2018年2月26日月曜日

2/23 勉強会:金融庁の考え方から読むフェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン 他

1.金融庁の考え方から読むフェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン

■フェア・ディスクロージャー・ルール(FDルール)とは
・上場会社等が公表されていない「重要情報」をその業務に関して証券会社、投資家等に伝達する場合、
 速やかに情報をホームページ等で公表することを求めるもの
・平成30年4月1日から導入

■Q&A
・株主総会で重要情報を伝達した場合はFDルールの対象か?
⇒未公表の確定的な情報であって、公表されれば有価証券の価額に重要な影響を及ぼす可能性がある場合は対象

・証券会社の営業担当者に重要情報を伝達する場合はFDルールの対象か?
⇒守秘義務や有価証券売買禁止に係る義務が課されることが説明され、適切な法人関係情報管理が実施されれば対象外


2.のれんと耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト

■前提
・IFRS
■償却
・いずれも償却をしてはならない
■減損テスト
・減損の兆候がある場合にはいつでも行わなければならない
■減損損失
・回収可能価額まで落とす(公正価値or使用価値のいずれか高い方)
・戻入れあり
■開示内容
・減損損失の認識又は戻入に至った事象及び状況
・認識又は戻入をした減損損失の金額
・個別資産について(性質、所属セグメント)
・資金生成単位について(生産ライン、工場、事業、地域等)
・当該資産の回収可能額+回収可能額の定義
・回収可能額=公正価値のケース
⇒評価技法、算定の基礎に用いた主要な各仮定(現在価値技法を用いて測定しているなら割引率も)
・回収可能額=使用価値のケース
⇒見積に用いた割引率


3.マンション販売事業者への消費税追徴課税相次ぐ

■事例
・販売用に購入した賃貸マンションの仕入税額控除の区分判定に関して、国税局の更正処分が増加

【事業者の主張】
・販売目的で仕入れているので、課税売上対応仕入に区分
⇒仕入れに係る消費税額を全額控除

【国税局の主張】
・販売するまで賃貸しているので、共通対応仕入に区分
⇒課税売上割合に応じた額だけを控除

※消費税課税区分
・マンションの販売⇒課税売上げ
・マンションの賃貸⇒非課税売上げ

■共通対応にした場合の問題点
・賃貸マンションの販売時には全額課税売上に計上されるが、仕入時には一部しか仕入税額控除できなくなる
⇒消費税の納付額がかなり増加



4.重加算税、審判所の事実認定にて原処分庁の主張が斥けられる

収入を申告していなかったことが重加算税の賦課要件に該当するか否か?

≪ 概 要 ≫
請求人は医師、重加算税の処分を課した理由として、①請求人が関与税理士に計算の根拠となる預金通帳を提示しなかった、②調査担当職員からも申告漏れを指摘されるまで預金通帳を開示しなかったことが、当初から所得を過少に申告する事を意図し、その意図を外部からも伺いうる行為をしたと指摘。仮想隠ぺいにあたるとして重加算税の賦課処分を課した。
≪ 裁 決 ≫
原処分庁の主張は斥けられた。
理由:重加算税を課すには納税者のした過少申告そのものが隠ぺい、仮装に当たるというだけでは足りず、これとは別に隠ぺい・仮装と評価すべき行為が存在しこれに合わせた過少申告がなされたことを要する。つまり架空名義の利用や資料の隠ぺいなどの積極的な行為があったとは認められないと結論付けられた。
≪過少申告を意図していた行為とは≫
本件の場合、確定申告書作成時に関与税理士に通帳を開示しなかったことが意図していたかどうか?
①口座を開設し支払先に振込先として指定いたものの、生活の為に引き出している形跡がなく、メインの通帳には多額の収入があったので、当該口座には振込まれた以外の入出金が一切なかった。
②医師・産業医として極めて多忙であり、売上の集計や記帳を自ら行わず、保険会社の担当職員に行わせていた程である。
①、②等の理由により適正に申告していると誤解していたと考える余地が残る、過少申告を意図していたとは推認させるものとまでは言えないと判断した。




