2013年10月29日火曜日

10/25 勉強会:消費税増税「転嫁拒否の禁止」 他

1投資減税、出資と損金算入時期に乖離も


・ベンチャー投資促進税制
→ベンチャーファンドを通した投資額の80%を損金算入可能
→損金算入時期は、「ファンドがベンチャー企業に対して投資を行った事業年度」

※ファンドの投資計画の確認が必要


2.経過措置の疑問点


・短期前払費用の特例を使っている場合、消費税の取扱は?

①経過措置の適用がある場合
→前払分の消費税を、仕入税額控除できる

②経過措置の適用がない場合
→短期前払費用の特例の適用がないものとして計算か(取扱い不明確)


【例】
2512月決算
261月~12月家賃を前払費用計上した場合

①経過措置適用あり
261月~12月家賃にかかる消費税(5%)を、2512月期に仕入税額控除

②経過措置適用なし
261月~3月家賃分(5%)、4月~12月家賃分(8%)を、2612月期に仕入税額控除


3.新事業承継税制への移行手続きに関するQ&A


①旧制度から新制度に移行できますか?
 →一定の書面を経済産業局と所轄税務署に提出することでできます。
  書面の雛形は中小企業庁のHPで確認できます。

②新制度に移行する書面の提出期限はいつですか?(平成251231日までに認定を受けている場合)
 →平成2611日から平成2711日以後最初に到来する年次報告の提出期限までにです。

③新制度に移行する書面の提出期限はいつですか?(認定を平成26年中に受けた場合)
 →認定を受けた後、申告期限の翌日から13か月後の年次報告の提出期限までにです。

④旧制度で退任をさせた代表者を復帰させる場合、いつから復帰させることができますか?(移行手続きを平成26年中にした場合)
 →平成2711日以降です。

⑤新制度に移行した場合のメリットはどんなものがありますか?
 ・納税猶予開始から5年経過後に納税猶予の打ち切りがなされた場合でも5年間分の利子税が免除されます。

 ・雇用要件の未達成を理由に納税猶予が打ち切られた場合には延納または物納の選択が可能です。


5.生保契約のバックリベートが必要経費に


■生命保険外務員が契約者に支払ったバックリベートは
 所得税の計算上、必要経費に算入できるか

■審判所の判断(結論)
①業務に関連性のある支出(販売促進費)である。
②相手方は販売促進費がもらえなければ契約しなかったと証言(業務の遂行上必要な経費)している。
③保険業法では契約に際して利益を提供する行為は禁止されているが、所得税法では、必要経費算入が否定される条文がないため必要経費算入を認めるとした。


6.新規上場後3年は内部統制監査を免除へ


・有価証券届出書に記載する財務諸表を過去2年間分のみとする(5年⇒2年)
・新規上場後3年間は内部統制報告書に係る公認会計士の監査を免除する
⇒金融庁・金融審議会が年内にまとめる方針



7.所得税:青色事業専従者給与の未払いなど


■青色事業専従者給与の必要経費算入要件
①実際に支給していること
②支給額が労務の対価として相当であること 

Q:月末払いの12月分給与を資金繰りの都合上、翌年1月に支給した場合、
  必要経費に算入できるか?

⇒実務上、資金繰りの関係で一時的に未払処理し、短期間で支払いをする
場合には必要経費算入が認められている。
※「短期間」の具体的範囲は示されていない。

Q:入院のため実労働がなかったが、「有給休暇」扱いで給与を支給した。
必要経費に算入できるか?

⇒労務の対価として不相当に高額と認定され、必要経費算入できない。
また、贈与税の課税対象となる。


8.【所得税】軽減税率の廃止とクロス取引


 上場株式の譲渡益に係る軽減税率の廃止を見込んで、クロス取引の実施を検討されるケースがある。
クロス取引については、
■法人
売買目的有価証券を除き、損益は認識されない。

■個人
通常どおり譲渡損益は実現する

※クロス取引
株式を売却するとともに同一銘柄をただちに取得する取引。実質的に株を保有し続けたまま、含み損益を実現させられる。


9.新企業結合会計基準等の実務上の留意点


・適用時期
    201541日以後開始事業年度の期首から
   ※早期適用は201441日以後開始事業年度の期首から

・子会社株式の追加取得
  →追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額は?
    改正前   :のれん
    改正後   :資本剰余金 ※全体が借方残となった場合は利益剰余金から減額

