2013年2月24日日曜日

2/22 勉強会:【裁判例】 消費税事案に係る税理士損害賠償請求を棄却(東京地裁) ほか



1.教育資金贈与、暦年贈与との併用OK!


(概要)
・祖父母から30歳未満の孫へ教育資金を一括贈与した場合、
1,500万円まで贈与税が非課税となる

(内容)
・孫一人につき1,500万円枠内なら、一括でなくてもOK
・110万円非課税枠との併用OK
・学校等以外の者に対する支払は500万円までOK
 例)通学定期代
・教育費の範囲に、予備校、塾、音楽教室、
 プール教室の支払も含まれる方向

贈与での非上場株式取得にみなし配当特例

(原則)
・非上場株式を発行会社に売った場合、
譲渡所得 → 15%課税
配当所得 → 最高40%課税
両方が課税される

(特例)発行会社に売っても譲渡所得しか発生しない株式
・先代オーナーから相続した株式
・オーナーから贈与された株式(オーナーが死んだ場合のみ)
※相続開始後3年10ヶ月以内の譲渡に限る

3.「相続税の取得費加算、「みなし譲渡」も特例対象

■事例
相続人が相続により取得した土地を相続人の同族会社に贈与
(無償譲渡)した。
この場合・・・
贈与したときの時価で譲渡があったとみなして課税される
=みなし譲渡課税

■論点
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(措置法39条)は、
みなし譲渡の場合にも適用されるか?
※(措置法39条)相続により取得した財産を売却した場合には、
相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる制度
⇒特例の適用対象となる

4.25年度税制改正に関するQ&A

■教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置
①祖父から1,500万円、祖母から500万円の教育資金を贈与された場合
2,000万円全部非課税になるか?
⇒受贈者1人当たり1,500万円まで非課税なので、
   この場合500万は課税対象となる。

②義理の父から贈与された教育資金は1,500万円の
非課税枠を使えるか?
⇒直系尊属からの贈与のみ対象となるので使えない。
  ※叔父、叔母からの贈与も対象外

■交際費の課税
12月決算法人が今年の4月1日以後に支出する交際費について
100%損金算入が認められるか?
⇒適用されるのは、H25年4月1日以後開始事業年度において支出する
交際費なので認められない。

■事業承継税制
事業承継に係る相続・贈与税の納税猶予の要件として
5年平均で8割以上を維持というのがありますが
4年目までは100%を維持して5年目に全員解雇してもいいのか?
⇒80%維持の要件を満たすので、適用できる。

5.二世帯住宅と小規模宅地等

■ポイント
①生計一かどうか
②死亡したときに同居していたかどうか

■被相続人が死亡時に終身利用権付老人ホームに入所していた場合
①配偶者が生活の基盤としていた宅地を相続により取得したとき
 →小規模宅地等の特例の適用可能
 →配偶者の場合は、被相続人との同居していなくてもよい
  被相続人と配偶者は生活のためのお財布が一緒(生計一)なため

②被相続人が老人ホームに入所する以前に建てた二世帯住宅で
 同居していた息子が二世帯住宅用の宅地を相続により取得した場合
 →小規模宅地等の特例の適用不可
 →被相続人が死亡したときに同居していた訳ではないから
 
 ただし、被相続人と息子の生活のためのお財布が一緒(生計一)
 なら適用可能

※①、②のいずれの宅地も被相続人が所有
※終身利用権付老人ホーム…入所後死亡するまで施設を賃借することができる

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6.【裁判例】消費税事案に係る税理士損害賠償請求を棄却(東京地裁)


■概要
税務顧問契約を締結していた税理士法人が『課税事業者選択届出書』
の届出に関する助言を怠ったことにより損失を被ったとして、
顧客が損害賠償請求を行った事例。

