2019年1月5日土曜日

12/27 勉強会:中小企業向けの平成31年度税制改正の内容 他

1.報酬委員会の過半独立役員で損金算入可

平成31年度税制改正で業績連動給与の手続要件が見直される
(平成31年4月1日以後支給に係る決議をする給与から適用)

■損金算入要件緩和
・報酬委員会のメンバー全員が「非業務執行役員」であることを求める損金算入要件の削除。
⇒業務執行役員が自己の業績連動給与の決定決議に参加していなければOKに。

■損金算入要件厳格化
・現行の法人税法では、報酬委員会等の決定がなくても、監査役(あるいは監査等委員)の過半数が
業績連動給与に係る取締役会決議に賛成していれば損金算入できる。
⇒改正後は報酬委員会等の決定がなければ損金算入は認められなくなる。








2.中小企業向けの平成31年度税制改正の内容

■要約
・恩恵が縮小される方向へ
・大規模法人の間接保有ケースでも中小企業の特例対象外に
・貸倒引当金の法定繰入率も将来的には縮小の可能性

■大規模法人(資本金1億超or従業員1000人超)の間接保有ケースでも中小企業特例対象外
・現状:大規模法人に50%超直接保有している場合、特例対象外
・改正案:上記に加え、大規模法人に間接保有で100%保有されているケースもダメに
⇒例:資本金5億円の親会社、同1000万円の完全子会社、同1000万円の完全孫会社(対象会社)・・・現行は〇、改正後は×
(対象となる特例)
・中小企業技術基盤強化税制、中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制
・賃上げ及び投資の促進に係る税制
・少額減価償却資産の取得原価の損金算入
(例外)
・間接親会社(大規模法人)が事業承継ファンドで、中小企業基盤整備機構から事業ファンド経由で出資を受ける場合は上記特例の対象とする

■貸倒引当金の法定繰入率(改正あるが、通常は該当なしと思われる)
・事業協同組合や商工組合:繰入限度額を法定繰入率の計算結果の10%増しにする特例措置を廃止
・今後:法定繰入率自体が縮小の可能性あり(会計検査院:すべての事業区分で法定繰入率>貸倒損失発生率となっていたため)

■その他
・軽減税率等は適用期限が2年間延長(→)
・防災・減災設備の特別償却(20%)が創設(↑)
・研究開発税制も改正あり





3.消費税率に関する経過措置の取扱いQ&A(1)

【基本的な考え方編】

Q.施行日を含む1年間の役務提供を行う場合の税率について
A.役務提供が年ごとに完了する場合は、役務の全部を完了する日の税率を適用するので原則10%
中途解約時に返還の定めがなく、現金主義で収益計上を行っている場合は8%でOK
月ごとに役務提供が完了し、中途解約時に返還の定めがある場合、施行日前は8%。施行日後は10%

Q.経過措置が適用される取引は、必ず経過措置を適用しなければならないか?(電気料金、旅客運賃等)
A.必ず経過措置を適用しなければならない。選択適用はNG





4.平成31年度の税制改正大綱が決定

■個人所得課税
 ・消費税10%が適用される住宅取得 ⇒ 控除期間を10年から13年に延長する。
 ・ふるさと納税制度の見直し ⇒ 過度な返礼品を贈る団体については対象外とすることも
 ・ひとり親(未婚を含める)に対しての個人住民税の非課税措置を検討

■法人課税
 ・中小企業者等の法人税の軽減税率の特例適用期限を2年延長
 ・投資促進税制の特例適用期限を2年延長(所得税も同様)
 ・防災、減災設備への投資、医療設備機器の投資にかかる特別償却制度を創設及び拡充・見直し





5.取締役が横領した金員を役員給与と認めず

代表取締役以外の取締役による金員の横領を巡り、横領した金員を役員給与と認定した原処分庁による、源泉所得税の納税告知処分及び重加算税の賦課決定処分の全部を国税不服審判所が取り消した。

■概要
・取締役が金員を横領し、それが税務調査により発覚。
国税庁は、当該横領した金員を役員給与と市、会社に源泉所得税の納税告知処分及び重加算税の賦課決定処分を行った。
→会社は、会社の意思に反して横領したものであり、役員給与に該当しないと主張

■判断基準
・審判所は、横領した資産等については、法人経営の実権を掌握し、実質的に支配していれば給与等に該当するとした。

■本件結論
・本件取締役は、代表権もなく、株主割合は25%であり、業務に影響力を有していたとは認められず、また経理業務の重要な部分を任せられていたとも認められなかった。
→審判所は、本件取締役は会社を実質的に支配していたと認められないと指摘
→その地位及び権限に基づいて請求人から横領した金員を得たものとは認められない
→会社の意思に反して横領したものであり、役員給与に該当しない。





6.老人ホーム入居でも空き家特例の対象に

■空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除(H28/4/1~H31/12/1)
⇒被相続人が所有する居住用家屋等を相続した相続人が、その居住用家屋等を譲渡した場合の譲渡益から3,000万円を特別控除するもの。

