2013年6月30日日曜日

6/28 勉強会:税率上げ前にサイト一時閉鎖の事業者も ほか

税率上げ前にサイト一時閉鎖の事業者も

【Q】26年3月31日にネット通販で購入した商品の消費税率は?

【A】税法上、商品引渡し日(出荷日基準が一般的)の税率を適用

①3月31日に出荷 → 旧税率 5%
②4月1日に出荷 → 新税率 8%

⇒出荷のタイミングで税率が変わり、3月31日の決済時に混乱する
⇒4月1日の出荷となってしまう時間帯(ex.夕方以降)においては、
メンテナンス等として販売サイトの一時閉鎖を検討しているところもある

2.還付加算金の恩恵は訴訟当事者に限定


【改正】~東京高裁の判決に伴う改正
非上場株式の相続税(贈与税)評価において、
大会社の「株式保有特定会社」の判定基準が、
「25%以上」から「50%以上」に引き上げとなった(納税者有利)
⇒過去に遡って「50%以上」判定の適用可能
⇒過去の相続税(贈与税)の更正の請求をすることができる

【Q】更正の請求によって、還付加算金を受け取れるか

【A】請求日から3ヶ月以内に還付支払決定が行われれば、
還付加算金は受け取れない
※訴訟当事者のみ、過去の相続税(贈与税)の納付日の翌日から
計算した還付加算金を受け取れる

⇒「判決に伴う取扱の変更」により更正の請求を行う場合、
還付加算金の起算点は、主に「更正の請求があった日の翌日から
起算して3月を経過する日」の翌日であるため。

会社分割における労働契約継承の手続き


・会社分割は分割会社の労働者へ影響大
→労働契約承継法が定められている※分割会社に適用
(1)労働者の理解と協力を得るための協議
(2)労働者との事前協議
(3)労働者及び労働組合への通知→株主総会の2週間前の日の
  前日までに書面による通知
(4)労働者の異議権
→該当する労働者は異議を申し出れば、本人の意向に従って
 労働契約が承継、または承継されない

遺留分減殺請求にかかる更正請求の特則で重要判決


■前提
①相続人Aが土地を相続し、X社に売却した。
②他の相続人から遺留分の請求があった(遺留分減殺請求)
③遺留分減殺請求について係争を行った。
④遺留分減殺請求の係属中に相続人Aは遺留割合が
 1/10であることを認めている。
④これを受けて、X社は、1/10について他の相続人への
 所有権移転登記を認めた。
⑤これにより、相続人Aは相続税の更正の請求をしようとした。
⑥更正の請求の要件のうち、「遺留分の返還すべき額が確定する」
 というものがある。
⑦更正の請求をしたのは、土地の1/10に関して所有権移転登記を
 認めたが、遺留分減殺請求は、係争している最中であった。
 (最終判決は出ていない状態)

■争点
①原処分庁の主張
最終判決は出ていないので、遺留分の返還すべき額が確定という要件を
満たしていない。
⇒更正の請求はできない。

②審判書の判断
・最終判決が出ているかどうかは関係ない。
・土地の1/10に関して所有権移転登記がされていることは、
遺留分の返還すべき額が確定という要件を満たしている、
と判断できる。
⇒更正の請求はできる。

■結果
更正の請求をすべき理由がない旨の通知処分を取り消している。

5.平成22年度改正の問題点(消費税)

■平成22年度の改正
 ・居住用建物の建築引き渡し時に自販機を設置
  →建物取得による課税仕入に係る消費税>ジュースを売ったことによる
   課税売上に係る消費税
  ⇒消費税の還付が受けられる

