2019年8月22日木曜日

8/9 勉強会:無形資産の取得原価等 他

1.中小企業経営強化税制における経営力向上計画の期間延長は?

■中小企業経営強化税制とは
・「経営力向上計画」に基づく設備投資について、即時償却又は7%の税額控除を認めるもの。
・「経営力向上計画」は主務大臣の認定を受ける必要がある。
・「経営力向上計画」の実施期間は3年~5年。

■追加で支援措置を受けたい場合は計画変更申請に注意が必要
・計画の実施期間終了前に設備の取得と計画変更の申請を行い、認定を受ければ問題なし。
・計画の実施期間終了前に設備の取得と計画変更の申請を行い、認定が実施期間終了後になる場合は、
 計画変更時に実施期期間も延長する必要がある。
・計画の実施期間終了前に設備の取得は行ったが、計画変更の申請が実施期間終了後になった場合は、
新規申請が改めて必要。




2.一定期間災害保障重視型定期の販売再開

■結論
・上記定期保険の販売再開も、節税メリットは見出しにくい

■通達
・損金算入額:最高解約返戻率の10%相当とする旨が公表

■数値例
・年間保険料1,000万円、ピークの解約返戻率80%のケース
・損金算入可能額:1,000万円×80%×10%=80万円







3.当局、質問応答記録書で臨場感・迫真性を追求

調査担当者が納税者等の回答内容を文書の形で確保・証拠化する方法として、質問応答記録書の作成、調査報告書(納税者等が非協力などの理由で記録書の証拠化が不可能な場合又は記録書を作成までは要しない内容である場合)を作成。

■質問応答記録書の作成上の留意点
⇒あいまいな表現はしない
⇒臨場感、迫真性のある供述を引き出す
⇒時制を明確にする
⇒客観的事実と主観的認識を併せて録取し、両者を明確に分けて押さえておくこと。
⇒納税者の行為・行動について、動機、背景、目的、具体的な理由をできる限り詳細に記載する。





4.自動販売機の販売手数料は標準税率

・飲料メーカー等が自販機設置事業者に支払う販売手数料は、自動販売機の設置等に係る対価であり「役務の提供」に該当する。
⇒「役務の提供」に係るので標準税率
・卸売事業者が支払うセンターフィーも物流センター使用等に係る対価に該当する。
⇒「役務の提供」に係るので標準税率






5.自動販売機の販売手数料は標準税率

■結論
自動販売機の販売手数料やセンターフィーは自動販売機の設置等の対価であり、
役務の提供であるため、標準税率が適用される。




6.裁決例より マンション管理組合の共通経費

■概要
マンション管理組合Aは屋上供用部分を携帯基地局として賃貸し
賃貸収入を得ている(収益事業)

この収益事業に関連する経費として、マンション全体で
・管理会社へ支払う管理委託費
・設備点検費
・火災保険料
を支払っているが、これらは経費として損金算入できるか、また損金算入できる場合の
按分方法はどうなるか?

■経費性について(審判所裁決)
いずれもマンションの維持管理に必要なものであり、もって屋上賃貸収入との合理的な
関連性が認められるため損金算入可

■按分方法(審判所明示)
・管理会社へ支払う管理委託費:管理員の従事時間に占める屋上供用部分の点検にかかる時間割合
・設備点検費:マンション賃貸収入に占める屋上部分の賃貸収入割合
・火災保険料:建物全体の面積に占める屋上の面積割合





7.勘定科目内訳明細書のCSV形式のフォームを公表

国税庁は2019年4月以後終了事業年度分の新たな「勘定科目内訳明細書」の明細部分を公表。
・売掛金等の内訳書につき記載方法の簡素化
・CSV形式による提出も可

■勘定科目コード
・国税庁指定のコードを使用すること
・同じ勘定科目でも業種ごとで異なる
・9桁の番号
・以下3項目を記載してcsv化
使用する勘定科目名、勘定科目コード、金額

最終版は来年2月に発表されるとのこと







8.KAMの金額の単位は任意

・KAMの金額の単位は任意
 ⇒ 財務諸表の作成にあたって使用している金額単位であることを求めるおmのではない
 ⇒ 連結財務諸表は百万円単位、KAMは億円単位で記載、も可。

