2016年7月30日土曜日

7/29 勉強会:子会社投資の将来加算一時差異で平仄 他

1.現物出資の適格性否認、審判所の判断は

■事案
・税制適格として現物出資⇒税務当局は税制非適格と認定

■ケース
・国内の製薬会社(A)がケイマンに設立した会社(JV)の持分50%を保有
 ⇒JVの持分50%をイギリスにあるA100%子会社(a)へ現物出資

■論点
・税制適格の要件検討
⇒外国法人に「国内にある資産又は負債」の移転を行うものは税制適格から除かれる
 つまり外国法人に「国内」のものを現物出資すると非適格になる

■「国内」か「国外」かの判断 
1.どこの事業所の"帳簿"に記載されていたか
2.実質的にどこの事業所で経常的な管理が行われていたか

■税務当局の見解
1.本社の有価証券台帳に記帳あり
2.意思決定はA本社の決裁により行われていた=A社が管理をしていた
⇒持分は「国内」にあると判断

■もう一つの論点
・事前照会の回答⇒適格現物出資と回答
 税務調査で、回答の内容を覆した⇒「信義則の法理」の適用により違法では?
⇒事前照会の内容と「客観的事実」に重大な相違があれば覆されてもやむを得ない


2.子会社投資の将来加算一時差異で平仄

■企業会計基準委員会・・・子会社の投資に関連する将来加算一時差異における「連結財務諸表」と「個別財務諸表」における取扱いの平仄を合わせる方針

現在は、
連結=原則として繰延税金負債を計上(連結税効果実務指針第37項)
個別=一定の場合を除き、繰延税金負債を認識

同様に思えるが、連結税効果実務指針第37項では、「親会社がその投資の売却を親会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間に、その売却を行う意思がない場合には、当該将来加算一時差異に対して」、繰延税金負債を計上しないこととされている。
⇒連結と個別での取扱いの差異となっている。

よって個別税効果実務指針第24項にも同様の取扱いを定める方針。


3.審判所、資料の隠匿等なくても重加算税

■事実関係
請求人(K社の業務を行うA)は、
・収入をK社の金員と装うためにK社の口座に入金させ、毎月ほぼ全額を現金で引出し、金員の流れを容易に把握できないようにしていた
・税務調査が行われた場合、
 虚偽の証明書(給与所得の証明書)をK社に作成させ過少申告を予定していた
・多額の事業収入があったが、5年間無申告を続けた

■裁決
A氏に重加算税賦課
⇒重加算税の賦課要件として、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為の存在は不要

(1)税額等を過少に申告or申告しないことを意図
(2)客観的に見て(1)
(3)実際に過少申告or申告しない
⇒以上の場合、重加算税賦課


4.≪今週の専門用語≫

■確実な債務
相続税の課税価格の計算において、被相続人の債務で「確実と認められるもの」のみが債務控除の対象となる

()非上場株の純資産価額方式
・債務控除可能
 借入金や未払金などの対外的な債務

・債務控除不可能
 貸倒引当金、退職給与引当金、納税準備金などの引当金や準備金


5.回収可能性適用指針の早期適用、会計方針を変更した企業は?

3月決算を前提とすると、平成283月期より早期適用可
※平成293月期より原則適用

■平成283月期に早期適用した企業    26
⇒うち、会計方針の変更として注記した企業  6
※それ以外の20社は、追加情報として注記

■以下3つのケース・・・適用初年度の期首の影響額を利益剰余金に計上
⇒会計方針の変更として注記

(1)分類2に該当
スケジューリング不能差異に係るDTAについて、回収可能性ありとして取扱う
前提:回収可能であることを合理的に説明

(2)分類3に該当
5年を明らかに超える見積期間において、スケジューリングされた一時差異に係るDTAについて、回収可能性ありとして取扱う
前提:回収可能であることを合理的に説明

(3)分類4に該当
分類2として取り扱う
前提:将来期間(5年超)において、課税所得()が生じることを合理的に説明
()一時差異等加減算前

■それ以外のケース・・・P/Lに計上
⇒追加情報として注記


6.競馬の馬券的中による払戻しに係る所得区分と控除(必要経費)金額

■一般的な購入方法による払戻金
・所得区分:一時所得
・必要経費:当たり馬券に対応する購入金額のみ必要経費算入可

■特殊な購入方法による払戻金
・所得区分:雑所得
・必要経費:当たり馬券の購入金額のみならず、外れ馬券の購入金額も必要経費算入可
・特殊な購入方法とは:
独自で編み出したノウハウを駆使しネット等により長期間にわたり多数回かつ網羅的に馬券を購入して多額の利益を恒常的にあげる方法

競馬の馬券的中に関する論点は、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するか否かが所得の判断基準となるため、今後も個々の事実関係をめぐって争いが続く可能性あり