■地裁の判断
請求棄却

■判断理由
・税務顧問契約の範囲に税務に関するコンサルタント業務まで含むとは
定められていない。
・月額報酬が2万円と低廉であった。

■経過
控訴されていたが、後に和解により確定。

消費税:契約の自動更新にかかる経過措置について

■26年4月1日以後も旧税率が適用されるケース

・資産の貸付
平成25年10月1日の前日までに締結した契約に基づき、
平成26年4月1日の前から引き続きその資産の貸付けを行っている場合

・役務の提供
平成25年10月1日までに締結した契約に基づき、
平成26年4月1日以後に役務の提供が行われる場合

⇒契約が平成25年9月30日までにされていれば旧税率適用可


■契約の自動更新がある場合
原契約が従前に締結されているものについては、
契約の自動更新日が契約日となる。
⇒自動更新日が25年9月30日以前である場合は旧税率が適用されるが、
25年10月1日以後に自動更新されるものについては、
原契約が25年9月30日以前であっても新税率となる。

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8.取得関連費用の取り扱い

企業結合におけるアドバイザー報酬について。
(現行基準)
・取得原価に含める
・取得はあくまでも等価交換。
  等価交換の判断要素に利用したものに限って取得原価へ
・付随費用の考え方とも整合。

(国際的な会計基準)
・取得関連費用は企業結合とは別の取引
・取得関連費用のうち直接費は含まれるが間接費は除かれるのは不整合
⇒発生した事業年度の費用へ

オリンパスの事件では、アドバイザーへの巨額報酬がのれんに計上され
これが損失隠しに利用されていた。
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9.調査対応時の留意事項

■税務調査時に特に気を付けておくべきことについて

①調査官に資料のコピーを渡す場合は控えを取っておく。
⇒・何を調べているか把握するため。
 ・問題点の指摘時にどの資料を根拠にしているか把握するため。

②調査議事録(日報)を付ける
⇒・認識相違や会社側担当者の記憶違いを避けるため。
 ・次回調査への申送り書類となる。

③納得できる指摘事項は素直に応じる。
 納得できない指摘事項は応じない。
⇒顧問税理士とともに理論闘争する。

10.「グループ」の範囲

(1)連結納税の「グループ」
・連結親法人を頂点とした法人群
 (発行済み株式の全部を直接又は間接的に保有)
・外国法人が間に存在するとグループ関係が切断

(2)グループ法人税制の「グループ」
・一の者による直接又は間接の完全支配関係
・一の者は法人・個人・外国法人でもかまわない

11.改正退職給付会計基準適用に伴う税効果の影響

■連結財務諸表のみの処理
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用(未認識項目)が
税効果を調整の上で、その他の包括利益累計額に計上
■繰延税金資産の回収可能性
個別財務諸表上の退職給付引当金に係る税効果額+連結財務諸表上で計上される
未認識項目に係る税効果額で判断
■会社分類
期末の将来減算一時差異の金額が比較対象の場合
(例:期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を
毎期(当期及びおおむね過去3年以上)計上している会社)
連単で当該会社分類は変えない
(個別財務諸表における当該会社分類が連結財務諸表において
変更されることはない)

12.完全支配関係者間での組織再編成

1.無対価でも、適格組織再編成に該当しない場合がある
  →一定の合併、分割、現物出資は完全支配関係の
   継続見込要件が課される
  →適格とされるのは親子間、兄弟間等一定の場合のみ

2.適格組織再編成でも、欠損金使用制限等が課され受入側で
  税務上不利な事象が発生する場合がある
  →5年間の支配関係があったことが必要
      (一定の場合を除き、設立以来継続して支配関係があれば
   5年以内でも適用しない)

3.非適格組織再編成でも、欠損金使用制限等が課される場合がある
  →移転資産に譲渡損益調整資産が含まれる場合は、
       合併法人で欠損金使用制限等が課される

4.連結納税を採用しているグループ内での組織再編でも、
    欠損金使用制限等が課される場合がある
  →支配関係が、組織再編前5年以内に発生している場合は
       特定資産譲渡損失の損金算入制限が課される
  →事業税の欠損金は単体納税同様、
       支配関係が組織再編前5年以内に発生している場合は
   制限が課される