5.連結で要件充足できなければムチ税制

平成30年度の税制改正で導入されるムチ税制

■ムチ税制=租税特別措置の適用制限
→一定の要件をクリアできなければ、研究開発税制、地域未来投資促進税制、IoT投資減税の適用が停止される。なお研究開発税制は、「総額型」「オープンイノベーション型」「高水準型」の全てが適用停止になる。

→要件としては、大企業で所得が前期比より増加しているにも関わらず、平均給与が増加、又は国内設備投資が一定金額以上されていない。

■連結納税企業は、連結ベースで判定される。
→個別の連結法人が、平均給与要件、国内設備投資要件等をクリアしても、連結べースでクリアできなければ、連結法人への租税特別措置が適用停止となる。





6.法人所有の仮想通貨と期末評価

■企業会計基準委員会(ASBJ)の見解
現時点において私法上の位置づけが明確でないが、「会計上の資産として取扱い得る」
としている。ただし、外国通貨・金融資産・棚卸資産・無形固定資産のいずれの会計基準
も妥当ではないと整理されている。

■法人税法上の取り扱い
短期売買商品や売買目的有価証券については期末時点において時価評価を行うことと
されている。しかし、時価評価の対象資産は法令上で限定列挙されており仮想通貨は
これにあたらない。

■実務対応
・取得時に取得価額をもって資産計上(表示区分は未定)
・会計上、時価評価した場合には別表で加減算調整をする

なお、最終基準は3月中に公表される予定



解約した電話加入権は除却損の計上を

■電話加入権の税務上の取扱い
・非減価償却資産に該当
・償却費計上×
・評価損計上×

■評価損計上できない理由
「1年以上利用休止(遊休)状態」であれば、
法人税法において固定資産の評価損計上が認められる。

電話加入権は以下理由により評価損計上ができない
・ネット普及に伴い市場全体が大幅に下落した
・1年以上利用休止していた事実によって下落していない

■費用計上するには
今後利用見込みがないのであれば解約して除却することが望ましい。




8.主要株主の異動

・「主要株主」=議決権比率が10%以上の株主
・上場会社は「主要株主の異動」が生じた場合
  ⇒遅滞なく臨時報告書を提出すること
  ⇒直ちに適時開示を行うこと
 が求められている。
・「主要株主の異動」とは
 ①主要株主の議決権比率が10%未満となったとき
 ②議決権比率が10%未満だった者が主要株主となったとき

臨時報告書は不要だが、適時開示が求められる事象
 ・「主要株主である筆頭株主の異動」
  ⇒開示ミスが生じやすい
  ⇒ストックオプションの行使によって発行済株式数が増加し、
   既存の主要株主が10%を下回ったが、所有株式数に変動がないことから
   適時開示を行わなかった例がある



9.労働時間管理

・労働時間の管理は会社に義務あり
・時間管理方法は、ICカード、PC使用時間の記録などの客観的な方法が原則
・自己申告の記録は例外的な措置
・その場合でも会社が実態調査を行い、乖離が生じている場合には補正する必要あり
・労働時間の記録は3年間の保存義務あり

















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2018年2月19日月曜日

2/16 勉強会:平成29年度改正 外国子会社合算税制に関するQ&A 他

1.平成29年度改正 外国子会社合算税制に関するQ&A

■外国子会社合算税制とは
・外国子会社を利用した租税回避を抑制するために、一定の条件に該当する外国子会社の所得を、
 日本の親会社の所得とみなして合算し、日本で課税する制度

■改正前の制度の問題点
・外国子会社の租税負担割合が20%以上の場合、実体がない場合でも制度が適用されなかった
・外国子会社の租税負担割合が20%未満の場合に、実体のある事業を行っている場合であっても、
 所得が親会社の所得に合算されてしまう場合があった
⇒租税回避リスクを、外国子会社の租税負担割合により把握する制度から、
所得や事業の内容によって把握する制度に改正

■改正内容
・外国子会社の租税負担割合が20%以上の場合、明らかにペーパーカンパニーであるときは
 外国子会社合算税制の対象となった
・経済活動の実体のある事業から得られた所得は、外国子会社の租税負担割合にかかわらず合算対象外とされた