7.移転に伴う支払義務の負債計上を認めず

【東京地裁事例】
・個人が法人に非上場株式を贈与(寄付)
・贈与時の非上場株式評価額が争点に

(納税者)
・非上場会社は、東京都が行う道路整備事業のために、自社所有の工場等を別の場所に移転する旨の契約を東京都と結んでおり、移転費用を純資産価額計算上の負債に計上できる

(当局)
・移転費用は確定債務ではないため、負債に計上できない

【判決】
・負債計上はできない
・非上場会社が移転費用を負担することは予想できるが、「具体的金額」が明らかになっていないので、引当金的な性質
・確実と認められる債務でないので、債務控除はできない


8.キャリアコンサルティング費用と特定支出控除

■キャリアコンサルティングについて
キャリアコンサルティングとは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発に関し、助言及び指導を行うことをいう。キャリアコンサルタントは284月より国家資格となった。

■特定支出控除の要件
キャリアコンサルティング費用はそれだけでは特定支出控除の対象とならず、関連する研修を受けた場合に限り、研修費との合計額が特定支出控除の対象となる。

■適用対象年度
関連する研修を受けた年に特定支出控除の対象となる。

<設例>
・平成2812月にキャリアコンサルティング費用を支出(A)
・関連する研修を平成291月に受講(B)
(A)(B)29年の特定支出として認識する


9.【税務】中小の固定資産税減税 貸付資産を除外せず

■固定資産税減税とは
・経営力向上計画の認定を受けた事業者が、
H28.7.1H31.3.31に生産性を高める機械装置を取得した場合
 ⇒ 翌年から3年間、その固定資産税が2分の1とされる。

■貸付用資産の取り扱い
・ファイナンスリースの場合
 ⇒ 借り手が適用を受けられる

・オペリース(orレンタル)の場合
 ⇒ 貸し手が適用を受けられる。

※貸付用資産が対象から除かれている『生産性向上設備投資促進税制のA類型』とは、対象資産の範囲が若干異なる。


10.在外子会社ののれんと経過措置

H27.4.1以後開始する連結会計年度の期首において計上されているのれんのうち、
 在外子会社が償却処理を選択したのれんについて、
 償却方法の選択が可能となる取り扱いが認められている。

①連結FSにおけるのれんの残存消却期間に基づいて消却する方法
②在外子会社が採用する償却期間で消却する方法
 ※連結FSの償却期間よりも短い場合


11.H28年度税制改正に係る減価償却方法の変更

1. 建附及び構築物の法人税法上の償却方法が定額法のみに変更
・法令等の改正に準じた取扱
・下記を注記
(1)定率法から定額法に変更している旨
(2)変更に伴う、当期への影響額

2.自発的な会計方針の変更ではなく、法令等の改正に準じた取扱とする理由
⇒法人税法の償却方法を選択するかは企業の判断
⇒実務では税法基準を採用することが一般的であり、会計慣行として認められている事実がある。
⇒実質、法令の変更で強制的に変更することと変わらない
⇒法令等の改正に準じた取扱とすることとされた。


12.業種別税務調査の対策ポイント 卸・小売業、商社

■主なポイント
・POSレジデータと会計帳簿が一致しているか
・棚卸資産の評価損
・広告宣伝費(期ずれがないか、貯蔵品等とすべきものがないか等)
・ソフトウェアの計上が適正かどうか
・出店、退店、改装等の処理は適正に行われているか


13.連結納税制度の親法人による説明・指導のポイント

・連結の納税用データを連結親法人に報告する体制を整えさせる
・連結親法人と子法人で行うべき作業について、それぞれの法人内で担当部署や担当者を決定しておく
・作業を早めるため、連結子法人での人員増加の要否を検討
・連結法人税額の計算結果をフィードバックする連結子会社担当者、時期、内容を検討


14.PPA時の無形固定資産計上のポイント

■買収の主たる目的である資産(例:顧客資産)が無形資産として計上されないケース
①買収時点以降に獲得予定の顧客は対象外
②被買収企業が赤字=顧客資産に価値なし⇒取得価格が全額のれんのケースも

■経済的耐用年数の設定ロジックと監査上のポイント
①商標権、特許権:法的保護期間
②契約関連:契約期間、継続年数、減少率
③顧客資産:継続年数、減少率

PPAが無形資産およびのれんに与える影響
①無形資産とのれんは償却年数が異なることが通常⇒業績予想に影響大
IFRSは耐用年数確定が出来ない無形資産は非償却(要減損テスト)


15.連結納税制度(連納)の概要と単体納税との差異

■連納概要
企業連結グループを一つの単位として考える
属する個社の所得と欠損を通算して連結所得金額を計算する
算定された連結法人税額は親会社がまとめて納付する

■連納のメリット・デメリット(主要なもの)
⇒受配等の益金不算入における負債利子計算
○連結法人間の負債利子は考慮されない(控除減)
△配当ない個社でも負債利子を集計する事務負担

