2014年1月20日月曜日

12/27 勉強会:税制改正大綱:会社法改正法案を受け整備 等

適用時期から読み解く平成26年度税制改正大綱

【所得税】
①給与所得控除の上限額が引き下げ
-  現 行  15M超 2.45M
-H28年分~)12M超 2.3M

②非適格SOを発行会社へ売却した時の課税関係
-( 現 行 )譲渡所得(20%申告分離課税)
-H26.4.1~)給与所得(累進課税)

③ゴルフ会員権の譲渡損失
-( 現 行 )他の所得と損益通算可能
-H26.4.1~)他の所得と損益通算不可能

【法人税】(H26.4.1開始事業年度分~)
①復興特別法人税の廃止

②交際費損金算入額の拡大
- 飲食費の50%部分まで損金算入可能に
※中小企業は、定額控除(800万円)との有利選択



2.特定新規設立法人の事業者免税制度の不適用制度(消費税)

■新設法人の納税義務の免除(原則)
・資本金1,000万円未満

■平成23年度改正の問題点
・設立事業年度の納税義務は免除されたまま
・設立事業年度が7か月以下の場合にはその翌事業年度についても免税事業者になることができる
・特定期間中の課税売上高と給与等の支払額のいずれかが1,000万円以下であれば免税事業者になることができる

■平成24年度改正の内容と摘要時期
・大規模事業者等が一定要件のもと、子会社を設立した場合にはその新設子会社の納税義務判定は、下記をもとに行う
 ①新設子会社の資本金
 ②大規模事業者(親会社)の基準期間の課税売上高
・適用時期…平成2641日以後に設立した法人



3.別個に相続した財産の取得費加算の特例(所得税)

■問
 父、母の持分が12ずつの土地を相続により取得しました。
 (父より:平成23年、母より:平成24年)
 この土地を平成25年中に売却しましたが、この譲渡につき相続財産に係る取得費加算の特例の適用を検討しています。
 譲渡内容が以下の場合、譲渡所得の金額はいくらになりますか。

 土地の売却金額:2,000万円
 土地の取得費 :100万円(父の持分50万円、母の持分50万円)
 土地の譲渡費用:20万円
 取得費に加算できる相続税:父の分:500万円
                      母の分:1,000万円

■回答
 譲渡所得の金額:売却代金-(土地の取得費+譲渡費用+取得費に加算できる相続税)

①父の分
 (2,000万円*0.5)-(50万円+20万円*0.5500万円※)=440万円
 ※(2,000万円*0.5)-(50万円+20万円*0.5)=940万円>500万円 ∴500万円

②母の分
 (2,000万円*0.5)-(50万円+20万円*0.5940万円※)
 ※(2,000万円*0.5)-(50万円+20万円*0.5)=940万円<1,000万円 ∴940円 

③譲渡所得の金額 ①+②=440万円

■まとめ
 取得費に加算できる相続税の額は、取得費加算の特例を使用しなかった場合の譲渡所得の金額が上限
 →上限を超えて加算できてしまうと、譲渡所得の中で損益通算ができてしまうため
と思われます



4.虚偽記載の賠償責任は「過失責任」に

金融審議会のワーキンググループが報告書を取りまとめた。
来年の通常国会へ改正案を提出。

■有価証券報告書等の記載に「重要な事項について虚偽がある」場合等の企業側の責任
現行:無過失責任
改正案:過失責任(ただし提出会社が無過失を立証する必要あり)

■大量保有報告制度の見直し案
・自己株式を除外
・個人の場合に「住所の番地」、「生年月日」を公衆縦覧の対象から除外

■新規上場後の内部統制報告書の提出について
・上場後、「3年間」に限り公認会計士監査を免除

■新規上場企業が提出する有価証券届出書について
現行:過去5年分の財務諸表の記載が必要(過去2年分は公認会計士の監査が必要)
改正案:過去2年分の財務諸表の記載のみとする(公認会計士の監査が必要)


5.マイホーム売却、1~1.5億円は年内に

■居住用財産の買替特例()の譲渡価格の上限が平成2611日以降1億円以下に引下げ
※特例の内容
居住用財産の買替した場合の譲渡益に対して買い換え時には課税されず、将来その住居を売却する際の譲渡益に、その繰り延べた譲渡益が加算されて課税されるという特例である。