 ・上記スキームの対抗措置として、課税事業者を選択した場合の拘束期間が
  2年から3年に延長された

 ・しかし、課税事業者を選択した場合の強制適用期間を経過した後に
  上記スキームを利用することは可能

 ・事実上抜け穴がある改正となっている


6.【消費税】新旧税率の適用に関する基本を確認

H26.3.31以前に契約し、H26.4.1以降に資産の譲渡等が行われた場合
新税率

■H26.3.31以前に仕入れた商品を、H26.4.1以降に譲渡した場合の譲渡
新税率

■請負工事契約等の経過措置の適用は任意か
要件を充足していれば強制適用

7.ゴルフ会員権の税務上の取扱いについて

■入会時
・入会金、仲介手数料
⇒「ゴルフ会員権」として資産計上 消費税は課税仕入

■保有時
・年会費、プレー代、取得後の名義書換料
⇒交際費

■売却時
・譲渡損益を計上 消費税は課税売上

■時価が著しく下落した場合(預託金方式の場合)
会計上⇒減損の対象
税務上⇒施設利用権を喪失するまでは処理なし(単なる預け金として処理)
但し、①退会の届出をした場合②預託金の一部切捨てがあった場合
③破産手続き開始決定があった場合は金銭債権として顕在化され、
貸倒引当金の設定や貸倒損失の計上ができる。


8.H25年9月末までに締結した監査契約には旧税率適用

平成8年10月1日からH25年9月末の間に締結された監査契約に基づき、
平成26年4月1日以後に目的物(監査報告書)を引き渡す監査には
旧税率が適用される。


9.グループ法人税制に係る税効果

■資産譲渡に係る税効果

・100%グループ法人内で資産を売却した場合
⇒会計上、売却損益を認識する。
⇒税務上、売却損益は課税計算上繰り延べる(強制適用)。
 ※個別財務諸表では、繰延税金資産・繰延税金負債が計上される
  (一時差異)。

・一時差異の解消時期
⇒①買い手側で対象資産を譲渡した場合
(次の譲渡先がグループ内・外かは関係なし)
  ※100%グループ内であれば、また新たにグループ法人税制の
 適用対象となる。
 ②除却した時
 ③100%グループの関係でなくなった時

・連結上
⇒売却損益は未実現損益として消去される。
 ※繰延税金資産・繰延税金負債を認識する必要はない。


10.M&A力の向上

M&Aが増えてくると「一大イベント」から「日常化」してくるため、
これまでに実施したM&Aを振り返り、社内のノウハウやナレッジを
形式知化する必要性がある。
・M&Aにおいて遵守すべきルール
・M&Aプロセス毎に採るべき体制・役割・実施すべき作業判断基準等
→「M&Aハンドブック」の作成

・M&A専任チームの組成
→外部プロフェッショナルと混合チームを検討


11.消費税転嫁対策特措法について

【ポイント】
 ・消費税の転嫁を拒む行為等を禁止
 ・消費税を転嫁しない旨の表示等の禁止
 ・届出を条件に、消費税をどう転嫁するか等を各事業者間で決めて良い


12.管理部門における不正

(1)社員の不正行為事例
  (ネットワーク会社:年商1,500億円/85億粗利)
  ・外部業者に業務を架空発注
  ・外部業者が受領した金銭を関係者3名で山分け
  ・約7年間に、約52件8億円の損失
  ・税務調査で発覚

(2)ポイント
 ①外注先管理が不十分
  → 信用調査を行っていたが承認基準がない
  → 情報の更新がない
 ②発注先の偏り(発注割合が異常に高い)
  ③甘い監査(不正の兆候を把握していたが中途半端な対応)
 ④原価管理に問題
  →見込原価が受注金額の一定割合になるよう設定
  →常に粗利を確保できた


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2013年6月22日土曜日

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2013年6月17日月曜日

6/14 勉強会:所得税:住宅借入金等控除にかかる平成25年度改正について ほか

事業承継税制の要件緩和と厳格化

■緩和されたもの
①雇用確保要件…「5年間8割以上」から「5年間平均で8割以上」
②後継者親族承継要件
 …後継者は「親族のみ」から「親族外」も適用可能に
③役員退任要件…「役員を退任」から「代表を退任」

■厳格化されたもの
資産管理会社の判定要件が厳格化
 次のすべての要件を満たせば、
 資産管理会社でも事業承継税制の適用が可能
 ①常時使用する従業員数が5人以上※1
 ②常時使用する従業員が使用する事務所等が
   自社所有または第三者からの賃貸
 ③相続開始等の日の前3年間以上継続して事業活動等を行っている※2

 ※1:相続人と生計一の親族を除いて判定することになった
 ※2:相続人の親族に対する貸付は事業活動とみなさないことになった

■資産管理会社とは
①資産保有型会社
特定資産の合計額 ÷ 総資産価額 ≧ 70%(相続開始直前期の簿価を基に判定)

②資産運用型会社
直前期の特定資産の運用収入 ÷ 直前期の総収入金額 ≧ 75

※特定資産
①有価証券等
②遊休地、賃貸用不動産など
③ゴルフ場を利用する権利
④絵画など
⑤現預金(代表者、その親族に対する貸付金、未収入金を含む)

2.大会社の株特基準、527日から50%


A社株式(非上場、大会社)の相続・贈与時の評価額は?

