2013年3月31日日曜日

3/29 勉強会:株式評価実務への影響大 評価通達巡る重要判例確定(相続税) ほか


1.50%超か否かは重要議決権割合でも判定


■新規設立法人の消費税免税点制度(現行)
・資本金が1000万円未満であれば、
 1期目、2期目で免税事業者を選択可能

■平成26年4月1日以降設立法人の場合(改正)
・課税売上高が5億円を超える法人が、
 50%超を出資している新規設立法人は、
資本金が1000万円未満であっても、免税事業者を選択できない

※50%判定について
・重要議決権割合が50%超か否かでも判定
・「子会社」、「孫会社」、「ひ孫会社」の持株合計で判定

調査で発覚する不適切な会計処理の傾向

■経費や売上原価の繰上げ計上など不適切な会計処理が税務調査で発覚
(具体例)
・商品納品の事実がないにも関わらず、取引先に納品書の発行を依頼し、
 納品事実を仮装
・役務提供が未完了にも関わらず、取引先に完了証明書を依頼し、
 役務完了の事実を仮装
⇒「隠蔽」「仮装」に該当する
⇒重加算税の対象

■対応策
申告書の提出日までに、社内調査で発見、修正する

3.新消費税に係る経過措置を読み解く

■結婚式とお葬式も経過措置の対象に
⇒結婚式等が25年9月30日までに契約し、26年4月1日以後に行われる場合、5%の対象
になる。
※注意点
25年10月1日以後に対価の額が変更になったら、全額が8%の対象となる。

■書籍等の予約販売など、新たに経過措置の対象に
⇒25年9月30日までに、定期購読契約を結び、
代金を26年3月31日までに支払った場合、5%の対象になる。

■有料老人ホームの入居一時金について
①25年9月30日以前に有料老人ホームにかかる終身入居契約を締結
②入居期間中の費用の一部を一時金として前払い
③一時金に対応する部分の役務の提供については、
26年4月1日以後の提供でも5%の対象となる。

4.株式評価実務への影響大 評価通達巡る重要判例確定(相続税)


■非上場会社株価の相続財産評価額
 ①会社規模:大会社の場合…類似業種比準価額方式
 ②会社規模:大会社、かつ、総資産に占める株式保有割合が25%以上
  …純資産価額方式

■今回の裁判で確定したことなど
 ①東京地裁の判断
  会社規模:大会社、かつ、総資産に占める株式保有割合が25%以上の
        会社の株価を一律に純資産価額方式で評価することはできない
 
 ②判断の理由
  他の会社の株式保有割合の平均が16%程度なので、
  25%という数字が特段に高くないため
  (会社が株式を保有することが通常の企業活動の一部になってきているので、
  保有割合のみで評価方法を判断することは望ましくない)
  評価会社の規模や事業実態が上場会社に準じており、
  租税回避が危惧されるものでないため

■今後の流れ
 ①国側が上告を断念したため、25%ルール一律適用を否定した判決が確定
 ②国税庁が取扱いの見直しをする可能性は高い

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5.【相続税】非上場株の評価を巡る事案 通達の一律適用は不合理と判断(東京高裁)


非上場会社株式の相続税上の評価方法について争われた。

■納税者の主張
・会社規模を『大会社』区分し、株式を『類似会社比準方式』で評価するのが適当である。

■課税当局の主張
・評基通189(2)の25%基準※に基いて当該会社は『株式保有特定会社』に
該当し、『純資産方式』または『S1+S2方式』のいずれかで株価評価するべき。

※資産構成が株式に偏っている会社は類似会社比準方式で評価することが
なじまないため、別途上記の評価方法を定めている。

■東京高裁の判断(納税者の主張を支持)
・この通達が作られたH2年当時に比べて営利法人の株式保有割合が
 現在は一般的に増加しており、通達が現在の環境に対応していない。
・時代遅れの通達を一律に適用して納税者の申告を否認することは合理的でない。

所得税:公社債等の課税方式見直しについて


■特定公社債(国債・地方債・公募公社債など)

【利子】
・現行⇒源泉分離課税
・改正案⇒申告分離課税 

【譲渡】
・現行⇒非課税
・改正案⇒申告分離課税
◎譲渡損がある場合、利子所得と損益通算ができるようになる

■一般公社債等(私募公社債など)