①売却した住宅の譲渡価額が買い換えで取得した住宅の取得価額以下である場合
譲渡益はなかったものとされ、課税されない。

②売却した住宅の譲渡価額が買い換えで取得した住宅の取得価額を超える場合
【譲渡収入金額】
売却した住宅の譲渡価額(ア)-買い換えで取得した住宅の取得価額(イ)=譲渡収入金額

【必要経費】
(売却した住宅の取得費+譲渡費用)×((ア)-(イ))÷(ア)
課税される譲渡所得は以上で求めた譲渡収入金額から必要経費を控除して求められる。

→特例適用の要件の一である売却した住宅の譲渡価額(ア)が1.5億円以下から1億円以下に引き下げられることで課税の繰り延べが受けられる取引の範囲が狭まる。


6.固定資産の交換特例、非居住者も適用可
非居住者が固定資産を交換する場合、
固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例(所法58条)で「居住者が、各年において・・・・」と規定しているが、その他の適用要件を満たし、交換し譲渡・取得する資産が国内に所在していれば、非居住者でも適用可能


7.所得税:外国人の扶養控除等
■単身で来日した外国人の所得控除
本人が「居住者※」に該当すれば<配偶者控除><扶養控除>の適用あり。
※国内での勤務が1年以上の予定であれば居住者と推定される

<配偶者控除>
同一生計であれば、
・配偶者は国外在住でもOK
・本国で収入があってもOK

同一生計⇒同居していなくても生活費を送金している等の事実があれば認められる。

<扶養控除>
同一生計の親族がいれば対象となる。
16歳以上で6親等内の血族等であれば何人でもOK
※配偶者控除は一夫多妻制が認められている場合でも1人のみが対象


8.純損失の繰戻還付請求か純損失の繰越か

■繰戻還付の適用を受けなかったことによる損失が顧問税理士に請求された事例
・所得税の申告にあたり多額の純損失が生じた年度において、顧問税理士が深く検討しないまま『純損失の繰越』を選択して確定申告した。
・翌期以降は損失が継続したため、繰り越した損失を利用できなかった。
・前年以前は多額の利益が出ていたが、市況変化に伴い当該年度以降は利益が出せないであろう状況であった。
・事業主は好況期には事業を息子に継がせる予定であったが、市況変化のために事業承継を断念した旨を税理士に伝えていた。

■税理士に損害賠償責任有り
・『繰戻還付』か『繰越』かの判断にあたっては、その期の損失が一時的なものか、その後も続くものかが重要になる。
・本件においては継続的に損失が生じることを税理士が承知していたことから、繰戻還付を選択すべきであった。


9.税制改正大綱:会社法改正法案を受け整備

①みなし配当が生ずる自己株式取得範囲を変更
・改正法案:株式併合により端株となる株式に「反対株主の買取請求」を認める
・大綱:この「反対株主の買取請求」はみなし配当が生じる自己株式の取得範囲から除く

②監査委員の過半数賛成で利益連動給与が決定
・改正法案:監査等委員会設置会社における監査員は、同委員以外の取締役に対する報酬額の決定に関する意見陳述権が付与される。
・大綱:利益連動給与の決定に際して、監査委員の過半数の賛成が必要

③使用人兼務役員から監査等委員を除外へ
・改正法案:監査等委員会設置会社における監査等委員会の委員である取締役は、当会社とその子会社の使用人等を兼務することはできない
・大綱:「使用人兼務役員の範囲」から、「監査等委員会の委員である取締役」を除外


10.消費税率改正に備える他部門への直前確認ポイント

()経費精算システムの運用方法を周知
・システムの変更点を周知
・レシート類に「税込表示」「税抜表示」が混在

()該当する経過措置対象取引の洗い出し
①施工日(2014/4/1)前後の取引
・旅客運賃(定期券)、入場料(映画)、電気、水道料金
・定期刊行誌
・売上及び仕入の値引き/返品
 (4/1以降でも旧税率を適用)

②指定日(2013/10/1)前の契約について旧税率適用
・工事の請負契約、通信販売等


11.復興特別法人税の廃止による税効果会計への影響

【前提】
  12/12公表の税制改正大綱で復興特別法人税が3年間から2年間に短縮された
  ⇒ex.3月決算会社の場合
     改正前 H25/3期~H27/3
     改正後 H25/3期~H26/3

【影響】
 ・繰延税金資産又は負債の再計算による取崩しが必要(例の場合、H27/3期を取崩す)
 ・改正税法が決算前に公布された場合、修正額の注記が必要
  改正税法が決算後に公布された場合、内容や影響の注記が必要


