2019年2月11日月曜日

2/8 勉強会:インセンティブ報酬の会計処理 他

1.Q&Aで読むガバナンス関係の会社法制の見直し要綱案

■株主総会資料の電子提供制度について、現行実務と大きく変わるか。
⇒今回の株主総会資料の電子提供制度では、現行制度とは異なり株主の個別承諾を得る必要なく、
会社は取り取締役が株主総会を招集するときは、株主総会参考書類等をインターネットにより
株主が提供を受けることができる旨を定款で定めることができるようにする。

■株主提案の議案数が10に制限されるが、例えば取締役の選任議案の場合、
2人選任することを提案する場合には2つとカウントされるのか。
⇒議案数は1となる。

■不適切な株主提案の内容を制限することはできるか。
⇒不適切な内容の株主提案を抑止することを目的として、
下記の場合は株主提案をすることができないこととする。
・株主が専ら人の名誉を侵害し、人を侮辱し、困惑させる場合
・自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的の場合
・株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがある場合

■パフォーマンスシェア等について、現物出資の方法によらず、株式の無償発行ができるようになるのか。
⇒今回の要綱案では、上場会社は定款又は株主総会の決議により無償で株式を報酬として交付できるようにしている。

■新株予約権の登記はどのような見直しが行われるか。
⇒ブラックショールズモデルについては、払込金額又はその算定方法等の登記を不要とする見直しが行われる。





2.個人版事業承継税制に係る贈与税の納税猶予が明らかに

■税制改正(今回)
・個人事業者が事業用資産を生前贈与した場合にも適用することができる

■要件(特例事業受贈者となるための要件/すべて満たす必要あり)
・贈与の日において20歳以上(2022年4月1日以降の贈与は18歳以上)である
・中小企業経営承継円滑化法の認定を受けていること
・贈与の日まで引き続き3年以上にわたり特定事業用資産に係る事業に従事していたこと
・贈与の時から贈与の日の属する年分の贈与税申告書の提出期限まで引き続き特定事業用資産のすべてを有し、かつ、自己の事業のように供していること
・贈与の日の属する年分の贈与税申告書の提出期限までに特定事業用資産に係る事業について開業届を提出していること及び青色申告の承認を受けていること
・特定事業用資産に係る事業が贈与の時において資産保有型事業、資産運用型事業及び性風俗関連特殊営業のいずれにも該当しないこと
・贈与者の事業を確実に承継すると認められる要件として財務省令で定めるものを満たしていること

■留意点
・受贈者が事業を廃止した場合
・事業に係る事業所得の収入がゼロになった場合
・青色申告の承認が取り消された場合、取りやめた場合等は猶予が打切り





3.中小企業向け租特の適用停止対象を追加

■適用除外事業者の範囲
・事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均額が15億円を超える中小企業者

■適用時期
・31年4月1日以後に開始する事業年度から

■適用停止となる措置法(31年税制改正案)
・中小企業者等の法人税率の特例
・中小企業投資促進税制
・商業、サービス業、農林水産業活性化税制
・中小企業経営強化税制
・特定地域における工業用機械等の特別償却
・災害対策設備投資減税





4.預金口座と個人マイナンバーとの一律紐付けはなしへ

■31年度税制改正
マイナンバー制度の施行日前に開設された証券口座の個人情報をほふりが直接、住基ネットからまとめて取得し証券会社や株式発行企業に提供できるようにする仕組みが導入。
また、金融機関等は顧客からマイナンバーの告知を受けなくてもほふりかマイナンバーの提示を受ければ顧客はマイナンバーを告知したと“みなす”という改正も盛り込まれている。

■ここでいう金融機関等とは
⇒今回の改正では主に「証券会社」を指し、銀行などの金融機関は含まれていない。
⇒仮に今回の改正で含まれていたら新規口座を開設時にマイナンバーの提示をしなくても銀行側で取得
※個人番号の提供義務化は2021年を予定している。

ほふり:証券保管振替機構の略称、データ化された有価証券の処理・保管を行う機構





5.平成29年6月付課法2-17ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明(1)

【役員給与等】
■定額同額給与
⇒手取り額(源泉徴収等したあとの金額)が同額となる場合も対象

■事前確定届出給与
⇒確定した数の株式や新株予約権を交付することできることを追加
⇒「利益その他の指標を基礎として譲渡制限が解除される数が算定される譲渡制限付株式による給与」を事前確定届出給与の対象から除外

■業績連動給与(利益連動給与)
⇒市場価格のある株式や新株予約権を交付することできる
⇒支給額や交付株式等の算定方法の基礎として、株式の市場価格及び売上高の状況を示す指標を追加。
⇒完全支配関係のある子会社が支給する給与も対象