【利子】
・現行⇒源泉分離課税
・改正案⇒源泉分離課税(変更なし)

ただし、「少人数私募債」で同族会社の役員が受けるものについては
総合課税となる
(H28年以後)
⇒源泉分離課税(20%)と超過累進税率との差額を利用した節税に歯止めがかかる。

【譲渡】
・現行⇒非課税
・改正案⇒申告分離課税
◎譲渡損がある場合、利子所得と損益通算ができるようになる

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7.社外取締役 独立役員 との差異

・独立役員の方が独立性要件が厳しい
・「重要な取引先の関係者」は独立役員はNG、社外取締役としてはOK
・取引所は上場会社に対し、「取締役である独立役員」の確保を努力義務をして
 課す
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8.企業評価システムの評価


■企業評価システムの検討課題について

・企業評価システム
⇒財務比率による分析で企業を評価する。
EX.収益性を評価する場合
  総資本経常利益率、自己資本利益率などの評価指標を採用して評価する。

①評価目的を明確にする。
⇒どのような条件を満たすかにより評価目的も異なってくるため。
EX.優良企業について評価する場合
  利潤獲得、従業員の働きやすさ、社会貢献など

②評価指標の統合を検討する。
⇒企業評価システムには採用している評価指標が重複していることが多くある。
EX.効率性の評価指標には、1人当たり売上高、営業利益があるが
  生産性といった評価目的にまとめるなど。

9.新規事業の設立・開業に関する会計処理

新規事業の開始までに要した費用
◆原則:支出時に費用処理
◆例外:繰延資産の要件を満たせば下記の通り
①会社設立のための費用
→創立費:会社の成立の時から5年以内の効果が及ぶ期間、定額法
②設立後から事業の開始、開業までの費用
→開業費:開業の時から5年以内の効果が及ぶ期間、定額法

※いずれも設立のため、あるいは開業のために直接要した費用のみが対象

(参考)太陽光発電事業の場合
一定規模以上の太陽光発電事業における固定価格買取期間は20年
=効果の及ぶ期間は20年とも考えられる
ただし、会計上は繰延資産の償却は上限5年のため、5年以内で償却
 
10.平成25年3月期税務申告チェックポイント

【法人税】
①復興特別法人税
 ・基準法人税額×10%-外国税額控除額-復興特別所得税控除額

②グループ法人税制
 ・譲渡損益調整資産の譲渡をした場合の譲渡損益の繰延
 ・完全子法人株式等に係る配当等の額の益金不算入 ・グループ法人間での寄付金
の損金不算入益金不算入

③大法人(資本金5億円以上)の100%子法人に対する中小企業向け特別措置の不適用
 ・所得800万円までの税率軽減
 ・貸倒引当金の法定繰入率使用
 ・交際費損金不算入制度の、600万円までの定額控除制度等

④貸倒引当金
 ・中小法人等以外の法人は繰入限度額は前期までの繰入限度額×3/4

【消費税】
課税売上高5億円超の場合、課税売上割合95%以上でも仕入税額は全額控除出来ない

11.過年度遡及に関するH24.3期のポイント

・貸倒引当金
取崩額>繰入額
  ⇒原則:営業費用または営業外費用から控除または営業外収益として計上
・役員退職慰労引当金
  役退を設定する場合、適用初年度の期首に計上すべき過年度相当額を
  特別損失に計上できる規定が削除
・ソフトウェア
  販売開始後の見込販売数量等の見直しの結果変更した場合は、
  変更後の数量に基づき当年度および
  将来の期間の損益で認識する
・税効果会計
  遡及適用により、過年度における会社分類が異なっても、
  過年度のDTAの回収可能性には影響させず、
  会計方針の変更を行った年度の損益に反映させる

12.M&A/相対方式と入札方式

①相対方式
 (メリット)
 ・プロセスがシンプルで売却までのスピードが速い
 (デメリット)
 ・競争相手がいないため交渉力が弱まることあり
 ・外部に適正な価格であると説明しにくい

②入札方式:複数の買い手候補と同時に交渉
 (メリット)
 ・有利な売却条件を引き出せる可能性が高い
 ・外部に適正な価格であると説明しやすい
 (デメリット)
 ・売却までに時間がかかることが多い
 ※不動産や再生型M&A案件で採用されることが多い