■適用年度
・平成30年4月1日以後開始事業年度より適用




2.IoT投資促進税制、リースも適用可

■IoT投資促進税制
・革新的情報産業活用設備(※)を取得した場合、30%の特別償却または3%の税額控除の適用を受けられる
(一定の賃上げ※を行った企業は5%の税額控除OK)

※対象設備
・データ収集機器、ロボット、工作機械、データ分析システム(サーバー、AI、ソフトウェア)、サイバーセキュリティ対策製品など
・設備全部の合計で5,000万円以上であること
・H33年3月31日までに取得すること
・ファイナンスリースの場合も適用可能
・所有権移転外ファイナンスリースの場合は税額控除のみ可能(特別償却は不可)

■固定資産税の特例措置(中小企業のみ対象)
・対象設備(※)を導入した場合、課税標準が最初の3年間は最大でゼロから2分の1以下に軽減される

※対象設備
・労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた先端設備等導入計画に従って取得した設備
・ファイナンスリース(移転外含む)の場合も適用可能




3.赤字法人と所得拡大税制

■当初申告要件あり
確定申告書(中間申告書)に「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の
特別控除に関する明細書」を添付したときのみ税額控除を適用できる。
⇒修正申告書や更正請求書に明細書を添付したとしても適用できない

■事例
当初申告時に赤字のため「特別控除に関する明細書」を添付しなかったが、
その後の税務調査で所得(法人税額)が生じることとなった。修正申告書において適用を
受けようとしたが、「当初申告要件」が付されているため適用ができなかった。

■対策
税務調査により赤字が黒字に変わる可能性がある場合には、保険的に「特別控除に関する
明細書」を添付しておくことも検討する




4.原材料に使う飲食料品への軽減税率の考え方

売手が食品(酒を除く)として販売しているか否かにより、軽減税率の摘要可否を判断する。
仕入側の目的は考慮しない。

■例
・食品にも化粧品にも使用可能な添加物を販売するケース
・売手は化粧品に使用することを想定したパッケージ等をして販売している。
・仕入側は食品の原材料として使用する。
⇒このケースでは売手は『食品』として販売していないので、
売手側&仕入側の双方で10%の税率を用いる。(軽減なし)




5.取締役会の書面決議の活用

■社外取締役の選任の進展と書面決議の積極的な利用
(1)審議の活性化
社外取は全社の業務に精通している訳ではなく、個別具体的な事項は可能な限り書面決議に回して、
重要性の高い事項について議論する時間を確保する
(2)出席率の向上
本業を有しているのが通常で一般的に多忙。また遠隔地や外国人取締役の日程調整は難しい
社外取締役の出席率は75%が一つの目安
■書面決議と取締役の善管注意義務の関係
実開催と書面決議のいずれの場合も取締役の責任の在り方に何ら変わりはない
十分な情報収集のもと、適切に判断する必要がある





6.第1回 連結の範囲、会計方針の統一、決算日

■連結の範囲
(子会社の範囲)
・連結の範囲には、原則すべての子会社が含まれる
・子会社=持株基準ではなく実質支配力基準による
(子会社に該当しない会社)
・議決権の過半数を所有していても子会社に該当しないケースあり
(連結の範囲に含まれない企業)
・子会社に該当しても支配が一時的等の理由から含まれないケースあり

■会計方針の統一
・原則は親子で統一する
(必ずしも統一が求められない会計方針)
・資産の評価方法
・固定資産の減価償却の方法
・退職給付会計における退職給付見込額の期間帰属方法
・退職給付会計における未認識項目の費用処理方法
(在外子会社における取扱い)
・在外子会社がIFRSまたは米国会計基準によっている場合、一定の修正(のれんの償却等4項目)を加えればそのまま利用可

■決算日
(子会社の決算日が連結決算日と異なる場合)
・原則=連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続きによって決算(仮決算)を行う
・例外①:決算日の差異が3か月以内の場合
⇒親3月末決算、子12月末決算であれば1/1~3/31に生じた重要な連結会社間取引の調整をすればそのまま利用可
・例外②:決算日の差異が3か月超の場合
⇒親3月末決算、子9月末等の場合、原則は連結決算日に仮決算を行う必要がある
 相当の理由(3か月以内の四半期決算日に合わせて等)があれば、3か月を超えない範囲の日に仮決算を行い、取り組むことも可能だが①の調整は必要