・収益認識基準と重要な会計方針の注記
 ⇒ どこまで注記するか、ASBJが検討中。
 ⇒ 案1「収益を認識する通常の時点」のみ注記する
 ⇒ 案2 案1に加えて「履行義務の識別が一時点か一定期間か」も注記する





収益認識会計基準の開示等を議論

・7/29開催の企業会計基準委員会では、以下が議論された。

【収益認識会計基準】
①注記事項・・・重要な会計方針の注記との関係
②表示の検討・・・顧客との契約から生じた収益の表示科目
③注記事項の検討・・・契約高(契約資産および契約負債の残高等)に係る開示
④表示の検討・・・顧客との契約から生じる債権または契約資産に係る減損処理
⑤表示の検討・・・収益と金融要素の影響(受取利息または支払利息)の区分表示
⑥収益認識会計基準に係る注記に関する設例

【金融商品会計基準】
・2018年8月、11月末期限で同基準の改正に関する意見を募集した。
⇒基準の改正を支持する声が多く、2019年1月から改正に向けた検討が開始。
⇒「金融資産の減損」の改正の優先順位は高く、「ヘッジ会計」は低い。





10.第1章 データM&Aにおけるストラクチャー検討上の留意点

・他の企業からデータのみを取得するのではなく、データが蓄積された企業自体を取得する動きが増加
・どのような法規制が適用されうるかを主としてデータ関連規制(※)に照らして検討する必要あり
※個人情報保護法・GDPR(EU一般データ保護規則)、競争法、FIRRMA(米国リスク審査現代化法)等
■個人情報保護法・GDPRは、特に検討が必要
・法規制によって、買主がデータを取得できなくなる、取得したデータが利用できなくなることもある
⇒データM&Aの目的そのものに関わる
・個人データが第三者提供される場合、原則として本人の同意が必要
 ただし例外があり、当該ストラクチャーを検討することが重要
⇒合併、会社分割、事業譲渡等による「事業の承継」の場合=本人の同意不要
・GDPRによって取扱いが適法とされる6項目のいずれかに該当する必要あり




11.データ・デューデリジェンスの概要とチェックポイント

■データDDの流れ
・データマッピング、適用法規制の特定を行った後、Fit&Gap、データ関連契約レビュー、リスク評価とセキリティ施策評価を並行して実施する。

■各実施事項について
・データマッピング
→保有データとデータフローを把握するために、データの棚卸しを行う。
→データ利活用の態様を正確かつ網羅的に把握する必要がある。
・適用法規制の特定
→データマッピング結果に基づき、各データに関連する法規制を特定する。
→各国法規制に照らし、網羅的に特定する必要がある。
・FitT&Gapの実施
→関連する法規制を洗い出したうえで、法規制の要求事項と対象会社の原状の体制との差分比較を実施する。
→差分発見と同時に、コンプライアンス対応プランを検討することが必要である。
・データ関連契約レビューの実施
→データ取得元および提供先とのデータ関連契約のレビューを行い、データ利活用の継続を妨げる条項の有無を検証する必要がある。
・リスク評価とセキリティ施策評価の実施
→保有データ毎に適切なレベルのセキリティ施策を実施しているかを検証する。
→誤ったリスク認識に基づき、不適切なセキリティ施策を実施していないかを確認し、セキリティインシデントの発生により、想定外の損失を被る可能性を検証する必要がある。





12.M&A実施にあたって、法務DD、プレ・クロージング段階の情報のやり取りに係る留意点

■プレ・クロージング段階で個人情報のやり取りを行う場合
・個人情報保護法とGDPR(一般データ保護規則)に違反しないように契約の締結等が求められる

■個人情報保護法との関係
・個人情報のやり取りは、原則、本人の同意を得なければならないが、事業の承継のためのデータ提供については、交渉段階についても本人の同意は不要であると解されている。
⇒データ利用目的・取扱方法、漏洩等が発生した場合の措置、事業承継の交渉が不調となった場合の措置等が盛り込まれたNDA締結が求められる点に留意。