③最近の動向
 ・国や地方の公共団体の所有資産については、
  入札方式の採用が主流。

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2013年3月24日日曜日

3/22 勉強会:消費税相当分のポイント付与も禁止 ほか



1.「少人数私募節税」のメリットと課税リスク


■少人数私募債節税の概要
・オーナーが少人数私募債を購入し、
会社から利息として所得を受け取ることで、
15%(申告分離課税)の所得税課税で済む

■節税スキームの”封じ込め措置”
・少人数私募債の利息が総合課税対象に(最大税率40%)
・2016年1月1日以降発行の社債が対象(同日前発行なら節税OK)

■少人数私募債の要件
①株式会社が発行
②50名未満の縁故者のみを対象
③転売制限あり
④社債口数が50未満

■課税リスク
・適性利率を超えて利息を支払った場合
⇒超える部分が役員報酬(総合課税)になる可能性あり
・利息支払分と役員報酬減額分が紐付け、
資金調達不要なのに私募債発行
⇒利息全額が役員報酬(総合課税)になる可能性あり


「棚卸資産へ変更後の譲渡で買換特例否定」

■買換特例とは?
・一定の条件を満たすことで、土地等の固定資産を買換える際、
新たに取得した資産につき、圧縮限度額(譲渡益の80%相当額)以下の
金額について損金算入を行うことができる等
※いずれも、譲渡時に棚卸資産に該当する資産については特例の対象外である。
ただし従来固定資産として使用していた土地を譲渡するにあたり、
譲渡を容易にするためにマンション等を建築して分譲した場合には、
棚卸資産の譲渡とはみなさない

■今回の訴訟事案
不動産会社が賃貸用建物を建設するために有形固定資産として資産計上
→計画を変更し、マンションを建設し第三者へ販売
→この場合、特例の対象なのか?

■東京高裁判決
あくまでも不動産売買業務の一環であり、
実質的に棚卸資産に該当しない土地の譲渡とは認められない
→よって特例の対象外

3.消費税相当分のポイント付与も禁止

①消費税還元セール(※)が法律で禁止されることとなった。
②それに伴い、消費税相当分につき次回の購入時に利用できる
ポイントを付与するという行為も禁止
③従わない場合は、50万円以下の罰金

※消費税還元セールとは、
消費税率上昇分を値引きする旨を謳ったセールのこと。


4.借地権の取扱い(法人税)

■借地権の対価を支払ったとき
 取得価額となるもの
 ・借地権の購入対価
 ・付随費用
 →非償却資産の取得価額の取扱いについて、
     法令上の規定はないが減価償却資産の取得価額の取扱いを
     類推適用することが相当とされている

■借地権につき、更新料を支払ったとき
 ①支払った更新料…借地権の取得価額に算入される
 ②次の金額を損金算入する
  更新直前の借地権の簿価×(更新料の額 ÷ 更新時の借地権の時価)

 例:借地権の簿価100万円 更新料1,000万円 借地権の時価1億円
 ・損金算入額
  100万円×(1,000万円÷1億円)=10万円
 ・借地権の額
  100万円-10万円+1,000万円=1,090万円

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5.【法人税】交際費課税の見直しの適用時期


・中小法人に認められている交際費の一部損金算入について
以下の改正が行われる。
   ①定額控除限度額を800万円に拡大(現行600万円)
   ②定額控除限度額までの損金不算入措置(現行10%)をゼロへ。
・適用時期はH25.4.1以後開始事業年度(3月決算法人はH26.3期から)

※交際費課税の今後の方向性
 景気対策のため、大企業にも損金算入を認めるべきとの議論がある。
 H26年度税制改正で検討される。

【消費税】リース取引と消費税率に関する経過措置について

◎資産の貸付に関する経過措置
平成25年9月30日までに締結した資産の貸付に係る契約に基づき、
平成26年4月1日前から同日以後
引き続きその契約に係る資産の貸付を行っている場合には
消費税率を5%とする規定

■所有権移転外ファイナンスリース

リース資産の引渡し時に「売買」があったものとされるため、
経過措置の適用対象外
(貸付でなく譲渡)
⇒25年9月30日までの契約かどうかは関係なく、
リース資産の引渡しが26年3月31日までなら旧税率、
26年4月1日以後なら新税率となる。