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2013年2月17日日曜日

2/15勉強会:2月決算法人と復興特別税について ほか


1.Q&A 収用の特例


■収用に関する特例
・収用での譲渡所得は、5,000万円特別控除の特例がある。
■Q
・売買契約後に所有者が死亡した場合、相続人に特例が適用されるのか?
■A
・相続人についても、5,000万円特別控除の特例が適用される。
仮に相続人が2人であれば、
それぞれにおいて5,000万円特別控除の特例が適用される。


夫婦間における増築資金の負担

■事例
・妻名義の家屋を増築、増築資金を夫が支払
・増築資金は夫から妻への贈与となり、贈与税が課税

■課税回避の方法
①増築部分を夫名義で登記
②妻名義から夫との共有持分へと変更、増築資金相当分を夫持分とする
 ※妻 : 増築資金の譲受 ←相殺→ 夫持分の譲渡

3.少人数私募債を使った役員給与節税策に網

<従来の節税スキーム>
少人数私募債の利子所得は20%の源泉税のみ
⇒会社の役員が、自社の少人数私募債を購入し、
   役員給与の代わりに社債利息をもらった場合、20%の課税で済む。
Ex.役員報酬の税率が40%の人などは、
役員報酬の代わりに社債利息を受け取ったほうが有利

<25年度税制改正>
少人数私募債の利子について、受取人がその会社の役員等の場合
総合課税の対象となり、累進税率が適用されることとなる。
(役員給与と同様の扱いとなる。)

<適用開始時期>
現時点で未定

4.Q&Aで読み解く事業承継税制の見直し


■要件緩和の主なポイント(現行⇒改正案)
①雇用確保要件
 5年間8割以上確保⇒5年間平均で8割以上確保
②後継者の親族間承継
 親族のみ⇒親族外の後継者も可能
③贈与の場合の先代役員の役員退任
 代表のみならず、取締役も退任することが必要
 ⇒代表を退任すれば、引き続き取締役であっても可能

■利子税の負担軽減
①納税猶予期間に係る利子税率が2.1%から0.9%に
②納税猶予期間が5年を超えると、その間の利子税が免除に

■事業承継税制とは
①非上場会社の株式に係る相続税、贈与税を軽減するためにできた制度
②一定の要件を満たせば、その株式に係る相続税、
贈与税の80%の納税を先送りすることができる
③あくまでも先送りなので、要件を満たさなくなった時点で納税が必要になる
※非上場株式の相続税法上の評価
 ・類似業種比準方式・純資産価額方式・両者の併用のいずれかが原則的評価


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2月決算法人と復興特別税について


■復興特別法人税
⇒24年4月1日以後開始事業年度から課されるため当期(25年2月期)では
申告不要

■復興特別所得税
⇒25年1月1日以後に支払いを受ける預金利息については
復興特別所得税が課されているため、
2月に預金利息がある場合は次のいずれかの処理が必要となる。

①損金算入する場合
⇒復興特別法人税の申告は不要

②還付を受ける場合
⇒復興特別法人税の申告書を提出する必要がある。

復興特別所得税は復興特別法人税からしか控除できないため、
還付をうけたい場合は復興特別法人税の申告が必要となる。
(納付すべき税額はゼロであるため、
2月決算法人が申告する場合は必ず還付になる)


【法人税】未使用の電子マネーと税務

・Suica等にチャージした金額のうち期末時点で未使用の金額は
貯蔵品として処理すべきである。
・ただし実務上は少額であると考えられるため、
税務調査等で論点になるとは考えづらい。(税務通信談)

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7.英国での租税回避とBig4

・英国では国家として多大な租税回避が行われている
・大手会計事務所の責任者の聴取が行われている
・ケイマンやアイルランドなどに200以上の事務所で租税回避を行なっている
⇒Big4だけでも年間20億ポンド(約2,880億円)
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8.連帯保証人の支払と消滅時効

・主債務者に対する売掛金を連帯保証人が弁済をする場合
⇒主債務者との時効の法的関係はどうなるか。

■具体例
 ・長期にわたり分割で回収する売掛金がある。
 ・主債務者からの弁済が滞っている。
 ・代わりに連帯保証人から弁済がある。
 ・主債務者に対しては何も法的措置を行っていない。