■GDPRとの関係
・適法化する根拠が必要。
・実務上は、正当な利益の目的のために必要な場合と整理されることが多い。
・正当な利益のための取り扱いとして整理するためには、取扱い個人データの範囲を必要最小限に限定しつつ、対象会社と買主との間で上記のようなNDA締結が求められる点に留意。
・個人情報の提供が個人データ第三国移転に該当する場合、十分性認定がない限り、SDPC(標準データ保護条項)の締結が求められる点に留意。




13.カブドットコム証券上場廃止

・東証は29日付で上場廃止にすると発表した。
・8日から28日まで整理銘柄に指定する。
・カブドットコム証券が8日開いた臨時株主総会で、一部を除く株主の保有株数が1株に満たない端数になる形で株式併合する議案が可決されたため。



14.無形資産の取得原価等

・取得原価
個別の取得=購入価格+附随費用(輸入関税、設置コスト等)
企業結合による取得=企業結合日時点の公正価値
自己創設=開発局面の支出のうち、一定の要件を満たすもの

・評価モデル
原価モデル=取得原価 – 償却累計額 = 帳簿価額
再評価モデル=再評価日現在の公正価値 - 償却累計額 =帳簿価額
→日本では原価モデルのみが認められている
→再評価モデルは無形資産を取引する活発な市場の存在が前提となり、当該モデルを適用できる場合はいずれかを選択適用

・償却or減損
耐用年数を確定できる場合は償却資産(毎期償却)、できない場合は非償却資産(毎期減損テスト)に該当
→のれんは耐用年数を確定できないことから、非償却資産に該当し、減損テストを実施する必要ある

・償却方法
経済的便益の消費パターンに応じて決定
信頼性をもって決定できる=定率法等の消費パターンを反映する償却方法
信頼性をもって決定できない=定額法
→見積に該当するため毎期見直しが必要。





15.旧税率と軽減税率の適用関係

旧税率を適用する経過措置は、2019年10月以後に行う軽減対象資産の譲渡等には適用されない。

■食品の予約販売である場合
・予約販売に関する経過措置の対象は「書籍その他の物品」とされているため、飲食料品であっても、その譲渡が要件に該当する場合には経過措置の対象となる。
・旧税率を適用する経過措置は、2019年10月1日以後に行う軽減対象資産の譲渡等には適用されない。予約販売に関する経過措置の対象となるものであってもそれが飲食料品の販売である場合には、旧税率の8%ではなく、軽減税率の8%が適用される。

※国税6.3% ⇒ 6.24%
※地方税1.7% ⇒ 1.76%
















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2019年8月2日金曜日

8/2 勉強会:消費税 飲食料品の譲渡を行わない事業者の対応 他

1.ADW裁判、過去事例の位置付けに注目

ADW裁判について、7月30日の進行協議期日で過去の事例の位置付けなどについて裁判所の考え方が明らかにされる可能性がある。

⇒課税当局は、ADWへの課税処分は「不動産の仕入は、保有期間中に住宅貸付の賃料(非課税売上)が発生しているから共通仕入であると主張。
⇒ADWは、課税当局はかつて「不動産の仕入の最終目的は販売であり賃貸ではないから、課のみ仕入である」との解釈を示しており、この解釈は平成7年と9年の事案として課税当局の内部資料に書かれていたとし、当該内部資料を裁判所に証拠として提出。
⇒国は上記資料は「課税当局内部でその存否が確認できない」としている。





2.非上場会社における株主総会、訴訟で決議取消となった理由は

■特定の株主に招集通知が送付されなかった事例
・全株主のうち、16%を保有する株主一名(以下、原告)に対してのみ招集通知が送付されなかった(意図的)
・決議内容:死亡代表取締役の死亡慰労金。慰労金の額を取締役会に一任する旨の決議
・原告:亡代表取締役の配偶者
・裁判所の判断:16%の大株主+決議内容に利害関係が深い株主に招集通知を送付しないのは重大な瑕疵。決議を取り消した