■改正前

①通常 
→類似業種比準方式を使用可能

A社が、株式を総資産の25%以上持っていた場合
→株式保有特定会社に該当
→類似業種比準方式は使えない

■改正点
・②の判定基準が、「50%以上持っていた場合」へと変更
→類似業種比準方式の使用可能範囲が拡大

■適用日等
H25527日以後の相続・贈与から適用
・過去に遡っての適用も可能

※下記要件を満たす場合、更正の請求可能
・期間制限(相続税は法定申告期限から5年、
 贈与税は法定申告期限から6年)以内の相続・贈与であること
・取扱の変更を知った日の翌日から2月以内に請求すること

少人数私募債使った節税封じ込め措置の適用対象者


■平成25年度税制改正(※1)における適用対象者
① 特定個人(※2
② ①の親族
③ ①と事実婚の関係にある者
④ ①の使用人
⑤ ①から受ける金銭等で生計を維持する者
⑥ ③~⑤と生計を一にする③~⑤の親族

1平成25年度税制改正
平成2811日以後に発行された少人数私募債に係る利子は、
総合課税が適用(現在は、15%の源泉分離課税)
2特定要件を満たした役員

小規模宅地、二世帯住宅にかかる政令判明


■小規模宅地の特例
小規模宅地等を相続したときに、
その土地が特定居住用宅地等に該当した場合、
240㎡まで80%の評価減可能となる制度

■特定居住用宅地等の要件
⇒被相続人と同居の親族(配偶者は除く)が取得する場合という要件がある。

■二世帯住宅は同居とみなされるのか?(改正前)
⇒同じ建物で、内部に階段があり自由に行き来ができる等の構造の場合、同居とする。
⇒同じ建物でも外部階段のみで行き来など各家庭が独立している場合は同居とならない。

■改正後
⇒二世帯住宅であれば、内部で行き来なくても同居とする。


5.所得税:住宅借入金等控除にかかる平成25年度改正について


■主な改正点
・適用期限が平成291231日まで延長
・平成2641日~平成291231日に居住した場合は下記の通りとなる

消費税率5%で取得した場合⇒年間控除限度額 20万円
消費税率8%以上で取得した場合⇒年間控除限度額 40万円
※消費税負担の増大に伴う影響を平準化するための措置が講じられた

<例>
借入金額4,000万(10年間の平均残高3,000万)、購入本体4,000万の場合

【消費税額】
5%   200
8%   320
10%  400

【住宅借入金控除額(10年間合計)】
5%  200
8%  300
10%  300

10%になってからの購入は明らかに不利


6.IFRSに対する産業界の現状認識


・多くの企業はメリット感じず
・日本基準はIFRSとほぼ同等の基準となっており、
 異なる部分についてはIFRSの改善項目として問題提起している
・グローバルに活動する企業以外の多くの企業はメリットを感じていない


7.年度決算を見据えた第1四半期の検討事項


①会計方針、表示方法の変更
→事業年度を通じての首尾一貫性が求められる為、第1四半期から検討

②連結の範囲
→第2四半期以降に重要性が高まるか否かを考慮し検討

③セグメント
→第1四半期に重要性がなくとも、一時的な場合は開示対象
→管理手法、事業セグメント利益は第1四半期以降で変更することも考えられる

④キャッシュフロー計算書→第1四半期に作成した場合、
原則第3四半期も作成するため慎重に作成要否を判断

8.複数税率の影響を考慮した税効果会計

■税金費用の計算方法
①年度決算の同様の方法
DTA及びDTLは、回収または支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算
・スケジューリングが不能な一時差異については、一律に復興特別法人税額を含まない税率で計算
②四半期特有の会計処理
(1)見積実効税率を用いる方法
・基本的な取扱い(複数税率の影響を考慮した見積実効税率)
・複数税率の影響が重要ではない場合の取扱い(従来の見積実効税率)
(2)法定実効税率を用いる方法
・基本的な取扱い(複数税率の影響額を各四半期に合理的な方法で配分)
・複数税率の影響が重要ではない場合の取扱い(影響額の配分を行わない)

