2018年9月7日金曜日

9/7 勉強会:31年度改正でSO税制の拡充がテーマに 他

1.31年度改正でSO税制の拡充がテーマに

対象はベンチャー企業のみ
・税制適格SO(※)の付与対象者を兼業者等にまで広げる案
※権利行使時に課税せず、株式譲渡時まで課税を繰り延べるSO
⇒現行の税制適格SOの付与対象者は自社の取締役、執行役、使用人等に限られているが、
 対象者に外部専門家等を加える案が浮上している。

・権利行使価額の上限を2倍以上の金額に引き上げる案
⇒現行の税制適格SOの権利行使価額は「年間1,200万円を超えない」ことが求められるが、
 これを2倍以上の金額に引き上げることを目指す動きがある。

・権利行使期間を見直す案
⇒現行の税制適格SOの権利行使期間は「付与決議後2年~10年」とされているが、見直しの可能性がある。






2.31年改正における組織再編税制、役員給与税制の見直し

■組織再編税制(三角合併)
(現行制度)
・対価:完全親法人株式のみ
・例
A→(100)→B→(100)→Cというようなグループ(カッコは持株比率)
Aは上場会社、B・Cは非上場会社
Cを存続会社、連結外Dを存続会社として適格合併を行うケース
⇒Dの旧株主はCの親会社Bの株式しか対価としてもらえない。
⇒流動性がなく、旧D株主の納得を得られない可能性が高い
(改正案)
・間接親会社Aの株式を対価としても適格と認める

■役員給与税制の見直し(業績連動給与)
(現行制度)
・適正手続要件:
⇒委員会設置会社:業務執行役員が構成員となっていない報酬委員会での決定が必要
※監査役会設置会社でも、任意に報酬委員会設置する場合があり、その場合は上記に該当
⇒見直す可能性

■ストックオプションの税制適格要件の見直し
(現行制度)
・権利行使価額:年間1200万円を限度
⇒2倍以上に拡大することを目指す
※このほか、権利行使期間(現行付与決議後2年~10年)も見直しされる可能性あり





3.住宅取得費用に係る消費税は特定取得かの判断に影響せず

■事案
・個人間の売買契約による既存住宅の取得が特定取得に該当するか否か

■特定取得とは
・住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、8%又は10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいう
・増税後の税率で購入した建物については、住宅ローン控除に係る借入限度額が増額されるため、最大控除額も増額となり、税負担は軽減される

■主張
請求人:既存住宅の取得に伴い支払った不動産仲介手数料の費用に消費税額が含まれているため、特定取得に該当する
税務署:今回の既存住宅の取得は個人間の売買であるため、消費税額の負担がないことから特定取得には該当しない

■判決
・特定取得の条件
(1)居住用家屋の新築若しくは既存住宅の取得に係る対価の額
(2)増改築等に係る費用の額に含まれる消費税相当額
⇒既存住宅の取得にかかる費用の額のみに新税率の消費税額が含まれていても、特定取得には該当しない






4.トレーディング目的で保有する棚卸資産の時価開示

■ASBJが適用指針を検討中
公正価値測定に関するガイダンス及び開示に関して、日本基準と国際会計基準との整合性を図っている。
・公正価値とは、測定日時点で秩序ある市場において資産を売却するために受け取るであろう価格又は負債を移転する為に支払うであろう価格をいう
・IFARS第13号:金融商品とそれ以外を区別することなく、単一の公正価値を定義
⇒ASBJでは金融商品以外については国際的な会計基準との整合性を図る取り組みはしないとしていた。

■トレーディング目的で保有する棚卸資産
会計処理は金融商品会計基準における売買目的有価証券と同様の取扱いになる方向、開示に関しては範囲外とする方向で検討が進んでいたが、含めない理由が不十分として開示の範囲に含める方向に転換。
但し、重要性が低い、乏しいものは注記を省略できるとしている。






5.社外取締役、「相当でない理由」の説明義務の対象は37社

■社外取締役の設置について
・東証に上場している97.7%の企業が社外取締役を1名以上選任
→社外取締役を年度末美時点で置いていない上場企業等は、事業報告に「社外取締役を置くことが相当ではない理由」を記載する必要がある。
→対象企業は37社、内27社は「選任に向けて検討を行っていく」旨の説明を記載。
→その他は、「適任者が不在」、「適任者以外が就任すると経営が阻害される」、「現状の体制でガバナンス体制が十分」の3つの類型に分類される。




6.土地の相続税評価で鑑定評価額を認めず

■事例
土地の相続評価額をめぐる裁判。
・不動産鑑定士は取引事例比較法で査定。
⇒取引事例を参照し、土地の種類別(宅地、雑種地)に土地の評価額を算出。
・それに対し課税当局は評価通達による評価額が相当と反論。
⇒路線価方式、または倍率方式での算出