■延払基準により経理する場合

◎延払基準
長期割賦販売等につき、支払期日の到来する課税期間に
資産の譲渡を行ったものとして収益を認識する基準

<改正消費税法施行令附則6条>
平成26年3月31日までに行った長期割賦販売につき、
平成26年4月1日以後に収益を認識する部分があるときは、
その税率は旧税率による。

⇒資産の引渡しが平成26年3月31日までにされていれば、
賦払金収入にかかる税率は5%となる。

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2013年3月18日月曜日

3/15 勉強会:相続税:未成年者控除と扶養義務の範囲について ほか


1.【解説】特定口座と株式の取得価額


■テーマ
・証券会社の特定口座で売買した株式について、
 概算取得費を適用できるか

■概算取得費とは
・収入金額の5%を取得費として概算できるという規定

(例) 株を100円で購入、3,000円で売却 譲渡所得は?
・通常: 3,000-100=2,900
・概算: 3,000-3,000×5%=2,850

■問題点
・特定口座で売買した株式は、通常の方法で計算される
・年間取引報告書は正当に計算されたと考えられる

■結論
・特定口座の計算と、申告は別に考えてOK
→申告すれば、概算取得費の適用OK


少人数私募節税封じはH28年以後発行分

■平成25年度税制改正
平成28年1月1日以後に発行された少人数私募債に係る利子は、
総合課税が適用
※現在は、15%の源泉分離課税

では・・・
平成27年12月31日までに発行されたものに係る利子を
28年1月1日以後に受けた場合は?
⇒15%の源泉分離課税が適用

■まとめ
改正の適用は、少人数私募債の発行日で判断する


3.LED照明等も対象のグリーン投資減税の改正ポイント

■グリーン投資減税とは
⇒対象設備(太陽光発電設備等)を取得した場合に
取得原価の7%の税額控除or30%の特別償却の適用を認めるというもの

■改正のポイント(25年4月1日以後の改正)
①LED照明も対象に
⇒従来は、LED単独では対象設備ではなかった。
(LEDの効率を上げる設備の同時併設が必要だった。)
⇒今後は、LED単独でも対象設備になる。

②コージェネレーション設備(※)が7%税額控除の対象に
⇒今までは30%特別償却のみ認められていた。
※エンジンなどの原動機から発生する熱等を
 エネルギーとして再利用できる設備

③補助金による取得は対象外に
⇒今までは、補助金で取得した設備もOKだった。


4.関係法人株式等の合併による承継(法人税)

■まとめ
 A社が完全支配関係のないB社を適格合併により吸収合併したとき、
 A社の受取配当等の益金不算入の計算上、
 B社が保有していた有価証券等に係る株式区分は、
 B社の保有期間及び保有割合によって判定する。

■例示()内は益金不算入となる金額
 ①B社が10%保有していたX社株式…その他の株式等 
                        (受取配当等の額の50%)
 ②B社が25%保有していたY社株式…関係法人株式等 
                        (受取配当等の額)
 ③B社が100%保有していたZ社株式…完全子法人株式等 
                        (その全額)

 ※1 合併の日は2013年1月1日、X社、Y社、Z社は
    すべて12月決算の内国法人とします。
 ※2 どの株式もB社が合併以前に6月以上保有しています。
 ※3 ①につき、A社が合併以前からX社株式を15%以上保有していても
    保有割合を合算して判定しないので、その他の株式等のままです。
 ※4 受取配当等の額…配当等の額から負債利子を控除した金額