3.記帳代行に係る税理士の注意義務を示す

税理士が毎月の当座勘定照合表を確認する義務を怠ったことにより横領の発見が遅れたとして、協同組合が顧問税理士に賠償請求を求めた裁判。
一審の東京地裁では、会計帳簿の記帳代行の際に原資料等と突合する義務があるとまでは言えないなどと判断して、協同組合の請求を棄却。

■東京高裁の判決
経理担当者に当座勘定照合表の提示を求めることで注意義務を履行したもとの認めるとし、協同組合の控訴を棄却。税理士側の勝訴。
⇒経理担当者が作成した振替伝票の基礎となった原資料等と照合するなど、妥当性・正確性を確認する義務はあると判断。遂行するにあたり、経理担当者から資料が提供されないときは提出を促すことをもって注意義務を尽くした。




4.飲食料品のリベートの軽減税率適用可否

・「売上に係る対価の返還」⇒軽減税率
・「役務の提供に係る対価の返還」⇒標準税率
課税資産の譲渡等が軽減税率の対象であっても、販売数量等に応じて支払われる奨励金は軽減税率、早期に生産したこと等役務に応じて支払われる奨励金は標準税率となる。
⇒リベートを支払う理由、受け取る理由を十分に確認する必要がある。また、当事者間で認識を共有しておくことも肝心であり、契約書等でその旨を明らかにしておくことがひとつの方法である。





5.譲渡制限期間の満了日を「退職日」とする場合の特定譲渡制限付株式の該当性及び税務上の取扱いについて

■論点
①譲渡制限付株式割当契約の内容として、譲渡制限期間満了日を〇月〇日と確定日とするのではなく、取締役の退任日とした場合でも、特定譲渡制限付株式に該当するか。
②役員個人の所得は”退職所得”で良いか。
③法人税上は退任日の属する日の退職給与として損金として処理できるか

■結論
①確定日だけではなく、退職日等など客観的な事由に基づき定まる日でもOK
②退職に起因して譲渡制限が解除される場合は退職所得でOK
(”退任と同時に再任する場合は譲渡制限解除されない”などの設計は必要)
③退任日の属する日の退職給与として損金として処理





6.消費税:会費の取扱い

■支払った会費が税額控除の対象となるか
⇒対価性があるかないかで判定

■対価性ありの例
税務研究会の会費:税務通信の配布や会員限定WEBサービスの提供がある
⇒明らかに対価性があるため税額控除の対象となる

■対価性なしの例
同業者団体の通常会費:単に団体の存立を図るための費用
⇒対価性がないため不課税(税額控除不可)

■不明な場合
会費が不課税扱いになる場合にはその団体が構成員にその旨を通知する義務があるが
運用されていないケースも多い。その場合は個別に問い合わせて確認する必要がある。



7.消費税:フィットネスクラブなどのスポーツ施設における飲食料品の提供

ジムなどのスポーツ施設内で販売されている飲食料品の消費税の税率は?

■軽減税率制度の整理
飲食料品の譲渡:軽減税率の対象
ただし、「食事の提供(外食)」は軽減税率の対象とならない
・外食とは飲食設備(テーブルや椅子)を設置した場所で行う食事の提供。
・双方該当する場合は、販売時に消費者へ「持ち帰り(8%)」か「店内飲食(10%)」か確認する

■ジムなどのフィットネスクラブでの販売は
・休憩スペース(テーブル・椅子あり)
⇒消費者にテーブル等で飲食するかの意思確認をして判断する
・トレーニングエリアのベンチ
⇒フィットネスクラブそのものが飲食目的外施設のため、軽減税率が適用
飲食をするかの意思確認も不要
・マシンやサウナの椅子など
⇒通常飲食として使用しない設備のため軽減税率が適用
・自販機等の販売
⇒飲食させるための役務の提供は行っていない
⇒単に飲料水等を販売しているため、そばにテーブル等が設置されていても軽減税率が適用