・子会社株式の一部売却
  →売却持分と投資の減少額との間に生じた差額は?
    改正前   :売却損益
    改正後   :資本剰余金

・取得関連費用
  →取得の対価性が認められるものは?
    改正前   :取得原価
    改正後 :事業年度の費用


10.消費税増税「転嫁拒否の禁止」


<ポイント>
 ・規制対象となる会社の範囲
 ・転嫁拒否と正当な値引きの判定

<規制対象>
 買主が大規模小売事業者(下記2条件を満たす)
 a)一般消費者が日常使用する商品の小売業を行っている
 b)売上100億以上又は店舗が3,000㎡以上(東京)

<正当性の判定>
 消費税増税分を価格に転嫁しない合理的な理由があるか?
 ⇒売主も納得するような客観的な理由が必要
 ()
 ・原材料の値下がりがあった
 ・客観的なコスト削減(大量発注、共同配送、共同購入等)


11.価格の表示に関する実務ポイントQ&A

①総額表示の義務づけと外税表示
・総額表示
⇒値札やチラシ等において、あらかじめ税込価格を表示しなければならない
・外税表示
10,000円(税抜)、10,000円+税、10,000円+800円(税)

②外税表示を行う場合の注意点
⇒誤認防止措置が必要
  EX.個々の値札において税抜価格であることを明示
      当店の価格は全て税抜表示と掲示する

③総額表示から外税表示への変更のデメリット
⇒メリット:値札の変更等の事務負担軽減、お値ごろ感を維持
⇒デメリット:消費者は総額表示(表示価格=支払金額)に慣れている
          外税表示への変更をした場合、最終的な支払金額が不明瞭となってしまう

④税率引上げ前の値札張り替えは可能か
⇒既に新税率に基づく表示している商品について
  3/31まではレジにて5%の税率にて精算という掲示を行う

 ※一部商品についてのみ行うことも可能


12.在籍出向社員への給与に係る親・子の会計処理

【前提】
親に在籍しながら子会社へ出向
出向者の親会社における給与100
出向先(子)での給与水準80

ケース①
親会社が給与全額を支払 子会社は給与負担金を親会社に支払う

■給与支給時  
 親 給与100/現預金100
 子 仕訳なし
負担金受取/支払時
 親 現預金80/給与(給与負担受入金)80
 子 給与(給与負担金)80/現預金80

ケース②
子会社が全額支給 親会社が差額を子会社に支払う

■給与支給時  
 親 仕訳なし
 子 給与100/現預金100
■負担金受取/支払時
 親 給与20(給与格差補填金)/現預金20
 子 現預金20/給与(給与格差補填金受入)80

ケース③
親会社、子会社がそれぞれを負担して支払う

■給与支給時  
 親 給与80/現預金80
 子 給与20/現預金20
■負担金受取/支払時
 親 -
 子 -


13.千葉で投げ売り間近? マンション販売に異変


・首都圏のマンション平均価格はここ10年で最高水準に。
2005 4,100万 → 2008 4,700万円後半 → 2009 4,500万円まで下落 → 2013
(予想)4,800万を突破?

・土地取得価格が高騰した東京を避け、千葉でマンション開発を進める業者が急増

・ただし、千葉県内のマンション販売は苦戦しており、2008年と同じくバブル崩壊の可能性も


14.企業クラウドで急伸 「ボックス」って何者?


・ボックス=法人向けに、クラウド上にファイルを保管するサービスを提供

【主要顧客】グーグル、ツイッター、トヨタ、富士フィルム
【競合他社】エバーノート、ドロップボックス、シュガーシンク
【特徴(競争優位点)】
①セキュリティレベルが高い→徹底的な暗号化、ログ記録がリアルタイムにチェック可能
②使い勝手が良い→同じ文書に複数の人が同時にアクセス・編集可能
③料金が安い


2014年春には日本進出予定





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2013年10月22日火曜日

10/18 勉強会:ベンチャー投資促進税制 Q&A

1株主総会の決議がない役員報酬の支払いは違法か?