■結論
 連帯保証人から弁済がある場合でも
 主債務者に対して法的措置を行わなければ5年で消滅時効となる。
⇒連帯保証人が代わりに弁済していても
 主債務者が弁済していることにはならない。

■まとめ
 主債務者に対しては別に時効中断の法的措置をとる必要がある。
 ※訴訟の提起、支払督促


9.税率差異が生じる要因となる項目

【代表的な税率差異の対象】
 ・永久差異
 ・住民税均等割額
 ・評価性引当額の増加額
 ・適用税率の差異
 ・税額控除 等

【税金費用(法人税等+法人税等調整額)の算式】
 税金費用=(税引前当期純利益±一時差異)×法定実効税率
     =(税引前当期純利益±永久差異)×法定実効税率
       +住民税均等割額+評価性引当額の増加額
       ±適用税率の差異-税額控除

10.所得拡大促進税制(案)の概要

(1)対象→2013年4月~2016年3月開始の各事業年度
(2)特例→基準年度からの給与増加額の10%を税額控除
(3)基準年度→3月決算法人:2013年3月期
(4)適用条件(①~③の全てを満たすこと)
 ①その年度の給与が、基準年度より5%以上増加
 ②その年度の給与が、前事業年度を下回らない
 ③その年度の平均給与が、前事業年度の平均を下回らない
(5)雇用促進税制等とは選択適用

■雇用促進税制の拡充
(1)対象→2011年4月~2014年3月開始の各事業年度
(2)対前年比で雇用者を5人以上(中小は2人)かつ10%以上増加
(3)税額控除額
  改正前:前年度比の雇用増加数×20万円
  改正後:前年度比の雇用増加数×40万円
(4)雇用者数の判定
  改正前:65歳未満(一般被保険者)の人数
  改正後:高年齢継続被保険者を含める

11.インサイダー取引規制の見直しについて

■処罰の対象
(現行)インサイダー情報を知りつつ実際に株式の売買とを行ったもの
(今後)現行に加え、下記も対象
情報伝達行為:会社関係者や公開買付者等関係者が
          インサイダー情報を他社に伝達
取引推奨行為:会社関係者や公開買付者等関係者が
          情報伝達行為はしないが、
          その存在をほのめかす等で取引を推奨する

■公開買付者等関係者の拡大
(現行)被買付企業の役職員は範囲外 
     ※NDAを根拠に公開買付者等関係者に該当し、
       課徴金が課せらたケースもある
(今後)被買付企業の役職員も範囲内

■公開買付等事実の情報受領者に係る適用除外
 ・情報受領者は情報開示されるまで対象会社の株式を買えないため、
競合他社にあえて情報提供することで防衛機能が果たせる
 →インサイダー取引規制が予定する効果ではない
 →適用除外を検討
 ・情報による有利性が相当程度解消
   (公衆縦覧される文章に伝達を受けた内容を記載)
 ・情報が有用性を失った(6か月経過)

■知る前契約・知る前計画に係る適用除外
 ・仮にインサイダー情報を知ったうえで株取引をやるとしても、
  知る前契約・知る前計画(内閣府令の個別列挙)に該当すれば適用除外


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2013年2月11日月曜日

2/8勉強会:中小企業に影響がある平成25年度税制改正 ほか


1.ゴルフ会員権の譲渡に係る取得費


■前提
・破綻したゴルフ場の会員権を保有しているが、預託金部分が返還されない
・この場合、ゴルフ会員権を譲渡したときの取得費はいくらか?