■見積実効税率の算定方法(上記②(1))
・基本的な取扱い

見積実効税率=
予想年間納付税額(年間の課税所得×当期税率)+予想年間法人税等調整額(DTADTLの増減から予想)
  予想年間税引前当期純利益

・複数税率の影響が重要ではない場合の取扱い

見積実効税率=
予想年間税金費用(予想年間税引前当期純利益±一時差異に該当しない差異×法定実効税率-税額控除額)
  予想年間税引前当期純利益

9.子会社等の業績悪化、子会社清算に関するポイント

■業績不振の子会社を解散・清算により整理する場合

・税務上、100%完全支配関係にある法人同士を一体ととらえる考え方が適用
(完全子会社か否かは、残余財産確定時で判定)

・完全子会社に該当する場合
⇒会計上は、子会社整理損が計上される。
 税務上は、子会社整理損の損金算入はできない。

⇒欠損金は、親会社が引き継ぐことができる。
※要件 ①残余財産確定日の時点で完全支配関係あり
    ②残余財産確定日以前の最低5年間、支配関係が継続

・完全子会社に該当しない場合
⇒税務上も子会社整理損は損金算入できる。

⇒欠損金は、引き継ぐことができない。


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2013年6月14日金曜日


贈与税の実地調査が急増!

平成22年度から贈与税の積極的調査が始まった。
→結果、平成23年度の実地調査件数は前年から16.2%増の5,671件。

■平成23年度の贈与税調査実績
非違割合(申告漏れ等の非違件数/実地調査件数)=(5,331/5,671)=94.0%
→うち無申告分が、82.3%
→申告漏れの財産は、「現金・預貯金」が、63.3%で最も多い。

※参考(平成23年度の相続税調査実績)
非違割合(申告漏れ等の非違件数/実地調査件数)=(11,159/13,787)=80.9%
→申告漏れの財産は、「現金・預貯金」が、36.2%、「金地金など」が、29.9%

移転価格税制の申告漏れ件数が過去最高


・移転価格の申告漏れ件数が、取りまとめ開始(平成17年度)から
 最高の182件(前年比124.7%)
・また近年、国税庁の方針により海外取引調査が強化されている。
→結果、調査件数は15,247件(前年比110.5%)、非違件数は、3,666件(102.5%)

■移転価格税制とは?
「海外関連者」への不当な低額販売、
及び「海外関連者」からの不当な高価買入れがあった場合、
その取引が通常の価格(第三者間価格)で行われた場合と比べて
少なくなってしまった利益を「認定利益」として、追徴課税しましょう、という制度。
例えば親子会社との取引の場合、その取引の価格を自由に決めることが可能。
これを利用して、通常の取引では考えられないような販売価格などを設定することで
所得の調整を行うこと。

外国船舶内での物品販売、輸出免税等の対象とならず


■概要
⇒日本国内の港に停泊中の外国船舶内でその乗組員に対して行った土産品販売
 (国内で仕入れた)は輸出免税等の対象とならないのか?

■結論
⇒輸出免税等に該当しない。

■理由
①輸出免税等の対象とするためには、税関長に輸出許可証を発行してもらい、
 保存することが必要だが輸出証明書を発行していなかった。
②そもそも日本の港湾内は国内という判断。

外国籍の相続人取得の国外財産が焦点に


平成25年度改正で見直しが検討されているもの

■相続税
 外国籍しか持たない相続人の子が取得した国外財産についての課税

■延滞税(利子税、還付加算金)に係る利率
 法定期限の翌月から2か月間以内の税率
 現状7.3%の特例部分=公定歩合+4%
 →3.1%へ引き下げ

■法人税
 期限切れ欠損金の損金算入制限

税務調査と修正申告、加算税は違法と判示


■争点
 税務調査着手後に納税者が提出した修正申告書は
  更正を予知してされたものかどうか

■国側の主張
 事務運営指針を踏まえ、具体的調査が行われた後に提出された修正申告書は
 原則として、調査により更正を予知して提出されたものとして取り扱われる

■裁判長の指摘
 調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れが発覚し更正に至るということが
 客観的確実時期に達する前に自発的に修正申告書を提出したと認められるため
 修正申告は「更正があることを予知してされたものでない」と指摘