12.会計方針の変更を行った場合の株主資本等変動計算書の表示

会計基準の改正時における会計方針の変更
○原則:遡及適用
(原則の表示例)

利益剰余金                 前連結会計年度  当連結会計年度
 当期期首残高                   ×××       ×××
 会計方針の変更による累積的影響額    ×××            
  会計方針の変更を反映した当期首残高   ×××       ×××

○例外:経過的な取扱いがあれば、当該取扱いが優先
(例外の表示例)

利益剰余金                  前連結会計年度  当連結会計年度
 当期期首残高                         ×××      ×××
 会計方針の変更による累積的影響額         -      ××× 
  会計方針の変更を反映した当期首残高    ×××      ×××


13.M&A売り手サイドの事業計画作成ポイント

→買い手目線で売却価格最大化を目指すには

●買い手候補者の属性の把握
 ・事業会社の場合
  ⇒事業計画の実行可能性の高い部分の施策やシナジーの可能性を示す
 ・ファンドの場合
  ⇒将来の売却を想定しつつ、複数のシナリオの検討が出来るようにする

●事業計画のポイント
 ・損益計画
  ⇒売上原価を製品別、地域別、顧客別に分割できる場合、セグメント別損益計画を作成する
 ・販管費計画
  ⇒売上変動費と固定費に分割する
   また、各セグメントに紐づけられる項目はセグメント別に集計
 ・運転資本計画
  ⇒直近期の運転資本の増減が、将来の動きと整合するかの確認

●事業価値の評価
 ・買い手候補者が採用する評価方法のポイントを意識しながら、対象会社の将来収益力を解りやすく合理的な根拠に基づいて説明することが、売却価格の最大化にとって重要となる。


14.仮想通貨ビットコインは中国経済をどう変えるか

・ビットコイン「バブル」が発生。13年夏には1ビットコイン100ドルだったのが、12月はじめには1,000ドルに。

【そもそもビットコインとは何か】
・世界中のプログラミングオタクたちが共同で作り上げた仮想通貨
・プログラムによって流通総量がコントロールされている
・銀行を介さないため、送金手数料無料
・中国ではネットショップや一部リアル店舗でもお金として利用可能

【なぜ高騰したのか】
ビットコインは以下2つの理由から、現金以上の流動性を持っている。
・手数料がかからない
・機密性が高い

そのため、以下の2ケースでよく利用されている。

①犯罪への利用
→ビットコインは匿名性が非常に高く、誰がいくら持っていて、いくら使ったかの追跡が非常に困難
→麻薬取引、マネーロンダリングに使われやすい

②中国の資本規制
→中国では海外投資のハードルが非常に高い 
→そのため、富裕層が海外の不動産投資を行う場合にビットコインを経由するケースが増えている

【規制への動き】
ビットコインバブルを受けて、中国に新たな動きも
・中央銀行が、国内金融機関での取扱規制を通達。
・中国の大手ネットショップ百度もビットコイン決済を停止。




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1/17 勉強会:平成26年度税制改正解説 他

1.消費税額の計算方法(端数処理の特例)について

【改正内容】
・端数処理の特例が、H19.3末に廃止されていた
(総額表示義務となったため)
H26.4.1以降からは、特例が復活
(税抜表示も認められるようになったため)

【消費税の計算】
例)税込み100円(本体93円 消費税7円)の商品100個を販売
・原則
100円×100個 = 10,000
10,000円×100/108 9,259円 ⇒ 9,000
9,000円 × 8% 720
・端数処理の特例
7円×100個 = 700


2.平成26年度税制改正解説

■法人税関係
 ①復興特別法人税の廃止
  平成2641日以後開始事業年度から
 ②地方法人税(仮)の創設
  法人住民税の法人税割の税率を17.3%→12.9%へ
  引き下げ分を地方法人税として国が徴収
 ③交際費
  飲食のために支出する費用に限りその額の50%の損金算入を認める
  中小法人に係る損金算入の特例は、現行の800万円までの全額損金算入制度との選択適用となる

■所得税関係
 ①給与所得控除の見直し
  平成28年分より給与収入1,200万円、給与所得控除額230万円を上限とする
  平成29年分以後給与収入1,000万円、給与所得控除額220万円を上限とする
 ②NISA
  NISAに係る口座を1年毎に変更できる制度とする
 ③ゴルフ会員権
  譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない
  生活に通常必要でない資産の範囲に加える
  平成2641日以後に行う資産の譲渡等について適用される