■平成31年度税制改正 ※H31年4月1日以後に適用
⇒適用期限が平成35年(2023年)12月31日まで延長。
⇒被相続人が老人ホーム等に入居していた場合でも一定の要件を満たすことを条件に適用を認める(H28年度改正では適用対象ではなかった)
【一定の要件】
①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと。
②被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続開始直前まで、その家屋について被相続人による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又は被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。





7.相続税調査の簡易な接触は1万件超

・H27年1月の相続税基礎控除額の引き下げ等により、相続税の申告件数が増加したことを踏まえ国税庁は実地調査を実施する一方、簡易な接触も行っている。

・簡易な接触とは:保有する資料情報を用いて相続税の無申告が想定される納税者に対して文書や電話、来署依頼による面接により、申告漏れ等を是正する接触。

・簡易な接触は11,198件、内非違及び回答数6,995、申告漏れ課税価格517億円、追徴額40億円
・簡易な接触による1件当たりの申告漏れ課税価格は462万円で前年比で減少。

⇒相続税基礎控除額の引き下げにより、納税者の範囲が広がったため。





8.役員退職給与 功績倍率法と最終報酬月額

■ケーススタディ 最終報酬月額が不相当に低い場合

(功績倍率による適正退職給与算定方法)
最終報酬月額×役員在職年数×功績倍率

<概要>
・代表取締役Aが退任、勤続40年、功績大
・退職前2年は業績が悪化したため役員報酬を従前の60%にカット
・この場合でも最終報酬月額で計算しなければならないのか?

<成松洋一氏の見解>
・この算式はもともと「合理的な」退職給与額を算定するためのもの
・最終報酬月額が不相当に低い場合には「合理的な」退職給与額とならない
・最終報酬月額を絶対とするなら直前に増額することが可能になってしまう
・低額すぎるとして合理的な報酬月額に引き直してよいという判例もある

⇒明らかに最終報酬月額が低いとみられる場合には合理的な報酬月額に置きなおして
 問題ないと考えられる





フードバンクへの食品の提供は廃棄損として損金算入OK

食品ロスを推進する取り組みが盛んになっていることを踏まえ、
税務上の取り扱いを明確化

■フードバンクとは
廃棄されてしまう食品を引き取り、福祉施設等へ無料で提供する団体

■損金算入の要件
商慣習等で廃棄せざる終えない食品をフードバンクへ提供した場合、
「寄付」ではなく、「商品廃棄損」として損金算入が可能。

ただし以下2つの事実関係が必須となる。
・実質的に商品の廃棄処理の一環として、フードバンクへ提供されるものである。
・フードバンクとの合意書等で提供後の記録や報告等がルール化されており、
目的外に使用されないことが担保されている。⇒使途が明確に定められている。

なお、上記の事実関係を必須とし、
広告宣伝目的のためにフードバンクへ提供した場合も広告宣伝費として損金算入可






10.自社ポイントと消費税

・自社ポイントは、一定の要件を満たせば、法人税の計算上、付与時に売上から除外可能。
・消費税では付与時には売上から差し引けない。使用時に「対価の変換等」として売上から差し引く。ポイントでの支払いは商品の「値引き」に該当するため。




11.新収益認識基準の事例 いつ売上を計上するか?

■収益の認識の5つのステップ
・契約を特定する。
・義務を特定する。
・取引価格を計算する。
・取引価格を義務へ割り振る。
・義務を果たす。

■ライセンスに関する事例
<前提条件>
・ソフトウェアの開発を手掛ける売主A社が買主B社とソフトウェア・ライセンス契約を締結。
・当契約には、A社がインストールサービスとテクニカルサポート(2年間)を行う旨も含まれている。
・売主A社はこれまでライセンスの引渡し、インストールサービス、テクニカルサポートを独立して販売。
・ソフトウェアはアップデート、テクニカルサポートがなくても操作は可能。

<収益認識時期>
・B社へソフトウェア・ライセンスを引渡した時点で売上計上
⇒A社はソフトウェアのアップデートやテクニカルサポート以外に、ソフトウェア自体の機能性を高める義務なし
⇒ソフトウェア自体はA社のアップデートやテクニカルサポートがなくても機能するため、A社の継続的な活動、というよりソフトウェア・ライセンスの提供を受けた時点で、便益を得られる。





12GW10連休で申告・届出期限はどうなるの?