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5.源泉復興特別所得税は所得割で損金算入可


法人が源泉徴収された復興特別所得税を復興特別法人税で控除せず、
損金算入するケースの取扱い。

【復興特別所得税】
・復興特別法人税で控除を取らずに損金処理したら、
・所得割でも損金算入。

(参考)【所得税】
・法人税で控除を取らずに損金処理しても、
・所得割では損金不算入。


相続税:未成年者控除と扶養義務の範囲について

■未成年者控除

相続人が20歳未満の場合、一定額を相続税額から控除できる制度。
控除額(<20歳ー年齢>×6万※)が相続税額を超える場合は
扶養義務者の相続税額から控除できる。

※6万→10万へ引き上げ予定

■扶養義務者について
・3親等内の親族
・相続開始時に同一生計であれば実際に扶養していなくてもOK

たとえば、叔父が孫(未成年)の未成年者控除余剰額を控除することもできる。

なお、扶養義務者が複数いる場合は協議により配分する。

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7.単なる同調は国際化にあらず

・日本・ドイツ:法人機能重視
・英・米:株主重視
・株主ばかり重視する傾向は好ましくない
⇒IFRS:間違った世界標準を採用すべきではない

・世界の会計基準がひとつに統合されても国際的な比較可能性は保証されない
・株主は会社財産の所有者ではない。
・会社の財産を時価で評価しても株主にとって意味がない

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8.有価証券の評価のポイント

■有価証券の減損処理の取扱い

①時価のある場合
・時価が取得原価の50%以上下落
⇒減損処理
※30%以上50%未満下落した場合は
 個々の企業の状況に応じて検討する。

②時価の把握が困難な場合
・発行会社の財政状態悪化により実質価額が50%以上低下
⇒減損処理
※事業計画(おおむね5年以内)により
 回復可能性があると判定した場合は減損処理をしないことができる。

③企業買収により取得した場合
・超過収益力が減少したことにより実質価額が50%以上低下
⇒減損処理
※発行会社の財政状態悪化がなくても
 将来の超過収益力が見込めないのであれば減損処理をする。

9.減価償却方法変更ポイント

①(税法上)平成24年4月以降取得する資産
・250%定率法→200%定率法

②(会計上)新規取得に200%定率法を適用する場合
 ・会計方針の変更に該当
   「法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由」による変更

③(会計上)新規取得に200%定率法を適用しない場合
 ・会計用と税務用の2つのデータ
 ・将来更なる税制改正があった場合に、
  税制改正を理由とした減価償却方法の変更ができなくなる可能性

④既存資産
 ・改正後の200%によって償却できる(要届出)

⑤減価償却方法を変更した場合の開示
 ・過年度遡及は行わない
 ・注記は必要(変更内容、理由、影響額)

⑥定率法から定額法へ変更する企業増加
 
10.のれんの会計処理のポイント

・負ののれん
  →発生は特殊な状況であり、慎重に計上を検討する必要あり
 ・のれんの償却期間
  →実務上、投資の合理的な回収期間を参考にすることも可能
 ・在外子会社株式の取得等で生じたのれん
  →のれん期末残高はCR換算
  →のれん当期償却額はAR換算

11.過年度遡及に関するH24.3期のポイント

・貸倒引当金
取崩額>繰入額
  ⇒原則:営業費用または営業外費用から控除または営業外収益として計上
・役員退職慰労引当金
  役退を設定する場合、適用初年度の期首に計上すべき過年度相当額を
  特別損失に計上できる規定が削除
・ソフトウェア
  販売開始後の見込販売数量等の見直しの結果変更した場合は、
  変更後の数量に基づき当年度および
  将来の期間の損益で認識する
・税効果会計
  遡及適用により、過年度における会社分類が異なっても、
  過年度のDTAの回収可能性には影響させず、
  会計方針の変更を行った年度の損益に反映させる


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2013年3月10日日曜日

3/8 勉強会:【法人税】復興特別所得税の控除 法人税からの控除は加算税に ほか


1.新事業承継税制、現行制度適用者も対象


(事業承継税制)
・非上場会社のオーナー後継者、株式取得にかかる相続税/贈与税の
 80%が納税猶予
※「一定の要件」をクリアし続けることが条件

(25年度税制改正)
・27年1月1日以後、「一定の要件」が緩和される
→26年12月31日以前からの制度適用者も対象



教育資金贈与、学習塾等は500万円限度

(非課税制度を適用できる場合)
・信託銀行を経由して、信託受益権を取得した場合
・「書面による贈与」で取得した金銭を、銀行等に預け入れた場合
・「書面による贈与」で取得した金銭を、証券会社等で運用した場合

※「書面による贈与」…日記など、紙に贈与の意思が書かれていればOK

(教育資金の範囲)
・学習塾、ピアノ教室 → 500万円非課税枠(学校等以外)
・通学定期代、下宿代 → 非課税対象外
※具体的にはこれから


3.契約書を巡る税務トラブル

(事例)納税者Aは、税務署との税金減額交渉を税理士Bへ依頼

業務委託契約には「本件税務調査において、
税務署と交渉し、税務署の指摘する税額の減額を図る」と記載有り。
税理士Bは税務署と交渉したが、納税者の主張を認めなかった。
税理士Bは審判所で争うという手法を考案
納税者Aの主張が認められた
納税者Aは契約書に審判所への審査請求に関しては記載がないため、
業務委託契約を解除した
税理士Bが報酬の支払いを求めて訴訟
■結論
契約書に明確な記載が必要となる


4.外国法人株主からの自己株式の取得

■質問
①当社の株主に外国法人A社がいる。
②A社から当社の自己株式を取得した。
③A社の日本における課税関係はどうなるか?