⇒寄付金の損金不算入
○損益通算により所得基準額が増加すると損金算入額増加
△資本基準額は親会社基準のため、各社合計より縮小の可能性

■連納における税額計算フローと注意点
(個社):グループ各社がそれぞれ作業、():親会社が作業
(個社)所得計算
()①を単純合算
()連納の各種調整
()連結法人税の計算
()④から各社帰属金額を計算
(個社)決算・申告
⇒個社のうち一つでも所得計算を修正すると全てやり直し
⇒税務視点でもグループ各社の管理・統制のしくみを万全に


16.社会福祉法人の会計士監査人就任 独立性に関する留意事項

・一定規模以上の社会福祉法人について、会計監査人の設置が義務付け。
・監事の場合 → 退任後1年経過まで監査契約締結不可。
・税務顧問の場合 → 顧問業務を解消するまで監査契約締結不可。
・上記を満たしたとしても、実質的に自己レビューとならないよう考慮する必要あり。


17.ショートレビューによる会計処理の主な指摘事項

監査法人によるショートレビューにおいて、主に以下の会計論点が指摘されることが多いと考えられる。

(1)売上の総額表示or純額表示
⇒代理店契約がある場合に、代理店への支払については、契約実態に従い、売上高の控除(純額)or費用処理(総額)の検討が必要。
⇒例えば、顧客に対する信用リスクや商品の在庫リスクを自社が追っている場合には、総額表示となる。

(2)売上原価と販管費の区分
⇒原価性を有するものは売上原価へ区分する必要あり。

(3)ソフトウェアの計上
⇒原価計算制度の構築し、外注費や人件費、間接費からソフトウェアとして資産計上するかどうかを検討する必要あり。

(4)税効果
⇒税効果会計基準に従って、DTADTLの計上が必要。
⇒上場準備の初期段階では、赤字会社が多く、DTAの回収可能性はないと判断されることが多い。

(5)減損会計

⇒固定資産の減損会計基準に従って、減損の検討が必要。







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2016年7月23日土曜日

7/22 勉強会:利益連動給与の採用進まず、依然として手続や開示がネック 他


1.広大地通達の適用をめぐり課税処分の取消裁決が相次ぐ

■広大地
・その地域の標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で開発するときに道路や公園などの公共施設用地を負担する必要があると認められるもの
⇒宅地が広いので、宅地内を行き来できるよう道路や公園などを作る必要があるような土地のこと
⇒路線価で評価した時より土地の評価が低くできるので納税者有利

・大規模な工場用地、マンションの敷地に適しているものは対象外となる
⇒施設を作るのに大き目の宅地が必要なものになるため

■裁決事例
・税務調査でその宅地が広大地ではないと更正処分を下されたが、裁判で税務署の更正処分を取り消す判決が相次いだ
・納税者側の想定や開発行為が合理的かどうかが判決の分かれ目となっている様相


2.適格現物出資(被現物出資法人)

■事例
現物出資法人A
・簿価⇒資産1,500、負債1,000(簿価純資産価額500)
・時価純資産価額⇒1,200
・対価はB
被現物出資法人B
・資本金300、資本剰余金900増加

■被現物出資法人Bの会計処理(時価純資産価額で受入した場合)
()資産 2,200      /
                 ()負債 1,000
                 ()資本金 300
                 ()資本剰余金 900

■被現物出資法人Bの税務処理
⇒適格現物出資なので、移転資産負債を簿価により受け入れたものとして計算する。
()資産 1,500      /
                 ()負債 1,000
                 ()資本金 300
                 ()資本金等の額 200

⇒したがって税務調整は以下となる。
()資本金等の額 700 / ()資産 700

■別表調整
別表四⇒不要

別表五()
⇒資産△700
⇒資本金等の額700

別表五()
⇒利益積立金額△700


3.利益連動給与の採用進まず、依然として手続や開示がネック

■平成28年度税制改正で、利益連動給与の拡充
⇒幅広い指標の使用が可能になった。(従来=当期純利益、経常利益、営業利益 等)
(算定の基礎となる指標 ※一例)
・営業利益、経常利益、当期純利益
1株当たり当期純利益
ROA(総資産利益率)
ROE(自己資本利益率)
・営業利益率

■平成283月決算の有価証券報告書で採用している旨の開示は34
依然として利益連動給与の採用はハードルが高い。
(主な理由)
・同族会社は対象外
・報酬委員会の決定や監査役適正書面の提出等の手続きが必要
・算定方法を有価証券報告書等で開示する必要があること


4.少額減価償却資産の損金算入、従業員数判定は期末でOK

少額減価償却資産の損金算入、すなわち、中小企業者等の少額減価償却資産の取得原価の損金算入の特例とは
・対象者:中小企業者等
・対象物:30万円未満の減価償却資産
・限度額:減価償却資産の合計額300万円
⇒全額損金算入(即時償却)