3.株式交換でも寄附株式の非課税を明確化

■個人が公益法人等に対して財産を寄付
→一定の要件を満たせば、みなし譲渡所得課税()が非課税となる
※資産を無償で譲渡した場合等に、譲渡時の時価により譲渡があったものとみなして課税するこという

■上記、非課税適用も以下のケースについて課税リスクを懸念する声
A社とB社において、寄附株式の発行法人Aを完全子法人とする株式交換が実施され、対価としてB(親会社)株式が割り当てられた
結果、公益法人等はB株式を保有することになった

■平成26年度税制改正(平成2641日以後に行われる株式交換に適用)
”適格”株式交換に限り、非課税が引続き適用されることが法令上明確化される



4.当局が想定する調査手続不適切事例

■課税当局が認識している税務調査手続の不適切事例
・事前通知
・物件留め置き
・更生等非該当通知
・調査結果の内容の説明等

■事前通知に係る事例①
・税務調査の手続において納税義務者に連絡を取ることが困難なため担当税理士に納税義務者への事前通知を任せた。
⇒税務調査を行う際の事前通知は当局から納税義務者に行う。
 連絡が困難な場合は、無予告調査を視野に入れることになる

■事前通知に係る事例②
・納税義務者への税務調査の連絡を行った直後、担当税理士から当該税理士に連絡がないと苦情が入り課税当局が税務調査を取りやめた。
⇒事前通知の順番は法定化されておらず、当該税理士からの苦情は非合理的な調査の中止となる。


5.【相続税】平成25年度改正

■被相続人が老人ホームに入所した場合の「特定居住用宅地等」
⇒適用要件が明確化された。

<適用できる場合>
・被相続人が要介護認定等をうけていること
・入所後、家屋を貸付の用に供してしない場合で、
入所直前まで同居していた相続人等につき適用がある。
※入所後あらたに移り住んだ相続人等には適用なし

■二世帯住宅(区分登記なし)に係る改正
⇒要件が緩和された。
<改正前>
家屋内で互いに行き来できない構造である場合⇒適用なし
例:1Fに父、2Fに子がそれぞれ独立して生活している場合など⇒別居扱い

<改正後>
被相続人の居住の用に供されていた部分は親族の居住の用に供されていた部分に含まれるものとみなすこととした。
居住実態の明確な把握は困難であるため、区分登記していない二世帯住宅については原則として小規模宅地特例が受けられることとなった。


6.【法人税】資本的支出の20万円基準は費用の総額で判定

・固定資産の修理改良に要した費用が20万円未満であれば、資本的支出に相当するものが含まれていても、全額を修繕費として損金算入できる。(法基通7-8-3)

20万円の基準は、資本的支出相当部分の金額で判定するのではなく、全体で判定する。

■例①
•固定資産の改良に18万円支出した。全額が、資本的支出に相当する。
18万円を一時の損金にできる。

■例②
•固定資産の部品を高品質のものに交換し、23万円支出した。
•従来品質の部品への交換コストは8万円であり、資本的支出部分の金額は15万円である。
8万円は修繕費として一時の損金にできるが、15万円は資本的支出として資産計上が必要


7.会社法改正案の概要

(1)コーポレート・ガバナンスの強化
監査役設置会社、委員会設置会社に加え、監査等委員会設置会社の設置

監査等委員会設置会社とは監査役、指名委員会及び報酬委員会を置かず、社外取締役を中心とする監査等委員会が監査や監督機能を担う

(2)親子会社に関する規律の整備
 親会社株主の保護の観点から「多重代表訴訟制度」が創設
 ・訴訟提起権者:議決権の100分の1以上を有する株主に限定
 ・訴訟の対象:株式の帳簿価額が総資産額の5分の1を超える完全子会社に限定 ※海外子会社は含まない

(3)その他
株主保護の観点から「組織再編等の差止請求を行うことが出来る制度」
 債権者保護の観点から「詐害的な会社分割により害される債権者が一定の場合に承継会社等に履行を請求できる制度」


8.平成26年度税制改正大綱のポイント

■復興特別法人税の1年前倒し廃止
 ⇒復興特別法人税の課税期間終了後において、利子や配当に課される復興所得税の額は、所得税の額と合算して各事業年度の法人税の額から控除が出来る。