■回答
⇒自己株式の買取対価は、みなし配当部分と株式譲渡損益部分に区分される。
①みなし配当部分
⇒20%の源泉徴収で終了
②譲渡損益部分
⇒基本的には日本で課税されない。ただし、以下の場合等は、課税される。
 ・外国法人が同一銘柄を集めて、内国法人に対して譲渡した場合
 ・不動産関連法人の株式の譲渡 等々

※譲渡損失が発生してもみなし配当部分との相殺はできず、
みなし配当は20%源泉徴収されるので注意


5.相続税の取得費加算特例Q&A(所得税)

■相続税の取得費加算特例とは
 Aさんは、父親Bさんが亡くなったので土地Cを相続により取得しました。
 その時、相続税100万円を支払っています。
 その後、Aさんは土地CをEさんに1億円で譲渡しました。
 Aさんの譲渡益は??

 1億円 - (7000万円★ + 100万円※) = 2900万円

 ★Bさんが土地Cを買ったときの価額
 ※Aさんが支払った相続税を土地Cの取得価額に加算することができます。

■土地と建物を同時に譲渡した場合
 Aさんは、父親Bさんが亡くなったので土地Cと建物Dを相続により取得しました。
 その時、相続税2300万円(土地C2000万円、建物D300万円)を支払っています。
 その後、Aさんは土地Cと建物DをEさんに8000万円で譲渡しました。
 Aさんの譲渡益は??

 ①土地C 譲渡価額6000万円 取得費300万円 加算される相続税2000万円
 → 6000万円 - (300万円 + 2000万円) = 3700万円

 ②建物D 譲渡価額2000万円 取得費2500万円(未償却残高) 加算される相続税
300万円
 → 2000万円 - (2500万円 + 0 ) = △500万円
 ⇒加算できる相続税は譲渡益の範囲内となります。
 ⇒特例の適用が受けられなかった金額300万円を
      土地Cの取得価額に加算することはできません。

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6.【法人税】復興特別所得税の控除 法人税からの控除は加算税に


・H25.1.1から課される復興特別所得税については、
復興特別法人税から税額控除できる。
・報酬等から源泉徴収される税額の内訳は源泉徴収義務者から示されないので、
源泉徴収された税額を所得税と復興特別所得税に分けて集計し、
それぞれ法人税と復興特別法人税から控除する必要がある。
・誤って法人税から復興特別所得税相当を控除した場合には
法人税額が過少となり、過少申告加算税の対象となる点に注意が必要である。


【専業主婦と上場株式等の配当所得について】

■源泉徴収選択口座内上場株式等の配当

①原則として⇒申告不要(課税関係完結)
②配当控除を受ける場合⇒総合課税
③上場株式等の譲渡損失と通算する場合⇒申告分離課税

■申告分離課税を選択する場合の注意点
⇒損益通算と繰越控除では合計所得金額が異なる

<設例>
※上場配当40万、譲渡損失10万とする

ケース1 上場株式等の譲渡損失が本年計上されたものである場合
(損益通算を適用)
 ⇒課税標準及び合計所得金額が30万となり配偶者控除可

ケース2 上場株式等の譲渡損失が前年以前3年内に生じたものである場合
(繰越控除適用)
 ⇒課税標準は30万となるが、合計所得金額が40万となり配偶者控除不可

※配偶者控除・・・合計所得金額38万以下の配偶者について適用
※合計所得金額・・・損失の繰越控除を適用する前の課税標準の合計額をいう

ケース2の場合は申告不要を選択して配偶者控除を採る方が有利となる。

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8.監査報酬の減少

監査時間が4.7%増加したのに監査報酬は3.1%下落。
ダンピングの影響が大きい。

米国では、06年度から09年度は下落傾向にあったが、
10年度、11年度には増加に転じた。

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9.アウトソーシングの新潮流

■財務・経理業務を海外へアウトソーシングする際の検討事項について

①業務の標準化ができている企業
⇒早期にコスト削減可能。
⇒ただし、政治的(反日デモなど)な影響を受けるリスクを検討する。

②業務の標準化ができていない企業
⇒業務の標準化を行ってアウトソーシングしやすい状態にする。
⇒この際、どのようにすれば部門間でのやりとりがスムーズに進むかを検討する。