■争点
不動産鑑定士による鑑定評価額が相続税法22条の時価として認められるか否か。

■判決
鑑定評価書に問題点があり、鑑定評価額が時価であるとは認められないと判断。
⇒評価通達よる評価方法は合理性があり、本件ついても評価通達では評価できない特別の事情があるとは認められない。




7.審査事例 実際の取得費が判明したため概算取得費の適用を認めなかった事例

■概要
・譲渡人Aは被相続人Bより相続した土地を譲渡した
・取得価額が不明であったため概算取得費特例(売却額の5%)を取得費として申告した
・その後、当時の実勢価格を調査したところ2,000万円程度と推計されるとして更正の請求を行った
・原処分庁はこれを認めなかった

■審判所の判断
・取得価額が不明な場合は概算取得費により計算する
・本件は調査したところ被相続人に土地を譲渡したC社に資料が残っておりその金額を
 使うのが妥当である
・譲渡人Aが請求した2,000万円には根拠資料がないため認められない

⇒結果、審判所が調べて判明したC社資料に記載の金額が取得費とされた






8.のれんの償却と減損

・のれんの償却と減損について、日本基準、IFRS、米国基準とで相違点あり
日本基準:定期償却(20年以内)/減損テスト(兆候ある場合のみ)
IFRS&米国基準:定期償却なし/少なくとも年に1回は減損テストが必要

米国基準:2017年より減損テストが簡素化された
IFRS:減損テストの簡素化、のれん償却再導入等が検討されている。






収益認識基準の早期適用の開示は?注記情報の開示状況

■注記情報・・・IFRS>日本基準が一般的
■IFRSにおいて特徴的であると考えられる注記
・顧客との契約から生じる収益に係る開示(※)
・金融商品から生じるリスクの内容および程度
・ヘッジ会計に係る開示
・IFRS13号「公正価値測定」に基づく開示
・FVTOCI(ではその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品)についての注記
・退職給付に係る開示
・のれんの減損テストに係る開示
・IFRS12号「他の企業への関与の開示」に係る注記
・IFRS3号「企業結合」に係る注記
・IFRS2号「株式に基づく報酬」に係る注記

※顧客との契約から生じる収益に係る開示
・現行の日本基準では要求されていない
・IFRSでは、顧客との契約から生じる収益およびCFの性質、金額、時期および不確実性を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を開示することが求められる
・下記、(a)~(c)に関する定量的情報および定性的情報を開示しなければならない
 (a)顧客との契約、(b)当該契約にIFRS15号を適用する際に行った重要な判断および当該判断の変更、(c)顧客との契約の獲得または履行のためのコストから認識した資産
・開示例
オリンパス18年3月期「28 売上高」、JVCケンウッド18年3月期「28 顧客との契約から生じる収益」、沢井製薬18年3月期「5 売上収益」、キリン17年12月期「23 売上収益」注記





10.IFRS初度適用時の免除規定

■本保存形式の制度概要
IFRS初度適用時には、作業負担の軽減を理由として、各種免除規定が設けられている。

■免除規定各論
(1)企業結合
IFRS移行日前に生じた企業結合について、IFRS3号を遡及適用しなくともOK
※特に、IFRS開始BSにおけるのれんは、従前の会計基準に従う

(2)為替換算調整勘定
在外拠点から生じる為調は、在外拠点の設立or取得時に遡及して再計算せず、IFRS移行日において0とみなし、全額を利益剰余金に振替えてもOK

(3)みなし原価
一定の投資不動産と一部の無形資産は、時価評価せず、IFRS移行日現在の公正価値を、その日の簿価とみなすことOK

(4)リース
契約にリースが含まれているかは、リース開始日に遡及せず、IFRS移行日時点で存在する事実から判断してOK

(5)借入コスト
開始日に遡及して、借入のもとになる資産の取得原価の一部として資産化せず、IFRS移行日等から資産化すればOK

(6)資産除去債務
IFRS適用前に発生した分は、関係する資産について遡及して算出することなく、IFRS移行日時点の負債を認識すればOK




11.新規任意適用企業の一覧と初年度適用時の開示パターン

■IFRS適用状況
2018年6月時点でIFRS適用済、適用決定会社、適用予定の会社で204社
⇒2017年3月期から2018年3月期の1年間で新たに40社適用

■業種別適用状況
サービス業、電気機器、医薬品割合が高い
・業種別の適用企業割合
⇒サービス業:5%、電気機器:7%、医薬品:25%
⇒医薬品企業は研究開発費の資産計上やのれんの非償却等で利益が増加していた。