この対象者は、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人に限定
⇒従業員数は、少額減価償却資産の取得をした日の現況により判定
⇒法人が期末時の状況により判定する事とした場合は、期末時点の従業員数で判定OK


5.中小企業者等、特定中小企業者等

(1)中小企業者等とは
① 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
(ただし、同一の大規模法人に発行済株式等の1/2以上を保有されている法人等を除く)
② 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいう。
30万少額特例、特定機械装置等の特別償却(取得価額×30%)が適用できる。
⇒生産性向上設備等を除き、税額控除(取得価額×7%)の適用はできない。

(2)特定中小企業者等
中小企業者等のうち、資本金3,000万以下の法人をいう。
⇒中小企業者等の特例に加え、特定機械装置等の税額控除の適用可。

※なお、いずれも青色申告法人が対象


6.今週の専門用語

■利益の状況を示す指標

利益連動給与の算定の基礎となる指標とは?
(1)有報に記載されるべき事項に調整を加えた指標
(2)これに準ずる指標

※準ずる指標の具体例
EBIT(経常利益+支払利息△受取利息+法人税)
ROCE(使用資本利益率)
ROIC(投下資本利益率)

※含まれない指標
・売上、株価、配当、CF


7.CbCRの収入金額、売却益はPL計上額で

■国別報告事項(CbCR)及びマスターファイル(ML)の記載要領、ローカルファイル(LF)の例示集が公表
・国別報告事項は、国別の活動状況に関する情報を記載
・マスターファイルは、企業グループの事業活動の全体像に関する情報を記載
・ローカルファイルは、国外関連取引における独立企業間価格を算定する為の詳細な情報を記載

■詳細が明らかになった、CbCRの記載事項
(1)収入金額
CbCRの作成、提出義務の足切り基準でもある
F/S等に記載される、全ての収益の合計額
⇒持分法による投資利益、負ののれん発生益等も含まれる。

・固定資産等の売却に係る収入は売却益を記載
売却益と売却損を総額表示している場合、売却益のみ記載
純額表示している場合、相殺した後の売却益のみ記載

(2)有形資産
・株式や債券等の金融資産は含まれず、投資不動産は含まれる
・減価償却累計額控除後の金額を記載

■追加情報
・表1で数値を記載し、表3で追加情報を記載(ただし、文字数の制限あり)
∴各国の税務当局に誤解されない為


8.平成28年度における法人税関係の改正について

主な論点のみピックアップ
■法人税率の引下げ
23.9%⇒23.2
※ただしH28.4.1H30.3.31までに開始した事業年度の税率は23.4

■欠損金の繰越控除
(1)控除限度額の引き下げ
H28.4.1H29.3.31までの開始事業年度は、所得金額の65%相当額
H30.4.1以後開始事業年度まで、年5%ずつ引き下げ。
(2)繰越期間の延長等(現状は9)
H30.4.1以後事業年度より10

■減価償却
H28.4.1以後取得の建物附属設備・構築物⇒定額法のみ

■その他下記事項の改正があった
・役員給与の損金不算入(特定譲渡制限付株式による給与)
・雇用促進税制の基準雇用者数に係る措置の見直し
・エネルギー設備取得に係る税額控除等
・割増償却や準備金など


9.LPS最高裁判決が他の外国事業体に波及

・外国で設立されたLPS(投資事業有限責任組合)が法人に該当するかどうか、過去の最高裁判決を基準に、地裁が判断

【判断基準となった最高裁判決(H27.7.17)
⇒下記、(1)で判断出来ない場合、(2)にて判断
(1)外国法令で法人に相当する法的地位を持つことが明白であるか否か
(2)権利義務の帰属主体であるか否か


10.LEDの取替工事と資本的支出・修繕費

■蛍光灯からLEDランプへの取替工事をした場合
(1)天井のピットに装着された照明設備(建附)の工事を行っていない場合
⇒修繕費

理由:建物附属設備となる照明設備は,ランプだけでなく天井に組み込まれた配線等も含めた設備全体をいう。
照明設備の1つの部品である蛍光灯をLEDランプに取り替えても,その部品の性能が高まったことをもって建物附属設備としての価値等が高まったとまではいえないため。

(2) 照明設備の工事も併せて行う場合
⇒資本的支出または修繕費

理由:工事によって照明設備の価値が高まるまたは耐久性が増している場合には資本的支出となる。また、価値の増加が明確でない場合にはいわゆる60万円基準、10%基準により判定し修繕費となる場合もあるため。