■退職給与
⇒業績連動給与の要件をみたせば損金算入できる

■譲渡制限付株式、新株予約権を対価とする費用
⇒役務の提供を受けた法人以外の法人が交付するものを対象に追加
⇒非居住者に付与する場合にも損金算入を認める






6.所得税における損失の繰越控除手続と期限後(修正)申告の期間期限等

■所得税法における損失繰越控除
・所得税法における損失繰越控除は法人税法のように一律ではない。損失発生の対象となる所得の種類によって異なる。
・特に個人の場合、源泉徴収制度が整備されているため確定申告の機会が少ないので損失繰越控除の要件の所定期間の申告書の継続提出を怠りがちである。
⇒そこで問題となるのは期限後申告書の提出期限が問題になる。

■事例
・事例では給与所得者である個人が先物取引に係る差金等決済による収入を得ていた。過去6年間の内、3年間損失があり、3年間は利益を得ていた。当該損失年分について税務署の担当者の指導により期限後申告書が提出できなかったため、一部について損失が繰り越せなかった。

⇒このような問題は、最近個人の株式投資等活発になっている中で所得税の課税のあり方に関わるので注目する必要がある。







7.確定拠出年金と定期同額給与

■掛金
最大月55,000円で課税給与から直接控除扱いとなる。
基本給300,000円の場合、課税所得245,000円となり、社会保険の標準報酬も
この金額をベースに計算されるため節税効果がある。

■定期同額給与との関係
前述のとおり、課税給与から直接控除扱いとなる。そのため、役員が期の途中で
加入した場合、定期同額給与の要件を満たさないことになる。
⇒役員の場合は加入時期に注意が必要。期首から3か月以内に加入するのがよい

■参考
確定拠出年金の掛金⇒法人税法施行令第135条第3号を根拠として損金の額に算入される






8.特定支出控除と確定申告

特定支出控除とは、
業務にかかる支払が多い場合、給与にかかる経費と考え、
給与所得控除とは別に給与収入から控除できる

■特定支出控除の範囲
・通勤費
・転居費
・研修費
・資格取得費
・帰宅旅費
・勤務に必要となる経費
これらの支出合計が、給与所得控除額の1/2を超える場合に、超える部分の金額を控除することが可能

■確定申告
特定支出に関する明細書と雇用主の証明書を申告時に添付する必要あり






インセンティブ報酬の会計処理

・会計上の取り扱いは必ずしも明示されていない。
・日本公認会計士協会が「研究報告」を発表(あくまで現時点における一つの考えを示しただけで、実務上の指針でもない)。

・事後交付型の自社株型報酬(パフォーマンス・シェア・ユニット等)
⇒業績等の条件の達成度合いに応じて与えわれる株式数等が決まる。
⇒会計処理は、
(1)付与決議日:仕訳なし
(2)業績等連動期間の経過に応じて:
  (借方)報酬費用 / (貸方)負債(※)
(3)権利確定時
  (借方)負債(※) / (貸方)払込資本
(4)権利失効時
  (借方)負債(※) / (貸方)報酬費用

※負債ではなく、純資産とする考え方もあり(返済義務はないため)

なお、金額は付与日の株価に基づいて計上する。
付与日以後の株価の変動はサービスの価値とは直接関係しないため。

・事前交付型の自社株型報酬(リストリクテッド・ストック等)
⇒付与日時点で譲渡制限付きの株式が与えられ、対象期間中に退職すると、無償で会社が取得する
⇒会計処理は、
(1)付与時:
  (借方)前払費用 / 払込資本
(2)勤務対象期間の経過に応じて:
  (借方)報酬費用 / (貸方)前払費用
(3)権利確定時:仕訳なし
(4)権利失効時
  (借方)損失(※) / (貸方)前払費用

※無償取得することになった部分に相当する前払費用を取り崩し同額を損失処理。






10.KPIの開示

・2017年3月31日以降終了する事業年度からKPI(重要業績評価指標)の開示が求められている。

・金融庁は2018年12月に「記述情報の開示に関する原則」案を公表
⇒経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等(KPI)には下記が含まれる。
 ①財務KPI(ROE、ROIC等)
 ②非財務KPI(契約率等)

・帝人の例(2018年度3月期の有報)
①収益性指標:ROE
②成長性指標:EBITDA
 ③投入資源に対する収益効率性の指標:営業利益ROIC
 ④非財務情報を含む独自のKPI:発展戦略プロジェクト売上高、ダイバーシティ推進度






11.債権回収時の内容証明の効果

1.精神的なプレッシャーによる弁済の促し
2.裁判における証拠品として残せる
3.公的に日付を証明できる
4.債権の消滅時効の中断
⇒内容証明郵便を利用する効果は、債権の時効を中断することができるところにもあるが、
内容証明郵便で時効を延長できる期間は6ヶ月。
5.期限が設けられていない債権を債務不履行にできる
⇒内容証明郵便を介して催告書を債務者へ通知することで、弁済期日を設けることができ、通知が届いた日が弁済期日
6.遅延損害金の請求ができる






























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