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1.【法人税】貸倒損失に係る質疑応答事例(国税庁HP)

■債務免除による貸倒れ(法基通9-6-1(4))
 ・債務者の債務超過の状態が継続し、弁済を受けられ無い場合で、
    書面による債務免除が行われることが要件。
 ⇒
 ・その時点で業績が悪いことだけではなく、
    将来的にも回復しないかどうかの検討が必要。
 ・書面による債務免除は公正証書等ではなく、内容証明郵便でOK。

■担保物がある場合の貸し倒れ(法基通9-6-2)
 ・担保処分後でなければ貸倒損失が認められない。
 ⇒
 ・抵当権順位が低いことにより、回収できないことが明らかであれば
    担保処分前でも貸倒損失が認められる。

■保証人がいる場合の貸倒れ(法基通9-6-2)
 ・保証人がいる場合、保証人からも回収できないときにしか
    貸倒損失が認められない。
 ⇒
 ・保証人にせ生活保護水準の収入しか無く、
    生活に必要な資産しか持ってない場合には、
    回収できないものとして貸倒損失が認められる。

■債務者と取引停止後1年以上経過した場合の貸倒れ(法基通9-6-3(1))
 ・継続的な取引を行なっていた債務者に対して適用が認められるもので、
   不動産取引のようにたまたま取引を行った相手には適用されない。
 ⇒
 ・通信販売の客等で結果として1回限りの取引となった場合でも、
    継続反復して販売することを期待して顧客管理をしているようなケースでは、
    継続的な取引を行なっていた債務者として適用される。

判例:個人支配の法人にかかるタックスヘイブン
税制適用除外要件について

■事案概要

個人A(日本在住)は個人出資でシンガポールに法人B
(特定外国子会社等に該当)を設立。
「実体基準」及び「管理支配基準」を満たすため、
タックスヘイブン税制の適用はないものと判断していた。
しかし、税務当局はいずれの基準も満たさないものとして課税した。

「実体基準」・・・当該国で必要な事務所等を有しているかをみる基準
「管理支配基準」・・・当該国で事業の管理を自ら行っているかをみる基準

■税務当局の主張
①法人Bは当該国で事務所等の賃貸借契約を有していないことから
 「実体基準」を満たしていない。
②法人Bは実質個人Aが日本で管理しているものであるから
「管理支配基準」を満たしていない。
⇒適用除外規定を満たさない。

■個人Aの主張
①当該国に事務所はないが、レンタルスペースを使用し
 業務委託料を支払っているから「実体基準」を満たす。
②当該国で株主総会を行っており、従業員も雇っていることから
 管理は現地で行っているものと認められる。
 よって「管理支配基準」を満たす。
⇒適用除外規定を満たす。

■東京地裁
個人Aの主張を認め課税を取り消した。※現在高裁に係属中

<まとめ>
「実体基準」の判定における事務所等はその業務を行うに足るものであればよく、
規模は問わない。
「管理支配基準」では従業員の有無・株主総会開催の有無が判定要素となる。

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1.重要事象等


「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況
(重要事象等)」が存在している場合、
その旨及び内容を有報の「事業のリスク」欄で開示する。
(例)
・継続的な営業損失の発生
・売上高の著しい減少

シャープ
・重要事象等を開示
・ただし、「継続企業の前提に係る注記(GC注記)」は行なっていない
⇒GC注記は「解消のための対応策を行なっても、
なお継続企業の前提に重要な不確実性がある」場合


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2013年6月9日日曜日

6/7勉強会:所得税判例:馬券の払戻金に係る所得について ほか


1.塾講師・家庭教師への報酬、給与所得か否かで判決


■給与所得と東京地裁が判断したポイント
①家庭教師等は契約で規定された単価を基礎に、
従事時間に応じて報酬の支払を受けている
 →報酬は労務の提供の対価としての性質がある
②指導内容の優劣や具体的な成果で報酬の増減がない
 労務の提供にあたって必要な経費負担の義務がない
 →家庭教師等の労務の提供は自己の計算と危険によるものとは言い難い
③家庭教師等は業務遂行の状況を原告企業に報告することを義務付けられている
 →原告企業に空間的、時間的な拘束を受けているといえる