事業譲受時の税効果会計

前提:現金対価による非適格組織再編

■用語
のれん/負ののれん:会計上の時価と取得原価との差額
資産調整勘定/差額負債調整勘定:税務上の時価と交付した金銭の差額

■のれん、資産調整勘定が計上される場合
・会計上は合理的な期間で償却
⇒のれんは取得原価配分の残余項目のため、税効果会計を適用すると循環計算となるため、税効果会計を適用しない。
・資産調整勘定は5年で損金算入するため、将来減算一時差異に該当
・資産調整勘定に係る繰延税金資産を認識した上で会計上ののれんを算定
 ※資産調整勘定に係る繰延税金資産分、のれんが減少

■負ののれん、差額負債調整勘定が計上される場合
・会計上は一括で費用処理
・差額負債調整勘定5年で益金算入するため、将来加算一時差異に該当
・差額負債調整勘定に係る繰延税金負債を算定した上で、負ののれんを算定する
 ※算定フローは資産調整勘定と同様
 ※差額負債調整勘定に係る繰延税金負債分、負ののれんが減少



8.日本商工会議所が、消費税軽減税率制度のチラシを公表。

・会議でのお弁当、お茶や定期購読の新聞が軽減税率対象。
・8%と10%の税率を分けて記載する必要があるため、請求書や領収書の様式の変更が必要に。
・レジの買い換え、タブレット型POSレジの導入、システム改修のための国の補助制度あり。2019年9月30日までに事業完了を要する。



9.月次決算の早期化

・5営締め、10営役会資料作成
・15日前後で取締役会に報告

ポイントは主に以下。
(1)スケジュール管理の徹底
⇒経理部への請求書等の締切日の設定
⇒必要なデータをどの部署からどのタイミングで入手するか
⇒経理部及び経理部以外の部署も視野に入れたスケジュールの作成

(2)決算業務の標準化
⇒経費精算の入力作業を各部署で分散など。

(3)日常業務の精度向上
⇒作業の分散化

(4)概算計上等の簡便的手続きの採用
・5営締め、10営役会資料作成
・15日前後で取締役会に報告

ポイントは主に以下。
(1)スケジュール管理の徹底
⇒経理部への請求書等の締切日の設定
⇒必要なデータをどの部署からどのタイミングで入手するか
⇒経理部及び経理部以外の部署も視野に入れたスケジュールの作成

(2)決算業務の標準化
⇒経費精算の入力作業を各部署で分散など。

(3)日常業務の精度向上
⇒作業の分散化

(4)概算計上等の簡便的手続きの採用



















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2018年2月12日月曜日

2/9 勉強会:ホームページの制作及び管理業務は電気通信役務の提供に該当するか 他

1.MD&Aの開示の充実

・「業績等の概要」及び「生産、受注及び販売の状況」を「財政状態、経営成績及びCFの状況の分析」に統合し、
 記載内容の整理を求める
 ⇒企業の開示内容を投資者にとって分かり易くする

・「財政状態、経営成績及びCFの状況の分析」について、これまでは「提出会社の代表者」による分析・検討内容の
 記載が求められていたが「経営者の視点」に変更された
 ⇒経営者の視点による分析・検討が欠けているとの指摘があったため。雛形や例示は示されていない

・「資本の財源及び資金の流動性に係る情報」の記載が義務化される
 ⇒単にCF計算書の要約を文章化したにすぎない記載が多いとの指摘を踏まえ、重要な資本的支出の予定及びその資金源 が何かの記載が求められる

・平成30年3月31日以後終了事業年度から適用





2.税効果注記、公開草案どおりで決着

■全般
・公開草案から大きな変更なし
■早期適用の時期の変更
・公表日以後→2018年3月31日以後
■評価性引当額の内訳に関する数値情報の注記
・DTAの発生原因別の主な内訳として税務上の繰越欠損金を記載している
・当該税務上の繰越欠損金の額が重要である
場合に必要。だが、重要性については個別判断。
⇒重要性がないときは個別FSにおいて評価性引当額の内訳に関する数値の注記は不要