■結論
・原則 利用権部分の時価
・特例 利用権部分の取得時の価額

■条件
・預託金部分が100%切捨てとなった場合
・従来どおり施設利用ができる

⇒特例は過去に遡って適用可(更正請求可)


中小企業に影響がある平成25年度税制改正

①所得拡大促進税制
⇒基準年度(この措置法の適用初年度の前年度)より
 給与支給額が5%以上増加した場合
⇒増加額の10%を税額控除することができる。
⇒H25年4月1日~H28年3月31日までに開始する各事業年度で適用。

②交際費課税の損金算入枠
⇒支出限度額が600万円から800万円へ
⇒損金算入割合が90%から100%へ
⇒H25年4月1日~H26年3月31日までに開始する各事業年度で適用。

③商業・サービス業・農林水産業活性化税制
⇒商工会議所から指導を受けて附属設備(60万円以上)や
 器具備品(30万円以上)に投資した場合
⇒取得額の30%の特別償却or7%の税額控除を適用できる。
⇒H25年4月1日~H27年3月31日までに投資を実行した場合に適用。


3.軽減税率で「協議すべき課題」の行方(消費税)

■消費税の軽減税率を10%引き上げ時の導入をめざす
 課題①軽減税率を何%にするか
 課題②インボイス制度の導入ができるかどうか
 課題③軽減税率の適用対象をどう絞るか
 課題④農家による消費税の還付請求の増加の懸念
 課題⑤簡易課税の業種区分の細分化が必要

4.店舗併用住宅、家屋の床面積要件に留意(贈与税)


■住宅取得等資金の贈与とは(措置法70条の2)

 →親・祖父母が子・孫に居住用住宅を取得するための資金を援助した場合、

 1200万円までは贈与税が非課税になる制度(平成25年の場合)

■住宅取得等資金の贈与特例についての改正(平成24年度)
 →居住用家屋の床面積要件が「50㎡以上」だったものが、
 「50㎡以上240㎡以下」に改正
 
■店舗併用住宅等に係る床面積の判定で注意が必要
 →店舗併用住宅等のうち、その全体の床面積のうち2分の1以上が
  居住専用になっていることが要件に

 具体例①:居住用床面積150㎡、店舗用床面積70㎡(合計220㎡)
     →150/220=68%≧50%∴適用あり
 具体例②:居住用床面積70㎡、店舗用床面積150㎡(合計220㎡)
     →70/220=32%<50%∴適用なし

5.退社後の居住者・非居住者判定

■争点
退社後、海外で無償取得した株式に係る所得税は?居住者扱いor非居住者扱い?

■事案の時系列
H18年8月:Aは、Y社の副会長に就任し、海外勤務となった
H19年9月:退社
H20年1月:RSU(※)が権利確定
H20年2月:帰国

■原処分庁の主張
・株式取得日の属する、退社後の期間により居住者or非居住者を判断すべき
■審判所の判断
・退社前の事情(滞在日数、住居、生活状況、職業等)も含めて
 居住者or非居住者を判断すべきである。
→上記より、株式取得日における生活拠点は海外である。
→よってAは株式取得日において非居住者に該当(課税所得に含める必要はない。)

※RSU(リストリクテッド・ストック・ユニット)
自社株式を付与する際に、一定期間の譲渡制限条項を設定する。
譲渡制限期間中の株価の下落が付与対象者の資産の目減りにつながる点が、
ストック・オプションとは異なる。そのため、株主に対する経営責任をより
明確に認識させるメリットがある。

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【法人税】購入した棚卸資産の取得価額


棚卸資産の購入付随費用(消費、販売のために直接要した費用)は
原則として取得価額を構成するが、
購入後に生じた購入付随費用で棚卸資産の購入代価の3%程度と少額なものは
費用処理が可能である。

※・購入時に発生した送料は【購入後に】生じたものではない。
金額にかかわらず費用処理不可。
・自社倉庫から販売店への移送費は【購入後に】生じているため、
3%の基準で判定可能。