■事業所得と給与所得についての最高裁判決
(昭和56年4月24日第二小法廷判決)
①事業所得とは
 自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、
 かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが
  客観的に認められる業務から生ずる所得

②給与所得とは
 雇用契約またはこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した
 労務の対価として使用者から受ける給付をいう
 また、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け
 継続的ないし断続的に労務または役務の提供があり、
 その対価として支給されるものであるかどうかを重視する


小規模宅地等の特例の改正

■小規模宅地等の特例とは?
相続人が自宅や会社の土地・建物などを相続する際、
一定の条件を満たせば評価額を80%減額できる制度

■平成25年度税制改正(抜粋)
限度面積→特定居住用宅地等が、240㎡→330㎡に拡大
特定事業用等宅地等と特定居住用宅地等が
合計で400㎡→730㎡まで利用可能に。
※1坪=約3.3㎡

■適用時期
平成27年1月1日以降の相続

■まとめ
改正により大きな恩恵を受けるのは、
(特定居住用宅地等と特定事業用宅地等を併用できる)
同族会社のオーナーや個人事業主、都市農家などに限定されると考えられます。


3.事業承継の雇用確保は8割平均でOK

■事業承継税制とは
⇒相続や贈与によって後継者が非上場会社の株式等を取得した場合に
一定要件を満たせば納税が猶予される制度。

■事業承継を受けるための要件(現行)
①先代経営者の親族である後継者が代表者を継続する
②先代経営者が役員を退任する
③役員を除く社員の数が事業承継時の80%以上を維持する。

■25年税制改正による要件緩和
①後継者は親族でなくてもよい
②先代経営者が代表でなくなれば役員にいてもよい
③承継後五年の平均で80%以上を確保すればよい

※資産管理会社の場合
⇒資産管理会社に該当する場合は、
   事業承継税制を適用することができない。
⇒資産管理会社の判定は以下のいずれかひとつでも満たさない場合
  ・親族以外の従業員数が常時5人以上
  ・事業所を自ら所有or賃貸
  ・相続or贈与の日の前に3年以上継続して商品販売等の事業活動を実施


4.【所得税・贈与税】入居前リフォームと特例適用の可否


住宅を取得した際に税務上の優遇を受けられる特例として、
『住宅ローン控除』と『住宅取得等資金贈与の非課税特例』がある。
これらは住宅取得だけでなくリフォームを行った際にも適用を受けられるが、
適用範囲が微妙に異なる。

■住宅ローン控除
 ⇒
 入居前リフォーム、入居中リフォームのいずれにも適用可能

■住宅取得等資金贈与の非課税特例
 ⇒
 入居中リフォームにのみ適用可能

5.【所得税判例:馬券の払戻金に係る所得について】

■概要
会社員Aは平成19年からの3年間で額面総額28億円の馬券を購入し
多額の利益を得ていたが、
申告していなかったことから所得税法違反に問われた。
今回の裁判では所得区分及び必要経費性が主な争点となった。

■検察側
所得区分⇒所得税基本通達により一時所得(継続性・恒常性なし)
必要経費⇒収入を得るために支出した額=的中馬券にかかる購入額のみ
外れ馬券⇒収入と対応しないため考慮しない

■大阪地裁
所得区分⇒営利を目的とした恒常的な行為であるため雑所得
必要経費⇒収入を得る為に支出した投下資本の額
外れ馬券⇒収入と対応するため必要経費算入

<ポイント>
①購入履歴から「営利を目的とした継続的行為」であることが
客観的にあきらかであれば一時所得にあたらず雑所得となる。
②雑所得とされる場合は外れ馬券も必要経費となる
(費用収益の対応関係あり)



6.ソフトバンク 合理性を踏まえて合理性を超える

・大型買収を繰り返す
・普通に考えれば狂気の沙汰
・いずれも今のソフトバンクにつながる重要な決断

・一見無謀に見えるがその裏には合理的な計算がある
・3割以上のリスクは冒さない=7割以上勝てることへの100%の確証が
絶対に必要
⇒これが孫氏の合理性の超え方
・ソフトバンクは人的なリストラをやったことが一度もない


