2018年9月21日金曜日

9/21 勉強会:新リース会計基準の概要 他

1.その他有価証券の月中平均価額は認めず

■その他有価証券の時価の取扱い
・日本基準=継続適用を条件に、月中平均価額を用いることができる
・IFRS=公正価値は測定日時点の価格と定義

⇒時価に関する会計基準&適用指針では、月中平均価額の使用を認めない方向
 (調査対象の上場企業3,603社のうち、月中平均価額を使用している企業は90社のみであり影響は限定的)





2.再編後の逆さ合併を適格とする案が浮上

■決定ではない
・2019年度税制改正議論の俎上に上がるかも。。という段階
・経産省が要望している段階

■ニーズ(SPC等を使った企業買収)
・SPC等が事業会社を株式交換等でスクイズアウト、完全子会社化
・その後、子会社を存続会社、SPC(親)を消滅会社とした合併を実施(逆さ合併)
→今の税法だと非適格になる。
・株式交換等のスクイズアウト手続きが税法上非適格
「株式交換後、完全支配関係が継続すること。ただし、適格合併する場合はその時点まで」
→この条文の後段「適格合併」は子会社を消滅会社とするケースしか認めていない。

■論拠
・子が存続、親が存続は、どちらのケースも実質的にグループの経済実態の変化はなし





3.離婚に伴う財産分与を無償譲渡と認めず

■事例
・夫は納税滞納者
・離婚協議で夫が300万円を受領する旨と離婚後はお互いに金銭要求を行わない旨の合意 
書を作成
・夫が元妻に預金債権と保険の解約返戻金を譲渡
⇒元妻に第二次納税義務※があるか否か
※滞納者が納税できない場合、その納税義務者と一定の関係がある者に納税義務を課す制度

■税務署の主張
・合意書には財産分与に関する記載がなく、離婚後に金銭要求を行わないことが合意されている
・財産分与について確認したことを証明する具体的な書類がない
⇒預金債権の譲渡は離婚に伴う財産分与ではなく無償譲渡であるため、元妻には第二次納税義務がある

■審判
・元妻への第二次納税義務はない
(理由)
・夫は共同財産のうち300万円を受け取りその他は放棄する旨の財産分与の協議が成立したと解釈するのが相当
・財産分与が不相当に過大である場合は無償譲渡に該当するが、今回のケースでは不相当に過大とは言えない





4.平成30年度における調査方針等

■特に留意すべき事項(特留事項)
・税理士法関係、移転価格調査関係、国際課税の事務運営について、が挙げられた。

■税理士法関係
・犯罪収益移転防止法の遵守状況チェック
⇒マネーロンダリングなどの犯罪行為、反社会勢力との取引を行っていないかどうか等
・国税庁退職者への注意喚起
⇒国税庁を退職し税理士登録希望者に対して税理士法遵守の注意喚起等の徹底

■移転価格調査関係
・BEPS事案(多国籍企業の国境を越えた過度な節税策に対しての対抗策)
⇒調査必要度の高い事案を重点的に、移転価格上の問題の有無を判断する為、準備調査の実施
調査着手後は対象法人との密接な意思疎通を図ることとされた。
・調査間隔延長の対象法人の増加
⇒納税者:対応の負担軽減、国税当局:調査事務量の軽減、双方にとってメリットがあるように。

■国際課税の事務運営(特に資産税関係とされている)
⇒海外資産関連事案調査に取り組む方針が示されている
 国外送金調書、国外財産調書等で事案の把握、仮装隠ぺい等の情報収集と証拠の保全
⇒消費税について
 仮想通貨取引、民泊などの新しい取引形態に利益を得ていながら適正に申告を行っていない個人
 及び法人に対して調査を実施していく





5.株主提案権の議案数は「10」に、複数の内容の議案の数え方は?