■交際費課税の緩和
 ⇒大法人については平成2641日から開始する事業年度について、交際費のうち飲食のために支出する費用の額の50%を損金算入可能
※社内接待費は含まない

■簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
 ⇒金融・保険が60%から50%に、不動産が50%から40%に引き下げ

■消費税の課税売上割合計算の見直し
 ⇒金銭債権の譲渡については全額を対価の額に算入していたが、平成2641日以降は対価の額の5%相当を対価に算入する

■地方法人税(国税・仮称)
 ⇒基準法人税額(課税標準)に4.4%乗じた額を地方法人税として申告・納付を行う制度が、平成26101日以降開始事業年度より開始される






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2014年1月13日月曜日

1/10 勉強会:粉飾企業の非常勤監査役への損害賠償請求は認められるか?他

粉飾企業の非常勤監査役への損害賠償請求は認められるか?

【事例】
・ニイウスコー社で、有価証券報告書に虚偽記載あり
→粉飾を知らずに株式購入した株主が、取得価額=損失であるとして、
代取・非常勤監査役に損害賠償請求

【判決】
・代取に対して、損害賠償が認められた
・非常勤監査役に対しては損害賠償は認められなかった

【理由】
→非常勤監査役は、相当な注意を用いても知ることが出来なかった
・監査役会が定めた職務分担内容が、監査役としての善管注意義務に照らして相当
(常勤監査役が日々の社内会議に出席、非常勤監査役が常勤から監査状況について報
告をうける)

・監査役は、自己の職務を善管注意義務に従って遂行していた


2.前代表者への貸付金、貸倒損失と認める

・前代表取締役に対する約4億円の貸付金について、会社が貸倒損失処理
・課税庁側はこれを認めず
・裁判所の判断
 ①前代表取締役の資産・収入状況に照らすと回収可能性はないと認定できる
 ②よって、貸付金は貸倒損失として損金計上できる

※前代表取締役の退職後の収入は年金21万円/月
 →貸付金の総額に比してとても少ない
※前代表取締役が保有していた株式を子供(現代表取締役)に贈与
 →貸付金の回収の観点からは有用ではないが、

  円滑は経営権の譲渡を実現するためにはやむを得ない



3.中国子会社への送金額を寄付金と判断

■前提
 ・内国法人A社は中国にある子会社B社へ資金を送金
  …仕入に係る値増し分として仕入計上
 ・課税庁はこれを貸付金と認定
  …A社とB社で金銭消費貸借契約書を締結していたため
 ・課税庁は送金を仕入と処理したことは事実の仮装隠ぺいにあたるとして
  法人税の更正と重加算税を賦課

■論点
 ①A社とB社の取引は、仕入なのか貸付金なのかそれ以外なのか
 ②具体的根拠や更正通知書に理由付記がないにも関わらず重加算税は賦課できるか

■審判所の判断
 ・論点①について
  A社が送金した金銭はB社の為替差損、諸経費の増加、訴訟費用、赤字補てんのた
めに使用されている
  …A社からB社への金銭の贈与→贈与に相当の理由があるとは認められない→寄付
金に該当すると判断
 ・論点②について
  重加算税を付加決定する場合に理由付記すべきとする法律根拠がないので
  更正通知書に理由付記がないだけでその処分が違法とは言えないと判断
 ※論点②について補足
  平成251月以降は申請に対する拒否処分及び不利益処分について、理由付記が

実施されている(国税通則法74条の141項)



4.SO駆け込み買戻しに要注意

■平成26年度改正(平成2641日以後の譲渡から適用)
・非適格SOを発行会社へ譲渡した場合の所得区分が「譲渡所得」から「給与所得」へ改正
株式等の譲渡所得=申告分離課税15%、 給与所得=総合課税で税率は累進
※税制適格SOではそもそもSOの譲渡が禁止されているため対象外

■注意事項
改正前(=平成26331日以前)に発行会社へ売却したとしても、「申告分離課税」を否認する動きがみられる
国税局の文書回答事例でも、節税目的の譲渡の場合、給与所得課税を行う可能性が示唆されている。

※(参考)税制適格SOとなる要件(一部抜粋)
・付与対象者
会社又は子会社の取締役、執行役または使用人等であること。但し、大株主と大株主の特別利害関係者は除く。
・年間の権利行使価額の限度額
年間の権利行使価額の合計額が1,200万円を超えないこと
・譲渡の禁止