3.確定申告期に再確認、重加算税の「特段の行動」

■重加算税が課されるケース
・過少申告行為そのもの⇒重加算税が課されるとは限らない
・過少申告を行い、その意図を外部からもうかがい得る「特段の行動(※)」をした場合⇒重加算税が課される
※特段の行動の判例
・顧問税理士に対して所得を秘匿(最高裁平成7年判決)
・税務調査等で内容虚偽の資料を提出(最高裁平成6年判決)

■最高裁平成7年判決
・株の売買による雑所得を秘匿し、重加算税を賦課された事例
⇒顧問税理士からの株の売買による質問、書類提出依頼にも関わらず秘匿したことが「特段の行動」と判断

■最高裁平成6年判決
・サラ金業の所得を過少申告し、重加算税を賦課された事例
⇒当初の申告額が極端に過少であったこと、税務調査時に虚偽の資料を提出したことが「特段の行動」と判断




4.中小企業向けの租税特別措置法、所得制限対象を追加

租税特別措置法の適用要件を見直し
大企業が、H30.4月~H33.3月までに開始する各事業年度において下記の要件を満たしていない場合、その事業年度については研究開発税制その他の一定の税額控除が適用できないこととする。とされた。
さらに「賃上げ+設備投資」に消極的な大企業のみならず中小企業も対象としてきている。

■要件(中小企業でも「適用除外事業者」とされる)
1,平均給与支等給額が比較平均給与等支給額を超える
2,国内設備投資額が減価償却費の10%を超える
3,事業開始日の日前3年以内に終了した各事業年度の所得の平均額が15億円を超える

■適用できない税額控除(4以降が新たに加えられる)
1,研究開発を行った場合の税額控除制度 2,情報連携投資等の促進に係る税額控除
3,地域未来投資促進税制 4,高度省エネ増進設備等を取得した場合の特別税額控除
5,所得拡大促進税制 6,中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例



5.注記を要件に実務対応報告18号修正せず

実務対応報告18号
「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」の修正について

■資本性金融商品のOCIオプションに関するノンリサイクリング処理は、
IFRSとJ-GAAPとの重要な差として、実務対応報告18号における修正項目とされる方向であった。
→IFRS上は、資本性金融商品の売却損益はOCIから純損益にリサイクリングされない。

■修正項目とすると、該当する資本性金融商品を二重に管理する必要が生じ、実務上の一定の負担が生じる。
  →在外子会社が資本性金融商品の銘柄数を多数保有する金融機関には、負荷が大きい。
  ⇒一定の注記を要件に修正しないことも容認する方向に。
⇒3月中に公開草案が公表される予定。





6.消費税QA ホームページの制作及び管理業務は電気通信役務の提供に該当するか

■質問概要
A社はホームページの制作及び管理業務を行う法人であり,注文を受けた後に,仕様等についてインターネット等の通信回線を利用して打合わせをしながら業務を進め,ホームページが完成した後にはインターネットを通じて納品することとしている。
このような業務に係る役務の提供は電気通信利用役務の提供に該当するか?

■回答
事例の役務の提供は,ホームページの制作・管理等という主たる業務についてその連絡をインターネット・メール等によっているに過ぎないと認められることから,電気通信利用役務の提供には該当しない。

■解説
電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供であって,他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいうとされている。
事例の役務の提供は、ホームページの制作・管理等という主たる業務についてその連絡をインターネット・メール等によっているに過ぎず、著作物等を提供していることにあたらないため、電気通信利用役務の提供には該当しない。




仮想通貨による給与等の支払いは「現物給与」に該当

近年の仮想通貨の決済手段等の利用増加に伴い、
給与等をビットコイン等の仮想通貨で支払う事業者が増加している。

■背景
・外国人旅行客の呼び込み
・海外からの送金時に発生する手数料がかからないメリットの享受
・仮想通貨の普及等

■労働の対価を仮想通貨で支給を受けた場合の取扱い
・経済的利益の供与 ⇒ 現物給与を受けたと捉える
・給与所得の収入金額に該当
・士業の報酬等を仮想通貨で支払った場合
⇒支払側に源泉徴収義務が課される。

■支給する仮想通貨相当額はどうするか
給与や報酬の「確定日」における市場取引価額等より合理的に算定した価額。
⇒日本円で支払金額を確定させ、その確定額に相当する仮想通貨をもって支給。