■株主提案権の制限
法制審議会会社法制部会の会社法の見直しでは、株主提案権の乱用的な行使を制限するため、株主が提案することができる提案数を「10」までとする方向となっている。

■議案の数え方について
議案の数え方が問題となるが、現状以下の方向性となっている。
・役員等の選任は、選任される役員等の数に関わらず1つの議案とする。
・複数の事項をその内容とする定款の変更に関する議案については、当該複数の事項が別個に可決又は否決されたとすれば提案の理由との整合性を欠くこととなる場合には、1つの議案とし、それ以外の場合には1つの事項につき1つの議案とする。
・例えば「監査等委員会の設置の提案」と「監査役及び監査役会の廃止の提案」の2つの議案については、監査等委員会が設置されれば、当然に監査役及び監査役会が廃止が必要なため、1つの議案とカウントする。




6.関信局長、相続税の無申告に問題意識

垣水新局長にインタビュー

■富裕層への対応
・関信局に設置された富裕層担当の専門官である国際税務専門官を中心に情報収集。
・国外財産調書などの調書制度や、共通報告基準(CRS)に基づく情報交換制度の活用
※国外財産調書:居住者(「非永住者」の方を除く)でその年の12月31日において、その価格の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、税務署へ提出。

■相続税の無申告について
・平成27年から相続税の基礎控除が引き下げられたことで課税対象が増加。
・一定の事務量を投下して対応。

■軽減税率制度への対応
・平成31年(2019)10月より消費税率の引き上げ及び、軽減税率制度の導入に関して、事業者の1割ほどしか税務署が開催する説明会に参加していない状況。
・今後は周知に努める。

■適格請求書等保存方式への対応(平成35年(2023年)10月から導入)
>メリット
・消費税率別に区分記載

>デメリット
・適格請求書発行事業者を登録した事業者しか発行されない。
⇒税務署へ登録する必要がある
・免税事業者は適格請求書を発行できないため、仕入税額控除の適用ができない。
⇒一部については仕入税額控除は認められる。






7.今週の専門用語

■スクイーズアウト
・日本語訳にあたるのは「締め出し」
・TOBにより対象会社株式の2/3以上を取得した後で、少数株主から強制的に株式を取得し、対象会社を
100%子会社化すること。
⇒この手法は事業継承に備えて株主数を減らしたい場合やM&Aで確実に株式を買い集める場合などで用いられる。





8.商品券発行時の益金算入

■通達改正
(改正前)
原則:商品券の発行時
例外:商品の引渡し時(税務署長の確認が必要)

(改正後)
原則:商品の引渡し時(税務署長の確認不要)
例外:商品券の発行時
なお、発行日から10年を経過して未引換の場合にはその事業年度
に一括して益金算入となる

■中小企業
中小企業は継続して発行時に収益計上することとしている場合には
益金算入が認められる。




インボイス制度 消費税額等に係る端数処理の動向

・インボイスに記載する「税率ごとに区分した消費税額等」の計算に係る1円未満の端数処理の方法
⇒切捨・四捨五入・切上は任意で選べる。
・端数処理の単位は「一の請求書につき税率区分ごとにそれぞれ1回」で行う
・システムによって端数処理が異なるため、システムの改修が必要となる。




10.新リース会計基準の概要

・IFRSによって財務諸表を作成する会社は、2019年1月1日以後開始事業年度から適用(2018年度から早期適用する会社が出始めている)。
・借り手の会計処理が大きく変更。
 ⇒ ファイナンス・リース取引、オペレーティング取引の区別がなくなり、ほとんどのリース資産・負債がオンバランスとなる。
 ⇒ ただし、短期リース(12ヶ月以内)、少額資産については引き続きオフバランスが可能。
 ⇒ 特に影響が大きい業種として考えられるのが、航空、小売、旅行、レジャー。
・貸し手の会計処理は大きな変更なし。
 ⇒ ファイナンス・リースとオペレーティング・リースで扱いが引き続き異なる。
 ⇒ 親子でリース取引を相殺消去する場合には注意する。




11.2017年4月~2018年3月期のポイント引当金の計上状況(J-GAAP適用企業)

・計235社、計上総額は3,500億円超
・業種ランキング
⇒1位:小売業101社(43.0%)
⇒2位:サービス業31社(13.2%)
⇒3位:銀行業25社(10.6%)
・有報上では、会計方針に関する注記事項で、ポイント引当金の計上基準を開示しているケースが多い。
・計上金額だけ見ると、クレディセゾンだけで1000億円超。






12同一労働同一賃金

同一企業・団体における正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と、
非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの
同じ労働に対して同じ賃金を支払うべきという考え方

会社としては、短時間労働者や有期契約労働者の労働条件を、正社員のものと異なる内容にする場合は、
その相違が「職務内容が正社員と違う」、または「職務内容・配置変更の範囲が正社員と違う」理由を説明できるか確認する必要あり

2019年4月以降に上場予定の会社にとっては、新たな論点として加わる可能性あり























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