・2019年のGWは4/27~5/6が休日
■連休中に期限が到来する申告書等
・12月決算法人の連結納税に係る法人税申告書
・2月決算法人の消費税申告書
・12月決算法人の事前確定届出給与に係る届出書
⇒5/7に後ろ倒し
※国税通則法10条に明記されている

■例外
・消費税関係の届出書
⇒「課税事業者選択届出書」「課税期間特例選択届出書」は提出日の属する課税期間の翌課税期間の初日以後に効力が発生する







13.社外取締役のあり方と実務上の課題~指名委員会と報酬委員会~

・CEOの人事、経営陣の報酬決定に積極的に関与すべき

■CEOの選解任・後継者計画への関与
・CEOの選解任は会社における最も重要な戦略的意思決定
⇒(しかし)現実には、CEOの選定を現職経営トップの一存に委ねられることが多い
⇒(そこで)CEOの選任について指名委員会において審議することで、客観性・透明性を確保
※CEOの定義:形式ではなく、実質的な職責を担っているかにより判断される「経営トップ」
※現職による選定は必ずしも悪、ではない。

■経営陣の報酬決定
・役員報酬は企業価値向上のインセンとして働く必要がある
⇒(しかし)日本では業績連動報酬の割合が小さく、代取へ決定が一任される例も多い
⇒(そこで)代取の裁量権を絞り、報酬委員会による報酬制度設計や報酬額決定を推進




14.領収書・請求書「電子化」のメリットと落とし穴

電子帳簿保存法
→国税に関する税法の規定において紙を前提として備え付け保存することが必要な帳簿や書類の特例定めた法律
→「真実性の確保」と「可視性の確保」が求められる。

「真実性の確保」の決定要件
→タイムスタンプ付与│1ファイルに1スタンプを付与。
→画像の解像度│解像度が200dpl以上、RGB階調が256階調
→バージョン管理等│訂正・削除を行った場合、事実を確認できるようにすること
「可視性の確保」
→検索機能│指定された要件による検索ができるようにする
→帳簿との相互関連性│電磁的記録と帳簿の関連性を確認できること
それぞれ、上記の要件等が求められる。

電子化のメリット・デメリット
(メリット)
・業務効率化→証憑台紙への領収書貼付け作業手間削減
・保管・郵送コスト削減→書類保管の倉庫料や郵送コスト削減
(デメリット)
・業務プロセスの変更→「真実性の確保」「可視性の確保」を充足するように業務見直しが必要となる
・原本の証拠性→紙で作成された原本のほうが証拠力が高いと考えられるため、原本保管が必要な書類もある






15子会社清算時の債権放棄による損失は損金となるか

 当該債権放棄による損失については、やむを得ず行われる必要があり、合理的な整理計画に基づくもの等、相当な理由を有していると認められる場合、損金とすることができる可能性あり

■原則的な取り扱い
 法人税法上、回収可能な金銭債権の放棄は寄付金に該当

■相当な理由(裁判事例)
(1)判断ポイント
 ①損失負担の必要性
  業績不振の子会社等の倒産を防止するため等やむを得ず行われたものであるか
 ②再建計画の合理性
  合理的な再建計画に基づくものであるか

(2)判決
 ①について
  以下のことから、親会社による債権放棄の必要性が認められないとされた
  ・子会社は債務超過状態だが、親会社以外の他の取引先への債務の支払いは滞
   りないこと
  ・独自に金融機関からの借入れも継続して行えていたこと
 ②について
  以下のことから再建計画の合理性も認められないとされた
  ・再建計画には目標額の記載はあるが、経費削減に向けた具体的な取り組み、
   親会社に対する債務についての記載がないこと
  ・役員を派遣して資金繰りの方針や経営状態等を報告させてはいたが、それだ
   けでは適切な再建管理を行っていないとは言えないこと

⇒上記事例から、債権放棄による損失負担の損金処理は、①損失負担の必要性、②再建計画の合理性を考慮する必要がある。

■国税局等への事前相談
 当該事例のような損失負担等が寄付金に該当するか否かは、国税局等に事前相談に応じてもらえる体制がある。
※税務当局が再建支援計画の実施に対して事前に許可または認可を与えるものではない
※支援を受ける側からのみの事前相談は対象外

 (参考 : 再建支援等事案の事前相談に係る検討事項)
1. 損失の必要性
(1)事業関連性のある「子会社等」であるか
(2)子会社等は経営危機に陥っているか
(3)支援者にとって損失負担等を行う相当な理由はあるか

2. 再建計画(支援内容)の合理性
(1)損失負担額(支援額)の合理性(要支援額は的確に算定されているか)
(2)再建管理等の有無
(3)支援者の範囲の相当性
(4)負担割合の合理性

⇒上記のいずれにも該当する場合、寄付金に該当しない




15.公開価格割れでスタートしたソフトバンク

・公開価格 1,500 円に対して 2.5%下回る 1,463円で初値がついた。
・短期指向の投資家の売りが殺到した。
・親会社株も一時は 8000 円を割れかける場面も見られたがその後は持ち直しの動き。
・孫社長が今回の子会社上場で得た資金をどのように世界最先端のAI企業に注ぎ込むか、こちらは新たな投資家の期待を生むことになる。
・上場後、半期の配当金が 75 円の半分(配当性向約 50%)を実施。
・顧客の乗り換えや料金引き下げ、来期以降の5G設備投資の拡大といった課題を前に、年間 75 円の配当金を維持できるかどうかも一つの関心事となる。


























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