8.(IFRS)クラウド・コンピューティング契約における顧客側の会計処理

・クラウド・コンピューティングのサービスモデルはいかに分類される
IaaS=ネットワーク等の基盤となる設備(インフラ)のみサプライヤーが提供
PaaS=インフラに加えてハードウェアやOS等のプラットフォームまでサプライヤーが提供。
SaaS=インフラ、プラットフォームに加えて、アプリケーションソフトまでサプライヤーが提供。

・SaaS契約に基づく支払いを、「サービス契約として費用処理」するか、「ソフトウェア資産を受け取る契約として資産計上」するか。

・資産計上の要件は下記いずれか。
(1)契約がソフトウェアのリースを含んでいる場合
(2)顧客がリース以外で契約開始日にソフトウェアに対する支配を獲得する場合

・(1)は単にソフトウェアにアクセスする権利のみでは足りず、顧客が、「使用方法・使用目的に関する意思決定権」を有する必要がある。
 ⇒ 具体的には、「ソフトウェアの更新時期や更新方法、あるいはハードウェアやインフラを選択する決定権を有していること」。

・(2)は特定にインフラ、ハード、ソフトについて、他者のアクセスを制限できること。
 ⇒ 要は、当該顧客専用になっていること



2019年上期M&A件数、10年ぶりの高水準

■日本企業によるM&A(合併・買収)が活発化。
・2019年上期は394件で、前年同期を67件上回り、2009年以来の高水準。
・日本企業における海外企業買収も66件と、前年同期より19件増え、海外M&Aも活発。
・上期の取引金額トップは、ソフトバンクのヤフー子会社化で4,565億円。
・M&A総額は2兆1,000億円で、前年同期(8兆9,000億円)より減。
・前年は、武田薬品工業がアイルランド大手製薬会社シャイアーを約6兆円で買収した影響。

■M&Aの目的
・少子高齢化に伴う国内市場の縮小や人手不足を背景に、シェア拡大や労働力の確保、海外事業展開が狙い。





10.第2章 自社株取引に関する税務上の留意点

■発行法人が株主から自己株式を取得
⇒利益を原資として支払った部分=みなし配当(20.42%源泉徴収)=利益積立金を減少させる
■取得後の自己株式
⇒そのまま保有し続けることも可能
⇒他社へ譲渡、買収対価として使用、役員及び従業員への報酬として使用も可能
⇒消却も可能
■高額譲渡のケース
・譲渡した株主への寄付
■低額譲渡のケース
・発行法人においてその株主からの受贈益を認識


「M&A対象企業の基礎的財務モデリング手法」
・財務モデルを作成⇒M&Aの際の妥当な価格目線を推計
・買収対象候補会社の予測FS作成⇒各期のFCFを計算
・各期のFCFからDCF法により事業価値を計算し、純有利子負債を控除⇒株主価値を計算
※上記の予測資料作成にあたり、直近のTBから仮定(ex;売上高成長率、償却費は売上に比例、回転期間は一定、運転資本の増減)をおいて計算
 これらの推計値はインタビュー等で得た情報により、各パラメーターを調整することで精緻化可能





11.米国税率引下げによるペーパーカンパニーの定義見直し

■これまでのペーパーカンパニー(PC)に関する課税
租税負担割合が30%未満のPCは、会社単位で合算課税※
※当該PCの所得を日本親会社の所得とみなして合算し、日本で課税

■出来事
米国連邦法人税率の引下げ(35%⇒21%)により、合算課税されるPCが増えてしまう懸念

■救済措置(PCの定義見直し)
以下の「現地で行われる実態のある事業の遂行上欠くことのできない機能」を担うPCは除外
(1)持株会社である一定のPC
(2)不動産を保有する一定のPC
(3)資源開発等プロジェクトに係る一定のPC




12.連結納税等摘要等の取扱いの改正ポイント
■外国子会社合算税制について
・外国関係会社ごとに適用されることから、適用計算については、外国関係会社ごとに行うのが基本的な枠組み。

⇒令和元年度税制改正において、現地で連結納税またはパススルー課税が行われている外国関係会社の適用対象金額、租税負担割合および外国税額控除等の計算について、企業集団等所得税規程を適用しないで各社別にするものと整備された。