7.海外親会社の非課税設立手法

・結論
⇒三角組織再編成という手法。

・三角組織再編成
 外国法人の日本子会社が外国親会社の株式を対価として内国法人を
 吸収合併、吸収分割、または完全子会社にする手法。
⇒①海外にF社を設立
 ②国内にS社(存続会社)を設立
 ③国内のT社(消滅会社)株主にF社株式を交付して合併

<注意点>
 租税回避防止規定がある。
・非居住者・外国法人株主に対して外国親会社の株式が交付される場合
・特定の軽課税国の外国法人(特定軽課税外国法人)の株式を対価とする場合
⇒課税が生じる。

※特定軽課税外国法人
⇒法人の所得に対して課される税が存在しない国にある外国法人。
 所得に課された租税負担割合が20%以下の外国法人。
EX.香港、シンガポール、ドバイ、ニューカレドニアなど


8.卸売・小売業のデューデリジェンス留意点

①滞留在庫の評価
 会計:販売不能な在庫が適切にゼロ評価されているか?
  (損失計上したくない意図から、
    セールで値下げすれば販売可能な在庫として処理している可能性)
 税務:損金算入要件を満たしているか?
  ・災害により著しく損傷
  ・著しく陳腐化
     (通常の方法では販売できないこと。物価変動や過剰生産はダメ)

 ②得意先に対する信用リスク
  会計:与信管理態勢が適切に整備運用されているか?
  税務:貸倒損失、貸倒引当金の損金計上要件を満たしているか?
     ・更生計画認可の決定等により切捨てられる金額
     ・相当期間債務超過の債務者に対し書面で明らかにした債務免除額

 ③ポイントの取扱い
  会計:未使用ポイント残高は引当計上されているか?
   ポイント使用見込額は、
      過去のポイント使用実績をもとに算定されているか?
  税務:ポイント引当金繰入額は損金不算入


9.建設業の財務DDのポイント

■ビジネス関連
・官民比率:バランス
・資金調達:運転資金
■財務関連
・収益認識:進行基準の適用における工事見積りの精度
・債権回収管理:特に民間工事
・工事損失引当金:原価>収益の場合、収益認識の種別なく計上
■その他
・瑕疵担保責任:工事補償損失引当金
・訴訟:支払いの可能性


10.ソフトウェア・コンテンツ産業のDD

(1)ソフトウェア
 ①実在性
 ・ソフトウェアが保管されているサーバーに接続
 ・ソフトウェアを確認、起動、テスト
 ②評価
 ・DCF法が多い
 ③ソフトウェア(資産)と研究開発費(費用)の区分
 ・最初に製品化したマスター作成までの費用→研究開発費
 ・それ以降販売までの費用→ソフトウェア

(2)コンテンツ(文章、音楽、ゲーム等)
 ①権利関係の確認が大事
 ・権利者は誰か?
 ・権利者の権利を違法に侵害していないか?
 ②評価
 ・DCF法が多い
 ・評価ポイント
  →将来のキャッシュフローをどのように見込むか
  →割引率どのように算定するか


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2013年6月3日月曜日

5/31勉強会:【雇用促進税制】基準雇用者数算定方法の見直しについて ほか


1.税務申告を怠った税理士に慰謝料命じる


<事例>
顧問税理士が、多忙でクライアントと連絡をとれなくなり、
結果、3期分の法人税申告書が無申告となった。

<判決>
・連絡がとれなくなったのは税理士の責任で、
無申告となった責任も税理士にある → 損害賠償命令
・附帯税の支払い義務、銀行借入ができなくなるなど、
精神上の損害を認定 → 慰謝料支払命令 



「3%引き」は転嫁対策法違反とはならず

<転嫁対策法案>
「消費税還元セール」を謳った値引きは禁止

①「消費税との関連を明示しているもの」が対象
・「消費税増税分3%を値引きします」 → 禁止対象
・「3%値引き」 → OK

②「①の表示に準ずるもの」も対象
・「表示価格の消費税額に相当するポイントの付与」 → 禁止対象



3.消費税経過措置のQ&A

■所有権移転外ファイナンスリース取引は経過措置の対象外

・資産の貸付の経過措置の要件
 ⇒H25.9.30以前に締結した契約でH26.4.1後も継続して貸付けるもので
   次の要件を満たすもの
  ①期間及び期間中の対価の額が決定されている。
  ②対価の額の変更はできない。
  ③いつでも解約の申入れができる旨の定めがない