③海外へのアウトソーシングをやめる場合
⇒国内でも人件費の安い地方を選択することが求められる。
⇒ただし、あえて都市部を選択することにより、
 雇用延長対象社員の活用・ワークシェアリングを活用できないかを検討する。

10.アベノミクスと日本の株式市場 岡三証券アナリストレポート

「3本の矢」
①大胆な金融政策
→金融緩和を示唆→円安
→2%のインフレターゲットを設定→株高
②機動的な財政政策
③成長戦略

○実体経済の面では顕在化していない
・リーマンショックや大震災、洪水といった想定外の事象が通常に戻る局面で
 統計上は良く見えるケースも
○円安になれば価格競争力は高まるが≠製品・サービスの付加価値が高まる

株式市場においては、円安は単に「一時的なボーナス」ととらえている印象もある
利益とキャッシュを得た企業は、次の成長のための投資にどう利用するのかが重要
マクロ経済の環境依存ではなく、自らの企業の成長を図ることが重要

11.復興特別法人税のポイント

・法人税額がなければ復興特別法人税申告書を提出する義務はない
  →しかし、税務調査で法人税額が生じる場合を考慮し提出した方が望ましい
  →また、復興特別所得税の還付を受ける場合は必要

・復興特別所得税は復興特別法人税からのみ控除できる
 (法人税額からは控除不可)

・以下のような税額控除がある場合の、
復興特別法人税の課税標準となる基準法人税額
 【試験研究費の税額控除、所得税額控除、外国税額控除】
  →試験研究費の税額控除適用後の税額が基準法人税額
   (所得税額控除、外国税額控除は適用前にする)


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2013年3月3日日曜日

3/1 勉強会:消費税等の損金算入の時期について ほか



1.住所地に係る更正処分は無効と判定


(事例)
・A地区に住んでいる事業主が、B地区に事務所を構えている
・個人の確定申告書はどこに出すのか?

(原則)
A地区の所轄税務署長

(特例)
B地区の所轄税務署長
※「納税地変更の届出書」の提出が条件

(補足)
特例を選択した場合には、
・A地区では申告できない
・A地区の所轄税務署長は更正処分できない
⇒権利義務はすべてB地区に移る


消費税等の損金算入の時期について

■前提
→税込経理の場合

■損金算入の時期は?
以下のように規定(※)されている。
①納税申告書の提出日の属する事業年度の損金
仕訳例:支払時に (租税公課)××(現金)××
②損金経理により未払金に計上した事業年度の損金
仕訳例:決算で (租税公課)××(未払消費税等)××
翌期の支払時に (未払消費税等)××(現金)××
③更正又は決定に係る税額は、
その更正又は決定があった日の属する事業年度の損金
※法人税取扱通達 
  個別通達「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」七

3.10%引き上げ時における軽減税率導入の課題

⇒中小企業の反対が根強い。

■中小企業の反対のポイント
⇒特に軽減税率導入時に同時に導入を検討しているインボイス制度には断固反対

■インボイス制度とは
課税事業者が発行するインボイスに記載された税額のみを
仕入税額控除に使用することができる方式。
※1 インボイスとは、消費税額が明記されている
        レシートのようなもの。
※2 課税事業者の登録番号を記載する必要があるため、
        免税事業者は発行できない。

■反対の理由
①免税事業者から仕入を行った場合、
   インボイスがないため仕入税額控除に使えない。
②発行したインボイスにつき、写しの作成・保存をしなくてはならない。
③仕入税額控除の計算の時に、
   インボイスに記載されている税額を積み上げなくてはならない。