自賠責保険料の損金算入時期について

■1年を超える保険料
通常⇒保険期間に応じて期間按分し損金算入
自賠責保険(通常保険期間3年)⇒支払った際に一時の損金とできる

<理由>
・自賠責保険は加入しないと車検が受けられない(強制加入)
⇒運転するのに必要不可欠な費用であるため、
短期前払費用に準じた取扱いが認められている。

(参考)
建設業者に加入が義務付けられている住宅瑕疵担保責任保険(保険期間10年)
についても一時の損金算入が認めれている。

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8.管理単位の最小化

・プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現IBM)
・1996年当時の日本法人 赤字続きの会社
倉重氏が社長になり1年で黒字化
・10人前後のチーム制へ
・チームには明確は利益責任を課した
・大幅な権限移譲(仕事の受託は100%チームの自由)
・チームを固定的な組織にした
・業績連動給の割合を増やした
 売上高(チーム)
 利益(チーム)
 顧客満足度(チーム)
 クライアントの最高位の会議体への参加(チーム)
 研修時間(個人) 年間100時間

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9.貸倒引当金の見積り

■財務内容評価法
・貸倒懸念債権、破産更生債権等の貸倒引当金を見積る方法

・算式
(債権金額-担保・保証等による回収見込額)×引当率=貸倒引当金

担保:時価をベースにする
EX.不動産
 不動産鑑定評価額←入手困難な場合が多い
⇒公示地価・基準地価(土地取引価格の指標)
 路線価(相続税等の課税標準)
 固定資産税評価額(固定資産税の課税標準)

時価に信用度等を考慮して掛け目を乗じる
掛け目の目安(金融検査マニュアル)
⇒担保資産の種類によって違う
EX. 土地70%
  建物70%
  国債95%

引当率:率は決まっていない
⇒実務上50%とすることが一般的(その後状況に応じて検討は必要)
 ※破産更生債権等は100%


10.会計不正に対応した監査基準の見直し

■背景
有価証券報告書の虚偽記載等が相次ぎ、会計監査が有効に機能しておらず、
海外の市場関係者からの
日本の資本市場への信頼性や監査に品質の疑念が生じた

■主な内容
・職業的懐疑心の強調
 より注意深く、批判的な姿勢で監査に臨む必要がある
・不正リスクに対応した監査の実施
 抜き打ち監査や監査時期の変更等、企業が想定しない監査計画を組み込む
・不正リスクに対応した監査事務所の品質管理
 監査業務の各段階における品質管理システムの整備・運用と監視

■まとめ
・不正の摘発を目的にはしていない
・効率性が失われ、コスト負担増にならないよう注意
・企業側も内部統制の強化など、未然に防止する努力

11.税効果会計の会社区分変更について

会社区分】
 大きく分けて以下のふたつ。
  ①課税所得プラス継続グループ(区分1、区分2、区分3)
  ②課税所得マイナス経験グループ(区分4但書、区分4、区分5)

【変更の判定が煩雑でない】
 ・課税所得プラス継続グループ内のランクアップ、ランクダウン
 ・課税所得プラス継続グループから
  課税所得マイナス経験グループへのランクダウン
 ・課税所得マイナス経験グループ内のランクダウン

【変更の判定が煩雑】
 ・課税所得マイナス経験グループ内のランクアップ
 ・課税所得マイナス経験グループから
  課税所得プラス継続グループへのランクアップ



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2013年2月4日月曜日

2/1勉強会:教育資金贈与、”一人当たり”1,500万円上限 ほか


1.最高裁、逆転で会社側の減免を認める


【前提】
・金商法21条の2
 ①虚偽記載によって投資家が損失を受けた場合、損害賠償請求できる
 ②損失が虚偽記載に拠らないことを証明した場合、賠償額を減免できる

【事例】
・アーバンコーポレイションの報告書虚偽記載に対して投資家が損害賠償を請求
・損害賠償額の減免が認められるかが争われた

【結論】
・損害賠償額の減免が認められた(会社勝訴)

【理由】
・元々会社業績が悪く、投資家損失の全てが虚偽記載に拠るものとは言えない


事業承継税制適用の鍵を握る要件の緩和とは?