13.連結における財務会計と管理会計の一致・不一致
■財務会計と管理会計の作成方針のパターン
(1)財管不一致型
 会計処理や勘定科目体系の違いから一致しないことを前提とする
(2)財管調整型
 不一致箇所を内容別に調査して説明する
(3)財管組替型
 元データや会計処理は一致しているが、レポート上の組替が異なる
(4)財管一致型
 財務会計と管理会計の数値が完全に一致する

⇒2014年~2015年に行われた調査では、約36%の企業が財管一致に取り組まれていた。

■どのようなしくみが効率的か?
下記のような個社―本社間および本社内の2軸で連携をとる運用ルールを構築することが、
差異把握の作業を最小化することにつながり、効率化するしくみになると考えられる。
・個社については、差異が発生する要因について都度報告する運用ルールとする
・本社については、四半期決算の頻度で部門間の定期的な共有会を開催して組織変更や財務ルール変更など影響のある内容を共有する

・差異要因ドキュメントを整備し共有管理する




14.仙台市、成長期待8社の上場支援 「未来創造企業」に認定
・仙台市は29日、株式上場を目指す仙台都市圏の8社を「仙台未来創造企業」に認定した。
・弁護士や税理士、社会保険労務士の協力を得て、上場要件となる労務、財務など内部管理体制の強化を集中支援する。
・東北では2014年以降、新規上場がなく、市はおおむね5年以内の実現を目指す。
・認定企業の8社は以下
ゼンシン/発達障害児向け放課後デイサービス
ビック・ママ/衣類補修
トーワ電機/コンピューター開発・製造・販売
トライポッドワークス/ソフトウエア開発・販売
ボールウェーブ/センサー開発・製造
ワイヤードビーンズ/ECサイト構築・雑貨企画販売
manaby/障害者就労支援

ワンテーブル/備蓄食料品製造・販売





15.無形資産
IFRSでの資産=企業が支配し、将来の経済的便益が企業に流入することが期待される資源
→無形資産は物理的実体のない、識別可能な非貨幣性資産
→物理的実体がないため、存在の立証や金額の測定が難しい

取得形態として、個別の取得、企業結合による取得、自己創設などがある
→個別の取得=ソフトウェアの取得等が該当
→企業結合による取得=のれん等
→自己創設=研究開発費等

自己創設の無形資産を認識するか否かは、支出発生のプロセスが①研究局面、②開発局面かに区分する
→①研究局面では、発生時の費用として処理
→②開発局面では下記の6要件をすべて満たした場合にのみ無形資産として認識しなければならない
・技術的に実現可能
・無形資産を完成させ、使用または売却する意図がある
・使用または売却する能力がある
・将来の経済的便益を創出する可能性が高い
・開発を完成させるための力(技術・資金面等)が十分である
・支出を信頼性をもって測定できる

→日本基準では、研究開発費はすべて発生時に費用処理するため、IFRSと日本基準のGAAP差の一つである




16.飲食料品の譲渡を行わない事業者の対応
今後は仕入についての適用税率の管理を業務フローに追加する必要がある。

■仕入(原価・経費)
①以下の勘定科目には、軽減税率が適用される課税仕入れがあるものと考えられる。
・新聞図書費 ⇒ 定期購読契約の新聞の購入(雑誌の定期購読契約については旧税率の適用に注意)
・会議費    ⇒ 会議用の弁当や菓子、飲料の購入
・接待交際費 ⇒ 中元や歳暮の贈答用の飲食品、お土産用に購入する飲食料品の購入
・広告宣伝費 ⇒ 景品として配布する飲食料品の購入
・福利厚生費 ⇒ コーヒーサーバー用のコーヒー豆やウォーターサーバー用の水の購入

②軽減税率対象品目の仕入について、請求書等に軽減税率対象品目にはその旨や税率の異なるごとに合計した税込金額の記載が
ないときは、仕入先に確認する等して追記する。

③仕入れを税率ごとに記帳する。

■申告
中小事業者は、軽減税率導入当初において、簡易課税制度の届出特例(事後選択)を利用することができる。

※課税期間の末日までの届出。申告期限ではないことに注意














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