11.【マイナンバー】預金口座/証券口座とマイナンバー

■預金口座の取り扱い
H30.1.1以後、マイナンバーが紐付けられる。
・新規開設口座
⇒ マイナンバー登録が必要。

・既存口座
⇒ H30.1.1以後の銀行来店時にマイナンバー登録を求められる。ただし求めに応じる義務はなく任意。

■証券口座の取り扱い
H28.1.1以後、マイナンバーの登録が必要となっている。新規口座も、それ以前からある既存口座もすべて登録が必要。


12.役員退職慰労引当金の税効果

・以前はスケジューリング不能な一時差異⇒分類1の企業以外は税効果計上NG
・新ルールで見直し。
・以下の2つを満たせばDTA計上OKとなった
 ①損金計上時期が特定できないが、将来のいずれかの時点では損金算入できる可能性が高い
 ②将来のいずれかの時点で回収できることを「合理的な根拠をもって説明」できること


13.国際会計士倫理基準審議会

・会計士が順守すべき倫理規定を議論。
・下記について議論。
→違法行為への対応(関与先の違法行為に気づいた場合、経営者に「勧告する」。重大な違法行為に対しては直ちに当局に判断すべきか専門的な判断をする。)
→担当者の監査関与先への長期的関与
→倫理規定の構成の見直し
→セーフガードの見直し(阻害要因の認識について、形式ではなく実質判断を重視。)
→企業等所属の職業会計士に関する規程
→監査報酬切り下げプレッシャーに関して


14.事業再生の現実 2/4

1.中小企業再生支援協議会
⇒私的手続に分類される中の、準則型私的手続の一つ
⇒公的機関であり、産業競争力強化法を根拠とする機関
⇒公的な立場より、銀行との調整を行い事業再生を図る手法

2.協議会スキームの分類
・従来型
⇒銀行主体で、銀行が選んだ専門家がDD等を行う
⇒銀行サイドの意見が通りやすく、債務者の意見が反映されないことも
⇒数年経つと、再度経営不振に陥るケースもある
・検証型
⇒債務者が選んだ専門家がDDを行う
⇒債務者の意見が通りやすいが、銀行との調整が大変
・簡便型
DDを省略する
⇒リスケ案件のみしか採用できないスキーム

3.検証型の留意点
・債務者が選ぶ専門家によるDD等のレベルに大きく左右される。

・金融機関との調整の面で、弁護士の力量もキーポイント







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2016年7月16日土曜日

7/15 勉強会:投資・経営視点からみるベンチャー企業でのKPIの設定と活用のしかた 他

1.役員・株主間の対立解消は困難、株主による会社解散請求を容認

X法人の株主であるAX法人に対して会社の解散を請求していた事件で、Aによる解散請求を認める判決が下された

AX法人の代表者で発行済み株式の50%を保有
・株主BAと同様にX法人の代表者で発行済み株式の50%を保有
ABの対立により、株主総会や取締役会が開催できず
AX法人の意思決定ができないのでこれを打開するにはX法人を解散する以外ないと主張

・地裁の判断
X法人の業務継続が不可能、会社の存続自体が無意味になるところまで来ている
AまたはBがもう一方に株式を譲渡することで解散を回避できるがそれも不可能
⇒会社法8331項に基づくX法人の解散を命じた


2.子会社株式とのれんの減損が新テーマへ

FASFが以下2点について提言
■子会社株式等の減損とのれんの減損の関係
・連結基準
 個別上で上場株式等を減損⇒連結上でのれんも合せて償却
・減損基準
 個別上で上場株式等を減損⇒連結上、必ずしものれんの減損となるわけではない
 
⇒現行制度上、必ずしものれんの減損の認識が必要ない場合にも減損を認識せざるを得ない状況を生じさせている。

■マイナス金利
以下の取り扱いを定める必要がある。
PBO計算に係る割引率
・金利スワップの特例処理
・債権に関しマイナスの金利を支払った場合、及び、債務に関しマイナスの金利を受け取った場合の処理
AROに係る割引率
・金融商品の時価等の開示における時価の算定


3.収益認識の単体適用、税法との調整を

ASBJ2/4に公表「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」
・最大の論点は個別財務諸表の取扱いに関して
⇒連単で同一の会計基準を適用すべきとの意見が多い
 例:IFRS任意適用会社は、連単一致の観点から基本的にはIFRS15号を踏襲した基準が望ましい。
(主な理由)
・連単で異なる会計処理による事務負担増加を懸念
・業績の根幹である収益認識基準を開発する以上、単体までの適用を含めて検討すべき