■仮想通貨で支払した場合
(例)60万円の税理士報酬につき、50万円を日本円、10万円を仮想通貨で支払った。

支払側:源泉徴収義務あり
60万円×10.21%=61,260円(源泉徴収税額)

受取側:60万円の収入
※受取側が仮想通貨を売却して日本円にした場合
⇒取得価額(10万円)と売却価額との差額は「雑所得」扱いとなる。



8.取引価格の変動

・収益認識に関する会計基準案では、取引価格は契約における取引開始日以後に様々な理由で変動する可能性があるとして「取引価格の変動」に関する取り扱いがある。
・取引価格が事後的に変動した場合、既に充足された履行義務に関する収益の額を修正する
(数値例)
 12月決算のA社
 X1年1月にB社と契約締結(製品Xを@100千円で販売)
 B社が1月から12月末までに1000個より多く購入した場合、単価を遡及的に90千円に減額すると契約したケース
   1Qで75個販売 ⇒1年で1000個のペースではないので@100千円で収益計上
  2Qで500個販売 ⇒年間で1000個を超えることが見込まれるので
1Qで購入した75個についても@90千円に減額
  ⇒当該調整額(75個×減額10千円)は2Qで認識する



9.新収益認識基準 導入プロジェクトの準備段階でのポイント

■次のような取引があれば影響の可能性あり
・同一顧客に、ほぼ同時期に、複数の契約を締結
・契約内容の変更が頻繁にある
・1契約で複数の財・サービスの提供
・値引き、返品、リベート
・ポイント
・消化仕入、委託販売
・割賦販売
・工事契約ないし受注契約のソフトウェアビジネス
・出荷基準
・ライセンス供与
■企業活動への影響
(1)ビジネス
・契約書や取引
(2)内部統制
・業務プロセスや内部統制の見直し
・規程やマニュアルの変更
(3)管理会計
・業績評価
・人事評価
(4)IT
・関連システムの変更
(5)IR
・財務情報と分析、新収益認識基準が与える影響の説明




10.新収益認識基準の導入プロジェクトの進め方(実施ポイント)

■フェーズ1:影響度調査
・ヒアリングや調査票によるアンケートが一般的
・調査結果から課題把握
⇒影響部署やシステム、金額規模、対応に要する時間等

■フェーズ2:導入計画の策定
・プロジェクト目標の決定(例:制度対応だけでなく管理会計上の対応にも取り組む 等)
・いつまでに何に対応すべきかの導入計画を策定、必要時期・工数に応じて人員手配
・導入計画の策定
⇒いつ、誰が、何を、いつまでに実施すべきなのか明確にする
⇒どの部署から、どのくらいの人員が必要となるか検討し、リソース確保

■フェーズ3:対応策の検討・立案
・論点(差異)の検討
⇒より現場レベルの担当者へヒアリング、契約書や実績データ等を入手、会計処理の検討、システム変更の要否確認
⇒検討の過程と結果は文書化(論点の概要、新旧基準の相違点、金額的なボリューム、対象会社・システム等)しておく
・会計方針の文書化
⇒内部統制上も必要
・開示の検討
⇒現時点で注記に関して未公表だが、IFRS15号が踏襲されると項目が増加する
・社内展開とグループ展開

■フェーズ4:導入
・事前にトライアル実施が望ましい
⇒各社の個別TB(注記含む)はスケジュール通りに作成可能か
⇒連結TB(注記含む)はスケジュール通りに作成可能か
⇒改定された会計方針・業務プロセス・システムに問題はないか
・トライアルで問題が生じた場合は、前フェーズを修正する等で解決

■フェーズ5:導入後の対応
・ルーティン業務への落とし込み
・高度化や効率化




11.自己株消却⇒その他資本剰余金がマイナスの場合の会計処理

■基本的な会計処理のタイミング
⇒消却手続が完了した時
※意思決定時では発行済株式は減少していない
※意思決定済かつ期末に手続未了but金額重要⇒注記を検討

■会計処理の内容
⇒その他資本剰余金を減額、マイナスになる場合はその他利益剰余金から補填
※資本剰余金は株主からの払込資本のうち資本金に含まれないもの⇒負の値となる概念がない