4.25年度税制改正に関するQ&A

■教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置
①祖父から1,500万円、祖母から500万円の教育資金を贈与された場合
2,000万円全部非課税になるか?
⇒受贈者1人当たり1,500万円まで非課税なので、
   この場合500万は課税対象となる。

②義理の父から贈与された教育資金は1,500万円の
非課税枠を使えるか?
⇒直系尊属からの贈与のみ対象となるので使えない。
  ※叔父、叔母からの贈与も対象外

■交際費の課税
12月決算法人が今年の4月1日以後に支出する交際費について
100%損金算入が認められるか?
⇒適用されるのは、H25年4月1日以後開始事業年度において
    支出する交際費なので認められない。

■事業承継税制
事業承継に係る相続・贈与税の納税猶予の要件として
5年平均で8割以上を維持というのがありますが
4年目までは100%を維持して5年目に全員解雇してもいいのか?
⇒80%維持の要件を満たすので、適用できる。

5.”少人数私募債節税”に駆け込み需要の動き(所得税)

同族会社が発行した少人数私募債で
その役員が支払を受ける社債利息は総合課税となる
→平成28年1月1日以後に支払われる利子から適用
→平成27年12月31日までに支払われる利子までは分離課税
→分離課税と総合課税の税率差を利用した
    節税スキームの駆け込み需要が増える
 

6.みなし配当を利用した節税策を認めず(法人税)

■結論
 自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)は自己株式取得専用
 →よって、相対取引と同様の効果が発生することが確実と
   一部の実務家が指摘していた
 審判所は自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)を利用した
 株式の売却は市場取引に該当すると指摘
 →よって、相対取引ではないので、みなし配当は生じない

■市場取引か相対取引か
例:A社がB社株式を保有
 ①市場に売却し、結果としてB社が購入
   …A社側では購入者がわからないので譲渡損益のみ認識すればよい
 ②相対取引でB社に売却
  …A社はB社が自己株式を取得したと認識できるので、
    みなし配当と譲渡損益の認識が必要
  (譲渡対価に、資本金等の部分と利益剰余金部分があるため)

■相対取引の場合
 みなし配当がある
   →受取配当等の益金不算入の規定の適用が受けられる


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7.【税務調査】各連結子法人も納税義務者として調査手続き規定が適用に


税務調査の事前通知、終了の際の是認通知等の法制化がされた
国通法の改正により、一部の手続きは連結子法人にも
行われることになった。

■連結親法人 に対しては
 ・事前通知     :あり
 ・是認通知     :あり
 ・更正決定等通知 :あり

■連結子法人(実地調査対象) に対しては
 ・事前通知     :あり
 ・是認通知     :あり
 ・更正決定等通知 :あり

■連結子法人(実地調査以外の調査のみの対象) に対しては
 ・事前通知     :なし
 ・是認通知     :なし
 ・更正決定等通知 :あり(否認事項があれば)

※連結親法人への手続きは改正前も慣例的に
 行われていたものを法制化したに過ぎないが、
 連結子法人への手続は改正に拠って新たに定められた。


【日本版ISAについて】 

■日本版ISAとは

⇒個人投資家向けの税制優遇措置。
上場株式等の軽減税率が廃止されることに伴い新たに創設される。
最大で500万円までの投資につき配当所得・譲渡所得が非課税となる。

・導入時期
平成26年1月1日から

・口座開設可能期間
平成26年1月1日~平成35年12月31日までの10年間

・投資可能額
100万円/年(総額最大500万円)

平成26年⇒非課税対象 100万円
平成27年⇒非課税対象 100万円+100万円=200万円
平成28年⇒非課税対象 100万円+100万円+100万円=300万円
平成29年⇒非課税対象 100万円+100万円+100万円+100万円
                                             =400万円
平成30年⇒非課税対象 100万円+100万円+100万円+100万円
                                              +100万円=500万円
平成31年~平成35年 非課税投資最大 500万円

■留意点
上記非課税措置導入に伴い、
上場株式等の軽減税率(譲渡益等の10%)は平成25年をもって
終了となる。


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9.税効果会計に関するQ&A改正

・未認識項目を連結BS上で負債として即時認識しても、
 回収可能性の会社分類は個別の分類と変わらない

・即時認識するか否かで将来年度の課税所得の見積もりは変わらない。
 よって個別と連結におけるDTAの回収可能性の判断は
  同じになると考えらえれる。



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