当該新株予約権については譲渡をしてはならないこととされていること

5.給与所得控除をめぐる課税強化の真相

■平成26年税制改正大綱内容
1,200万円超→230万円(平成28)
1,000万円超→220万円(平成29年分~)

■給与所得控除の経緯
大正2年 『勤労控除』創設
昭和22年 控除限度額が設定
昭和28年 『給与所得控除』に名称変更
昭和49年 最低控除保証額設定設定→控除限度額廃止
平成24年 給与所得控除に上限設定
      ※上限設定の背景
       一人オーナ課税導入→消費者に厳しい課税を行う
平成26年 税制改正大綱に給与所得控除上限引き下げ

      ※役員給与に係る給与所得控除減案は保留


6.日本版ESOP会計処理が正式決定
そもそもESOPEmployee Stock Ownership Plan)とは、

「自社株を利用した退職金制度」のようなイメージ

~流れ~

①企業がESOPという信託を設立し、企業自身が継続的に現金or自社株を出資
②退職時に従業員に対し、ESOPから給付

※従業員持株会との違い

従業員持株会→自社株購入のための資金は従業員自身が負担 いつでも株の現金化が出来る
ESOP→自社株購入のための資金は会社が負担 退職時に限ってのみ、受け取り可能


一方、日本ではESOPを信託の機能を利用して従業員持株会を補助する目的(株の値下がり損失の補てん等)で設立することが多く、
本来のESOPとは異なるため、「日本版」ESOPと呼ばれている。

ESOP→退職金制度
日本版ESOP→持ち株会の延長


会計処理の概要

・個別財務諸表における総額法の適用
信託の資産・負債はそれぞれ総額で拠出企業の個別F/Sに計上される。信託が保有する株式は「自己株式」として表示。

・自己株式処分差額の認識時点
信託による企業の株式の取得が、企業による自己株式の処分により行われる場合、企業は信託からの対価の払込期日に自己株式の処分を認識する。

・連結上の処理
信託に関しては連結対象か否かの検討を要しない。

・従来から導入している企業の取扱い
注記を条件に従来の処理の継続適用も可能

・適用時期

平成2641日以後開始する事業年度の期首から適用


7.消費税:税率改正にかかる工事進行基準Q&A
■売上にかかる消費税額について
Q1 2511月に契約した工期1年の工事を工事進行基準により経理する場合、
  適用する税率はどうなるか?

A1 2511~26331日までの期間に対応する部分⇒5%
  2641日以後の期間に対応する部分⇒8

■通知義務について
<通知義務>
※受注者が工事進行基準を採用した場合、発注者側は下記の処理をしなければならな
い。
  H26.3.31までの期間に対応する部分⇒5%課税仕入
  H26.4.1以降の期間に対応する部分⇒8%課税仕入
   ⇒引渡しをうけた時に全額を8%課税仕入として処理するのはNG。通知がないと
発注者側では工事進行基準適用工事であることが分からないため受注者に通知義務が課せ
られている。

Q2 長期大規模工事の受注により工事進行基準で経理した受注者は、発注者にその旨
を通知する義務があるが、工事進行基準を任意適用する場合にも通知は必要か?


A2 工事進行基準により経理した場合、強制・任意を問わず受注者から発注者への通知が必要


8.【税務】国外財産調書制度 導入スタート

H25.12.31時点で国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える居住者(非永住者を除く)は、3/17迄に提出し開ければならない。

提出義務者の範囲について留意点
 ・日本国籍を持たない居住者でも、過去10年以内に日本に居住していた期間が5年を超える者は提出義務が有る。
 ・確定申告の有無とは関係なく、サラリーマンでも財産価額の基準に該当すれば提出義務が有る。

対象資産の範囲について留意点
 ・自宅で保管している外国有価証券は、対象になる。

 ・外国の金融機関(現地支店)で保管されている国内有価証券は、対象になる。


9.Googleの「2万円PC」とは?

・名前は、「Chromebook
Google開発のOSを載せたPC
・米国でのシェアは20120.2% 20139.6%と急成長
MicrosoftChromebookのネガティブCMを流しているが効果なし?
・基本的にはすべてWEB上で作業する「ネットコンピューター」
→ドキュメント作成は「グーグルドキュメント」 メールは「Gmail」 その他クラ
ウドサービスを使う
→ビジネス目的でなければこれで十分?

・電源ONから起動まで1015秒。






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