■開示パターン
第一四半期から開示するパターンと年度末から開示するパターンの企業割合が8-9割を占め、
割合は半々程度である






12出資者と出資先ファンド(組合形式)の決算日が相違する場合の、組合の決算取込時の対応

■出資者が組合の持分を取り込む会計処理の方法

BS:組合の財産の持分相当額を出資金(若しくはその他有価証券)として計上
PL:組合の営業により獲得した純損益の持分相当額を当期の純損益として計上

⇒出資者が組合の持分を取り込む会計処理は、組合の決算が基礎となる。

■法人税基本通達で定められている、出資者における組合の損益帰属期間
 税務の場合、組合自体には課税は行われず、出資者に対し課税がなされるため、以下の定めがある。

(1)出資者の各事業年度の期間に対応する組合の損益を計算する方法
(2)①組合の損益が年1回以上一定の時期において計算される場合
  ②出資者への損益の帰属が当該損益発生後1年以内である場合
 ⇒上記①②を満たす場合には、当該組合の計算期間を基に、当該計算期間の終了日の属する出資者の事業年度に損益計上する方法(ただし書き)





13.調整表に関する開示状況

■概要
IFRSの初年度適用企業は、従前の会計基準に従って作成された財務諸表と、IFRSに従って作成された財務諸表との重要な調整について、利用者が理解できるように調整表を作成しなければならない。今回IFRS適用企業のうち、37社を対象に、どれくらいの割合の企業が、どのような調整に関する開示を行っているか、調査した。

■調整に関する注記(多数の企業が注記している項目のみ抜粋)
(1)のれんの非償却(37社中31社:84%)
日本基準:20年以内の均等償却⇒IFRS:毎期減損テスト

(2)未消化の有給休暇債務(37社中28社:76%)
日本基準:明確な基準なし⇒IFRS:未消化の有給休暇を負債認識

(3)在外営業活動体に係る換算差額累計額(37社中28社:76%)
日本基準:為替換算調整勘定⇒IFRS:初年度でいったん「0」とできる(利益剰余金に振替)。

■IFRSを適用することによる、BS、PL上の主な指標の変化
(1)収益
 減少企業:25社>増加企業:7社(影響なし:5社)
(2)当期純利益
 増加企業:31社>減少企業:6社
(3)資本
 減少企業:26社>増加企業:11社
(4)総資産
 増加企業:19社>減少企業:18社






14.個人保証の二重取り、4割弱。

・中小企業が事業を承継する際、銀行が融資のために旧経営者から取得していた個人保証を解除せず、新経営者からも二重に保証を取るケースが4割弱に上っていることが27日までに、金融庁の調査で分かった。

・経営者の高齢化が進み、後継者不足に悩む中小企業は多い。銀行は融資先の倒産に備える慣行として個人保証を求めてきたが、負担が大きいことから承継ではなく廃業を選ぶ企業もある。

・金融庁が大手銀行や地方銀行など全国548の金融機関を対象に実施した調査によると、2017年10月~18年3月に事業承継があった取引先2万5732件のうち、二重の保証取得は36.3%の9349件だった。旧経営者の保証を解除し、新経営者からも取らなかったのは9.5%の2438件にとどまった。

・全国銀行協会などは2014年、保証解除の指針となる自主的なルール「経営者保証に関するガイドライン」を導入。金融庁は過度に担保や保証に依存しない融資を銀行に促しており、地銀12行を抽出した実態調査にも乗り出した。

・個人保証は「経営の規律付け」と「保全」が目的だが、実質的には保証の履行による債権回収は難しいという。金融庁は「新規事業の推進や事業承継の阻害要因となっている可能性を考慮しなければならない」とし、銀行に対応を求めている。






15.野村證券の中間審査DDM

引受審査担当者が会社へ訪問し、通常2日間にわたって回答書に関するヒアリング、
事業所等の現場実査、社長面談、監査役面談、監査法人面談等が行われる

(留意事項)
1.事前準備
・審査質問事項、回答書(添付資料含む)の読み合わせ
・質疑応答ではだれがどのパートを回答するか、事前に役割分担を決定

2.ヒアリング進行要領
・引受審査担当者によって議事が進行
・審査担当者質問⇒会社回答の流れ

3.質疑応答に関して
・即答できない場合、調べた後に回答すること
・回答全体に不整合が生じないように
・中間審査資料のうち、特に規程類、Ⅰの部、各種説明資料(マザ)、年度決算、中期経営計画等が手元にあると質疑応答がスムーズに進行することが多い
















◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

0 件のコメント:

コメントを投稿