■事業承継税制とは
⇒相続や贈与によって後継者が非上場会社の株式等を取得した場合に
一定要件を満たせば納税が猶予される制度。

■事業承継を受けるための要件(現行)
①先代経営者の親族である後継者が代表者を継続する
②先代経営者が役員を退任する
③役員を除く社員の数が事業承継時の80%以上を維持する。

■問題点
要件が厳しいため、適用している企業が少ない

■25年税制改正による要件緩和
①後継者は親族でなくてもよい
②先代経営者が代表でなくなれば役員にいてもよい
③承継後五年の平均で80%以上を確保すればよい


3.教育資金贈与、”一人当たり”1,500万円上限

■(法人税)生産等設備投資促進税制
・新たに国内で取得した機械・装置について、30%の特別償却又は3%の税額控除
(法人税額の20%を限度)
→要件あり
 ①国内における生産等設備への年間総投資額>減価償却費
 ②国内における生産等設備への年間総投資額※が前年比10%超増加
 ※機械・装置への投資以外も可
→適用事業年度は2013年4月1日から2015年3月31日までの間に開始する各事業年度

■(法人税)中小企業の交際費課税
・損金算入の限度額が800万円に引き上げ
→損金算入割合が90%から100%に
→適用開始は2013年4月1日以降支出から

■(贈与税)祖父母から子・孫に対する教育資金の贈与
・「一人当たり」1,500万円を限度に贈与税を非課税に
→金融機関の口座(名義は子・孫)に一括振込
→子・孫が30歳に達した時点での残金に贈与税を課税
→2013年4月1日から2015年12月31日までの期間に振り込んだものが適用対象となる

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【税務調査終了の際の手続きについて】


国通法の改正に伴い、調査全体を一括するのではなく、
「一の調査ごと」に調査終了の際の手続きが行われることとなった

■改正前⇒「全体」で調査終了の手続きを行う

【例】平成21年~23年分の法人税・消費税の調査を行い、
   23年の消費税にのみ非違があった場合

⇒「全体」に非違があるとされて調査結果についてのお知らせ
 (指導事項なしの際に送付される書類)は送付されなかった

■改正後(平成25年1月1日以後)⇒「一の税目・課税期間ごと」に
                       調査終了の手続きを行う

上記の例では、

平成21年~23年の法人税⇒「更正決定等をすべきと認められない旨」を書面で通知
平成21年・22年の消費税⇒「更正決定等をすべきと認められない旨」を書面で通知
平成23年の消費税⇒「調査結果の内容説明」が行われる

ことに変更された。

【裁判例】ヘッジの有効性判定 
通達で規定された「基礎商品比較法」を認めず(東京地裁)

■事例
・A社は保有するUSドル建社債について生じた評価損(著しい変動あり)につき、
 損金算入して確定申告した。
・税務当局は上記評価損について通貨オプションによるヘッジが
 有効に働いていると判断し、当該評価損は繰延ヘッジ処理されるべきものとして
 損金算入を否認した。
・ヘッジの有効性の是非が争点となった。
 (時価評価すべきか、繰延ヘッジ処理すべきか)

■納税者の主張
・ヘッジの有効性は《法令121①一》に規定されている「デリバティブ比較法」
 により判定すべきである。
・「デリバティブ比較法」による判定ではヘッジは無効であり、
 USドル建社債の評価損は損金算入可能である。(原則どおり時価評価)

■税務当局の主張
・ヘッジの有効性は《基通2-3-48》に規定されている「基礎商品比較法」により
 判定することも認められている。
・「基礎商品比較法」による判定ではヘッジは有効であり、
 USドル建社債の評価損は損金算入が認められない。(繰延ヘッジ処理)

■東京地裁の判断
・納税者の主張を認める。
・税務上法令で定められているヘッジ有効性の判定方法は
 「デリバティブ比較法」のみであり、税務当局が定めた通達のみに規定
  されている「基礎商品比較法」により評価して損金算入を認めないとする取り扱い
 (通達課税)は不当である。

■本件は税務当局により控訴され、東京高裁にて係争中。

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6.同性愛者と職場

・同性愛の推進団体などの調査で、英国での男性同性愛者にやさしい組織の
 トップ100組織でE&Yが首位。
 他のBig4は下位だがラインクイン。

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