲渡された土地は、公示価格がないので、
他の評価方法で評価しなければならない。
⇒相続税評価額で評価するのが妥当とされた。

■課税当局の主張
①通達で、相続税評価額=公示価格の80%程度となるように
 されているという前提がある。
②本来であれば、公示価格で評価すべきなのだから、
 相続税評価額÷0.8で計算した金額で評価すれば
 公示価格で評価したことと一緒の効果になる。

■審判所の判決
①倍率方式で計算した相続税評価額=時価を意味する。
②時価÷0.8とすることになんら根拠がない。
③相続税評価額÷0.8とする処分は不適正として、
 課税当局の主張を退けた。


税率の引上げと工事の請負等の経過措置1


■工事の請負等の経過措置
 ①5%から8%へ
 ・施行日 平成26年4月1日
 ・指定日 平成25年10月1日

 ②8%から10%へ
 ・施行日 平成27年10月1日
 ・指定日 平成27年4月1日

 ※施行日:新税率への切り替え日
  指定日:施行日以後に引き渡しをされる工事等の
       請負契約をした場合に新税率が適用される日
      …指定日前に契約をし、施行日後に引き渡される工事等の場合は
       旧税率が適用される

 例)平成25年11月1日契約、平成27年11月1日引渡し…8%

■月極の警備保障やビルのメンテナス契約の場合
 ・役務提供が一括で完了するわけではないので、
  経過措置の適用はなし

 ・例外
  平成26年3月1日に翌年2月末までのコピー機のメンテナンス契約を締結
  同日に1年分のメンテナンス料を受領した場合
  →原則的には、会計処理の収益計上の時期の消費税率を適用
   ※平成26年3月分のみ5%、残りの期間は8%
  →例外的に、
    ①1年分の対価を受領が慣行、
    ②継続的に対価を受領した日に全額を収益計上している場合
      受領日の消費税率を適用することが可能
   ※全額5%

■工事請負の範囲
 ・消費税の経過措置が受けられるのは工事、製造請負、
  及びこれらに類する契約
 ・これらに類する契約には次のすべての要件を満たしてないと
  経過措置の適用は不可
  ①指定日の前日までに締結した工事等の請負契約に基づき、
    施行日以後に目的物の引渡しを行う場合
  ②仕事の完成に長期間を要するものであること
  ③契約に基づく仕事の目的物の引渡しが一括して行われるものであること
  ④仕事の内容につき、相手方の注文が付されているものであること



4.【税務】勘定科目別 税務の着眼点

■未払金 未払費用
・決算賞与に紐づく未払社保は、損金不算入
・1年を経過した未払配当金の源泉徴収

■前受金
・発行した商品券の販売対価は、商品券の販売時の益金に算入する必要がある
 ※所轄税務署長の確認により、例外有り

■預かり金
・保険金の受領時に預かり金計上し、対応する支出の支払い時に
 預かり金を取り崩す処理をする場合があるが、
 保険金は受領した期の益金に算入する必要がある


5.【消費税率引上げに関するQ&A】

■施行日後に増額されたリース料
Q:H25.4.1に所有権移転外ファイナンスリース取引の契約を
締結した後、H26.4.1より月額リース料を増額した。税率はいくらか?

A:H20.4.1以後に契約したファイナンスリース取引は資産の引渡し時に
売買があったものとして取り扱われ、その後リース料が変更された場合も
同様に扱うため、H25.4.1時点の税率5%となる。

■残存リース料にかかる適用税率
Q:H25.4.1に締結した所有権移転外ファイナンスリースにつき、
延払基準の方法により収益を計上していたが、
契約が中途で解約となったため残存リース料を一括で収益計上した。
税率はいくらか?