■複数の消却が発生した場合の会計処理のタイミング
⇒会計期間末において、(まとめて)その他利益剰余金で補填
⇒四半期決算がある場合は、各四半期決算の翌月頭に洗替
※都度補填は、その他資本剰余金の増加と減少の順により、年度末における結果が異なってしまうため△



12.クラウドサービスの利用でIT統制・監査対応はこうする


■経理業務で主に利用されるクラウドサービス
・ストレージサービス
・業務機能サービス(銀行入出金データからの自動仕訳作成等)
・業務基幹支援サービス

■クラウドサービス利用時の留意点
・不正アクセス
⇒複雑なPW設定やIDの権限管理
・運用管理
⇒定期的なバックアップ
・データ保全
⇒最重要機密はクラウドに保管しない

■IT全般統制/業務処理統制
・【全般統制】評価範囲が限定的
⇒「システムの開発」、「システムの保守」等のサービス事業者に帰属する作業は評価の対象外
【業務処理統制】評価対象は通常
⇒クラウドサービスの内部仕様が判明しない場合は、エラーチェック
 (誤データを入力し、エラーとなるかチェック)

■監査人対応
・アクセス権限の有無
・委託先の内部統制の評価
・自動仕訳の生成・登録・承認体制




13.未上場の中小企業をM&Aにより取得する場合の留意点


■経営者の親族
経営者の親族は事業を引き継がない場合でも、経済的な利害関係が大きい場合が多い。
買い手の観点でのポイント
①親族外の第三者に譲渡する方向性の合意および決定事項等を伝えるタイミング
②買い手と売り手である程度の合意が出来るまで、詳細は親族に伝えないよう経営者に伝える

■DDでの情報収集方法
対象会社の経営者および従業員への不信感やネガティブイメージの払拭、競合への情報漏えいの配慮が重要
・早期の実務担当者へのアサイン
・顧問の専門家がいる場合の直接のインタビュー(対象会社に守秘義務の解除をしてもらう)



14.リストリクテッド・ストック(特定譲渡制限付株式)に関する平成29年度税制改正

(特定譲渡制限付株式の概要)
法人の役員等に役務提供の対価として交付される株式のうち、次の4つの要件を満たすもの。
(1)一定期限の譲渡制限あり
(2)勤務条件、業績条件等が達成されない場合、没収される
(3)役務提供の対価
(4)役務提供を受ける法人またはその関係法人の株式

(法人 損金算入)
・損金算入の要件は、職務執行開始後1ヶ月以内の株主総会で確定金額または確定株数が定められ、かつ交付されること。
 ⇒ 届出不要で事前確定届出給与と認められる。
 ⇒ 株数が業績等の事由で変動する場合は要件を満たさない。
 ⇒ 業績を達成しない場合「ゼロ」になる場合は要件を満たす(ゼロか100か、の場合は「変動」とみなされない)

・損金算入時期は、没収事由が消滅したとき(一定期間の勤務を終えるなど)

・損金算入額は、決議時点の株価を基に計算。

(個人 所得税)
・課税時期は、譲渡制限解除日。
 ⇒ 上記の「没収事由が消滅したとき」と同一とは限らない。たとえば1年間の勤務継続で没収事由が消滅しても、譲渡制限はその後3年間外れないケースなどがある。

・課税額は、譲渡制限解除日の株価を基に計算。

(退職所得)
・退職によって譲渡制限解除となるケースでは退職所得となる。




15.適切な機関整備のポイント

1.株主総会
・招集する手続き法令や定款を遵守
・議事録は10年保管

2.取締役会
・毎月開催
・招集する手続き法令や定款を遵守
・議事録は10年保管

3.取締役(※)
・(名義貸しレベルの)名目取締役はいない
・同族関係者が取締役の過半数を占めない
・常勤取締役は原則として専任である

4.監査役(会)(※)
・(名義貸しレベルの)名目監査役はいない
・取締役の同族関係者ではない
・常勤監査役が必要である

(※)独立役員を上場日までに1名以上確保することが必要。
独立役員とは一般株主と利益相反が生じる恐れのない社外取締役、社外監査役をいう。




















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