■事例
⇒株主全員が経営者の親族である同族会社における、親族間の対立による裁判事例

①株主総会の決議を得ずに、社長へ役員報酬の支払いあり
※定款に定めがない場合、役員報酬は株主総会で決議をとる必要あり(会社法)
②社長が交代(新社長は以前からの株主)
③新社長が、旧社長へ支払った役員報酬は違法であると主張

■判決
・旧社長へ支払われた役員報酬は適法である
・株主(新社長も含む)が、株主総会の不開催に異議を述べなかった
・株主総会が開催されずに役員報酬が支払われていたことを認識していたのに、誰も異議を申し出なかった

⇒実質的に、役員報酬の支払いについて、株主間で同意がなされていた

⇒株主総会が開かれなくても、株主全員の同意があった場合は適法と判断


2.総合主義→帰属主義への移行が本格検討


・政府税制調査会は「国際課税ディスカッショングループ」を開催することを決定

・議題
 ①BEPS(税源浸食と利益移転)
 ②帰属主義
 ③国境を越えた役務の提供等に対する消費税等
 など

・帰属主義とは
 外国法人が国内に恒久的施設(PE)を有する場合に、PEに帰属する所得のみを申告対象とすること
 PEPermanentEstablishment
 総合主義=すべての国内源泉所得について課税をすること(PEを介していなくても国内取引となれば国内で課税できる)

・外国法人等に対する課税原則を「総合主義」から「帰属主義」へ
 →国際課税原則をグローバルスタンダードに合わせ、日本に法人を設置する魅力を高める

・内国法人の国外PE帰属所得の計算が煩雑になることが懸念されている
 ①内部取引損益を認識する必要が出てくる。
 ②内部取引を認識するための文書作成の義務付け
 →事務的負担が大きくなる方向

・アジア新興国では帰属主義の思考が薄いため国際的な二重課税が却って広がる恐れがあるとの見方も


3.無対価分割の取扱い


■無対価組織再編成とは?
対価が交付されない組織再編成の総称をいう
これには、対価が0と評価されるもの(例:債務超過状態の会社の株式等)も含まれる

■「分社型分割」、「分割型分割」とは?
会社法上の分社型分割は、税法上「A:分社型分割」と「B:分割型分割」に分かれる。
→A=分割法人が分割承継法人の株式の全部または一部を保有している場合の分割(※1除く)
→B=分割承継法人が分割法人の発行済株式数等の全部を保有している(※1)または分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の分割

■適格分割と非適格分割
(1) 分割型分割の場合における適格分割
①子会社から直接の100%親会社に対する分割
②同一の者が株式を100%直接に所有している兄弟会社間の分割
③分割承継法人及びその直接の100%親会社が分割法人の株式の100%を保有している場合の分割

(2)分社型分割の場合における適格分割
親会社から直接の100%子会社に対する分割

■注意
下記のケースでは非適格分割となる
前提:親P 100%子会社A Aの100%子会社BとC
BとCの無対価による分割
→同じく100%の資本関係にある法人間の分割であっても、非適格となるケースもあることに注意する


5.ベンチャー投資促進税制 QA


Q1 匿名組合を通じた投資は可能か
A1 不可能。対象となるのはLPS法上の『投資事業有限責任組合』であり、
民法上の民法組合や会社法上の匿名組合は対象外
LPS法:投資事業有限責任組合契約に関する法律

Q2 代表取締役1人が株主である会社への投資は適用対象か
A2 可能。投資対象は青色申告をしている『法人』を対象としている。

Q3 投資額の損金算入時点
A3『投資事業有限責任組合』が投資を行った時点。
『投資事業有限責任組合』に投資を行った時点ではない点に注意。

Q4 評価損計上の可否
A4『投資事業有限責任組合』が損益の帰属方式として『総額方式』を採用している場合、非上場株式の評価損計上要件①価格の低下 ②資産状態の悪化 を満たせば可能。

Q5 組合員の構成
A5 投資者が法人である必要はあるが、『投資事業有限責任組合』の組合員が法人に限定されるわけではない。

Q6 既存の『投資事業有限責任組合』を通じた投資への適用可否
A6 ベンチャー投資促進税制開始前から存在する『投資事業有限責任組合』に投資をしても
同税制の対象。しかし同税制の優遇を受けられるのは、同税制開始後の投資に限られる。