A:残存リース料にかかる適用税率はリース資産の引渡し時点における
税率となるため、中途解約がH26.4.1以後であったとしても税率は5%となる。


6.ダブルアイリッシュwithダッチ・サンドイッチ

・バミューダ、アイルランド、オランダを用いた節税スキーム
・グーグルも活用。始めたのはアップル?
・ダブルアイリッシュ
  親会社:グーグル米国本社(米国法人)
  子会社:グーグルアイルランド子会社(第一法人)
  孫会社;グーグルアイルランド子会社(第二法人)

第一法人:検索エンジン等の開発費用負担
     第二法人からのロイヤリティ収入
第二法人:アメリカ以外への販売収入
     2,000人を雇用

・利益は第一法人に蓄積(第二法人は利益ちょっと。)
・第一法人の管理はバミューダで実施。そうすると、
 第一法人は、
  アイルランド会社法:アイルランドの会社
  アイルランド法人税:バミューダの会社(タックスヘイブン)
  ⇒となり、法人税激減。

・ダッチサンドイッチ
 第一法人と第二法人との間にオランダ法人を入れると、
 ロイヤリティ収入に対する源泉徴収を回避できる。



H25年6月第一四半期報告書作成上の留意点

①退職給付に関する会計基準を早期適用した場合(H24/5/17公表)
  ※H25/4/1以後開始事業年度の期首から早期適用可能

  ・経理の状況の冒頭記載にその旨記載が望ましい
  ・B/S記載
   退職給付に係る資産→投資その他の資産の範囲に記載
   退職給付に係る負債→固定負債に記載
   退職給付に係る調整累計額
    →純資産の部に「その他の包括利益累計額」として記載
  ・包括利益計算書記載
   退職給付に係る調整額 →その他の包括利益に記載
  ・P/L注記
   退職給付費用及び引当金繰入額→P/L注記に記載


8.【フリーレントと原状回復費用の会計処理】


■フリーレントの会計処理

①費用を認識しない方法
⇒その期間は仕訳なし

②費用を認識する方法
⇒実質月額賃料を未払費用として計上
※実質月額賃料=契約期間賃料総額/(契約期間月数-フリーレント月数)

■原状回復費用の会計処理

・原則
⇒原状回復費用を見積もり、資産除去債務を計上
※資産除去債務については、割引価値を算定
 決算時、利息費用を計上して資産除去債務が増加

・簡便(敷金が計上されている場合)
⇒原状回復費用を敷金から控除
※決算時、当期の負担に相当する金額を費用処理
EX.敷金600、原状回復費用500、平均入居期間5年
  敷金償却100/敷金100


看板の撤去請求について


(前提)
・テナント付きのビルを購入
・テナントがビル入口に「看板」を設置
・テナントとの契約には看板について明文なし
→ビルの景観を損ねるため撤去してほしい
→撤去を求められるのか?法的に問題あるか?

(結論)撤去は難しい
※ポイントは「権利の濫用」にあたるかどうか
・看板があることによる具体的な問題が見当たらない
・看板がないとお客さんが入らなくなる可能性
・テナント建物と看板は社会通念上は一体
※契約書には記載がなくても、承諾を得た可能性はないか

10株式譲渡と事業譲渡のメリット・デメリット


①簿外債務や税務リスクの承継
⇒事業譲渡の場合はリスクが低い

②譲渡範囲の確定
⇒事業譲渡の場合は欲しいもの・売りたいもののみを選定できる
 一方で、譲渡範囲の画定に時間を要する可能性が高い

③会社組織の統合
⇒株式譲渡の場合は買手と対象法人で別の為、
 急に買主との完全な統合(人事等)をする必要がない

④契約当事者の変更
⇒事業譲渡の場合は、契約主体を売主から買主へ
 変更する必要があるため手間がかかる


11租税回避行為と各国の対応

・欧米企業は積極的(すぎ)⇒各国が対応を強化

・例えば…スタバは2010年-2012年英国で3年連続赤字で法人税ゼロ。
⇒ オランダ関連会社に売上の6%をロイヤリティで支払、
  スイスから時価の2割増しでコーヒー豆を購入?

・英国で、2013年6月からGAAR(一般的租税回避行為否認規定)がスタート
・「個別の法律を守っているか」、ではなく、
 「租税回避を意図した悪質なスキームを包括的に否認」
・適用な慎重な姿勢が望まれる。

(インドの事例)
・立証責任は課税当局側にある
・納税者は事前裁定を受けることが出来る
・審査委員に政府以外の独立した第三者を入れる

具体的にどのようなスキームが否認されるのか
…実例が出てくるのを待つしかない??


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