Q:所有権移転外ファイナンス・リース取引は該当するのか?
A:ファイナンスリース取引は該当しない(売買取引とみなされる)

■貸付けの自動継続
H.25.9.30以前に締結した賃貸借契約で自動継続する場合の経過措置
⇒Ex.2年ごとの自動継続の場合は、最初の2年間のうち、
H26.4.1以後の貸付については、経過措置の対象

※注意点
契約に、解約申出が貸付期間満了の○日前と記載がある場合は、
解約申出期限が新しい契約日となる。

∴解約申出期限がH25.10.1~H26.4.1の間にある場合は、
契約日=H25.10.1以降になるため経過措置の対象外



4.「無形資産会計、当面の間は改正せず」

■改正の検討事項
①「企業結合時に識別する無形資産」の識別可能性の定義の見直し
②「個別に取得した仕掛研究開発」の計上方法について
→現在は、すべて費用処理

■検討結果
「企業結合時に識別する無形資産」および「個別に取得した仕掛研究開発」
について、当面は見直さないこととなった


5.分割により取得した株式の判定等


■ポイント
①完全支配関係:
 適格合併なら、非合併法人の保有期間を合併法人が引き継げる。
 適格分割型分割の場合は引き継げない。

②25%以上の保有があった期間
 適格合併、適格分割型分割のいずれも被合併法人等の保有期間を
 合併法人等が引き継げる。

③負債利子の簡便法、負債利子控除額の計算
 適格分割型分割の場合、分割承継法人が平成22年4月1日(基準日)に
 存在していれば使用できる。
 負債利子控除額は、分割承継法人の実績のみで計算する。
 適格合併の場合、被合併法人と合併法人の両方が基準日に存在していないと
 使用できない。
 負債利子控除額は、両方の実績で計算する。

④所得税額控除
 被合併法人等の元本所有期間を合併法人等が元本を所有していた期間
 とみなして計算できる。



6.【所得税】上場株式等の譲渡損失の損益通算と特定公社債等


H28.1.1より損益通算の範囲かわる。

(従来の損益通算範囲)
・上場株式等の譲渡損益 / 上場株式等の配当所得 の損益
・上場株式等の譲渡損益 / 非場株式等の譲渡損益 の損益
  ※公社債等の譲渡損益、公社債等の利子所得は損益通算なし
 
(改正後の損益通算範囲)
・上場株式等の譲渡損益 /上場株式等の配当所得 /特定公社債等の譲渡損益
 /特定公社債等の利子配当 の損益
・非上場株式等の譲渡損益 /一般公社債等の譲渡損益
  ※一般公社債等の利子配当には損益通算なし



7.【雇用促進税制 基準雇用者数算定方法の見直しについて】


■適用要件(抜粋)
基準雇用者数が前期末より一定以上(中小なら2人)増加していなければならない

基準雇用者・・・雇用保険の一般被保険者が対象。
          →65歳以上の者は「高年齢雇用者」とされ対象とならない。

■改正前の問題点
期中に65歳になった者がいると不利になる
⇒前期末では雇用者数にカウントされるが当期末ではカウントされない

(例)
前期末在籍者 A(64歳) 1名⇒雇用者数:1
当期採用 B、Cの2名
当期末在籍者 A(65歳)、B、C⇒雇用者数:2
(Aは高年齢雇用者のためカウントされない)

雇用者増加数 2-1=1 (1人しか増加していないこととなり適用を受けられない)

■改正
期中に65歳になった者は前期末雇用者数にカウントしないことにした。

(例)
前期末在籍者 A(64歳) 1名⇒雇用者数:0
(当期中に65歳となるためカウントしない)
当期採用 B、Cの2名
当期末在籍者 A(65歳)、B、C⇒雇用者数:2
(Aは高年齢雇用者のためカウントされない)

雇用者増加数 2-0=2(2人増加のため適用を受けられる)



8.のれんとM&A

・自民党・日本経済再生本部「中間提言」に
 のれんの一括償却の容認が盛り込まれた
・現状の日本ののれん処理(償却)は海外に比べて
 M&Aの際に不利(のれん償却が利益を悪化させるため)
⇒のれん非償却か、一括償却&特別損失計上をASBJに要望している。



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