Q7 個人によるファンドの組成
A7 可能。しかし『投資事業有限責任組合』は金商法の規制を受けること等、実質的に個人がファンドを組成することは困難。

Q8 認定要件の確定時期
A8 税制を受けるため『投資事業有限責任組合』は『特定新規事業開拓投資計画』の認定を受ける必要があるが、当該認定要件は産業競争力強化法により12月初旬ごろ明らかになる見込み。


6.裁決事例 社員旅行費用の給与課税について


【概要】
A社は従業員10名で23日の海外(マカオ)旅行を実施し、従業員1名あたり24万円を
福利厚生費として処理したところ、課税庁により当該支出を従業員への給与とみなされ源泉徴収もれを指摘された。

課税庁側の主張
1名あたりの負担額が高額
②レクリエーションのために社会通念上一般的に行われる行事に該当しない
ため、当該支出は経済的利益の供与にあたる。

A社の主張
①本件旅行は業務命令によるもので従業員は利益を受けていない。
②業務に差し障りのない連休で日程を組めば料金が高くなるのはやむを得ない。
 したがって「負担額が高額」にはあたらないため、給与とはならない

裁判所の判断
①マカオにおいては観光旅行に終止していることから、本件旅行はレクリエーション
のための慰安旅行と言える。
②非課税とされるのは少額不追求の観点から強いて課税しないことが相当とされる程
度のものであり、本件旅行は社会通念上その範疇を超えている。

結果、給与とされた。



7.【消費税】デイサービス施設の貸付けと消費税


•デイサービス施設の貸し付けに係る賃料収入
課税売上

•グループホーム用施設の貸し付けに係る賃料収入
非課税売上


※グループホームは入所して日常生活を送るもので居住用として扱われる。デイサービス施設は食事や介護のサービスが提供される場所であり、居住用ではない。


8.【所得税】マイカー通勤と非課税所得


 通勤手当のうち通常必要とされる部分は所得税上非課税とされる。

マイカー通勤の場合は下記の通り。
①通勤距離に応じて非課税とされる金額の限度が決められている。
②高速道路料金も①に加えて非課税として扱われる。
  ※①と②を合わせた非課税枠は10万円が限度。

駐車場料金は従業員が負担すべきものなので、会社が負担している場合には給与認定される可能性がある。


9.製造の米国回帰


中国から米国へ製造を回帰させる主な理由
・中国の人件費上昇
・消費者への輸送距離が長い
・品質
⇒2015年には米国の製造業が復活するのでは?


10.親子会社の決算日統一


・日本では親子間の決算日の統一が求められていない。
 3ヶ月を超えなければOK
・近年、統一の動き有り(IFRS対応、経営効率化、IRの観点)

Q1:決算日の統一は会計方針の変更⇒遡及適用となるか?
A1:会計方針の変更に該当しない=遡及適用不要

Q2:統一する際の3ヶ月のズレはどうやって連結にとりこむか?
  前期:2012/01 2012/12を取り込み、
  今期:2013/04 2014/03を取り込むと、
  2013年1月~3月が浮いてしまう
A2:利益剰余金で取り込むか、初回だけ15ヶ月のPLを取り込む

Q3:すべての子会社を同時に統一する必要があるか?
A3:同時である必要なし


11.M&A時のグループ経理規程の留意点

・会計方針の統一
  →子会社の処理に合わせる選択肢も視野に入れる必要がある

 ・上場企業の財務報告に対応する体制の整備
  →グループ経理規程に基づく会計処理の研修、管理資料の作成指導等が必要


12.連結納税を適用している子法人の株式を

連結グループ外に譲渡する際の留意点

<ポイント>
・譲渡前に親会社において子法人株式の簿価を修正
 →二重課税、二重控除の防止

<例:利益が出る場合>
①子法人を取得(簿価100)→連結納税適用

②子法人は毎期利益計上
 ・利益は連結所得として課税→譲渡直前:剰余金(300)

③連結グループ外に譲渡
 ・帳簿上の簿価:取得価格(100)
 ・実態の簿価 :取得価格(100)+剰余金(300)
 →このままだと剰余金(300)に更に譲渡益として課税
 →二重課税防止のため、親会社において簿価を修正(400)