ただし個別財務諸表への適用においては、多くの申告調整による実務対応の困難もきたすため、税制との整合性も慎重に検討を要する


4.富裕層への適正課税で調書制度など活用

■富裕層への対応
⇒国税庁重点課題の1

■東京・名古屋・大阪の国税庁に設置されているプロジェクトチームで取り組んでいる特に重点的に管理すべき富裕層に関する調査・管理体制の強化
⇒全国展開が課題

■国外財産調書・財産債務調書・財産債務調書
⇒富裕層への適正課税のために活用


5.今週の専門用語

■被災資産の修繕費用等

該当するもの
・被災資産の取壊し、除却費用
・被災資産の原状回復費用
・土砂その他の障害物の除去費用
・被災資産の損壊又は価値の減少を防止するための費用

修繕費用の見積額に関しては、専門業者の見積もりなどの合理的な方法で見積もることが必要だが、自社の土建技師等の専門家による見積もりでも合理的であれば認められる。


6.平成286月第1四半期提出用四半期報告書作成上の留意点

■「DTAの回収可能性に関する適用指針」に関する留意点

(1)原則適用した場合
適用初年度の期首において本指針第49(3)13に該当する定めを適用した結果、

(a)これまでの会計処理と異なる場合
会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱い、適用初年度の期首のDTAに対する影響額、利益剰余金に対する影響額、その他の包括利益累計額又は評価・換算差額等に対する影響額を注記

(b)(a)以外の場合
追加情報において、本指針を適用している旨を記載

(2)早期適用した場合
・早期適用した連結会計年度の翌年度に係る四半期連結F/Sにおいて、早期適用した連結会計年度の四半期連結F/Sについて、本指針第49(3)13を遡って適用

・以下(a)(b)の間に相違がある旨、追加情報として記載
(a)前連結会計年度の四半期報告書における第1四半期連結累計期間に係る四半期連結P/L、包括利益計算書に関する事項
(b)当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結P/L、包括利益計算書における比較情報

■「平成28年税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」に関する留意点

(1)以下の場合、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う
・法人税法に規定する普通償却限度相当額を会計上の減価償却費として処理
・建物附属設備、構築物又はその両方の減価償却方法について定率法を採用
・平成2841日以後に取得する上記資産の減価償却方法を定額法に変更

(2)会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う場合、以下を注記
・法人税法の改正に伴い、本実務報告を適用し、平成2841日以後に取得する建物附属設備、構築物又はその両方の減価償却方法を定率法から定額法に変更している旨
・会計方針の変更による当期への影響額

(3)本実務報告は公表日以後最初に終了する事業年度のみ適用
ただし、平成2841日以後最初に終了する事業年度が本実務報告の公表日前に終了している場合、当該事業年度に本実務報告を適用可

(4)本実務報告の適用に際しては、建物附属設備又は構築物を取得していない場合であっても、注記事項の記載が必要


7.熊本地震に関する諸費用の法人税の取扱い通達を読む

国税庁が6/21付で「熊本地震に関する諸費用の法人税の取扱い」を公表した。
主な内容は以下の通りである。

(1)災害損失特別勘定への繰入額の損金算入
(2)損壊した賃借資産等に係る補修費の損金算入
(3)被災者用仮設住宅の設置費用

(1)災害損失特別勘定への繰入額の損金算入
・損金算入要件
災害のあった事業年度において災害により被害を受けた固定資産の修繕等のために、災害のあった日から1年以内に支出する費用の適正な見積額を「災害損失特別勘定」で処理した場合には、当該事業年度の損金に算入可能である。
・他の勘定科目で処理していたとしても、内容が「災害損失特別勘定」であれば損金算入可。
・申告時に災害損失特別勘定に関する明細書の添付が必須。
・原則損金経理が前提であるが、4月から6月までの決算法人ですでに決算が確定している等やむを得ない事情がある場合は、特例として申告調整(別表4)にて損金算入も可能となる。
・繰入額に保険金や補助金等で補填される場合はその金額を控除して損金算入とする。
・翌事業年度以降に、繰入額に残額が残った場合は益金算入可。

(2)損壊した賃借資産等に係る補修費の損金算入
賃借人が賃借資産を補修した場合も損金算入が可能となる。
本来民法606条により賃貸人が行うべきであるが、災害による被害が甚大であることを鑑みた措置。
なお賃借人支払い分につき後日賃貸人から支払いを受けた場合は、支払いを受けた事業年度の益金算入となる。

また補修が必要にない販売資産や賃貸資産について、無償で補修や点検もした場合も修繕費として損金算入可

(3)被災者用仮設住宅の設置費用の損金算入
被災した役員や従業員の住居として仮設住宅を設置した場合、仮設住宅に居住の用に供した事業年度において損金算入可。
自己の従業員等以外の被災者分についても損金算入が認められる。


8.CbCR12月決算法人は今事業年度分から

CbCR(国別報告書)
⇒多国籍企業が、軽課税国・無税国に所得を移転し課税逃れすることを防ぐために、グループ全体の財務情報等を報告する書類
OECD加盟国で、201611日以降開始事業年度分から、「グループ親会社」の提出が義務化
⇒提出方法は、親会社の国の税務署を経由して、各国当局へ提供される
⇒日本は、201641日以降開始事業年度から適用される