<補足>
・理論上は毎期修正すべきだが、実務上は譲渡時にまとめて行う

・投資簿価を修正しない例外もある(みなし配当、配当等)


13.特別損益の計上


■特別損益を計上するにあたって留意すべき点

・棚卸資産評価額
⇒収益性が著しく低下した場合、売上原価として計上
 ※ただし、臨時の事象に起因し、かつ多額の場合は特別損失として計上
  EX.事業部門の廃止・災害損失の発生

・貸倒引当金戻入益
⇒引当金計上時に適正な見積りを行っていた場合、
 営業費用または営業外費用から控除するか、営業外収益として計上

 ※ただし、引当金計上時の見積り誤りによる場合、修正再表示を行う


14.社外取締役について


■各社における社外取締役の選任状況
・東証上場企業のうち、54.7%(コーポレートガバナンス白書2013
 前年比で約6ポイント増加、ただし約過半数に達するに過ぎない

■会社法改正による影響
・社外取締役の選任義務化の見送り
→経済界からの反発
・「社外取締役を置くことが相当でない理由」の開示
→具体的な内容については、改正後の実務の動きに注視

■社外取締役に望まれる資質
・さまざまな事業への理解力、資料や報告から事実を認定する力、
問題及びリスク発見能力、応用力、説明・説得能力
・取締役会等の会議において、経営者や多数の業務執行取締役等のなかで、

素直に疑問を呈し、議論を行い、再調査、継続審議、議案への反対等の提案を行うことが出来る精神的独立性


15.メディアも悪乗りした「いつかはゆかし」の罪

・「1億円は貯まる。月5万円の積立で」という広告で急成長したアブラハム・プラ
イベートバンク(以下APB
・先日、金融庁から6ヶ月の業務停止処分

【なぜ急拡大できたか?】
・「年利15%」を謳い文句に
・竹中平蔵や、日銀副総裁を広告に利用。
FPのブログでも、「いつかはゆかし」を褒めちぎらせる

【何が問題だったか?】

①金融商品取引法違反
APBは「投資助言業者」の資格しかないのにも関わらず、「助言」と称して実際は
特定の金融商品を顧客に「販売」していた。
→無登録販売

APB自身はあくまで「助言」のため、投資ファンドから販売インセンティブは受け
取っていないが、
実態は同一会社である別法人を経由して販売インセンティブを受け取っていた。

②脱税(の可能性)
・上記別法人はバージン諸島籍。還流スキームが複雑で、脱税の疑いが高い。

(現在調査中)


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2013年10月17日木曜日

10/11 勉強会:消費税率引上げで住宅取得の給付措置も ほか

1宗教法人の会館利用、消費税も課税取引


■事例
・宗教法人が、所有する会館を、葬儀用会場として檀家以外に貸していた
・会館の利用料を、布施として受け取っていた

→消費税の課税取引きに該当するか?

■審判所判断
・課税取引きに該当する
・葬儀を伴わない会館の貸付け行為は、席貸業に該当し、貸付けの対価として利用料を受け取ったことが明らか


2.消費税率引上げで住宅取得の給付措置も


消費税率の引上げに伴い、低所得者に与える負担を配慮
 →給付措置

具体的には市町村民税の均等割りが課されない人に1万円支給
 年金受給者には5千円加算
 ※均等割りが課されない人(扶養なし)の年収(概ね)100万円前後

消費税率引上げ後に住宅ローンを組んだ人にも給付金
 道府県民税の所得割が9.38万円以下の人が対象
 最高30万円、最低10万円支給

現金で住宅を購入、50歳以上、都道府県民税が133,000以下の人にも

 上記の給付金が支給される


3.ベンチャー投資税制


■ベンチャー投資税制
投資事業有限責任組合(ベンチャーファンド)を通じた投資が準備金計上(損金算入)対象

■損金算入額は?
投資額(投資した事業年度末の株式等の時価)の80%が準備金計上(損金算入)対

(参考)
・期間→平成29331日までの出資
・上記の準備金は、積み立てた翌事業年度に全額を取り崩し、益金に算入する


5.少額減価償却資産の特例延長


中小企業者等が、取得価額30万円未満である減価償却資産を
平成1541日から平成26331日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、
一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。

上記期間が2年延長されます。
平成26331日⇒平成28331


6.法人税:同族会社が負担した古家の取壊し費用


■概要
甲社の社長A氏が所有する土地を甲社が賃借し、本社ビルを建設する。
その際、土地の上に存する古家の取壊費用を甲社が負担する。

①取壊費用の負担について
一般的に土地を賃貸する場合、更地にして提供するのが普通であり、
更地にするための費用を甲社が持つ場合、Aに対する役員給与と
される可能性がある。

②取壊費用の処理について
・建物建築との直接的な因果関係がある⇒建物の取得価額
・建物建築との直接的な因果関係がない⇒借地権の取得価額

※繰延資産とはならない(繰延資産からは資産の取得に要した金額とされるべき
費用が除かれているため)



7.分譲用土地の取得にかかる不動産取得税の損金算入時期


■賦課決定前の不動産取得税を見積計算し、分譲用土地の売上原価として損金算入できるか?
できる。

■時系列
①土地購入日
②物件売却日(売上発生)
③決算日
④不動産取得税の賦課決算日
※決算日において既に売上は生じているが、原価である不動産取得税の額は未確定。

■損金算入できる理由
債務の確定は費用の損金算入要件として求められている。
一方、本件における不動産取得税は原価であり、債務確定は求められていない。


8.M&Aの秘密保持契約


 ・ドラフトは「売主」が作成するのが普通
  ⇒契約により拘束する必要性が高いのは売主の方だから

 ・買い主と売主の双方が秘密保持義務を負うこと
  ⇒レシプロカル(略:レシプロ)と言う

 ・レター形式と契約書形式
  ⇒日本では契約書形式が多く、欧米ではレター形式が多い(スピード重視)
  ⇒日本ではレター形式でも双方の合意があれば法的には契約となる

 ・有効期間

  ⇒契約締結時から1年以上5年以内が多い


9.会社が従業員に対し、職場の執務環境に関して配慮すべき義務


■安全配慮義務
⇒会社は従業員が働くうえで、身体等を危険から
 保護するよう配慮しなければならない
※従業員との雇用契約により義務を負う

・裁判例
会社側が勤務場所にシックハウス症候群を発症させるような
化学物質が存在しないように配慮すべき義務に違反した

⇒勤務場所の作業環境測定を行い、調査・記録する必要があった


10.最新のサイバー攻撃


・サイバー攻撃の多様化
 ハッカーによる面白半分の攻撃→スパイによる機密情報入手目的
・攻撃手順
①初期侵入:ウィルス感染したファイル添付メールをキーパーソンのPCに送信し、PC感染
②感染PCからエリア内サーバへ侵入
③侵入したPCやサーバから機密情報を盗る
・対応策
①怪しいメールの添付を開かないことを告知し続ける(啓蒙活動)
②サーバやPCPWを強いもの(複雑なもの)にし、定期的に更新
③ファイルの暗号化

CISOChief Information Security Officer)の設置


11.アコーディア「S-REIT」浮上

・ゴルフ場業界最大手(国内130コースを運営)が、シンガポール(※1)に「ゴ
ルフ場REIT」を上場予定。
・実現すれば、初の「ゴルフ場REIT」となる。
・調達資金は2,000億円との試算も。
→社債償還と、自己株取得(※2)に充てる狙い。

※1 シンガポールのREIT市場は、時価総額4.7兆円(日本は6兆円)
※2 村上ファンドが保有している同社株20
・アコーディアは先日業界2位のPGMに敵対的買収を仕掛けられた。
・更に村上ファンドが漁夫の利を狙って買い進め、TOBは頓挫。
・銀行から「村上ファンドを外せ」と言われているアコーディアと、早く投資を回収
したい村上ファンドの思惑が一致し、今回のREIT上場に


12.アベノミクスの第4の矢

・ドイツの2000年頃の税制改革
(改革前)配当利益30% 留保利益45%の法人税
(改革後)配当前利益25

→国内産業の空洞化を防ぎ、ドイツのGDP潜在成長率を0.5%押しあげ




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