【上記の期ズレ期間の取扱】
例:親会社(日本企業A) 20161月開始事業年度 :適用開始前
  小会社(英国企業B) 20161月開始事業年度 :適用開始後

⇒日本企業Aは適用開始前であるため、税務署経由で提出できない
⇒英国企業B経由でCbCR提出する必要があった(手続きが大変)

⇒日本企業Aが自主的に適用開始前のCbCRを提出することで、通常の税務署経由での対応が可能となった


9.RS(株式報酬)の課税関係

■法人税
・「株式の譲渡制限が解除された日の属する事業年度」に「株式を交付した時点における株式の時価」を損金算入
・「事前確定届出給与」に該当するが届出は不要

■所得税
・「株式の譲渡制限が解除された時点」における株式の時価で給与課税
⇒源泉徴収が必要となるため、その月の給与から天引きするか現金での徴収が必要となる。


10.【法人税】基通2216(前期損益修正)の解釈

■事例
訴訟判決により取消された過年度の売上にかかる前期損益修正は、
・判決確定年度の損金?
・売上発生年度に遡って更正請求?

■結論
確定年度の損金とする。更正請求不要。

■基通2216の解釈
この通達は「過年度に益金を認識した取引について契約の解除等が生じた場合でも、その損失は契約解除年度の損金の額に算入する」旨を定めている。

この通達は、当期の所得は当期において生じた損益をもとに計算するという考え方を表している。
仮に過去に計上した売上高について当期に契約解除等があった場合でも、当期に生じた契約解除という事実に紐付く損失を、その事実が生じた当期の所得に反映させることになる。


11.製品保証

・家電等の販売に際して無償保証等を提供することがある
⇒日本基準とIFRSとで会計処理が異なることがある。
IFRS15号「収益認識」では製品保証を「アシュアランス型」と「サービス型」に区分

「アシュアランス型」
・法令で要求される商品の欠陥に伴う交換・修理などの保証
⇒過去実績等をベースに引当金を見積もり計上する

「サービス型」
・継続使用に伴う故障などに対する保証
⇒将来のサービス提供にわたって収益を認識する

⇒日本基準では「サービス型」の製品保証でも商品販売時に製品保証引当金を計上していて、IFRSと異なる。


12.四半期報告書(H281Q)作成上の留意点

1.DTAの回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針26号)

(1)適用時期
H284月以降開始の事業年度より適用
※早期適用も可

(2)原則適用(H28年度より適用した場合)
(a)従来の方法と比してDTAの回収可能額が相違
⇒従来より当該適用指針を採用していたと仮定して再計算し、期首残高を調整
⇒注記として、下記を記載
・回収可能性の判断基準を変更した旨
・期首残高を修正している旨
・当期に与える影響額
(b)従来の方法と比してDTAの回収可能額に相違がない
⇒追加情報として、下記を記載
DTAの回収可能性に関する適用指針を適用している旨

(3)早期適用
⇒前1Q段階では、当該適用指針は未発表
⇒前1Qに提出した四半期報告書と、当1Qに比較情報として記載する前1Qとの数値に差異
※当1Qに記載の前1Qの数値は、当該適用指針適用を加味した数値
⇒当該差異があることを追加情報として記載。

2.建附等の税務上の減価償却方法の変更
⇒会計基準等の改正に伴う、会計方針の変更に該当
⇒下記を注記
H28.4.1以降取得した建附等の資産は定額法で償却している旨
・従来の定率法で処理していた場合と比した当期への影響額の記載


13.ベンチャー企業のガバナンス体制の構築ポイント

■前提
ベンチャー⇒まずは事業の成長が最優先。
バックオフィス、ガバナンスの整備は手薄になりがち。
まずは事業の運営を健全に進めるためにガバナンスの整備を。
意思決定機関も迅速な意思決定という観点から少人数かつシンプルな方が望ましい。
⇒その後は、ステージに応じたガバナンスへ

■ベンチャーに求められるガバナンスの品質とは
(1) 創業期
・最低限法律で要請される品質のみ満たしていれば十分

(2) 成長期
・ガバナンスが健全に機能するような統制の強化
・職務分掌の見直し

(3) 成熟期(上場まで)
・取引所等の制約に基づいてガバナンスの品質が規定される。
・財務数値の開示:あらゆる検証に耐えうる品質が必要(監査法人、主幹事証券、上場審査等)

(4) 成熟期(上場後)
・他の上場会社と同レベルの品質が求められる。
・CGコードに従った整備も必要


14.収益性の低下をめぐる会計の考え方と実務論点

■固定資産の減損
 ⇒収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合に簿価を減損する
 ・認識:資産の簿価>割引前将来CF
 ・測定:簿価▲回収可能価額(使用価値と正味売却価額のうち高い方)

■貸倒引当金
 ⇒収益性が低下した場合に貸倒引当金を設定する
 ・一般債権:貸倒実績率などの合理的な基準で貸倒見積高を算定
 ・貸倒懸念債権:財務内容評価法orCF見積法
 ・破産更生債権等:財務内容評価法
 
■有価証券の減損
 ⇒時価が著しく下落したときは(回復可能性がある場合を除き)時価まで減損する
 ・50%程度下落:合理的な反証がない限り減損処理
 ・30%~50%:企業が著しい下落と判断するための合理的な基準を設ける
 ・30%未満:一般的には著しい下落には該当せず減損不要
 
■棚卸資産の簿価切下げ
 ⇒収益性が低下した場合は簿価を切り下げる
  取得原価>正味売却価額


15.連結納税制度における税効果

■事例
翌期首において連結納税対象ではない(完全支配関係にない)子会社の株式を追加取得して、連結納税制度に加入させる場合の当期末の税効果の検討

①連結納税主体における税効果の適用
将来、加入がおこなわれるものとして(意思決定+実行可能性高)、連結FS上でDTAの回収可能性判断
※期末時点で連子でない会社は適用無し

②連結納税子会社における税効果の適用
将来、加入がおこなわれるものとして(意思決定+実行可能性高)、個別FS上でDTAの回収可能性判断
※期末時点で連子でない会社は適用無し


16.投資・経営視点からみるベンチャー企業でのKPIの設定と活用のしかた

KPI(Key Performance Indicators):重要業績評価指標

KPIの持つべき性質
業績判定・成長余力の見極め・事業撤退判断等の材料
⇒組織のパフォーマンスを適切に測定でき、かつ高い客観性が必要

■投資視点からみるKPI
・代表格:月次売上、月次利益※、キャッシュバーンレート(月当たりCOF)
(※償却費負担がビジネスドライバーの場合はEBITDA)
・+ベンチャー特有:獲得顧客数・市場シェアの獲得状況
⇒特にキャッシュ重要
枯渇タイミングを計測し、資金調達をいつから準備していつ実施するか

■経営視点からみるKPI
・代表格:売上、粗利、営利(EBITDA)、キャッシュバーンレート
・+バックオフィス特有:月次決算の確定日数

■マーケティング施策におけるKPI
・問題⇒施策の実施と効果との関係が読みとりにくい
(ex.キャンペーンを打っても、顧客増加にどれだけ貢献しているか不明)
⇒施策を実施する前後で営利(EBITDA)の比較を行うことが効果的

■投資視点と経営視点のKPIの捉え方に注意
投資視点⇒大局的:事業計画通りに経営できているか、今後の方向性が判断できるか
経営視点⇒具体的:事業方向とは整合しつつも、指標に応じて現場レベルが動けるか

■オペレーション視点からみるその他KPI(特にITベンチャー)
①顧客獲得数
②顧客獲得コスト:顧客一人を獲得するのに要する金額(顧客一人当たり原価)
③顧客生涯価値:顧客一人から獲得できるビジネス価値(顧客一人当たり売上)
④月次更新収入(サービス提供型のソフトウェアベンチャーで使用)
SaaS当座比率:④増加分/④減少分
⑥有料課金率
⑦離反率:全ユーザに対する解約ユーザの割合


17.政府公会計制度の国際的動向

【日本】
・政府の会計記録は、「単式簿記」「現金主義」。
・財政の健全化、行政の合理化のために、「複式簿記」「発生主義」の導入が議論されている状況。

【世界】
・「発生主義」または「修正発生主義」を取る国がOECD加盟国の7割。
EUでは欧州会計検査院が主体となって、欧州委員会およびEU加盟国に対して、「発生主義」の導入を促し、2000年代に入って、広く浸透してきた。
・現在は欧州統計局がEU各国政府会計の統一基準設定を進めている。
 →国と国の財政を容易に比較できるように

・統一基準の設定は当初想定ほどは進んでいない。
 →統一基準を導入すると、財政状態が悪化するドイツが抵抗?
 →年金債務の計上などで。


18.製造業の上場審査

(1)製品の特徴等 
⇒製造業の収益力のポイントに関して、以下の観点を申請書類等で確認。
1.市場の成長性…マーケット規模および今後の拡大要因
2.業界動向…業界及び主要顧客を取り巻く環境ならびに需要動向等
3.競合状況…業界シェア及び同業他社との相違、製品の優位性、製品の効率性

(2)法的規制や業界慣行等
⇒業界に対する法的規制等が実施されている場合には、その内容が上場審査で確認。
⇒弁護士等に事前に相談するなどの検討が必要。

(3)ファブレス型企業
・製造は他社に任せて、企画・開発・販売だけを自社内で手がける企業。
⇒生産委託する理由や委託先における生産能力を上場審査で確認。

(4)内部管理
⇒以下を重点的に上場審査で確認。
1.在庫管理
2.原価計算制度

3.為替リスクの管理(海外に生産拠点をもつ企業が多いため)








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